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2016年01月 アーカイブ

2016年01月29日

法人税法と所得税法の退職給与

法人税と所得税では同じ概念か

所得税法では、退職給与につき、「退職所得とは、退職手当、一時恩給その他の退職により一時における給与及びこれらの性質を有する給与に係る所得をいう」と定義していますが、法人税法には、定義規定がありません。

法人税法の退職給与と、所得税法の退職手当等とは同じ概念なのでしょうか。

法人税法と所得税とは同じと納税者主張

所得税での「これらの性質を有する給与」に該当するものとして、法人税通達での退職(退職と同視し得る職務分掌変更等を含む)という扱いが生まれているのであり、完全な勤務関係の終了以外にも、職務分掌変更等による実質的な退職といえる状態の場合の退職金を含むのは当然で、同通達はその解釈を明示しただけのものであり、逆に「特定の要件を定めた特例創設通達と解するべき」というのだとしたら、それは「租税法律主義に反することになる」と納税者は主張しています。


異なるというのが国側の主張

法人税法上の退職給与については、その定義規定がない以上、語句の通常の意味を踏まえて解釈するのが相当であり、所得税法上の創設的な意味合いを包含するものとして特に定義されている「これらの性質を有する給与」は含まれない。

特例通達は、「正当な目的を有し、合理的な規定として納税者に異議なく受容されており、その要件を厳格に解釈・適用する限り、一部の者の租税負担を軽減する結果とならず、合法性の原則に反しないものとして容認される」と国側は主張しています。


裁判所の判断は対価の後払い性

裁判所は、法人税法上の退職給与とは、「役員が会社その他の法人を退職したことによって初めて支給され、かつ、役員としての在任期間中における継続的な職務執行に対する対価の一部の後払いとしての性質を有する給与であると解すべきである」としています。

また、「赤字決算を回避するなどの理由で、その事業年度において発生した費用を翌事業年度以降に繰り延べるなどの利益調整があったとしても、過去勤務に係る対価の後払いと退職一時金としての性格を持っているならば、法人税法上の退職給与であることを否定できない」としています。

2016年01月28日

取得と賃借で異なる課税関係

資産を「取得」するか「賃借」(ファイナンスリースを除く)するかは、その資産の費用対効果、そして、資金繰り等の諸要素を勘案して決定しますが、場合によっては、「課税上の効果」が大きな要素になることもあります。

例えば、接待のための専用資産(クルーザーや別荘等)を「取得」するか、それとも「賃借」にするか、といった選択の場面では「課税上の取扱い」が重要な要素になります。

それは、「取得」と「賃借」では異なる課税関係を招来させるからです。

接待用資産を自社所有した場合

法人税法上、交際費等とは、接待、供応、慰安、贈答等の行為のために支出するものをいうとされています。

クルーザー(船舶)や別荘(建物)といった、接待を目的とした専用の資産の取得については、その支出は当該資産の取得のためのものであって、接待等のための具体的な支出ではありません。

したがって、当該支出は交際費等には該当しません。

また、これら資産は、減価償却資産であり、事業の用に供されている限り償却すべきものとされています。

その減価償却費は、その事業年度における接待等のための支出ではありません(時の経過とともに費用化されるもの)ので、当該減価償却費は交際費等に該当することはありません。

また、接待専用資産の所有に伴って支出する固定資産税や火災保険、修繕費、管理人の給与等といった、維持管理に伴う支出も交際費等には含まれないものと考えられます。


接待用資産を賃借した場合

接待のために上記資産を賃借するのですから、たとえその賃借料にその資産の減価償却費や維持管理費等の諸経費が含まれていたとしても、支払賃借料はまさに接待等のための具体的な支出です。

したがって、当該賃借料全額が交際費等に該当することになります。

実施記録等の整備は不可欠

なお、取得、賃借のいずれの場合においても、明白な事業関連性があることが前提です。

したがって、当該資産の管理運用・使用記録、そして、詳細な実施記録の整備が不可欠です。

利用・実施記録が曖昧な場合、オーナーだけの使用・利用と認定され、法人の取得それ自体が否認されることもあります。

2016年01月27日

相続税の誤りやすい事例

専門誌等では、あれやこれやの節税策が喧伝されています。

では、相続税の基礎控除4割カットがそれほど大きな負担に繋がるのでしょうか。

国税庁は今後、専門家に頼らず相続人の自主申告が増えると予測してか、誤りやすい事例を公表しました。

いくつか紹介をしてみたいと思います。

被相続人の兄弟姉妹が相続人

相続税法では、相続・遺贈で財産を貰った人が一親等の血族及び配偶者以外であれば、算出された税額に2割加算することになっています。

兄弟姉妹は二親等の血族ですから、2割加算の対象になるというものです。

また、孫が相続した場合、その孫が代襲相続人でない場合には、2割加算の対象になることも事例として掲げています。

お墓の購入費用に係る借入金

事例の内容は、「被相続人が借金して350万円のお墓を購入、相続開始時には220万円の残債があり、その残債220万円を債務控除して申告した」というものです。

解説は、「お墓は非課税財産であるから、非課税財産に関する債務は、相続税の計算上、債務として差引くことができません」となっています。

未納の固定資産税・住民税

事例は、「相続開始日(3月7日)には、固定資産税と住民税の納税通知書が送付されてきていなかったので、債務控除しなかった」というものです。
解説は、「固定資産税と住民税の納税義務は既に成立しているので、納税通知書の有無にかかわらず債務控除ができます」という内容です。


団信生命保険と住宅ローン

事例は、「団体信用生命保険契約に加入しているにもかかわらず住宅ローンを債務控除している」というものです。

解説では、「住宅ローンは相続人が支払う必要のない債務なので控除できません」としています。


養子縁組と法定相続人の数

事例・解説では、「相続税の計算に当たっては、養子の法定相続人の数は制限されている、被相続人に実子がいる場合は1人、実子がいない場合は2人で計算する」といった内容です。

2016年01月26日

借地権の簿価劣化

同じ更新料でも

賃借建物の更新の場合の支払更新料は、税法上の繰延資産として、5年もしくは賃借期間で償却するものとされています。

20万円未満であれば少額繰延資産として一時の費用とすることも出来ます。

同じ更新料でも、借地権に係る更新料は、全く損金算入できせん。

10万円未満であっても、資産計上し、借地権価額に単純加算しなければなりません。

借地権は税法では土地と同じものとして扱われ、非減価償却資産とされているからです。

既存簿価の償却計算

(借地権の更新前の帳簿価額×更新料÷更新時の借地権の時価)

この算式は、「借地権の権利が経年劣化したので、権利を保全するためには更新料を払ってそれを補完しなければならなくなった」との考えの上で、「補完としての更新料は、追加払いの借地権代金としてそのまま資産計上するが、経年劣化した既存の借地権簿価の一部分は、すでに権利を主張する裏付けを失ったものとして資産性を否認して損金算入する」というような理屈を表現したものと推測されます。

借地権時価に変動がなく、時価と簿価が同じだったら、更新料相当額が簿価劣化額として損金算入です。

更新料の何倍もの損金算入もアリ

バブル時の借地取得で、更新時では底値だったような場合、時価が1/2、1/3に下落していたら、「更新料×(更新前簿価÷更新時時価)」と算式を変形してみると明かなように、支払更新料の何倍もの損金算入額が計算されることになります。

こんなことは、賃借建物の更新料の場合ではあり得ないことで、不思議な印象が残ります。


法令上の強行規定

この算式による借地権の更新時取り扱いは、通達ではなく、法令にきちんと規定されているものです。

また、減価償却や繰延資産償却の規定と異なり、損金経理の要件はなく、「できる」規定でもなく「損金の額に算入する」との、任意性のない強行規定になっています。

従って、損金算入額は更新時に一時に全額であり、別表の上だけでの損金算入も可であり、損金処理漏れは法令違反なので、更正処分や更正の請求の対象でもあります。

2016年01月25日

退職後に前職の健康保険証を使用したら

退職等で前の会社の健康保険の資格がなくなった後は、すぐに再就職しなければ普通は国民健康保険に加入します。

その手続の前に旧保険証を使用して、医療機関を受診した時は、いったん協会けんぽ(健康保険組合の場合もあり)が立替えて病院へ支払いし、後日受診者から協会けんぽに負担分(総医療費の7割から8割)を返還することになります。

返還手続

医療機関ではその保険証が有効か無効か判断できないため、医療機関が協会けんぽに保険者負担分を請求すると、協会けんぽは医療機関に医療費の立替え分を払います。

協会けんぽでは、無効の保険証使用を確認した場合、本人に療養費の給付費用の返還を通知します。

その際納付書が送付されますので、本人はコンビニや郵便局で医療費全額の差額分支払いをします。

返還した保険料は領収証が出ますので改めて国民健康保険に療養費の請求を行います。

その時には、領収証を添付します。

退職時の事務を滞りなく行うには

会社では退職者の保険証は退職日に遅滞なく返却してもらいましょう。

扶養家族の異動があった時、特に被扶養者が就職したり、収入が基準を超えたり被扶養者に該当しなくなった時は速やかに保険証を返却してもらうのが良いでしょう。

新しい保険証がまだ手元にない時

新しい有効な保険証がまだ手元にはないが医療機関にかかりたい時は、全額医療費負担をして後から療養費の支給申請をするか、手続中であるなら「健康保険被保険者資格証明書」を申請し、交付してもらうこともできます。

また同月内であれば、かかった医療機関に新しい保険証を提示すれば、後から本人に請求されることもないでしょう。


間違いやすいケース

月単位の保険料なので月途中の退職でも月末まで使用できると勘違いした

次の保険証がまだ手元になかったので前職の保険証を使った

被扶養者の異動で削除すべき手続が遅れてしまった

医療機関の受付で何も聞かれなかった

などが前職の保険証を使ってしまう誤り易いケースです。 
      

2016年01月22日

日本のパスポート事情



海外出張とビザ

皆さんは海外出張や旅行のとき、「ビザ」の申請をしたことはありますかでしょうか。

おそらく、「ビザ」と言われてもピンと来ない方が多いと思います。

それもそのはずで、日本のパスポート(旅券)を持っていると、そもそも海外出張時に「ビザ」を意識する必要がほとんどないのです。

日本はノービザ渡航可能国数世界第3位

「ビザ(査証)」とは、各国が自国民以外に対して、入国しようとする人のパスポートが有効であり、かつ入国しても差し支えないことを示す証書です。

ビザの発給手続きは、入国するにふさわしいかどうかを事前判断する身元審査に当たり、基本的にはビザの発給をもって入国許可申請を行うことになります。

しかし、国同士の外交関係により、旅行や出張などの目的で短期的に滞在する場合について、このビザ発給手続きを免除する措置が行われていることがあります。

ビザの発給を必要とせず入国許可申請ができること、これがいわゆる「ノービザ渡航」です。

2015年10月、英国の民間機関が一国のパスポートで何か国ノービザ渡航ができるかを調査したところ、日本は調査対象の173か国中3位で171か国へのノービザ渡航が可能という結果になりました。

日本人にとって「ビザ」という言葉があまり馴染みのないことも、こうした環境がひとつの要因かもしれません。


日本へ呼ぶときは少しだけ意識を

一方、日本への入国時にビザが免除されている国と地域は2014年12月時点で67です。

これらの国と地域以外から日本へ来られる方については、たとえ一日の会議に参加する場合であってもビザの発給手続きが必要です。

近隣諸国で見ると、たとえば中国やフィリピン、ベトナムから招へいする場合はビザの発給を要します。

ビザ発給手続きでは、招へいする企業などから、行き先や宿泊先を示した行動予定表、身元保証書、渡航費用の証明など、渡航の目的に合わせた書類を提出します。

ノービザ渡航に比べ事前準備に時間がかかりますので、招へい予定は余裕を持って計画したいところです。


2016年01月21日

住み替え税制

家康の隠居先が「駿府」であった理由

関ケ原の戦いで西軍に勝利した徳川家康は、慶長10年(1605年)に将軍職を子の秀忠に譲った後、駿府(現在の静岡市)に隠居しました。

わざわざ「駿府」に隠居した理由については、家康が好んでいた富士山が見えて、鷹狩りの良い場所があり、好物の茄子(折戸茄子)があるからとも言われています(いくつかある「一富士二鷹三茄子」の由来の一つとなっています)。

もっとも、駿府は、家康がその幼少期に今川家に人質として暮らしていた地でもあります(太原雪斎に12年学んでいました)。

「引退後は気心が知れた土地で暮らしたい」という気持ちもあったのかもしれませんね。

現行ではマイホーム売却時に「5つの特例」

家康と同じように「引退後は田舎に住み替えたい」という方がよくいらっしゃいます。

このような場合、現在の居宅を引き払わなければなりませんが、マイホームを売却した場合には、所得税・住民税(土地・建物の譲渡所得)の5つの特例があります。


(1)譲渡益が生じる場合の特例

譲渡益が生じる場合の特例には、

①3,000万円の特別控除

②居住用財産(10年超所有)の軽減税率の特例

③特定居住用財産の買換えの

3つの特例があります。


細かな要件がいくつかありますが、①と②は重複適用できます(③については、①や②との重複適用はできません)。

(2)譲渡損が生じる場合

譲渡損が生じる場合については、

④居住用財産の買換え等の場合の譲渡損失の損益通算・繰越控除

⑤特定居住用財産の譲渡損失の損益通算・繰越控除(住宅ローンが残っているマイホームを売却)

の2つの特例があります。

2016年01月20日

後見人事務報酬の債務控除

家裁から後見人(保佐人、補助人を含む)に選任されると、後見人は、毎年、家裁に被後見人(被保佐人、被補助人含む)の財産目録を作成し、かつ、後見等(監督)事務報告書を提出することが義務付けられます。

事務報告書には、同意した事項(不動産賃貸借契約、保険金の受取等)や代理した事項(不動産の売買契約、施設への入所契約等)があればその旨も記載します。

後見人等の報酬

後見人の報酬については、原則、家裁への申し立てが必要で、それには、報酬付与申立事情説明書に必要事項を記載し、さらに、付加報酬を求める場合には、申立書に後見人の同意・代理行為で被後見人が得た利益額(不動産の売買等)等を記載し、その資料を添付しなければなりません。

報酬の額は、家裁が後見事務の内容及び被後見人の財産額などを勘案し、裁量により決定(報酬付与の審判を下す)します。

被後見人の生存中は、以上の事務手続の繰り返しです。

被後見人等が死亡した場合

被後見人が死亡すると、その時点で後見人等の権限及び義務は消滅し、後見事務の一切は終了することになりますが、原則、死亡後2か月以内に上記事務手続を実施し、その旨を家裁に報告しなければなりません。

また、相続人に対しても財産の引継ぎをしなければなりません。

そして、後見人のこの最後の事務報酬についても報酬付与の申し立てをすることになっています。

後見人の最後の事務報酬と債務控除

ところで、後見人のこの最後の事務報酬が、被後見人(被相続人)の相続税の課税価格から被後見人の債務として控除できるかどうか、気になるところです。

債務控除の要件は、

①被相続人の債務で相続開始の際現に存するもの

②確実と認められるもの

です。

この要件を後見人の最後の事務報酬にあてはめてみますと、

①被後見人の死亡時には、後見人に法律で定められた事務が既に発生していること

②当該事務について、報酬付与の申し立てがなされる限り、遅滞なく、家裁はその事務内容、被後見人の財産の状況を勘案して報酬額を決定する。

以上のことから、要件は満たされていると思われますので、後見人の最後の事務報酬は、債務控除できるものと考えます(後見監督人も同様)。
 

2016年01月19日

有形固定資産と無形固定資産の減価償却の取扱い

法人税法では、減価償却資産を定義し、「償却をすべきもの」、としています。

しかし、その属性が減価償却資産であっても、当該資産を事業の用に供していなければ減価償却資産に該当しないこととしています。

条文は、括弧書きで次のように規定しています。

(事業の用に供しないもの及び時の経過によりその価値の減少しないものを除く)です。


有形固定資産(土地を除く)について

そうしますと、例えば、一部の機械及び装置が生産調整のため操業を停止している場合とか、また、スキー場のリフトなど夏場に設備が停止している場合などはどうなるのかといった疑問が生じます。

条文を狭義に解せば、稼働を停止又は休止している資産は、原則、減価償却資産に当たらず、減価償却できないことになります。

しかし、課税実務(法令解釈通達)では、その稼働停止期間中に必要な維持管理等が行われている場合など、いつでも稼働できる状態に保たれているときは、減価償却資産に該当するものとして、すなわち、減価償却できるものとして取扱っています。

無形固定資産について

では、無形固定資産についても同じ取扱いかというとそうではありません。

例えば、特許権を買取ったが、これを利用して生産を開始するのは翌々事業年だとすると、法人税法の規定から言えば、特許権の減価償却は、取得した事業年度からでなく、特許権を利用して生産を開始する翌々事業年度からになります。

しかし、課税実務では、特許権などの無形固定資産の中には、その根拠となる法令においてその存続期間が定められているものについては、たとえ事業の用に供していなくても、時の経過によって減価することが明らかなので、その取得の日から減価償却することができるものとして取扱っています。

ちなみに、それぞれの根拠法令に基づく存続期間は、漁業権10年又は5年(法定耐用年数10年)、特許権20年(法定耐用年数8年)、実用新案権10年(法定耐用年数5年)、意匠権20年(法定耐用年数7年)、商標権10年(法定耐用年数10年)となっています。

2016年01月18日

人事賃金制度の高度化

バブル期には職能資格制度が全盛で、年齢・勤続に応じて昇級しやすい実態があり、社員のモラルを維持・向上する効果を果たしていましたが、反面大いに業績を上げた者にとっては、業績を上げられなかった者も平等に昇級できることが「不公平」と感じられたり、実力のない「名ばかり管理職」が増えたりする等の問題が生じました。

管理職の人事賃金制度改訂動向

2000年代に入ると、このような問題を回避するため、多くの企業で人事賃金制度の改定が行われました。

その代表例を挙げますと、次の通りです。

①管理職層を「組織業績に責任を持つマネジメント職群」と「個人業績に責任を持つ専門職・専任職群」に縦に区分、複線化し、それぞれの役割・期待貢献・能力要件を明確化する。

②管理職の賃金体系を、役割給・成果給を中心に再編する。

③管理職へ昇格する関所として、業績を評価することと併せて、マネジメント能力を客観的に判定するマネジメント試験を実施する。

④管理職層を3階層に大ぐくりし、各階層をクリアするハードルを、業績・能力要件等で高くする。

⑤各階層内に号俸(例えば12号俸のサラリーポジション)を設け、年度の業績に応じて昇号数を増減する(毎年、給与の増減があるので、洗い替え制度と言う)

⑥このような人事賃金制度の改定と併せて、「家族手当・勤続手当」等の属人的給与を廃止し、それらの原資は業績給に移し替える。

⑦従来、退職時給与に勤続年数を乗じて算定されてきた退職金制度を、「成果・貢献ポイントと勤続ポイントの積み上げに応じたポイント制」へ移行する。

⑧管理職の人事賃金制度改定は、その厳しさを緩和しつつ一般職の制度改定に適用され、波及している。

経営者・管理者の留意点

このように人事賃金制度の高度化が進んできましたが、さらに会社の業績変動にかかわらず、定期昇給制度などで総額人件費が増え続ける人事賃金制度・目標管理制度になっていないかなど、業績と人件費の連動性をチェックし、真の成果・貢献給の実現を図りましょう。

2016年01月15日

役員変更登記の改正点

株式会社の登記手続を定めている商業登記規則の改正で2015年2月から登記実務が一部改正されています。

今後の手続として知っておきたい点について解説します。


改正事項

①役員が新たに就任する場合、本人確認証明書を添付する。

②代表取締役の辞任届は個人の実印を押印し印鑑証明書添付か会社実印の押印が必要

③役員の氏名と共に婚姻前の氏も併せて登記する事ができるようになった


役員就任の際の本人確認証明書の添付

従来は取締役等の役員が就任した際の添付書類は就任承諾書のみの場合がありましたが、登記の真実性向上のため、役員の実在を確認し、株式会社設立登記や就任登記、役員変更登記の際に新たに本人確認証明書の添付をすることになりました。

再任の場合は不要ですから、現在の役員が任期満了で再任された場合は対象にはなりません。

本人確認証明書の必要な役員とは

取締役会設置会社においては、代表取締役以外の取締役、監査役、指名委員会等の設置会社の執行役に新たに就任する者。

取締役会非設置会社は監査役に新たに就任する者。

本人確認証明書とは住民票の写し、戸籍の附表、運転免許証写し等です。

代表取締役が辞任する時の辞任届

代表取締役が任期途中で辞任して変更登記をする場合に、辞任届の偽造で会社乗っ取りが図られる恐れもあると指摘がされていました。

そこで不正防止の為代表取締役の辞任届には個人の実印を押印し印鑑証明書を添付するか、登記所に届出している会社の実印を押印する事が必要になりました。

ただし、任期満了で代表取締役が退任する時は辞任ではありませんし、辞任届は必要ありません。

役員欄への婚姻前の氏の記録

今まで会社の登記簿の役員名は戸籍上の氏名が登記されていましたが、婚姻後も旧姓で活動する場合に支障を来す問題が指摘され、婚姻前の氏も記録する方法が選択できるようになりました。

登記簿に氏名が登記されている者が対象です。

戸籍謄本や住民票を添付して申請します。

2016年01月14日

忘年会費用の取り扱い

寒さが本格的になる季節です。

仕事がらみの忘年会にもいろいろなパターンがありますが、税務上どのように取り扱われるのでしょうか。


①全社員を対象として事業所ごとに行われた忘年会

②一部社員や役員だけで行った忘年会

③営業部の社員が取引先と行った忘年会

これらに要した費用を会社が負担した場合を見てみます。

全社員を対象として行われた忘年会

社員や役員を慰労するために行われる忘年会費用で次に該当する場合には税務上福利厚生費として損金で取り扱われます。

①「社内の行事」として行われ、従業員等に「おおむね一律」に供与されるものであること

②「通常飲食に要する費用」であること

これは必ずしも忘年会が全社員全部集まって行うということでなく、社内行事として部ごと等の単位で行われるものでも福利厚生費となります。

通常に飲食に要する費用とは、社会通念上一般に供与される程度、常識範囲内の費用ということです。

また二次会は、通常は任意参加が多いので交際費として扱われます。

一部社員や役員だけで行った忘年会

特定の者だけが参加する忘年会で参加者の費用を法人が負担した場合はおおむね交際費となります。

忘年会に参加しなかった社員に現金の支給をするのであれば給与となります。


営業部の社員が取引先と行った忘年会

普通、取引先を接待する目的で行われる忘年会費用は交際費になります。

この場合1人当たりの飲食費用が5千円以下である時は交際費ではありません。

飲食費用の交際費については、平成26年度の改正で資本金1億円以下の法人は1人当たり5千円を超える費用、並びに法人の役員もしくは従業員またはこれらの親族に対する接待費用の50%の損金算入、あるいは年800万円までの交際費の損金算入が認められています。

2016年01月13日

支払調書のマイナンバー

平成28年1月1日から、いよいよマイナンバー制度が始まりました。

マイナンバーは、各種支払調書にも記載する必要があります。

支払調書とは、個人事業主などに支払う報酬がある場合などに発行され、その年に支払われた金額、源泉徴収された所得税額などが記載されます。

支払い側は、毎年1月31日までに、一定の金額を超えた支払調書を、法定調書合計表とともに税務署へ提出します。

平成28年1月31日に提出する支払調書は、平成27年分ですので、まだマイナンバーの記載は必要ありません。


主な支払調書は次のとおりです。

(1)報酬、料金、契約金および賞金の支払調書

①外交員、集金人、電力量計の検針員、プロボクサー、バー、キャバレーなどのホステスの報酬で、年間の合計金額が50万円を超える場合

②社会保険診療報酬支払基金が支払う診療報酬50万円を超える場合

③競馬の賞金で75万円を超えている場合は、その年すべての支払金額を提出

④プロ野球選手をはじめプロスポーツ選手の報酬や契約金で、年間の合計が5万円を超える場合

⑤弁護士や税理士への報酬、作家や画家への原稿料や画料、講演料で、年間の合計が5万円を超える場合

(2)不動産の使用料等の支払調書

土地、建物の賃借料、権利金、礼金、更新料、承諾料、名義書換料などで、年間の支払金額の合計が15万円を超える場合

(3)不動産等の譲受けの対価の支払調書

売買、交換、競売、公売、収用、現物出資等による取得で、年間の支払金額の合計が100万円を超える場合

(4)不動産の売買または貸付けのあっせん手数料の支払調書

売買または貸付けのあっせん手数料で、年間の支払金額の合計が15万円を超える場合


平成28年1月1日以降の支払調書には、支払を受ける方のマイナンバーの告知を受けて、その番号を記載する必要があります。

一部の法定調書(特定口座年間取引報告書など)については、マイナンバーの告知について3年間の猶予規程が設けられています。

ただし、報酬や不動産の使用料など上記に挙げている支払調書は猶予規程に該当しません。

マイナンバーを利用する際には制限があり、マイナンバー提供時に本人確認もしないといけませんので、個人事業主のマイナンバーの収集が一番、困難かもしれません。


2016年01月12日

利息が非課税売上とは限らない

近年は、中小企業でも海外に子会社や合弁会社(子会社等)を設立したり、その進出の勢いは止まる気配がありません。

海外子会社等の事業が立ち上がるまでは、国内の親会社からの資金供給は欠かせません。子会社等への増資という手段もありますが、当面は、子会社等への資金供給は貸付金が多いようです。当然ですが、貸付金には利息の支払が伴います。

貸付金利息の課税区分

利息を収受する親会社は、この利息を受取利息として計上しますが、この場合、この受取利息が消費税法上、非課税資産の譲渡等に該当するものとして、また、海外の子会社等(非居住者)からの利息であることから、国外取引として課税対象外となるものとして、それぞれ課税売上割合の計算において当該利息を分母に算入し、あるいは、分母・分子から除外して計算することもあるのではないかと思います。


受取利息は輸出免税取引

国内からの資産の輸出は、当然に、輸出免税取引に該当し、国内における課税資産の譲渡等として消費税ゼロ税率が適用され、課税売上割合の計算において、当該輸出取引は分母・分子にも算入されます。

一方、海外子会社等の非居住者に対する貸付金のような役務の提供の対価たる受取利息に輸出免税取引が適用されるかどうかですが、結論は、輸出類似取引として輸出免税取引に該当するものとして取扱われ、課税資産の譲渡等として消費税ゼロ税率が適用され、当該利息は課税売上割合の計算において、分母・分子にも算入されることになっています。

理由ですが、国内の親会社から直接海外子会社等への貸付金は、当該行為の事務所等所在地が国内であることから、当該取引は国内取引に該当し、その対価たる利息は非課税資産の譲渡等に該当しますが、外国の消費者に我が国の消費税を負担させることのないよう(国境税調整)、特例として、非課税資産の譲渡等などに要する課税仕入れについても、仕入税額控除を認めるということで、輸出免税の適用を受けると同様な結果になるようにした、ということです。

なお、この特例によって仕入税額控除の計算上、輸出免税の対象とみなされる対価の額(受取利息)が、納税義務が免除されるかどうかの判定においては、基準期間における課税売上高には算入されません。


2016年01月08日

「マンホールの蓋」から分かること

21世紀の趣味?「デザイン・マンホール」

最近「デザイン・マンホール」という言葉を聞くようになりました。

日本の自治体では、マンホールの蓋に意匠をこらして、その地域のシンボルや特産品のデザインを施しています。

そのため、鑑賞目的でこれらを写真に収める「収集家」が増えているそうです。

映画「ローマの休日」で有名な「真実の口」も元々はマンホールの蓋という説がありますので、人間は今も昔もそう変わらないことをしているようです。

大都市比較統計年表(平成25年)によれば、東京都区部には約48万、横浜市には約53万のマンホールがあると推計されています。


「マンホールの蓋」の標高が分かる

この「マンホールの蓋」の標高(海抜)が分かるということはご存知でしょうか?

市町村は下水道法の規定により「下水道台帳」を作成しています。

この「下水道台帳」では、下水管の埋設状況(下水管の位置・深さ・管径・管種・公共ますの位置等)が分かるようになっており、「マンホール情報」として地盤高(マンホールの蓋の標高)・施設番号・工事番号が記載されています。

近年「下水道台帳」を、ネット上で公開している自治体もあり、「マンホールの蓋」の標高をミリ単位で確認することができます。


高低差のある土地の相続税評価額

税理士もたまに、この「マンホールの蓋」の標高(地盤高)を参考にすることがあります。

土地の評価の実務においては、「周辺の土地よりも高低差がある宅地」は「利用価値の著しく低下している宅地」として評価額を減額します。

具体的には盛土をして擁壁を設ける等をしている「道路よりも高い宅地」や「坂の途中にある宅地」などです。

このような宅地の「高低差」を知りたいときや、測量を行う前にざっと概況を知りたいときには、「こことここのマンホールの蓋の地盤高の差はこれくらいか…」と参考にするのです。

裁決事例などでは

①「評価対象地だけ」が周辺の土地よりも「1m以上」の高低差があるか

②路線価に高低差による減価が反映されているか

③高低差が評価対象地の一部だけの場合は、高低差のないところから通常利用できるか

が評価減のポイントとなっているようです。

2016年01月07日

少額減価償却資産の判定

少額減価償却資産とは

使用可能期間が1年未満のもの、取得価額が10万円未満のものが原則的な少額減価償却資産で、取得し事業の用に供した事業年度の損金とすることができます。

そのほか、次の特例があります。

① 取得価額20万円未満の減価償却資産

一括償却資産として、取得し事業の用に供した事業年度を含む3年間での損金経理を認めています。


② 取得価額30万円未満の減価償却資産

中小企業者(資本金1億円以下の法人)の特例として年間300万円までについては取得し事業の用に供した事業年度の損金とすることができます。


少額減価償却資産の金額と消費税

取得価額が10万円未満、20万円未満、30万円未満であるかどうかは、免税事業者である場合を除き、法人が採用している消費税等の経理処理方式に応じて算定した価額により判定します。

つまり、税抜経理方式を採用している場合には、消費税抜きの価額が取得価額となり、税込経理方式を採用している場合には、消費税込みの価額が取得価額となります。

少額減価償却資産の金額と圧縮記帳

資産が法人税での圧縮記帳の適用を受けたものであるときは、取得価額が10万円未満、20万円未満、30万円未満であるかどうかの判定は、その圧縮記帳後の金額に基づいて行います。

したがって、圧縮後10万円未満なら即時の費用、20万円未満なら一括償却資産の取扱いがあり、30万円未満なら、除外要件に該当しない限り、これも即時全額償却となります。


30万円未満即時償却の除外要件

なお、少額資産に係る10万円と20万円の規定は法人税法の規定ですが、30万円の規定は租税特別措置法の規定なので、ここに異なる取り扱いが存在するので、注意すべきことがあります。

すなわち、租税特別措置法には、租税特別措置法の規定の重複適用を原則排除するような規定が他方にあるので、圧縮記帳が租税特別措置法の規定に拠って行われている場合は、30万円未満即時償却の適用は、重複適用として、除外要件に該当することになり、適用することができません。

2016年01月06日

社会保険加入 106万円の壁

サラリーマンの配偶者であるパートタイマー・アルバイトなどの短時間労働者にとって、気になるのは所得税扶養から外れる「103万円の壁」、社会保険扶養から外れる「130万円の壁」ではないでしょうか。

これらに加えて、社会保険加入の適用要件において、新たに「106万円の壁」が生まれます。

平成28年10月から、一定の要件に該当した場合、社会保険被扶養者の認定基準が年収106万円未満に引き下げられます。

現行は、労働時間が週30時間以上の方が適用対象となっていますが、次に掲げるすべてに該当する短時間労働者は、サラリーマンの配偶者の扶養から外れ、会社の社会保険に加入することになります。

(1)所定労働時間が週20時間以上

所定労働時間で判断されますので、就業規則・雇用契約書などで確認できます。

所定労働時間が週単位でない場合は、週に換算して計算します。

・1か月単位の所定労働時間× 12/52

・1年単位の所定労働時間× 1/52

(2)月額賃金8.8万円以上(年収106万円以上) 

就業規則や雇用契約書に記載されている、時給・所定労働時間・所定労働日数で1か月の賃金が計算されます。

あくまで、契約書上の金額で算定されますので、106万円を超えそうだからなどの理由で、労働時間を調整できるということはありません。

賞与、残業代、通勤手当、家族手当などは除かれます。

(3)勤務期間が1年以上の見込

原則、雇用保険における取扱いと同様とすることとされています。

・期間の定めがなく雇用される場合

・雇用期間が1年以上である場合

・雇用期間が1年未満であるときは、次のいずれにも該当する場合を除き、被保険者となる

①雇用契約書その他書面においてその契約が更新される旨又は更新される場合がある旨明示されていないこと

②当該事業所において同様の雇用契約に基づき雇用されている者について更新等により1年以上雇用された実績がないこと


(4)学生は適用除外

大学、高等学校、専修大学のほか、各種学校(修業年限が1年以上の課程に限る)などに在学する生徒または学生は適用対象外となります。


(5)従業員501人以上の企業

規模501人以上の企業(特定適用事業所)とは、事業主が同一である一または二以上の適用事業所で、通常の労働者及びこれに準ずる者の総数が常時500人を超える企業を指します。

派遣会社の場合、派遣元の派遣会社で判断されますので、派遣先の社員が500人以下であっても、派遣元の企業が該当していれば、適用されることになります。

該当する短時間労働者は、25万人に上ると試算されています。

年収106万~130万円の人にとっては、実質、手取りが下がってしまいますが、厚生年金保険は会社との折半で納付しますので、将来の年金受取額は増えることになります。

働き方は人それぞれですので、目先の利益だけにとらわれず判断できるよう、確認してみてください。

2016年01月05日

公募公社債投信のゆくえ

現在、公募投資信託の数は、5000本以上もあり、一般にファンドともよばれています。

その多くは、契約型(運用会社と信託銀行が契約を結んで組成)で株式投資信託(約款に株式に投資できる旨記載されている投信)です。


投資信託の利益は2種類

投資信託には、インカムゲインとよばれる「分配」とキャピタルゲインとよばれる「売却益」の2つの利益があります。

前者は、分配金30円と書かれていれば、1万口ごとに30円ということになります。

後者は、株と同じように、値上がりによる売却益(値下がりによる売却損もある)です。

この売却益ですが、投資信託では、基準価額とよばれる数値が株の株価にあたるものです。

基準価額は、ファンド1万口あたりの価格です。

基準価額1万円のとき100万円でファンドを100万口買った後、基準価額が1万2000円になったときに全部売却したとすると、売却額は120万円となり、120万円-100万円で20万円の売却益、キャピタルゲインが生じたことになります。


公募公社債投信のゆくえ

現在、公募公社債投信の売却益は、原則非課税で、売却損はなかったものとされ、いずれの所得とも損益通算ができません。

しかし、来年からは、売却益は課税になり、一方、その売却損は、特定公社債等の配当等、利子、売却益、償還差益との損益通算、そして、上場株式等(上場投資信託「ETF」)、上場不動産投資信託「REIT」、上場投資証券「ETN」、公募株式投資信託等)の配当等、売却益との損益通算が可能となります。損益通算の結果、控除しきれない損失の額については確定申告により翌年以後3年間繰り越すことができます。

そこで、公募公社債投信の中に含み益をもったファンドがあれば、今年中に売却して売却益非課税を狙うか、一方、資源国、新興国向けのファンドの中に含み損を抱えているファンドがあれば、損出しは損益通算できる来年まで待つ、といった選択もあります。

難しい判断

ファンドの運用が好調で純資産残高も順調に推移し基準価額も上昇しているのであれば、何も今年中に売却することもありませんし、一方、ファンドの資金が流出し純資産残高が著しく減少しているのであれば、損失拡大回避のため早くファンドを処分した方がよい場合もあります。
 

2016年01月04日

相続で取得した資産 の 耐 用 年 数

相続で取得した減価償却資産は、特殊な事例を除いてほとんどが中古資産です。

この中古資産について、取得価額について明文の規定はありますが、耐用年数については規定がありません。

そこで、減価償却資産の耐用年数等に関する定めを適用して算出した耐用年数、いわゆる中古資産を取得した場合の簡便法(当該資産の法定耐用年数から経過年数を控除した年数に経過年数の2割に相当する年数を加算したもの)が適用できるかどうかです。

結論は、「相続により取得した減価償却資産には中古資産の耐用年数の簡便法は適用できない」です。

高裁まで争われましたが、その論拠は次の(1)(2)です。

(1)取得日及び取得価額の引継ぎ規定

譲渡所得の計算において、「相続・贈与等で取得した資産を譲渡した場合には、その者が引続き当該資産を所有していたものとみなす」とする「取得日の引継ぎ」規定があること。

それとつじつまを合わせるように、相続・贈与等で取得した減価償却資産の取得価額についても、「その者が引続き所有していたものとみなした場合における当該減価償却資産に所定の償却に関する規定を適用して算出された場合の取得価額に相当する金額」とする規定があること。

そして、これらの規定の趣旨を勘案すると、取得価額のみならず、償却費の計算に当たり必要となる耐用年数及び残存価額も前所有者から取得者に引継がれると解すべきであるとしています。

(2)耐用年数簡便法の適用場面

中古資産を取得した場合の耐用年数簡便法の適用趣旨は、中古資産によって経過年数も様々で、これに一律の耐用年数を設定することは無理であることから特別に定めた規定であり、中古資産を取得した時点における取得価額を当該取得後における使用可能期間等に償却費として配分するために設けられた規定であること。

そして、相続等により取得した減価償却資産については、「取得者は前者の新品としての取得価額を引継ぐことになり、この取得価額に対して通常の法定耐用年数が適用されるのであって、相続等による取得の時点で取得価額が発生することはないから、簡便法の適用の余地はない」としています。

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