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2015年06月 アーカイブ

2015年06月30日

採用時の誓約書と身元保証書

採用時に提出させる書類として誓約書や身元保証書を求める会社もありますが、注意をする点について見てみましょう。

誓約書

誓約書は就業規則やその他の規則を守り上司の指示命令に従い真面目に働く事を誓って約束をする文書です。

署名や捺印をするので新入社員の精神的な会社への帰属意識を持たせ拘束を強める役割を果たします。

誓約書の中身は一般的に次のような事柄が取り上げられます。
1.就業規則や社内規則を遵守する。

2.同僚や上司との協力、職場秩序の遵守

3.配転や人事異動の命令は従う

4.会社の体面を汚すような行為はしない

5.業務上知り得た秘密の漏えい禁止

上記のようなものが多いのですが会社独自の内容があってもかまいません。

ただし、法的効力は強くありません。

ただ約束事ですので書面を提出させ、守らせることが目的であり必要書類と言えるでしょう。


身元保証書

身元保証書は使用者と保証人の間で取り交わす契約書です。

身元保証書には入社する人が社員としてふさわしい人物であることを保証する側面と、その社員が会社に対し損害を発生させた場合には損害を補てんすると言う金銭面があります。

社員の行為で会社が損害を受けて本人には返済できない時に保証人が代わって賠償するものです。


保証期間はどうか

身元保証契約の期間は最長5年です。

期間の定めが無い時は3年とされています。

更新する場合は最長5年ですが普通、高額な金品を扱う仕事でもなければ真面目に働いてきた人に更新はしないでしょう。

万一本人の業務上不適切で損害が発生したりして保証人責任が生ずる恐れがある時は、使用者はすぐに事実を保証人に報告しておかなければなりません。

保証人に責任を追及する場合でも使用者の監督責任が問われます。

また、その場合保証人は身元保証契約を解除する権利もあります。

100%保証は難しいと言えるかもしれません。

書面は本人が保証人に迷惑をかけてはならないと言う抑止力が働く意味では提出させる意義があると言えるでしょう。

2015年06月29日

上場株と非上場株の損益通算不可

H25改正 株式譲渡損益通算ルールの変更

平成28年から「金融所得一体課税」が導入され、株式の譲渡損益の通算ルールが変わります。

今年のうちは上場株式の譲渡でも非上場株式の譲渡でも同じ「株式等に係る譲渡所得」(分離課税)に変わりがありませんので、同一所得内で損益として通算が可能です。

ただ年明け後は「上場株式等(上場株式+特定公社債)に係る譲渡所得」と「非上場株式等(非上場株式+一般公社債)に係る譲渡所得」に建付けが変わることになります。

従ってH28.1.1以後の譲渡については、上場株式と非上場株式の譲渡損益を通算することはできません。

株価低迷期の事業承継策で行われていた「非上場の自社株譲渡で生じた益を上場株の譲渡損とぶつける」などのプランは実行できなくなります。


非上場株譲渡の「損出し」は要注意!

この新法適用までは1年間の時間がありますので、当年中に上場株式を譲渡して、そこで生じた益をできるだけ非上場株の譲渡で生じた損で相殺しよう―と考える方もいるかもしれません。

ここで気をつけたいのは、非上場株式譲渡の税法の取扱いです。「時価」取引でない場合、課税トラブルを招くことがあり、特に譲渡損が生じるときには注意が必要です。

(1)個人株主から個人へ低額譲渡

個人株主が時価の1/2以下で譲渡した場合には「譲渡損はなかったもの」とみなされます。

この場合「上場株式の譲渡益と非上場株式の譲渡損を通算する」というプランは成立しません。

買手個人側も「著しく低額」な譲り受けは贈与税が課税されます。

(2)個人株主から法人への低額譲渡

個人株主が法人へ低額譲渡した場合には、時価で譲渡したものとみなして課税されます(「みなし譲渡」)。

また、買手法人側も受贈益課税を受けます(自己株式等を除く)。


「時価」課税トラブルを避けるには

この非上場株式の「時価」の算定については、所得税・法人税・相続税の各通達規定が絡んだ専門的な知識が必要となります。

非上場株式の取引をお考えの際には、事前に税理士に御相談下さい。


2015年06月26日

個人事業も開業は大変

これから個人事業を始めようとされる方へ、開業にあたっての留意点です。

個人事業は法人設立と違って簡単に始められそうですが、個人事業者の場合であっても、税務署へは様々な届出が必要となります。

開業届や青色申告の承認申請、専従者のいる場合には青色事業専従者に関する届出など、片手ではおさまらないほどの書類の提出が必要です。


原則的な効力発生は

新規に開業した場合、多くの書類は開業後1~2か月の間に提出すればよいことになっています。

例えば青色申告の承認申請は開業後2か月以内に提出すれば、開業の年から青色申告者として確定申告をすることになります。

つまり開業後1~2か月の間にこれらの書類を提出すれば、開業時点から各規定が適用されることとなります。
 

間違えやすい例外的な規定

源泉徴収の納期の特例

従業員に給与を支払うような場合には所得税を源泉徴収し、その翌月10日までに国に納付することとなっていますが、給与の支払を受ける者が常時10人未満である事業所等については、申請書を提出した場合には特例としてその納付を1月(7~12月分)と7月(1~6月分)の年2回とすることができます(これを源泉徴収の納期の特例と言います)。

例えば4月1日に開業して開業と同時にその申請書を提出したような場合には4月分から6月分の給与に係る源泉税をまとめて7月に納付すればよいと考えがちです。

ですがこの申請書は提出月の翌月末日に承認がされるものとなっておりますから4月1日に提出した場合、特例の効力発生は5月31日となり、1回目の納付日である5月10日は特例の適用が受けられず、4月分の源泉税を納付しなくてはなりません。

消費税課税事業者選択届

この届出は、開業した年の12月31日までに出せばよいこととなっております。

しかし、開業時に多くの届出を済ませてしまいますから、開業から12月31日までにかなりの間隔があると、ついつい忘れてしまう場合があります。

2015年06月25日

試用期間を有期契約にできるか


試用期間とは

企業が正社員等を採用する場合に一定の期間の試用期間を設けていることは多くあります。

一般的な意味では採用された時従業員としての能力や適格性を評価、判断するために設けられた期間であるとされています。

判例によれば試用期間は基本的に「解約権留保付労働契約」が成立していると解されていて、採用した者が能力や適性が無いと判断した場合には、試用期間終了時などに企業が保留していた解約権の行使ができるというものです。

ただし、この解約は法的には労働契約の解約、つまり解雇に当たります。

労基法では「試の使用期間」は雇い入れ後14日以内の解雇であれば解雇予告は適用されませんが、15日以上たっていれば解雇予告も必要になります。


合意があれば有期雇用契約もできる

採用の際、試用期間とせず、有期雇用契約を結ぶことは問題無いのでしょうか。

労働契約は使用者と労働者の合意の上で成り立つと言う原則からすれば、労使の合意があれば良いことになります。

ただし、有期雇用契約は、契約期間の途中での解約はやむを得ない場合に限られています。

期間の定めの無い契約解除よりも厳しい条件があるとされています。

更新の可能性を含む有期雇用契約を中途解約することは雇止めとして、解雇と同様の理由が求められます。


試用期間の性格を持つ有期雇用契約は

判例によると有期雇用契約が従業員の能力や適格性を評価・判断する目的で設けられた場合は、期間の満了により労働契約が当然に終了する旨の明確な合意が成立していない限り、その期間が試用期間の性質を持つとされています。

つまり形式的には有期雇用契約を結んでいても、法的にみると期間の定めの無い契約を結んでいて、それは試用期間とみなされると言うことです。

実務的には試用期間を有期雇用契約とするならば、応募者には試用期間は有期契約とする旨は労働条件として示さなければなりません。

採用予定者となった時も十分な説明をしておくことが必要でしょう。

2015年06月24日

雇用契約・労働契約と請負契約・業務委託契約

雇用契約・労働契約と請負契約・業務委託契約


従業員を雇った場合、一般的に会社と従業員との契約は「雇用契約」または「労働契約」となります。

個人事業者として契約する場合、「請負契約」や「業務委託契約」となります。

このように、それぞれ会社と個人との契約関係が異なると、会社経理の処理方法も違ってきます。

具体的には、雇用契約・労働契約であれば「給与」で、請負契約や業務委託契約であれば、「外注費」で処理することになります。

給与は消費税対象外となりますが、外注費であれば、消費税の課税仕入れとなりますので、消費税納税額を低く抑えることができるというメリットがあります。

このため、従業員を個人事業者として契約する「従業員の外注化」ができれば、消費税を節税することができます。

しかし、近年の税務調査では、このような従業員の外注化が妥当かどうかについての調査が多く行われています。

税務調査などで問題になるのは、当該契約が雇用契約(給与所得)になるか、業務委託契約(外注費・事業所得)かということです。


① 雇用契約・労働契約

一般的に、就職した場合の、いわゆる普通の会社員です。

契約の目的

・労務に服すること

労務提供方法

・会社の一般的指揮監督関係に入り、一定の規律に従い「労働者」として労務を提供する

労働関係法規等の適用

・賃金、労働時間、休日、休暇などについて、労働基準法、最低賃金法などが適用される

・仕事が原因の怪我や病気、通勤中の怪我に対して補償する労災保険法が適用される

・失業したときに所得補填をする雇用保険法の被保険者となる

・健康保険・厚生年金の被保険者となる


② 請負契約・業務委託契約

会社員ではなく、個人事業主となります。

契約の目的

・仕事の完成を目的とする

・特定の業務の処理


労務提供方法

・一般的指揮監督関係に入らず「事業主」として独立して仕事を処理、完成する

労働関係法規等の適用

・労働基準法上の労働者ではないため、労働関係の法律の適用はされない

・健康保険・厚生年金の被保険者にはならない


契約書で形式上の契約を締結していたとしても、次のような実態を総合的に勘案して判断されます。

・仕事の依頼に対する諾否の自由があるか、代替員による実施が可能か

・仕事の進め方や作業場所、勤務時間について、指揮監督を受けるか

・報酬が労働自体の対償であるか、時間給か、欠勤控除、残業代の有無

・機械・器具・原材料等を自ら負担しているか


もし税務調査で、請負契約を上記の判断基準等に照らして雇用契約であると判断された場合には、過去数年間の消費税の請負契約に係る仕入税額控除が全額否認されるなど、負担が大きくなってしまいます。

税務だけでなく、労務問題にもなりますので、実態をよく考慮して、慎重に契約を締結する必要があります。

2015年06月23日

若者雇用対策法案のポイント

若者が働きやすいい労働環境の整備を目指して

先頃、政府が進めている「若者雇用対策法案」の要旨が発表され通常国会に法案が提出されました。

同法案は、一定の労働環境基準を満たす企業の認定制度を創設することや労働関連法で重大な違反があった企業にはハローワークでの求人を受け付けない等が柱であり、平成27年度内の施行を目指しています。

若者の就業状況は採用については今春大卒予定の内定率は80.3%、高校卒業予定の内定率84.1%と共に上昇しており、雇用状況の改善はしているものの一方で新規学卒者の3年以内の離職率は、大卒が32.4%、高卒者が39.6%となっています。


法案の概要
すでに厚労省では一定の労務管理体制が整えられていて若者の雇用や育成について積極的な中小・中堅企業で積極的に広報等を行う企業に対し「若者応援企業宣言」事業を実施していますが、今回の法案はさらに内容を強化するものとなっています。

①若者社員の定着率や能力向上の為の研修制度を導入する等、一定の基準を満たす企業を「若者育成認定企業」(仮称)として認定する。

②労働関連法の重大な違反があった企業にはハローワークでの求人受付をしない。

③フリーターやニートの正規雇用を推進する。

等が盛り込まれています。


「若者育成認定企業」の認定条件

①3年以内の離職率が30%以下


②年次有給休暇の取得率が70%以上、または10日以上


③平均残業時間が月20時間以内、または週60時間超えの人が5%以下

このような条件全てが満たされる企業が対象で助成金も支給される予定です。

また、新たな税制優遇措置として若者(概ね35歳未満)の採用、育成に積極的な企業で、通常の求人情報より詳細な企業情報、採用情報を公表し、上記の認定を受けた企業には取得した研修施設の建物、OA機器等の設備についての割増償却制度を創設する事も法案に盛り込まれています。


2015年06月22日

厚生年金保険の資格取得時の本人確認

社会保険資格取得時の届出・本人確認
入社した時に厚生年金保険の資格取得届を年金事務所や健保組合経由で提出しますが、平成26年10月から厚生年金被保険者資格取得届を提出する際は本人確認の事務が一部変更されています。

これはマイナンバー制度の導入により平成28年1月から公的年金等の社会保障分野や税分野で、マイナンバー利用が開始される事に向けた取り組みだとしています。

マイナンバーは住民票コードを基礎にして作成され、平成27年10月以降に市区町村から住民票の住所に通知カードが送られて知らされます。


基礎年金番号の無い方は

資格取得時に基礎年金番号を持っていない方は従来通り、運転免許証などで本人確認を行いますが、届け出る住所は住民票の住所であることが必要となりました。

原則的には日本国内に住所がある20歳以上の人は基礎年金番号を持っています。

20歳未満や外国人の方のように基礎年金番号を持っていない人、年金手帳を紛失し、番号の分からない方等は運転免許証、住民基本台帳カード(写真付)、有効期限内のパスポート、在留カード、国や地方自治体が発行した資格証明書(写真付)等で本人確認をする事になっています。

さらに日本年金機構で届出のあった住所と住民票上の住所をネットワークシステムの本人確認照合で確認しています。

その際本人確認できない場合は資格取得届は返却されます。


外国籍被保険者のローマ字氏名表記

外国人の方の年金記録を適正にするため、外国籍の方の厚生年金保険資格取得届の提出をする時はローマ字表記の氏名を持つ方について、「ローマ字氏名届」も併せて提出する事になりました。

届者には在留カード、住民票の写真に記載のあるローマ字氏名とふりがなを記入し、住民票上で漢字の氏名、通称の氏名がある方はそれも記入します。

すでに被保険者である外国人の方についても「ローマ字氏名届」の受付は行なわれていますので、まだ届けていない時は届出をしておきましょう。         


2015年06月19日

所得税納期の特例

1. 源泉徴収制度とは、給与・報酬等の支払者が支払いの際に支払者が所得税を徴収して納税する制度のことをいい、所得税を源泉徴収して国に納付する義務のある者を「源泉徴収義務者」といいます。

源泉徴収義務者は給与・報酬等を支払う際に所定の方法により所得税額を計算し、給与・報酬等を受け取る者(従業員)の給与・報酬等から天引きして徴収します。

2. 納期の特例

通常、源泉徴収義務者は徴収した所得税を、その給与・報酬等を支払った月の翌月10日までに納付することとされています。

条件によっては毎月の納税を年2回(※)に分けてまとめて納付することができる特例があります。これが納期の特例です。

 ※1月~6月支払いに係る源泉所得税  → 7月10日までに納付

  7月~12月支払いに係る源泉所得税 → 7月20日までに納付

納期の特例を受けることができるのは、源泉徴収の対象となる給与所得者が10人未満の会社や個人事業主です。

また、納期の特例の対象となる源泉所得税は次のものに限られます。

・ 給与、賞与に係る源泉所得税

・ 退職金に係る源泉所得税

・ 税理士、弁護士、司法書士等の報酬に係る源泉所得税

納期の特例を受ける場合には、「源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書」を税務署に提出しなければなりません。

書類の提出期限は定められておらず、書類を提出した日の翌月に支払う給与・報酬等から特例の適用がうけられます。

例えば、「源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書」を4月中に提出した場合には、5月分から特例の適用がうけられるため、5~6月分をまとめて7月10日までに納付することとなります。

2015年06月18日

固定資産税と償却資産

固定資産税とは、毎年1月1日現在の固定資産の所有者に対して、固定資産の所在する市区町村が課する税金です。

固定資産税の対象となる固定資産といって思いつくのが土地と家屋ですが、そのほかに「償却資産」も固定資産税の対象になります。

土地と家屋は市区町村の方で所有者等の詳細を把握することができますが、「償却資産」の場合は詳細の把握ができません。

そのため「償却資産」については、所有者の方から市区町村へ、償却資産の所有状況を申告することになっています。


申告対象となる資産

「償却資産」とは、法人や個人事業主がその事業の用に供することができる土地・家屋以外の資産をいいます。

例えば下記のようなもので、法人税又は所得税の申告をする際に、固定資産台帳を作成し減価償却していると思います。

・個人や会社で工場や商店、事務所等を経営している場合の事務機器、機械など

・駐車場やアパート等の貸付業を営んでいる場合のアスファルト舗装費、植栽工事など

・飲食業を営んでいる場合の厨房用品、レジ、看板など

固定資産台帳では減価償却済みとなった資産であっても、現在事業のように供しているのであれば申告の対象となります。

また、中小企業者等が30万円未満の全額損金算入の特例を適用し、固定資産台帳に記載がなくても申告の対象です。

そのほか、「事業の用に供することができる」というのはいつでも使用できる状態にあるという意味も含みますので、遊休状態や未稼動の資産についても申告の対象です。

なお、会社等が社員の利用に供する福利厚生施設などの収益事業とかかわりがない資産についても「事業の用に供する資産」に含まれます。


申告対象から除かれる資産

例えば、次のような資産は申告対象から除かれます。

・自動車税・軽自動車税の課税対象となる車両

・営業権、ソフトウェア等の無形減価償却資産

・繰延資産

・耐用年数が1年未満のもの

・3年間の一括償却を選択したもの


2015年06月17日

マイナンバー制度の導入③

マイナンバー制度は、社会保障、税、災害対策の分野で効率的に情報を管理し、複数の機関に存在する個人の情報が同一人の情報であることを確認するために活用されるものです。

期待される効果としては、大きく3つあげられています。


① 公平・公正な社会の実現

所得や他の行政サービスの受給状況が把握しやすくなるため、不当に負担を免れることや給付の不正受給を防止するとともに、本当に困っている方に対する支援を行いやすくするため


② 国民の利便性の向上

行政手続が簡素化され、国民の負担が軽減され、行政機関が持っている自分の情報を確認したり、行政機関から様々なサービスのお知らせを受け取ったりできるようになる


③ 行政の効率化

行政機関や地方公共団体などで、様々な情報の照合、転記、入力などに要している時間や労力が大幅に削減され、業務間での連携が進み、作業の重複などの無駄が削減されるようになる


このため、年金・雇用保険・医療保険の手続、生活保護・児童手当その他福祉の給付、確定申告などの税の手続などで、申請書等にマイナンバーの記載を求められることとなります。

また、税や社会保険の手続きにおいては、事業主や証券会社、保険会社などが個人に代わって手続きを行うこととされている場合もあるので、勤務先や証券会社、保険会社などの金融機関にもマイナンバーの提出を求められる場合があります。

個人番号の主な利用範囲は、次の通りです。


① 社会保障分野

・年金分野 ⇒ 年金の資格取得・確認、給付を受ける際に利用

・労働分野 ⇒ 雇用保険等の資格取得・確認、給付を受ける際に利用。ハローワーク等の事務等に利用

・福祉・医療分野 ⇒ 医療保険等の保険料徴収等の医療保険者における手続、福祉分野の給付、生活保護の実施等、低所得者対策の事務等に利用


② 税分野 ⇒ 税務当局に提出する確定申告書、届出書、調書等に記載。当局の内部事務等に利用


③ 災害対策分野 ⇒ 被災者生活再建支援金の支給に関する事務等に利用

上記の他、社会保障、地方税、防災に関する事務その他これらに類する事務であって地方公共団体が条例で定める事務に利用されることになります。


また将来的には、戸籍事務、旅券事務、預貯金付番、医療・介護・健康情報の管理・連携等に係る事務、自動車の登録に係る事務などへの個人番号の利用範囲の拡大が検討されています。


2015年06月16日

配当所得の課税方式

個人の金融証券税制は、とても複雑になっています。

その一因は、課税方式の選択の場面が多いことがあげられます。

具体的には、上場株式等の配当等の場合は、総合課税、申告分離課税、申告不要(源泉徴収)、非課税(NISA)です。

そして、「確定申告」するか、それとも、「申告不要」とするかは、1回に支払いを受ける配当ごとに選択でき、確定申告する場合は「総合課税」か「申告分離課税」かのいずれかを選択しなければならず、また、いずれを選択するかで「上場株式等の譲渡損失との損益通算ができる・できない」、「配当控除ができる・できない」が決まります。


外国上場株式の配当とその課税方式

昨今は、海外赴任も一般的になってきています。赴任中、現地に上場されている株式を取得、その後、帰国し居住者となって、その外国上場株式からの配当を受領した場合、課税方式の選択の余地はなく、総合課税のみの適用か、といった疑問を抱く場合もあるかと思います。

結論からいえば、当該配当の支払が国内の金融商品取引業者等を通じて実施されているかどうかにかかわらず、現地の支払代行機関からの直接の支払であっても、その配当が現地(外国)の証券取引所に上場されている株式の配当である限り、その配当所得の申告にあたっては「申告分離課税」を選択することは可能です。


確定申告不要制度の適用の可否

外国の証券取引所に上場されている株式の配当であっても、その配当が国内の金融商品取引業者等を通じて支給されているものであれば、法律上、その配当については、源泉徴収(外国で課された源泉税があればその残額に対して)されることになっていますので、その配当は内国法人からの配当とみなされ、確定申告不要も選択することができます。

ところで、個人の大口株主(発行済株式総数の3%以上保有)の上場株式の配当にあっては、総合課税のみが適用され、申告分離課税、申告不要制度は選択できません。

しかし、この総合課税の規定は、国内の上場株式についてのみ適用され、国内の取扱業者等を通じて支給される外国上場株式の配当については適用されません。

したがって、現地法人の大口個人株主であったとしても、また、その金額の多寡にかかわらず、確定申告を不要とすることができますので、押えておきましょう。

2015年06月15日

外国上場株式等の課税方式と繰越控除

株式等の譲渡による所得は、申告分離課税、すなわち、給与所得、不動産所得、事業所得、一時所得等といったこれらの所得とは区分して株式等に係る譲渡所得等の金額を計算し税額を算出します。

そして、原則として、株式等に係る譲渡所得等の計算上生じた損失の金額(株式等内の譲渡益と譲渡損を通算してもなお残る損失)があるときは、当該損失の金額は生じなかったものとみなされています。

株式等には、国内の証券取引所に上場されている外国株式や、外国の金融商品市場において売買されている株式のほか、外国法人が発行する出資持分、新株予約権付社債、転換社債などが含まれます。


外国株式の譲渡損益

個人(居住者)が外国株式(上場、未上場を問わず)を国内で売却する場合でも、海外市場で売却する場合でも、売却したことによる所得で円に換算した所得金額は、国内株式と同様に「株式等に係る譲渡所得等」に分類され、「申告分離課税」の方法により所得税及び住民税の対象になります。

一方、外国株式の譲渡で多額の譲渡損が生じた場場合、当該譲渡損が未上場の株式に係るものである場合には、国内の未上場株式の譲渡損と同様、他の株式の譲渡益と通算されますが、通算後のなお当該株式に係る譲渡損が残る場合には、その損失は繰越すことができません。

譲渡損失の繰越控除

国内の上場株式等の譲渡損失については、無条件ではありませんが、他の株式との損益通算後もその損失については繰越すことができます。

そこで、外国の証券取引所で上場されている株式等を外国にある金融商品取引業者等に直接依頼して譲渡した場合の譲渡損について、繰越控除の適用ができるかどうか、気になるところです。

上場株式等の範囲には、外国金融商品市場において売買されている株式等も含まれていますが、「上場株式等の譲渡損の繰越控除が適用できる上場株式等の譲渡は、当該譲渡が日本国内で営業する金融商品取引業者等を通じてなされたものでなければならない」とされています。

したがって、外国上場株式等の譲渡損が繰越控除の適用対象となるためには、国内で営業する金融商品取引業者等を通じて売買をすることが不可欠です。

 

2015年06月12日

カフェテリア・プラン制度

カフェテリア・プラン制度

1.カフェテリア・プラン制度とは

近年、上場企業を中心に、カフェテリア・プランという福利厚生制度を導入している企業が見られます。

カフェテリア・プランとは、従業員が会社から事前に与えられた一定のポイントの範囲内で、多彩な福利厚生メニューの中から自分に必要なものを選んで利用する選択型福利厚生制度です。

カフェテリア・プランのメニューの範囲は、個々の企業によって異なりますが、一般的には住宅ローンの利子補給・借り上げ社宅・人間ドック補助・社内託児施設・医療保険補助・レジャー施設利用料補助・資格取得補助・旅行補助などを実施しているケースが多いようです。

ライフスタイルが多様化している現在、限られた予算内で従業員のニーズに効率的に対応できるといったメリットがある制度です。


2.カフェテリア・プランの税務上の取り扱い

カフェテリア・プランでは様々な形の福利厚生行為が行われるため、それらをまとめて給与課税の可否を判断することはできません。

そのため、実際に従業員がポイントを利用してサービスを受けたときに、その内容に応じて課税・非課税を判断することになります。

具体的には、旅行費用やコンサートチケットの購入代金の一部を負担するケースは、個人の趣味・娯楽のための費用を補填しているに過ぎないものであり、給与所得として課税対象となります。

一方、健康サポートとして医師の健康相談などの費用負担や、人間ドックの費用負担は給与課税の対象にはなりません。

ただし、その健康サポートの内容が高額な費用を要するものや、一部の者だけしか受けられないようなものである場合には、それらの者に対する給与所得となります。
  


2015年06月11日

クレジットカード納税の範囲拡大

東京都では平成23年度から、自動車税のみ、クレジットカードでの納税ができるようになっていました。

しかし、クレジットカード決済が広く普及していることや納税者からの要望もあり、平成27年4月1日から、クレジットカード納付の対象税目が大幅に増えました。

クレジットカードで納税できるようになった主な税目は、従来の自動車税に加え、

①償却資産分を含む固定資産税・都市計画税(23区内のみ)

②個人事業税

③不動産取得税、などです。

クレジットカードで納税したい場合には、手元に納税通知書・納付書を用意し、まずパソコンや携帯電話で「都税クレジットカードお支払サイト」にアクセスします。

画面の指示に従って、納税通知書・納付書に記載されている「納付番号」「確認番号」「納付区分」などを入力していきます。

そして、クレジットカード情報を入力し、手続きが完了します。

ただし、クレジットカードで納税できるのは、100万円未満の納付書に限られています。

また、税額のほかに決済手数料がかかり、税額1万円ごとに73円(消費税別)が加算されます。

分割払いやリボ払いにする際は、上記の決済手数料に加え、クレジットカード会社が定める手数料が別途かかる場合があります。

領収書が必要な方は、クレジットカード納税の場合領収書は発行されませんので、金融機関等の窓口やコンビニエンスストアで納付する必要があります。

納税証明書については、クレジットカードを利用した日から2週間前後で、都税事務所窓口における発行が可能となります。

納税証明書が至急必要な場合は、窓口で領収証を提示する必要があるため、クレジットカード納税は利用しないでください。

今年度手続きした場合、翌年度以降も自動的にクレジットカード納税・・・とはなりません。

毎年利用したい方は、毎年度手続きが必要になりますのでご注意ください。

参照:都税クレジットカードお支払サイト https://zei.tokyo

2015年06月10日

マイナンバー制度の導入②

平成28年1月から、税、社会保障、災害対策の行政手続にマイナンバー利用が開始されます。

マイナンバー制度については、国民への周知不足が指摘されていましたが、年金機構の個人情報流出に伴い、ニュースなどでも取り上げられる機会が増えて来ています。

以前にも業務日記に掲載していますが、概要をおさらいしておきたいと思います。


●個人番号の利用対象範囲

税・社会保障・災害対策に関する事務に限定されています。

・税:税務当局に提出する申告書、届出書、調書等に記載

・社会保障:年金の資格取得の確認・給付、雇用保険等の資格取得の確認・給付、医療保険等の手続、福祉分野の給付、生活保護の実施等低所得者対策

・災害対策:被災者生活再建支援金の支給、被災者台帳の作成等


●個人番号

住民票所在地の市区町村長から、平成27年10月より順次、氏名・住所・生年月日・性別及び個人番号(12桁)を記載した「通知カード」が送付されます。

その後、平成28年1月1日より、申請により「個人番号カード」が交付されます。

個人番号カードの交付申請書は、通知カードと一緒に届きます。

「個人番号カード」は、住民基本台帳カードと同様、ICチップ付カードで、表面に氏名、住所、生年月日、性別(基本4情報)と顔写真、裏面に個人番号が記載される予定です。

一枚で本人確認のための身分証明書として使用でき、自治体等が条例で定める図書館カード、印鑑登録証等に利用出来ます。

また、電子申告を行える電子証明書も標準搭載されています。


このマイナンバー制度は、すべての企業に影響があります。

例えば、年末調整等で使用する「給与所得者の扶養控除等申告書」には、従業員の個人番号を記載しなければなりません。

国税庁より、平成28年分の書式見本が公表されていますが、従業員本人だけでなく、配偶者、扶養親族についても個人番号を記載することになります。

企業はこれらの個人情報を保護しなければなりません。

「行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律」(番号法)に基づいて、ルールを理解し、対応を準備していく必要があります。

2015年06月09日

農作物の収穫基準

農業所得の収入金額の計上時期

所得税では棚卸資産の収入は「販売した時」に計上することが原則ですが、農業を営む方の場合には、いわゆる「収穫基準」により収入金額を計上することとなります。

「収穫基準」とは、農作物を収穫した場合に、その収穫した時における農作物の価額(収穫価額)を、その収穫の日の属する年分の収入金額に計上するルールです。

この「収穫基準」が適用される農作物の範囲は次のとおりです。

①米、麦、その他の穀物、馬鈴薯、甘しょ、たばこ、野菜、花、種苗その他のほ場作物

②果物、樹園の生産物

③温室・ビニールハウス等の特殊施設を用いて生産する園芸作物


実際には同額の仕入金額が計上されます

ここでいう「収穫価額」とは「収穫時における生産者販売価額(庭先価額)」のことをいいます。

この「収穫金額」を収穫時に収入計上しますが、それと同時に「収穫価額」により取得したものとみなすこととされていますので、同額の仕入金額を計上することとなります。

例えば収穫高を1,000万円、年始・年末の在庫を各100万円、販売高を1,200万円とすると、

①総収入金額 収穫高1,000万円+販売高1,200万円=2,200万円

②原価 年始在庫100万円+収穫高1,000万円-年始在庫100万円=1,000万円

となります。

原則的にはこれらの数値の把握のために「農産物受払帳」で米・麦など農作物の種類ごとに収穫時・販売時の数量・金額を「販売用」「事業用」「家事用」に区分して記録・整理します。


「収穫基準」を簡略化できる農作物

これを見ると「販売高だけを収入計上しても一緒ではないか…」と思う方もいらっしゃるかもしれません。

そのため、青色申告者については、米麦等以外の「野菜等の生鮮な農作物」「その他の農作物」の収穫時の記帳は行わず、販売時の数量・単価・金額を記帳するのみで構わないという特例が設けられています。

なお、この「生鮮な農作物」は収穫時から消費までの期間が比較的短いものに限定されますので、果実のうち、みかん・りんご・栗やいも類などはこれに当てはまらないこととされています。

2015年06月08日

相続により取得した資産の耐用年数

相続により取得した資産の耐用年数

相続または遺贈により資産を取得した場合には、相続人または受遺者がその資産を引き続き所有したものとみなして、「取得費」「未償却残高(償却限度額)」「当初の取得日」及び「耐用年数」を引き継ぐものとされる一方で、「減価償却の方法」は引き継がれず、その相続人・受遺者ごとに選択することとされています。

これに関連して、大阪高裁で、相続により取得した賃貸マンションに、中古資産に係る「簡便法」を用いた耐用年数を適用できるか否かが争われていた事件の判決が、平成26年10月に下りました。

中古資産の耐用年数は適用不可!

結論としては「被相続人の耐用年数を用いなさい」、すなわち、「中古資産の耐用年数は適用できない」という判断でした。

中古資産を取得して事業の用に供した場合の耐用年数は、法定耐用年数ではなく、その事業の用に供した時以後の使用可能期間として見積もられる年数によることができます。

この場合に、使用可能期間の見積もりが困難であるときは、次の簡便法よる耐用年数を用いることも認められています。

【中古資産の耐用年数(簡便法)】

(1) 法定耐用年数の全部を経過した資産

その法定耐用年数の20%に相当する年数

(2) 法定耐用年数の一部を経過した資産

その法定耐用年数から経過した年数を差し引いた年数に経過年数の20%に相当する年数を加えた年数


このケースでは、被相続人が47年の法定耐用年数で賃貸マンションの減価償却を行っていたところ、相続人は相続によりこの財産を取得し、上記の「簡便法」による耐用年数を用いて計算していました。


「取得費」と「償却期間」は切り離せない

この判決の理由の一つに「減価償却の趣旨」が挙げられています。

減価償却は「取得費」を費用収益対応原則に基づき、予定された「償却期間」に配分する会計技術です。

したがって、「取得費」と「償却期間」は切り離して考えることはできず、前所有者(被相続人)の取得費は相続人に引き継がれるが、耐用年数は引き継がれないということは、その趣旨にそぐわないということなのです。

中古資産の耐用年数は、当初取得時にのみ、その選択の判断ができるということのようです。

2015年06月05日

消費税 不課税と非課税

1.不課税取引

消費税の課税対象は、「国内において事業者が事業として対価を得て行う資産の譲渡等」と「外国貨物の輸入」です。

ここでいう「対価を得て行う資産の譲渡等」とは、物品の販売や役務の提供などをして、相手から反対給付として対価を受け取る取引をいいます。

これに当てはまらない取引には消費税はかかりません。これを不課税取引といいます。

例えば、寄付金、祝金、見舞金、補助金等を支払う場合、物を買ったわけでも、サービスの提供を受けたわけでもないので、不課税取引にあたります。

また、事故や病気の際に保険金を受け取る場合も資産の譲渡等の対価といえないため不課税取引になります。

2.非課税取引

国内において事業者が事業として対価を得て行う資産の譲渡等であっても、消費に負担を求める税としての性格から課税対象になじまないものや、社会政策的配慮から消費税を課税しない取引があります。これを非課税取引といいます。

本来は課税される取引を、あえて課税しないとしているため、非課税取引は法律で限定列挙されています。

非課税取引の代表格は「土地の譲渡や貸付」です。

ここでいう土地は、いわゆる更地であり、区画整備されている土地の利用(駐車料金)は課税の対象となります。

このほか、野球場やテニスコートなどの施設の利用に伴って土地が使用される場合も消費税の課税の対象となります。

  
3.不課税取引と非課税取引の違い

不課税取引が消費税の計算上一切使用しないのに対し、非課税取引はその金額を課税売上割合の計算に使用します。

そのため、どちらも消費税が課されない取引ではありますが、きちんと区分しなければなりません。
  

2015年06月04日

従業員と役員の違い

①契約形態

従業員は会社と「雇用」関係にあり、業務命令や規定のもと、業務を行います。

雇用主である会社と従業員では、文字通り、主従の力の差が存在します。

そのため、弱者である労働者保護の観点から、労働条件の最低基準を定めた労働基準法があります。

原則として、1人でも労働者を雇用する会社や事業主は、労働基準法が適用されます。

一方、取締役などの役員は、会社と「委任」関係にあります。

役員は、株主総会において選任され、株主から会社経営を委任されます。

お互いいつでもこの委任関係を解除できるので、力関係は対等といえます。

労働基準法では「労働者」と「使用者」が定義されているのですが、役員は「使用者」に該当します。

つまり雇用主側となりますので、一般的に労働基準法の保護はありません。


②責務

先述の通り、会社と従業員は雇用関係ですので、従業員は会社に対して労働の義務を負います。

一方、取締役などの役員は、会社経営の意思決定や業務執行について権限を持っています。

技術ノウハウや経営状態等の機密事項を知りうる立場にあるがゆえ、役員には善管注意義務と忠実義務が課されています。

もし、これらの義務に違反して、会社や第三者に損害を与えた場合には、損害賠償責任を負うことになります。


③給与・報酬

従業員は、労働の対価として給与を受け取ります。

例えば、残業すれば残業手当が付与されますので、働いたら働いた分給与に反映されます。

よって、従業員の給与は毎月変動するのが一般的です。

残業など時間を基に給与を計算するため、締め日が定められており、中途入退社の場合の給与は日割り計算をするのが普通です。

また、労働基準法で定められた労働者の権利として、有給休暇を取得できます。

一方、取締役などの役員は、委任の対価として報酬を受け取ります。

会社経営の中枢にいる役員は、自身の報酬を調整することによって、会社の利益をコントロールすることが可能です。

そのような節税を防止するため、原則として、役員報酬は1年間同額にしなければ経費として認められません(定期同額給与)。

また、従業員のような締め日の概念がないことと、定期同額給与の基準を満たさなくなってしまうため、日割り計算は行いません。

賞与についても従業員の場合は経費となりますが、役員に対して支払う賞与は、原則として経費になりません。

2015年06月03日

株式会社の役員の任期と重任登記

会社の役員とは、代表取締役・取締役・監査役をいいます。

有限会社の役員は、原則任期はありませんが、株式会社の役員には、任期があります。

会社法では、株式のすべてに譲渡制限がある場合には役員の任期について、定款で定めることにより最長10年まで延長することができるようになりました。

株主と取締役が事実上一致しているような場合で、定期的に信任を問う必要がないケースでは、任期を10年まで延長することにより、手続き費用の削減になります。

しかし、任期を10年などの長期にすると、正当な理由なく任期途中で解任した場合に、任期までの役員報酬を損害賠償として請求されるおそれがある等、リスクが生じることも考えられます。

役員全員が同族の取締役のみであったとしても、問題が生じることもありますので、役員任期について充分に考慮して、定款を定めましょう。


任期満了予定の役員を引き続きその役員の地位に留まらせるような場合にも、その旨の登記が必要になります。

手続き上、任期満了により退任し、同時に就任したものとして扱われ、これを「重任」と呼びます。

基本的に、役員等の就任登記と同様の手続きで行います。

役員変更(重任)登記については、変更の事由が生じた日から2週間以内に登記をしなければならないとされています。

違反した場合には、過料の制裁があります。過料の金額は、懈怠期間が長いほど高くなります。

株式会社の場合、1年登記しなければ、ほぼ確実に過料がかせられるようです。

ある日突然、会社代表者に裁判所から過料の通知が届きます。

この過料は、会社代表者個人に課せられるものですので、会社の経費にすることはできません。

2015年06月02日

退職後の傷病手当金と失業給付

傷病が再発した時の傷病手当金

傷病で休職していた人が職場復帰した後に再発し、その後退職することとなった場合、休業中に傷病手当金を受給していた時は、再発したのが支給期間内であれば手当金を受給できます。

傷病手当金の支給期間は支給開始日から1年6か月です。

その間で残りの期間の分が支給対象期間となります。


退職後の傷病手当金

退職する時に傷病手当金を受けていた人は、資格喪失日までに継続して1年以上被保険者期間があれば、支給対象期間までは引き続き傷病手当金を受給できます。

ただし、継続給付となりますので、継続して受給しない時は対象から外れます。

資格喪失時に傷病手当金を受給中で退職後も継続して受給していた人が途中で傷病が回復して、就労可能状態になり、一旦傷病手当金受給を中止するとそこで終了となります。

再び傷病が悪化しても資格喪失後の傷病手当金は受給できません。


傷病による退職後の失業給付

雇用保険の失業等給付は、就職しようとする積極的な意思があり、いつでも就職できる能力がある人が失業状態であれば受給できます。

したがって、傷病状態ですぐには就業できない時は失業状態とは言えません。

本人に働く意思があり、医師が働ける状態と診断している場合には失業等給付が受給できるでしょう。


傷病手当金と失業給付の併給は無い

傷病手当金は労務不能状態であるから受給できる手当であり、失業等給付は働くことができる状態で失業中に支給されるものであるので、両者の手当の目的は相反するものです。

もし、傷病が治り、求職活動をしている時、失業等給付を受給中に傷病が再発して働けない状態となった場合には、失業等給付の受給期間は、就職した日の翌日から起算して原則1年ですから、そこで給付が終了してしまいます。

しかし傷病等の理由の場合、引き続き30日以上働けない状態となった時には、受給期間の延長を申し込むことができます。

1年の期間にプラス最大3年まで延長可能です。



2015年06月01日

青色事業専従者給与の支給状況

青色専従者を有する事業所得者は48%

国税庁が公表している統計(平成24年分申告所得税標本調査)によると、青色申告を行っている事業所得者のうち48%、不動産所得者のうち13%の方が、青色事業専従者給与を支払っているそうです。

    青色 青専従有 割合

事業 91.0万 43.8万  48%

不動産 67.4万 8.8万  13%

この統計では、「事業者の合計所得階級別」に「専従者数」と「専従者給与額」も公表していますので、「専従者給与額」を「専従者数」で割れば、各所得階層の1人当たりの平均額が求められます。


青色専従者給与(事業)の平均は約215万

事業所得者が支払う青色事業専従者給与の1人当たりの平均額は約215万円、不動産所得者は約179万円となっています(全所得階層)。

ただ、内容を見てみると、事業所得者の支払う専従者給与の1人当たりの支給額はこの事業者の所得階層に応じて「ピンからキリまで」ということがわかります。

例えば合計所得階層の最下位の区分である「合計所得70万円」の方の1人当たりの専従者給与支給額は約121万であるのに対し、「合計所得が3,000万円超5,000万円以下」の階層では約704万円となっています。

統計表の中には「合計所得20億円超50億円以下」の方が1人いらっしゃって、専従者1人に対して3,600万円の支払いがあることが記されています。

青色事業専従者給与として支払うとなると「労務の性質」「提供の程度」「類似同業者の平均支給額」なども考慮しなければなりませんので、この方が一体どのような職務に携わっているのか気になるところです。

不動産所得者は「事業的規模」に限定

一方、不動産所得者については、もともと「事業的規模」(5棟10室基準)をクリアしなければ、青色事業専従者給与を必要経費とすることは認められていません。

そのため、不動産業の青色専従者給与の支給割合も13%と低いわけです。

1人当たりの支払額も110万~474万円の範囲といったところになっています。

一般的には不動産業の専従者としては、事務職に携わる方が主でしょうから、金額判断としては頷けるところです。

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