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2014年02月 アーカイブ

2014年02月28日

解雇予告手当と和解金

解雇予告手当とは

使用者が労働者を解雇しようとする場合、少なくとも30日前に予告をしなければならない(労働基準法20条)とい言う規定があります。

したがって、30日前の予告をしない場合は、30日に不足する平均賃金を支払わなければなりません(10日前に予告した場合は、20日分以上の平均賃金を支払う)。

この場合に支払われる賃金が解雇予告手当です。

解雇予告手当は、昭和23年8月18日付の基収第2520号において、「解雇予告手当は労働の対償となる賃金ではないから、必ずしも通貨支払、直接支払などの要件を具備しなくても差し支えないものと解されるが、労働者の予測しない収入の中絶を保護するものであるから、賃金に順ずるものとして通貨で直接支払うよう指導されたい」とのことから賃金ではないので社会保険料や労働保険料の対象にはならないとされてきました。

また所得税法においては、解雇すなわち退職を原因として一時に支払われるものであるところから賃金(給与所得)ではなく、退職所得に該当することとされています。

和解金とは

解雇が使用者側と労働者側でもめて裁判になった場合に、双方が合意に達して支払われるのが和解金です。


和解金に関しては、その和解内容によって取り扱いが異なります。


賃金となる場合

退職時点が使用者側の主張より遅く、それまでの給与相当額で和解した場合や、残業代の未払い分として和解した場合は、賃金となりますので、その分については社会保険料も源泉税もかかってきます。

退職金となる場合

退職時点は使用者側の主張が認められるが、解雇予告手当等として、一時金を支払うことで和解した場合は退職金となりますので、退職所得として課税されます。


非課税となる場合

退職による精神的苦痛に対する慰謝料として支払われた場合は、全く税金はかかってきません。

和解金の場合は、その内容によって取り扱いが異なります。

2014年02月27日

内容証明(その1)

内容証明という存在は知っていても、実際に内容証明を受け取ったり、送ったりした事のある人は少ないと思います。

そこで今回から内容証明について解説したいと思います。

今回は内容証明の機能についてです。

内容証明とは、「いつ、誰が、誰に、記載した内容の文書を、郵送した」ことを日本郵便株式会社が証明すること及びその郵便のことを言います。

内容証明を利用する場面とは、例えば、家賃の支払いを滞納している入居者に対して家主が家賃支払いを催促する場合や一定期間内に支払がない場合には契約を解除する旨を通知するような場合など、意思表示の記録を残しておきたい場面で利用します。

内容証明が付された文書が残っていることによって、「そんな事を言われたことはない」との相手方の反論を封じることができるのです。

内容証明は同一の文書を差出人と受取人の他、郵便局も保管することから、万が一、紛失してしまっても、証明すること可能です。

通常、内容証明を送る段階では当事者間の紛争は一定レベルまで達していることが多いでしょう。

口頭や電話又は通常の手紙でのやり取りでは解決できない場合に、訴訟等の法的手段の前提として内容証明を送ることが多いのです。

一定の行為を求める内容証明の場合には、「一定期間内に履行されない場合には、法的手段を取る」旨を記載するのが一般的であるとから、事実上の機能として、相手方に任意の履行に向けた一定のプレッシャーを与えることができます(ただし、内容証明を受けることに慣れている相手には効果は薄いです)。

弁護士を代理人に立てて、弁護士名で内容証明を送る場合には、ある程度のプレッシャーを与えることができるでしょう。

ただし、内容証明を送ることによって、却って受取人の態度が硬くなってしまうことも場合によってはあるので、紛争解決に向けて内容証明を送ることが最善か否かの見極めは大事です。

以上のように、内容証明には、手紙の内容を証明する機能と、受取人に心理的なプレッシャーを与える事実上の機能があります。

2014年02月26日

眼科治療と医療費控除

眼鏡やコンタクトレンズのお世話になっている方はたくさんいらっしゃると思いますが、通常の近視、遠視、乱視、老眼などによる眼鏡やコンタクトレンズの購入費用や検眼費用は、目の病気・治療とはいえませんので、残念ながら医療費控除の対象とはなりません。

しかし、眼科医による治療の一環として必要な眼鏡等の購入費用については、医療費控除の対象となることが認められています。

対象となる疾患・治療用眼鏡も、具体的に掲げられています。

弱視 斜視 白内障 緑内障 調節異常 不等像性眼精疲労 変性近視

網膜色素変性症 視神経炎 網脈絡膜炎 角膜炎 角膜外傷 虹彩炎

眼鏡等の購入費用の医療費控除を受けるにあたっては、眼鏡店が発行した領収書のほか、その疾病名及び治療を必要とする症状であることを明確に記載した処方箋の写しを確定申告書に添付する必要があります。


また、近年増加している近視矯正の方法として、レーシック、オルソケラトロジー、ICLなどがあります。

レーシックは、角膜にレーザーを照射して近視や乱視などを治療し、視力を矯正する手術のことです。

オルソケラトロジー(角膜矯正療法)とは、近視などの角膜の屈折異常を特殊なコンタクトレンズを装用することにより、屈折率を正常化させて視力の回復をさせる治療法です。

ICLは、視力そのものの回復させる手術ではなく、特殊なレンズを眼内に直接埋め込む手術のことです。

いずれも、医学的な方法で、医師による手術・治療が行われるもので、それに係る費用は医師の診療または治療の対価と認められますので、医療費控除の対象となります。


2014年02月25日

高齢者が雇用保険と継続給付金を両方受け取るには

雇用保険の基本手当を受給するには

60歳定年を迎えて、退職する場合に雇用保険の基本手当(失業給付)を受けてから再就職し、その後、高年齢雇用継続給付を受給できるでしょうか? 

残念ながら支給要件に「基本手当を受給していないこと」という要件があるので、失業給付を受給し終わってからは雇用継続給付を受給できません。


雇用保険からの給付

定年後は次の様なパターンがあります。

①年金生活・・・退職後再就職しない場合退職して年金を受け取る。

失業給付も雇用継続給付も受け取らない場合。

②再就職をする場合・・・一旦退職した時に基本手当を受給することもできます。

基本手当を100日分以上残して再就職した場合には高年齢再就職給付金(受給期間1年)が受け取れます。


③継続勤務をする場合・・・基本手当は65歳到達前に退職すると受給できますが、65歳を過ぎてからの退職は高年齢求職者給付金という一時金となります。

65歳未満であり、継続雇用している雇用保険加入者は高年齢雇用継続基本給付金を受給できます。

つまり継続雇用で65歳の誕生日の前々日に退職すると、基本手当と継続給付の組み合わせでは最も多く受けとれるということになります。

基本手当を受けるにはハローワークで求職の申し込みをします。

指定された失業認定日に出頭すると認定から7日以内に本人の口座に入金されます。

ただし、原則として1年以内に受け取らなければなりません。


年金との調整について

基本手当を受給している時は特別支給の老齢厚生年金や退職共済年金は停止されます。

停止期間は求職の申し込みをした月の翌月から基本手当の受給終了月までです。

障害や遺族年金は基本手当との調整はありません。

基本手当より、年金額が多い場合は年金を受給します。

基本手当額×365日で金額を確認できます。

また、基本手当は非課税です。

高年齢雇用継続給付金と年金の調整は厚生年金の被保険者である場合、在職老齢年金の支給停止に加えて標準報酬月額の0.18%~6%の年金の支給停止があります。

この場合雇用保険だけの加入なら在職老齢年金は調整されません。

2014年02月24日

高層マンションを利用した節税

注目の目新しい相続税節税商品

平成27年からの相続税の基礎控除の圧縮で相続税の課税対象者は全国平均で1.5倍に増加し、都市部では2~3倍に増えると予想されています。

そんな状況に合わせて、相続税に関する新聞・雑誌・ネット等のマスコミでの特集、セミナー等の企画、出版物の発行が急増しています。

それらの中で最高の節税策として、どれもが取り上げているのが高層分譲マンションです。


タワーマンションの最上階

マンションの各戸の相続税評価は、土地については敷地の評価額に対する専有床面積比、建物については固定資産税評価額です。

固定資産税評価額も、建物の全体の評価額に対する専有床面積比で決められています。

超高層マンションの場合の取引価格では、眺望の要素が大きな意味を持ち、最高層階の好位置の物件は下層の低価格物件の2~2.5倍の坪単価となっています。

相続税評価は、マンションの取引価格の形成要素を無視してなされるので、低層階でも高層階でも評価額の坪単価は同じです。

1億円の最上層階物件の相続税評価額が2000万円という価額乖離の異常現象の発生は普通のことになっています。


節税プランが過激になっている

40階建分譲マンションの最上階の部屋を1億円で買い、子供に相続時精算課税の特例を使って生前贈与します。

評価額が2500万円以下なら贈与税は無税です。

その後、子供がこの部屋を1億円で売ったとしても、譲渡所得税も無税、将来の相続税に取り込まれる金額も2500万円以下。子供の手元には1億円の現金が残ります。過激で鮮やかな相続税節税策です。


相続税対策における注意点

以前のバブル期とは異なり、新たに借り入れをして不動産を買おう、という提案はさすがに目に付きません。

しかし、中長期的には、予想に反したマンション価格の下落はあり得ることです。

固定資産税評価額や相続税評価額の評価基準が突然変わることもあり得ることです。

また、高価格物件は、買い手が限定されるので売り抜けが容易ではなく、貸家にするような場合の空室リスクも高く、利回りも相対的に低くなります。

2014年02月21日

帳簿に残る「電話加入権」

長年帳簿に載っていて、その存在がほとんど無視されておりますので、改めて再確認しておきましょう

電話加入権

電話加入権は、NTT東日本・西日本の加入電話回線を契約・架設する権利のことです。

相続や企業の合併・分割等、契約者の意思表示によらないで法的事実により権利が移転する場合は手数料無料で名義変更ができ、譲渡や遺贈等、契約者の意思表示で行う権利移転については手数料を払うことで名義変更ができます。


帳簿上の電話加入権

屋内配線工事に要した費用等、電話機を設置するために支出する費用も、電話加入権の取得価額となります。

電話加入権は譲渡可能な権利であり、また権利の内容は時間の経過によっても変化しないため、法人税法上では減価償却のできない無形固定資産とされています。

実際の価格(NTTに支払う費用の名称は「施設設置負担金」で、これを支払うと電話加入権が発生する)を見てみると、1968年に3万円、1971年に5万円、1976年に8万円、2005年に37,800円と、様々に変化しています。

特に近年は携帯電話の普及に伴い、NTT以外の電話加入権販売会社を利用すると、1万円台で購入できるケースも存在します。

少額で、権利としての認識も薄くなってきておりますが、税務上未だ経費処理は認められておりません。

企業会計上で電話加入権を簿価計上している企業も多いですが、近年は時価会計を行う例も多いようです。

この場合は簿価と時価の差額を減損します。


電話加入権を利用休止する時

電話加入権を使わなくなった際は、利用休止が出来ます。

電話加入権そのものが、休止「5年経過後」加入権の再取得(転居)のためどこかの市町村に引越しをしたとき、新たに番号取得ができない電話加入権に該当すれば、全額を損金処理できます。

「転売可能」「新規に電話を引く場合に利用可能(施設設置負担金が不要)」であることから、帳簿からの除却には慎重になったほうがよいでしょう。


2014年02月20日

弁護士と登記業務

法人の商業登記や不動産登記を依頼する場合にまず思い浮かべる専門家は「司法書士」だと思います。

実は余り知られていませんが「弁護士」も登記申請代理業務が可能です。

弁護士法3条1項は弁護士の職務として「弁護士は、当事者その他関係人の依頼又は官公署の委嘱によつて、訴訟事件、非訟事件及び審査請求、異議申立て、再審査請求等行政庁に対する不服申立事件に関する行為その他一般の法律事務を行うことを職務とする。」と範囲を定めていますが、この内、「その他一般の法律事務」に登記申請代理業務は含まれます。

この点、登記申請代理業務は弁護士業務に付随しなければ出来ないと主張する司法書士会と登記申請代理業務は弁護士の本来的業務に含まれると主張する弁護士が訴訟で争ったことがありますが、裁判所は、登記申請代理業務は弁護士法3条に規定する「その他一般の法律事務」に含まれる弁護士の本来的業務であることを認めました(浦和地裁平成6年5月13日判決、東京高裁平成7年11月29日判決)。

もっとも、登記申請手続は、経験と知識が無ければスムーズに行うことが出来ないことから、登記の専門家である司法書士の事実上の独占業務であると思います。

ただし、最近は弁護士数が増えてきていることから、他の弁護士と差別化を図るために本格的に登記業務に進出する弁護士も登場するかもしれません。

2014年02月19日

留学生をアルバイトから正社員へ採用するには

アルバイトから正社員採用


外国人留学生をアルバイト採用している企業様、店舗様も多いことと思います。

留学生の中にはとても勤務態度が真面目で、「このまま正社員として働いてほしい」、あるいは留学生本人から「卒業後もここで正社員として働きたい」という申し出を受ける場面もあるのではないでしょうか。

しかし、外国人が日本で適法に滞在するためには、その方の活動内容に合わせ在留資格(いわゆる「ビザ」)を取得する必要があり、留学生をアルバイトとして採用する場合と、卒業後に正社員として採用する場合では、必要とされる条件、許可されている職務内容が大きく異なります。

アルバイトから正社員へ採用する場合には、どのような条件を満たさなければならないのでしょうか。


単純労働での正社員採用は不可

単純労働、というと聞こえがよくありませんが、残念ながら現在の日本の法律では就労目的での滞在に対し、一定の職種制限がされており、入国管理局が単純労働とみなす職種については在留資格が許可されません。

在学中のアルバイトであれば可能ですが、基本的に飲食店のホールスタッフ、ショップ店員といったサービススタッフとして働くための在留資格や、現場での肉体労働をするための在留資格は設けられていないため、正社員としてこういった業務に就くことはできません。

通訳・翻訳やデザイナーのような外国人特有の感性を活かせる業務や、法律学や経済学・会計学などの学問を活かせる総合職、システムエンジニアなどの技術系業務など、特殊な知識・技術を活かす業務についてのみ、就労目的の在留資格が設けられています。


本人の知識・技術との関連性が重要

職務内容が、上記のような特殊知識・技術を要するものであっても、外国人本人がそれに見合った能力を持っていなければ、在留資格は許可されません。留学生の場合、実務経験がないことがほとんどですので、この点は「大学等での履修内容」を基準に知識・技術があるかどうかが判断されます。

アルバイト勤務する留学生を卒業後に正社員として迎えたいときは、卒業見込証明書、成績証明書や履歴書から、本人がどのような知識・技術を学んできたのかを確認し、従事予定の業務との関連性について検討した上で、入国管理局で事前に相談してみてください。


2014年02月18日

消費税中間申告の選択制度

消費税法の改正により、新たに「任意の中間申告制度」が創設されました。

消費税の中間申告は、前期の年税額により、申告回数と申告金額が決まります。

具体的には、「年1回」「年3回」「年11回」の3パターンがあり、前期の年税額(国税4%部分)が48万円以下の場合には、中間申告は不要となっていました。

① 48万円以下 ⇒ 中間申告不要

② 48万円超~400万円以下 ⇒ 年1回(直前期の年税額の2分の1納付)

③ 400万円超~4,800万円以下 ⇒ 年3回(直前期の年税額の4分の1ずつ納付)

④ 4,800万円超 ⇒ 年11回(直前期の年税額の12分の1ずつ納付)

上記に代えて、「中間申告対象期間」を一課税期間とみなして仮決算を行い、それに基づいて納付すべき消費税額を計算することもできます。

今回の消費税法改正では、中小事業者の滞納防止の観点から、中間申告義務のない事業者であっても、納税の意思がある事業者については、年1回の中間申告納付ができることになりました。

「任意の中間申告書を提出する旨の届出書」を提出した場合には、提出日以後、最初に6月中間申告対象期間の末日が到来する期間分から、中間申告納付ができます。

6月中間申告対象期間とは、その課税期間開始の日以後6月の期間で、年1回の中間申告の対象となる期間をいいます。

つまり、中間申告の選択をする場合には、届出書は中間申告対象期間の末日までに提出しなければならないということになります。

中間納付税額は、直前の課税期間の確定消費税額の2分の1の額となります。

また、任意の中間申告制度を適用する場合であっても、仮決算を行って計算した消費税額により中間申告・納付することができます。

適用開始時期は、個人事業者の場合には平成27年分から、事業年度が1年の法人については、平成26年4月1日以後開始する課税期間(平成27年3月末決算分)から適用されます。


赤字でも納付となる場合が多いのが消費税です。

税率も上がりますし、納税資金の確保にお悩みの場合には、任意の中間申告制度も選択肢にいれてみてはいかがでしょうか。

2014年02月17日

消費税の「税抜価格」表示

ついに始まった「総額表示義務の特例」

消費税の増税が決定し、消費税転嫁対策特別措置法も昨年10月1日に施行されました。

同法10条の「総額表示義務の特例」により、H16以来9年ぶりに消費税の「税抜き」表示が復活し、既に税抜き表示している店も見られるようになりました。

各業界団体も昨年10月早々に基本方針を公表しましたが、スーパー業界、百貨店業界など対応はバラバラ、大手企業を個別に見ても対応はマチマチで、他社動向を見ながら検討していた中小企業の方も、対応に苦慮なさっているのではないでしょうか。

もちろんH26.4(8%)とH27.10(10%)の2度の増税が短期間にあることを考えれば、「税抜き」表示をしていれば手間は省けます。

例えば、価格表示を税抜価格のみで「9,800円(税抜)」としていれば、消費税率引上げ前でも、引上げ後でも、そのままの表示で対応できるからです。

ただし、8月の博報堂の消費者調査では「商品を手に取った時点で支払金額を知りたい」というニーズは高く、増税後の税抜表示を支持する人は2%であったそうです。

それだけに、この特例適用の条件となっている「誤認防止措置」には気を遣いたいところです。


国税庁HP公表の特例措置の「事例集」

国税庁HPには「総額表示義務の特例に関する事例集」が公表されています。

① 税抜価格のみを表示する場合の事例(4事例)

② 旧税率に基づく税込価格を表示する場合の事例(3事例)

③ 新税率に基づく税込価格を表示する場合の事例(3事例)

①は値札・店頭表示・チラシ媒体等の税抜価格のみの表示例を4事例

②は税率移行期に一時的に旧税率の税込価格表示が残ってしまう場合の対応事例

③は新税率適用前から先行して新税率の値札を貼った場合等の対応事例です。

経産省・中小企業用「消費税の手引き」

経産省が公表した「中小企業・小規模事業者のための消費税の手引き」では価格表示だけでなく、転嫁拒否対策なども分かりやすく解説されています。

誤認防止措置の「明瞭に表示されているとはいえない例」として「文字の大きさ」「余白、行間」「背景の色との対照性」に問題のある事例が、カラーのサンプルで示されています。


2014年02月14日

時代の変化と法律

逆転勝訴

最高裁での逆転勝訴というと、武富士の贈与税が有名ですが、その前年平成22年3月2日、ホステス等の報酬に係る源泉税を徴収する際に控除する金額の計算をめぐって行われた裁判で、最高裁は、1・2審の東京地裁・高裁の判決を破棄し、差し戻す判決を言い渡しました。

争いの中身は

ホステス等に対して報酬を支払う場合、所得税法では源泉徴収をする旨を定めています。

源泉徴収すべき所得税の額は、報酬等の額から、同一人に対し1回に支払われる金額について、5千円にその報酬等の計算期間の日数を乗じて計算した金額を差し引いた残額に10%の税率を乗じて算出します。

(所得税法施行令第322条)

報酬等の額-(5千円×報酬等の計算期間の日数)=源泉徴収すべき所得税の額

問題となったのは、この「計算期間の日数」です。

① 報酬の各集計期間の全日数となるのか

② 実際の出勤日数となるのか

この2つの解釈が争われていた裁判でした。


最高裁の判決は、ホステスの業務に関する報酬の額が一定の期間ごとに計算されて支払われている場合には、その支払金額の計算期間の日数は、ホステスの実際の稼動日数ではなく、当該期間に含まれるすべての日数を指すものと解釈し、納税者サイドを支持する判断を示しました。


時代の変化と法律

1、2審判決は「出勤日のみ必要経費が発生すると考えるのが自然で、その方が実際の必要経費額に近い」と指摘し、請求を棄却していました。

しかし法律ができた当時のホステスさんは、お客さんの売掛けの回収から、休日のお付き合いまで、お店に出勤する以外でも仕事をしていました。

しかし現在ではそう言ったプロのホステスさんは滅多に見かけなくなり、ほとんどが日給月給のアルバイト的なホステスさんです。

税務当局の主張のほうが実態に即していると言えなくもありません。

武富士の贈与税はその後法律が改正されましたが、ホステスの源泉徴収は未だ法律は、改正されておりません。


2014年02月13日

離婚に関する諸問題(DVについて)

DV(ドメスティック・バイオレンス)とは、夫婦間や内縁関係者間、恋人間において行われる身体的・精神的・性的な暴力及び虐待のことを言います。

夫婦間におけるDVにより婚姻関係が破綻したと認められる場合には、「その他婚姻を継続し難い重大な事由」(民法770条1項5号)として、法律上の離婚原因にもなり得ます。

法律上の離婚原因になると言っても、離婚するまで配偶者による暴力虐待を我慢しなければならない訳ではありません。

まずは身の安全を確保することが先決です。

警察署や都道府県が設置する配偶者暴力相談センターなどに相談するとよいでしょう。

緊急性の高い場合には、そのまま避難シェルターを利用することも検討する必要があります。

生命又は身体に重大な危害を受けるおそれが大きい場合その他の一定の要件をみたす場合には、「配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護に関する法律」(通称:DV保護法)に規定する保護命令の申立てを裁判所にすることができます。


保護命令には

①被害者本人への接近禁止

②被害者への電話等禁止

③被害者の同居の子への接近禁止

④被害者の親族等への接近禁止

⑤退去命令

の5種類があります。

被害者から申立てを受けた裁判所は、一定の審査を経て、保護命令を発します。

離婚を望む場合において加害者が離婚を望まないときには、離婚調停や訴訟を通じて離婚を請求することになります。

調停の手続きでは申立人の住所や居所を相手方に知られることなくすることができます。また、調停期日において、両者が対面しないよう配慮もなされています。

訴訟に至った場合でも、訴訟代理人弁護士を立てることで相手方との接触をできるだけ避けるよう配慮しながら手続を進めることができます。

いずれにせよ、違法不当な暴力や虐待は我慢せずに、身の危険を感じたら速やかに警察署や配偶者暴力相談支援センター、弁護士等に相談しましょう。

2014年02月12日

労働基準監督署の是正勧告

労働基準監督署が入るとき

労働基準監督署の名前は聞いたことがあっても労働基準監督官が行う事業所調査とはどのようなものか知っている方は多くはないかもしれません。

労働基準監督署は労災保険と労働基準法(労基法)や労働安全衛生法(安衛法)を取り扱う部門がありますが、会社が労基法や安衛法を守っているかを調査することがあり、事業所規模にかかわりなく対象とされます。


主な調査の種類は

定期監督で実施される調査ではその年度の方針で調査対象が選ばれます。

この場合は会社が労基署へ必用書類を持って訪問するケースが多いようです。

他には従業員などの申告による調査があります。

従業員や退職者が労基署に申し立て、労基法違反の可能性があれば、立ち入り調査があったり、呼び出しがあることもあります。

労基署調査の流れ

調査は普通書面で通知されてくることが多いので日時、場所、必要書類を確認し、落ち着いて対応しましょう。主な指摘事項は次の通りです。


①労働時間や時間外労働時間等の把握はされているか

②時間外労働手当等、割増賃金の支払い

③時間外労働の協定届を提出しているか

④労働条件書面を明示しているか

⑤労働者名簿や賃金台帳の整備

⑥最低賃金は守られているか

⑦従業員10人以上事業所は就業規則を提出しているか

⑧定期健康診断は実施しているか

⑨従業員50人以上事業所は衛生管理者や産業医の選任をして届けているか

⑩管理監督者の時間外労働は適切か

⑪その他、各業種による事項等

以上のような事項をタイムカードや賃金台帳、雇用契約書等を見て、事業主に確認し、是正事項があれば勧告書や指示書が出されます。会社は指定された期限までに改善し是正した内容を記して必要書類と報告書を提出します。

すぐには指摘事項の改善が難しくても、これからき改善する方向性を示すことが重要です。

書類を改ざんする等は避けましょう。


2014年02月10日

役員報酬と青色事業専従者給与

小規模な同族会社の主宰者と生計を一にする配偶者その他の親族(親族等)がその同族会社から役員として受ける報酬と個人事業主と生計を一にする親族等がその事業主から受ける給与の性質は、類似しているようですが、前者は会社法及び法人税法、後者は所得税法の適用を受け、その効果には差異があります。

ただし、役員報酬は「職務執行の対価」として、他方、青色事業専従者給与は「労務の対価」としてそれぞれ相当であると認められる金額が損金算入、または必要経費算入の要件となっています。


毎月の支給額に変更があった場合

役員報酬は、定期同額支給といって、一定の場合を除き、事業年度の中途においてその報酬額を変更すると、その変更前後の役員報酬の一部が損金算入できません。

なお、一定の場合とは、期首から3月以内の改定や法人の業績が著しく悪化した場合などです。

他方、青色事業専従者給与ですが、個人事業主が青色事業専従者給与として納税地の所轄税務署長に届けた金額の範囲内であれば、業績の一時低迷や資金繰りの悪化などにより毎月の給与に変更があったとしてもその支給額については、個人事業主の事業所得、不動産所得または山林所得の金額の計算上必要経費に算入されます。

また、年の中途において青色事業専従者給与の支給額を引き上げることも可能です。

この場合の手続きですが、「青色事業専従者給与の変更届出書」を遅滞なく納税地の所轄税務署に届出ればよいことになっています。

なお、個人事業主が生計を一にする親族等に対して青色事業専従者給与を支給するためには、その年の3月15日まで(その年の1月16日以後、新たに事業を開始した場合や新たに青色事業専従者を有することとなった場合には、その開始した日または専従者を有することになった日から2か月以内)に、納税地の所轄税務署長に対して「青色事業専従者給与に関する届出書」を提出しなければなりません。

未払い計上の可否

法人の役員報酬については未払い経理した報酬についても損金算入が認められますが、青色事業専従者給与に関しては実際に支給した金額のみが必要経費に算入され、未払い経理した給与については必要経費としては認めらません。

2014年02月07日

固定資産税の譲渡代金性

課税の便法の合憲性

自治体の中心的租税の一つである固定資産税・都市計画税は、自治体サービスとの応益性から、その納税義務者を、本来的に固定資産の所有者としているものですが、徴税の便宜から1月1日の登記名義人にその年の固定資産税等を負担させることにしています。

こういう便法が憲法29条に違反しないかという疑問があるところ、最高裁はこれを立法裁量の範囲内のこととして、違憲ではないとの判決をしています。

税負担調整は権利であり義務である

しかし、最高裁は、土地、家屋の真実の所有者でない者が登記簿上の所有者であるために、固定資産税等の納税義務者として課税された場合においては、課税を免れた真の所有者に対して、納付税額に相当する利得につき、不当利得返還請求権を持つことになると判示しています。

固定資産税等の課税庁は、本来は真実の所有者に課税すべきところながら、法律上、その探索及び調整の煩雑な事務から解放される制度になっています。

他方で、民間人同士では、その税負担の調整を権利義務の清算として行うことが当然で、それを忌避するのは不当利得となる、というのです。
異なる路線を行く国税当局

国税当局は、固定資産税等の負担調整額を不動産の売買価格の追加払いとみなしています。

表面上の納税義務者以外が負担する調整額は固定資産税そのものではないから、取引代金の一部にすぎない、という理由からです。

この当局見解は、平成7年に消費税基本通達にて表明され、平成13年、14年の国税不服審判所の裁決で支持されるに及び、全税目を通じた見解となりました。

しかしこれは、最高裁の判例との関係においては、逆行的です。


2014年02月06日

白色申告者の記帳・記録保存制度

青色申告は事業所得55%、不動産所得60%

国税庁によれば、平成24年分の確定申告をした方の人数は2,149万人いるそうです。

この数は、日本の人口の約17%にあたり、6人に1人が申告を行っているということになります。

このうち480万人が青色申告書を提出しています。

青色申告書とは、税務署長の承認を受け所定の帳簿を備え付けた事業所得・不動産所得及び山林所得を生ずべき業務を行う方が提出することができる申告書です。

青色申告者は一定の記帳義務を果たすことで、青色申告特別控除など多数の特典が利用できます。

平成24年には事業所得者の55%、不動産所得者の60%が青色申告書を提出しています。

「青色申告書以外の申告書」を提出することは「白色申告」と呼ばれます。

「白色申告」という法律用語ではないのですが、国税庁ホームページなどでも、よく用いられています。

平成26年から白色申告者も記帳等が全面義務化

この白色申告者について、平成26年1月から重要な制度改正がスタートします。

これまで前年分または前々年分の事業所得、不動産所得及び山林所得の金額の合計額が300万円を超える方のみに適用されていた記帳と帳簿保存が、これらの業務を行う全ての方に義務化されることになりました(申告を要しない方も含みます)。

青色申告書を提出しようとする方は、青色申告の承認を受けようとする年の3月15日までに青色申告の承認申請書を提出する必要があります。

これを機に白色申告から青色申告になさる方は、今年の確定申告書(白色)と一緒に青色申告の承認申請書も出してしまいましょう。

2014年02月05日

離婚に関する諸問題(勝手に出された離婚届)

婚姻関係にある夫婦の一方が勝手に離婚届を提出してしまった場合に、法律上有効に離婚が成立するのでしょうか。

答えは当然に「離婚は無効」です。

夫婦が離婚をする場合には、当事者双方に「離婚意思」が必要です。

この「離婚意思」が双方に存在しない場合には、たとえ一方が「離婚意思」を有していたとしても法律上離婚は成立しません。

離婚届の届出人は夫と妻の双方ですが、実際に市町村役場に届出に行くのは夫婦の一方かと思います(婚姻届は夫婦揃って提出する場合が多いと思いますが)。

成りすましや虚偽の届出を防止するために、戸籍法上、本人確認をすると共に、実際に来庁しなかった届出人に対しては郵便で届出があった事実が通知されます。

それでも、虚偽の離婚届の提出を完全に防ぐことはできません。

そこで、虚偽の離婚届を提出された一方が離婚の無効を主張する場合には、家庭裁判所に「協議離婚無効確認調停」を申し立てる必要があります。

既に虚偽の離婚届を提出した一方が第三者と婚姻している場合には、その第三者も相手にして婚姻取消しの調停を申し立てる必要も生じます。

協議離婚無効確認により戸籍が回復された場合には、重婚状態になってしまうから後の再婚を取消す必要があるからです。

以上のように、合意なく離婚届を提出した場合には、とても面倒なトラブルが生じますので、きちんと合意の上で離婚届は提出するようにしましょう。

もちろん、話合いで離婚を回避して夫婦仲良くすることが一番だと思いますが。

2014年02月04日

不動産所得の注意点

昨年は、不動産所得のある方に対して、東京国税局から「決算書(収支内訳書)の内容についてのお尋ね」と題する文書が送付されました。

この「お尋ね」は、不動産所得の申告内容に共通した誤りが多く見受けられたため、不動産所得の過去の申告内容について、自主的な見直しを促すことを目的としたものでした。


不動産所得とは、次の①から③までの所得(事業所得又は譲渡所得に該当するものを除く)をいいます。

① 土地や建物などの不動産の貸付け

② 地上権など不動産の上に存する権利の設定及び貸付け

③ 船舶や航空機の貸付け


不動産所得の金額の計算上生じた損失の金額は、他の各所得金額の黒字の金額から控除することができます。

しかし、不動産所得の必要経費に算入した金額のなかに、不動産所得の対象となる土地等を取得するために要した借入金の利子があるときは、その借入金の利子に相当する部分の金額は、損失が生じなかったものとみなされ、他の所得金額との損益通算はできません。

具体的には、まず、不動産所得が黒字であるか赤字であるか所得金額を計算しなければなりませんので、原則どおり全額を必要経費に算入し、不動産所得の金額を計算します。

その結果、不動産所得が赤字となった場合に、所得金額(赤字額)から「土地等を取得するために要した負債の利子の額」を差し引いた金額が不動産所得金額となります。

損益通算をすることが出来ない金額は、次のようになります。

① 土地等の借入金利子の額が、不動産所得の損失の金額を超える場合
  
⇒その損失の金額

② 土地等の借入金利子の額が、不動産所得の損失の金額以下の場合
  
⇒その損失の金額のうち、その借入金利子の額に相当する金額


平成26年1月からは、個人の白色申告の方であっても、記帳と帳簿書類の保存が必要となってきます。

今後も、特に、不動産所得者への指導・調査を強化してくると思われますので、正確な申告を行うことを心掛けましょう。


2014年02月03日

「必要経費性」が問われる個人事業者のゴルフ接待費

個人事業者の「交際費」の「必要経費性」

確定申告の作業を進めていく中で、悩ましいものの一つに「接待交際費」があります。

所得税では「交際費」について、法人税(租税特別措置法)のような法律の規定は存在しません。

個々の支出ごとに、その「必要経費性」を判断していくことになります。

もともと営利目的で活動している法人と異なり、個人事業主は「事業活動の主体」としての顔と「家事消費の主体」としての顔の二面を持ち合わせています。

個人事業者の方の支出する「交際費」も、領収書など支払事実がハッキリしているものであっても、業務遂行上必要なものなのか、そうでないもの(家事費)なのかの判断は難しいものです。

例えば、個人事業者のゴルフ接待費も業務遂行上必要なものである限り、必要経費とすることを妨げるものはありません。

ただ、必要経費とするには、「業務との関連性」「業務遂行上の必要性」を立証することが求められているのです。

不動産貸付業者のゴルフ接待費否認例

H22年の国税不服審判所の裁決に、不動産貸付業者のゴルフ接待費について、業務遂行上必要性がないものとして、不動産所得の金額の計算上、経費算入を認めなかった事例があります。

この事例では、不動産貸付業者は7年間にわたり、年間30回以上、金額にして各年60~190万のゴルフ接待費を計上し、テナント代表者と元勤務先銀行の後輩などを接待していました。

これらの接待目的は「賃貸物件を優良テナントに長く貸し付ける」「情報を得て不動産の購入を容易にし、購入資金の融資の点でも有利にする」ためであり、業務遂行上必要であると、納税者側は主張しました。

これに対して、不服審判所は、テナント代表者の接待は「ゴルフをする必要があったとは認めがたい」、元勤務先銀行の後輩の接待は「有用な情報が得られたとしても(中略)業務の遂行上直接必要であったとまではいい難い」とし、結局これらのゴルフは、「本人の趣味・嗜好」であり、必要経費には算入されないと判断しました。

もっとも、この事例では、実際にプレーしていない接待先を帳簿に記載したり、女子プロゴルファーのレッスン代が含まれていたりと、かなり心証が悪かったようです。客観的に「通常かつ必要」であると認められるものであるかがポイントのようです。

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