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2016年08月 アーカイブ

2016年08月31日

来春新卒採用動向と人手不足

2017年卒も売り手市場が続く

人手不足と言われる昨今、来年の新卒社員を対象とした採用活動ですが、企業としては厳しい採用状況が続きそうです。

株式会社マイナビによる「2017年卒マイナビ企業新卒採用予定調査」では、2017年の採用予定を前年と比べて「増やす」とした企業が大学文系で26.0%、大学理系が31.4%と、共に前年比2.3ポイント上がったそうです。

「減らす」とした企業より20ポイント以上も上回っており増やす企業が多いと言えます。

これはは2012年から6年連続しており、売り手市場が続いています。

採用予定数の増加

2017年採用予定数を前年の採用実績数と比較すると全体平均は19.1%増で非上場企業では20.3%の増加で前年を上回っています。

採用予定数の「大きな要因となったもの」は「将来の業績の見通し」45.2%、「年齢構成」44.9%、「前年の採用実績」36.5%が挙げられています。

売り手市場の上に採用予定者数の増加もあって採用も一段と困難になりつつあります。

今後の新卒採用の見通し

同調査の採用見通しでは採用環境はさらに難しくなるということですが、その理由として「母集団(エントリー数)の不足」67.2%が最も多く、次いで「内定辞退の増加」59.5%、「活動の早期化へのスケジュール対応」47.2%と続きます。

今後は学生が求めている情報やアピールポイントを工夫することも必要でしょう。


ミドル層の人材も人手不足

日本商工会議所の「人手不足等への対応に関する調査結果」(4,072社、回答59.1%)をまとめた結果の発表が6月に行われ、55.6%が「不足している」と回答しています。

前年の調査より5.3ポイント上昇しています。

業種別では宿泊・飲食業の不足感が大きく79.8%。介護、看護、運輸、建設でも6割以上が不足と答えています。

求める人材は一定のキャリアを積んだミドル人材が69.0%と最も高かったと言うことです。

シニア人材においても前年調査比で高く幅広い層で不足感が拡大しています。

女性活躍推進については6割以上の企業で実施、検討をしているとの結果も出ています。

2016年08月30日

地籍調査とは

「地籍調査」とは?

「地籍調査」という言葉を耳にしたことがありますでしょうか。

これは、市町村等が、一筆(土地登記簿の一区画)ごとに土地の「所有者」・「地番」・「地目」を確認し、所有者の立会いのもとで「境界」を確定する国土調査法に基づく事業のことです。

この国土調査法という法律が成立したのは、昭和26年です。

当時の登記所には、土地の現況に関する資料として「土地台帳」と「付属地図」(明治時代に地租改正を行った時の調査資料)が備え付けられていましたが、さすがにこの時代の測量技術を基としているので不正確なものでした。

そのため、戦後の復興に資するという観点から、正確な地図へ置き換えていこうというのが、「地籍調査」事業の目的でした。

「境界確定」の他にもメリットが多い

もちろん、今日においても「地籍調査」はその意義を失っておりません。土地の位置(経度・緯度などの座標情報)や面積の正確な地図が公に整備されていれば、土地の売買や相続の際に生ずる「境界争い」などのトラブルを未然に防ぐことができます。

また、公共インフラの整備や用地買収、災害時に土地の形質が変わった場合の復旧にも、その情報を役立てることができます。

都市部の地籍調査進捗率は24%

このようなハッキリしたメリットがあるにもかかわらず、「地籍調査」は、65年近くの間、なかなか進んでいません。

国交省HPによれば、平成27年度末現在の全国の進捗率は51%です。

地域差が顕著に表れており、特に権利関係が複雑な都市部では24%(東京は22%)しか進んでいません

進捗率ベスト3  沖縄99%、福岡98%、青森93%

進捗率ワースト3 京都8%、三重9%、大阪10%

実施主体の市町村は、人員不足や財政問題を抱え、住民側も土地の権利関係について「寝た子を起こしたくない」という意識もあり、調査は難しいものになっています。

「公図」と「現況」のズレも調査

都市部の地籍確定率24%という数字は、都市部の「公図」の約3/4はあまり参考にならないことを意味します。

これではいけないということで、全国の都市部の地籍整備を推進するため、国交省などが協力し「都市再生街区基本調査」(H16~H18)が実施されました。

この調査では、公図の角の点に対応すると考えられる現況の座標を、「地籍調査」の基礎情報として測量しています。


2016年08月29日

経営ビジョンの要件

経営ビジョンは、企業にとって、社員とその他のステークホルダーにとって、重要な意義をもっており、そのためにいくつかの要件を満たすものでなければなりません。

経営ビジョンの要件とは

経営ビジョンが具備すべき要件は次の2点です。

1.自企業の社会の発展に貢献する事業領域・長期的目標と創造的な取り組み方が“経営者の思い”として単純明快で、分かりやすく表現されていること。

2.そのビジョンの実現は、同時にステークホルダーのメリットや社員の処遇向上につながる約束がされていること。

すなわち、1と2によって、企業の業績向上と社員をはじめとするステークホルダーのメリットが同時に期待できる点が重要であり、2つの要件が欠落していたり、曖昧であると様々な問題が生じます。

経営ビョン不在・要件欠落の害

経営ビジョンが明示されていない企業、または、経営ビジョンはあっても、要件が満たされていない企業では、ビジョンの浸透が図りにくく、次のような経営にとっての害が生じやすいと言えます。

①社員のバイタリティーが生まれない。

ⅰ)現状維持志向、保守的な意識・行動が生まれやすい。

ⅱ)消極的になり、高い目標に挑戦しようとしない。

ⅲ)目標達成意欲が低く、障害を乗り越える力に欠ける。

ⅳ)自らの座標軸を持たず、向上意欲に欠ける。

②株主・金融機関など、ステークホルダーの支持が得られにくい。

経営者の留意点

経営ビジョンの策定と実現にあたって、次の点に留意することが重要です。

①前記の要件1を満たすとともに、要件2について、ビジョン実現に伴う企業とステークホルダーの利益配分の考え方を共有すること。

②業績向上と社員の活躍・貢献に報いて処遇レベルの向上を図ること。

③経営ビジョンによる経営者の意思表示に止まらず、長期経営計画・中期・年度経営計画で、それらを具現化し、人事処遇制度の改定などにより、具体的に実現努力を行なうこと。
 

2016年08月26日

転職理由の本音と建前

転職市場は盛況

転職求人情報誌DODAの「転職求人倍率レポート」によると2016年6月の転職求人数は前月比102.2%、前年同月比134.6%となり、求人数は19かカ月連続で調査開始2008年1月以来の最高値を更新しているということです。

転職希望者も前月比104.3%、前年同月比157.9%となり10か月連続で最高値を更新しており、転職市場は引き続き盛況なようです。

このような人材の活発な流動化のもとでは企業にとって人材確保が大きな問題となります。

会社に伝える退職理由と違う本当の理由

従業員が退職する場合、自己都合だとしてもその理由を述べるのが普通です。

しかし従業員の話す退職理由が本音ばかりでないと言うことを次の調査が伝えています。

エン・ジャパン㈱が行った退職理由についてのアンケート(回答1,515名)では、約半数の人が会社に本当の理由は伝えなかったと答えています。

「会社に伝えた退職理由」

ア、結婚・家庭の事情 23%

イ、体調を崩した   18%

ウ、仕事内容     14%


「本当の退職理由」

ア、人間関係    25%

イ、評価・人事制度 12%

ウ、社風・風土・給与・拘束時間 11%


以上から考えると従業員が答える退職理由は本音と違っていることもあると言えます。

退職者の多い会社は「本当の理由」から考えられるように総体的に会社の雰囲気が悪かったり待遇面で不満を持つ人が多かったりということになり、そこに企業自身が考える必要のある問題も含まれていると言ってよいでしょう。

退職者の再雇用

半数の退職者は理由が違うと言っても、もう半数の人の中にはやむを得ず退職した人もいるわけです。

そのような人はまた戻って働きたいと言う人がいるかもしれません。

病気療養や家庭内の事情(介護、育児他)が一段落して、親しんだ職場に戻りたい人もいるでしょう。

会社側も採用コストの削減、即戦力にもなり、定着率も上がります。

また一緒に働きたいと思う退職者に会社から声をかけてみるのも良いかもしれません。

2016年08月25日

相続時精算課税方式

相続時精算課税制度とは60歳以上の親から20歳以上の子へ贈与がされた場合に選択により適用されます。

しかし一度選ぶと一生変更できません。受贈者の条件は、

①その年1月1日において20歳以上

で②または③

②贈与者の直系卑属である推定相続人

③贈与者の孫であること

年齢の数え方

要求は、1月1日において20歳ということなので、贈与時年齢ではありません。

ところで、1月2日生まれの人は1月1日では20歳の誕生日の前日になってしまいますが、法律上は1月1日で20歳扱いです。

親の60歳以上についても同じです。

直系卑属である推定相続人とは

②の直系卑属とは、子・孫・曾孫・玄孫のことを言いますが、推定相続人とは被相続人が死亡すれば、最優先順位者として相続することが予定される法定相続人のことです。

実子のみならず、養子、胎児、非嫡出子、代襲相続人も含まれます。

したがって、通常は贈与者の一代下の子供世代を指します。

推定相続人についての判定の時期は贈与年の1月1日ではなく、その贈与のあった時です。

養子の場合は、養子縁組の解消という事実があった場合にも、解消までの養子としての期間内は要件該当者です。


孫はなぜ認められるか

②の子供世代が健在ですと、孫は推定相続人になれないため、特別に認めております。

どんな制度なのか

条件に合っていれば2,500万円までの財産の生前贈与は課税されません。

2,500万円を超える贈与が行われた場合は、超える部分に20%の贈与税が課されます。

しかし読んで字の如く「相続時」に「精算」されて「課税」されます。

相続時に改めて相続財産として課税され、払った贈与税があればそれも精算されます。

遺産の分割でもめる「争族」は、ある程度は回避できると思われます。


何がお得か

不動産の場合、相続税評価で2,500万円の財産ですから、5,000万円以上のマンションでも評価によっては2,500万円以下となる場合もありますので、預金を不動産に換えて贈与する等利用価値はありそうです。


2016年08月24日

「中小企業等経営強化法」が施行されました

中小企業等の生産性向上の為の法律です

経営力強化のために適切な取組を計画した中小企業・小規模事業者等を政府が積極的に支援する法律が施行されました。

人材育成、コスト管理等のマネジメントの向上や、設備投資等により、事業者の生産性を向上させる計画を作成することにより、認定された事業者は税務上等、様々な支援措置が受けられます。

固定資産税(償却資産税)が半分に

中小企業者等が機械装置(新品に限る)を導入する場合に一定の要件を満たすときは、一定の手続きのもとに償却資産税が3年間1/2に軽減となる特例が設けられました。

一定の要件とは、

生産性を高める機械装置の取得が対象(①160万円以上、②生産性1%向上、③10年以内に販売開始)

※生産性向上設備投資促進税制のA類型から最新モデルを除外しているため、10年以内のものであれば、古いモデルでも対象となります。

※中古機械は対象になりません。


固定資産税の軽減措置を受ける場合の流れ

①経営力向上計画策定時に設備を決定

↓設備メーカーを通じて工業会等による証明書の入手

②主務大臣に計画を申請

↓経営力向上設備等の種類を記載した計画申請書と証明書を提出

③主務大臣より認定される

↓計画認定書と計画申請書の写しが交付される

④償却資産税申告書に書類添付

計画申請書、証明書の写しを添え償却資産税の申告時に提出

※年末までに認定が受けられない場合、減税の期間が2年となります。

申請から認定までは最大30日程度要しますので、余裕を持った計画策定が必要となります。

その他金融支援

固定資産税減税以外の支援措置として、

①商工中金による低利融資

②中小企業信用保険法の特例

③中小企業投資育成株式会社法の特例

などがあり、購入に際して、円滑な資金調達ができるようになりました。


2016年08月23日

経営ビジョンの力

経営ビジョンは「自社の夢と希望」、言いかえれば、「自社が社会に存続する意義、目指していること」です。

やりたいことを明文化し、社員やステークホルダーに示して、将来への道筋を指し示します。

経営ビジョンがもつ力

経営ビジョンには次のように、経営の基盤となる多面的な力があります。

①将来に向かって自社が社会に貢献していく領域・目標・道筋を示し、ステークホルダーの支持が得られる。

②経営ビジョンを実現するための長期経営計画、経営目標の設定につながる。

③さらに、中期経営計画・目標、年度経営計画・目標とそれらを達成する目標管理制度の運用につながる。

④社員が経営ビジョンを感得することによって、一人ひとりが働く意義を見出し、組織全体と個々人に業務遂行のバイタリティーが生まれる。

⑤年度経営計画・経営目標達成のための業績管理制度として、目標管理制度を運用するにあたって、目標設定、達成プロセスの全ての段階で、社員の積極的、創造的なパワーが生まれ、より高い目標設定、達成プロセスの問題解決に向けて主体的な協力が促進される。

⑥経営ビジョンに基づく経営計画の策定は、金融機関等から高い支持が受けられる。

経営ビジョンのあり方

このような経営ビジョンのあり方は、次の通りです。

①自企業の社会の発展に貢献する事業領域・長期的目標と創造的な取り組み方が「経営者の思い」として単純明快で分かりやすく表現されていること。

②そのビジョンの実現は、同時にステークホルダー、とりわけ社員の処遇向上につながること(これは“貢献度に報いる”ことがキーとなる)。

経営者・管理者の留意点

経営者は、常に経営ビジョンの浸透方法を考え、経営計画策定、目標管理制度の運用場面では、繰り返し、経営ビジョンを反映した経営計画・目標設定を求めましょう。

管理者は少なくとも、自部署の3年後のありたい姿をビジョンとして示すべきです。

2016年08月22日

金融機関の「暦年贈与サポートサービス」

「暦年贈与サポートサービス」の照会事例

国税庁のホームページには、「事前照会に対する文書回答事例」が公表されていますが、平成28年3月に気になる照会事例が掲載されました。

ある金融機関が照会した「暦年贈与サポートサービスを利用した場合の相続税法第24条の該当性について」というものです(東京国税局回答)。

この「暦年贈与サポートサービス」とは、その金融機関の預金口座を有する3親等以内の親族関係にある複数の個人を対象として、その個人間の「贈与の意思及び贈与金額の確認」を行い、「双方合意が存する場合」に限り、「贈与契約書の作成」や「預金の振替」等をサポートするサービスなのだそうです。

このサービスに基づく贈与は、相続税法の「定期金給付契約に関する権利」に該当するのかというのが照会の内容でした。

「定期金給付契約に関する権利」とは

「定期金給付契約に関する権利」とは聞き慣れない言葉ですが、いわゆる「年金受給権」を指します。

たとえば、AがBに対して5年間現金100万円ずつ贈与する場合、これを「その1年ごとに個別に100万円ずつ贈与する」と見ることができれば、各年で110万円の基礎控除が適用できますので、贈与税は課税されません。

ただ、当初より5年間(毎年)現金100万円ずつを贈与するつもりであるならば、これは5年分の「定期金(年金)を受給する権利」を取得したと認定され、一時に贈与税が課税される恐れがあります。この場合に、贈与を受けたものとみなされる金額は、次の①~③のいずれか多い金額とされています。

(有期定期金の場合)

① 解約返戻金の額

② ①に代えて一時金を受けることができる場合…一時金

③ 1年間で受けるべき金額×残存期間に応じる予定利率の複利年金現価率

「直ち」には定期金給付契約と認定せず

そのため、現金の「連年贈与」を行う場合と同様に、このサービスが「定期金給付契約に関する権利」に当たる余地があるか心配だということです。

東京国税局の回答は、このサービスを用いた場合には、贈与の都度の確認があるため、「直ちに」は定期金給付契約とは認定しないとのことのようです(契約の内容や個別の状況などで判断する余地はあるのでしょう)。


2016年08月19日

管理者は偉い人?

管理者は権限を持ち、指揮命令する「偉い人」だと管理者が自認し、一般社員からも、そのように見られている企業は様々な障害を持つ問題企業であると言えます。

管理者は偉い人の問題点

このような管理者が多い企業では、次のような問題が生じ、企業衰退の原因を作り出します。

①組織上下のコミュニケーションは、上から下への指揮命令が最重視され、主体性を持たない“指示待ち人間”が増加する。

②上司迎合型・従属型の型にはまった社員を生み出し、自ら問題意識をもって仕事に取り組む主体性の高い社員は疎外される。

③社員の意識が企業内部の上司の指揮命令内容に向けられ、最も重要な顧客満足の問題等、外部環境の変化からそれてしまう結果、重要な問題を見落とす。

④管理者間の権利意識が衝突し、組織間の障害が起きやすく、正常な連携が図れない。

⑤組織運用が管理者の価値観次第で、硬直的になり、社員の問題意識を起点とする改革・革新が生まれない。

⑥長期的視点で見ると、自ら問題を発掘し、主体性をもって解決しようとする頼もしい人材の育成が図れない。

このように、管理者は「偉い人」と言う管理者と社員の認識は、それが強く、多いほど、会社に悪い影響を与えます。


管理者はつらい人

本来、管理者は、所管する組織が果たすべき機能に応じた業務上の責任と権限を持ち、常に業務目標の達成へ向けて、緊張感・危機感をもって取り組まなければならない「つらい人」です。

したがって、社員の問題意識・主体性・バイタリティーを引き出すリーダーシップが求められており、それには、前項の問題点とは逆の状況を生み出すマネジメント能力が必要になります。


経営者の留意点

この意味で経営者は、「最もつらい人」であると言えます。その責任を果たすため、

「目標管理制度の運用過程は、同時に実践的な管理者のマネジメント能力向上の場である」ことを認識して管理者の人材育成に活用したいものです。

2016年08月18日

リノベーション時の耐用年数

中古家屋の「リノベーション」

最近、不動産の分野で「リノベーション」という言葉をよく聞くようになりました。 

「リフォーム」と区別が難しい表現ですが、「リフォーム」は、「老朽化した建物を当初の性能に戻すこと」。

税務でいうところの「原状回復」のニュアンスに近い意味で用いられます。

一方の「リノベーション」は、「用途や機能を変更して、付加価値を高めること」。

好立地にある中古のマンションの古い間取りを変えてみたり、古民家の雰囲気をそのままに、デザイン性を加えるなどして市場価値を高めるのがその例です。

「用途変更」までに及ぶことが多く、「リフォーム」よりは大がかりになることから、税務でいうところの「資本的支出」のニュアンスに近い意味で用いられます。

リノベーション時の中古資産の耐用年数

中古物件を購入して、すぐに「リノベーション」を行う場合には、税務上、注意したい点があります。

「中古資産の耐用年数」の適用です。

中古資産を取得した場合、次のような簡便法による耐用年数(残存耐用年数)を適用する場面が多いようです。

1.法定耐用年数の全部を経過したもの

法定耐用年数×20%=残存耐用年数


2.法定耐用年数の一部を経過したもの

法定耐用年数-経過年数+(経過年数×20%)=残存耐用年数

中古資産を取得し、事業の用に供するにあたって改修に要した費用の額は、資本的支出として取扱われます。

その資本的支出の金額が、中古資産の取得価額の50%に相当する金額を超えるときは、簡便法による残存耐用年数の見積もりができません。


簡便法が適用できない場合の耐用年数

この場合には、合理的に残存耐用年数を見積もることが原則となりますが、次の算式により算出した耐用年数の選択も認められています。

(算式)

(中古資産の取得価額+資本的支出)÷(中古資産の取得価額/中古資産について簡便法により算定した耐用年数+中古資産の資本的支出/中古資産に係る法定耐用年数)


2016年08月17日

介護離職者の増加対策

年間10万人超の介護離職者

内閣府の「平成27年版高齢社会白書」によると平成23年10月から24年9月までに介護や看護を理由とする離職者は10万1千人もいたそうです。

離職や退職をした内訳は男女とも50代と60代が7割を占めています。

企業にとってはベテランで必要な方が抜けてしまうことがあるかもしれません。

この問題は団塊の世代が75歳以上の後期高齢者となる平成37年以降に顕著になると言われています。

厚労省は法改正や助成金の新設、拡充で対策に取り組もうとしています。

法の整備で休業を取りやすく

企業としても人材確保の面から今後の法改正の内容や助成金を利用した社内の就業環境整備を検討されているところもあるでしょう。

法改正では今までの介護休業制度の93日以内の連続取得1回では使い勝手が悪いと言うことで、利用率を上げる為に来年1月からは3回までの分割取得もできるようになります。

介護される対象家族も非同居、非扶養の祖父母や兄弟姉妹、孫にも拡大します。

介護休業給付金の支給率も8月から現在の休業前賃金の40%から67%に引き上げられます。

両立支援のための制度作り

社内で介護休業取得者が出た時のためにどのように準備しておくのが良いでしょうか。

①介護保険制度の概要や現在の介護支援制度の説明、周知・・・介護休業を利用出来る場合や要件、介護休暇や短時間勤務制度についての説明、自治体の地域包括支援センター等、相談先の情報を提供します。

②介護をしている従業員にはヒアリングやニーズ調査を実施・・・社内体制の検討材料にもなり、他の従業員には目標管理の面接の時等に介護休業の予定の有無等も確認します。

③現在の介護支援制度の運用や拡充の検討・・・制度設計や運用の方法を見直し、問題があれば改善を図ります。

④両立支援取り組みの周知と意識改革・・・制度導入の説明に加えて社内の周囲の人や管理職の意識改革も必要となるでしょう。

利用する人が事情に合わせて柔軟な勤務ができれば「人材確保」に繋がっていくことでしょう。

2016年08月16日

介護休業給付金の支給率アップ

8月より支給率を引き上げ

雇用保険の介護給付金はこれまで休業開始時の賃金の40%でしたが、平成28年8月以降に開始する介護休業からは支給率が67%になります。

支給額の比較をしてみると休業開始時日額1万円の方が3か月(1か月を30日として)介護休業を取った場合の総支給額で見てみます。

1か月の30万円×40%=12万円。

3か月で36万円が最大支給額でした。

新しい支給率の場合は1か月30万円×67%=20万1千円、3か月で60万3千円とかなり引き上げられています。

また、介護休業給付金の算定基準となる賃金日額の上限額も8月1日以降に開始する介護休業から引き上げられます。

年齢区分適用ランクの変更

介護休業給付金の算定基準となる賃金日額の上限は雇用保険の賃金日額の上限(一定の年齢ごとに区分)を基に決められています。

これまでは「30歳から44歳までの賃金日額の上限額」を適用していましたが、平成28年8月1日以降に開始する介護休業からは「45歳から59歳まで」の賃金日額の上限額」を適用します。

支給率をアップしたり上限額の年齢区分適用ランクを引き上げたりは、働き盛りの人が介護休業を取得するようになった時に備えていると言うことでしょう。

また、8月1日以降に介護休業を開始した方で支給対象期間中に賃金の支払いがある場合、賃金額が「休業開始時の賃金日額に支給日数をかけた額」に対し13%を超える時には支給額は減額され80%以上支給される時は給付されません。

介護休業の分割取得

介護離職問題がクローズアップされる中、改正によって仕事と介護の両立支援制度の見直しも行われています。

これまでも育児介護休業法では介護休業の規定はありましたが、休業日数が原則1回に限り93日までの取得に限定されていました。

そこで3回を上限に分割取得できるようになります。

介護休暇日数は現在年5日で、それは変わりませんが半日単位の取得も認められるようになります。平成29年1月から施行の予定です。

 

2016年08月15日

共通の価値観

「全社員が共通の価値観で結ばれている」と言える企業は、強い企業です。 

すなわち、価値観は、企業風土や従業員の具体的な行動、顧客が受け取るサービスや商品のありかたにも影響し、結果として企業の存続、消滅にも影響することがあるからです。

上下に価値観の断層がある企業

反対に、社内に価値観の断層がある企業は、問題企業と言えます。

例えば、経営者や管理者層が「自分達は能力と権限を持つ偉い存在だ」と自認して部下に命令し、従属を求め、一般社員層は、そのような上司に反発を覚えていたり、心にもなく迎合していたりする場合は、価値観に上下の断層があり、企業組織が一体となって経営目標を達成する上で、重大な障害となります。

このような状況にある企業は、その断層を埋めることが、当面するおおきな経営課題となっているのです。


共通の価値観を形成するには

経営者から一般社員まで、共通の価値観をもつには、いくつかの原則があります。

①経営者が「共通の価値観」の提唱者となって、社内に地位の上下や部門間に共通の価値観浸透を実現すること。

②価値観は、その表現はどうあれ、顧客や社会に貢献し、創造的精神をもって、変化に適応し、挑戦しつつ仕事に取り組むための規範であること。

③一時的な価値観の対立があっても、それらを共通の価値観形成への過程として超克し、一段高い視点から融合・統一を図ること。

④事業を推進する実務の中で、共通の価値観形成を図り、具体的で、実践性の高いタフな価値観とすること。

経営者・管理者の留意点

経営者・管理者の立場で、共通の価値観形成を図るチャンスは、目標管理制度の運用によく現われます。

例えば、

①目標設定の課題として、何を優先すべきか

②目標の高さをどこに置くべきか

③目標達成期限の設定

④達成プロセスの問題解決

などは、社員間の価値観の違いが現われやすく、おおいに議論し共通化を図るチャンスと言えます。


2016年08月12日

預貯金と遺産分割

預貯金は遺産分割の対象外

「相続財産」と聞いて思い浮かべるものに、「預貯金」を挙げる人は少なくないでしょう。

預貯金については通常の相続財産とは少し取扱いが異なり、実は、遺産分割の対象外であるとされているのです。


相続開始により当然分割される預貯金

相続財産は、相続が発生すると、遺産分割により各相続人の相続分が確定するまでの間は、各自の相続分に応じて共有とされるのが原則です。

しかし、預貯金はその性質上、分割が可能な「可分債権」であり、相続財産中に可分債権があるときは、「その債権は相続開始と同時に当然に相続分に応じて分割されて各共同相続人の分割単独債権となり、共有関係に立つものではないものと解される」とされていました。

つまり、可分債権である預貯金は「当然に相続分に応じて分割され、各共同相続人の分割単独債権となる」ものであって、遺産分割の手続を要しないものであるため、そもそも遺産分割の対象とはならないということになるのです(最判平成16年4月20日)。


実務と判例の食い違い

一方で、実務上は判例と異なり、預貯金についても相続人間で遺産分割の対象とする合意がある場合には遺産分割の対象とすることが認められています。

また、銀行側でも相続人全員の同意書や遺産分割協議書の提出がなければ、相続人1人からの払戻請求に応じることは難しいのが実情であり、実務と判例で食い違いが生じていました。


「対象外」が見直しになるか

しかし現在、この預貯金を遺産分割の対象外とする判例が見直される可能性が出てきています。

今年3月23日、最高裁第一小法廷は預金を他の財産と合わせ遺産分割の対象にできるかどうかが争われた審判の許可抗告審で、審理を大法廷に回付し、いよいよ大法廷での弁論期日が10月19日に指定されました。

これにより判例が変更された場合は、今後の相続実務、銀行実務に大きな影響を与えることが予想されますので、その判断が大いに注目されています。


2016年08月10日

義援金にも注意が必要

義援金は大きな控除が受けられる

このたびの熊本県・大分県を震源とする大地震により被害を受けられた皆さまに心よりお見舞い申し上げます。

「被災地に寄附を」と各団体が声を上げていますが、この義援金は一定条件を満たせば、通常の特定公益増進法人や公益財団・社団法人等への寄附よりも、大きな割合で控除が受けられるようになります。

法人が寄附した場合

法人が国や地方公共団体に寄附した場合は、全額損金算入となります。

また、特定公益増進法人(例:日本赤十字)等への寄附であった場合でも、「震災義援金」の口座に対して支払った義援金は、国等への寄附に該当して、全額損金算入となります。

ただし、例えば日本赤十字社の事業資金としてのものなど、最終的に地方公共団体へ拠出されるものではないものについては、特定公益増進法人への寄附となり、特別損金算入限度額の範囲内で損金算入となります。

個人が寄附した場合

個人が日本赤十字等に義援金として寄附した場合は、「ふるさと納税」扱いとなります。

ただし条件があるので、以下の点に注意しましょう。

①法人同様、義援金が最終的に被災地方団体または義援金配分委員会等に拠出されることが募金要綱、募金趣意書等で明らかにされている必要があります。


②地方自治体以外の募金団体を通じて寄附をした場合は、去年より始まったふるさと納税の「ワンストップ特例」が使用できません。

確定申告によって申告をする必要があります。

この場合は確定申告に「募金団体が交付する受領書(最終的に被災地方団体又は配分委員会に拠出されると明示してあるもの)」か「振込依頼書等の控えと、その口座が義援金等のための専用口座である事が確認できる書類」が必要です。

③別に「ふるさと納税」している方は、義援金も合計して控除上限額が判定されます。

すでに義援金をお送りになった方もいらっしゃると思います。

送り先等を一度確認していただくと良いかもしれません。

2016年08月09日

許認可と建物の使用承諾

許認可の基本、「場所」

事業の内容によっては各関係官庁から許認可を得なければ営業できないものがあります。

一口に許認可とは言ってもその手続きは多種多様ですが、大抵の手続きで基本となるのが「人」「財産」そして「場所」の3つです。

許認可によっては「場所」に対して付与されますので、許認可事業を行う事業者にとってオフィス選びはとても重要になります。


「事業所使用OK」だけでは不十分

「場所」が要件になる許認可では、まず賃貸借契約書の使用目的に「事業用」と書かれていることが第一前提となります。

最近はSOHO賃貸物件(住居兼事務所)も増えていますので、事務所としての使用が許可されていても契約書上の使用目的が「住居用」となっている場合もあります。

「事業所使用OK」の文言だけでは、許認可取得に十分な要件を満たしているとは限らないため、事前に注意が必要です。

分譲マンションでの注意点

では、持ち家を事業所とする場合はどうでしょうか。

最近は自宅兼事業所として開業するフリーランスの方なども多く、自分に所有権があれば賃貸借契約を結ぶ必要はありませんし、自分が代表を務める法人と賃貸借契約を結ぶにしても、自らが使用承諾をすれば解決するように思われます。

この点、一戸建てであれば使用目的の部分で問題になることはあまりないでしょう。

一方で、分譲マンションの場合、たとえ自分に所有権があっても、管理規約等で「居住専用」と定められていることがほとんどです。

このような場合、たとえば東京都で古物商許可を申請する際には、「分譲、賃貸に限らず、マンションや集合住宅など、使用目的が『居住専用』となっている場合は、所有者や管理会社・組合等から『当該場所を古物営業の営業所として使用することを承諾する』旨の内容の書面(使用承諾書)を作成してもらうこと」になっており、管理会社等から使用承諾書がもらえなければ、たとえその他の要件を満たしていても許可してもらえません。

これは、インターネットでの非対面取引を想定している場合も同様です。

マンション側としては、治安の面から住人以外の不特定多数が出入りする可能性は避けたいところであり、なかなか使用承諾を得られないのが実情です。

手続きそのものよりも、この使用承諾を取ることが、実は一番のハードルかもしれません。

2016年08月08日

マイナンバーと外国人雇用

マイナンバーは外国人にも

マイナンバー制度では日本に住民登録のあるすべての人に個人番号が付されます。

かつて外国人の方は「外国人登録制度」という外国人の住民専用の記録制度により情報が管理されていました。

しかし、平成24年7月にこの制度が廃止され、現在は外国人も日本人同様、住民基本台帳で管理されていますので、外国人であっても住民登録が必要な90日以上の滞在許可を持つ方にはマイナンバーが付番されています。

マイナンバーと副業

マイナンバー導入については「会社に副業がばれてしまうか?」という不安の声が数多く寄せられていました。

マイナンバー制度は役所等法律で決められた機関に対しての手続にしか使用できないとされています。

たとえ役所側で副業を把握したところで、役所から勤務先へその事実を通知することは考えにくいため、制度の導入だけで副業が知られる可能性は低いとされているようです。

留学生の掛け持ちアルバイト

しかし、各勤務先での収入がマイナンバーにより紐づけられ、役所側に対しては収入実態がガラス張りになります。

こうなった場合、外国人は日本人と少し事情が異なります。

たとえば留学生の場合、アルバイトをしても良いとされている稼働時間は週28時間まで(長期休暇中は1日8時間まで)です。

労働時間を守ればアルバイトの掛け持ち自体が否定されているわけではありませんが、すべての勤務先できちんと労働時間の管理がされているとは限りません。

しっかりと労働時間が管理されていない場合、雇用主や留学生自身も知らないうちに勤務時間を超過してしまい、マイナンバー制度により知り得た雇用情報や納税情報から、結果的に週28時間以上の就労をしている事実が発覚しやすくなるという可能性は捨てきれません。

この事実が発覚すると、最悪の場合、留学生自身は在留期間の更新や就職時の在留資格変更が認められないこともあります。

今後、マイナンバーの運用がどのようになるかはまだわからないものの、いずれにしても、雇用主としてはしっかりとした労働時間管理で予防したいところです。

2016年08月05日

支出がなくても認められる必要経費

所得税法には、所得計算にあたって数多くの特例があります。

その中の一つに「家内労働者等の必要経費の特例」があります。


必要経費の特例

事業所得または雑所得の金額は、原則、総収入金額から実際にかかった必要経費を差し引いて計算しますが、家内労働者等に該当した場合には、実際にかかった経費の額が65万円未満であっても、必要経費として65万円まで認めるものです。

もちろん、実額経費が多い場合は実額が使えます。

この特例は、昭和63年に創設されたもので、その趣旨は、同じ労働を対価とする収入であっても、パート等の勤務者には最低でも給与所得控除65万円の適用がある一方、雇用関係のない家内労働者等にあっては適用がない、これでは課税の公平の観点から問題であるということでした。

家内労働者等の範囲

条文を要約すると、

①家内労働法に規定する家内労働者

②外交員

③集金人

④電力量計の検針人

⑤特定の者に対して継続的に人的役務の提供を行うことを業務とする者

がその対象者です。

では、具体的にどういう人や仕事が対象になるかというと

①の家内労働者ですが、いわゆる「内職さん」、今日的には「在宅ワーカーさん(在宅勤務ではない)」がこれに該当します。

②、③、④は問題ないと思いますが、少しわかりにくいのが⑤です。

ここでのキーワードは、「特定の者」、「継続的」、「人的役務の提供」です。

したがって、不特定多数の人を対象としたサービスの提供は対象外となりますが、特定の者については、サービスの提供者が特定されていればよく、その提供先が複数であってもよいことになっています。

おおむね、次のような人が該当するものとして取り扱われています。

乳酸菌飲料の訪問販売員(ヤクルトレディー等)、成年後見人等、専属モデル、シルバー人材センターの登録会員、特定の会社から翻訳等の仕事を請けている人です。

適用にあたっての留意点

給与等の収入金額が65万円以上あるときは、この特例は適用できません。

また、公的年金以外の生命保険契約に基づく雑所得等がある場合も、そこで計上した必要経費が65万円を超えていればこの特例は適用できません。

2016年08月04日

消費税の転嫁拒否等に関する調査

消費税率10%への引き上げは、ひとまず見送られましたが、平成26年4月の8%への引き上げから2年が経過しました。

消費税率の引上げに当たって、消費税の転嫁を拒否する行為等は「消費税転嫁対策特別措置法」により禁止されており、政府一丸となって監視・取締りをに取り組んでいます。

この取組の一環として、公正取引委員会及び中小企業庁は、「消費税の転嫁拒否等に関する調査」を実施しています。

商品又はサービスを供給している事業者が、取引先法人事業者から消費税の転嫁拒否等の法律上問題のある行為を受けていないかの実態を把握し、問題となる行為の是正につなげるための調査です。

中小事業者の全てを対象としていますので、調査依頼の封書が届いた事業者も多いと思います。

ただし、回答を義務付けているものではありませんので、回答しなくても差し支えはありません。

平成28年「6月調査」の調査結果では、「全て転嫁できている」と回答した事業者が、事業者間取引では83.0%、消費者向け取引では70.4%、「全く転嫁できていない」と回答した事業者が、事業者間取引では4.0%、消費者向け取引では5.7%となっていました。


消費税の転嫁拒否等の禁止行為は次のような行為です。


① 減額

本体価格に消費税分を上乗せした額を対価とする旨契約していたが、消費税分の全部又は一部を事後的に対価から減じることなど

② 買いたたき

原材料費の低減等の状況変化がない中で、消費税率引上げ前の税込価格に消費税率引上げ分を上乗せした額よりも低い対価を定めることなど

③ 商品購入、役務利用、利益提供の要請

消費税率引上げ分を上乗せすることを受け入れる代わりに、取引先にディナーショーのチケットを購入させることなど

④ 本体価格での交渉の拒否

本体価格(消費税抜価格)で交渉したいという申出を拒否することなど

⑤ 報復行為

転嫁拒否をされた事業者が、①~④の行為が行われていることを公正取引委員会などに知らせたことを理由に、取引の数量を減らしたり、取引を停止したりするなど、不利益な取扱いをすることなど


回答内容は、公正取引委員会、中小企業庁等の消費税の転嫁拒否等の行為に対する監視・取締りを担当する官公庁のみが適切に使用するとのことですので、もし、転嫁拒否等の禁止行為に困っているのであれば、ありのままの事実を回答されたら良いと思います。

2016年08月03日

海外勤務中の社会保険

社会保障協定締結国への派遣

海外支社等へ勤務等の転勤で日本の健康保険や厚生年金に加入していて、日本と外国どちらにも社会保険料を支払うことになる「二重加入」の問題があります。

そこで保険料の掛け捨てにならぬよう日本と諸外国との間で社会保障協定が締結されています。

この社会保障協定は締結する相手国により内容は異なりますが、共通する年金制度事項の概要を説明します。

①二重加入の解消(適用調整)

日本の会社から海外支社に派遣(転勤等)される場合は、原則は両国の社会保険に加入となりますが社会保障協定国との間では派遣先国の社会保障制度のみに加入することを原則とし、派遣就労が一時的であれば派遣元国のみに加入します。

判断基準となる「一時的な派遣就労」とは派遣先国への派遣期間が5年を超えない見込みであることで、長期派遣により海外の派遣先国の社会保険に加入する場合には任意で日本の厚生年金保険や加入できる特別加入制度もあります。


②年金加入期間の通算

日本と協定国の各々の国で年金受給に必要な加入期間(受給資格期間)を確認する上で一方の国の加入期間では年金を受給できない場合には協定国での加入期間を通算します。

外国の方が日本の社会保険に加入して帰国後、脱退一時金を受けた場合は、期間は通算されません。


③各国との社会保障協定の内容

日本と各国との間の社会保障協定は平成28年3月現在、19か国で署名され、内15か国とは協定を発効しています。

スウェーデン、中国等4か国とは協定交渉が行われています。

協定相手国の社会保障制度等に応じて各国との協定内容は異なります。

原則協定を締結していない国への勤務は日本と勤務先の各々の社会保険制度に加入する必要があります。


④社会保障協定の手続

日本から協定相手国へ一時派遣される際に相手国の社会保険加入免除を受けるには年金事務所から交付される「適用証明書」を派遣先国の社会保険制度の実施機関に提出します。

長期派遣の場合は管轄の年金事務所に資格喪失届を提出します。


2016年08月02日

個別労働紛争解決制度の施行状況

「個別労働紛争解決制度」とは

この制度は事業主と個々の労働者との間の労働条件や職場環境をめぐるトラブルの未然防止や早期解決を図る為の紛争解決制度で「総合労働相談」「助言・指導」「あっせん」の3つの方法があります。

「総合労働相談」は都道府県労働局や労基署、駅近隣に設置された相談コーナー等で専門員が行っています。

「助言・指導」は都道府県労働局長が紛争当事者に対して解決の方向を示し、自主的解決を促進させます。

「あっせん」は紛争当事者間に弁護士や大学教授等の紛争調整委員が入って話し合いをさせ解決を図ります。

総合労働相談は8年連続100万件超え

このたび、平成27年度の施行状況が厚労省より発表されました。

平成27年度は前年度と比べ総合労働相談件数が微増、助言・指導申出、あっせん申請の件数は減少しました。

ただし総合労働相談の件数は8年連続で100万件を超え高止まりが続いています。

総合労働相談のうち民事上の個別労働紛争の相談内容では「いじめ・嫌がらせ」が66,566件と4年連続で最多を記録しています。

「いじめ・嫌がらせ」による相談が増えている背景は、これが一般的に認知されてきていると言うことかもしれません。

全体の2割以上(22.4%)あります。

解雇問題は37,787件(12.7%)、自己都合退職(12.7%)とほぼ同じです。

相談対象者の就業形態は「正社員」が92,624件(37.8%)、「パート・アルバイト」は39,841件(16.3%)、「期間契約社員」25,732件(10.5%)、派遣労働者が10,549件(4.3%)でした。


いじめ等の助言・指導あっせん事例

①本人は先輩社員より「のろい」「気がきかない」「辞めたら」等の発言を受け上長に訴えたが対応してもらえなかったケース……本人と先輩を別部門に異動する助言により解決を図った。

②1年の有期雇用契約者がリーダーより無視、机を蹴る等の言動を受け通常の2倍の仕事量を押しつけられていたケースで期間満了までいられず退社し、会社に金銭補償を求めていたケース……あっせんにより解決金として賃金1カ月分相当を払うことで合意した。
 

2016年08月01日

消費税延期されるもの・されないもの

消費税10%は再延期、いつから?

消費税の10%への税率アップは、平成27年10月からだったものが、平成29年4月に延期されていて、さらにこの度、平成31年10月に再延期されることになりました。

ただし、法律の改正を経ないと、延期は実現しません。

秋の臨時国会に、今年春に確定した改正消費税法を改正する法案が提出されるものと思われます。

再延期の時期はそれぞれ

秋の国会に出される延期法案で確実なのは、消費税率10%への増税なので、複数税率化も同時に延期されることになります。

複数税率化の延期に伴い、来年4月から施行予定であった、インボイス(適格請求書)制度の導入準備開始制度も一定の修正をせざるを得ないことは明らかですが、必ずしも単純に2年半延期されるわけではないと思われます。

さらに、平成33年4月から導入のインボイス番号制度は延期されずに、予定通りの施行になる可能性は大きいです。

来年4月からの準備開始制度

今年成立の改正税法では、インボイス正式導入までの経過措置として、請求書には、税率の異なるごとの請求額合計とそれら毎の消費税額を各別に記載すること、になっています。消費税額無記載や内書き表記は正しい表記ではなくなりました。

単数税率だったとしても、ゼロ税率や非課税もあるので、その部分の微修正を経てインボイスとしての体裁を整える方向で、延期なき施行になると思われます。

なお、記載不完全な請求書の交付を受けた場合は、正式導入までの準備期間に限り、事実に基づき追記することが認められていますが、免税事業者であることが明らかな者からの仕入では追記は認められないので、もはや課税仕入にはなりません。

税額計算の方法は積上げ方式

インボイス正式導入前でも、請求書に記載の消費税額が中心になるので、その積上げ額が、仕入消費税・売上消費税の基本になりますが、税率の異なる毎の取引総額からの割戻し計算も用意されています。

売上げまたは仕入れを税率ごとに区分することが困難な事業者に対しては、正式導入までの準備期間に限り、売上税額または仕入税額の計算の特例が設けられます。

①10営業日サンプル割合方式

②仕入割合・売上割合での売上仕入割合推定方式

③50%簡便法などです。

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