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2016年07月 アーカイブ

2016年07月29日

最小行政区画

会社の定款と最小行政区画

会社の名称や所在地、事業目的などの基本事項を定めた会社の基本規則を「定款」と言います。

株式会社も合同会社も、会社を設立するときには必ず作成する書類です。この「定款」で会社の所在地を定める際、「東京都〇〇区××町一丁目2番3号」といった具合に、住所を最後まで記載する必要はなく、「最小行政区画」まで記載すれば良いということになっています。

では、「最小行政区画」とは、具体的にどこまでを言うのでしょうか。

「最小行政区画」=いわゆる「市区町村」

行政区画とは、行政機関の権限が及ぶ範囲として細分化された地域です。結論から言うと、東京都の場合は「区」まで、その他の場合は「市町村」までが「最小行政区画」となります。

よって、定款では「東京都千代田区」や「群馬県高崎市」まで定めれば良いということになります。


政令指定都市の「区」はどうなる?

では、横浜市や仙台市、広島市などの政令指定都市の場合はどうでしょうか。

これら政令指定都市の住所では「市」の後に「区」が続く形になっています。

こうなるとどこまで記載すれば良いか迷ってしまいますが、この場合は「市」までが最小行政区画になります。

一般的に「市区町村」という言葉に含まれる「区」は東京都の特別区(23区)を指します。

地方自治法では「特別地方公共団体」と定義されており、市町村と同じ機能を持つ行政区画です。

これに対し、政令指定都市で言う「区」は単なる住所表示であって、行政区画には当たりません。

東京都の特別区と違い、こちらは「行政区」と呼ばれます。

同じ「区」であっても、東京都と政令指定都市とではその意味合いが異なるのです。

そのため、東京都23区では区長を選挙で選びますが、政令指定都市における「区」の区長は選挙ではなく、市の職員から選ばれることになるのです。


2016年07月28日

自主的修正申告への加算税

加算税のない自主的修正申告とは

一般的に自主的修正申告には、延滞税はあっても加算税はないとされていました。

①「税務署の担当者から電話で申告書の内容に問題がないか確認して、必要ならば修正申告書を提出するよう連絡を受け・・・納税者の方が自主的に修正申告書を提出された場合には、・・・過少申告加算税は賦課されません。」(FAQ)


②「意見聴取における質疑等のみに基因して修正申告書が提出されたとしても、『調査があったことにより』という要件を満たさないことから、当該修正申告書の提出は更正があるべきことを予知してされたものには当たらない。」(事務運営指針)


③「臨場のための日時の連絡を行った段階で修正申告書が提出された場合には、原則として『更正があるべきことを予知してされたもの』に該当しない。」(事務運営指針)


よき理解者と振る舞ってきたが

前記の①②③の税法解釈公開情報のうち、③の部分は我慢の限度を超えていたようでした。

臨場調査の通知後の修正申告は、予知してのものと解釈する立場をとっておくとか、状況次第との見解にしておくことも、可能だったのではないかと思われます。

しかし、そのような対応をしてこなかったので、今年、法の見直しという税法改正手続きを取らざるをえませんでした。


従来論理と整合性を確保した税法改正

従来の、臨場調査、取引先への反面調査を経て申告書の内容につき非違事項の指摘があってからの修正申告書の提出は、原則として『予知』しての行為に該当する、という理解・解釈を変更することなく、「予知のない修正申告」という新概念、今年の税制改正で創設しました。

調査の事前通知以後、かつ、更正予知前にされた修正申告に基づく過少申告加算税の税率(現行:0%)は、5%(期限内申告税額と50万円のいずれか多い額を超える場合、その部分は10%)


ついでに無申告や仮装・隠蔽も

予知なし加算税5%に合わせて、期限後申告への加算税、短期間に繰り返して無申告又は仮装・隠蔽が行われた場合の加算税についても、バランスをとって、それぞれ5%の追加的加重措置が講じられることになりました。

2016年07月27日

大企業の消費税還付手法

自販機利用還付手法つぶしから6年

自販機利用による居住用賃貸住宅建設時の消費税還付の仕組み作りは、課税事業者選択後および新会社設立後の2年間に調整対象固定資産(税抜価格が100万円以上の固定資産)を取得した場合には、その取得があった課税期間を含む3年間は、免税事業者や簡易課税事業者になれない、また、その3年間で課税売上割合に著しい変動があると調整計算により還付消費税が取戻されることになる、という平成22年税制改正で、不可能となりました。

大企業に対しては穴だらけ

この歯止めは大企業には通じませんでした。

分譲建物などの棚卸資産を歯止め規定からそっくり除外していたし、自販機利用スキームも、2年を超える大規模長期工事の場合、基準期間の存在しない期間での取得や課税事業者選択から2年以内という縛りを過ぎてしまうので、免税や簡易課税の選択に支障はありませんでした。

会計検査院報告が暴く延払基準の穴

延払基準の選択などは大企業ならではの制度ですが、この制度は収益すなわち課税売上についてのみの制度であって、課税仕入の計上については消費税法には何も規定がないので、収益は分割計上、仕入は一括計上ということになり、延払い1期目は、まず還付を受けるということになります。

さらにその翌年は、簡易課税の選択をした上で延払基準の取り止めで再度名目課税仕入れを発生させて多額の消費税納付差額の益金を計上することができます。

延払基準の取り止めは、法人税法とは無関係に、消費税においてのみで行うこともできます。

特定目的会社を設立して、封じ手の抜け穴を利用するスキームは容易に構築できたようで、会計検査院報告によると、多数の事例があったとされています。

今年の税制改正でモグラ叩きは終わるか

今年の税制改正では、自販機利用抑制策の裏をかく、これらの大企業の消費税還付手法への、もぐら叩き的穴塞ぎをしていますが、延払基準の適用に関する直接的な制限規定は置かれませんでした。

創設されたのは、調整対象固定資産取得制限規定の延長としての、「高額特定資産」仕入に対する3年縛りの制度です。

新封じ手により、延払基準利用による手法への適用制限などの措置を採る必要はないとの判断のようです。

2016年07月26日

個人売電収入の所得区分

平成29年度からは「入札制度」など導入

日本の太陽光発電は、補助金制度や余剰電力買取制度の復活(平成21年)、平成24年7月の固定価格買取制度(FIT)の導入で急速に普及してきました。

その後、平成26年の「九電ショック」(太陽光発電に適した九州・北海道などで送電網が限界に達したため、新規接続申込が保留された騒動)で冷や水を浴びせられましたが、平成29年度以降は、買取価格の決定方式の見直し(「入札制度」と「価格低減スケジュール」導入)をはかり、更なる普及を目指しています。


個人売電収入の所得区分は買取制度で区別

現行の売電(買電)制度には、

①全量買取制度(発電した電気を全て売電。発電容量10kW以上が対象)

②余剰電力買取制度(発電して余った電気だけを売電)の2つがあります。

住宅用の場合の発電容量の平均が4.5kW前後であるため主に「余剰電力買取制度」が利用されています。

なお、個人の売電収入の所得区分は、買取制度に応じて、次のように区分されます。

①自宅(住宅)に設置 雑(20万円以下は申告不要)

②店舗併用住宅に設置 事業(メーターが一つの場合:事業付随収入)

③賃貸アパートに設置 不動産(共用部分で使用)


「グリーン投資税制」は対象資産確認を!

その他の税務のポイントは次のとおりです。

①発電設備は耐用年数17年で償却します。

ただし、自宅使用(余剰電力買取)の場合には、自家消費分があるため、売電対応分の割合(売電量/発電量)で按分する必要があります(店舗併用住宅では、さらに事業使用按分が必要)。

②国庫補助金の総収入金額不算入制度や「グリーン投資税制」の適用の余地があります。

「グリーン投資税制」は年度により制度が変わるため、適用対象資産をよく確認する必要があります(不動産所得には不適用な点にも要注意)。


2016年07月25日

使用者賠償責任保険

使用者賠償責任保険の契約者が増えている

使用者賠償責任保険は労災認定された事案について、企業の安全配慮義務等を問われ法律上の損害賠償責任を負った場合に備えるものです。

近年はうつ病等による労災認定件数の増加、賠償額の高額化を背景に大手損害保険会社グループでも2015年の契約件数は前年度比率1.5倍となっています。

この傾向は今後も続くと予想されます。

今後重要視される使用者責任保険

労働基準法では業務災害で従業員が病気やけがを負った場合、会社は必要な補償を行わなくてはなりません。

その為労災保険に加入し、従業員が業務災害を負った補償は労災保険から給付を受けます。労災保険から給付される事で会社は従業員に対する補償義務を免れることができます。

しかし損害賠償責任を負った時、例えば死亡事故等の場合は遺族が会社に対し損害賠償請求を求めることがあります。

「使用者賠償責任保険」は労災保険給付を上回る補償の提供や和解金の支払いの為に利用することができます。

ですから労災上乗せ保険と呼ぶこともあります。

使用者賠償責任保険とは転ばぬ先の杖的役割と言えるでしょう。

労災保険から従業員に保険給付がされた場合、治療費、休業補償、遺族補償がありますが、慰謝料などは給付されません。

労災保険から労働基準法に定められた金額が給付されたとしても、会社の安全配慮義務違反が問われると労災保険とは別に民事上の損害賠償を求められることがあり、最近は損害賠償額も高額傾向にあり、1億円を超えることもすくなくありません。

リスクを考え検討を

中小企業の場合、多額の賠償金を支払うことは経営の危機を伴うことも想定されます。

業務災害はどの企業にも起こりうる危険性をはらんでいるとも言えます。

ただし、保険に加入すればリスクヘッジにはなりますが保険料がかかります。

保険料は定額のものから業種、雇用形態、企業規模で違っている保険もあります。

これまでの労働災害の発生状況等も考え、費用と効果を勘案して加入を検討することが良いでしょう。


 

2016年07月22日

遺言と遺産分割協議書

年々増える遺言作成件数

相続・遺言に対する関心は年々高まっており、平成26年1月~12月に全国の公証役場で作成された遺言(公正証書遺言)は10年前から約4万件も増加し、ついに10万件を超えました。

家庭裁判所で扱われた遺産分割事件も同様に増加傾向にあり、こうした背景も影響していることがうかがえます。

故人の遺志をできるかぎり尊重したいものですが、遺言を書いたときと相続時では家族の状況が変わってしまうということもあります。

では、遺言の内容と異なる遺産の分割をすることは可能なのでしょうか。

遺言と違う遺産分割は可能か

相続人の間で遺産分割の方法を話し合うことを遺産分割協議と言い、その結果を書面にしたものが遺産分割協議書です。

判例では、①遺言によって遺産分割協議が禁止されている場合、②遺言執行者が選任されている場合を除き、遺言と異なる内容の遺産分割協議をすることは事実上認められています。

実際、遺言と異なる遺産分割の方法を協議することは珍しくありません。

しかし、だからと言って全て遺産分割協議書が遺言に優先するという意味ではありません。

遺言の内容によっては注意が必要です。

遺産分割の方法が指定された遺言

過去、最高裁では、特定の財産を特定の相続人に相続させる内容の遺言の場合、遺言者の死亡によって、財産は直ちに確定的に相続人に帰属するとした判決が行われました(平成3年4月19日最高裁判決)。

「特定の財産を特定の人に相続させる内容」とは、たとえば「長男○○に埼玉県××の土地を相続させる」というのがこれにあたります。

この場合、その後に行った遺産分割は本来の意味での「遺産分割」ではなく、相続人間の取引として財産が移転するものとされています。

その結果、不動産の相続登記を行う際、遺産分割協議の結果をすぐさま登記できず、まずは「遺言に基づく登記」をした後、「相続人間の取引の登記」の二段階で申請しなければならないなど、相続事務に支障をきたすことがあります。

こうなると手続き費用も手間も二重にかかってしまいますので、注意が必要です。


2016年07月21日

短時間労働者に対する健康保険・厚生年金保険の適用拡大

平成28年10月1日から、特定適用事業所に勤務する短時間労働者は、新たに厚生年金保険・健康保険の適用対象となります。

前回は、この適用拡大の実施に伴う、厚生年金保険・健康保険の被保険者資格取得の基準変更について取り上げました。

今回は、「特定適用事業所」「短時間労働者」について見ていきます。

(1) 特定適用事業所の要件

同一事業主の適用事業所の厚生年金保険の被保険者数の合計が、1年で6カ月以上、500人を超えることが見込まれる場合は、「特定適用事業所」として短時間労働者の適用拡大の対象となります。

法人の場合・・・同一の法人番号を有する全ての適用事業所

個人の場合・・・現在の適用事業所

例えば、支店を持つ法人でそれぞれ適用事業所となっている場合は、被保険者の合計人数で判断します。

A本店 300人 + B支店 250人 = 550人 ⇒ 特定適用事業所

特定適用事業所に該当した場合は、年金事務所等へ「特定適用事業所該当届」を提出することになります。


(2) 短時間労働者の要件

勤務時間・勤務日数が常時雇用者の4分の3未満で、以下の①~④の全てに該当する方が適用拡大の対象となります。


① 週の所定労働時間が20時間以上であること

週の所定労働時間とは、雇用保険の取り扱いと同様に、就業規則・雇用契約書等により、通常の週に勤務すべき時間をいいます。

所定労働時間が週単位で定まっていない場合は、次の方法で算定します。

・1か月単位の場合

1か月の所定労働時間 ÷ 12分の52(1年間の月数を12、1週間の週数を52として換算)

・1年単位の場合

1年間の所定労働時間 ÷ 52(1週間の週数)

・短期的かつ周期的に変動する場合

平均により算定


② 雇用期間が1年以上見込まれること

・期間の定めがなく雇用される場合

・雇用期間が1年以上である場合

・雇用期間が1年未満であり、次のいずれかに該当する場合

 ・雇用契約書に契約が更新される旨または更新される可能性がある旨が明示されている場合

 ・同様の雇用契約により雇用された者について更新等により1年以上雇用された実績がある場合


③ 賃金の月額が8万8千円以上であること

次に掲げる賃金は除きます。

・臨時に支払われる賃金および1月を超える期間ごとに支払われる賃金(結婚手当、賞与等)

・時間外労働、休日労働および深夜労働に対して支払われる賃金(割増賃金等)

・最低賃金法で算入しないことを定める賃金(精皆勤手当、通勤手当、家族手当)


④ 学生でないこと

雇用保険の取扱いと同様に、大学、高等学校、専修学校等に在学する生徒・学生は適用対象外となります。

2016年07月20日

消費税軽減税率の支払時意思表示制度

消費税軽減税率導入は増税延長でも確定

今年の税制改正では、10%増税の施行時期はともかく、その増税時には食料品と新聞とに8%の軽減税率が導入されるとの法規化がありました。

仏英加の軽減税率とドーナツ・クラブ

海外でも消費税に軽減税率があります。

フランスでは、標準税率20%に対して、外食サービス等7%、食料品等5.5%、新聞・医療品等 2.1% と3種類の軽減税率があります。

イギリスは、標準税率20%に対して、家庭用燃料・電力等7%、食料・水道・新聞雑誌・国内旅客輸送・医療品等は0%です。

0%は仕入税額控除ができるので非課税ではありません。

なお、販売時点で気温より高い温度の食料品は外食サービス品として、またケーキ・ビスケット以外の菓子類は贅沢品として、標準税率が適用されます。

カナダでは、標準税率5%に対して、食材・農産品・処方箋薬・医療機器等は0%です。

なお、その場ですぐに食べるかどうかが食材か否かの判定基準でもあり、ドーナツについては、販売個数が少ない5個以下だと、その場で食べる「外食」とみなして標準税率を適用し、6個以上だと持ち帰り食材としてゼロ税率を適用します。

そのため、即席の「ドーナツ・クラブ」が作られ、共同購入するというのは知られた話になっています。

コンビニのチンは外食か

今年の改正税法令を見ると、イギリスに似て、加熱を伴う飲食料品の提供は軽減税率の対象外なので、コンビニでチンして受け取る弁当などは外食扱いになる可能性があります。

食堂で食べる場合でも、学食は外食扱い、学校給食は特定の場所での選択肢のない全員強制のものなので軽減税率適用、老人ホームの食堂も非外食扱いです。


レジで持ち帰りと言えば軽減税率

今年の通常国会での税制改正論議では、ドーナツ・クラブと似て、持ち帰りの意思表示があれば、顧客が実際にどこで食べたかということは追求せず、軽減税率の適用をするので、その場で食べても不足額を追徴することはないとか、ペットフードであっても人間も食べられるものなら軽減税率の対象になるとか、といった議論の中で、安倍総理が、「ペット用のセサミンを家内に渡したら、ずっとそれを飲んでいた」との答弁をしたようで、議事録にも載っていました。

2016年07月19日

取締役と会社の利益相反取引

取締役と利益相反取引

買い物をするとき、消費者であればできるだけ安く購入したいと考え、販売者であればできるだけ高く売りたいと考えます。

このように、お互いの利益が対立する状態を「利益相反」と言います。

利益相反は、立場が違う者同士に関係が生じれば自然と発生しうるもので、これは取締役と会社の関係であっても同様です。

では、本来会社に利益をもたらすべき取締役が、会社と取引をすることに問題はないのでしょうか。

取締役は会社に対し忠実に職務を行う義務を負っておりますので、会社の利益を犠牲にして自分や第三者の利益を図るような取引は認められません。

会社法ではこのような利益相反取引を規制しており、客観的に利益相反にあたる取引を行う場合には会社(取締役会または株主総会)の承認を得なければならず、この承認を得ずに行った取引は原則として無効になると解されています。

利益相反取引にあたるかどうかは、公正な条件の取引かどうかではなく、利害対立が起きうる関係であれば一律に利益相反とされますので、事前の承認を得なければならない場面は思っている以上に多いものです。

利益相反取引の具体例

たとえば、古くなった社用車を取締役個人の名義に変えるという場合は会社から社長への譲渡取引になりますが、本来であれば売却価値のあるものを、無償又は廉価で譲渡することにより会社が損害を受ける可能性があるため、利益相反取引になります。

また、取締役個人が持っている不動産や株式を会社名義に変えたいという場合も、無償譲渡でない限り利益相反取引になります。

一見すると会社にとって有利に思われる低廉な価格での譲渡であっても、会社に支払いや負担がある以上、会社の利益を害する可能性があるため、承認が必要になるのです。


迷ったときには事前の承認を

利益相反取引を規制する趣旨は会社の利益保護にあります。

よって、会社に不利益を与える可能性のない取引、たとえば取締役が会社に対し、金銭を無利息・無担保で貸し付けるといった場合は、会社に不利益を与えるものではないため、利益相反取引にはあたりません。

なかなか難しい判断ですので、利益相反取引になるかどうか迷った場合には、事前に会社の承認を得ておいた方がよいでしょう。


2016年07月15日

来日芸能人の消費税課税方式の見直し

来日芸能人の消費税課税方式の見直し

2016年は往年のロック・レジェンドの来日が目白押しです。

この4月以降に来日の主な外国人アーチストは次のような方々です。

〔2016年4月以降の来日アーチスト〕

4/4~4/28 BOB DYLAN

4/12~4/15 BRIAN WILSON(The Beach Boys)

4/13~4/19 ERIC CLAPTON

5/9~5/18 DEEP PURPLE

彼らの来日に合わせて…という訳ではないのですが、日本では4月1日より国外事業者が行う芸能・スポーツ等に係る消費税の課税方式が見直されています。


国外芸能人の芸能活動は「特定役務の提供」

国外事業者が国内において対価を得て行う他の事業者に対して行う次の行為は、「特定役務の提供」と位置付けられました。

① 芸能人として行う映画撮影、テレビ出演

② 俳優、音楽家として行う演劇、演奏

③ スポーツ競技大会等への出場


これは、国外事業者が他の事業者に対して行うものですので、不特定多数の者に対して行う役務の提供は含まれません。


「特定役務の提供」はリバースチャージ

国外事業者から「特定役務の提供」を受ける事業者は、「特定課税仕入れ」として、「リバースチャージ方式」により消費税の申告・納税を行うこととなりました。

たとえば、日本のプロモーター(興行主)が日本国内で企画したコンサートに国外事業者に所属するアーチストを出演させる場合には、国外事業者が他の事業者(日本のプロモーター)に役務提供を行っているため、「特定役務の提供」に該当し、リバースチャージ方式により、日本のプロモーターに消費税の納税義務が生じます。

海外プロモーターの直接開催は非該当

一方、日本のプロモーターが一切関与せず、海外のプロモーターが、日本の会場を借りて、直接、観客にチケットを販売して所属するアーチストのコンサートを行う場合には、「不特定多数の者に対して行う役務の提供」にあたるため、「特定役務の提供」には該当しません。

この場合、従来通り、海外プロモーターに消費税の納税義務が生ずることになります。


2016年07月14日

「未支給年金」は一時所得

公的年金の支給は「後払い」

相続税の申告で誤りやすい事例の一つに、被相続人の「未支給年金」があります。

年金は偶数月の15日に、前々月分と前月分の2か月分が支給されます。

受給者が亡くなった場合、年金が「後払い」であるために、受け取る権利があっても受け取ることができない年金が必ず生じます。

これを「未支給年金」といいます。

未支給年金は遺族の請求手続きが必要

未支給年金は、遺族が被相続人に代ってもらうことができるのですが、年金事務所等に「請求」手続を行わないと支給されませんので、死亡の届出(支給停止手続)と一緒に手続きを済ませるとよいでしょう。

支給を受けることができる遺族は、年金受給者が亡くなった時に、被相続人と生計を同じくしていた①配偶者、②子、③父母、④孫、⑤祖父母、⑥兄弟姉妹、⑦その他これらの者以外の3親等内の親族で、未支給年金を受け取れる順位もこのとおりです。

ただし、奇数月の中旬から次の年金支給日までの間に亡くなった場合には、金融機関の手続が進んでいるため、通常の支給日(15日)に、被相続人の口座に年金が入金されることがあります。

相続税の対象とならず、遺族の一時所得

このようなお話をすると「未支給年金」(未支給年金請求権)は被相続人の相続税の課税財産として、相続税の課税対象となるように聞こえるかもしれませんが、相続税の課税財産とはなりません。

これは、国民年金法等では、未支給年金を支給請求することのできる者の範囲や順位が、民法の相続とは異なったルールで決められており、その支給が遺族の生活保障を目的とするものであるため、「遺族の固有の権利」として請求するとして、相続性がないものとされているからです(「みなし相続財産」にも該当するものがありません)。

そのため、未支給年金の支給を受けた遺族の「一時所得」に該当することとされています。

2016年07月13日

シロアリは白くない

シロアリは白くもなく、アリでもない!?

フランスの啓蒙哲学者ヴォルテールは、末期の神聖ローマ帝国を評して、「神聖ではなく、ローマ的でもなく、帝国でもない」と言い放ちました。

まったくスケールの異なる話ですが、日本語でも「名は体を表していない」ものがあります。 

たとえば、「シロアリ」です。職蟻(働きアリ)は、確かに白っぽく、それが語源のようですが、よく見る日本産のヤマシロアリは黒色、イエシロアリは黄褐色ですので、白色とは限りません。

また、そもそもシロアリは「蟻」ではありません。

ゴキブリ目・シロアリ科の昆虫です。ちなみに「アリ」は、ハチ目・スズメバチ上科・アリ科になります。

ただ、「蟻」という漢字は、地中に巣を作り、規則正しい共同生活を営むことから、「虫」編に「義(行儀正しい)」となったという説もあります。

コロニーを形成し、高度な社会性をもった昆虫であるという意味では「シロアリ」もその範疇には入るのかもしれませんね。

シロアリによる被害は「雑損控除」の対象

このシロアリによる被害は、所得税の「雑損控除」の対象となります。

雑損控除の対象となるのは「災害」「盗難」「横領」の3つですので、どれに当たるのかと思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、予測がつきにくく偶発性が強いところから害虫による異常な「災害」と認識されています。

そのため、シロアリの被害により居住用木造家屋の床下を取り替えたのであればその修理費用(原状回復費用)、駆除費用は被害の拡大を防止するため緊急に必要な措置を講ずるための支出に当たるため、「災害関連支出」として雑損控除の対象となります。

予防のための薬剤散布は対象外

近所にシロアリが発生したことを聞いて、予防のために駆除会社に薬品散布をお願いするケースなどもあります。

ただ、雑損控除という規定は、資産そのものについて生じた損失や災害に関連してやむを得ない支出をしたケースを想定しているため、将来災害が発生するかどうか不明な状態で、その被害発生を予測して予防的に支出する金額まで対象に含めていません。

したがって、資産についての損失が生じておらず、予防的に支出する金額は雑損控除の対象とはなりません。


2016年07月12日

軽減税率とインボイス

軽減税率対象品目及び税率

今年の税制改正では、消費税の軽減税率導入の法規化がありました。

(1)対象品目は、

①飲食料品(食品表示法に規定する食品(酒税法に規定する酒類を除く)で、外食サービスでの対象品を除きます。)、

②定期購読契約が締結された週2回以上発行の新聞、です。


(2)軽減税率は、6.24%(地方消費税と合わせて8%)です。

10%増税は正式に延期が表明された

サミットの場を利用した理由付けを経て、予想通り、正式に延期声明が出されました。

しかし、軽減税率導入・インボイス制度導入の骨格は、今年の税制改正で固まっております。

発せられた声明による延期は来年4月から施行予定の消費税率10%への増税についてであって、同じく来年4月から施行予定のインボイス制度導入については、必ずしも延期されるわけではありません。

ワンセットで導入された軽減税率・インボイス制度のうち、インボイス制度のみは予定通りの施行かもしれません。


適格請求書発行事業者登録制度

インボイスは改正税法では、適格請求書という新しい言葉で規定されています。

マイナンバーとは別にインボイス登録番号が作られます。所轄税務署長に申請して審査を受けて登録番号を確保しなければインボイスは発行できず、逆に、登録番号を授与された者は、課税事業者選択届を提出したと同じことになり、その取消しの届け出をしない限り免税事業者に戻ることができません。

適格請求書等保存方式の創設

インボイス番号のない請求書等には消費税額の記載が出来ず、取引相手は仕入税額控除が出来ないので、番号のない者は経済取引から排除されることになりそうです。

適格請求書(インボイス)への偽り記載や誤認されそうな類似書類の発行は禁じられており、その他消費税法違反で罰金を科されると登録拒否・取消にされることになり、国外事業者だと国税の滞納があることだけで登録拒否・取消になります。


国税庁の最も強い要求

国税庁は番号制度で経済取引への管理強化を実現し、違反・非協力事業者に対する生殺与奪の権限を得たようです。

番号制度が実現するなら増税延期も許容範囲が国税庁の思惑と思われます。


2016年07月11日

バカヤロー解散と交際費

交際費はなぜ「措置法」規定なのか

法人税を勉強し始めると、「交際費は、なぜ租税特別措置法で規定されているのか」と思う方が多いと思います。

交際費課税については、賛否があるとはいえ、すでに「恒久的なもの」と認知されているでしょう。

それにもかかわらず、法人税「本法」でなく、「措置法」のままとなっているのは、この税制が成立したときの国会事情が少なからず影響しています。

当初は「法人税改正案」で提出された

故武田昌輔先生の「法人税回顧六〇年―企業会計との関係を検証する」(TKC出版)によれば、「交際費の損金不算入制度」は昭和28年度の税制改正案では法人税の本法の規定に盛り込まれていたそうです。

当時は「企業の資本蓄積を大いにやりなさい」という議論が出始めた頃。特別償却制度や準備金制度が登場し、交際費についても「できる限り冗費を節約するように」と法案化されましたが、税制調査会などで全く審議がされずに、突如として話が沸いてきたものであったため、財界等の反発が激しかったようです。

ただ、この法案を議論するはずであった国会(衆議院)は吉田茂首相の不規則発言により、3月14日に解散してしまいます(いわゆる「バカヤロー解散」)。

そのため年度内に、交際費を含めた税制改正法案が成立せず、もう話を出す雰囲気ではなくなってしまったようです。

雰囲気が変わった「造船疑獄事件」

翌年(昭和29年)になると、「造船疑獄事件」(海運・造船会社と政府・与党との間の贈収賄をめぐる疑獄事件)が発生します。

この事件により、政界と花柳界との関わりが明らかにされていきます。

野党も「交際費課税は強化すべきだ」と主張し、ムードが一変し、ここぞとばかりに租税特別措置法案として「交際費の損金不算入」制度は国会を通過し、昭和29年度の税制改正で3年間の臨時措置として規定されました。

武田先生の書籍では、これも「3年間だけ我慢して欲しい」という話であったようです。

その後、交際費課税は、世情により強化されたり、緩和されたり、紆余曲折を経て現在の形になっています。


2016年07月08日

有姿除却か評価損か

火力発電所の有姿除却

法人税の裁判で火力発電所の有姿除却(固定資産が物理的に廃棄されていない状態で税務上除却の処理を行うこと)が争われた「中部電力事件」というものがあります。

これは、電力会社が電力供給過剰の状態となったため、法定耐用年数を経過した旧式火力発電所を、電気事業法の廃止手続をとった上で54億円の除却損を計上したところ、税務当局より「実際に解体済みであったものを除き、再使用の可能性がないと客観的に認められない」として否認されたため争いとなったものです。

裁判所は、仮に多大な費用と時間をかけて、低効率な旧式の設備をわざわざ再稼働させる経済的な理由がない――いわば「経済的観点から再稼働することはなかろう」ということで会社が行った有姿除却処理を認めました。


有姿除却の要件

法人税の通達では、次の固定資産については、たとえ廃棄していない状態でも「帳簿価額-処分見込価額」を除却損として損金計上できるものとしています。

①その使用を廃止し、今後通常の方法により事業の用に供する可能性がないと認められる固定資産

②特定の製品の生産のために専用されていた金型等で、当該製品の生産を中止したことにより将来使用される可能性のほとんどないことがその後の状況等からみて明らかなもの

ただ、税務調査では、再稼働の余地があるかないかで意見が分かれることが多く、当時は非常に注目された裁判でした。

評価損の方が「法のハードル」は低い

もし、会社が税務当局との意見の相違を避けるのであれば、「その資産が1年以上にわたり遊休状態にあること」を理由として固定資産の評価損を計上する余地がありました。確かに「評価損」の方が、外見上ハードルが低く、筋が良いようにも見えますが、問題はその「評価損」の額です。

評価損の額は、期末の「時価」との差額ですから、その算定に議論の余地がありそうな上に、有姿除却の場合の「除却損」(帳簿価額-処分見込価額)よりは大きな金額は見込めなかったのでしょう。

有姿除却の方は法のハードルが高くても、認められれば、金額の争いは少ないと思われます。


 
 

2016年07月07日

被保険者資格取得の基準変更

平成28年10月1日から、特定適用事業所に勤務する短時間労働者は、新たに厚生年金保険・健康保険の適用対象となります。

この適用拡大の実施により、厚生年金保険・健康保険の被保険者資格取得の基準も変更となります。

これまでは、労働時間と労働日数が、それぞれ一般社員のおおむね4分の3以上であるときは、原則として被保険者とされていました。


①1日または1週の所定労働時間がおおむね4分の3以上

②1か月の所定労働日数がおおむね4分の3以上


ただし、この基準は一つの目安であり、これに該当しない場合であっても就労形態や勤務内容等から総合的に勘案し、常時的使用関係にあると認められる場合は、被保険者とされていました。

平成28年10月1日以降、この「4分の3基準」が法律上、明確になります。


①1週の所定労働時間が4分の3以上

②1か月の所定労働日数が4分の3以上


「1日」の基準がなくなり、「おおむね」ではなく、「4分の3以上」に明確化されます。

①、②のどちらも満たす短時間労働者については、厚生年金保険・健康保険の被保険者となります。

また、就労形態や勤務内容等から総合的に勘案し、資格取得の可否を判断するという基準も廃止となります。

従って、施行日以後においては、判断基準を明確化・客観化するため、就業規則や雇用契約等で定められた所定労働時間及び所定労働日数に即した判断を行うことになります。

ただし、4分の3基準を満たしていない場合であっても、施行日前から被保険者資格を取得しており、施行日以降も引き続き同じ事業所に使用されている間は、引き続き被保険者資格を有することができます。

2016年07月06日

労働保険の年度更新のポイント

雇用保険料率は引き下げ

労働保険料は前年の4月から今年の3月までに支払った賃金を基に昨年度(平成27年度)当初に概算で申告、納付していた保険料を今年度(平成28年度)の初めに精算します。
この申告納付することを年度更新と呼んでいます。

今年度も申告書は5月末ころに事業所への申告書送付がスタートし、申告と納付は6月1日より7月11日までに行います。

保険料は労災保険料と雇用保険料ですが、労災保険料率の変更はありません。

雇用保険料率は新年度から引き下げられています。

一般の事業1000分の11(前年度1000分の13.5)、農林水産・清酒製造の事業1000分の13(前年度15.5)、建設の事業1000分の14(前年度1000分の16.5)です。


法人番号の記載が必要になる

労働保険の申告書用紙の様式が変更され「法人番号欄」記載欄が追加されています。

法人番号とは国税庁から通知された13桁の番号でこれを記入します。

1法人につき1つ割り当てられるもので、支店や事業所においても同じ番号を記載します。

個人事業主の場合は13桁全てに「0」を記入しておきます。


建設の事業は消費税の取り扱いに注意

建設の事業で労務費率により、保険料の算定基礎となる賃金総額を算出する場合、前年度中に終了した事業については事業の開始時期により消費税率にかかる暫定措置適用の有無が異なっています。

詳しくは年度更新のリーフレットに記載されています。

熊本・大分における地震被害に伴い、労働保険料等の納付猶予を受ける場合

今年の4月に熊本・大分県を中心に発生した地震により、事業経営の為に直接必要な財産(事業財産)に相当の損失(概ね20%以上)を受けた事業主は「納付猶予申請書」および「被災証明書」を提出する事により一定期間納付の猶予を受ける事ができます。

この申請は年度更新申告書の提出とともに行うことも可能です。

ただし、被災額が申告書提出までに確定しない時は災害が止んだ日から2か月以内に行えます。

詳細は厚労省HPでも確認ができます。


2016年07月05日

給与所得控除の上限額引下げ

ビジネスにもあてはまる「80対20の法則」

「80対20の法則」――経営者の方はよく耳にするのではないでしょうか。

経済現象や社会現象において、全体の数値の大部分(おおむね80%)は全体を構成するうちの一部分(おおむね20%)が生み出しているという理論です。

「パレートの法則」「ばらつきの法則」などともよばれています。

ビジネスでは次のような事例が、「80対20の法則」の一例として挙げられます。

・売上の8割が、上位2割の顧客で構成されている

・商品在庫の8割が、全商品銘柄の2割で構成されている

・仕事の成果の8割が、投下時間の2割の時間で創出されている

 このような発想は、累計の上位からAランク(70~80%)、Bランク(80~90%)、Cランク(90~100%)に分類して数値管理を行うABC分析等に活かされています。


1,000万円超の給与所得者が税の1/2を負担

税金の負担の話でも、これと同じようなことが言えます。

給与収入1,000万円を超える方々は、人数構成は4.2%にすぎませんが、その方たちで給与所得者の税額のなんと約半分を納めていることになります。


給与所得控除の上限額の引下げ(H28~)

近年の個人課税は富裕者層の課税を強化しており、上の「所得税の約半分を納めている層」の方々の給与所得控除の上限が段階的に引下げられることになりました。

また、給与所得控除の上限の引下げに伴い、給与所得の源泉徴収税額表(月額表、日額表)、賞与に対する源泉徴収税額の算出率の表その他も見直しが図られています。

2016年07月04日

平成28年度キャリアアップ助成金

キャリアアップ助成金とは

有期契約労働者、短時間労働者、派遣労働者といったいわゆる非正規雇用の労働者(正社員待遇を受けていない無期雇用労働者を含む。以下「有期契約労働者等」と言う)へ企業内でのキャリアアップ等を促進するため、一定の取り組みを実施した事業主に対して助成するもので、有期契約労働者等を次の様な雇用をすることで助成されます。

新年度より3つのコースになりました。

正社員化コース

有期契約労働者等を正社員雇用、多様な正社員等に転換または直接雇用した場合に助成されます。(中小企業の場合の額)

ア、有期⇒正規 1人当たり 60万円

イ、有期⇒無期 1人当たり 30万円

ウ、無期⇒正規 1人当たり 30万円

エ、有期⇒多様 1人当たり 40万円

オ、無期⇒多様 1人当たり 10万円

カ、多様⇒正規 1人当たり 20万円

※ 多様な正社員とは勤務地・職務限定、短時間正社員を指します。

また、加算額もあります。

・派遣労働者を正規雇用

上記ア、ウは1人当たり 30万円

  エ、オは1人当たり 15万円

・勤務地職務限定制度規定した企業10万円


人材育成コース

 有期契約労働者等に職業訓練を行った時。

・賃金助成 1時間当たり 800円

・経費助成 一般職業訓練(off-JT)

 有期実習型訓練(ジョブカード活用)

             最大30万円

 中長期キャリア形成訓練 最大50万円


処遇改善コース

有期契約労働者等にいずれかの取り組みを行った場合。

ア、全てまたは一部の人の基本給の賃金テーブルを改定し2%以上増額させた場合

全てを改定…3万円~10万円×人数

一部を改定…1.5万円~15万円×人数

職務評価手法の活用で1事業所20万円加算

イ、共通処遇推進制度

法定外の健康診断制度を新たに規定し、延べ4人以上実施…1事業所当たり 40万円

共通の賃金テーブル導入・適用…1事業所当たり 60万円

ウ、短時間労働者の週所定労働時間を25時間未満から30時間以上に延長し社会保険を適用した場合…1人当たり 20万円

2016年07月01日

親の預金の使い込み

平成27年の成年後見人の不正件数

高齢者の方、中でも認知症になった親御さんの財産管理は、ご親族にとって悩ましい問題です。

この問題を解決するために設けられたはずの「成年後見制度」ですが、着服などのトラブルが多いため、平成22年から最高裁が不正件数を調査しています。


成年後見人(親族含む)の不正件数等(最高裁)

年 件数 被害金額

H23 311件 33.4億円

H24 624件 48.1億円

H25 662件 44.9億円

H26 831件 56.7億円

H27 521件 29.7億円


新聞報道によれば、平成27年の数字は全体数としては、はじめて減少に転じましたが、「専門家」による不正件数が37件(被害金額1.1億円)と過去最高だったそうです。

成年後見人の「専門家」の占める割合は65%(H26)と増えていることもあり、由々しき問題です。

一方で、それ以外の数字が「親族後見人」の着服であると考えると、これもこれですごい数字です。


子が預金等を使い込んだ場合はどうなる

親族後見人と限らず、子が無断で親の預金を使い込むなど着服をすると、民事上の賠償責任、刑事上の業務横領罪(親族相盗例の適用なし)となるばかりでなく、その着服した金員は、親御さんがその子に対して有する「不当利得返還請求権」(本来の持ち主に返還を求める請求権)として相続税の課税対象となります。

たとえ、相続の発生による「混同」により請求権が消滅することとなっても、税金の問題は残ってしまうということになります。


裁判所の法的解決も「不当利得返還請求」

また、このような問題が相続人当事者間で解決できない場合には、遺産分割調停で争う方法と、訴訟(不当利得・不法行為)で争う方法が考えられますが、これについては、家裁では「不当利得返還請求訴訟」により解決すべきとの意向を示しており、「相手方が預金を解約したこと等を認め、今でも一定の額を預かっていることを認めて、そのお金を遺産として分割の対象とすることに同意した場合」には例外的に遺産分割でも取扱うことができるようですが、それに同意しない場合や預かり額に争いがある場合には、この限りではないようです。

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