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2016年06月 アーカイブ

2016年06月30日

農地の納税猶予が少し変わりました

贈与の納税猶予は「認定農業者」が要件に

平成28年4月より「農地等の贈与税・相続税の納税猶予及び免除」の規定が一部改正されています。

まず一つ目の改正は、「農地等の贈与税の納税猶予」の適用対象者の見直しです。改正前の適用対象者は、贈与者の推定相続人で

①贈与日において18歳以上であること

②3年以上農業に従事していたこと

③贈与後速やかに農業経営を行うと認められることを農業委員会が証明した個人

とされていましたが、これに「認定農業者等」であることが要件に加わりました。

「認定農業者」とは、農業経営基盤強化促進法に基づき、農業者が市町村に「農業経営改善計画書」を提出し、その計画書が認定された方々で、この「認定農業者」になると、交付金の受給や融資などの支援措置を受けることができます(27年6月には24万人が認定済)。今回、この「認定」が贈与税の納税猶予の要件となりました。

漠然とした営農継続ではない、計画的な農業経営が求められることになりそうです。

農地集積バンクへの特定貸付けは要件緩和

また、現在、わが国では、農地中間管理機構(農地集積バンク)を通じた農地利用の集約化が進められていますが、改正前には、農地等の贈与税の納税猶予を受けていた農地等を、贈与税の申告期限から10年(または20年)を経過しないうちに農地集積バンクに貸付けた場合には、納税猶予が継続できる「特定貸付け」制度の適用が受けられず、納税猶予が打ち切られる形となっていました。

これを改め、農地集積バンクへの特定貸付けに限って、この「受贈者の適用期間要件(10年または20年)」を廃止することとなりました。

区分地上権設定による猶予継続の緩和

最後に、相続税・贈与税の納税猶予の打切り事由になる農地の譲渡・貸付けから「区分地上権の設定」が除外されました。

これは、近年、簡易な支柱を立てるタイプの太陽光パネルが発売され、農作物の生育に必要な日照を確保しながら、太陽光パネルの下で耕作することが可能となったことが契機となっています。

農地法ではこの設置につき、区分地上権等を設定することが求められているため、納税猶予が打切りとなってしまうことがネックとなっていました。

改正後は、このタイプの太陽光パネルを設置しても、引き続き営農していれば、納税猶予を継続できます。

2016年06月29日

徴収代行手数料交付制度

ナチスドイツに範をとる

イギリスが1799年にナポレオン戦争の戦費調達のために貴族階級を課税対象に創設した所得税の徴収とともに源泉徴収制度の起源は始まります。

ただ、広く国民大衆を相手にする源泉徴収制度を制度として機能させたのはナチスドイツで、ナチスドイツは税制に対してはかなり先進的で、扶養控除や住宅促進税制など、第二次世界大戦後多くの先進諸国に影響を与えた制度を考案していました。

風雲急を告げる戦時下で始まる

日本では、昭和15年、勤労所得の基礎控除を1,000円から720円に引き下げ、これにより課税対象者を飛躍的に増やし、同時に国の徴税事務の効率化を目的として勤労所得に対する源泉徴収制度を導人しました。

なお、源泉徴収義務者は国から徴税事務を委託された代行人と位置付けられ、納税者一人当たり当初10銭の徴税代行手数料の交付を受けることができました。

その後20銭になり、最終的には50銭になっています。

交付金を得るには、翌年の1月末日までに所轄税務署長に対し請求書を提出するという手続きを経る必要がありました。現在の基礎控除で換算すると、毎年一人当たり263円の徴税代行手数料となり、従業員100人の場合、年間合計交付金26,300円ということになります。

この交付金制度は昭和22年(1947年)に、申告納税制度と年末調整制度の導入に際して、廃止されました。

消費税も源泉徴収で年末調整

消費税の納税義務者は消費者ではなく事業者ではあるのですが、負担者が消費者で、納税は事業者が行うという点では、源泉徴収制度に似ています。それに、事業者に国の徴税実務と徴税計算を押し付けて、税務署の下請け機関となることを、罰則をもって強制している点も同じです。

免税制度廃止、徴収代行控除の導入を

本来は、消費税の導入に際し、源泉徴収制度導入時のように、押し付けた国の徴税実務と徴税計算に要する費用を補填すべきだったのではないかと思うところです。

むしろ免税制度など廃止して、すべての事業者に申告義務を負わせても、徴税代行税額控除(月5万円、年60万円くらい)があれば、1,000万円以下の売上なら納税額は、多くの場合ゼロになります。

2016年06月28日

所有者らしい振る舞い

名義人課税が原則という見解

不動産、株式等の名義の変更があった場合において対価の授受が行われていないときまたは他の者の名義で新たに不動産、株式等を取得した場合においては、これらの行為は、原則として贈与として取り扱うものとする。

これは、贈与に関する税務通達です。

名義借りゆえに贈与課税しない場合

原則は名義人課税だけれど、必ずしも杓子定規にはしません、という次のような取扱通達もあります。

1.これらの財産の名義人となった者(その者が未成年者である場合には、その法定代理人を含む。)がその名義人となっている事実を知らなかったこと。

2.名義人となった者がこれらの財産を使用収益していないこと。


名義借り財産は相続財産

贈与は合意により成立する契約によって財産移動が起きるので、合意形成のない場合は、名義者への所有権移動が起きず、名義借り財産は、名義を借りた者の所有財産のままです。

相続財産とされる名義預金(未成年者の子への親からの資金移動は親権者の行為なので通常は名義借り預金とはならない)などは、その代表例です。

その他、名義土地や名義株式、名義車両船舶などというものも存在し得ることになります。

名義借り車両という裁決判断

親が子供の名前で自動車を購入して、使用していたので、子供に対して課税庁が贈与課税をしたケースにおいて、名義の借用をさせただけで贈与の意思も事実もなく、課税される謂れはないと主張して係争になった事例があります。

審判所は、

①車両の有利購入条件を満たすための名義借り購入であり、

②下取り車両も親のもので、本体代金も親が支払い、

③子は購入時の車種選定に関与しておらず、

④購入車両は親の自宅で保管され、名義貸しの子は日常的に本件車両を使用しておらず、

⑤利用もしない者に対して車両を贈与するとは考え難く、

⑥贈与の事実を疑わせる事情がある、

として処分取消としました。

また、係争中に親は、本件車両を売却して同売却代金を受領し、新たな車両を購入しており、これは正に所有者らしい振る舞いだと評しています。

2016年06月27日

役割等級定義の方法

社内等級制度は賃金等の処遇の基軸となる重要性を持ち、経営者・管理職・一般社員から見て等級の違いがよく分かり、納得性がある等級定義が必要になります。
役割等級定義の方法

①役割等級数の検討

中堅・中小企業では、管理職層で2~3等級、一般社員層で3~6等級が目安となります。


②単線型・複線型の選択、決定

事業推進上、専門的な技術・技能が重要な企業では、管理職層でマネジメント系列・プロフェッショナル系列に分けた複線型等級制度を選択します。

これは、マネジメント系列のみ設定することによって、「管理職にならなければ高い処遇が得られない」と言う社内認識を避け、専門性の高い業務で活躍する社員に将来の昇進・昇格の可能性を制度的に保証するためです。


③役割定義項目の選定

等級の違いを明確に定義するため、一般に、次の項目について定義します。

ⅰ)担当する職務の成果責任、

ⅱ)権限(所管組織の規模・予算等)

ⅲ)職務遂行に必要な能力


④課業分析による役割定義

ⅰ)職種別に各等級の基準職務(管理職層・一般社員層別に平均的と見られる職務)について、課業(まとまり仕事)別に③の項目を調査の上、「職位(=職務)」別に整理、統合して基準職務の役割定義とする。

ⅱ)基準職務から見て上下に実在する全職務について、実態に合うよう基準職務の役割定義を変化させ、それぞれの役割定義とする。

ⅲ)その変化が大きく、等級差をつけることが適当な場合、別等級とする。


⑤等級定義一覧表として整理決定する。

(注)④は、一つの基準職務を、プロジェクトチームのメンバー全員で、理解しつつ、完成の上、全役割定義に拡大すると良い。


経営者・管理者の留意点

等級定義は、経営者層・管理職層・社員を代表する制度設計委員会などによる合意形成、役割定義の実務作業は、社内の職務をよく知っている管理職・社員代表のプロジェクトチームを活用することをお勧め致します。

2016年06月24日

企業の配偶者手当の行方

見直しの時が来そうな配偶者手当

4月から女性活躍推進法も施行され女性の就業環境も広がりつつあります。

今までは税制・社会保障制度に沿い、配偶者の女性がパートタイマー等で就労し労働時間を抑制してきた点はあったと思います。

2015年11月26日に出された「一憶総活躍社会の実現に向けて緊急に実施すべき対策」で制度のあり方を検討することが明記されました。

厚労省にも女性の活躍推進に向けた配偶者手当(家族手当、扶養手当等)のあり方に関する検討会が設置されました。

検討会報告書の討議

4月に公表された報告書では「社会実情の大きな変化の中で、税制や社会保障が就業調整の要因になっている」として「企業が支給する配偶者手当(配偶者の収入要件がある配偶者手当)は働き方に中立的な制度となるよう見直しを進める事が望まれる」としています。

配偶者手当を支給している企業の割合は独立行政法人労働政策研究・研修機構の2014年8月の調査によれば、常用労働者への手当では「通勤手当等」(89.8%)、「役付手当等」(66.2%)に次いで「家族手当・扶養手当」(47.0%)が支給されています。

配偶者手当支給に収入条件の有無は分かりませんが、少し古い2001年内閣府調査のデータでは、家族手当を支給する企業が83.5%、内61.5%が配偶者の収入を条件としています。78.4%が税制上の配偶者控除が適用される年103万円を基準としているということです。

自社の賃金制度はどうなっていくのか

先の検討会報告では従業員構成、家族構成の変化に対応し手当を変更していくだろうとしています。

しかし賃金制度は従業員の生活に関わることです。

人材確保、生産性の向上等企業の存続に影響する重要な問題も絡んでいます。

若い女性の多い職場、また、これからの若い人に活躍してほしい職場は、手当の付け方、賃金制度の名称もモチベーションの上がる魅力的な制度になるよう考えていく必要があるでしょう。

2016年06月23日

法人の青色申告の再承認

前回、青色申告の承認が取消される場合をみていきましたが、取消し後はどうなるでしょうか?

青色申告が取消となった場合でも、再度、青色申告の承認を受けることは可能です。

例えば、期限後申告が2事業年度続いた場合、税務署から「青色申告の承認の取消通知書」が届きます。

1期遅れただけでは、取消にはなりません。

2期連続で遅れた場合に取消となります。

この場合、提出期限に遅れた1期目の申告は「青色」のままですが、2期目の申告については青色が取消されて、「白色」となります。

改めて、「青色申告の承認申請書」を提出し再承認を受けることになりますが、青色申告の取消の通知日から1年間は、「青色申告の承認申請書」の再提出できません。

例えば、3月決算法人が、平成26年3月期と平成27年3月期の2期連続で期限後申告を行い、平成28年2月に取消通知書が届いたとします。

1年間は承認申請書の再提出はできませんので、平成29年3月に再提出し、平成30年3月期から青色申告の再承認となります。

青色申告の承認申請書は、青色の適用を受けたい事業年度開始の日の前日までに提出しなければなりません。

平成26年3月期(期限後申告)・・・青色

平成27年3月期(期限後申告)・・・白色

平成28年3月期(期限内)・・・白色、取消通知書

平成29年3月期(期限内)・・・白色、承認申請書再提出

平成30年3月期(期限内)・・・青色

最低でも3期分は白色が続くことになります。

この白色の期間に発生した欠損金は、もちろん繰り越すことはできませんが、平成26年3月期以前の青色の繰越欠損金が残っている場合には、繰り越すことができます。

2016年06月22日

通勤手当の非課税限度額引き上げ

10万円から15万円に改定

平成28年度の税制改正で通勤手当の非課税限度額が「10万円」から「15万円」に引き上げられ4月から施行されました。

今回の改正で非課税の該当者が若干増えるかもしれません。

従業員に支給する通勤手当について非課税枠が15万円までとなったため、非課税規定で「平成28年1月1日以後に支払われるべき通勤手当」について適用されることになり、改正前の規定を適用して源泉徴収をしていた場合は過納となり、年末調整で精算する必要が出てきます。

改正後の規定が適用されない時

以下の通勤手当については改正後の規定は適用されません。

①平成27年12月31日以前に支払われたもの

②平成27年12月31日以前に支払われるべき通勤手当で平成28年1月1日以後に支払われるもの

③①または②の通勤手当の差額として追加支給されるもの

課税した通勤手当の精算方法

既に支払われた通勤手当は改正前の規定で源泉徴収が行われています。改正後の規定を適用すると過納となってしまった税額については今年の年末調整で精算する必要があります。

手続は次のようになります。

①既に源泉徴収した通勤手当のうち新たに非課税となった部分の金額を計算する。

②平成28年分の源泉徴収簿の「年末調整」欄の余白に「非課税となる通勤手当」と表示し、計算の根拠及び今回の改正で非課税となった金額を記入。

③源泉徴収簿の「年末調整」欄の「給料・手当等①」欄に給料・手当等の総支給金額の合計額から②の新たに非課税となった部分の金額を差し引いた額の金額を記入。

④以上により改正後の規定によって新たに非課税となった部分の金額が本年の給与総額から一括して差し引かれ、その差し引き後の給与の総額を基に年末調整を行う。

⑤給与所得の源泉徴収票の支給金額は通勤手当のうち非課税となる部分の金額を除いて記入する。



2016年06月21日

空き家譲渡の「3,000万円控除」制度

「相続取得」「旧耐震基準」が空き家の典型

平成28年税制改正により「空き家に係る譲渡所得の特別控除(3,000万円控除)」の制度が新たに設けられました(平成28年4月1日からの譲渡より適用)。

この制度の創設の背景には「そもそもの空き家の発生原因は何なのか?」という発想がありました。

国土交通省では「個人家屋が空き家となった理由」のアンケート調査を実施しています。

結果は、実に56.4%が「相続により取得したもの」であるとのことでした。

個人家屋が空き家となった理由(国交省)

1.相続して取得 56.4%

2.新築として注文・購入 20.5%

3.中古として購入 16.9%

4.無償譲渡 2.3%

5.不明 3.8%

さらに、「空き家」化している家屋の約75%が旧耐震基準(昭和56年5月31日以前の建築)で、さらに、その約60%が「耐震性のないもの」と推計されると、国交省は述べています。

新税制は、そのような「相続で取得した旧耐震基準の家屋」という「空き家」の典型例に、まさに「ピンポイント」で対策を講じたものといえます。


空き家に係る譲渡所得の特別控除の特例

28年改正の新制度では、この「空き家」の典型例を、「被相続人居住用家屋」と規定して、譲渡所得の計算上、譲渡益から「3,000万円の特別控除」ができることとしました。


〔被相続人居住用家屋〕

相続開始直前において、被相続人のみが居住の用に供していた家屋で旧耐震基準により建築されたもの(区分所有建物除く)


〔適用要件〕

「被相続人居住用家屋」を相続した相続人が相続時から3年経過する年の12/31までに次の譲渡を行った場合

1.その家屋を耐震リフォームした後のその家屋及び敷地の譲渡等

2.その家屋を除却した後の敷地の譲渡等

特別控除適用上の注意点

なお、この規定を適用する場合、次の点に注意する必要があります。

① 譲渡対価の額が1億円を超えるものには適用されません。

② いわゆる「相続税額の取得費加算」制度とは選択適用となります。


2016年06月20日

パナマ文書の情報限界

パナマ文書2.6テラバイト

パナマ文書の報道では、非営利組織の国際調査報道ジャーナリスト連合(ICIJ)が中心となり、異なる国のさまざまな規模の報道機関が協力して膨大な内部文書の解明にあたっている、とされています。

今回、告発者から送られてきたデータ量は2.6テラバイトとされています。

キロ、メガ、ギガ、テラと3桁ごとの単位なので、1メガをおよそ新聞1日分の文字量とすると、新聞2,600,000日分の文書量です。

盗難文書の正義性

なお、この情報はMossackFonsecaのサーバへのハッキングによる情報流出と報告されています。

日本でも金融・証券に係る民間取引で守秘義務を約することは少なくありません。

TaxHavenにおいては、その守秘義務は日本の公務員と同じく、刑事罰の対象です。

MossackFonsecaは守秘義務違反を犯してないと主張したとしても、その管理責任で刑事罰を問われるのかも知れません。

パナマ文書暴露が正義の行為だとして

パナマ文書の暴露が正義の行為であるか否かは別にして、ベトナム戦争の真相を暴露したペンタゴン・ペーパー事件のエルズバーグがスパイ法違反と窃盗の罪で米政府から求刑された禁固115年と比較すれば、当事者がバレれば同じ扱いを受けることは避けらないでしょう。

日本でも、特定秘密保護法に照らして「不当な取材」を理由に処罰の対象になることになっています。

ただし、今回の事件は、正義感をもった個人の行為ではなく、情報機関の組織的行為と見るほうがむしろ自然に思われます。

パナマ文書は何を暴露できたのか

ただ、今回の暴露情報には金銭財貨の動きを伴なう経済取引情報はほとんど見当たりません。

名前の出た者の全取引情報の開示をパナマに要求すればよいではないかと思われるでしょうが、大抵の場合TaxHavenには何も情報はないのです。

紙上経由地というだけで、全てを管理しているのはシティやウォール街だからです。

OECD主導で「金融情報交換」が順次スタートしていますが、今回の騒動でパナマも参加するとしたものの、実効はないように思われます。

むしろ、シンガポール、バーレーン、リヒテンシュタイン、そして米国が参加拒否していることの意味は、ここが紙の上だけのTaxHavenではないからです。

2016年06月17日

パナマ文書をどう見るべき

パナマ文書と世界のTaxHaven

今年4月3日、マスコミで世界一斉に暴露されたパナマ文書は、タックスヘイブンの利用の一端を垣間見させてくれましたが、世界には60あまりのTaxHavenがあります。

分類すると、まず、スイスやリヒテンシュタインなど老舗のヨーロッパが挙げられます。

戦前はナチスドイツの金庫番の役割を果たしていました。次は、TaxHavenの大半を占めるシティが牛耳る旧英連邦王室属領地や植民地群です。

香港上海銀行HSBCも英国の銀行で、香港のTaxHaven機能を担っています。

その次は米国で、デラウェア州、ワイオミング州、ネバダ州、フロリダ州その他いくつもの州が国内TaxHavenとなっており、海外TaxHavenとしては直接的な勢力圏にある米領バージンやマーシャル諸島、リベリア、パナマ、etcです。


英米圏の海外TaxHavenの特徴

有名なケイマン、ジャージー島、バミューダなどパナマを含めTaxHaven専業のような地域は、吸引している資金の量と無関係に貧しいままで、その果実はシティやウォール街に吸い取られています。

先進資本主義の最先端部分である多国籍企業の当然のプラニングとしてTaxHavenを利用して税源浸食や利益移転(BEPS)を図ることは必要不可欠なこととなっています。

多国籍企業の多くは、TaxHavenで大部分の利益が生じているような決算をしており、その低実効税率は目を見張るばかりです。

既存の指導的な各国家は、自国に係る租税回避以外には関心が薄く、他国での自国企業の租税回避が自国の雇用拡大などの経済貢献の面があると助長的ですらあったため、結果として巡りめぐって各国政府自身が税収を失い、「租税はただ愚直な者によって支払われる」ものとの認識が多国籍企業の中で助長されるに至っています。

パナマ文書との対峙の仕方

TaxHavenには、合法の租税回避資金のみならず、当然に大量の犯罪資金・賄賂資金が流れ込んでいるのですが、そういう資金の拠出者を槍玉に挙げるに止まらず、そういうシステムを作って、巨額に潤っている元凶をこそ退治すべきです。

今年も、BEPSプロジェクトの勧告を踏まえ、移転価格税制の各国共通の様式化、全体像の提供義務付けの整備を創設していますが、本丸を目指さない小さな一歩を進めているような状況です。

2016年06月16日

法人の青色申告の承認の取消

青色申告とは、確定申告の申告方法のひとつで、一定の帳簿書類を備え付けることを条件に、税務署にあらかじめ届出をしておくと、税金面で様々なメリットを受けられる制度です。

法人であれば、その年に発生した欠損金(赤字)を最長9年間繰り越し、翌年以降の所得(黒字)と相殺することができます。

ほかにも、30万円未満の資産の購入費を一度に損金算入できる「少額減価償却資産の特例」などのメリットがあります。

この青色申告の承認が取り消される場合をみてみましょう。

① 帳簿書類を提示しない場合

帳簿書類の備付け、記録・保存(帳簿書類の備付け等)とは、物理的に帳簿書類が存在することを意味するだけではなく、税務職員に提示することも含まれています。

したがって、税務調査時に税務職員から帳簿書類の提示を求められたにもかかわらず、その提示を拒否した場合には、青色申告の承認の取消事由に該当します。

通常、税務署からの要求は複数回に及びますが、いずれも拒否した場合は、提示がされなかった最も古い事業年度以後の事業年度について取消されます。

② 税務署長の指示に従わない場合

帳簿書類の備付け等について、税務署長の指示に従わない場合には、この指示に係る事業年度以降の事業年度について取消されます。

税務署長の指示に応じるよう説得されても、なお指示に従わない場合に承認が取消されます。

③ 隠ぺい、仮装等の場合

次のいずれかに該当する場合には、その事業年度以降の事業年度について取消されます。

a 無申告のために所得金額の決定をした場合または所得金額の更正をした場合において、更正所得金額のうち隠ぺいまたは仮装の事実に基づく所得金額(不正所得金額)が、その更正所得金額の50%を超えるとき

b 欠損金額を減額する更正をした場合において、その更正により減少した部分の欠損金額のうち隠ぺいまたは仮装の事実に基づく金額(不正欠損金額)が、当初の申告に係る欠損金額の50%を超えるとき

c 帳簿書類への記載等が不十分である等のため、推計によらなければ適正な所得金額の計算ができないと認められる状況にある場合

a、bのケースで、不正所得金額と不正欠損金額が500万円未満の場合は除きます。

④ 無申告または期限後申告の場合

2事業年度連続して期限内に申告書の提出がない場合に取消されます。

この場合、2事業年度目の事業年度以後の事業年度について、その承認が取消されます。


そもそも帳簿をつけていないといった場合や、税務署へ提出する帳簿に不備がある場合などは、当然、青色申告の承認の取消し対象となります。

青色申告の承認が取消された場合、あらゆるメリットが受けられなくなってしまいますので、該当しないように注意しましょう。

2016年06月15日

不動産の権利証の紛失で相談窓口

過日、法務省は、熊本県を中心に相次ぐ地震で家屋などが倒壊し、不動産の権利証を紛失した場合の相談窓口を設けました。

その内容は

権利証を紛失しただけで所有権を失うことはない。

登記には印鑑証明書などの本人確認資料も必要で、不正な登記がされる可能性は低い。

不正登記の予防のため、申出をしておけば他人から登記申請があった場合に通知を受け取れる「不正登記防止申出制度」の利用を求める。

というものでした。


権利証の本質

権利証(法令上は「登記済証」または「登記識別情報」)は、不動産の権利(所有権)を持っていることを証明するものですが、手形や小切手などの有価証券と違って、権利証の中に権利そのものが付着しているわけではありませんので、それだけで権利が転々と流通することはありません。

法務省の言う通り、本人なりすまし等で売買できる場合の条件は極々限られています。

家の中に、「権利証」、「印鑑カード」、「カードの暗証番号」、「実印」がセットで置いてあって、それが盗難に遭い、本人なりすまし等の売主が出現したとしても、即一括現金決済に応じた買主が所有権移転登記の安全性を憂慮し、登記申請を司法書士に依頼、司法書士が売主の本人確認を厳重に行った場合には、やはり、なりすまし等の売買は難しいように思います。

注意喚起は買主側にも

注意喚起は、権利証を紛失した人のみならず、買主が大きなリスクを負う場合もありますので、買主側にも必要ではないかと思います。

というのも、このような本人なりすまし等の売買は偽装であり、有効な法律行為でないため、結果、登記も無効であることから、買主は善意の第三者であったとしても、真の所有者から権利の返還を求められれば、登記を戻さなければなりません。真の所有者は、訴訟費用と時間は掛かりますが、最終的に権利は戻ってきます。

一方、買主は、本人なりすまし等の売主に対して損害賠償の請求はできますが、まず、売買代金が戻ってくることはないでしょう。

以上のことから、買主側にも注意喚起が必要だと思います。
 

2016年06月14日

役割等級制度設計の体制

役割等級制度の設計、導入は、企業の人事賃金制度の根幹を見直す重要課題ですから、トップの意思決定に基づき、かつ経営者・管理職・全一般社員が納得する推進体制が不可欠です。


役割等級制度設計目的の明確化

少子・高齢化、価値観の多様化、雇用形態・就労形態の多様化、社内人材構成、社員が現状の等級制度や処遇についてどのような問題を感じているか(人事部門によるアンケートの実施)等から経営環境の変化に伴う従来制度の問題点を明確にし、役割等級制度設計により、問題解決を図るトップの意思決定を行ない、全社に発表します。


制度設計の体制づくり

役割等級制度が、経営者・管理者・一般社員に理解、納得されるために、次の体制をつくります。

①役割等級制度設計委員会(トップ・管理職・中堅社員代表)を編成し、等級と役割定義等、制度設計の重要事項を審議する任務を与える。

②制度設計プロジェクトチーム(人事担当部門管理者がリーダー、同担当者が事務局となり、管理職・中堅社員から選抜)を編成し、役割等級・等級定義に関する
調査、設計を担当させる。

役割等級制度の一般的イメージ

「年功的処遇による能力と処遇の不一致」は、社員アンケートでよく指摘される問題点です。

したがって、担当職務の役割、業務内容・成果責任・必要な能力等から等級定義を明確化し、それに基づく公正な処遇を行なうことが求められます。

役割等級イメージは、中堅・中小企業の場合、管理・専門職層で、2~3等級、一般社員層で3~6等級とすることが多いと言えます。

この等級は、職務調査等によって役割定義(成果責任・権限・必要能力等)を行ない、区分することが必要になります。

経営者・管理者の注意点

制度設計委員会とプロジェクトチームのメンバーは、社内業務の実際に通暁し、実務能力を持った、社内の信頼が得られる人材を選任することが大切です。

労働組合がある企業では、社員の納得を得るため、組合の委員に参加を求めるのが良策です。
  

役割等級制度設計の体制

役割等級制度の設計、導入は、企業の人事賃金制度の根幹を見直す重要課題ですから、トップの意思決定に基づき、かつ経営者・管理職・全一般社員が納得する推進体制が不可欠です。


役割等級制度設計目的の明確化

少子・高齢化、価値観の多様化、雇用形態・就労形態の多様化、社内人材構成、社員が現状の等級制度や処遇についてどのような問題を感じているか(人事部門によるアンケートの実施)等から経営環境の変化に伴う従来制度の問題点を明確にし、役割等級制度設計により、問題解決を図るトップの意思決定を行ない、全社に発表します。


制度設計の体制づくり

役割等級制度が、経営者・管理者・一般社員に理解、納得されるために、次の体制をつくります。

①役割等級制度設計委員会(トップ・管理職・中堅社員代表)を編成し、等級と役割定義等、制度設計の重要事項を審議する任務を与える。

②制度設計プロジェクトチーム(人事担当部門管理者がリーダー、同担当者が事務局となり、管理職・中堅社員から選抜)を編成し、役割等級・等級定義に関する
調査、設計を担当させる。

役割等級制度の一般的イメージ

「年功的処遇による能力と処遇の不一致」は、社員アンケートでよく指摘される問題点です。

したがって、担当職務の役割、業務内容・成果責任・必要な能力等から等級定義を明確化し、それに基づく公正な処遇を行なうことが求められます。

役割等級イメージは、中堅・中小企業の場合、管理・専門職層で、2~3等級、一般社員層で3~6等級とすることが多いと言えます。

この等級は、職務調査等によって役割定義(成果責任・権限・必要能力等)を行ない、区分することが必要になります。

経営者・管理者の注意点

制度設計委員会とプロジェクトチームのメンバーは、社内業務の実際に通暁し、実務能力を持った、社内の信頼が得られる人材を選任することが大切です。

労働組合がある企業では、社員の納得を得るため、組合の委員に参加を求めるのが良策です。
  

2016年06月13日

消費税の還付スキーム 完全にアウト

平成22年度の改正の抜け穴

自販機等の設置による消費税の還付、いわゆる、事業者免税制度及び簡易課税制度を利用した消費税の還付は、平成22年度の税制改正でかなり制約されました。

しかし、現実には、「まだまだできる消費税の還付」、「あきらめてはいませんか?消費税の還付」、といった節税を喧伝する書籍・雑誌等も多く出回っていました。

それもそのはず、還付の制約、すなわち、課税事業者選択不適用届出及び簡易課税選択届出が受理されないのは、あくまで、課税事業者を選択した2年間にマンション等を建築取得(調整対象固定資産の取得)した場合だけであり、課税事業者3年目に取得した場合には、免税及び簡易課税の選択の制約はありませんでした。


平成28年度の改正内容

ところが、平成28年度の税制改正においては、次のような改正がなされました。

①課税事業者が、簡易課税の適用を受けない課税期間中に国内における高額資産(一取引につき、支払対価の額が税抜き1,000万円以上の棚卸資産又は調整固定資産)の課税仕入れ等を行った場合には、当該高額資産の仕入れ等の日に属する課税期間から当該課税期間の初日以後3年を経過する日の属する課税期間までの各課税期間においては、事業者の免税制度及び簡易課税制度は適用できない。

②また、自己が建設等した資産についても、当該建設等(税抜き1,000万円以上)が完了した日の属する課税期間の初日以後3年を経過する日の属する課税期間までの各課税期間において、免税制度及び簡易課税制度は適用できない

とするものです。

この改正は、平成28年4月1日以後に高額資産の仕入れ等を行った場合に適用されます。

なお、平成27年12月31日までに締結した契約に基づき平成28年4月1日以後に高額資産の仕入れ等を行った場合には、従前の適用です。

ですので、ある意味では、事業者免税制度及び簡易課税制度を利用した消費税の還付は、完全に封じ込められた感があります。

今回の改正も、節税を喧伝する書籍・雑誌等が多く出回ったことに起因しているのかもしれません。

2016年06月10日

野球場のシーズン予約席料の取扱い

3月決算法人の「シーズン予約席料」処理

優良企業様の中には、得意先の接待のため贔屓の球団の本拠とするスタジアムのシーズン予約席(ボックスシート)を確保し、3月中にシーズン予約席料を支払っている会社様もいらっしゃるでしょう。

特に3月決算の法人の場合には、決算が絡んできます。

このような場合、交際費の計上や消費税の仕入税額控除は試合数の消化に従って行うのかと疑問に思われる方もいらっしゃると思います。

実務的にはどちらも「開幕日」の属する事業年度(課税期間)に算入・控除して構わないこととなっています。

まず、「野球場のシーズン予約席料」は、主催者と予約者の間の契約に基づくシーズン中における野球観覧を目的とした席料であり、中途解約ができません。

そのため、法人税の交際費は、「接待等のあった日」として交際費等に直接関連する行為があった「開幕日」の属する事業年度で生じたものとされます。


消費税では「入場券」=「整理券」

消費税では、「野球場のシーズン予約席料」は、野球を観覧させるという役務の提供の対価と考えられることから、課税仕入れとして取扱われます。

試合ごとに入場券が交付されることから、消費税の非課税となる「物品切手等」に当たるのではという考えもありますが、この入場券は、シーズン予約者であることを証する一種の「整理券」と考えるのが妥当とされ、これに該当しないこととされています。

そのため、課税仕入れの時期は、現実に役務の提供を受ける日(観覧をする日)となりますが、交際費の算入時期とズレてしまうのも面倒ですので、まとめて「開幕日」として差し支えないこととされています。


2016年06月09日

消費税 軽減税率の概要⑥

適格請求書等保存方式(インボイス制度)

平成29年4月に予定している消費税率10%への引き上げを、平成31年10月まで2年半延期することが正式に表明されました。

ただし、適格請求書等保存方式いわゆるインボイス制度への移行は、当初予定通り、平成33年4月1日から導入することが予想されています。

「適格請求書等保存方式」とは、原則として、適格請求書発行事業者から交付を受けた「適格請求書」または「適格簡易請求書」の保存を、仕入税額控除の要件とする制度です。

税額計算は、「適格請求書」「適格簡易請求書」の記載通りに計算します。

適格請求書発行事業者登録制度

① 適格請求書発行事業者の登録

「適格請求書発行事業者」とは、納税地の所轄税務署長に申請書を提出し、適格請求書を交付することのできる事業者として登録する課税事業者をいいます。

登録については、平成31年4月1日からその申請を受け付けることとされていましたが、変更になるかもしれません。


② 適格請求書発行事業者の公表

適格請求書発行事業者の氏名または名称及び登録番号については、インターネットを通じて登録後、速やかに公表されます。


③ 適格請求書発行事業者の登録の取消

適格請求書発行事業者が登録の取消を求める届出書を納税地を所轄する税務署長に提出した場合には、その登録を取消すことができます。


④ 事業者免税店制度との適用関係


①の適格請求書発行事業者の登録を受けた日の属する課税期間の翌課税期間以降の課税期間については、③の登録の取消を求める届出書の提出が行われない限り、課税事業者として申告義務が発生します。

基準期間の課税売上高が1,000万円以下になった場合でも、登録の取消の手続を行わない限り、免税事業者とはなれません。

適格請求書

「適格請求書」とは、登録を受けた適格請求書発行事業者が発行する請求書です。

記載事項は、区分記載請求書等保存方式と比べて、登録番号、消費税額の記載が追加となります。

① 適格請求書発行事業者の氏名又は名称および登録番号


② 課税資産の譲渡等を行った年月日


③ 課税資産の譲渡等に係る資産又は役務の内容(課税資産の譲渡等が軽減対象資産の譲渡等である場合には、資産の内容及び軽減対象資産の譲渡等に係るものである旨)


④ 課税資産の譲渡等に係る税抜価額又は税込価額を税率の異なるごとに区分して合計した金額および適用税率


⑤ ④に対する消費税額等


⑥ 書類の交付を受ける当該事業者の氏名又は名称


適格簡易請求書

「適格簡易請求書」とは、記載事項が適格請求書よりも簡易なものをいいます。

小売業、飲食店業、写真業、旅行業、タクシー業または駐車業等の不特定多数の者に対して課税資産の譲渡等を行う一定の事業が対象となります。

① 適格請求書発行事業者の氏名又は名称および登録番号


② 課税資産の譲渡等を行った年月日


③ 課税資産の譲渡等に係る資産又は役務の内容(課税資産の譲渡等が軽減対象資産の譲渡等である場合には、資産の内容及び軽減対象資産の譲渡等に係るものである旨)


④ 課税資産の譲渡等に係る税抜価額又は税込価額を税率の異なるごとに区分して合計した金額


⑤ ④に対する消費税額等または適用税率


不特定多数の者が対象となるため、交付を受ける事業者の氏名又は名称は省略することができます。


予定通りですと、平成31年10月の増税から、1年半でインボイス制度が適用となります。

請求書のフォーマット変更など、経費がかかることですので、早めに対応して、無駄な出費は抑えたいところです。

2016年06月08日

休憩時間が取れなかった時の対応

休憩時間の法則

勤務時間の休憩時間は労働時間が6時間を超える時は45分以上、8時間を超える時は1時間以上与えることとなっています(労働基準法第34条)。

内勤業務の場合は休憩時間中に仕事を命じれば法定休憩時間分までは別に与える必要があります。

しかし外勤をしていた場合に忙しくて休憩時間が取れなかったというような時はその分の賃金を保障するものなのでしょうか。


外回りの仕事で注意すること

外勤でも内勤でも休憩時間の考え方は同じですが、考慮する点があります。

外勤は

①事業場外みなし労働時間制に関する労使協定が結ばれていれば、協定で定めた時間を労働したとみなします。

ただし事業場外みなし労働時間制を採っても休憩時間、深夜、休日に関する規程の適用は除外されません。

外勤であれば休憩の一斉付与は難しいですが、休憩時間も考慮して「労務を遂行するために通常必要な時間」を定める必要はあります。


②社有車で外出している人の場合、外勤者がいつ休憩時間を取るかは本人の自由ですが、社有車で移動する場合、その管理責任が付きまといます。

例えば社有車の中で昼食を済ませ、休憩も取れなかったということもあるでしょう。

それは労働時間として取り扱うものなのでしょうか。

また、物品の監視義務については、社有車を使用している間の全てを監視中と見るのも不合理でしょう。

車中に留まり、常時目を離してはならない等の決まりが課されていて、監視の方法に厳格な決まりがある等の職務的拘束が強い場合は休憩時間であるとは言えないかもしれません。


自由使用の原則には反しない

内勤では会社が具体的に指示して、電話当番させる等している場合は労働時間とも言えますが、指示もしておらず本人の休憩時間を取らなかったとしてもそれは休憩時間自由の原則には反しないと考えられます。

忙しくて休憩が取れなくとも、会社からの命令で休憩時間に仕事させているのでなければ原則保障をすることはないと言えるでしょう。


2016年06月07日

女性活躍推進法とは

職場における女性の活躍を推進する法律

平成28年4月より「女性活躍推進法」が施行されました。

この法律はどのような内容なのか見てみましょう。


労働者301人以上の企業は、女性の職務における活躍の推進に向けた行動指針の策定等が義務付けられました(300人以下の場合は努力義務とされています)。


事業主行動計画の策定等

行動計画とは何をするのでしょうか。

①自社の女性の活躍状況を把握し課題分析を行います。………ア. 女性の採用比率、イ. 勤続年数男女差、ウ. 労働時間の状況、エ. 女性管理職比率


②状況把握・課題分析を踏まえて、行動計画の策定、届出、公表………行動計画の必須記載事項は、ア. 目標、イ. 取組内容、ウ. 実施時期、エ. 計画期間、オ. 取組実施・目標達成の努力義務


③女性の活躍に関する情報の公表………女性の職業選択に資するよう省令に定める情報(限定列挙)から事業主が適切と考えるものを公表


④認定制度………認定基準に沿って該当企業には優良企業の認定が与えられる


⑤履行確保措置………厚生労働省大臣による報告徴収・助言指導・勧告

具体的な取組とは

自社に次の様な必要な項目に関する効果的な取組を規定します。

・女性の積極採用に関する取組

・配置・育成・教育訓練に関する取組

・継続就業に関する取組

・長時間労働是正等、働き方の改革の取組

・女性の積極登用・評価に関する取組

・雇用形態や職種の転換に関する取組(パ-トから正規雇用へ、等)

・女性の再雇用や中途採用に関する取組

・性別役割分担意識の見直し等、職場風土改革に関する取組

現状はどうなのか

政府の女性活躍の目標値は2020年に女性管理職割合を30%まで持っていくと言うことですが、日経新聞の「社長100人アンケート」によると現状の女性管理職割合は「ほとんどいない」が45%、「1割前後」は37.9%、管理職割合目標は「1割前後」が49.6%、「2割前後」が11.9%、でした。

管理職を育てるのは時間がかかります。

政府目標通りにはなかなかなれないかもしれません。

2016年06月06日

人事賃金制度の基軸

社内等級制度には、職能資格制度・職務級制度・役割等級制度などがあります。

一般に、評価制度を介して賃金制度・退職金制度・昇格・昇進・配置・異動等の人事制度に繋がっており、それらの基軸となっています。

近年の基軸の変化動向

2015年度の日本経団連の調査結果によれば、500人未満の中堅・中小企業について、表に示した通りの変化の動向が見られ、その主な点は次の通りです。

①管理職は、相互関係が深いと思われる役割・成果・仕事職務の割合合計が現在・今後とも70%程度であるのに対して、職務遂行能力の割合は30%以下である。

職務遂行能力の発展段階を終り、仕事・役割を果たした結果としての成果を求める企業の姿勢が示されている。


②非管理職は、仕事職務・役割・成果の合計割合が現在・今後とも50%程度と管理職より低く、職務遂行能力の割合が現状36.2%、今後40.8%と管理職に比べて重視されている。

これは中堅以上では仕事・役割に応じた成果も求められていること、また、非管理職は、育成段階にあることから、職務遂行能力を重視して評価。処遇しようとする企業の姿勢が見られる。


③管理職・非管理職とも今後成果を重視する傾向が見られる一方、年齢・勤続を基軸とする割合は低下する。

経営者の留意点

人事賃金制度の基軸としての社内等級制度は、賃金制度等の処遇制度と連結し、社員個々の意欲向上、さらには企業組織全体の力を高めることにつながる重要な制度です。

その導入、改定にあたっては、「どのような人材に活躍して欲しいのか」、企業理念・人事理念に立ち返って熟慮しましょう。

人事賃金制度の基軸

社内等級制度には、職能資格制度・職務級制度・役割等級制度などがあります。

一般に、評価制度を介して賃金制度・退職金制度・昇格・昇進・配置・異動等の人事制度に繋がっており、それらの基軸となっています。

近年の基軸の変化動向

2015年度の日本経団連の調査結果によれば、500人未満の中堅・中小企業について、表に示した通りの変化の動向が見られ、その主な点は次の通りです。

①管理職は、相互関係が深いと思われる役割・成果・仕事職務の割合合計が現在・今後とも70%程度であるのに対して、職務遂行能力の割合は30%以下である。

職務遂行能力の発展段階を終り、仕事・役割を果たした結果としての成果を求める企業の姿勢が示されている。


②非管理職は、仕事職務・役割・成果の合計割合が現在・今後とも50%程度と管理職より低く、職務遂行能力の割合が現状36.2%、今後40.8%と管理職に比べて重視されている。

これは中堅以上では仕事・役割に応じた成果も求められていること、また、非管理職は、育成段階にあることから、職務遂行能力を重視して評価。処遇しようとする企業の姿勢が見られる。


③管理職・非管理職とも今後成果を重視する傾向が見られる一方、年齢・勤続を基軸とする割合は低下する。

経営者の留意点

人事賃金制度の基軸としての社内等級制度は、賃金制度等の処遇制度と連結し、社員個々の意欲向上、さらには企業組織全体の力を高めることにつながる重要な制度です。

その導入、改定にあたっては、「どのような人材に活躍して欲しいのか」、企業理念・人事理念に立ち返って熟慮しましょう。

2016年06月03日

外国人留学生のアルバイト採用

学生アルバイトの応募が増える季節

桜が終わり、あっという間に新緑の季節がやってきました。
新しい年度が始まって1か月もすると学校生活もひと段落しますので、例年5月頃は学生のアルバイト応募数が多くなる時期のようです。

日本学生支援機構(JASSO)の調査によると、近年は中国・韓国に加えて東南アジア出身の学生数増加もあり、平成27年度5月時点で日本に滞在する留学生は20万人を超え、外国人留学生のアルバイトを採用することも珍しくなくなりました。

熱心に仕事へ打ち込む留学生も多く、人材不足に悩む企業にとってはとてもありがたい存在ですが、彼らの本分はあくまで学業ですので、雇用主として、守るべきルールをしっかりと押さえることが必要です。


留学生なら必ず働けるわけではない

外国人は、滞在目的に合わせた「在留資格(≒ビザ)」を有することで日本に滞在でき、留学生は「留学」という在留資格を持っています。

この在留資格はその名の通り、勉強することが滞在の目的であり、本来は働くことが許されていません。

しかし、事前に許可を得ることで、学業を阻害しない程度、具体的には週28時間以内(教育機関の長期休暇中は1日8時間以内)であれば、アルバイトをすることが認められます。

これを「資格外活動許可」といい、この許可を得たあとでなければアルバイトとして働くことはできません。

面接時の注意点

「資格外活動許可」を持っているかどうかは、「在留カード」と呼ばれる外国人の身分証明書を見ると確認できます。

表面には「就労不可」と記載されていますが、裏面の「資格外活動許可欄」に「許可」とあれば週28時間以内のアルバイトが可能です。

仕事の種類に定めはありませんが、風俗営業関連は認められないため、パチンコ店やゲームセンター、キャバクラなどでは、たとえ皿洗いやティッシュ配りであってもアルバイトすることができません。

また、注意したいのがアルバイトの「掛け持ち」です。

この「週28時間」は各アルバイト先での稼働時間の合計が28時間以内になるよう厳守しなければなりません。

違反すると留学生本人は在留資格を更新できなくなるほか、雇用主も不法就労助長罪として罰せられる可能性がありますので、シフト調整の際には十分注意してください。


2016年06月02日

消費税 軽減税率の概要⑤

売上税額又は仕入税額の計算の特例の概要

来年4月の消費税増税について、どうやら再延期となるようです。

いずれは増税になる予定ですので、ここでは、売上税額又は仕入税額の計算の特例に係る経過措置の概要を見ていきたいと思います。

● 売上税額の計算特例

売上を税率ごとに区分することが困難な事業者は、次の方法により軽減税率の対象売上及び売上税額を計算することができます。

① 仕入を税率ごとに管理できる卸売業・小売業を営む事業者

卸売業・小売業に係る売上に、「小売等軽減仕入割合」を乗じた金額を軽減税率対象品目の売上とし、売上税額を計算できます。

小売等軽減仕入割合 = 卸売業・小売業に係る軽減税率対象品目の仕入額 / 卸売業・仕入業に係る仕入総額

② ①以外の事業者

売上に「軽減売上割合」を乗じた金額を軽減税率対象品目の売上とし、売上税額を計算できます。

軽減売上割合 = 通常の連続する10営業日の軽減税率対象品目の売上額 / 通常の連続する10営業日の売上総額

③ ①・②の計算が困難な事業者

①・②の計算が困難であり、主に軽減税率対象品目を販売する事業者は、これらの割合を50%として売上税額を計算できます。

適用期間は、中小事業者(基準期間における課税売上高が5,000万円以下の事業者)は、平成29年4月1日から平成33年3月31日までの期間、中小事業者以外の事業者(基準期間の課税売上高が5,000万円超の事業者)は、平成29年4月1日から平成30年3月31日の属する課税期間の末日までの期間となります。

仕入税額の計算特例

仕入を税率ごとに区分することが困難な事業者は、次の方法により軽減税率の対象仕入及び仕入税額を計算することができます。

① 売上を税率ごとに管理できる卸売業・小売業を営む事業者

卸売業・小売業に係る仕入に、「小売等軽減売上割合」を乗じた金額を軽減税率対象品目の仕入とし、仕入税額を計算できます。

小売等軽減売上割合 = 卸売業・小売業に係る軽減税率対象品目の売上額 / 卸売業・仕入業に係る売上総額

適用期間は、平成29年4月1日から平成30年3月31日の属する課税期間の末日までの期間となります。


② ①以外の事業者


・中小事業者

消費税簡易課税制度選択届出書を提出した課税期間から簡易課税制度を適用することができます。

適用期間は、平成29年4月1日から平成30年3月31日までの日の属する課税期間となります。


・中小事業者以外の事業者

簡易課税制度を準用して仕入税額を計算できる特例が、経過措置として設けられています。

適用期間は、平成29年4月1日から平成30年3月31日の属する課税期間の末日までの期間となります。

2016年06月01日

傷病・出産手当金の計算方法の変更

今までとこれからの計算方法

平成28年4月から健康保険の傷病手当金と出産手当金の支給額の計算方法が変更されました。

支給開始される前1年間の給与を基に計算した金額で支給されます。


今までの支給額の計算の方法は、

1日当たりの金額(休んだ日の標準報酬月額)÷30×3分の2

これからの計算方法は、
1日当たりの金額(支給開始日以前の継続した12か月間の各月の標準報酬月額を平均した額)÷30×3分の2

支給開始日以前の期間が12ヶ月に満たない場合

①支給開始日の属する月以前の継続した各月の標準報酬月額の平均値

②28万円(当該年度の前年度の9月30日における全被保険者の同月の標準報酬を平均した額)

①と②を比べて少ない方の額を使用して計算します。

支給開始日以前に12か月の標準報酬月額がある場合

支給開始日以前の12か月の各月の標準報酬を合算して平均額を算出します。


1年間に標準報酬が変更されている場合

例えば1年に標準報酬月額が26万円の月が2か月、30万円が10か月であったとします。

(26万円×2+30万円×10)÷12÷30×3分の2=6520円となります。

※30日で割った後1の位を四捨五入

※3分の2で計算した金額に小数点があれば小数点第1位を四捨五入します。

傷病・出産手当金を受ける要件

①傷病手当金は業務外の傷病について給付

イ、病気やけがの療養で働くことができない

ロ、連続する3日(待期期間)を含め4日以上仕事を休んでいること

ハ、給与の支払いが無いか、支払額が傷病手当金より少ないこと


②出産手当金

イ、被保険者が出産したこと(被扶養者は対象外)

ロ、妊娠4か月(85日)以上の出産である

ハ、出産のため仕事を休み給与の支払いが無いか、その額が出産手当金より少ないこと


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