記帳代行・会計コンサルティング会社

日本タックスサービスは税理士・公認会計士による記帳代行・会計コンサルティング会社です。

税理士トップ税理士会社概要アクセス税理士事務所リクルートお問い合わせサイトマップ

« 2016年03月 | メイン | 2016年05月 »

2016年04月 アーカイブ

2016年04月28日

消費税 軽減税率の概要②

(1) 軽減税率制度の区分経理

平成29年4月からの軽減税率制度の導入により、事業者は日々の業務において、税率の異なる売上や仕入・経費を区分経理した上で、申告・納税を行う必要があります。

軽減税率の対象品目を取り扱っている事業者はもちろんのこと、軽減税率の対象品目を取り扱っていない事業者や、課税事業者と取引を行う免税事業者も、事務を行ううえで影響を受けます。

① 課税事業者が必要となる事務

軽減税率の対象となる飲食料品を取扱う小売・卸売業(スーパーマーケット、青果店等)、飲食業(レストラン等)だけでなく、会議費や交際費として飲食料品を購入する事業者についても区分経理を行うことが求められます。

申告の際に適切に消費税額を計算するため、軽減税率が適用される売上・仕入・経費と、標準税率が適用される売上・仕入・経費を、それぞれ集計し、区分して記帳する必要があります。

② 免税事業者が必要となる事務

軽減税率の対象品目の売上がある事業者は、課税事業者と取引を行う場合に、相手方から区分記載請求書等の交付を求められる場合があります。


いずれに該当する事業者も、日々の業務において、顧客(消費者)から適用税率を聞かれる場合、顧客(事業者)から請求書(領収書)の発行を求められる場合などがあるため、適切に商品管理を行い、個々の商品の適用税率を把握しておく必要があります。

その際、複数税率に対応したレジの導入等やシステムの改修等が必要になるかもしれません。


(2) 対象品目となる「飲食料品」

軽減税率の対象となる「飲食料品」とは、食品表示法に規定する食品(酒税法に規定する酒類を除く)をいいます。

人の飲用または食用に供されるものとして販売するものであるかどうかにより判断することが原則となります。

例えば、工業用として販売される塩など、飲用又は食用以外の用途で販売されるものは該当しません。

なお、食品表示法に規定する「食品」とは、すべての飲食物をいい、「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」に規定する「医薬品」「医薬部外品」「再生医療等製品」を除き、食品衛生法に規定する「添加物」を含むものとされています。

ただし、次の課税資産の譲渡等は、飲食料品の譲渡に含まれません。

① 外食

テーブル、いす、カウンター等の飲食に用いられる設備のある場所で行う、飲食料品を飲食させるサービス

② ケータリング・出張料理等

顧客が指定した場所において行う、加熱、調理または給仕等の役務を伴う飲食料品の提供


有料老人ホーム等の一定の生活を営む施設において行う一定の飲食料品の提供や学校給食等は、「ケータリング・出張料理等」から除外され、軽減税率(8%)の適用対象となります。

2016年04月27日

組み合わせ事業の許認可

許認可も「組み合わせ」?

猫と触れ合いながらカフェサービスを利用できる「猫カフェ」。

最近では、猫以外にもうさぎカフェやフクロウカフェなど、様々なジャンルの動物に会えるカフェも登場しているようです。

「カフェ」と「猫との触れ合い」を組み合わせたこの「猫カフェ」のように、事業を組み合わせて新しいサービスを提供する際には、複数の許認可を必要とすることがあります。

猫カフェと許認可

カフェを営業する際には、「飲食店営業許可」などの食品関係営業許可が必要です。

猫カフェも飲食物を提供する場合は、提供する食品の種類により許可を取得する申請を管轄の保健所で行います。

次に、「猫」を取り扱うために必要なのが「第一種動物取扱業」の登録で、これも先述の「飲食店営業許可」同様、管轄保健所で行います。

しかし食品衛生上、両者は相反する性質であることから、カフェスペースと猫と触れ合うスペースは区分けされていることが求められます。

現在、猫カフェのような営業形態については統一的な営業許可がないため、「どこまで明確に区分すべきか」という見解は自治体ごとに異なります。

物件を決め、内装工事が全て完了した後に相談したら必要な許認可が得られなかったという事態にならないよう、必ず事前に相談しましょう。

一か所で複数の許認可を取得するときには

複数の許認可を要するサービス形態は猫カフェに限りません。

たとえば、飲食店のオーナーが店舗でワインの販売も行いたいと考えた場合、保健所で「飲食店営業許可」を、税務署で「酒類販売免許」の申請をすることになりますが、実は本来、飲食店と同一の場所で酒類の販売を行うことは法律上禁止されています。

例外的に、飲食店舗部分と酒類販売店舗部分が明確に区分されていることなど、一定の条件を満たした場合のみ酒類販売免許が交付されますが、この区分けが明確にされているかどうかは個別に審査されます。

このように、一か所で複数の許認可を要する事業では、まずその事業に必要な許認可を調べ、各行政機関で許認可要件を確認し、相反する要件がないか、ある場合にはどうクリアすべきか、事前の相談と手続きの順序立てが重要です。

「前はできたから大丈夫」、「他社でやっているからできるはず」と前例や同業他社の営業から安易に判断せず、その都度個別に検討しましょう。


2016年04月26日

特定労働者派遣事業の廃止と経過措置

労働者派遣事業が許可制に一本化

平成27年9月30日に労働者派遣法が改正され、労働者派遣制度が大きく変わりました。

そのうちの一つに、「特定労働者派遣」と「一般労働者派遣」の一本化が挙げられます。

「特定労働者派遣」は仕事があるときだけ雇用するのではなく、自社と雇用契約を結んでいる常用の労働者を派遣するもので、雇用の安定性が確保されていることから、届出をすれば行うことができる「届出制」でした。

しかし、昨年の改正により「特定」と「一般」の区分がなくなり、定められた一定の要件を満たした場合にのみ労働者派遣を「許可」される「許可制」に一本化されています。

現在は経過措置として、施行日時点で特定労働者派遣事業を営んでいた方は、引き続き3年間行うことができますが、その後も労働者派遣事業を営む場合には、新たな基準に沿った「許可」を改めて取らなければなりません。

「ヒト・モノ・カネ」

「許可」されるための要件は、概ねこれまでの「一般労働者派遣事業」の許可を取る際の要件に沿ったものです。

「許可」の要件は大まかに「ヒト・モノ・カネ」の3点に分類できますが、中でも多くの経営者にとって悩ましいのが「カネ」、つまり財産に関する要件になるでしょう。

許可基準とされる財産要件は、

①基準資産額が「2000万円×事業所数」以上、かつ、負債の総額の7分の1以上であること

②現預金額が「1500万円×事業所数」以上であること

で、「基準資産額」とは、資産(繰延資産及び営業権を除く)の総額から負債の総額を控除したものを指します。


緩和措置を利用しながら計画的に

これだけの財産要件となると、少数精鋭で派遣していた事業者にとってはかなりのハードルです。

そこで現在は暫定的に、事業所が1か所の小規模事業で「常時雇用している派遣労働者が10人以下である中小企業については、当分の間、基準資産額が1000万円、現預金額800万円」、「常時雇用している派遣労働者が5人以下である中小企業については、平成30年9月29日までの間、基準資産額が500万円、現預金額400万円」という緩和措置が設けられています。

このような緩和措置を利用しつつ、今から計画的に準備することが必要です。


2016年04月25日

派遣事業のキャリア形成支援と雇用みなし制度

派遣労働者に対するキャリアアップ支援

平成27年9月30日に改正された労働者派遣法では、派遣元には派遣労働者に対するキャリアコンサルティングを行う事が義務付けられました。

派遣業の許可基準として派遣労働者のキャリア形成を支援する制度で、許可申請時に支援に関する規定を添付する必要があります。

教育訓練の範囲や時間数については大臣基準や実施計画で定められ、内容については派遣元の許可取り消しも含めた指導監督を行うとしています。


キャリアアップのための大臣基準とは

①キャリア形成を念頭に置いて派遣先業務を選定する旨を明示的に記載した手引書

②全ての派遣労働者が利用出来る相談窓口

③キャリアコンサルティングの知見を有する者(有資格者、人事担当者、営業担当)

④教育訓練の実施計画を作成

この実施計画とは全ての派遣労働者を対象とし、有給無償で行い、派遣労働者のキャリアアップに資する。

少なくとも当初の3年間は年1回以上、年8時間以上(フルタイム者の場合)で無期雇用者は長期的なキャリア形成を訓練し、雇用1年未満見込みの場合は入職時訓練を行う事となっています。派遣元は計画的な教育訓練を実施し、事業報告をする必要があります。派遣先も職務遂行能力に関する情報を派遣元へ提供する努力義務が課せられており、1年以上派遣する労働者には自社の社員募集情報を周知する必要があります。

労働契約申し込みみなし制度

この制度は期間制限の違反や偽装請負といった違法行為が行われた時に派遣先へのペナルティとして、派遣先が派遣労働者に対して派遣元と労働者との労働契約と同一条件の労働契約を申し込んだものと「みなす」制度です。対象となる違法行為とは、

①労働者派遣法の禁止業務に従事させた

②無許可・無届けの派遣元からの受け入れ

③派遣可能期間を超えて受け入れた

④いわゆる偽装請負

以上のように派遣先においては派遣労働者と労働契約が成立する場合もあるので留意が必要でしょう。


2016年04月22日

国際結婚・国際離婚と会社の関わり

外国人社員の国際結婚・国際離婚

日本での国際結婚件数は年間約3万件にも上る一方、国際離婚の件数は年間約1万8000件とされ、どちらも今や決して珍しいことではなくなってきました。

「結婚や離婚はプライベートなことなので、会社は直接関係ない」と思うかもしれません。

でもこの「国際結婚」と「国際離婚」は、日本にいる外国人の方にとっては、会社での勤務と密接に関係する場合もあります。

身分に基づく「日本人の配偶者等」のビザ

外国人の方が日本に滞在するためには、全部で30種類ある「在留資格(≒ビザ)」を滞在目的に合わせてどれか1つ取得しなくてはなりませんが、この「ビザ」は大まかに「①活動内容に基づくビザ」と「②身分に基づくビザ」の2パターンに分けられます。

①は例えば「就労」を目的とする「活動内容」に基づき許可されるもので、具体的には「技術・人文知識・国際業務」のビザなどが挙げられます。

一方で②は、その外国人の「身分」に基づいて許可されるようなビザで、日本人と国際結婚をした外国人の方が「日本人の配偶者」たる身分になったことで得られる「日本人の配偶者等」のビザ(いわゆる結婚ビザ)などがこれに当たります。

「日本人の配偶者等」のビザを持っている場合、①のように活動内容が定められているわけではないため、就労に関する制限はありません。

就業内容をあまり気にせず、日本人社員同様、柔軟に働いてもらうことが可能です。

そのため、元々は就労目的で来日した外国人社員が、日本人との結婚を機に「日本人の配偶者等」のビザへ切り替えることも少なくありません。

もしも日本人と離婚してしまったら

「技術・人文知識・国際業務」のビザのように、自分の活動内容に基づくビザであれば、離婚により日本人の配偶者たる身分がなくなっても影響はありません。

しかし、もし「日本人の配偶者等」のビザを持つ外国人がその身分を失ってしまった場合、その時点で該当性がなくなってしまいますので、速やかにビザの変更をしなくてはなりません。

また、変更した結果、得られるビザが就労制限のあるものであった場合は、就業内容によって配置転換を検討しなくてはならないこともあります。

会社がプライベートなことに立ち入るのは心苦しいという気もしますが、勤務体制に影響する可能性もありますので、気にしておく必要があります。。

2016年04月21日

消費税 軽減税率の概要

平成29年4月の消費税率10%への引上げまで一年を切りました。

九州の地震の影響や景気の不透明感などにより慎重論もありますが、現在のところ予定通り引上げが行われる見込です。

消費税率の引上げと同時に、消費税の軽減税率制度が導入されます。

消費税等(消費税及び地方消費税)の税率が、軽減税率8%と標準税率10%の複数税率になります。

国税庁から、「消費税の軽減税率制度に関するQ&A」が公表されていますので、概要をご紹介します。


1 軽減税率の対象品目

① 飲食料品(酒類を除く)

② 週2回以上発行される新聞(定期購読契約に基づくもの)

①の飲食料品の譲渡には、いわゆる「外食」や「ケータリング」は含まれません。

また、保税地域から引き取られる飲食料品についても軽減対象課税貨物として軽減税率の対象となります。

2 区分記載請求書等保存方式

平成29年4月1日から平成33年3月31日までの請求書等及び帳簿の記載と保存は、次のようになります。

軽減税率制度の導入に伴い、消費税等の税率が、軽減税率8%と標準税率10%の複数税率になりますので、消費税等の申告等を行うためには、事業者が取引等を税率の異なるごとに区分して記帳するなどの経理(区分経理)を行う必要があります。

また、これまでも消費税の仕入税額控除を適用するためには、請求書等及び帳簿の保存が要件とされていましたが、今後は、こうした区分経理に対応した請求書等及び帳簿の保存が要件となります。

3 税額計算の特例

区分経理することができない事業者の方には、売上税額や仕入税額の計算の特例に係る経過措置が設けられています。

① 小売等軽減仕入割合の特例

② 軽減売上割合の特例


4 適格請求書等保存方式(インボイス制度)

平成33年4月1日以降の請求書等及び帳簿の記載と保存は、いわゆる「インボイス制度」が導入されます。

「インボイス」とは、適用税率や税額など法定されている記載事項が記載された請求書などの書類をいいます。

課税事業者は、適用税率・税額が記載されたインボイスの発行が義務付けられ、このインボイスの税額を元に、消費税額を申告します。


消費税の軽減税率制度は事業者のみならず、日々買い物をする私たち消費者にも大きく関係してきますので、今後、注目していきたいと思います。


2016年04月20日

目標達成方法の検討

目標達成方法を検討している時や目標達成プロセスで行き詰まった場合、何か良い達成方法がないか検討する必要が生じます。

そのような場合、単に何か良い方法はないか、と考えるのではなく、「オズボーンのチェックリスト」を活用すると良い方法を見つける助けになります。


オズボーンのチェックリストとは

 このリストは次の通りです。

1.転用

他から転用できる方法はないか


2.応用

何かの真似ができないか


3.変更

意味・働き・型などの変更はできないか


4.拡大

より大きく、強く、高く、長く、厚くできないか、時間や頻度などを変えられないか


5.縮小

より小さく、軽く、弱く、短くできないか、省略・分割・減少はできないか


6.代用

人・物・材料・素材・製法・動力・場所を代用できないか


7.再利用

要素・型・配置・順序などの再利用はできないか


8.逆転

反転・前後転・左右転・上下転・順番転・役割などの転換をしてはどうか


9.結合

合体・ブレンド・ユニットや目的を組み合わせたらどうか

この発想法は、キーワードの助けを借りて、思いがけない良いアイデアを得ようとするものですが、逆にアイデアがキーワードの束縛を受けないか、と言う批判もあります。

経営者・管理者の留意点

このようなチェックリスト法を活用する際の最大の注意点は、だれか一人の担当者にやらせるのではなく、関係者が「ブレインストーミング」によって、年齢・経験・性別に関わりなく自由に、相互に否定することなく発言できる環境の下で発想できるようにすることです。

複数のアイデアが競合した時は、衆目評価法(参加者全員による点数評価法)によると良いでしょう。

このような進め方は全員の目標達成意慾高揚に効果的です。

2016年04月19日

杭打ち偽装事件解決金への課税

姉歯事件よりも深刻な杭打ち事件

昨2015年秋の横浜マンション建設杭打ちデータ偽装事件は、マンションが傾くという深刻な実害により発覚しました。

2005年の耐震強度構造計算書偽装事件(「姉歯事件」)は内部告発で発覚しましたが、東日本大震災でも実害報告はされていません。


類似の先行事例が税務訴訟に

杭打ちデータ偽装事件は、「あり得ないことが起きた」というような報道ぶりでしたが、昨年2月地裁判決のあった八王子税務署管内の事件は、マンション躯体の大規模瑕疵発覚で、「その団地の各建物の改築工事等がなされた」という類似のものでした。

マンション新築は平成元年、瑕疵発覚は平成12年1月、改築工事は平成17年4月から20年12月まで、改築完了後各区分所有者は、順次新建物に入居しています。


原告への補償の内容

この訴訟原告となった当事者についてみてみると、仮移転先に居住していたことに伴い支出した実費等について、交通費として162万5520円、トランクルーム保管料として123万655円、引越費用として75万7745円及びその他の移転雑費として20万円の合計381万3920円が支払われました。

なお、新建物の登記手続が必要になるとしたら、登録免許税のほか土地家屋調査士・司法書士の費用、さらに不動産取得税も支払われることになっていました。


譲渡移転の人に対しては

他方、各建物の瑕疵の補修工事が終了するまでの間、各建物の各区分所有者のうち所有する住宅の買取りを希望する者に対しては、その住宅を買い取り、その対価に加えて別途の解決金を支払う取扱いもしておりました。

原告当事者も、解決金として300万円を受け取りました。


解決金は課税の対象になるのか

この手の事件では、損害賠償金非課税で処理されそうに思われるのですが、この八王子の事件では、解決金300万円のみは一時所得課税の扱いとされました。

理由は、解決金は実費補填とは別に支払われているもので、支払側の意図は一件落着手打ち金であり、慰謝料としての損害賠償の趣旨を有するものとの表明がないから、ということでした。

特別に発生した費用の補填だけでは、生活の不便や精神的苦痛は補償されないと思われますが、控訴中の事件です。

2016年04月18日

株主名簿の確認

登記申請時の株主情報添付が必須

会社の設立登記や役員変更登記をはじめ、法務局に「登記申請」を行う際、添付書類などの具体的な手続き詳細を定めているのが「商業登記規則」です。

この規則に関する、とても興味深い改正案が発表されました。

2016年1月29日に公示された「商業登記規則等の一部を改正する省令案」に関する意見募集によると、「登記すべき事項につき株主総会又は種類株主総会の決議を要する場合には、申請書に、総株主の議決権の数に対するその有する議決権の数の割合が高いことにおいて上位となる十名の株主又はその有する議決権の数の割合を当該割合の多い順に順次加算し、その加算した割合が3分の2に達するまでの人数の株主の氏名又は名称及び住所、当該株主のそれぞれが有する株式の数及び議決権の数並びに当該株主のそれぞれが有する議決権に係る当該割合を証する書面の添付を求める」ことが検討されているとのことです。

つまり、株主総会の議決を要する登記事項について申請を行う際には、議決権の多い株主上位10名、又は、議決割合3分の2以上の株主に関する氏名や住所、議決権数を記載した「株主情報」の添付を求めるというものであり、この改正案が通ると、早ければ今年10月から登記申請時にこの株主情報を添付することが必要になるのです。

株主名簿を管理

「株主名簿」が保管されている場合は、こうした株主情報をすぐに確認することができます。

株主名簿は会社法により作成が義務付けられている帳簿ですが、株式移動があまりない会社では、もしかすると設立時から名簿がない、あるいは、全く更新されていないということがあるかもしれません。

そんなときは、確定申告書の「別表二」を確認しましょう。

また、会社の基本事項を定めた「定款」には設立時の株主(発起人)が記載されていますので、設立時から変更がなければこの記載も参考になります。


古い会社ほど要注意

現在では発起人1名でも株式会社を設立できますが、平成2年の商法改正以前は発起人が最低7名必要とされていました。

こうした会社では長い年月を経て、株式の譲渡や相続が繰り返されることで株主が分散化され、会社と全く面識のない方々が株主になっている可能性もあります。

株主の権利は会社の運営に大きな影響力を持ちます。

この機会に一度、「株主名簿」を整理してみてはいかがでしょうか。

2016年04月15日

商業登記規則等の一部を改正する省令案

登記申請時の株主情報添付が必須に

会社の設立登記や役員変更登記をはじめ、法務局に「登記申請」を行う際、添付書類などの具体的な手続き詳細を定めている「商業登記規則」。

この規則に関する、とても興味深い改正案が発表されました。

2016年1月29日に公示された「商業登記規則等の一部を改正する省令案」に関する意見募集によると、「登記すべき事項につき株主総会又は種類株主総会の決議を要する場合には、申請書に、総株主の議決権の数に対するその有する議決権の数の割合が高いことにおいて上位となる十名の株主またはその有する議決権の数の割合を当該割合の多い順に順次加算し、その加算した割合が3分の2に達するまでの人数の株主の氏名または名称及び住所、当該株主のそれぞれが有する株式の数及び議決権の数並びに当該株主のそれぞれが有する議決権に係る当該割合を証する書面の添付を求める」ことが検討されているとのことです。

つまり、株主総会の議決を要する登記事項について申請を行う際には、議決権の多い株主上位10名、または、議決割合3分の2以上の株主に関する氏名や住所、議決権数を記載した「株主情報」の添付を求めるというものであり、この改正案が通ると、早ければ今年10月から登記申請時にこの株主情報を添付することが必要になるのです。


株主名簿は管理していますか?

「株主名簿」が保管されている場合は、こうした株主情報をすぐに確認することができます。

株主名簿は会社法により作成が義務付けられている帳簿ですが、株式移動があまりない会社では、もしかすると設立時から名簿がない、あるいは、全く更新されていないということがあるかもしれません。

そんなときは、確定申告書の「別表二」を確認します。

また、会社の基本事項を定めた「定款」には設立時の株主(発起人)が記載されていますので、設立時から変更がなければこの記載も参考になります。

古い会社ほど要注意

現在では発起人1名でも株式会社を設立できますが、平成2年の商法改正以前は発起人が最低7名必要とされていました。

こうした会社では長い年月を経て、株式の譲渡や相続が繰り返されることで株主が分散化され、会社と全く面識のない方々が株主になっている可能性もあります。

株主の権利は会社の運営に大きな影響力を持ちます。

この機会に一度、「株主名簿」を整理してみてはいかがでしょうか。

2016年04月14日

D&O保険の特約保険料に係る取扱い

会社役員賠償責任保険(D&O保険)は、会社役員としての業務の遂行に起因して、保険期間中に損害賠償請求がなされたことによって被る損害を補填する保険です。

会社役員が第三者や株主に損害賠償請求訴訟を提起された場合に、第三者訴訟及び株主代表訴訟で勝訴した際の訴訟費用等に対する「基本契約」、株主代表訴訟で敗訴した際の訴訟費用や損害賠償金等に対する「特約」からなります。

このD&O保険について、国税庁から、「新たな会社役員賠償責任保険の保険料の税務上の取扱いについて」が公表されました。


従来、D&O保険の特約保険料については、会社法上の解釈が不明確のため、役員個人が負担することになっており、その保険料を会社が負担した場合には、役員に対する経済的利益の供与にあたるとして、税法上は給与課税の対象となっていました。

これについて、平成27年7月に経済産業省より会社法の解釈指針が示され、一定の手続きを踏めば、特約保険料についても会社負担が可能であることが明確化されました。

この会社法の解釈の明確化を踏まえ、国税庁から、会社が取締役会の承認及び社外取締役を活用した一定の手続を経ることにより、特約保険料を会社法上適法に負担した場合には、役員に対する経済的利益の供与はなく、役員個人に対する給与課税を行う必要はないものとして取り扱われる旨が公表されました。

一定の手続きは、次の通りです。

① 取締役会の承認

② 社外取締役が過半数の構成員である任意の委員会の同意又は社外取締役全員の同意の取得

上記①、②の手続きを踏んでいない場合には会社法上適法とは言えず、これまで通り、役員に役員に対する経済的利益の供与があると考えられ、給与課税の対象となります。

今回の取扱いは改正ではなく、適用開始日は設けられていませんが、公表による取扱いを踏まえたD&O保険を新たに契約した場合や、既存の保険内容を見直した場合には、契約後の保険料より、会社負担分が給与課税の対象から除外されることとなります。


2016年04月13日

最高裁判決を踏まえる

最高裁敗訴判決を踏まえ

今年の税制改正大綱には、「最高裁判決を踏まえ」との書き出しの部分があります。

最高裁判決で、国側敗訴になったものを承けて、法律を改正するというものです。

最高裁判決を承けて、それを事後追認するような改正は、最近の過去事例としても、いくつかあります。

たとえば、利子割額控除、受取配当等益金不算入、寄附金損金不算入、所得税額控除、外国税額控除等々にあった「記載された」の規定を「記載すべきであった」の意味に解する最高裁判決による、「当初申告要件」と「記載限度額要件」の撤廃改正などです。

確認規定の追加としての法改正ではない

これら過去事例は、新たな法律効果を創設するものではないので、法整備の効果のみの確認規定の追加ということになります。

しかし、今次改正案の内容は、既に最高裁判決で決着がついているものを、追認確認的に、最高裁判決に沿って文理解釈になるように条文を書き換えたというものではありません。

最高裁判決とは、明らかに一線を画しています。

今次改正の最高裁訴訟の内容は

法定申告期限内に相続税の申告及び納付をした事案で、当初申告における土地の評価が時価よりも高かったとして減額更正の請求をしたところ、所轄税務署長はそれを一部認めて、減額更正し、還付加算金を加算して過納金を還付したものの、その後、認めた土地の評価減は正しくなかったとして逆に一部増額更正をし直しました。

納税者が、これにより新たに納付すべきこととなった税額を納付したところ、当初申告期限からの延滞税の督促を受けました。

「税務署が還付した金額の一部を再納付したら延滞税がとられるのは納得できない」と訴えたところ、最高裁はその全額の納付義務を完全に否認しました。

今次改正案の内容

減額更正後の再納付のケースに限り、

①増額更正までの期間については延滞税を課さない

②ただし、更正の請求の場合に限り、(当初納期限からではなく)減額更正時から最大1年間の延滞税を課す

最高裁の判決内容は行き過ぎだとの批判を含む改正内容です。

2016年04月12日

派遣事業の健全化と雇用安定措置

労働者派遣法が平成27年9月30日に改正されましたが、その内容は主に次の7項目になります。

・常用雇用型の特定事業が廃止

・政令26業務が無くなった

・原則3年までしか同組織に派遣できない

・業種によらず無期雇用者は期間制限無し

・派遣労働者のキャリアアップが義務化

・違反派遣の場合のみなし雇用制度の施行

・派遣業許可要件の厳格化、行政指導強化

これらの内容は派遣元・派遣先に影響を及ぼすことは間違いありません。

このうち、派遣業の許可要件と3年までの雇用期間について取り上げてみます。

特定労働者派遣事業の廃止

今までの、その事業の派遣労働者が常用雇用される労働者のみである特定労働者派遣事業は廃止され、一般労働者派遣事業に一本化されました。

改正前の特定派遣事業は、届出をするだけで受理されれば即時事業開始できたのが、許可制では申請後許可を受けるまで2~3か月はかかります。

何よりの問題は、特定では事業資金の点で規定なしであったものが、一般派遣事業の資産-負債=2千万円以上、現預金額1500万円以上という点です。

事業を続けるならば経過措置の平成30年9月29日までに許可を取らなくてはなりません(小規模事業所の配慮措置有り)。

事業所の床面積が20㎡以上、派遣元責任者講習の義務化や更新もあり、初回は3年、2回目以降は5年に1度となっています。

特定から一般にして継続するならば早めの準備が必要でしょう。


派遣労働者に対する雇用安定措置

同じ派遣労働者が派遣可能期間(同組織で3年)を超えて同じ組織で派遣を続ける事はできないため、引き続き就業を希望する場合はいずれかの措置を取る事になります。

①派遣先への直接雇用の依頼

②新たな就業機会(派遣先)の選択

③派遣元事業主において無期雇用

④その他雇用安定を図るために必要な措置

業種に関係なく原則3年の派遣期間となったので、その後の雇用措置を派遣元、派遣先も考慮しなくてはならないでしょう。


2016年04月11日

日独租税協定が改正

租税条約とは

租税条約とは、「国際的二重課税を防止するため」に国家間で結ばれる条約です。

日本は、2016年1月1日現在、65条約、96の国・地域と租税条約を結んでいます(多国間条約である税務行政執行共助条約、及び、旧ソ連・旧チェコスロバキアとの条約の複数国への承継のため、条約数と国・地域数が一致しません)。


日本の場合、国内税法よりも租税条約の方が優先されます。

そのため、源泉所得税率につき所得税法の規定よりも租税条約が有利な場合は、「租税条約に関する届出」を事前に税務署長に提出することにより、軽減・減免された税率の適用を受けられます。

新日・独租税協定が署名されました

2015年12月17日に新日・独租税協定が署名されました。

発効は両国での国内手続(日本は国会承認)を経てからですが、1967年に発効(1980年及び1984年に一部改正が発効)した現行協定に代わるものです。

相互の投資・経済交流を一層促進するための環境整備として、使用料や利子にかかる源泉税は免税=ゼロ税率(現行:10%)となります。

配当の源泉税も最大で現行より10%引き下げられます。

日米間および日英間では利子・使用料ともすでに免税となっていましたので、これで日独間も英米に並ぶことになります。

新協定は、発効の翌年1月1日以後に開始する各課税年度の租税や同1月1日以後に課される租税に適用されますので、2017年からの適用と見込まれています。


意外と盲点、-ここに注意を!

現行の日独租税協定の適用を受けている者(法人・個人)は、新協定が適用される支払をする日の前日までに、新しい適用にかかる「租税条約に関する届出」を所轄税務署長に提出しなければなりません。

なお、いままでは一度届出をすると届出書に記載した内容に変更のない限り有効でしたが、特典条項の適用対象となる租税条約の規定の適用になるようですので、現状の日米租税条約同様、一定期間ごと(適用内容により3年もしくは1年等)に届出書の提出が必要となります。

2016年04月08日

租税回避はわるいことか?

租税回避とは

租税回避の一般的な定義は、「私法上の選択可能性を利用し、私的経済取引プロパーの見地からは合理的理由がないのに、通常用いられない法形式を選択することによって、結果的には意図した経済的目的ないし経済的成果を実現しながら、通常用いられる法形式に対応する課税要件の充足を免れ、もって税負担を減少させあるいは排除すること」(金子宏『租税法〈第20版〉』124頁)とされています。

噛み砕いて言うと、「合理的ではない取引形態で、税法の抜け穴を使って、節税する」ことであり、納税者側からは憲法84条の租税法律主義でOK、国税側からは憲法14条の租税公平主義でNGと主張されます。

ここでのポイントは、「合理的な理由がある、通常の法形式かどうか」です。

裁判例(武富士事件)

贈与税の租税回避について争われたのが「武富士事件」(海外財産の贈与と住所の認定)です。

これは、「日本に住所を有しない者への国外財産の贈与は日本の贈与税の対象外」とされていた当時の税制を使い、子息を香港に居住させることで1,653億円の財産にかかる贈与税を回避した事件です。

最高裁まで争われて、結局納税者側が勝利しました(2011年2月18日)。

ここでは、香港居住の合理的な理由と住所の認定という法形式が争われましたが、結局、合法であるとの結論となりました。

その後、国税側は税法の改正でこの抜け道をふさぎました。

グレーな租税回避行為は税法改正でしか対処できないのです。

節税と租税回避の違い

節税は税法が予定している中で税負担の減少を図る行為であるのに対して、租税回避は税法が予定していない異常な法形式を用いて税負担の減少を図る行為です。

異常かどうかは「社会通念で決められる」ことになります。

境界は明確ではありません。

世の中には、複数の一般措置や特例措置を組み合わせることで、租税負担を軽減・回避するタックス・シェルターというスキームが種々考案され、利用されてきました。

2016年04月07日

国外証券移管等調書制度

「国外送金等調書」制度、「国外財産調書」制度に続き、国境を越えて有価証券の証券口座間の移管を行った場合に調書の提出を義務付ける「国外証券移管等調書」制度が、平成27年1月1日以後の移管の依頼から適用されています。

対象となるのは、「国内証券口座から国外証券口座へ」または「国外証券口座から国内証券口座へ」有価証券の移管を依頼する場合です。

依頼者は、原則として法人・個人、居住者・非居住者、内国法人・外国法人の別を問わず、その依頼者の氏名・住所・取引などの事項を記載した「告知書」を、依頼先の証券会社等に提出しなければなりません。

そして、依頼を受けた証券会社等は、移管等ごとに依頼者の氏名・住所・有価証券の種類などの事項を記載した「国外証券移管等調書」を作成し、移管等を行った日の属する月の翌月末日までに所轄の税務署に提出します。

国外証券等移管調書は、国外送金等調書と異なり、その移管等をした有価証券の価額にかかわらず、すべての調書を提出する必要があります。

次の違反がああった場合には、1年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処することとされています。

・告知書の不提出及び虚偽記載による提出

・国外証券移管等調書の不提出または虚偽記載による提出

・国税庁、国税局又は税務署の当該職員の質問検査権に対する不答弁及び虚偽答弁または検査の拒否、妨害もしくは忌避

・当該職員の物件の提示または提出の要求に対する不提示もしくは不提出及び虚偽記載の帳簿書類その他の物件の提示もしくは提出


国税当局は、国外財産について、様々な手段を講じて情報収集を行っていますので、課税逃れなどの問題にならないように注意が必要です。

2016年04月06日

仕事と介護の両立

介護休業法の改正の動き

厚生労働省は1995年の施行以来ほとんど見直しされていない介護休業制度の規定について「介護による離職ゼロ」を目指すため、法整備に動き出しました。

労働政策審議会が育児・介護休業法等を改定する法案を近く国会に提出します。

介護のために離職する人は年間10万人います。

働き盛りの社員が退職すると企業にとっても痛手であり、損失でもあります。

現行の介護休業法は、介護が必要な家族1人に付き介護休業は原則1回しかとれません。

それを93日の範囲で3回まで休めるようにします。

短時間勤務等ができる期間の延長、残業の免除制度等も案に上っています。


雇用保険の介護休業給付金

介護休業を取得した時に雇用保険から給付される介護休業給付金は、賃金の40%の支給率でしたが67%に引き上げられる予定です。

介護休業が必要になってくるのは75歳以上の高齢者を介護するケースが多く、2025年には2200万人に増えるとされています。

子供の世代は兄弟姉妹の数も少なく、未婚の人も多いことから、男女問わず親の介護に直面する人が増えることが予想されます。

給付率を上げることで制度を利用しやすくなると言えるでしょう。


仕事を続けながら介護するには

企業は長時間労働で仕事をこなせる人ばかりをそろえることができなってくることが予想されます。

短い時間でも成果の上がる働き方を推進することが、より必要になってくるでしょう。

時間的制約のある社員を使っても生産性を下げない働き方ができるようにすることが課題となるかもしれません。

介護休業制度は介護体制を整える期間としての位置付けであり、長期に介護休業を取ることは難しいものです。

自治体の介護サービスの拡充も欠かせないでしょう。しかし介護分野は労働力不足が大きい業界であり、働き手確保のための処遇改善は大きな課題となっています。

2016年04月05日

クラウドファンディングと確定申告

クラウドファンディングとは

クラウドファンディングとは、起業家やクリエイターが製品開発、アイデア実現のために、インターネットを通じて不特定多数の人から資金の出資や協力を募ることを指す、「群衆(crowd)」と「資金調達(funding)」を組み合わせた造語です。

そのイメージから「雲(cloud)」と勘違いされている方も多いのではないでしょうか。日本では、東日本大震災を機に寄付を募るプロジェクトとしても、認知が進みました。

このクラウドファンディングは大別すると「購入型」「寄付型」「金融型」の3種類、「金融型」はさらに「貸付型」「ファンド型」「株式型」に分けられます。

2014年度新規プロジェクト支援額ベースの国内市場規模(矢野経済研究所)

購入型 20億円(10.2%)

寄付型 1億円 (0.6%)

金融型(ファンド型) 19億円(10.0%)

金融型(貸付型)   156億円(79.2%)

資金提供者側の所得税の考え方

「購入型」「寄付型」「金融型」は、リターンとして何をもらうか、もらわないかにより区別されています。

「購入型」の場合、作品や招待、ノベルティ、完成品など金銭以外のリターンがあります。

税法でも、これは商品売買として取り扱うことになります。

「寄付型」の場合は、リターンはありません。

プロジェクトの活動報告など無償の成果物が提供されますが、あくまでも寄付という形態です。

この場合、支援先が企業であれば、所得税法の「寄附金控除」を受けることはできません。

ただ、近年では、自治体が行うクラウドファンディングも増加する一方、大手クラウドファンディングサイトの「READYFOR?」では、昨年12月より、認定NPO法人の「赤ちゃん縁組」事業の寄付受付を行うなど「寄附金控除」が適用できるタイプのものも増えてきています。

貸付型・ファンド型は匿名組合方式が多い

「金融型」はどれも金銭的リターンを得るものですが、日本の「貸付型」「ファンド型」は匿名組合方式で組成されることが多いようです。

この場合の分配金は雑所得として総合課税の対象となり、分配時に源泉徴収(20.42%)が行われます。

「株式型」は、現在法整備の最中ですが、税務上は有価証券の取得と同様となります。

2016年04月04日

離職票の離職理由が違う時

離職票の離職理由

会社を退職した時に失業給付を受ける場合は、退職者が離職票をハローワークに提出しなければなりません。

その際会社の記載した離職票の記載内容が、本人の思っているのと違うケースがあります。

離職票の記載内容に関する訂正で最も多いのが、離職票の⑦欄の離職理由です。

事業主が理解している退職理由と従業員が考えている退職の理由が必ずしも同じとは限らないからです。

失業給付の基本手当は離職理由によって本人に給付制限がかかり、給付基礎日数も変わるので、本人からすれば重要な問題となり、会社でも注意が必要です。

離職票の確認の仕方

トラブル防止のため自己都合退職には退職届は取っておく必要があります。

また、離職票の2枚目(安定所提出用)には⑯の本人の判断欄がありますので、事業主が○を付けた離職理由に異議有、無のいずれかに○を付け、記名押印または自署をするようになっています。

離職票作成時に既に本人が会社にいない時は⑯欄に記名押印できない理由を書き事業主の印でよいことになっています。

離職証明書の3枚目が「離職票-2」となり⑦欄には事業主記入欄の下に離職者記入欄があります。

ここに離職者が具体的な離職理由を記載して⑰に離職者の記名押印をしてもらいます。


離職理由が違っていた時は

事業主が記載した離職理由と従業員が記載した離職理由が異なる時は、事業所を管轄するハローワークにより事業主に離職票の記載内容の確認がされます。

不備や誤りがあれば訂正届(補正願)と離職証明書・被保険者資格喪失確認通知書の事業主控に補正する内容の証明となる書類を添付して訂正をします。

ハローワ-クによって若干求める書類が違うこともあります。

事業主が不備や誤りがないという場合はその経緯を記載した理由書で報告します。

離職理由の最終判断は社員の受給地のハローワークが行います。

離職理由については社員とよく話し合い円滑に退職するならば問題は起こりませんが、元々話し合いがうまくなされなかった時に往々にして相違が出るようです。

2016年04月01日

還付申告書の提出期限

確定申告ですが、申告書を作成している段階で算出した税額が、源泉徴収された税額及び予定納税した税額に満たず、マイナス、すなわち税金が支払超過となっていることもままあります。

還付申告と申告期限

このような支払超過となった税金を戻してといって申告するのが還付申告です。

この還付申告ですが、なにも申告期限の3月15日までに申告する義務はなく、3月15日以後の申告、期限後の申告でもまったく問題なく税金は戻してくれます。

提出することができる日とは

それでは、いつまで還付申告をすればよいのか、つまり、その請求権がいつまで留保されているのかですが、法律では、還付申告は、「その提出することができる日(請求することができる日)から5年間に限って提出(請求権の行使)することができる」となっています。

問題は、この「提出することができる日」はいつかです。

平成22年分までは、申告義務のない者(配当控除後に税額のない者)と納税義務のある者(配当控除後に税額のある者等)によって「提出することができる日」は、異なっていました。

ちなみに、前者は翌年1月1日、後者は翌年2月16日でした。

しかし、平成23年分以降の申告義務がある者の還付申告の提出期間については、その年の翌年1月1日から3月15日までに改正になったことから、この「提出することができる日」は、申告義務の有無にかかわらず、翌年1月1日となりました。

よって、平成27年分の還付申告書を提出できる期間は、平成28年1月11日から5年を経過する日の前日、平成32年12月31日までとなります。


準確定申告の還付申告について

死亡した者の確定申告は、準確定申告と言います。

その相続人は、原則、死亡日の翌日から4か月以内にその申告義務を負いますが、同様に、税金の支払超過があれば申告義務はなく、一方、還付申告はできます。

この場合も還付の準確定申告書を提出することができる日は、原則、死亡日の翌日ということになり、その期間は5年を経過する前日までとなります。

なお、いずれの場合においても、「提出できる最終日」は、還付金の請求権の消滅時効の完成日であり、延長されることはありません。
 

TOPサイトマップお問い合わせ会社概要

Copyright(C) Japan Tax Service.All rights reserved