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2015年12月 アーカイブ

2015年12月28日

妻が夫の親の介護をした場合の相続

妻が夫の親の介護をした場合の相続

少子高齢化が進む今日においては、介護の負担が家庭の悩みの大きなものとなっています。

家庭の中でも分担が上手くいけばよいものの、どうしても負担が特定の人に偏りがちです。

妻が夫の代わりに、夫の親(義親)の介護の面倒をみるというのが、今でも典型的なケースといえます。

このような場合、妻の介護の苦労は、義理の親から相続で考慮されるかというと、原則的には、そのようなことはありません。

妻は、義親の相続人の立場にないからです。

そのため、

①妻を夫の親の養子にする

②生前贈与や遺贈を行う

③生命保険等を利用する

など、義親が生前に妻に報いる施策を取ることが多いのですが、それができないような場面では、妻を夫の「履行補助者」として特別な寄与があるとして「寄与分」を主張することも考えられます。

「寄与分」とは

「寄与分」とは、被相続人の財産の維持・増加について「特別な寄与」がある場合には、その貢献度を相続分に加味しましょうという民法の考え方です。

療養中の被相続人に自ら看護を行っていた場合や、相続人の負担でヘルパー等に介護させている場合などがその一例になります。

この場合、相続人自身に「特別な寄与」があるというには、被相続人との身分関係上一般に期待できる以上の介護負担をしているほかに、無償性・持続性・専従性・介護の必要性などの要件をクリアしなくてはなりません。


「履行補助者」と民法改正の方向性

また、学説では「履行補助者」という考え方があります。

「履行補助者」の行為は本人の行為とみなすというものです。

この考え方によれば、妻という履行補助者の行為は夫(相続人)の貢献として夫の寄与分としての相続分が主張できることになります。

判例でもその考えに基づくものがいくつも示されていますが、その一方で「寄与分に履行補助者の概念を利用することに問題がある」「妻を夫の手足のように考えるのは乱暴だ」という反対意見もあるようです。

2015年12月25日

マイナンバーの簡便な収集と保管方法

従業員のマイナンバーの収集・保管には

これから従業員のマイナンバーを収集・保管するのはどうするのが良いのかと考えている企業も多いかと思います。

セミナーで聴いたり、システム会社からシステム導入の説明や勧誘を受けてみたりしても何が自社に適当か分かりにくいのが現状です。

マイナンバーを含む特定個人情報は今までよりも厳重な取り扱いが求められ故意による漏えいには罰則が強化されています。

取り扱いには注意し、漏えいしないよう必要な手立てをしておくことが大事です。


在職者の番号収集時期は

事業所はマイナンバーを収集・保管して来年からの雇用保険や労災保険、税分野の書類に関し、届出の際に使用します。

事前に社内でマイナンバー事務を扱う人を決めておく必要があります。

在職者の番号の合理的な収集時期は年末調整の前の扶養控除等申告書を各人に配った時に番号を記載してもらい、マイナンバーの通知書写しを添付して、会社が確認をするのが良いでしょう。

収集方法は直接かメールでは別便パスワード付きで送付、簡易書留で送付等によって集め、会社はナンバーを記録すれば写しは保管してもシュレッダー等で廃棄してもかまいません。

小規模事業所の収集・保管の流れの例

①扶養控除等申告書と個人番号の写しを提出、本人確認や番号の確認をしたらコピー等は保管しない。

②担当者が手書きで書面に記載して金庫や鍵付きキャビネットで保管するか、パソコンに入力して管理する時はIDを付ける。

③提出書類に番号を書く必要があった時には金庫から取り出し、番号を転記、番号は元の金庫にすぐしまう。

④手続や届出書の控えは、法定保存期間を過ぎたら廃棄する。

⑤退職者の書類の番号部分はマスキングしておいて法定保存期限が来たら廃棄する。

小規模な事業所では紙ベースでの記録保管が便利です。

社員への使用目的説明義務、番号利用記録の記載もでき、バインダーにとじて保管ができる用紙が出ています。

システム利用をためらっている場合や費用をかけたくない場合であれば簡単に始められます。

2015年12月24日

ペットを拾ってしまったら…遺失物法

ペットを拾った場合はどこに届出するか

「迷い犬」や「捨て猫」などを拾った場合、どこに届ければよいのでしょうか?

ひと昔前は「警察署」と決まっていました。

「迷い犬」「捨て猫」は、「忘れ物」「落とし物」と同様に「遺失物」として取扱います。

この場合、遺失物法により、すみやかにその落とし物をした人(飼い主)に返すか、警察署、交番等に提出しなければなりません。

ただ、警察署では動物の飼養や保管に関する専門的な職員及び施設を有していません。

普通に考えれば、専門的な職員及び施設を有する都道府県等で犬及び猫を取り扱うこととした方が動物の愛護の観点から見て適切です。


平成19年に「遺失物法」が改正

そこで、平成19年に遺失物法が改正され、動物愛護法の規定により「所有者の判明しない犬または猫」が引き取られる場合には、この警察署への提出義務がなくなり、都道府県等の自治体の窓口(動物愛護センターなど)でも受け付けるようになりました。

とはいえ、法律上「遺失物」という位置づけは変わっていないため、相変わらず警察に届けることはできます。

警察署では犬・猫を拾得した旨の申告を受けたときは、

①飼い主から、警察にその犬・猫の遺失届が提出されていないか確認の上、

②所有者が判明しない場合には、拾った方に動物愛護法の規定により都道府県等に引き取りを求めるか確認する

という流れになっています。  

ただ、犬猫以外のペットを拾った場合は、警察への提出義務がなくなっている訳ではないので、注意が必要です。

遺失物の拾得者には「お礼」がもらえる?

遺失物を拾った方には、落とし物をした方から、「お礼」をもらう権利があります。

この「お礼」は「報労金」と呼ばれ、遺失物法の規定では、落とし物の価格の5%~20%とされています(施設内で拾った場合には、その拾った方と施設占有者がそれぞれ1/2となります)。

この権利は、落とし主に落とし物が返還された後1か月を経過すると請求することはできません。

所得税法では、遺失物拾得者や埋蔵物発見者の受ける報労金は「一時所得」とされています。

2015年12月22日

退職後ライフプランとしての国民年金任意加入

公的年金と私的年金

老後のライフプランを考える時は公的年金をベースに不足分を私的年金で補うことを考えるのが一般的です。

公的年金はスライド制かつ終身給付であり、賦課方式で現役世代から老齢世代への所得の振替を行っています。

収入の少ない時には保険料免除があり、保険料全額が所得控除になります。

また、年金の半額を国庫負担で原資を確保しています。

私的年金は積立方式であり積立金と運用益を原資にしています。

保険料の強制徴収はありませんが、終身給付にするには高額な保険料の支払いが必要でしょう。

また、インフレになった場合には目減り感が出るかもしれません。

公的年金の補完的役割として考えることが良いでしょう。

国民年金の任意加入

年金受給には原則25年の加入期間が必要ですが、60歳時にまだ受給権が無い場合や、受給資格はあっても20歳から40歳までの40年間の全期間は満たしていない人は任意加入することができます。

65歳以上の人は受給権がまだ無い場合で、昭和40年4月1日以前生まれの人は70歳になるまで特例任意加入ができます。

受給権が発生するまでの加入となります。

受給権を得れば、低額でも年金が定期的収入となり、就職しても年金額を差し引いた賃金で働けばよいので違いが出てくるでしょう。

加入に当たっての注意点

①加入期間調査 平成27年度基礎年金額は満額で約78万円です。

年金定期便などで自分の加入期間を調べてみましょう。


②無理な加入は避ける。

いくら満額にしたいと思っても資金が無い場合は無理をしない方がよいです。

また、未納期間の長い人は元が取れない場合があります。


③保険料は賄えるという場合には早めに加入する方がよいでしょう。


④付加給付(60歳台前半の人)の保険料は月額400円ですが、2年間で納付した保険料の元が取れますのでお勧めです。


⑤この後の介護保険料や後期高齢者の年金からの保険料天引きに備えて年金を積み増しできる場合には、しておく方が良いでしょう。


⑥加入中に障害年金に該当するような事態となった時を考えて保険料は滞納しないようにしましょう。

2015年12月21日

人材育成の考え方

「企業は人なり」というように、企業活動は、人材の確保と、その活躍によって決定付けられることは自明であり、長寿企業は、豊富な人材を得ることに成功しているといえましょう。

ここでは、人材育成で欠かせない基本的な考え方について述べます。

人材育成の考え方

企業の人材育成において欠くことができない基本的な考え方は次の通りです。

①企業が存続、発展していくために、必要な人材を、職務・職種ごとに、ゼネラリスト(組織活動の維持・運用に必要な管理職、企画職・総務職等幅広い職務をこなせる人材)、スペシャリスト(特定分野の知識・技術を駆使する専門職)の別に必要人員など、自社に必要な人材構成を具体的に描いて、計画的に採用・育成する。


②人材育成の取り組み方は、社員が自ら「自己がなりたい人材像を描き、主体的に、自分の能力開発を図る」よう誘導する。

そのため、人事賃金制度の一環として社内等級制度を設け、各等級に求められる基礎知識・技術、発揮能力と評価方法を定めておき、社員一人ひとりが年度ごとに目標を定めて主体的な努力を行なうとともに、管理職、職場の先輩がOJTでフォローアップするなど、能力開発の環境をつくる。

③実務遂行に役立つ実践的な能力開発の土台となる基本的な知識・技術(例えば企画の知識・技術、コミュニケーション技術、部下指導法など)は、階層別(新入社員・中堅社員・管理職等)教育システムとカリキュラムを定めて、Off-JTで教育し、OJTでフォローアップする。


人材育成の効果的方法

人材は実務に直結して、実践的に育成することが最も重要で、それを可能とする効果的手段は「実務の遂行、即人材育成」となる業務遂行の仕組み作りと、管理職が中心となって作り出す場環境です。

この意味で、企業活動に広く活用されている目標管理制度は、その本質が「業績管理制度」であり、戦略目標達成のための仕組みであること、その運用プロセスの管理は、そのまま人材育成のプロセスともなっていることから、業務遂行と一体化した実践的、効果的な人材育成手段ともなっているといえます。

2015年12月18日

税務CGとは

CGはコーポレートガバナンス

「税務CG問題なしで調査省略」とか「調査間隔延長」とか「CG対応プログラム」という言葉があります。

税務当局が4~5年前から取り組んでいる「税務に関するコーポレートガバナンスの充実に向けた取組」というもののようです。

「申告書の自主点検と税務上の自主監査の促進」をしてもらいたいというのがその趣旨のようです。


「申告書確認表」と「要注意項目確認表」

国税庁ホームページの中に、局の調査課所管法人を対象としたものとして、「申告書確認表」と「税務上の要注意項目確認表」というものが、掲載されています。

「申告書確認表」は、法人税申告書の完成前のミス発見のための点検作業、「税務上の要注意項目確認表」は決算内容の点検作業に役立たせるためのもののようです。

過去に提出された申告書のチェックや税務調査の結果から、誤りが生じやすいと認められる事項を税務当局が表形式に取りまとめたもので、当面は、国税局調査課所管法人だけを対象に要請するとしており、申告書への添付は義務付けないものの「確認表」でのチェック作業の有無だけは事業概況書に反映することを予定しているようです。


法人会でも似たような取り組み

企業の税務コンプライアンス向上のための取り組みとして、日税連監修で法人会が作成している「自主点検チェックシート」というのがあります。

チェックシートを活用し、企業自らが自主点検することを通じて、内部統制や経理水準を向上させ、自社の成長を目指し、ひいては税務コンプライアンスを向上させ、税務リスクの軽減にもつなげることを期待するものです。

国税庁の税務CGとは内容的に重複はしてなさそうですが、その方向性は一致しているように感じられます。


有用性があれば、利用価値も

これらは、チェックシートのスタイルなので、会社決算作業での調整事項や申告調整事項の把握漏れ、申告書の自主点検にも有用であり、税理士事務所での実務でも役立ちそうです。

2015年12月17日

少しずつ上がる社会保険料

給付の抑制

消費税の10%への引き上げは平成27年4月まで延期されていますが、社会保険料は毎年少しずつ上げられています。

給付の抑制がある半面で保険料負担は着実に増えています。

年金の給付では特例水準の解消が4月に行われ、以前、物価が下がっていた時期に年金支給額を据え置きして下げなかったので、元に戻すために平成25年10月と平成26年4月の見直しにより平均月4千円程度が引き下げられました。

平成27年度は0.9%の引き上げがありましたが、今後のマクロ経済スライドの発動で物価・賃金の上昇ほどは年金額の上昇に反映されないようになっています。

費用負担の増加

この8月からの改定で介護保険のサービスを受ける自己負担率が変更されました。

利用者1律1割負担であったものが年収280万円以上の人は2割負担となり、高齢者全体の20%が対象になりました。

例えば自己負担が月1万5千円であった人は3万円となりますので、かなり負担感は大きいでしょう。

健康保険でも高額療養費が今年の初めから70歳未満の人で年収770万円以上の所得の人は戻り分も減り、自己負担額が増えています。

一方で年収370万円未満の人には負担を減らしています。

保険料の上昇

厚生年金保険料率は毎年9月に0.354%ずつ上がっていますが、今年は労使合わせて17.828%となっています。

来年の9月には18.182%になり、最終予定の平成29年には0.118上がり18.3%で固定される予定です。

健康保険料率の上限も平成28年には現行12%が13%になる予定です。

給与額が同じであれば保険料の上昇で所得税と住民税は減りますが、それを上回る保険料の上昇があるかもしれません。


防衛策は

防衛策としては収入を増やすか支出を増やすことになりますが、専業主婦家庭であればパート勤務も選択肢でしょう。

ローンや民間保険等の見直しも必要かもしれません。

年金額の上乗せを考えるなら非課税制度を利用した貯蓄も考えられます。

2015年12月16日

マイナンバー制度 年末調整の利用開始時期

印刷の不手際や、不在であったりなどで、郵送が遅れている地域があるようですが、マイナンバーの個人番号通知カードは、皆さんの元に届いているでしょうか?

個人番号の利用開始時期は、平成28年分の所得税から対象となります。

平成27年分の年末調整資料の収集が始まっていると思いますが、例年、11月から12月にかけて、翌年分の「給与所得者の扶養控除等申告書」を従業員に配布して、必要事項を記載後に、提出を受けている企業が多いと思います。

この日程でいくと、平成28年分の扶養控除等申告書の提出を受けるのは、平成27年中ということになります。

この場合、原則として、扶養控除等申告書に給与所得者本人や扶養家族等の個人番号を記載する必要はありません。

平成27年中の個人番号の事前収集は義務ではなく、あくまで任意となります。

必ずしも、平成28年1月の利用開始時期に合わせて収集する必要はありませんので、今のところ、扶養控除等申告書の個人番号欄は空白でも構いません。

平成28年分の源泉徴収票を作成するまでに、個人番号を取得すれば間に合います。


もちろん、平成27年中でも、個人番号を記載した扶養控除等申告書をあらかじめ収集することはできます。

その場合には、番号法に基づく取扱規程の策定等を含む安全管理措置を行い、従業員へ利用目的を明示して、本人確認措置(番号確認及び身元確認)を行う必要があります。

従業員の場合は、雇用関係にあることなどから本人に相違ないことが明らかに判断できると個人番号利用事務実施者が認めるときは、身元確認を不要とすることも認められています。

個人番号を記載した「給与所得者の源泉徴収票」を所轄税務署に提出する最初の期限は、平成29年1月31日までとなります。

また、平成28年中に提出されるケースとしては、「退職所得の源泉徴収票」(退職の日以後1月以内に提出)が挙げられます。

2015年12月15日

平成27年度地域別最低賃金

毎年上がっている時給額

最低賃金とは、国が賃金の最低限度額を定め決めた額以上の賃金を労働者に支払わなければならないという制度です。

最低賃金の決定は毎年10月に発令されています。

審議会が労働者の賃金、労働者の生活費、通常の支払能力等を加味して検討し、都道府県労働局長が決定します。

そして中央最低賃金審議会が平成27年度の地域別最低賃金改定の目安を発表しました。

都道府県別の引き上げ額は時給20円アップを最高に19円、18円、17円、16円と上がり幅が分けられ、全国加重平均は798円(18円引き上げ)で、最低賃金が時給で示されるようになった平成14年以降最大の引き上げ幅です。

(昨年度は780円で引き上げ幅は16円)


都市部と地方部の格差は広がる

最も時給が高いのは東京都の907円、最も低い額は鳥取、高知、宮崎、沖縄の693円でした。

10月1日より中旬にかけて発効となります。

毎年都市部の上がり幅が高いので都市部と地方部の格差は場所によっては縮小しているものの、最高額と最低額の差は開いてきています。


平成27年の改定額は以下の通りです。

19円以上の改定

東京 907円 大阪858円 愛知 820円  千葉 817円 広島769円


18円改定

神奈川 905円 埼玉 820円 京都 807円 兵庫 794円 静岡 783円 三重 771円 滋賀 764円 栃木 751円 茨城 747円

長野 746円 富山 746円


17円改定

岩手 695円 石川 735円 香川 719円 

島根 696円 熊本 694円 長崎 694円 

大分 694円

16円改定

北海道 764円 青森 695円 秋田 695円

山形 696円 福井 732円 宮城 726円  福島 705円 群馬 737円 山梨 737円   新潟 731円 岐阜 754円 奈良740円

和歌山 731円 岡山 735円 鳥取 693円 山口 731円 愛媛 696円 徳島 695円 

高知 693円 福岡 743円 佐賀 694円  宮崎 693円 鹿児島 694円 沖縄 693円


2015年12月14日

重点管理富裕層

いわゆる「富裕層」への重点調査

ここ数年の公表される税務調査事績では、いわゆる「富裕層」に対して、資産運用の多様化・国際化が進んでいることを念頭に調査を実施しているとしていました。

そして最近、税務専門誌に突然報道されたところによると、国税当局には「重点管理富裕層名簿」というのがあり、この名簿への登載は、各国税局の内部の複数の係の協議の上での指定によります。

登載されるのは、周囲の一定の個人(例えば家族など)や法人も含まれ、一体的に管理されるようです。


登載の指定基準

該当者と指定される基準には、

①形式基準

②実質基準

があり、次のようになっています。


①見込保有資産総額が特に大

②形式基準に該当しない者のうち、一定規模以上の資産を保有し、かつ、国際的租税回避行為その他の富裕層固有の問題が想定され、重点管理富裕層として特に指定する必要があると認められる者

富裕層の数はどれくらい

一般に、資産家とか富裕層とかいう言葉があり、どれくらいの人数がいるのかという報告はいくつかあります。

クレディ・スイスのレポートによると、純資産100万ドル以上の日本の富裕層は2,728千人、純資産額5,000万ドル以上の超富裕層は2,887人です。

イギリスのナイト・フランクは、純資産3,000万ドル以上の超富裕層は、日本では、16,703人としています。

野村総研の公表では、日本における、純金融資産保有額が1億円以上の富裕層は100.7万世帯、5億円以上の超富裕層は5.4万世帯とされています。


超富裕層への課税強化体制整備

超富裕層への課税強化は、所得税、相続税・贈与税の最高税率のアップ、国外送金等調書・国外証券移管等調書・国外財産調書制度の施行、財産債務調書制度の一新化、マイナンバー制度の導入と、情報捕捉の態勢も整えられ、平成27年7月から施行の出国税(国外転出時課税制度)、平成28年から施行の金融税制の構造変換と着実に歩が進められています。

2015年12月11日

半血兄妹の相続分は今も2分の1

民法の半血兄弟姉妹に係る規定

現在の民法第900条(法定相続分)の第四号には、

「子、直系尊属又は兄弟姉妹が数人あるときは、各自の相続分は、相等しいものとする。

ただし、父母の一方のみを同じくする兄弟姉妹の相続分は、父母の双方を同じくする兄弟姉妹の相続分の二分の一とする。」

と記載されています。


婚外子(非嫡出子)差別違憲判決があった

平成25年9月の婚外子(非嫡出子)に対する相続差別を違憲とする最高裁大法廷の全員一致決定を承けて、同年12月に当該差別規定を削除する民法改正がなされました。

違憲判決により民法規定の、「嫡出でない子の相続分は、嫡出である子の相続分の2分の1とし、」の部分が改正削除されました。

しかしながら削除部分に続く先記した全血・半血差別部分はそのまま存続しています。

存続している差別規定の意味
ここの民法の規定を解説抜きに理解するのは難しいところですが、嫡出・非嫡出に関する規定は親からの相続についての定めで、全血・半血に関する
規定は兄弟姉妹間での相続についての定め、と読むべきとされています。

被相続人に子供がおらず、直系尊属も既に死亡している場合は、被相続人のすべての兄弟姉妹が同順位で相続することになりますが、相続割合については、全血兄弟姉妹に対し半血兄弟姉妹は半分、と平等にならないことになっています。

配偶者がいたとすると、配偶者の相続割合は4分の3、兄弟姉妹全体の相続割合は4分の1で、兄弟姉妹間の相続割合は全血か半血かによって異なる扱いを受けます。

兄弟は他人の始まりなので

親の異なる兄弟姉妹だったら、他人度が相当に高くても不思議ではありません。

しかし、相続分に違いはあるにせよ、疎遠なので連絡もしないまま、半血兄弟姉妹が参加しない遺産分割協議をしても、それは無効です。

逆に、債務超過の相続だったので、子が相続放棄したために兄弟姉妹に相続権が移る場合や、兄弟姉妹間の相続で、日頃疎遠のため情報が乏しい場合には、3か月の放棄申述期間を徒過しないように注意すべきです。


2015年12月10日

マイナンバーの簡便な収集と保管方法

従業員のマイナンバーの収集・保管には

これから従業員のマイナンバーを収集・保管するのはどうするのが良いのかと考えている企業も多いかと思います。

セミナーで聴いたり、システム会社からシステム導入の説明や勧誘を受けてみたりしても、何が自社に適当か分かりにくいのが現状です。

マイナンバーを含む特定個人情報は、今までよりも厳重な取り扱いが求められ、故意による漏えいには罰則が強化されています。

取り扱いには注意し、漏えいしないよう必要な手立てをしておくことが大事です。

在職者の番号収集時期は

事業所はマイナンバーを収集・保管して、来年からの雇用保険や労災保険、税分野の書類に関し、届出の際に使用します。

事前に社内でマイナンバー事務を扱う人を決めておく必要があります。

在職者の番号の合理的な収集時期は、年末調整の前の扶養控除等申告書を各人に配った時に番号を記載してもらい、マイナンバーの通知書写しを添付して、会社が確認をするのが良いでしょう。

収集方法は直接かメールでは別便パスワード付きで送付、簡易書留で送付等によって集め、会社はナンバーを記録すれば写しは保管してもシュレッダー等で廃棄してもかまいません。

小規模事業所の収集・保管の流れの例

①扶養控除等申告書と個人番号の写しを提出、本人確認や番号の確認をしたらコピー等は保管しない。

②担当者が手書きで書面に記載して金庫や鍵付きキャビネットで保管するか、パソコンに入力して管理する時はIDを付ける。

③提出書類に番号を書く必要があった時には金庫から取り出し、番号を転記、番号は元の金庫にすぐしまう。

④手続や届出書の控えは、法定保存期間を過ぎたら廃棄する。

⑤退職者の書類の番号部分はマスキングしておいて法定保存期限が来たら廃棄する。

小規模な事業所では紙ベースでの記録保管が便利です。

社員への使用目的説明義務、番号利用記録の記載もでき、バインダーにとじて保管ができる用紙が出ています。

2015年12月09日

年末調整のチェックポイント

年末調整のチェックポイント


12月も半ばになり、年末調整の時期を迎えました。

平成27年分の改正点、質問の多い事項などを確認していきたいと思います。

(1)平成27年の改正点

平成25年度の税制改正で、所得税の最高税率が引上げられています。

従来、所得税の最高税率は、課税所得金額1,800万円超である場合の40%でした。

その最高税率が、課税所得金額4,000万円超の金額については、45%に引上げられました。

改正後

課税所得金額

1,800万円超4,000万円以下 40% 控除額2,796,000円

4,000万円超        45% 控除額4,796,000円


改正後の最高税率45%は、平成27年分の所得税から適用されます。

ただし、給与収入2,000万円を超える人は、年末調整の対象とはなりませんので、年末調整の処理には影響ありません。


(2)年末調整の対象となる中途退職者

年の途中で退職した人は、原則的には年末調整は行いません。

しかし、次のケースに該当する場合には、退職後、他の給与を受けることはないと考えられますので、退職時において「扶養控除等申告書」の提出していれば、年末調整を受けることができます。

① 死亡により退職した人

② 著しい心身の障害のために退職した人(退職した後に再就職をし、給与を受け取る見込みのある人は除く)

③ 12月に支給されるべき給与等の支払を受けた後に退職した人

④ パートタイマーとして働いている人などが退職した場合で、本年中に支払を受ける給与の総額が103万円以下である人(退職後その年に他の勤務先から給与の支払を受ける見込みのある人は除く)


(3)国民年金保険料・国民健康保険料

毎月の給与から差し引かれている健康保険、厚生年金保険、雇用保険などの保険料は、その金額が明らかであり、会社に申告をしなくても、当然、控除対象となります。

一方、国民健康保険や国民年金の保険料など、直接支払っているものがある場合も、控除対象になります。

ただし、「保険料控除申告書」に金額を記載しないと控除を受けることはできません。

さらに、国民年金保険料や国民年金基金掛金などは、支払証明書の添付又は提示が必要となります。

国民健康保険料は、証明書などは必要ありませんが、その年中に支払ったものだけが控除対象となりますので、通知書や納付書などで、納付額をきちんと把握しておきましょう。

支払った金額がわからなくなった場合には、市区町村の窓口で確認することができます。


(4)控除証明書・支払証明書がない場合

生命保険や地震保険、国民年金保険料などは、保険料控除申告書に控除証明書の添付が必要となりますが、もし紛失してしまった場合などには、再発行してもらう必要があります。

年末調整の時に間に合わない場合には、翌年1月末日までに提出することを条件として、控除を適用して年末調整を行っても良いことになっています。

ただし、翌年1月末日までに提出がない場合には、年末調整をやり直さなければなりませんので、不確実な場合には、控除せずに、各自で確定申告をする方が良いでしょう。


(5)16歳未満の扶養親族の申告

16歳未満の扶養親族(年少扶養親族)については、所得税・住民税ともに扶養控除の対象外となっていますが、扶養控除等申告書には「住民税に関する事項」として記載が必要となります。

所得税については年少扶養親族の申告は必要ないのですが、個人住民税においては非課税限度額制度が設けられており、この非課税限度額の判定基準の算定に年少扶養親族を含めた「扶養親族の数」が使用されているため、控除対象とならない年少扶養親族についても、忘れずに記載するようにしましょう。


2015年12月08日

交際費課税の整理

交際費に該当しない交際費

交際費等とは、交際費、接待費、機密費その他の費用で、法人がその得意先、仕入先その他事業に関係のある者等に対する接待、供応、慰安、贈答その他これらに類する行為(以下「接待等」といいます)のために支出する費用をいいます。

したがって、接待、慰安、懇親を目的とした飲食その他これに類する行為(以下「飲食等」といいます)のために要する費用は交際費ですが、1人当たり5,000円(消費税抜き)以下の場合は交際費に該当いたしません。

ただし、もっぱらその法人の役員もしくは従業員またはこれらの親族に対する接待等のために支出するものは、5,000円以下であっても交際費に該当いたします。
  

資本金1億円以下の法人

交際費は原則損金不算入ですが、次の①か②の有利な方を選択して、損金に算入できます。

①飲食等のために要する交際費に該当する費用。要は以下の費用です。

「1人当たり5,000円を超える費用並びに法人の役員もしくは従業員またはこれらの親族に対する接待等のために支出する費用」の50%の損金算入を認める。

②800万円までの交際費の損金算入を認める。

①は飲食等のために要する交際費に該当する費用の50%が800万円より多い企業が選択しますが、多くの中小企業は②となると思います。

その他の企業

資本金1億円超の法人の場合は①の適用ができます。

できますと言ったのは、平成26年3月31日以前に開始した事業年度は、交際費は原則通りすべて損金不算入でした。

また資本金5億円以上の企業の100%子会社等は資本金が1億円以下であっても①の適用しかありません。



2015年12月07日

改正労働者派遣法 派遣受け入れ期間制限廃止

派遣受け入れ期間を事実上撤廃

労働者派遣法は企業の派遣受け入れ期間の制限がありましたが、この度の改正で人を入れ替えれば同じ仕事はずっと派遣労働者に任せる事ができるようになりました。


今までは派遣期間の上限が無いのは「専門26業務」とされてきましたが、業務範囲の判別が付きにくい等の問題から26業務と言う区分は廃止されました。

26業務以外の業務の派遣期間は3年となっていましたが全業務の区分、上限をなくしました。

派遣期間は業務ごとから人ごとへ

派遣期間の上限は人材派遣会社との雇用契約によって決まります。

今後は派遣会社と無期雇用契約を結べば業務内容にかかわらずいつまでも同じ派遣先、同じ業務で働くことができます。

ただし、有期の期間雇用者は同じ業務は3年ごとに人の入れ替えが必要です。

業務自体の派遣は人を入れ替えれば継続可能であるものの、派遣労働者側から見ると3年ごとに業務を変え、課の異動等を伴わないと同じ企業で働けません。

今までとの違いは、派遣期間の上限が業務ごとから、人ごとに3年となりましたので、同業務を続けられないこともあり、派遣労働者の4割を占める専門26業務であった人等は影響が出てきそうです。

派遣会社の雇用安定措置義務

派遣会社には派遣労働者の雇用が不安定にならぬよう同一組織単位に3年間派遣される見込みのある人に

①派遣先企業が直接雇用するように依頼

②新たな派遣先を紹介する

③派遣会社で無期雇用契約をする

等の措置を取らなくてはなりません。

また、派遣会社は派遣労働者に教育訓練や、正社員求人情報の提供等をしなくてはなりません。

受け入れ企業は派遣社員の直接雇用義務まではありませんが、派遣を活用しやすくなる一方で正社員への道を狭める、受け入れ企業では社員の仕事が派遣にとって代わってしまうかもしれない等の懸念もあります。

派遣継続を受け入れる場合は、労働組合の意見を聴取し協議をすることとなっています。

また、派遣会社の派遣業の届出制はなくなり、全て許可制となりました。

2015年12月04日

棚卸資産の取得価額

棚卸資産の取得価額

棚卸資産といっても製品・仕掛品のように「自社で製造されたもの」と、商品・材料のように「購入したもの」とがあります。

「自社で製造されたもの」は、製造にかかる人件費や機械等の減価償却費や電力料等の諸経費を計算して、直接費だけでなく間接費も含めた全部の製造原価を棚卸資産の取得価額にすることは広く知られています。また簡便な方法として、売価還元法で棚卸資産の価額を決めることもできます。

しかし「購入したもの」は、購入価格×数量で簡単に棚卸資産の取得価額を決定している場合が多々見受けられます。

購入棚卸資産の取得価額

法人税法施行令によれば、購入棚卸資産の取得価額は、「購入先に支払った代金の他に引取運賃・荷役費・運送保険料・購入手数料・関税(附帯税を除く)等の購入のために要した費用、更に当該資産を消費し又は販売の用に供するために直接要した費用の額」となっています。

しかしこの規定の後半の消費・販売に係る規定は、これを厳格に適用すると、現場の経理処理は煩雑を極めるため、さすがに税務当局も少額のものや、特別なもの以外は取得価額に算入しなくてよい、と言っております。

購入のために要した費用の経理処理

前述したように購入のための費用には引取運賃・荷役費・運送保険料・購入手数料・関税(附帯税を除く)等があります。

これらを「荷造運賃」「保険料」「支払手数料」「租税公課」等の科目で処理してしまうと、はたして棚卸資産の取得価額に加算すべき費用が幾らなのかを改めて計算しないと判らなくなってしまいます。

そこで、これらの費用は一括して「仕入諸掛」勘定で処理しましょう。そうすると期末の棚卸資産の取得価額に加算すべき金額は以下の算式で簡単に求められます。

仕入諸掛勘定の金額×購入価格で計算した期末棚卸高÷仕入勘定の金額=期末棚卸に計上すべき購入のために要した費用


2015年12月03日

中小企業両立支援助成金 育休復帰支援プランコース

育休取得・職場復帰を支援する助成金

2015年2月より中小企業両立支援助成金の1つに「育休復帰支援プランコース」が新しくできました。

育児休業を取得し、職場復帰する人と職場環境の業務見直し等を支援します。

育児休業者が初めての人でも、2人目以降の人でもよく、育休復帰プランナーの支援を受けて育休復帰支援プランを策定すればよいなど、申請の要件も他の両立支援の助成金と比べても難しくはありません。

1事業主につき1回限りの受給です。

申請手順

育休復帰プランナーとは育休支援プランの作成および、プランに基づく措置の実施を支援します。

厚労省が委託する事業者が委嘱した者で、社会保険労務士や中小企業診断士の資格を有する者等が委嘱されています。


①プランナーの申し込み

厚労省のHPからできます。

受け付け後受託事業者からプランナーが派遣されます。

企業を訪問しアドバイスをします。


ア、育休復帰支援プランの策定の支援

イ、対象社員の取り扱いに関すること

ウ、育休復帰を円滑にする業務改善指導

エ、助成金手続きに関するアドバイス

等を無料で受けられます。


②事業主は労働者の育児休業の取得・復帰支援に関するマニュアルや規定を作成する

社内報等で労働者に知らせます。

③産休・育休支援面談(休業前)

対象労働者が出たら面接シートを使い「妊娠報告後面談」と「休業2か月前面談」を行います。

前者では出産予定日や妊娠期間中の就労時の配慮事項、業務引き継ぎ等を話します。

後者では、職場復帰後の就業イメージ等を話し合います。

④対象労働者の育休復帰支援プランの策定

休業中の業務を滞りなく行うための体制作り、復帰後の時間制約のある状態での働き方等を策定し産後休業開始日までに社員に知らせ、業務引き継ぎを終了します。

支給申請

休業取得時申請は育休(産後休業終了後引き続き育休を取る人は産後休業)を開始した日から3か月経過する日の翌日より2か月以内に、復帰時申請は育休終了日の翌日から起算して6か月を経過する日の翌日から2か月以内です。

2015年12月02日

タワーマンション節税への注意喚起

大都市部にあるタワーマンションを購入する目的の一つに、相続税の節税効果があります。

相続税法上、相続財産の評価は、原則として「時価」を課税標準としています。

ただし、時価を評価しにくい財産は、財産評価基本通達において評価方法が定められています。

一般的にマンションの相続税評価額は、土地は、敷地全体の価額(路線価方式又は倍率方式)を専有部分の面積で按分し、建物は、固定資産税評価額を用います。

タワーマンションの場合、敷地に対して戸数が多く、一戸当たりの土地の持分は極端に小さくなります。

また、建物の固定資産税評価額は、床面積が同じであれば、階数は低くても高くても考慮されず、評価額は同じになります。

しかし、タワーマンションでは高層階の部屋ほど、市場価格は高値で取引されるため、相続税評価額と市場価格との間に、乖離が生じやすくなります。

その結果、現金預金などの財産を持っているのに比べ、タワーマンションを所有していたほうが、相続税評価額を大幅に圧縮でき、相続税の節税効果が大きくなります。

国税庁が行った、相続税評価額と市場価格との乖離率の実態を把握するためのサンプル調査では、平均約3倍、最大で約7倍もの乖離が出ていました。

例えば、市場価格1億2,000万円のタワーマンションは、相続税評価額は3分の1の4,000万円で申告できることになります。


この「タワーマンション節税」に対して、国税庁は、実質的な租税負担の公平性の観点から看過しがたい事態がある場合には、適正な課税の観点から財産評価基本通達6項の運用を行いたい、としています。

財産評価基本通達6項とは、次のとおりです。

「この通達の定めによって評価することが著しく不適当と認められる財産の価額は、国税庁長官の指示を受けて評価する。」

つまり、財産評価基本通達で定められた方法で評価したとしても、著しく不適当と認められれば、否認されるリスクが潜んでいます。

実際、相続発生前後に売買されたタワーマンションについて、市場価格を相続税評価額とみなして課税された事例もあります。

財産評価基本通達に基づく評価が著しく不適当かどうかは、相続税評価額と市場価額との大きな乖離、マンションの取得時期や目的、使用状況などを総合的に見て、判断するものと思われます。


2015年12月01日

民泊と許認可

仲介サイトの登録数はこの1年で3倍

「民泊」という言葉をご存知でしょうか。

これは、個人が住宅の空室などに観光客を有償で泊めるサービスのことを指します。

外国人観光客が急増する中、空室の有効利用や日本の生活を直に体験してみたいという観光客の要望に応え広がったサービスで、空室を提供したい人と宿泊を希望する人の間を仲介する情報サイトが登場したことにより、急激にその認知度が上がりました。

東京オリンピック開催までいよいよカウントダウンが始まり、宿泊施設不足対策としても注目が集まっていましたが、この新サービスに対し、各自治体等から「待った」の声が上がっています。

民泊と旅館業法

ホテルや旅館など、有償で人を泊める事業者は、旅館業法による許可を受けることになっています。

この法律で「旅館業」とは、「宿泊料を受けて人を宿泊させる営業」を言い、名目の如何を問わず、実質的に寝具や部屋の使用料とみなされるものは「宿泊料」に含まれるとされています。

どのような場合が「営業」に当たるかについては明確な定義がないものの、一般的に反復・継続して行われれば営業であると解釈されるため、民泊のように個人宅を提供することもこの定義に係る可能性が高いとされています。

すでに、実態調査の上、許可を取得していなかった民泊情報サイトの登録者に対し指導を行っている自治体も出ており、今後はより具体的な整備に乗り出す自治体が増えると予想されます。


宿泊事業者を取り巻く許認可事情

民泊が旅館業法の適用を受ける宿泊施設に当たるとなると、他の法律についても適用を考えざるを得ません。

通常、ホテル等の宿泊施設で食事を提供するのであれば、安全衛生の観点から、食品衛生法に基づき飲食店等の営業許可を受けます。

その他、施設の構造により建築基準法、消防法等に基づく様々な手続きを適宜行わなくてはなりません。

元来、宿泊事業を営むためにはこれだけの許認可規制を受けてきたわけですが、そうは言ってもこうした民泊サービスにニーズがあることも事実です。

旅館業法については戦後の施行以来、設備要件等の枠組みがほとんど変わっていないなど、法による規制の趣旨が時代に追いついていないことも問題になっています。

東京オリンピックのような大規模行事が、今後の様々な法整備のきっかけになりそうです。


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