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2015年11月 アーカイブ

2015年11月30日

教育資金を追加したい場合

教育資金信託は安定した増加傾向

教育資金一括贈与に係る贈与税の非課税制度が開始して2年が経過しました。

この非課税制度は、信託・預金・証券の3取引について設けられていますが、このうち信託については、信託協会から受託状況が公表されています。

教育資金信託受託状況(信託協会調べ)

新規契約(累計)     設定金額(累計)

平成25年度 67,073件 4,476億円

平成26年度 118,554件 8,030億円


契約・金額とも安定的に増加しており、このペースでいけば、平成27年度は設定金額の累計は1兆円を超えるかもしれません。


「追加」をするときの手続

制度導入から2年が経過していますので、そろそろ「前回設定したものに金額を追加したい」と思っている方もいらっしゃるかもしれません。

国税庁から公表されている「直系尊属から教育資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税に関するQ&A」では、次のような設例を設けて、追加の手続きの仕方を説明しています。

【設例】 祖父→孫(書面による贈与)

当初設定額 1,000万円

その後、非課税の限度額を使い切っていなかったため、700万円の金銭を非課税が適用される口座に入金した。


① 非課税の限度額(1,500万円)から既に非課税の適用を受けている1,000万円を控除した残額(500万円)を限度に、追加分の非課税の適用を受けることができます。

この場合、贈与を受けた方(受贈者)は、「追加教育資金非課税申告書」を取扱金融機関の営業所等を経由し、所轄税務署長に提出することになります。


② 500万円を超える部分である200万円については、その贈与により取得した年分の贈与税の申告を行う必要があります。

当初は祖父、今回は祖母で追加したい場合

追加の贈与が祖母からの場合も、上記と同じ手続になります。

なお、別の教育資金管理契約に係る口座を新たに開設し、非課税の適用を受けようとする場合には、当初開設した口座に係る教育資金管理契約を終了する必要があります。

2015年11月27日

中小事業主の労災特別加入制度

役員でも労災保険加入ができる制度

労災保険は本来、労働者の業務又は、通勤による災害に対して保険給付を行う制度です。

しかし代表者や役員、代表者の同居の親族等でもその業務の実情、災害の発生状況から見て、労働者に準じて保護することが適当であると認められる人は労災に任意加入することができるのが特別加入制度です。

中小事業主等とは

①下記に記載する業種と常時雇用労働者数の企業規模である中小事業主であること

ア、金融業、保険業、不動産業、小売業は50人以下

イ、卸売業、サービス業は100人以下

ウ、それ以外 300人以下


②労働者以外で①の事業主の事業に従事する人(事業主の同居家族従業員や代表者以外の役員等)

労働者を通年雇用しない場合でも1年間に100日以上使用している場合は加入可能。


特別加入の加入手続き

特別加入をするためには

①労働者の労災保険加入をしていること、していない場合は成立させること

②労働保険の事務処理を労働保険事務組合に委託していること

この2つの要件を満たし、所轄の都道府県労働局の承認申請を行います。


保険料と補償内容

給付基礎日額×365日×各事業の保険料率

が年間保険料です。

年度の途中で加入、脱退をした場合は月割で計算されます。

給付基礎日額は3,500円から25,000円の間で金額を選択します。

保険料は金額に関わらず年間の労働保険料全額を3分割して払うことができます。

特別加入の補償の範囲は業務災害では申請書に記載された範囲が対象です。

労働者の就業中、時間外、休日労働に応じて就業していた場合や準備、後片付け、事業場施設内での行動中、出張等ですが事業主の立場で行われる行為は除かれます。

通勤災害は一般労働者と同様に取り扱われます。

特別加入者が業務災害または通勤災害による場合にも所定の保険給付に併せて特別支給金も支給されます。


2015年11月26日

「成果主義」の問題解決

日本の産業社会が労働集約型から知識集約型へ移行するに伴って「成果主義」の評価が日本企業に導入されましたが、目標管理制度などで実際に適用して見ると、多くの問題が発生し、一時は混乱状態に陥ったものの、今日では一段落したようです。

「成果主義」評価の問題解決状況

発生した問題点と今日の解決状況を整理しますと、次の通りです。


問題点の要約

①外部環境の変化や、会社の方針変更などにより、当初設定した目標達成の困難性が変化し、成果が公正性・納得性をもって評価できない。

②達成度評価を過度に意識し、達成が容易な目標設定(目標の矮小化)に陥る。

③個人の成果の評価を高めるため、ノウハウの独り占めなど、個人主義が横行し、チームワークを阻害する。

④評価の対象にならないプロセス努力が軽視され、人材育成がうまくいかない。


今日の問題解決状況

それらの問題は、多くの企業による改善努力によって、次のように解決されつつあります。

①成果の評価は外部環境の変化などを考慮して、結果が出た時点で、困難性の実態を踏まえて行なう。

②目標の矮小化を防ぐため、目標設定時にチャレンジ度を設定する。

③成果は外部環境変化を考慮に入れ、チャレンジ度と達成度を組み合わせて評価する。(これは、外部環境変化などによって、目標達成の困難度・チャレンジ度が変化し、達成度評価の意味も変化するため。)

④個人主義の横行など、チームワークを阻害する目標管理制度の運用を排除するため、チーム目標を設定し、協働の成果を評価する。

⑤成果に繋がったプロセスでの行動を成果に含めて評価する。


経営者・管理者の留意点

このように「成果主義」の評価は適正な方向へ向かって改善されつつあると言えますが、特に「チームワークを重視する目標設定と達成度評価」の問題など、なお不断の改善努力が必要な事項があります。

チームワークの公正性・納得性を持つ評価は「チーム全員の協働による成果として、メンバー全員が同じ評価を受ける部分」と「プロセスで成果に結びついた行動により成果に貢献したメンバー個人の評価を的確に行なう部分」の評価割合・基準にあると考えられ、引き続き努力したいものです。

2015年11月25日

国外に居住する親族の扶養控除

国外に居住する親族の扶養控除


平成27年度の税制改正により、年末調整などで、日本国外に居住する親族(国外居住親族)に係る扶養控除等の適用を受ける場合には、証明書類の提出が必要となりました。

改正前は、特に国外居住親族について、証明書類を添付する必要はなく、国内に居住する親族と同様の要件で扶養控除等を受けることが出来ました。

今回の改正で、その国外居住親族に係る「親族関係書類」「送金関係書類」を提出又は提示しなければならないこととされました。

(1)親族関係書類

「親族関係書類」とは、次の①または②のいずれかの書類で、国外居住親族が居住者の親族であることを証するものをいいます。

① 戸籍の附票の写しその他の国又は地方公共団体が発行した書類及び国外居住親族の旅券(パスポート)の写し

② 外国政府又は外国の地方公共団体が発行した書類(国外居住親族の氏名、生年月日及び住所又は居所の記載があるものに限ります。)

 ・戸籍謄本・出生証明書・婚姻証明書

旅券の写し以外は、コピーではなく原本が必要となります。

一つの書類だけでは国外居住親族が居住者の親族であることを証明することができない場合には、複数の書類を組み合わせることにより、居住者の親族であることを明らかにする必要があります。


(2)送金関係書類

「送金関係書類」とは、次の書類で、居住者がその年において国外居住親族の生活費又は教育費に充てるための支払を必要の都度、各人に行ったことを明らかにするものをいいます。

① 金融機関の書類又はその写しで、その金融機関が行う為替取引により居住者から国外居住親族に支払をしたことを明らかにする書類

 ・外国送金依頼書の控え

② いわゆるクレジットカード発行会社の書類又はその写しで、国外居住親族がそのクレジットカード発行会社が交付したカードを提示してその国外居住親族が商品等を購入したこと等により、その商品等の購入等の代金に相当する額の金銭をその居住者から受領した、又は受領することとなることを明らかにする書類

 ・クレジットカードの利用明細書

送金関係書類については、原本に限らずその写しも送金関係書類として取り扱うことができます。

国外居住親族が複数いる場合には、送金関係書類は扶養控除等を適用する国外居住親族の各人ごとに必要となります。


この改正は、平成28年1月1日以降の給与等、公的年金等に適用されるため、本年、平成27年分の年末調整には適用されません。

ただし、通常、「給与所得者の扶養控除等申告書」はその年の最初の給与の支払いを受ける日の前日までに、給与支払者に提出するべきものとなっていますので、平成28年分の給与所得者の扶養控除等申告書に「親族関係書類」を添付する必要があります。

2015年11月24日

合意解除による贈与の取消し

「贈与の取消し」と「贈与税の課税」

民法では、書面によらない贈与は、贈与の履行が終わるまでの間は、その当事者はいつでも取消すことができることとされています。

一方で、贈与税の課税のタイミングは、書面による贈与は、その契約の効力発生時、書面によらない贈与は、その履行の時とされていますので、一旦履行されてしまえば、贈与税が課税されます。

法定取消権・解除権による贈与の取消し

ただ、国税庁では、履行後に贈与の取消しや解除があった場合の特例的な取扱いとして「名義変更等が行われた後にその取消し等があった場合の贈与税の取扱いについて」という個別通達を公表しています。

その中に法定取消権等や合意解除に基づき贈与が取消された場合の贈与税の取扱いが示されています。

贈与契約が

①詐偽・強迫による取消権

②夫婦間の契約取消権

③未成年者の行為の取消権に基づき取消し・解除

が行われた場合には、元の贈与者の名義に変更し、一定の事実が確認された場合に限り、その贈与はなかったものとされ、納税者は更正の請求を行い税金を取戻すことができます。

合意解除による贈与の取消しの場合

このような法定取消権・解除権による贈与の取消しの場合を除き、当事者の合意による贈与の取消し・解除があった場合においては、原則として、当初の贈与税課税が取消されることはありません。

しかし、当事者の合意による取消し・解除が次の事由に該当するときは、贈与税課税が著しく負担の公平を害する結果となると税務署長が認める場合に限り、その贈与はなかったものとして取扱うことができます。

①贈与の取消し・解除がその贈与年分の贈与税の申告期限までに行われ、取消し・解除したことが名義変更等で確認できること(更正の請求は想定していません)

②贈与に係る財産が受贈者により処分等されていないこと

③その贈与に係る財産について贈与者・受贈者が譲渡所得等の申告等をしていないこと

④受贈者がその財産の果実を収受していないこと(収受している場合には、その果実を贈与者に引き渡していること)

2015年11月20日

役員の労災保険

労災の原則は労働者が対象

法人の役員であっても常勤で勤務する者は健康保険や厚生年金保険の適用があります。

一方、労災や雇用保険は原則として対象外です。

労災保険でいえば「労働者の業務上の負傷、疾病、障害、死亡等の業務災害に関する保険給付」を行うことになっており、事業主や他の役員、事業主と同居の親族等は適用されません。

労災保険に加入していないならば健康保険を使えるのでしょうか。

健康保険は「業務外に起因する傷病」に対して療養の給付を行う制度ですから、原則使用できません。

業務上傷病であっても事業主や役員は労災の適用はないので実態に応じて対策をしておくことが必要です。

取締役で労災対象者の場合

代表権や業務執行権を有する役員は労災保険の対象者ではありません。

業務執行権とは株主総会、取締役会の決議を実行し、日常的な取締役会の委任事項を決定、執行する権限を言います。

しかし法人の取締役等であっても事実上、業務執行権を持つ者に指揮監督を受けている者は原則労働者として扱います。

また、取締役会規則により業務執行権を有すると認められている者は対象にはなりません。

また、監査役や監事は法令上では使用人を兼ねることはないのですが、事実上一般の労働者と同様に賃金を得て労働している場合は労働者として扱います。

これら兼務をしている取締役等は役員報酬の部分は労災の対象でなく労働者部分の賃金が対象となります。

法人5人未満事業所の代表者等労災の扱い

特例として、傷病が発生した当時に被保険者が5人未満の社会保険適用事業所の代表者等で一般の従業員と著しく異ならない労務に従事しているような場合は、業務上の傷病についても健康保険の給付対象とされています。

平成25年5月からは休業中の傷病手当金も給付される事になっています。

また、他に中小事業主等の労災特別加入をしていれば役員の労災適用を受けることができますが、その場合は5人未満事業所でも労災保険から給付を受けることになります。


2015年11月19日

芥川賞の賞金品は所得税の課税対象

芥川賞の賞金品は所得税の課税対象

第153回芥川賞は、お笑い芸人の又吉直樹さんが受賞して話題になりました。

同賞の正賞は懐中時計、副賞は100万円だそうです。

これらの賞金品については、特に非課税として所得税法に特掲されていないため、所得税が課せられることになります。

この場合、受賞の経緯が、既に公表された候補作品の中から選考委員(第三者)により選ばれるものであることから、「著作の対価」としての性質は有していない、源泉徴収の対象(原稿報酬)とはならないものと位置づけられています。

「事業所得」か「一時所得」か?

では、「事業所得」か「一時所得」のどちらに該当するかといえば、少々判断が難しいところではあります。

所得の区分は、「継続性・対価性」があるもの、ないしは「付随収入」としての性質があれば「事業所得」、そうでなければ「臨時的・一時的」な収入として「一時所得」となります。

ただ、この新人文学賞の受賞をきっかけに作家生活(事業)が軌道に乗る方もいらっしゃることを考えると必ずしも「一時所得」とは言い切れない部分があることは否めません。

正面から聞いてみた作家さんがいました!

東京国税局から公表されている文書回答事例の中に「吉川英治文学新人賞の受賞に伴って受領した副賞の取扱いについて」というものがあります。

これは平成10年から作家業を営んでいる方が同賞を受賞した際に受け取った副賞は所得税法上「一時所得」に該当するものと解して差し支えないか、国税局に直接文書で問い合わせたものです。

こちらの作家さんは、同賞は、

①財団法人が選ぶもので「出版社」が選ぶものではないこと

②既存の作品の中から選考委員によって選ばれたもの(非公募型の新人文学賞)であって、自らが応募するもの(公募型の新人文学賞)でないこと

③芥川賞などが源泉徴収の対象でないように、「著作の対価」としての性質は有していないことから、作家としての本来の事業活動による収入ではなく、文筆活動を行う中で一般的に受領し得る性質のものではないから、予期せぬ臨時・偶発的収入だと主張したのです。

結果として、国税サイドはこの作家さんの主張を認めています。

2015年11月18日

贈与税の計算と税率(暦年課税)

平成27年1月1日以降の贈与について、贈与税の最高税率の引き上げや直系尊属から贈与を受けた場合の贈与税の税率構造が変わります。

贈与税の計算は、まず、その年の1月1日から12月31日までの1年間に贈与によりもらった財産の価額を合計します。

続いて、その合計額から基礎控除額110万円を差し引きます。

次に、その残りの金額に税率を乗じ、累進税率の調整のための控除額を引いて、税額を計算します。

(基礎控除後の課税価額)×税率-控除額=贈与税額

この税率が、「一般贈与財産(一般税率)」と「特例贈与財産(特例贈与)」に区分されました。

① 一般贈与財産(一般税率)

「特例贈与財産用」に該当しない場合の贈与税の計算には、一般税率を適用します。

例えば、兄弟間の贈与、夫婦間の贈与、親から子への贈与で子が未成年者の場合などが該当します。

基礎控除後の課税価格に対応する税率、控除額は次のとおりです。

200万円以下  10%  -

300万円以下  15%  10万円

400万円以下  20%  25万円

600万円以下  30%  65万円

1,000万円以下 40%  125万円

1,500万円以下 45%  175万円

3,000万円以下 50%  250万円

3,000万円超  55%  400万円

② 特例贈与財産用(特例税率)

父母や祖父母など、直系尊属からの贈与により財産を取得した子・孫(その年の1月1日において20歳以上の者)の贈与税の計算については、特別税率を適用します。

例えば、祖父から孫への贈与、父から子への贈与などが該当します。

夫の父からの贈与等は該当しません。

基礎控除後の課税価格に対応する税率、控除額は次のとおりです。

200万円以下  10%  -

400万円以下  15%  10万円

600万円以下  20%  30万円

1,000万円以下 30%  90万円

1,500万円以下 40%  190万円

3,000万円以下 45%  265万円

4,500万円以下 50%  415万円

5,000万円超  55%  640万円


同じ年に、一般贈与財産と特例贈与財産の両方の贈与を受けた場合には、次のように計算します。

a 全ての財産を「一般税率」で計算した税額に占める「一般贈与財産」の割合に応じた税額を計算します。

b 全ての財産を「特例税率」で計算した税額に占める「特例贈与財産」の割合に応じた税額を計算します。

c 納付すべき贈与税額は、a+bの合計額です。


贈与税の申告期限は、所得税の確定申告と同じ3月15日となっています。

贈与財産が高額になると、税率が非常に高くなりますので、贈与をする際には、贈与税額をしっかりと把握しておいてください。


2015年11月17日

計画変更のために不要になった設計費

新国立競技場建設計画が白紙撤回

安倍首相は2020年東京五輪のメイン会場となる新国立競技場の建設計画を「ゼロベースで見直す」ことを表明しました。

発注元である日本スポーツ振興センター(JSC)が2012年に開催した国際コンペでは要綱に1,300億円と記載されていた総工事費は、基本設計案の段階で1,625億円、有識者会議を経て最終的には2,520億円まで膨れ上がり、根拠も曖昧なまま、10月には着工する予定となっていました。

しかも、財源が1,000億以上不足している状況での見切り発車で、とても国民の理解を得ることができませんでした。

デザインを手掛けていた建築家ザハ氏に既に支払った監修料は13億円といわれ、返金されないと報道されています。


企業ならば、不採用の設計費はどうなる。

企業が建物を建築する場合においても、当初の計画が思うように進まず、計画を変更しなければならないケースが少なからずあるようです。

このような場合、不採用となって用いられなくなった当初の計画に基づく各種の測量費用や設計費用は、新たに計画を変更し直して、完成した建物等の取得価額を構成するものなのでしょうか。


計画変更により不要となったものは損金に

法人税の通達では、「固定資産の取得価額に算入しないことができる費用の例示」の中で、「建物の建設等のために行った調査、測量、設計、基礎工事等でその建設計画を変更したことにより不要となったものに係る費用の額」は、固定資産の取得価額に算入しないことができるとしています。

同一建物の建設のために、いく通りもの設計を行い、それに修正を加えながら最終的な設計が確定したような場合には、その全体の設計費用がその建物の取得に要した費用として、取得価額を構成すると考えるようですが、建設計画を変更したことにより不要となった費用については、計画変更後の建物の取得価額に含めることは適当でないと考えられています。


2015年11月16日

覚えて便利0.9779

約束は簡単だけど

講師料等の支払いや士業と言われる先生方への支払いは、手取りで約束される場合が良くみうけられます。

講演を頼み「それでは講演料は10万円でお願いたします」と言った時はおおむね手取り10万円を想定してのやり取りとなります。

しかし手取りで約束された金額を支払った場合の経理処理は大変面倒なことになります。


何が面倒なのか

企業が講師料や士業と呼ばれる個人事業主への支払いをする場合は源泉徴収税額を徴収して、残りを支払うこととなります。

更に支払った10万円には消費税が含まれていることになります。

そうなるとはたして経理上の講師料は幾らになるのか大変面倒です。

講師料10万円で計算してみましょう

経理上の講師料をAとしますと以下の算式が成り立ちます。

A×1.08(消費税)-A×10.21%(源泉税)

=10万円

Aで括ると以下となります。

A(1.08-10.21%)=10万円

よって

A=10万円÷(1.08-10.21%)

括弧の中の数字が0.9779です。

A=102,259.9447 ……となります。

講師料を102,260円とすると

消費税は102,260×8%=8,180円

源泉所得税は

102.260×10.21%=10,440円となります。

経理処理は以下となります

講師料 102,260  現預金 100,000

仮払消費税 8,180 預り金 10,440

結論としては

手取りで約束された場合、手取り金額を0.9779で割った数字が経理上の経費金額です。

しかしこれは源泉所得税が10.21%の場合です。

ちなみに源泉所得税が20.42%の場合は0.8758で割った数字となりますのでご注意ください。


2015年11月13日

高齢化と人件費

従業員の高齢化に伴って人件費が増加し、赤字体質に陥ってしまう企業があります。

その原因は賃金制度が従業員の加齢とともに毎年昇給する年功賃金型となっているか、能力に応じて賃金を決定する職能資格制度を持っていても、実際の運用が年功的に行なわれている場合が多いと言えます。

人件費適正化の考え方と方法

人件費は従業員の働く意欲を維持、向上させる重要性から、単純に高齢者の賃金を抑制する考え方は適正とは言えません。

人件費を「コスト」と考えるのではなく、「人材に対する投資」と考え、年齢にかかわらず、能力活用を図って業績を向上させることで回収する考え方が重要です。

その方法として、次の人事賃金制度を設計、適用することを推奨致します。

①社内等級制度を「仕事・役割」に基づいて設定し、対応する賃金体系を設定する。

ⅰ)定型的職務群(製造職など)は職務給をベースにして習熟給を組み合わせる体系

ⅱ)非定型的職務群(開発職・企画職など)は等級別の職務給をベースに、等級内で賃金額に幅をもたせて設定、等級間重複型賃金(下位等級の上限が、その上位等級の下部と重複する賃金設計。実力評価を反映しやすい)を行なう。

②目標管理制度などにより、業績・能力を評価して、年功を排除した実力主義で社内等級・賃金を決定する。

③人件費の使い方が適正か否かを判断する基準は「人件費当りの利益」の増加(例えば「営業利益/総額人件費」の増加)の程度、人件費負担が適正か否かを判断する基準は「労働分配率」(=総額人件費/付加価値・80%以下が目安)とする。


経営者の注意点

高齢化と言う現象にとらわれず、全従業員を対象に「実力主義」の評価・処遇を徹底することが人件費対策の基本です。

高齢化による人件費の上昇で経営が危機的な状況にある場合、前述の人事賃金制度を準備して、個人別の再評価を実施し、現状から移行する非常措置をとらざるを得ないことがあります。

そのケースでは、労働条件の下方修正が生じるため、労働組合の有無にかかわらず、従業員への事前の説明を十分に行ない、納得を得ることが重要です。

2015年11月12日

「取引先持株会」株式

「取引先持株会」株式とは

毎月数万円ずつ積み立てて取引先の会社の株式を取得する仕組みです。

取引先から安定株主として協力してほしいとの依頼で、それほどの負担になりませんのでお付き合いで行っている企業も多いかと思われます。

「投資有価証券」の科目で処理し決算時には上場企業の場合は時価で、非上場企業の場合は取得価格で貸借対照表の投資等の部に計上します。

しかし税務上時価評価は認められませんので、資本の部に「その他有価証券評価差額金」(全部純資産直入方式)と言う科目を設けて処理する方法が一般的です。監査法人等の監査を受けていない中小企業にあっては、取得価格で表示している場合も多々見受けられます。

問題は配当金

毎月定額で株式を取得していますが、配当金も株式の取得に充てられます。

毎月の定額の取得は、預金等から資金の移動がありますから、計上漏れはありませんが、配当金は、通知が来るだけで全く資金移動はありません。

しかも通知と言っても現在では、葉書形式の簡単なものです。

何年も気が付かずにいると、株式の計上漏れの金額も多額になってきます。

整理整頓

取引先持株会」の株式を取得されている企業の経理担当者は、「持株会」ごとに専用のファイルを作成し、全ての通知を保管するようにしましょう


2015年11月11日

災害減免法による軽減免除と雑損控除の違い

今年も9月の関東・東北豪雨をはじめ、多くの自然災害が各地に大きな被害をもたらしました。

こうした自然災害の被災者の方々に対して、税制上の軽減措置が設けられています。

地震、火災、風水害などの災害によって、住宅や家財などに損害を受けたときは、

①「災害減免法」による税金の軽減免除による方法

②「所得税法」による雑損控除の方法を受けることによって、所得税を軽減することができます。

これら2つの方法は、どちらか有利な方法を選ぶことができ、次のような違いがあります。


(1)損失の発生原因

①災害減免法・・災害による損失が対象となります。

②雑損控除・・・災害、盗難、横領による損失が対象となります。

(2)対象となる資産の範囲等

①災害減免法・・住宅及び家財が対象となります。

(損害金額が住宅または家財の価額の2分の1以上であることが必要)


②雑損控除・・・住宅及び家財を含む生活に通常必要な資産が対象となります。

(たな卸資産や事業用固定資産、山林、生活に通常必要でない資産は対象外)

(3)所得税の軽減額または控除額の計算

①災害減免法

その年の所得金額によって所得税の免除額、軽減額が決まります。

500万円以下・・・全額免除

500万円超700万円以下・・・2分の1軽減

750万円超1,000万円以下・・・4分の1の軽減

②雑損控除

雑損控除の金額は次のイまたはロのうちいずれか多い方の金額です。

イ 損害金額-所得金額の10分の1

ロ 損害金額のうち災害関連支出の金額-5万円

(4)適用要件その他の事項

①災害減免法

原則として損害を受けた年分の所得金額が1,000万円以下の方に限り適用することができます。

確定申告書に適用を受ける旨、被害の状況及び損害金額を記載して、原則として、確定申告期限までに確定申告書を提出することが必要です。


②雑損控除

災害等に関連してやむを得ない支出をした金額についての領収証を確定申告書に添付するか、確定申告書を提出する際に提示することが必要です。

雑損控除の金額について、その年分の所得金額から控除しきれない金額がある場合には、翌年以後3年間繰り越して各年分の所得金額から控除することができます。

災害関連支出のうち、

①災害により生じた土砂などを除去するための支出

②住宅や家財などの現状回復のための支出

③住宅や家財などの損壊・価値の減少を防止するための支出

については、災害のやんだ日から1年以内(大規模な災害の場合等には、災害のやんだ日から3年以内)に支出したものが対象となります。


どちらが有利かを判断してみると、所得金額500万円以下の場合は、災害減免法を選択した方が有利となります。

所得金額500万円超1,000万円以下の場合は、個々のケースにより異なるので、それぞれのケースを計算して有利な方を選択することになります。

損害額が少ないときはどちらかというと災害減免法が有利となるようです。

また、損害額が所得金額を超える場合には、3年間繰越すことができる雑損控除を選択する方が有利になるでしょう。

2015年11月10日

労働保険に加入する人・しない人

労働保険とは労災保険と雇用保険の総称です。

保険給付は別個に扱われますが、保険料の徴収は一体として扱われています。

労災保険の加入対象者

①労災保険は雇用形態にかかわらず労働の対償として賃金を受ける全ての人が対象です。

1日限りのアルバイトでも適用されます。


②法人の役員で代表権・業務執行権を有する人は労災の対象外です。

取締役でも指揮監督を受けて労働に従事し、その対象として賃金を受けている者(労働者としての賃金部分)は労災の対象となります。

代表権や業務執行権を有する人は労災の対象外ですが、労災保険特別加入制度を利用すれば労災加入ができます。


③事業主と同居の親族は原則として労災保険の対象外です。

事業主の指揮監督に従っている等、一定の条件の下では対象者になることもあります。

取締役と同様に労災保険特別加入者の対象者にもなります。


④出向労働者は、出向先で指揮監督を受ける場合は、出向元賃金も出向先賃金に含めて計算し、出向先対象労働者とします。


⑤派遣労働者は派遣元の対象労働者です。

雇用保険の加入対象者

①名称や雇用形態にかかわらず被保険者。

ア、1週間の所定労働時間が20時間以上で

イ、31日以上の雇用の見込みのある場合


②法人の役員、取締役は原則として対象になりませんが兼務役員として部長、支店長、工場長等従業員としての身分を有し、労働者的性格の強い者は被保険者になります。

その場合、職安に雇用の実態を確認できる書類を提出しておく必要があります。

③事業主と同居をしている親族も兼務役員と同様の取り扱いになります。


④派遣労働者は派遣元で加入します。


⑤出向者は主たる賃金の支払い会社で加入。


⑥除外される人

ア、季節的に雇用され4か月以内の期間を定めて雇用される者や1週間の所定労働時間が30時間未満の者

イ、昼間学生

ウ、65歳以上で新たに雇用される者


2015年11月09日

繰延資産と長期前払費用

繰延資産とは

中小企業会計指針によると、「既に代価の支払が完了し又は支払義務が確定し、これに対応する役務の提供を受けたにもかかわらず、その効果が将来にわたって発現するものと期待される費用を資産として繰り延べたものをいう。」とあり、「旧商法に規定する創立費、開業費、開発費、株式交付費、社債発行費、新株予約権発行費が繰延資産に該当するが、税法に規定する繰延資産は、長期前払費用等とする。」と言っております。

長期前払費用とは

中小企業会計指針によると「前払費用は、一定の契約に従い、継続して役務の提供を受ける場合、いまだ提供されていない役務に対して支払われた対価をいい、前払利息、前払保険料、前払家賃、前払保証料等が該当する。」そして「年度末後1年を超えて費用となるものを長期前払費用とする。」と規定しております。

会計指針自体が矛盾しています

要は「既に役務の提供が終わり効果が長期間続くものを繰延資産、これから役務の提供を長期にわたって受けるものを長期前払費用」と言っておきながら、「税法上の繰延資産は長期前払費用等としろ」と言うから現場では混乱が起きるのです。


繰延資産に対するスタンスは

どうしてこんなことが起こるのかと言えば、税務上は「多額の費用であっても効果が長期にわたるのだから、減価償却資産と同様に扱うべき」と主張し、会計上は「費用の塊で何の資産価値もないのだから、資産に計上するのは最低限にすべき」と主張して、対立しているからです。

そこで、税務上どうしても資産にしろと言うのなら、繰延資産と言う表示ではなく長期前払費用等他の科目にしてくれといった対立が続いているのです。

現場の経理担当者はいい迷惑ですが、税務上の繰延資産は、一般的には長期前払費用に含めて処理されているのが現状です。

2015年11月06日

役職定年制

従業員規模1000名以上の企業の約半数が導入している「役職定年制」とは、管理職の役職を一定年齢で外す制度ですが、中堅・中小企業で導入する場合はいくつかの注意点があります。

「役職定年制」の目的、形態

管理職が定年まで、その職位に止まることで後輩社員の管理職登用が遅れ、その労働意欲が低下したり、働き盛りに管理職として活躍してもらう機会を奪うなど、全体として管理職層のマネジメント能力が低下する企業の人材活用戦略の問題を回避することを目的として導入するのが一般的で、その形態は次の通りです。

①部長・課長などの職位別に役職定年を区別して設定し(例えば部長58歳、課長56歳)、ライン長から外す。

②または、管理職は全て一定年齢(例えば60歳)を役職定年とする。

③上記①②とも、理事など役員に準ずる処遇を受けている場合は役職定年を適用せず、ライン長に止まる。

④役職定年を適用された者は、専門職、または一般職として業務に従事する。


「役職定年制」導入の留意点

この制度を導入した場合、次のような対策が必要です。

①対象者への事前の目的説明を丁寧に行なうとともに、交代後には、その能力・経験を生かした業務遂行と後進の人材育成面に期待する会社の意図を伝える。

② 前項の裏付けとして、社内等級で管理職に並び、かつ管理職の指揮下で専門的業務に従事する「複線型専門職制度・専任職制度」を設定して処遇し、業績・能力発揮の査定と報酬への反映を行う。

経営者の留意点

中堅・中小企業で「役職定年制度」を導入する場合は、目的を達成できるよう、次の点に留意したいものです。

1.事業推進の中核として、マネジメントを行なう人材を確保し、経営戦略の実現力を確保するため、自社における現状と将来のマネジメント人材確保状況を的確に洞察、判断して、管理職層の弱体化に陥らないよう「役職定年制」の導入を決断する。

2.後進の管理職登用は、業績に裏付けられた実力の評価に基づいて行い「役職交代制度」のメリットを事実で証明する。

2015年11月05日

社会保険に加入する人・しない人

会社や事業所で働くと普通、社会保険(厚生年金保険・健康保険)に加入しますが、労働時間や勤務期間等の条件により、社会保険に加入すべき人と加入しなくても良い人がいます。


社会保険の加入対象者

すべての法人事業所に働く人(社長1人であっても)が加入の対象者です。

個人事業所では従業員5人以上が対象ですが一部サービス業、農林水産畜産業、法務などの個人事業所は5人以上でも除外されます。

社会保険に加入している事業所に雇用される従業員は原則全員加入します。

ただし下記の通り雇用契約期間や労働時間によっては加入しないで良い場合があります。

加入する場合としない場合

ア、常時使用される人⇒加入

イ、2か月以内の期間を定めて使用される人⇒定めた期間を超えて引き続き雇用された人は加入

ウ、季節的業務(4か月以内)に使用される人⇒継続して4か月を超える見込みの場合は当初から加入

エ、臨時的事業の事業所に使用される人(6か月以内)⇒継続して6か月を超える見込みの人は当初から加入


パート・外国人・年金受給者の加入

①パートタイマー・アルバイトの加入者

ア、労働時間が正社員の4分の3以上

イ、労働日数が正社員の4分の3以上

上記ア、イ両方に該当する場合は加入


②外国人…国籍は問わず、加入要件該当者は加入


③年金受給者…厚生年金の加入上限は69歳まで。

健康保険は74歳まで。

要件に該当すれば加入

健康保険の被扶親族の範囲

被保険者に生計を維持されている75歳未満の人です。

被保険者から見て父母、祖父母、曾祖父母、配偶者、子、孫、弟妹は生計維持関係があればよいことになっています。

被扶養者年収要件は130万円未満であること(60歳以上や障害者の方は180万円未満)。

同一世帯でない時は被保険者からの仕送り額より、被扶養者の年収が少ないこと。

また、被保険者から見て3親等内の親族で上記被扶養者以外の被扶養者は同一世帯と年収の要件の両方が必要です。

2015年11月04日

マイナンバー制度 本人確認

給与や報酬などの支払いがある場合には、従業員や報酬などの支払を受ける方から個人番号の提供を受ける際に、「本人確認」を行うことが必要になります。

個人番号の提供を受ける際に行う「本人確認」とは、個人番号に誤りがないことを証明する「番号確認」、その個人番号が本人のものであることを証明する「身元確認」の2つの確認を行うことです。

番号の間違いやなりすましの防止のため、この2つの本人確認が義務付けられています。

支払を受ける方が「個人番号カード」を持っている場合には、番号確認と身元確認がこのカードのみで可能です。

個人番号カードを持っていない場合は、番号確認は平成27年10月以降に郵送される「通知カード」などで確認を行います。

ただし、通知カードには写真がなく、身元確認はできないため、運転免許証やパスポートなどで身元確認を行います。

① 個人番号カード

申請書に記載された内容について、個人番号カードの裏面に記載された個人番号により番号確認、表面に記載された個人識別事項(氏名及び住所又は生年月日)及び顔写真で身元確認を行います。

提示を受けた個人番号カードについて、コピーを保管することは義務付けられていません。

なお、コピーを保管する場合には、安全管理措置を適切に講ずる必要があります。

② 通知カード+運転免許証・パスポート等

申請書に記載された内容について、通知カードで番号確認、運転免許証・パスポートなどの写真表示のある書類で身元確認を行います。

他の身元確認書類には、以下のようなものがあります。

・住民基本台帳カード(交付を受けている者の写真が表示されているもの)

・運転経歴証明書(交付年月日が平成24年4月1日以降のもの)

・身体障害者手帳

・精神障害者保健福祉手帳

・療育手帳

・在留カード

・特別永住者証明書

・国税庁告示1(写真付き学生証や写真付き資格証明書など)で定めるもの

通知カードや運転免許証についても、コピーを保管することは義務付けられていません。

③ 通知カード+写真表示のない書類

写真付身分証明書の提示が困難な場合には、以下の書類のうち、いずれか2つ以上の提示を受ける必要があります。

・国民健康保険、健康保険、船員保険、後期高齢者医療若しくは介護保険の被保険者証

・健康保険日雇特例被保険者手帳

・国家公務員共済組合若しくは地方公務員共済組合の組合員証

・私立学校教職員共済制度の加入者証

・国民年金手帳

・児童扶養手当証書

・特別児童扶養手当証書

・国税庁告示2(印鑑登録証明書、戸籍の附票の写しなど)で定めるもの


対面だけでなく、郵送、オンライン、電話によりマイナンバーを取得する場合にも、同様に番号確認と身元確認が必要となります。

ただし、継続して雇用している従業員など、採用時に身元確認を行っている場合は、本人であることが明らかであると判断できるため、身元確認書類の提示は不要となります。

2015年11月02日

役員等の勤続期間5年以下は退職金の2分の1課税なし

退職金課税(住民税も含む)の最大の節税効果は、勤続年数に応じた退職所得控除額(勤続20年まで年40万円、20年超年70万円)が大きいということもありますが、退職所得の金額(課税標準額)が、退職金(退職所得控除後の金額)の「2分の1」であるという点です。

退職所得の金額を具体例で算出すると、次のようになります。

例、退職金の額1,500万円、勤続年数5年

(退職金の額「1,500万円」-退職所得控除額「200万円」)×1/2=退職所得の金額「650万円」

※退職所得控除額200万円=5年×40万円


役員等の勤続期間5年以下の場合

この退職金に対する2分の1課税は、一部外国人役員の給与等の節税に利用され、また、特権を持った一部の人が退職後、外郭団体で役員等に就任しては、短い期間で退職し、その都度、退職金の支給を受ける、いわゆる「渡り」と呼ばれる人が、退職の都度、この適用を受けていました。
 
現行の2分の1課税方式は、超過累進税率の適用を緩和するためのもので、こういった特殊な事例で適用されることは想定されておらず、本旨に反するとの批判が高まり、平成24年度の税制改正で、役員等に就任し、その勤続年数5年以下の当該役員等の期間に対する退職金については、2分の1課税は適用しない、旨の改正がなされ、平成25年1月1日以後の支給分から適用となっています。


すべての法人等に適用

この2分の1課税適用除外は、中小法人であっても適用され、当然に使用人から兼務役員になった役員期間も対象です。

中小法人では、定年前に使用人から兼務役員、場合によっては、さらに本役員(常務等)に昇格、そして、5年以下で退職してもらう、という事例はよくあります。

この場合ですが、役員等の勤続期間が5年以下ですので、役員としての退職金には2分の1課税の適用はありません。

対策としては、5年超勤続させるか、それができない場合には、役員期間の退職金を合理的に算定し、できる限り少なくようにしなければなりません。

なお、使用人部分の退職金は、勤続期間の有無にかかわらず、2分の1課税は適用されます。

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