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2015年10月 アーカイブ

2015年10月30日

有償支給

有償支給とは

外注先に加工等の仕事を依頼する場合、材料等を無償で支給すると、外注先での管理がずさんになり、材料等のロスや不良が発生しかねないということで、支給する材料等を有償で行うことを有償支給と言います。

多くの製造業で導入していると思います。

有償支給は管理目的ですから、科目としては材料や外注費のマイナス科目が一般的ですが、利益を乗せて支給することが一般的とされております。

東芝のパソコン事業部不正問題もこの有償支給を利用して行われました

概要を簡単に言うと、有償支給の部品に利益を乗せて売り上げ、完成した製品を購入して在庫として計上していました。

こうすることによって、有償支給の部品利益を多額に計上しておりました。

東芝の経理処理は以下となります

①100円の部品等の購入時

部品仕入 100/買掛金 100


②200円で有償支給した場合

売掛金 200/部品売上 200


③1,000円で製品を仕入れた時

製品仕入 1,000/買掛金 1,000


しかし製品は売れるまでは在庫ですから在庫1,000円となり、原価には算入されません。

結果として部品の仕入れと売り上げの差額100円が利益に計上されます。

本来の経理処理では

② の時点で以下となります。

売掛金 200/部品売上 200

部品売上 100/有償差益 100


③の時点では以下となります。

製品仕入 1,000/買掛金 1,000

有償差益 100/製品仕入 100

とし、在庫計上は900円となるべきでした。

2015年10月29日

分掌変更退職金の分割払い

役員退職給与の確定総額と分割払い額

役員退職給与の損金算入時期は、

①株主総会の決議等によりその額が具体的に確定した日の属する事業年度

②法人がその退職給与の額を実際に支払った日の属する事業年度

のいずれにするかを選択することができます。

②の場合は、分割払いも想定されており、その分割払いする各事業年度が損金算入時期です。

分掌変更による退職金認容での未払金

常勤→非常勤、取締役→監査役、代表取締役辞任で役員報酬の半分以下への激減、などに該当するときは、実質的に退職したと同様と認められるので、退職給与として法人が「支給した」給与は損金算入できる、との通達があります。

ここでの、「支給した」との文言は、未払計上を否定する趣旨と解説されています。

なお、未払分を未払計上せず、翌期以降の分割払いとしたときは、各支払時に損金算入が認められるかを争った事案があります。

審判所では負け地裁では勝ち

国税不服審判所の裁決では、分掌変更退職金は一種の打切り支給特例としての在職退職金なので、弊害防止の趣旨から、債務の確定だけではなく、実際に金銭等の支給があることを要求しているので、未支給については余程の合理的な理由がある場合でない限り、認められないとして、納税者は敗訴となりました。

地裁では一転して、中小企業での税法通達依拠経理は、「一般に公正妥当な会計慣行の一つであるというべき」として分割払いを特別な例外取扱いにすることにつき、これを否定し、納税者勝訴としました。


裁判所の通達解釈

「企業が、税法通達を斟酌して、会計処理の方法を検討することは至極自然、特に中小企業においては、会計基準よりも、税務会計が一般に公正妥当な会計慣行であるというべきであるとしつつ、他方、通達は、課税庁における税法の解釈基準や運用方針を明らかにするものであり、行政組織の内部において拘束力を持つものにすぎず、法令としての効力を有するものではない」と判決は言い切っています。


グレーゾーンがホワイト化

分掌変更退職金の分割払いと分割支払時損金算入はいままでグレーゾーンで、容認と否認の見解が交錯していたところでした。

これからは、あまり神経質にならずに、取り組めそうです。

2015年10月28日

65歳以降で退職した時の雇用保険

高年齢継続被保険者

雇用保険の加入者(被保険者)の種類には一般、短期特例、日雇労働被保険者の他に65歳以上を対象とする高年齢被保険者があります。

被保険者で65歳以上に達する日の前から同一の事業主に雇用されていて、65歳に達した日以降も引き続き雇用されている人を言います。

65歳前から雇用保険に加入していた人は届出の手続きもなく、自動的に被保険者の区分が切り替わります。

一般求職者給付との違い

離職の日以前1年間に被保険者期間が通算して6か月以上ある、高年齢継続被保険者の方が退職した時に支給されるのが「高年齢求職者給付」です。

失業状態にあり、ハローワークに求職の申し込みをして確認を受けてから支給されます。

この給付は一般被保険者の受給する求職者給付とは異なる点があります。

一般の被保険者の求職者給付は離職理由や年齢で受給期間が違います。

4週間ごとに失業の認定を受けるため、職安に出向く必要があります。

また、65歳になるまでの間で老齢厚生年金を受けている場合、求職者給付受給期間は年金が支給停止されます。


高年齢求職者給付内容

高年齢求職者給付の給付内容は離職理由にかかわらず、基本手当に代えて一時金が支給されます。

被保険者期間1年以上⇒基本手当50日分

被保険者期間1年未満⇒基本手当30日分

求職の申し込み後、1回限りの失業認定で全額の支給が決定されます。

また、老齢厚生年金とも併給されます。

65歳まで雇用する継続雇用制度を設けている企業でも65歳以降継続して働く人も増えています。

65歳以降に退職する場合は雇用保険の被保険者離職票の交付の申し出により、離職証明書を作成し、退職者の住所を管轄するハローワークに提出します。
65歳以上で退職する場合には対象者になる人に区分変更のため、給付内容も変わることをあらかじめ説明をしておきましょう。


2015年10月27日

大家さんが外国人

東京オリンピックが一因

東京オリンピック開催を控えた都心部の地価上昇への期待を背景に、アジアの富裕層などが投資を目的に東京のマンションを買うケースが増えている(日経新聞、2014 年11月27日)。

と言った記事が出るほど外国人(特にアジア人)の日本不動産への投資は増えています。

また日本の多くのマンションデベロッパーも、台湾や中国に支店や出張所を設けて、投資マンションの販売に乗り出しています。

大家さんが外国人だとどうなる

法人や個人事業者(士業の方々等)の源泉徴収義務を負っている者が、非居住者(国外に居住している者、所謂外国人)が所有する不動産の家賃を払う場合、20.42%の源泉税を徴収して支払わなければなりません。

具体的に言えば、20万円の家賃を支払う場合、およそ4万円を差し引いて支払い、4万円は支払った翌月の10日までに源泉徴収税額として国に納めなければなりません。

企業の寮は要注意

企業がオフィスビルを借りる場合、所有者が非居住者であれば、仲介する不動産業者も毎度のことなので、心得て注意してくれていますが、問題は企業の寮として、マンションなどを借りる場合です。

通常、個人が住宅として非居住者所有のマンション等を借りる場合は、源泉徴収義務はありませんので、仲介する不動産業者も全く源泉徴収に関して気に留めていません。

源泉徴収をせずに全額を支払っているような場合、数年後の税務調査で指摘されると、高額な追徴課税となります。

その時になって、大家さんに返してくれと言っても、非居住者ですから交渉も大変です。

すでに契約を解除してしまっている場合などは、追徴された源泉徴収税額を取り戻すのは全く困難になります。

交渉は納税管理人を通して

非居住者が国内の不動産を賃貸する場合、必ず国内に居住者である納税管理人を置くこととされております。

税金のことですから交渉するとなれば、納税管理人を通してと言うことになると思います。

2015年10月26日

ソフト開発は著作物

ソフトの開発は著作物です。

パソコンやスマートフォンの普及で、ソフトの開発を手掛ける企業は多いと思いますが、1から10まで全てを自社で開発する企業は少なく、必ずといっていいほど外注を使って開発を進めているのが現状です。

そこで注意しなければならないのは、ソフト開発は単なる請負業務ではなく、著作権(厳密に言えば著作財産権)が絡むと言うことです。

開発されたソフトは著作物です。

よって外注に依頼したソフトの著作権は、特に取り決めがなければ、依頼者ではなく、依頼された外注にあります。

請負契約では不十分。

企画から仕様書までそろえて、その通りにソフトを作成するための請負契約を結んだとしても、著作権は請け負って作成した個人または法人にあります。

ですから作成した外注先が、そのソフトを他社にも転売してしまったとしても文句は言えません。

そこでソフト開発の請負契約には必ず著作権の譲渡を謳う必要があります。

海外でのソフト開発はもっと面倒。

国内の外注先では著作権の譲渡に税金は発生しませんが、海外の外注先との著作権の譲渡となると原則20%の源泉徴収義務(国によっては租税条約で15%から免税まであるが、概ね10%が多い)が、国内の依頼した企業に発生します。

契約金額は別々にする。

請負契約に著作権の譲渡が盛り込まれておりますと、請負金額に対する源泉徴収義務が発生します。

そこで海外企業との契約は、ソフト開発の請負契約金額と著作権の譲渡対価の額を明確に区分した契約書の作成をお勧めします。

また契約書に源泉徴収義務が発生する旨も記載しておかないと、後で海外外注先とのトラブルの原因となります。


2015年10月23日

キャンセル料の経理処理

キャンセル料とは

いわゆるキャンセル料といわれるものの中には、その解約に伴う事務手数料としての性格のものと、解約に伴い生じる逸失利益に対する損害賠償金としての性格のものとの二つがあります。

前者は、解約手続き等の事務を行う役務の提供の対価だから消費税は課税取引となります。

一方後者は、相手方が本来得ることができたであろう利益がなくなったことの補てん金だから、資産等の譲渡等の対価に該当せず、消費税は不課税取引となります。

両者の区分が無くて一括でキャンセル料となっている場合は、消費税は不課税取引として扱われます。


出張費を例にして、経理処理を見てみます

①予約及び支払い時

出張費 1,000   現預金 1,080

仮払消費税 80

②キャンセル時半額だけ返金された場合

現預金 540    出張費 500

仮払消費税 40

③キャンセル料の内訳が解約手数料108残りが損害賠償金の場合

雑損失 432   出張費 500

手数料 100   仮払消費税 32


これでも一応正しい処理ですが、③の取引だけを後で見るとなんで消費税が32円なのか、処理がよく解らなくなります。

正しい処理は以下となります。

①予約及び支払い時は前払金です

前払金 1,080  現預金 1,080


②キャンセル時半額だけ返金された場合

現預金 540   前払金 540

③キャンセル料の内訳が解約手数料108残りが損害賠償金の場合

雑損失 432   前払金 540

手数料 100   

仮払消費税 8

予約支払い時は未だ出張に行っておりませんから、前払金あるいは仮払金です。

当然行くだろうと出張費とすると後の処理が複雑になります。

注意しましょう。


2015年10月22日

マイナンバー制度の安全管理体制作り

会社が行うべき「安全管理措置」

マイナンバーは厳格な管理が求められています。

利用制限、提供の制限、収集保管の制限、廃棄削除、安全管理措置を実施することとなっています。

個人番号を把握する前にマイナンバーの取り扱いに対する基本的な安全管理措置を決定することが必要です。

従業員101人以上事業所では、

1. 基本方針の策定

2. 安全管理措置の実施

3. 組織的安全管理措置

4. 人的管理措置

5. 物理的管理措置

6. 技術的安全管理措置

が求められます。

それぞれの措置にはガイドラインで具体的な内容が提示されていますので確認しましょう。

また、就業規則作成義務のある事業所は変更事項に織り込む必要もあります。


中小規模事業者でも注意しておく点

100人以下事業所でも特定個人情報(マイナンバーを含む情報)漏えいには罰則が適用されますので取り扱いには注意を要します。

ガイドラインに基づいて基本的な安全管理措置として、紙で提供を受けた場合の取得から廃棄の流れの例を挙げます。     

取得

利用目的を告げ、直接受け取るか、書留で番号の提供を受け、記録しておく。

本人確認が必要な場合は確認を行う。

管理・保管

取得した個人番号を確実に入力し、漏えいしないようにパソコンにIDを付けたり施錠できるキャビネット等で保管、記録を残す。

入力後廃棄する場合はすぐに廃棄する。

また、マイナンバー保存中のパソコンをインターネットにつなぐ時はウイルス対策ソフトを入れておく。

利用
マイナンバーを扱う社員を決めておき書類に誤りなく記載・入力する。

官庁には持参または書留郵送や電子申請手続をし、一連の流れを記録する。

法定保存期間がある個人番号記載書類⇒作成後は安全な方法で保管しておく。


廃棄
保存期間が過ぎたものは再現不可能なシュレッダー、完全なマスキングや切り取り、焼却等を行い廃棄の記録を残す。

基本方針の策定は義務ではありませんが、従業員に対する教育や監督を行い、扱う場所や部屋は外から見えないようにする他、盗難・紛失にも注意が必要です。

2015年10月21日

有償支給の経理処理

有償支給とは

外注先に加工等の仕事を依頼する場合、材料等を無償で支給すると、外注先での管理が杜撰になり、材料等のロスや不良が発生しかねないということで、支給する材料等を有償で行うことを有償支給と言います。

多くの製造業で導入していると思います。

有償支給は管理目的ですから、科目としては材料や外注費のマイナス科目が一般的ですが、利益を乗せて支給することが一般的とされております。

東芝のパソコン事業部不正問題もこの有償支給を利用して行われました

概要を簡単に言うと、有償支給の部品に利益を乗せて売り上げ、完成した製品を購入して在庫として計上していました。

こうすることによって、有償支給の部品利益を多額に計上しておりました。

東芝の経理処理は以下となります

①100円の部品等の購入時

部品仕入 100    買掛金 100


②200円で有償支給した場合

売掛金 200    部品売上 200


③1,000円で製品を仕入れた時

製品仕入 1,000  買掛金 1,000


しかし製品は売れるまでは在庫ですから在庫1,000円となり、原価には算入されません。

結果として部品の仕入れと売り上げの差額100円が利益に計上されます。

本来の経理処理では

②の時点で以下となります。

売掛金 200    部品売上 200

部品売上 100   有償差益 100

③の時点では以下となります。

製品仕入 1,000  買掛金 1,000

有償差益 100   製品仕入 100

とし、在庫計上は900円となるべきでした。

なぜ利益の先食いか

製品が2,000円で売れた時、東芝の経理処理では1,000円の販売利益しか立ちませんが、本来の経理処理で行うと、1,100円の販売利益が立ちます。

その意味で利益の先食いと言われています。

2015年10月20日

マイナンバー制度の従業員へのお願い

会社から従業員にマイナンバーの提出をお願いする際は、こんな感じが理由づけになるかなと思います。


①マイナンバーとは何でしょうか?

平成28年1月より開始されるマイナンバー制度は、赤ちゃんから大人まで国民1人1人に12桁の個人番号が振られ一生使用するものです。

重要な個人情報ですので外部に漏れないよう管理してください。


②何に使うものですか?

社会保障、税、災害対策の分野で使われます。

平成28年1月以降、源泉徴収票や健康保険等、社会・労働保険、税金の手続きの際、関係機関に提出する書類に従業員の皆様や扶養親族の個人番号を記載します。


③自分の番号はどのように知るのですか?

10月から11月にかけて、市区町村から皆様に簡易書留で「個人番号の通知」が送られてきます。

送付先は住民票登録をしている住所地です。

住民票異動が必要な場合は事前に手続きをしておいて下さい。

個人番号の通知が届かない場合でも、住民票で確認することができます。

④通知後に何かすることはありますか?

マイナンバーが届いたら会社へ番号をお知らせください。

通知書の写しを封筒に入れ封をして提出してください。

大切な個人情報ですので取り扱いに注意をして下さい。

扶養親族のいる方は原則として扶養親族の個人番号もお知らせください。

また、メールでお知らせいただく時はパスワードを別便で送ってください。

郵送の時は簡易書留にして下さい。

⑤どんな届出に使用するのですか?

ア. 所得税関係…給与所得源泉徴収票、扶養控除等申告書、財形非課税住宅等申告書

イ. 健康保険、厚生年金適用事務…資格取得届・喪失届、育児休業関連 氏名や住所の変更届、健保の各給付の請求等

ウ. 雇用保険被保険者取得届・喪失届、氏名変更届、高年齢雇用継続給付、育児休業給付、介護休業給付、労災保険給付請求等
に使用します。


⑥会社は厳重に管理します

マイナンバーは重要な個人情報ですから漏えい防止のため、記載された書類は厳重に管理します。

2015年10月19日

マイナンバーの会社の対応スケジュール

マイナンバー制度への対応

マイナンバーの個人番号は、今年10月より住民票の所在地に送付される通知カードにより通知されます。

平成28年1月以降は希望すれば市区町村窓口で顔写真付き個人番号カードを申請することもできます。

会社は来年以降の社会保険事務や源泉徴収事務のため、10月以降に個人のマイナンバーを収集し、その際通知カード+顔写真付き身分証明書の提出を以て本人確認をする事となっています。

ただし、雇用関係があり、本人に相違ないことが明らかな場合や、個人番号カード提示時は本人確認書類は不要です。

今後、会社が行うこと

①9月までに担当部署、担当者を決定する。

マイナンバーの取り扱い部署、担当者、責任者を決める(経理部や人事部等)

本社以外に支店等がある時は支店で収集窓口となる人も担当者となります。

担当者以外は取り扱いしないようにし、また、秘密保持誓約書を取る場合もあります。

②取扱規定や就業規則を策定します。

③安全管理措置を策定します。

③社員説明会を開いたり、従業員にマイナンバー実施と収集の目的を示した番号報告の依頼書を通知したりします。

扶養親族については年末に扶養控除等申告書に記載してもらうことで事務の簡素化になります。

扶養親族の本人確認は従業員自身にあります。

会社は国民年金第3号被保険者の手続き以外、扶養親族の本人確認は不要ですが、会社からの委任状で番号を提出してもらう方法もあります。


④10月以降マイナンバー収集の際は直接なら封筒に通知カードの写しを入れ、通信で行う時はメール(パスワード設定)か簡易書留で行います。

マイナンバーを通知されたら授受の記録を残しておきましょう。

28年1月以降マイナンバーを記載する書類

雇用保険資格取得届・喪失届、継続給付請求、労災の給付申請、退職者給与の源泉徴収票 年末調整事務等


29年1月以降の事務

社会保険の資格取得届・喪失届、育児休業関連、療養費、傷病手当等の給付請求、氏名変更、住所変更等

税分野では平成28年分の税務申告や給与支払報告書、法定調書、支払調書等

マイナンバーを記載した書類は法定保存期限が過ぎたら確実な方法で廃棄をすることとなっています。

2015年10月16日

上下水道の負担金の会計処理

水道関係の支出金は会計処理や償却に注意

建物を建築し、給水設備工事や排水設備工事を行う場合には、「建物附属設備(給排水設備)」として資産計上し、15年で償却することになります。

これらの工事の際には、上水道については、水道事業者に対し「水道利用加入金」を、下水道については、市町村に対し「受益者負担金」を支払うことがあります。

似たようなものに見える支出ではありますが、これらは、会計処理や償却期間が異なるため、キチンと区別したいところです。


上水道は無形固定資産、下水道は繰延資産

上水道の加入金については、「無形固定資産」の「水道施設利用権」あるいは「工業用水施設利用権」として15年で償却します。

この「水道施設利用権」とは、「水道事業者に対して水道施設を設けるために要する費用を負担し、その施設を利用して水の供給を受ける権利」とされています。

他人(水道事業者)の所有する水道施設を利用することを目的とする「権利」であり、その金額は、メーターの口径で決められます。

一方、下水道の「受益者負担金」は「税務上の繰延資産」となります。

これは、市町村が所有・管理する下水道(=公共施設)について、法人・個人事業者自身が受けるメリットを反映するため費用配分を行うものであるからです(土地の地積に負担金単価を乗じて計算されます)。

公共施設負担金の償却年数は、その施設の耐用年数の7/10とされていますが、現実に、その設備ごとに償却期間を定めると煩雑になることから、このような受益者負担金については、通達により一律に6年(公共下水道を使用する排水設備を新設・拡張するための負担金は15年)とされています。


分割納付の受益者負担金には要注意!

なお、受益者負担金は分割納付を認める市町村が多く見られますが、繰延資産は原則として3年超の場合には、総額が確定していても、その総額を未払計上して償却することを認めていません。

ただし、長期分割払いについては、

①分割払いの期間が繰延資産の償却期間以上で

②分割支払額が概ね均等額であり

③徴収が工事着工後に開始される場合

には、その支出日の属する事業年度において損金に算入することができるものとされています。

2015年10月15日

「ドローン」の耐用年数

「ドローン」(小型無人飛行機)とは

最近、よく耳にする「ドローン」。元々は英語で雄のハチ(drone)を意味する言葉ですが、転じて「小型無人飛行機」のことを指すようになりました。

当初は、軍事・災害等の分野で用いられた比較的大型(10m超)のものでしたが、コンピュータ制御や遠隔操作の技術の発達により、小型で廉価のものも登場し始めると、民間にも急速に普及するようになりました。

商用使用はもとより、ホビーとして、ドローンに小型カメラを搭載し、個人でも手軽に空撮を楽しむ時代となり、大きさ・形状・用途も様々なものが販売されています。

その一方で、日本でも官邸や善光寺で落下する事故・事件が発生し、規制強化の声が上がっています。

「無人ヘリコプター」は10年又は7年?

この「ドローン」を事業で用いる場合、耐用年数は何年になるでしょうか。

かつて、国税庁ホームページには「類例」とよべるものが掲載されていました。

(質疑応答事例「無人ヘリコプターの耐用年数」。平成20年の減価償却制度見直し前まで掲載)

この質疑応答事例の公表時点では、無人ヘリコプターは航空法の適用はなく、耐用年数省令の「航空機」「ヘリコプター」に該当しないこととされていました。

(例1)測量用の無人ヘリコプター(航空写真撮影に使用。燃料:ガソリン。600万円)

一般の事業用減価償却資産として、規模・構造から「器具及び備品」「11前掲のもの以外のもの」「その他のもの」「主として金属製のもの」…耐用年数10年を適用


(例2)農業用の無人ヘリコプター(病害虫防除用の薬剤散布又は播種用等に使用)

農林業用の減価償却資産に該当するため、特殊の減価償却資産として耐用年数省令の(旧)別表第7を適用

 (旧)別表第7は平成20年に廃止されていますので、現行法では「機械及び装置」「25農業用設備」として耐用年数7年の適用が考えられます。


今後「ドローン」の航空法規制

ただ、今後「ドローン」の規制が厳しくなるならば、航空法の適用があるものになるかもしれません。

その場合は、耐用年数省令の「航空機」「その他のもの」で耐用年数5年となる可能性も考えられます。

「ドローン」の耐用年数

「ドローン」(小型無人飛行機)とは

最近、よく耳にする「ドローン」。元々は英語で雄のハチ(drone)を意味する言葉ですが、転じて「小型無人飛行機」のことを指すようになりました。

当初は、軍事・災害等の分野で用いられた比較的大型(10m超)のものでしたが、コンピュータ制御や遠隔操作の技術の発達により、小型で廉価のものも登場し始めると、民間にも急速に普及するようになりました。

商用使用はもとより、ホビーとして、ドローンに小型カメラを搭載し、個人でも手軽に空撮を楽しむ時代となり、大きさ・形状・用途も様々なものが販売されています。

その一方で、日本でも官邸や善光寺で落下する事故・事件が発生し、規制強化の声が上がっています。

「無人ヘリコプター」は10年又は7年?

この「ドローン」を事業で用いる場合、耐用年数は何年になるでしょうか。

かつて、国税庁ホームページには「類例」とよべるものが掲載されていました。

(質疑応答事例「無人ヘリコプターの耐用年数」。平成20年の減価償却制度見直し前まで掲載)

この質疑応答事例の公表時点では、無人ヘリコプターは航空法の適用はなく、耐用年数省令の「航空機」「ヘリコプター」に該当しないこととされていました。

(例1)測量用の無人ヘリコプター(航空写真撮影に使用。燃料:ガソリン。600万円)

一般の事業用減価償却資産として、規模・構造から「器具及び備品」「11前掲のもの以外のもの」「その他のもの」「主として金属製のもの」…耐用年数10年を適用


(例2)農業用の無人ヘリコプター(病害虫防除用の薬剤散布又は播種用等に使用)

農林業用の減価償却資産に該当するため、特殊の減価償却資産として耐用年数省令の(旧)別表第7を適用

 (旧)別表第7は平成20年に廃止されていますので、現行法では「機械及び装置」「25農業用設備」として耐用年数7年の適用が考えられます。


今後「ドローン」の航空法規制

ただ、今後「ドローン」の規制が厳しくなるならば、航空法の適用があるものになるかもしれません。

その場合は、耐用年数省令の「航空機」「その他のもの」で耐用年数5年となる可能性も考えられます。

「ドローン」の耐用年数

「ドローン」(小型無人飛行機)とは

最近、よく耳にする「ドローン」。元々は英語で雄のハチ(drone)を意味する言葉ですが、転じて「小型無人飛行機」のことを指すようになりました。

当初は、軍事・災害等の分野で用いられた比較的大型(10m超)のものでしたが、コンピュータ制御や遠隔操作の技術の発達により、小型で廉価のものも登場し始めると、民間にも急速に普及するようになりました。

商用使用はもとより、ホビーとして、ドローンに小型カメラを搭載し、個人でも手軽に空撮を楽しむ時代となり、大きさ・形状・用途も様々なものが販売されています。

その一方で、日本でも官邸や善光寺で落下する事故・事件が発生し、規制強化の声が上がっています。

「無人ヘリコプター」は10年又は7年?

この「ドローン」を事業で用いる場合、耐用年数は何年になるでしょうか。

かつて、国税庁ホームページには「類例」とよべるものが掲載されていました。

(質疑応答事例「無人ヘリコプターの耐用年数」。平成20年の減価償却制度見直し前まで掲載)

この質疑応答事例の公表時点では、無人ヘリコプターは航空法の適用はなく、耐用年数省令の「航空機」「ヘリコプター」に該当しないこととされていました。

(例1)測量用の無人ヘリコプター(航空写真撮影に使用。燃料:ガソリン。600万円)

一般の事業用減価償却資産として、規模・構造から「器具及び備品」「11前掲のもの以外のもの」「その他のもの」「主として金属製のもの」…耐用年数10年を適用


(例2)農業用の無人ヘリコプター(病害虫防除用の薬剤散布又は播種用等に使用)

農林業用の減価償却資産に該当するため、特殊の減価償却資産として耐用年数省令の(旧)別表第7を適用

 (旧)別表第7は平成20年に廃止されていますので、現行法では「機械及び装置」「25農業用設備」として耐用年数7年の適用が考えられます。


今後「ドローン」の航空法規制

ただ、今後「ドローン」の規制が厳しくなるならば、航空法の適用があるものになるかもしれません。

その場合は、耐用年数省令の「航空機」「その他のもの」で耐用年数5年となる可能性も考えられます。

2015年10月14日

領収書・契約書等のスキャナ保存

平成27年度税制改正では、領収書・契約書・請求書などのスキャナ保存制度の要件が緩和されました。

これまでは、領収書・契約書などの「重要書類」は、記載金額が3万円未満のものに限られていましたが、この改正で金額基準がなくなり、3万円以上の領収書等も対象となります。

見積書・注文書などの「一般書類」は、これまでカラー保存が必要でしたが、白黒・グレースケールでの保存が認められます。

また、一般書類については書類の大きさに関する情報の保存が不要になります。

重要書類をスキャナ入力するサイクルについては、原則は「速やかに入力(作成・受領後1週間以内)」ですが、「業務処理後速やかに入力(業務に係る期間(1月以内)経過後1週間以内)」することも認められています。

この場合、重要書類に関連する帳簿を電子保存する承認を受ける必要がありましたが、この電子保存の承認が不要となりました。

重要書類、一般書類ともに、スキャナ入力の際のタイムスタンプとともに入力者又は直接監督者の情報を確認可能とすることで、入力者等の電子署名が不要になります。

ただし、下記事項を社内規定等において整備し、これに基づいて事務処理を実施することが承認要件となります。

①相互けん制

相互に関連する事務をそれぞれ別の者が行う体制

②定期的なチェック

各事務の処理内容を定期的に検査する体制

③再発防止策

各事務に不備があると認められた場合の改善等の検討体制


スキャナ保存を行う場合の承認申請については、承認申請書を保存開始しようとする3か月前の日までに、管轄の税務署長へ提出します。

平成27年9月30日以降の承認申請から適用されます。

例えば、平成28年4月1日よりスキャナ保存を開始したい場合には、平成27年12月31日までに承認申請書を提出する必要があります。

スキャナ機器は、これまで通り、原稿台と一体となったスキャナに限られますので、ハンディスキャナやスマートフォンなどは認められていません。


2015年10月13日

受取配当等の益金不算入制度の見直し

平成27年改正・受取配当等の益金不算入

平成27年税制改正では、法人税率が引き下げられる一方で、課税ベースを拡大する改正項目が盛り込まれています。

その中の一つが「受取配当等の益金不算入」制度の見直しです。

今回の改正では、二重課税排除という制度の基本的な考え方を踏まえつつ、次の点が見直されています。


⑴ 株式等の区分の改正

支配目的の株式等と支配目的の乏しい株式等(資産運用目的の株式等)との区別が一層明確化され、株式等の区分が次のように見直されました。

(改正後)株式等の区分と益金不算入割合

①完全子法人株式等(保有割合100%)

100%(負債利子控除なし)


②関連法人株式等(保有割合1/3超)

100%(負債利子控除あり)


③その他の株式等(5%超・1/3以下)

50%(負債利子控除なし)


④非支配目的株式等(保有割合5%以下)

20%(負債利子控除なし)


⑵ 負債利子控除の改正

上記の区分改正に伴い、負債利子控除の計算が煩雑になることを考慮して、③と④については、負債利子控除の計算は行わないこととされました(改正後は関連法人株式等のみ負債利子控除の計算を行うこととなります)。

また、負債利子控除割合の計算における総資産の帳簿価額から減算又は加算する金額の取扱いについて、「その他有価証券に係る評価益等相当額」又は「評価損等相当額」が除外されました。


⑶ 株式投信の全額益金算入

公社債投資信託以外の証券投資信託(株式投信)について、全額益金不算入(改正前は収益分配金の1/2)とされました。


適用初年度は「原則法」により計算

また、関連法人株式等に係る負債利子控除額の簡便法における基準期間が、H27.4.1からH29.3.31に開始する事業年度とされます。簡便法に経過措置が設けられなかったため、適用初年度ではすべての法人が「原則法」により計算することになります。

なお、この原則計算の場合、「当期末及び前期末の総資産の帳簿価額の合計額」、「当期及び前期の期末関連法人株式等の帳簿加価額の合計額」が計算で用いられますが、この「前期末」は改正後の規定で再計算したものを用いることとなります。

2015年10月09日

「空き家」に関連する税制

平成27年5月「空き家対策法」全面施行

平成27年5月「空き家対策法」(空家等対策の推進に関する特別措置法)が施行されました。

日本の空き家の数は820万、空き家率は13.5%に上り、増加傾向にあると言われています。

管理が不十分な空き家は、火災の発生や家屋の倒壊、衛生面や景観面の悪化等も懸念されます。

このような状況を受けて登場した「空き家対策法」ですが、税金にもいろいろな影響を与えています。


固定資産税 特定空家の住宅用地特例除外

「空き家対策法」では「周辺の生活環境の保全を図るために放置することが不適切な状態にある空家等」を「特定空家」と定義して、その所有者に対して必要な措置を取るよう市町村長が助言・指導・勧告・命令等をできることとなりました。

これを受けて、同法の勧告の対象となった「特定空家」の敷地については、「住宅用地の特例」(価格に1/3~1/6の率を乗ずる特例)の対象から除外する措置が取られました。

場合によっては、固定資産税が今までの6倍となる物件も出てくることが予想されます。


所得税「空き家補助金」と所得税の関係

また、「空き家対策法」施行前から、既に空き家の有効利用を進める観点から、空き家の取得・リフォーム・解体費用の一部を補助金として給付する自治体がありました。

この補助金を一般個人が取得した場合には、一時所得として課税されます。

ただし、空き家の取得・リフォームに伴い取得する補助金には「国庫補助金等の総収入金額不算入」(申告要件あり)、解体費用に伴う補助金には「移転等の支出に充てるための交付金の総収入金額不算入」(申告要件なし)の規定があり、いずれの「空き家補助金」にも課税されない制度が設けられています。

また、金融機関から融資を受けて空き家を取得した場合の住宅ローン控除の適用については、取得対価から「空き家補助金」を控除して計算することとなります。


譲渡の場合「3,000万円特別控除」不可

かつて居住していたが、一定の年数、空き家となっている物件を譲渡した場合には、譲渡所得(所得税)の「住宅用財産の3,000万円の特別控除」の特例の適用を受けることはできません。

そのため、古い物件であっても「空き家」の処分時に譲渡所得が生ずることが免れないケースも増えてくると思われます。

2015年10月08日

非上場株式の価額の算定方法

国外転出時課税の「1億円」判定方法

平成27年7月からスタートする国外転出時課税制度は、有価証券等を1億円以上有する居住者に適用されます。

この有価証券の価額「1億円」という判定基準は、上場株式など取引市場があるものについては、時価(終値)の情報を取りやすいのですが、非上場株式等については、取引市場がないため、その株価を算定しなければなりません。

この場合、非上場株式の取引価額の算定によく用いられる「株式等を取得する権利の価額」や「株式等を贈与等した場合の『その時における価額』(みなし譲渡)」の通達規定を準用して算定することになります。


非上場株式の価額の原則的算定方式

非上場株式の価額は、「株式等を取得する権利の価額」の通達の規定を用いて算出した価額が原則的な株価の算定額となります。

この通達では次の①~④の順に従って、それぞれの金額で算定することになります。


①売買実例がある場合

…最近の売買実例のうち適正なものの価額


②公開途上株式である場合

…公開価格等を参酌した通常取引価額


③売買実例がなく、類似法人の価額がある場合

…類似法人比準推定価額


④①~③に該当しないもの

…1株当たりの純資産価額等を参酌した価額

実際には、非上場株式の取引においては、売買実例があるものも少なく、類似する法人を見つけることも困難であることから、

④の1株当たりの純資産価額を参酌した価額を採用する例が多く見られます。


財産評価基本通達を準用することも可能

また、「株式等を贈与等した場合の『その時における価額』(みなし譲渡)」の通達規定により、相続税の計算で用いられる財産評価基本通達を用いることもできます。

ただし、相続税の非上場株式の評価では「企業の清算価値」を志向するのに対して、所得税の評価では「継続企業」を前提とすること等があるため、次の3点の調整を加えて評価を行うこととなっています。

①「中心的な同族株主」である場合は、常に「小会社」で評価すること。

②土地と上場株式は相続税評価額ではなく、「時価」で評価すること。

③評価差額に対する法人税額等相当額(現行38%)の控除は行わないこと。

2015年10月07日

マイナンバー制度 法人番号の確認点

いよいよ「番号法」が平成27年10月5日に施行され、住民一人ひとりに個人番号通知カードの郵送が始まります。

話題の中心は個人番号ですが、同時に法人番号の通知もこの10月に始まります。

法人番号は、個人番号と共通の理念である「行政の効率化」「国民の利便性の向上」「公平かつ公正な社会の実現」に加えて、法人番号特有の目的として、「新たな価値の創出」が挙げられています。

① 新たな価値の創出

個人番号は、番号法で定められた社会保障・税・災害対策分野における行政事務にしか利用できないという規制があります。

一方、法人番号は利用範囲に制限がなく、誰でも自由に利用することができます。

そのため、民間による活用を促進することにより、番号を活用した新たな価値の創出が期待されています。

法人番号は原則として、インターネットを通じて公表されることになります。

② 法人番号の指定

一法人につき一つの法人番号が指定されます。

個人番号は12桁ですが、法人番号は13桁の数字から構成されています。

指定対象となる法人等は、次のとおりです。

a 会社法その他の法令の規定により設立の登記をした法人

b 国の機関

c 地方公共団体

d これら以外の法人又は人格のない社団等

一法人につき1番号のみですので、支店や事業所等には番号はありません。

あくまで法人が対象ですので、個人事業者に対しても法人番号は指定されません。

③ 法人番号の通知

法人番号の通知書の発送は、平成27年10月22日から順次開始される予定です。

登記上の所在地に、普通郵便で郵送されます。

東京都の場合は次のスケジュールとなっています。

10月22日発送・・・千代田区、中央区、港区

10月26日発送・・・上記以外の区

10月28日発送・・・23区以外の市町村


④ 法人番号の公表

法人番号は、「国税庁法人番号公表サイト」に公表されます。

公表される情報は、法人番号の指定を受けた団体の「商号又は名称」「本店又は主たる事務所の所在地」「法人番号」の3項目(基本3情報)です。

また、法人番号の指定を受けた後に、商号や所在地等に変更があった場合には、公表情報を更新するほか、変更履歴も併せて公表することとしています。


移転の登記をしていない場合には、通知書が届かない恐れがあります。

移転などで通知書が届かない場合は、マイナンバーコールセンター0570-20-0178までお問い合わせください。


2015年10月06日

国外転出時課税と納税管理人の届出

平成27年7月「国外転出時課税」スタート

平成27年7月1日から「国外転出時課税」制度がスタートしました。

正式な名称は「国外転出をする場合の譲渡所得等の特例」といいいます。

1億円以上の有価証券等を有する居住者が国外転出(日本国内に住所・居所を有しないこと)をした場合には、その有価証券等の譲渡をしたものとみなし、出国時に有価証券等の「含み益」に課税する制度です。

富裕層の軽課税国移住による租税回避には、各国の税務当局も頭を悩ましており、今回の改正もOECDの公表した「BEPSプロジェクト」(税源浸食と利益移転)に日本側が対応したものでした。

この「国外転出課税」の留意すべき事項はいくつもありますが、中でも「納税管理人の届出」を国外転出時までに行っているか否かにより、譲渡があったものとみなされる金額が異なってくる点は、その申告期限とあわせて注意したいところになります。

国外転出までに納税管理人届出ありの場合

居住者が国外転出の時までに、所轄税務署長に「納税管理人の届出」を行っている場合には、「国外転出時の価額」で有価証券の譲渡等があったものとみなして、翌年の確定申告期限(3月15日)までに申告と納付を行うことになります。

また、国外転出までに「納税管理人の届出書」を提出していれば、「納税猶予」の適用があります。

この場合、確定申告書の提出期限までに担保を提供するとともに、その納税猶予期間中に「継続適用届出書」を所轄税務署長に提出することになります。


国外転出までに納税管理人届出なしの場合

国外転出の時までに「納税管理人の届出書」を提出しない場合には、原則として「国外転出予定日から起算して3ヶ月前の価額」で有価証券等を譲渡したものとして国外転出時に申告することになります。

この場合には、「納税猶予制度」の適用を受けることはできないので、国外転出までに納付を行わなければなりません。

なお、国外転出後に「納税管理人の届出」をし、申告するときは、「国外転出時の価額」で有価証券の含み益を計算することとなります。

(この場合においても、原則として「納税猶予」の適用はありません)


2015年10月05日

「ジュニアNISA」

H28よりNISAの適用範囲が拡大されます

平成28年からNISA(少額投資非課税制度)の適用範囲が拡大されます。

まず、現行のNISA(20歳以上の成年者に適用)の「非課税口座」に設けられている各年分の「非課税管理勘定」に受け入れることができる上場株式等の限度額が100万円から120万円に引き上げられます。

この改正により「毎月10万円の投資枠」が確保されることになりました。

そして、これまでNISAの適用を受けることができなかった20歳未満の未成年者についても、待望の「ジュニアNISA」制度が創設されました。


「ジュニアNISA」とは

この「ジュニアNISA」制度とは、未成年者の「未成年者口座」に係る「非課税管理勘定」または「継続管理勘定」で管理される上場株式等に係る配当所得・譲渡所得は非課税とするというものです。

この制度は平成28年1月1日以後に未成年者口座の申し込みがされ、同年4月1日から受け入れられる上場株式について適用されます(「非課税管理勘定」に受け入ることができる限度額は80万円。最長5年間)。

夫婦と子2人の世帯を例とすると、改正前の非課税投資枠は夫と妻でNISA 100万円5年×2名=1,000万円であったのに対し、改正後は、(NISA 120万円×5年×2名)+(ジュニアNISA 80万円×5年×2名)=2,000万円と倍になります。

これは子供を含む国民1人当たりの金融資産の平均額556万円×4人=約2,000万円に見合う数字となります(H25総務省家計調査)。

18歳なるまでは払出ができません

成年NISAと異なる点は、18歳となるまでは非課税のまま払出すことができないという点です。

一方で、「ジュニアNISA」は最終の口座開設は平成35年で、その運用は平成39年で終了します。

この場合、平成39年の時点で18歳に達していない方もいるはずで、そのような方が非課税のまま払出ができないとなると制度として好ましくありません。

そのため「ジュニアNISA」では、「継続管理勘定」というものが設けられました。

この「継続管理勘定」には、「非課税管理勘定」から各年80万円まで移管することができ、その後、この「継続管理勘定」を用いることで、20歳になる前年まで非課税で運用を継続することが可能となります。

2015年10月02日

「たま駅長」の社葬費用

「たま駅長」社葬に3,000人参列

平成27年6月28日、和歌山電鉄・貴志駅の駅長待遇であった三毛猫の「たま」の社葬が、同駅コンコースで行われました。

新聞報道では、最後の別れを告げようと3,000人の方が参列なさったそうです。

「たま」は、もともとは同駅の売店の飼い猫でした。

駅の利用者に大変親しまれていましたが、貴志川線が南海電鉄から和歌山電鉄に引き継がれることになり、居場所がなくなりそうになりました。

相談を受けた社長の発案で、「たま」は駅長に任命され、引き続き、駅で飼われることとなったそうです。

ところが、これがネットなどで話題となり、集客に大いに貢献。

「たま電車」や「たまバス」を走らせる事態になりました。

「たま」の社葬費用は損金になるのか


「たま」の葬儀は、コンコース外に大型モニターを設置、祭壇に遺影が飾られ、駅近くの神社の神事が執り行われたそうです。

そんな話を聞くと職業柄、「この社葬費用は、税務上損金に落ちるのか」と野暮な心配をしていまいます。

法人税基本通達には「社葬費用」について、

①法人の役員又は使用人が死亡したため社葬を行い、その費用を負担した場合において、

②その社葬を行うことが社会通念上相当と認められるときは、その社葬費用のうち通常要すると認められる部分は、その支出日の属する事業年度の損金算入を認める

としています。

これは「社葬費用」を「福利厚生費」として損金を認めるという通達ですので、人間ではない「たま駅長」には、ちょっとハードルが高そうです。

一方、これを「記念式典」の類と見れば、「交際費」とも考えられますが、3,000人も参列されたとすると、もはや、会社の取引先などの事業関係者に限定されたものでなく、「一般の鉄道利用者」を巻き込んだイベントとも言えます。

そうなると「広告宣伝費」でしょうか。

それはそれで、何とも言えない気持ちになります。

ペット葬式を挙げる側は「収益事業」

お葬式の神事を行う宗教法人サイドでは、ペットの葬式が収益事業に当たるか否か真面目に裁判で争われた事例があります(平成17年「ペット葬儀料事件」)。

この裁判では、パンフレット等の料金表に基づき役務提供の対価として支払われ、宗教法人以外の民間ペット葬儀社が行う事業と変わらないという事情の下では、法人税に規定する収益事業に当たるとされました。

2015年10月01日

本日から消費税の計算方式が変わります。

リバースチャージ方式とは

平成27年10月1日から「リバースチャージ方式」と呼ばれる新しい消費税の課税方式が導入されます。

「リバースチャージ方式」とは、文字通り「納税義務が逆転」すること。

消費税は原則として資産の譲渡を行った者・サービスを提供した者が納税義務を負いますが、「リバースチャージ方式」では、資産を購入した者・サービスの受益者が納税義務を負います。


新課税方式導入の背景

ネットを通じて購入するデジタルコンテンツ(音楽・電子書籍・映画等)の取引は、今までの制度では国内事業者から購入する場合には、消費税は国内取引として課税され、国外事業者から購入する場合には、国内取引でないものとして消費税の課税対象外とされていました。このことが同種同様のコンテンツを購入する日本の消費者の税負担の公平や、事業者の競争条件を歪めているという指摘がありました。

そこでネット経由の取引を「電気通信役務の提供」と定義して、新たな国内判定方式を設けるともに、「電気通信役務の提供」を「事業者向け」と「消費者向け」に区別した上で、前者の取引について「リバースチャージ方式」を採用することとしました。


具体的な課税方式

具体的には、課税資産の譲渡等から国外事業者が行う「事業者向け電気通信役務の提供」を除くとともに、国内において行った課税仕入れのうち、「特定課税仕入れ」(「電気通信役務の提供」に係る消費税等)が納税義務の対象とされます。

「リバースチャージ方式」により納税義務を負うこととなる役務の受益者(課税売上割合80%)の消費税の計算では、次のように、「特例課税仕入れに係る消費税」が「課税」と「控除」の両面で登場するイメージになります。

(課税資産の譲渡等に係る消費税額+特定課税仕入れに係る消費税額)-(課税仕入れ等に係る消費税額+特定課税仕入れに係る消費税額)×80%=納付すべき消費税額


簡易課税または一般課税で課税売上割合95%以上の場合は、適用がありませんので、当面で大きな影響はないかなと思います。

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