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2015年09月 アーカイブ

2015年09月30日

結婚・子育て資金の一括贈与に係る贈与税の非課税措置

少子高齢化の進展や人口減少への対応として、「結婚・子育て資金の一括贈与に係る贈与税の非課税措置」が、平成27年4月1日に創設されました。

将来の経済的不安が若年層に結婚・出産を躊躇させる大きな要因の一つとなっていることを踏まえ、両親や祖父母の資産を早期に移転することを通じて、子や孫の結婚・出産・子育てを支援するための制度です。

(1) 制度の概要

① 祖父母や両親(贈与者)は、20歳以上50歳未満の子・孫(受贈者)名義の金融機関の口座等に、結婚・子育て資金を一括して拠出します。

この資金について、子・孫ごとに1,000万円(結婚関係で支払われるものについては300万円)までを非課税とします。


② 結婚・子育て資金の使途は、金融機関が領収書等をチェックし、書類を保管します。


③ 子や孫が50歳に達する日に口座等は終了となり、終了時に使い残しがあれば、贈与税が課税されます。


④ 終了前に贈与者が死亡した時に、使い残しがあれば、贈与者の相続財産に加算されます。


⑤ 平成27年4月1日から平成31年3月31日までの4年間の措置です。

(2) 受贈者の結婚に際して支出する費用

① 挙式や結婚披露宴を開催するために要する挙式代、会場費など(入籍日の1年前以後に支払われたものに限る)


② 結婚を機に移り住むものとして、新たに借りた物件にかかる家賃、敷金、共益費、礼金、仲介手数料、契約更新料

(入籍日の1年前後以内に締結した賃貸借契約に関するものに限る。また、当該契約締結日から3年を経過する日までに支払われたものが対象となる)


③ 結婚を機に移り住む住居先に転居するための引っ越し代(入籍日の1年前後以内に行ったものに限る)

(3) 受贈者(受贈者の配偶者を含む)の妊娠、出産又は育児に要する費用


① 妊娠に要する費用

イ 人工授精など不妊治療に要する費用

ロ 妊婦健診に要する費用


② 出産に要する費用

イ 分娩費、入院費、新生児管理保育料、検査・薬剤料、処置・手当料及び産科医療補償制度掛金など出産のための入院から退院までに要する費用

ロ 出産後1年以内に支払われた産後ケアに要する費用(6泊分または7回分に限る)


③ 育児に要する費用

イ 未就学児の子の治療、予防接種、乳幼児健診、医薬品(処方箋に基づくものに限る)に要する費用

ロ 保育園、幼稚園、認定こども園、ベビーシッター業者等へ支払う入園料、保育料、施設設備費、入園試験の検定料、行事への参加や食事の提供など育児に伴って必要となる費用


制度の仕組みは、「教育資金の一括贈与に係る贈与税の非課税措置」とよく似ています。

結婚・子育て資金に該当する費用は、入籍日の1年前後など、期間や回数に条件がありますので、確認するようにしましょう。

2015年09月29日

「電気通信利用役務の提供」とは

「国境を越えた役務の影響」Q&A公表

平成27年税制改正を受け、国税庁から「国境を越えた役務の提供に係る消費税の課税の見直し等のQ&A」が公表されました。

今回の改正では電気通信回線(インターネット等)を介して行われる役務の提供を「電子通信利用役務の提供」と位置づけ、その役務の提供についての「内外判定基準」や「課税方式」が見直されています。

Q&A問2には、新たに規定された「電気通信利用役務の提供」の具体例が示されています。


「電気通信利用役務の提供」の具体例

「電気通信利用役務の提供」には、対価を得て行われる次のような取引が該当します。

①インターネット等を介して行われる電子書籍・電子新聞・音楽・映像・ソフトウェア(ゲームなどの様々なアプリケーションを含む。)の配信

②顧客に、クラウド上のソフトウェアやデータベースを利用させるサービス

③顧客に、クラウド上で顧客の電子データの保存を行う場所の提供を行うサービス

④インターネット等を通じた広告の配信・掲載

⑤インターネット上のショッピングサイト・オークションサイトを利用させるサービス(商品の掲載料金等)

⑥インターネット上でゲームソフト等を販売する場所を利用させるサービス

⑦インターネットを介して行う宿泊予約、飲食店予約サイト(宿泊施設、飲食店等を経営する事業者から掲載料等を徴するもの)

⑧ インターネットを介して行う英会話教室


なお、「電気通信利用役務の提供」には、通信そのもの、または、その電気通信回線を介する行為が他の資産の譲渡等に付随して行われる次のような取引は該当しません。

①いわゆる通信(電話、FAX、データ伝送、等)

②ソフトウェアの制作

③国外に所在する資産の管理・運用等(ネットバンキングを含む。)

④国外事業者に依頼する情報の収集・分析等、⑤国外の法務専門家等が行う国外での訴訟遂行等

⑥著作権の譲渡・貸付等

国内居住者に提供すれば「国内取引」

「電気通信利用役務の提供」については、消費税の課税対象となる国内取引に該当するか否かの判定を「役務の提供を受ける者の住所等」で行うこととされたため、今後は、居住者に提供される「電気通信利用役務の提供」は、国内・国外いずれから提供されても、「国内取引」となります。

2015年09月28日

「DUTY-FREE」と「TAX-FREE」は違う

「DUTY-FREE」と「TAX-FREE」は違う

空港内の一部やアウトレットモール、一部の繁華街に店舗を構える「免税店」。

一般的には、外国旅行者に対して、商品に課せられる税金(消費税、酒税、たばこ税、輸入品の関税など)を免除して販売する小売店を指します。

これらの店舗は「DUTY-FREE」や「TAX-FREE」と表記されることが多いのですが、正確には意味が異なります。

「DUTY-FREE」は関税が免除される店舗、「TAX-FREE」は消費税等が免除される店舗をいいます。

本来の意味での「DUTY-FREE」は、実は、日本では国際空港と沖縄以外には存在しません。

街中では、しばしば混同して表記されることが多いようです。

「輸出物品販売場」が全国で増加中

「TAX-FREE」とされる免税店は、正しくは「輸出物品販売場」といいます。

外国旅行者等のために消費税等を免除する小売店で、販売場ごとに事業者の納税地の所轄税務署長の許可を受けなければなりません。

この「輸出物品販売場」は、昨年10月の改正により、取り扱う免税品目が増えたこともあり、販売場数が大幅に増加しています。

観光庁の発表では、H27.4現在の輸出物品販売場数は18,779店で、前回発表のH26.10から約200%増、前年同月との比較では325%の大幅増となっています。

免税品目の改正

平成26年9月まで

(免税対象)

消費せず持ち出すことができる物品


(免税対象外)

化粧品・食品・飲料品・電池等・サービス料・修理代他

平成26年10月より

(免税対象)

原則としてすべての物品


(免税対象外)

サービス料・修理代(持ち出すことができないもの)


増加する来日外国旅行者への対応が急務

ここ数年間、外国旅行者数が増加し、東京オリンピックの開催も決定したため、あらゆる場面での来日観光客対応が必要となっています。

「輸出物品販売場」制度の整備もその一環です。

平成27年4月から、第三者が運営する「免税手続カウンター」にまとめて免税手続を委託できる「手続委託型輸出物品販売場」制度や、「港湾臨時販売場届出制度」(外航クルーズ船の寄港時に埠頭へ免税店を臨時出店するための手続きの簡素化)もスタートしています。

2015年09月25日

ふるさと納税のワンストップ特例

ワンストップ特例制度とは

ふるさと納税制度は納税者が、住んでいる場所以外の自治体に寄附し、寄附金控除として後に税金を軽減する、つまり住んでいる場所の他に納税できるという制度です。

しかしながら、確定申告をする必要の無い、給与収入のみのサラリーマンの方には、寄附金控除を申請する確定申告書の作成はハードルが高く感じられるかもしれません。

そんな懸念を払拭すべく、今年の改正から確定申告が不要になる「ワンストップ特例制度」が創設されました。


条件を満たせば確定申告不要

確定申告が不要になる、というのは聞こえが良いですが、以下の条件を満たさなければ、ワンストップ特例は使用できません。

①確定申告の必要が無い方

②5カ所以内の自治体への寄附

③寄附する自治体毎に確定申告不要の申し出をして、自治体から送られてくる「寄附金税額控除に係る申告特例申請書」を返送する


こんな時はどうなる

例えば「年の途中に医療費控除をすることになった」場合など確定申告をする必要が出た場合は、確定申告でふるさと納税の寄附金控除もあわせて申告する必要があります。

もし寄附金控除を申告し忘れると、いつまでたっても税金の軽減は受けられませんので、注意が必要です。

また、年の途中で引っ越しをして居住している自治体が変わった場合は、その旨を寄附した自治体に知らせなければ、いつまでたっても税金の軽減は受けられません。


実際は使いにくい

控除される上限の金額が引き上げられ、寄附して特産品を貰える数が増えたにもかかわらず「5カ所に寄附するなら5回書類を作って送る」という手間がかかってしまうのがワンストップ特例です。

また、医療費控除等で申請が無駄になってしまう場合もあり、実際には非常に便利だ、と手放しで喜べる制度ではありません。

税制改正大綱には「当分の間の措置として」と書かれています。

おそらくは今後、マイナンバー制度と連動しもう少し使い勝手をよくするのではないかと思われます。


2015年09月24日

税務調査で指摘される消費税の課税、非課税

必ずチェックされる項目

法人の税務調査で必ずチェックされる項目の一つは、消費税の課税仕入、非課税(または不課税)仕入の区分間違いの有無です。

最近の税務調査では、この消費税申告の計算の基礎となる消費税区分集計表を、調査日より前に、あらかじめ提出するよう求められるケースもあります。

科目ごとのよくある間違い

帳簿作成や会計ソフトの入力時に、消費税区分を間違えることがありますので、以下の項目は課税仕入れにならない(納める消費税から差し引けない)ということを覚えておくと良いでしょう。


①海外出張旅費

消費税は日本国内の消費に課税されるものですので、国外での飲食費や宿泊費などは消費税がかかっていません。

海外への飛行機代やその日当なども同様です。

②社宅などの家賃

居住用の家賃支払いについて、消費税は非課税とされています。賃貸借契約書で使用目的に居住用と記載がある場合、消費税がかかっていませんので、注意が必要です。

③クレジットカード手数料

飲食店などの小売業では、カード売上に係る手数料を引かれて、カード会社から売上金額が入金されます。

この手数料は非課税とされておりますので、消費税はかかっていません。

④慶弔費、祝い金、見舞金

従業員に対して支給するこれらの費用は「福利厚生費」、取引先に対しては「交際費」となりますが、やはり消費税はかかっていませんので、課税仕入にしないよう注意してください。

⑤同業者団体や組合の通常会費

何らかのサービスに対して支払うものではなく、通常の業務運営のために支払う年会費などは消費税がかかっていません。


経理担当者と税理士のチェックで防げる

これらの間違いがあると、修正申告によって消費税を後から納めることになってしまいます。

日々の帳簿作成のときから税務調査で指摘されないよう気を付けましょう。


2015年09月18日

65歳以上の高年齢者を雇用した時の助成金

高年齢者雇用開発特別奨励金

新たに人を雇用する場合、年齢にこだわらず経験豊かな人や、高年齢者でもできる仕事の求人に使える助成金を紹介します。

この助成金は、雇用した日の満年齢が65歳以上の離職者を、ハローワーク等の紹介で1週間の所定労働時間が20時間以上の労働者として雇い入れる時(1年以上継続して雇用する事が確実な場合)に支給されます。

受給要件

雇用保険の適用事業主であり、次の要件には該当していないことが条件です。

①ハローワーク等の紹介以前に雇用の予約があった対象労働者を雇用する

②雇用の前日から過去3年間に雇入れ事業主の事業所で職場適応訓練を受けた

③雇用の前日から過去3年間に雇用関係、出向、派遣、請負により雇い入れ事業所に就労したことがある方を同一事業所に雇う時

④対象労働者に対する支給対象期間についての賃金を、支払期日を超えて支給申請を行うまでに払っていない場合(時間外手当、深夜手当、休日出勤手当を法定通り支払ってない場合含む)

⑤ハローワーク等の雇用条件と異なる労働条件で雇って対象労働者に不利益や違法行為があり、本人からも申し出があった場合

⑥支給申請の前年度以前の労働保険料を滞納している場合

⑦支給申請日や支給決定日に倒産していた


対象労働者となる人

①雇用日の年齢が65歳以上


②紹介日雇用日に以下事項に該当しないこと

ア、高年齢継続被保険者

イ、短期雇用特例被保険者

ウ、アイ以外の人で雇用にかかる事業主以外の事業主との間で1週間の所定労働時間が20時間以上の雇用関係にある労働者


③雇用保険の被保険者資格を喪失した離職日の翌日から3年以内に雇用された人


④雇用保険の被保険者資格を喪失した離職日以前1年間に被保険者期間が6か月以上あった人

支給申請と支給額

支給対象期間6か月毎に2回に分けて支給されます。

支給対象期間の末日から2か月以内に申請します。

支給額は30万円×2回、短時間労働者は20万円×2回です。


2015年09月17日

育児関連助成金の要件緩和や受給額アップ

改定された中小企業両立支援助成金

以前からあった育児関連の中小企業両立支援助成金は、支給額が上がったり、要件が緩和されたりと内容が変更されているので紹介します。

代替要員確保コース

・育児休業を終了した労働者を、原職または原職相当職に復帰させる旨の取り扱いを就業規則等に規定する

・休業取得者の代替要員を確保

・休業取得者を原職又は原職相当職に復帰


支給額

対象労働者1人あたり  30万円

支給対象者が期間雇用者  

10万円加算

1企業5年間、1年度延べ10人まで

支給申請期間

育児休業終了日の翌日から起算して6か月を経過する日の翌日から2か月以内

期間雇用者継続就業支援コース

・期間雇用者と正社員が同等の要件で利用できる育児休業制度、育児短時間勤務制度を就業規則に規定

・期間雇用者の育児休業取得者を原職又は原職相当職に復帰させ、6ヶ月以上継続して雇用等

支給額

1人目 40万円

2人から5人目までは15万円

休業終了後、正社員で復職した場合は1人目10万円、2人から5人目5万円加算

育児休業を終了した期間雇用者が平成25年4月1日以降28年3月31日までに出た事業主が対象です。

支給申請期間

育児休業終了日の翌日から起算して6ヶ月を経過する日の翌日から2ヶ月以内


育児復帰支援プランコース

・労働者と面談し、育児復帰プランナーの支援を受けて育児復帰支援プランを作成

・プランの実施により、育児休業予定者の業務の引き継ぎを行い、当該者が3ヶ月以上育児休業(産後休業を含む)を取得

・プランの実施により上記の対象となった育休取得者の育休中に職場に関する情報、資料の提供を実施

・職場復帰前後に育児休業取得者と面談し原職又は原職相当職に復帰させ、6か月以上継続して雇用

1企業各1回支給

育児休業取得時   30万円

職場復帰時     30万円

2015年09月16日

マイナンバー制度 個人番号カードと住基カード

住基カードとは、正式には「住民基本台帳カード」と呼び、住民票に記載された氏名及び住民票コード等が記録されたICカードです。

公的個人認証サービスの電子証明書によって、行政手続のインターネット申請ができるようになります。

交付を希望した住民に対し、市区町村から交付されています。

① 個人番号カードへの引き継ぎ

個人番号カードの交付開始に伴い、住基カードの新規発行が終了します。

平成28年1月以降は個人番号カードのみを発行することになるため、平成28年以降に既存の住基カードを更新することはできません。

ただし、平成27年12月以前に発行された住基カードは有効期限内であれば、引き続き利用可能です。

個人番号カードと住基カードの両方を所持することはできませんので、個人番号カードの交付を受ける場合には、保有している住基カードを返納しなければなりません。

住基カードを利用し続けていて、有効期限が切れた場合には、個人番号カードに変更となります。

② 住基カードの電子証明書の更新

住基カードの有効期限は、発行日から10年間です。

ただし、住基カードに搭載されている電子証明書の有効期限は3年ですので、住基カードの有効期限内であっても電子証明書の有効期限に達した時点で個人番号カードに切り替える必要があります。

③ 個人番号カードと住基カードの比較

【個人番号カード】

様式 表面 基本4情報・顔写真

   裏面 個人番号を記載


申請 市区町村へ郵送


交付 市区町村窓口 1回来庁

手数料 無料


有効期限 20歳以上 10回目の誕生日・20歳未満 5回目の誕生日
     
電子証明書 5年

発行 平成28年1月から


【住基カード】

様式 顔写真入りと顔写真なしの選択制

   住民票コードの記載はなし


申請 市区町村窓口


交付 市区町村窓口

   ・即日交付 1回来庁(本人確認用資料に条件あり)

   ・申請受付後に文書照会 2回来庁
   

手数料 有料 500円~1,000円程度(無料の市区町村も有り)

有効期限 取得から10年

     電子証明書 3年

発行 平成27年12月まで

④ 身分証明書としての利用

個人番号カードを身分証明書として利用できるのは、「表面のみ」となります。

民間のレンタル店の入会や更新時などに身分証明書として提示する場合には、表面のコピーは問題ありませんが、個人番号を記載している裏面をコピーさせてはいけません。

事業者側も裏面をコピーしたり、個人番号を書き写したりすることは、禁止されていますので、お互いに注意が必要です。

2015年09月15日

定期給与を総会翌月分から増額する場合

役員給与を改定した場合の「定時同額給与」

法人税法では、法人が役員に支給した給与のうち

①定期同額給与

②事前確定同額給与

③利益連動給与

については、支給事業年度の損金算入が認められています。

このうち「定期同額給与」とは、「定期給与」(支給時期が1月以下の一定期間ごとである給与)でその事業年度の各支給時期における支給額が「同額」であるものをいいます。

なお、その額を改定した場合において、次の要件を満たすときは、改定前後の各々を「定期同額給与」として取扱います。


【要件1】その事業年度開始の日からその3月を経過する日までに「定期給与」の額が改定されていること


【要件2】次の①と②の期間内で各支給時期における支給額が「同額」であること

①事業年度開始の日~改定後の最初の支給時期の前日

②改定前の最後の支給時期の翌日~事業年度終了の日


役員給与の改定時期と支給日の関係

国税庁「役員給与に関するQ&A」Q2では、役員給与の支給が毎月末日である場合の増額のタイミングについて解説しています。

「Q&A」の事例は次のとおりです。

当社(年1回3月決算)は、定時総会を6月25日開催し、役員給与額を50万円から60万円に増額改定することを決議した。

当社の役員給与額の支給日は毎月月末となっている。

この場合、総会の翌月である7/31支給分から60万円増額支給する場合には、「定期同額給与」に該当するのでしょうか?


結論としては「定期同額給与」に該当します。

まず、役員の「職務執行期間」は、一般に総会日から翌総会日までの期間と考えられ、定時総会における役員給与の改定は新たな「職務執行期間」の給与額を定めたものとも考えられるため、7/31支給からの改定はよくあることなのです。

この場合、新給与を7/31支給分からと定めたときは、

①事業年度開始の日(4/1)~改定後の最初の支給時期の前日(7/30)

→4/30、5/31、6/30に50万円支給


②改定前の最後の支給時期の翌日(7/1)~事業年度終了の日(3/31)

→7/31、8/31…翌3/31に60万円支給

となり、【要件2】を満たすこととなるため、「定期同額給与」と認められます。

2015年09月14日

「許可」と「届出」の違い

東京都で弁当の路上販売規制強化
お昼時、オフィス街で安く手軽に購入できる弁当の路上販売。ここ数年、路上に大量の弁当等を陳列して販売する形態が多く見られるようになりました。

これに対し、東京都では衛生環境等を懸念する声から対応を検討していましたが、いよいよ今秋から具体的な規制がされることになりました。

「弁当等人力販売業」で許可制に

東京都内で弁当販売を行うためには原則、施設基準や一定の資格を要する人的基準を満たした上で許可を受ける必要があります。

しかし、弁当を「人力による移行」で販売する場合は「行商」に当たり、この場合、これまでは「許可」を受ける必要はなく「届出」をすれば足りるとされていました。

これは、行商が「人が一人で運搬できる量を取り扱う」小規模な営業を想定していたことから来ていましたが、近年では業者の大多数が弁当の運搬に自動車を使っており、本来の想定よりも大規模な営業を行っている実態などを受け、「弁当類」「そう菜類」の移動販売業者を「弁当等人力販売業」として許可制にしたのです。

「許可」と「届出」の違いとは

そもそも「許可」と「届出」ではどのように違うのでしょうか。

「許可」とは、公共の安全や秩序の維持などの公益上の理由から、法令で一般的に禁止されている行為について、特定の場合に限ってその禁止を解除する行政行為を言います。

たとえば今回の例で言うと、食品を販売することは、本来誰でも自由にできるはずです。

しかし、食中毒などが発生する場合を考慮し、法令で自由に販売できないようにしています。

これに対し、食品販売に関する営業許可をとることにより、この禁止を解除できるようにしているのです。

次に「届出」とは、法令で定められている特定の行為について、一定の事項を予め行政官庁へ通知することを言います。

「許可」の場合、申請した行政官庁から「許可」や「不許可」の判断を受けますが、「届出」には行政官庁の判断がなく、必要な要件(書類)を満たしてさえいれば、行政官庁に到達することで完了します。

このように、どちらも同じ行政上の手続きですが、両者でその性質が異なります。

今回の条例改正で「届出」から「許可」になり、衛生面が向上することに期待が持てる一方、少なからず業者に負担がかかるわけですが、他の道府県での対応も含め、今後の販売にどのような影響が出るのか気になるところです。

2015年09月11日

新設助成金 人材育成型

平成27年度で新設された助成金があります。人材育成関連のものを紹介します。

金額は中小企業の場合の支給額です。


キャリア形成助成金 ものづくり人材育成訓練

15歳以上45歳未満の者(短時間労働者で既雇用者を除く)で雇用保険被保険者に建設業や製造業が実施する厚労省認定のOJT付き訓練で実習訓練を実施した場合。

・実施期間 6か月以上

・訓練期間 1年間850時間以上

・訓練中OJTは2割以上8割以下

・ジョブカード評価シートで評価を実施

受給額⇒

Off-JT 時給800円 OJT 時給700円

経費助成 1コース15万円から50万円

かかった費用の3分の2(1年間) 上限 1000万円


キャリアアップ助成金 多様な正社員コース

多様な正社員とは次のような方です。

①勤務地、職務限定正社員制度を新たに規程し適用した場合⇒1事業所 40万円

②有期雇用契約労働者を勤務地限定社員、職場限定社員又は短時間正社員に転換、または直接雇用した場合⇒1人につき30万円

③正規雇用労働者を短時間正社員に転換または短時間正社員を新たに雇入れた場合⇒1人につき20万円

キャリアアップ助成金 短時間労働者の週所定労働時間延長コース

支給対象となるのは週所定労働時間25時間未満の有期契約労働者等を週所定労働時間30時間以上に延長し社会保険を適用した場合⇒1人につき10万円


企業内人材育成推進助成金

従業員に教育訓練、職業能力評価、キャリア・コンサルティング等をジョブカードを利用し、計画的に実施する制度を導入。

継続して人材育成に取り組む事業主。

支給対象となる取り組みとは、

①教育訓練・職業能力評価制度

②キャリア・コンサルティング制度

③技能検定合格報奨金制度

⇒制度導入では上記の

①50万円 ②30万円 ③20万円


⇒実施・育成1人につき上記の

①5万円 ②5万円又は15万円 ③5万円

2015年09月10日

マイナンバー漏洩リスク

マイナンバーへの国家総動員態勢

10月からのマイナンバー配布に向けて、マイナンバーの周知化情報が溢れ出しました。

ネット世界には「マイナンバーの受け取りを拒否しよう」などという書き込みもありますが、マスコミや実業社会、マイナンバーに直接関わる税理士・社労士などの世界では、素直に受け容れることを前提にした情報しか存在しません。

疑問を呈することを排除する同質化社会がここにも現れている印象を受けます。


マイナンバー漏洩対策は可能か

税理士とその顧客の大半にとっては、独自にマイナンバー漏洩対策を行うことはできないと思われます。

ベネッセの顧客情報漏洩事件2070万件というような大量の情報を抱えていないので、情報窃盗の対象にならないと判断されるものの、クラウドサービスとして給与計算情報をバックアップしているところからの流出は十分考えられます。

流出ルートが不明なまま、流出の事実だけが発覚した場合、漏洩対策不全は、刑事罰や損害賠償のリスクを生み出します。


税と社会保険料徴収事務をやめる

漏洩リスクから解放されるようにするには、漏洩リスク対策を完全に実施でき、損害賠償にも備えられる、超大手企業に、給与計算事務等や社会保険事務を全面委託してしまうのが、最善の策です。そして、そのような超大手企業が出現してくるかもしれません。

本当は、民間企業に無償で押し付けている源泉徴収事務や社会保険料徴収事務を廃止して、国家や自治体が直接行ってくれるのがベストです。


ベターな策としての情報不取得

マイナンバー情報を得て、使用した後に直ちにその情報を削除して不保持にするのは煩雑で、ほとんど実行不可能です。

そもそも、マイナンバー情報を得なかったら、何か困るのでしょうか。

給与支払や年末調整に差し障りがあるのでしょうか、税理士個人のマイナンバーを知らないまま顧問料の支払が出来ないなんてことになるのでしょうか、マイナンバーを書かなかったら、健康保険証を発行してくれないのでしょうか、今後の動向に注目です。


2015年09月09日

マイナンバー制度 個人番号の確認点

国民一人ひとりに番号を割り振るマイナンバー(個人番号)の通知が、平成27年10月から開始されます。

そして、平成28年1月1日から、社会保障・税分野における利用が開始されることになります。

個人番号についての細かい点を確認していきたいと思います。

① マイナンバー制度の開始時期

平成27年10月5日から番号法が施行され、個人番号の付番・通知が開始されます。


② 個人番号

個人番号は、12桁の数字です。

アルファベットは含まれません。


③ 個人番号の対象者

住民票を有する全ての人が対象となります。外国籍の人でも住民票があれば対象となります。

市区町村から、住民票のある住所に個人番号が通知されます。

④ 通知内容

世帯ごとに各個人の個人番号を記載した紙製の「通知カード」が簡易書留により郵送されます。

通知カードには、個人番号とともに、氏名・住所・生年月日・性別の基本4情報が記載されています。

また、写真付きのICチップの入った「個人番号カード」に交換できる交付申請書が同封されます。

⑤ 個人番号カード

個人番号カードは、ICチップが搭載されたプラスチック製のものです。

表面には氏名・住所・生年月日・性別の基本4情報及び顔写真が表示され、裏面には、個人番号が記載される予定です。

ICチップには、所得情報や年金情報等のプライバシーの高い情報は記録されません。

⑥ 本人確認

番号法では本人確認のために、「番号確認」と「身元確認」の両方を満たす必要があります。

通知カードでは、番号確認は出来ますが、身元確認のためには、別途、運転免許証やパスポート等が必要となります。

個人番号カードは、番号確認も身元確認も個人番号カード1枚で済みます。

⑦ 個人番号カードの交付

通知カードに同封されている交付申請書に顔写真を添付して、住民票のある市区町村へ郵送などで交付申請します。

交付申請後に、個人番号カードの交付準備が出来た旨を通知する交付通知書が市区町村から届きます。

個人番号カードの受取りには、原則として、申請した本人が市区町村の窓口に出向き、本人確認が必要となります。

通知カードは、個人番号カードの交付時に、市区町村へ返納しなければなりません。

個人番号カードの交付は、平成28年1月1日以降に開始され、無料で交付されます。

有効期限は、20歳以上は10年間、20歳未満は5年間となります。

⑧ 個人番号カードの取得

個人番号カードの取得は義務ではありません。

あくまで任意ですが、社会保障・税分野のみでなく、今後、利用範囲が広がっていく可能性がありますので、政府としてはより多くの方が個人番号カードを取得することを期待しているようです。


2015年09月08日

大法人が中小企業になった場合大法人時代の欠損金は全額控除可?

シャープの「中小企業化」報道

シャープの経営再建の記事が、新聞の紙面に取り上げられています。

同社が公表した中期経営計画では、欠損てん補のため資本金約1,200億円の減資を行い、その後に取引銀行とのDES(デット・エクイティ・スワップ)等による約2,250億円の増資を行うこととされています。

当初、資本金を1億円とする減資を行い「中小企業」となると報道されていましたが、政府関係者や市場等の反応が芳しくなく、正式発表時には5億円までの減資に変更されました。

減資を行う場合の法人税務への影響

減資を行う場合の参考として、法人税務では「資本金の額」を基準とするものと「資本金等の額」を基準とするものがあります。

「資本金の額」とは、登記されている「資本金」の金額そのものを指します。

この「資本金の額」を基準とする税制には次のようなものがあります。

貸倒引当金の繰入、青色欠損金の控除制限、法人税軽減税率、留保金課税の不適用、特別税額控除・特別償却、交際費等の定額控除額、欠損金の繰戻還付、少額減価償却資産の損金算入、外形標準課税

一方、「資本金等の額」は、株主が払い出したものとされる一定の金額(税務上の資本金と資本剰余金の合計概念)です。

この「資本金等の額」を基準とするものには次のようなものがあります。

みなし配当、一般寄附金の損金算入限度額、法人住民税の均等割、事業税の資本割

なお、無償減資を行い、「資本金の額」が減少したとしても、「資本金等の額」には異同は生じません。


大法人が中小法人となった場合の欠損金

平成27年度税制改正では、法人税率引下げの代替財源確保のため、「資本金の額」が1億円超の法人の欠損金繰越控除限度額が現行の欠損金額×80%から65%(最終的には50%)に引き下げられました。

巨額の赤字がある会社では欠損金の有効利用を考えた場合、「資本金の額」1億円への減資は施策の一つとして考えられるものです。

この場合、「大会社時代に生じた欠損金は80%しか認められないのでは?」と心配になるところですが、期末の「資本金の額」が1億円以下である限り、100%控除はできるものと考えられます。


2015年09月07日

会計事務所が使う「会計ソフト」

会計事務所が使用する「会計ソフト」

第6回「税理士実態調査報告書」(H27年3月 日本税理士会連合会)では、税理士事務所(税理士法人)が使用している会計ソフトのアンケート結果が公表されています(回答者25,970名、複数回答)。

最も利用されている会計ソフトベンダーは「弥生(弥生会計)」の29.0%。

以下「JDL」(17.1%)、「日本ICS」(14.5%)、「TKC」(14.0%)という結果でした。

上位4社でかなり高い占有度を示していますが、2位以下の会社は会計事務所との付き合いの中で、はじめて名前を知ったという方も多いと思います。

これらは「会計事務所向け」のソフトベンダーです。

会計事務所向けベンダーと市販ソフト

「会計事務所向け」のソフトベンダーは、会計事務所ごとに担当営業を置き、会計事務所は、彼らから提供を受けたソフトを顧問先に勧める形になります。

そのため、顧問先と会計事務所との連携がしっかり取れるソフトであり、税理士の本来業務である「税務」には強いという「安心感」があります。

ただし、会計事務所内の大量処理を念頭に置いたソフトでもあり、伝票・仕訳を意識した「教科書どおり」の作りでもあるため、経理を知らない方から見ると、わかりづらい面もあるかもしれません。

これに対して、「弥生会計」や「PCA会計」「勘定奉行」などの市販パッケージソフトは、ユーザーフレンドリーなアイコンを用いており、分かりやすい操作感と低価格が特徴です。

会計事務所は基幹ソフトとして「会計事務所ベンダー」のソフトを利用しながら、市販ソフト(中でも「弥生会計」)も併用しているというのが実情です。


それぞれに特徴があります

どちらにせよ「遡及訂正ができないソフト」「エクセルデータの出し入れが行いやすいソフト」「分散入力に強いソフト」「部門計算が強いソフト」など、それぞれに特徴があります。

会社の規模や業種によっても、様々な選択があるところです。


2015年09月04日

名簿売買時代の個人情報

住民票データ公開の時代から

住民票は、2006年10月までは、公開情報でした。

選挙民のデータやダイレクトメール宛先データとして、自由に閲覧・複写が許されていました。

このデータをもとに、名簿業者は、企業や団体の住所録や紳士録、あるいは高額所得者リストとか消費者金融顧客リストとか、様々な名簿を付け加えて、名寄せをし、特定の人々の詳細なデータを集積し、さらに地域や年齢や社会階級や消費嗜好や病歴などなどと様々に分類して、売却価値の有る名簿商品を作っています。

現金よりカード

「カードで購入すると割引があるけれども、現金で買うと何の割引もない」というのは今では当たり前です。

後払いの場合でも、ポイントやショッピング保険がつくため現金払いよりもカード有利になっています。

企業としては、明らかにカードに集積される個人データに価値があるので、カードの利用を推進するための費用負担をしているのです。


ネットはすべてを知っている

スマホは、手のひらサイズのコンピューターとして、メールのやりとり、WEBページの閲覧、ゲームやSNS、ネット通販での買物、お財布ケータイ、モバイル定期券、などなど朝から晩までの行動の記録を残し、それがネットを介してサービス提供会社に提供されています。

本人特定ができれば、他の種々のカード情報とも、ネット上でひも付けされ、特定個人に関する情報は本人自身の自覚以上の本人に関する正確なデータになります。


マイナンバーは情報ひも付け役

マイナンバーは、国や自治体による税や社会保険料の徴収などに役立てることからはじまり、投資口座・預金口座の管理、そして戸籍事務、旅券事務、医療・介護・健康情報の管理・連携、自動車検査登録事務の各分野での利用に拡大していくことが検討されております。

2015年09月03日

税務調査の概念の修正

「調査」により更正する

税法では、更正処分、再更正処分、再々更正処分は「調査により」行うこととされています。

従って、税務調査が終了し、更正処分や修正申告がなされた後、税務署長がそれをさらに変更するような再更正を行うには、再調査が必要です。

しかし、再調査は「新たに得られた情報に照らし非違があると認めるとき」にのみ行うこととされています。

一度調査が行われたら、余程の新情報がない限り、再調査はありません。


「調査」による減額や繰戻還付

既に行った申告について、納付すべき税額が多すぎた場合、申告書に記載した翌期へ繰り越す欠損金が少なすぎた場合、申告書に記載した還付税額が少なすぎた場合などでは、納税者から税務署長に対し減額更正の請求ができます。

また、所得が赤字だった時の、その前の期間への赤字の繰り戻し請求という制度もあります。

これらの請求により、税務署長が減額修正、還付処理をする場合には、「調査」し、その「調査」したところにより、処分や還付を行うことになっています。

これらの税負担を軽減する処置もそれぞれ「調査」を経て行われることになっていますが、「調査」といっても、机上調査とか電話確認調査とかの程度の「調査」で済ませている事例が多そうです。


「調査」概念の統一性

「調査」という言葉は税法の中に何回も出てきますが、それらが、同一の意味なのだとすると、減額更正や繰戻還付の請求があって、机上調査で処理が済んだ場合、その年分に関しては一度調査がなされたということなので、もはや「新たな情報」がない以上、通常の税務調査は行えないのか、という疑問が湧きます。

税務当局も、こういうことについて、このままでは、まずいと判断したようで、今年の税制改正で、異なる2種類の調査概念を設けることにしました。

「調査(実地の調査に限る)」

机上調査とか電話確認調査とかをもって「調査」としてよい場合と、実地に出向いて行われる臨場調査のみを「調査」という場合とに、法律上の「調査」という言葉を使い分けることになりました。

2015年09月02日

国外転出(贈与・相続)時課税

平成27年度税制改正において、「国外転出をする場合の譲渡所得等の特例」(国外転出時課税)及び「贈与等により非居住者に資産が移転した場合の譲渡所得等の特例」(国外転出(贈与・相続)時課税)が創設され、平成27年7月1日から施行されています。

このうち、「贈与等により非居住者に資産が移転した場合の譲渡所得等の特例」(国外転出(贈与・相続)時課税)は、贈与時・相続時の対象資産の含み益に対して所得税が課税される内容となっています。


1.非居住者へ対象資産を贈与した場合(国外転出(贈与)時課税)

国外転出(贈与)時課税は、贈与の時点で1億円以上の対象資産を所有している一定の居住者(対象者)が国外に居住する親族等(非居住者)へ対象資産の全部又は一部を贈与した場合に、その贈与の時に、贈与対象資産の譲渡等があったものとみなして、贈与対象資産の含み益に対して贈与者に所得税が課税される制度です。

対象者となるのは、贈与の時において、次の①及び②のいずれにも該当する居住者(贈与者)です。

① 贈与者が所有等している対象資産の贈与の時の価額の合計額が1億円以上であること。

② 贈与の日前10年以内において贈与者が国内に5年を超えて住所又は居所を有していること。

贈与者は、贈与をした年分の確定申告期限までに、贈与の時の価額で贈与対象資産の譲渡等があったものとみなして、その年の各種所得に国外転出(贈与)時課税の適用による所得を含めて所得税の確定申告書の提出及び納税をする必要があります。


2.非居住者が相続または遺贈により対象資産を取得した場合(国外転出(相続)時課税)

国外転出(相続)時課税は、相続開始の時点で1億円以上の対象資産を所有している一定の居住者(対象者)が亡くなり、非居住者である相続人等がその相続又は遺贈により対象資産の全部または一部(相続対象資産)を取得した場合に、その相続開始の時に、相続対象資産の譲渡等があったものとみなして、相続対象資産の含み益に対して適用被相続人等に所得税が課税される制度です。

相続開始の時において、次の①及び②のいずれにも該当する居住者(適用被相続人等)が、国外転出(相続)時課税の対象者となります。

① 被相続人が所有等している対象資産の相続開始の時の価額の合計額が1億円以上であること。

② 相続開始の日前10年以内において被相続人が国内に5年を超えて住所又は居所を有していること。

相続人は、相続開始があったことを知った日の翌日から4か月以内に、相続開始の時の価額で相続対象資産の譲渡等があったものとみなして、その年の各種所得に国外転出(相続)時課税の適用による所得を含めて、適用被相続人等に係る所得税の準確定申告書の提出及び納税をする必要があります。


また、国外転出(贈与・相続)時課税においても、国外転出時課税と同様に、納税猶予制度や各種減額措置等(外国税額控除を除く)を受けることができます。

2015年09月01日

合併比率と税務

合併の中心的な議論は、適格要件を満たすか、つまり、簿価引継ぎにより被合併会社(消滅会社)及び被合併会社の株主に課税関係が生じないよう所定の要件を充足しているかどうか、また、欠
損金の繰越控除及び特定資産の譲渡等損失の損金算入のための要件を具備しているかどうかです。

同族会社グループ内の合併にあっては、同一の者、つまり、親族関係のある一族で100%保有され、その保有期間も長期にわたる兄弟会社・関係会社間の合併が大部分ですので、多くの場合、適格要件及び欠損金の繰越控除並びに特定資産の譲渡等損失の損金算入に関する要件(以下、適格要件等)は満たされていると思われます。


合併比率の算定

適格要件等は、満たされているとしても、合併比率に不合理な差異がある場合には、株主である親族間で「みなし贈与」といった課税関係が生じる場合もあります。

合併比率とは、一般的に被合併会社の株式1株に対して合併会社の株式を何株割り当てるかの割合です。

合併比率の算定にあたっては、被合併会社の1株当たりの価値と合併会社の1株当たりの価値の算定は不可欠です。

この1株当たりの価値の算定ですが、株主が個人のみであれば、相続税法上の株式評価方法で問題ないと思いますが、法人株主等が存在する場合には、いわゆる子会社に該当するものとして、土地等及び上場有価証券があればその時の時価で、また、評価益に対する法人税相当額を控除しない、といった評価になるものと思われます。


1株に満たない端数株の対応

合併比率を算定して、その比率で合併会社の株式を割り当てると、多くの場合、端株(1株未満の端数)が生じてしまいます。

この端株を売却等でその代金を株主に交付することは、非上場株式ではあまりなく、一般的には、株式分割、併合の手続きが用いられます。

例えば、被合併会社の発行済株式100株、株主Aは79株、Bは21株を保有、合併比率は、「被合併会社の株式1株につき合併会社の株式1.5株」とします。

この場合、株主Aには118.5株、Bには31.5株が割り当てられ、端株が生じてしまいます。

これを回避する方法の1つとして、合併会社の1株を10株に分割することで、合併比率が「1対15」になり、端株を生じさせなくすることができます。

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