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2015年07月 アーカイブ

2015年07月30日

最大で7,000万円が非課税 直系尊属からの贈与特例が拡充

高齢者層から若年世代への早期移転

近年の資産税は「高齢者層から若年世代への財産の早期移転」を促す改正が相次いでいます。

特に平成27年からは、「直系尊属」から「直系卑属」への贈与について大胆な軽減措置がいくつも施行されます。

特例税率~直系尊属から成人者への贈与

まず、平成27年1月からの贈与から既に適用されている「特例税率」が挙げられます。

平成27年分以後の贈与税率は、「一般税率」と直系尊属から20歳以上の者への贈与に対する「特例税率」の2つに区分されました。

この「特例税率」は「一般税率」に比して累進度が緩和された軽減税率です。


住宅取得等資金の非課税制度の延長・拡充

また、平成27年改正では「直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税」措置が平成31年6月までに延長されるとともに非課税金額も拡充されています。

今回の改正の特徴は、「住宅取得資金非課税限度額」(消費税8%契約・中古住宅の個人間売買)と「特別住宅取得資金非課税限度額」(消費税10%契約)の2つの非課税枠が設けられたことです。

これは消費税率改訂時の住宅需要へのインパクトを緩和するために消費税率10%が適用される契約がされる時点での贈与について別枠を設けたものです。

このような非課税限度額が「8%契約」「10%契約」と別枠で設けられていますので、8%契約で購入した家屋を、後に10%契約でリフォームした場合等はこの非課税枠を「ダブル」で適用することができます。

結婚・子育て資金の一括贈与に係る非課税

また、「直系尊属から教育資金の一括贈与を受けた場合の非課税」制度の「結婚・子育て」版が設けられました(平成27年4月以後の贈与から適用)。

こちらは、直系尊属が子・孫等の結婚・子育て資金を金融機関に信託・預入等をした金額のうち1,000万円までは非課税とする制度です。

複数の非課税制度を適用した場合

これらの「直系尊属」からの贈与の特例を最大限適用した場合、教育資金贈与非課税(1,500万円)+結婚・出産資金贈与非課税(1,000万円)+住宅取得資金非課税(H27優良住宅・1,500万円)+特別住宅取得資金非課税(H28.10~H29.9・優良住宅3,000万円)=7,000万円が非課税となります。

2015年07月29日

社長貸付金の認定利息

中小企業、特に同族会社などでは、社長への貸付金があるケースがしばしば見られます。

なかには、金銭消費貸借契約を締結し、適切な利息を取っている貸付けもありますが、多くは、会社の預金から引き出した仮払金や立替金が返済されずに累積したものや、赤字が予想されるため経費の一部を社長が肩代わりし、経理上振り替えたものなどです。

これらの社長貸付金についても、利息を計上しなければなりません。

税法上、会社は利益追求を目的としているため、「利益にならないことはするはずがない」と考えられていますので、一定の利率より低い金利や無利息の場合には、一定の利率との差額が給与とみなされ所得税の対象となってしまいます。

そのため、給与とみなされないように、決算時には社長貸付金に対して認定利息を計上します。

この認定利息の利率については、次の2通りがあります。

(1)特例基準割合による利率

(2)銀行等からの借入利率

特例基準割合については、改正により平成26年よりかなり低い割合になっています。

改正前:公定歩合+4%

改正後:国内銀行の貸出約定平均金利の年平均+1%

平成22年~平成25年は4.3%だったのに対し、平成26年は1.9%、平成27年は1.8%となりました。

平成27年の特例基準割合による利率は1.8%ですので、1.8%に満たない利率で貸付けを行った場合、次の①から③に該当する場合を除き、1.8%の利率と貸し付けている利率との差額が、給与として課税されることになります。

① 災害や病気などで臨時に多額の生活資金が必要となった役員または使用人に、合理的と認められる金額や返済期間で金銭を貸し付ける場合

② 会社における借入金の平均調達金利など合理的と認められる貸付利率を定め、この利率によって役員又は使用人に対して金銭を貸し付ける場合

③ 1.8%の利率と貸し付けている利率との差額分の利息の金額が1年間で5,000円以下である場合


社長貸付金があると、金融機関からの印象が悪くなりますし、出来るだけ決算を迎える前に解消しておいた方が望ましいといえます。

また、社長借入金も多くの中小企業でみられますが、こちらは利息を付す必要はありません。

利益追求を目的とする会社に対して、個人は利益追求を第一目的としていませんので、無利息であっても問題にはなりません。


目標管理とシステム思考


目標管理で知的業務の目標達成を図るケースでは異なる分野の担当者によるプロジェクトチームを編成して製品開発・システム開発などに取り組むケースがよく起こりますが、ともするとその思考プロセスで迷い・停滞・抜けや判断の誤りによる手戻り等の無駄が発生しがちです。

このような問題を回避し、効率的に目標達成を図るためにはシステム思考の活用が役立ちます。


システム思考の方法

「システム思考」は唯一絶対的な思考法が存在する訳ではなく、課題によって様々な工夫がされています。

ここでは目標達成に適する一般的なシステム思考の思考順序を紹介させて頂きます。
思考順序(例)

1.テーマの決定(○○の開発)

2.目的の記述(△△部門の利益率向上)

3.現状把握(市場・顧客ニーズ・保有技術・特許など)

4.SWOT分析・クロスSWOT分析で、「強みを機会に活かす」「弱みを改善し、機会に活かす」等の具体策検討

5.コンセプトの決定、ビジネスモデル、スキームなど達成イメージの可視化

6.目標設定:5を表す特性と数値目標等、目標の具体的表現

7.目標達成の成功要因、ハードル認識

8.成功要因獲得、ハードル回避の具体策検討

9.スケジュールの検討記述

10.目標達成スケジュールの管理

経営者・管理者の留意点

開発品の顧客満足が得られ、かつ製造しやすく設計され、生産性や顧客獲得で実効を上げなければ経営貢献の価値が下がります。

的確に事業の成果に現れる実現力を持つ企画とするために最も大切なことは企画開発担当者と営業・生産等実現場担当者が、企画が実行に移される現地で現物を見て現実に即して話し合い、状況判断を一致させ、課題解決を図ることです。

「解は現場にあり」の実践を指導しましょう。

このようにすると「机の上で、単なる先入感や希望的観測による判断をしてしまう重大な誤り」が回避でき、実施担当者の企画参加で、やる気も引き出せ、役割意識、責任意識を持って実行に移してくれますから、経営成果が生まれ易くなります。

2015年07月28日

許認可事業の事業承継対策

社長の平均年齢は過去最高齢の59.0歳

帝国データバンクが行った2015年全国社長分析によると、社長の平均年齢推移は一貫して上昇を続けており、2014年は59.0歳と過去最高を更新したそうです。

「自分が作り上げてきた事業を、更に育ててくれる後継者に引き継がせたい」そんな想いで事業承継に取り組んでいる社長も多くいらっしゃることと思います。

事業承継を巡っては様々な経営資源が問題の対象になりますが、本日は「許認可」に焦点を当てて考えてみます。


許認可事業は承継されるか

会社で行っている事業が何らかの「許認可」を得ている場合、その事業は預貯金や株式などの資産と違い、必ずしも次世代へ引き継がれるというわけではありません。

許認可を取得する際、「ヒト(人的要件)・モノ(物的要件)・カネ(財産的要件)」の三要件を満たすことと掲げられている場合が多く見受けられます。

このうち、もし社長自身が「ヒト」の要件を満たしその許認可を取得していると、社長が退くことで、事業そのものを維持できなくなってしまうこともあるのです。

ここでは、建設業を例に挙げます。


建設業許可の承継に必要な人的要件

建設業許可の取得では、「経営管理業務責任者(経管)」と呼ばれる経営を管理する人と、「専任技術者(専技)」と呼ばれる技術面を担う人の存在が求められます。

この二者は誰もがなれるものではなく、経管は建設業許可業者の役員として少なくとも5年以上の経験、また専技は一定の資格を取得しているか、10年以上の実務経験を積んでいるといった条件が課されています。

もし社長がこの経管と専技の役割を担っている場合、社長が引退してしまうと「ヒト」の要件を満たせず、許可の取消し事由になってしまう可能性がありますので、事業の承継をするためには、後継者としてこうした一定条件をクリアできる人員を確保していかなければなりません。


許認可事業の事業承継は早めの対策を

ご自身の経営されている事業に許認可が与えられている場合は、今一度その取得要件を確認してみましょう。

建設業許可に限らず、「ヒト」が許認可の維持に必須となっているものが多い中、このように要件を満たすまで長い年月を要するケースもありますので、長期的な対策が必要です。

2015年07月27日

納税環境整備として申告ミスの救済

修正申告と期限後申告との比較

自主的修正申告の場合にはもともと過少申告加算税が課せられないのに、期限後申告の無申告加算税や源泉税期限後納付の不納付加算税に救済措置が設けられたのは平成18年でした。

その救済内容は

(1) その期限後申告に係る納付すべき税額の全額を法定納期限までに納付している

(2) その期限後申告を提出した日の前日から起算して5年前までの間に、無申告加算税又は重加算税を課されたことがなく、かつ、無申告加算税の不適用制度の適用を受けていない

このいずれにも該当する場合が適用です。


不適用制度創設の経過

平成18年の救済措置創設に至るまでの事例では、申告期限延長の効果が消費税にも及ぶと誤解して、申告書の提出をし損なっていた関西電力の12億円余の無申告加算税賦課決定事件や、宅配便での申告書提出で到着が業者の都合で申告期限後になってしまったケースなどがあり、当事者としては無申告の意識のない事務的なミスで、それらへの配慮のない杓子定規な行政制裁をしたものの、当局としても、適正納税の意欲をそぐとして、その後、制度改正をしたものでした。


不適用制度の適用状況

それから8年が経過していますが、公表された無申告加算税の不適用制度の適用状況を見ると、平成24年7月から翌年6月に終了した事業年度において、法人税の期限内納付済み期限後申告で、2週間以内が72%、1か月以内は92%となっています。

期限を2週間から1か月に伸ばせば、無意識の申告漏れへの救済はほぼ十分でした。


2週間ではまだ不十分

納付があるのに申告がない、というケースでは、多くの場合、税務署から税理士や納税者に問い合わせがあります。

納付状態を税務署が把握するのが2、3週間後なので、親切な問い合わせも、2週間の期限の翌日というケースも多く、また、電子申告が普及するに至り、電子申告し始めの税理士で、法人税の申告をしたのに消費税をし損なったなどの事例もあり、制度趣旨を全うするには2週間では不足です。

それで、今年の税制改正として、無申告加算税の不適用制度における期限後申告書の提出期限が、現行の2週間から1か月に延長されることになりました。

2015年07月24日

効果的なフィードバック

目標管理制度の評価実施後に行なう「フィードバック面接」は、その目的を誤らず、効果的に実施する必要があります。

フィードバック面接の目的

フィードバック面接の目的は「目標達成度とプロセスで見られた具体的な能力発揮とその結果の事実認識から、本人が今後の課題や取り組み方を主体的に判断し、やる気を高めて、次の行動への出発点とすること」にあります。

すなわち、人材育成のための動機づけが目的です。

特に誤りやすいのは、目的を評価結果に納得してもらうための説明と取り違えてしまう点にあります。


面接を成功させるには

面接が成功したと言えるのは、「本人に新鮮な気付きが生まれ、新しい目標設定や達成プロセスの改善に意欲を持って取り組む気持ちになること」にあり、次のような点に留意して実施すると効果的でしょう。

①管理者は面接開始前に対象者全員に「面接の目的は本人の成長を意図して実施すること、そのため当期の目標達成努力を通じた率直なコミュニケーションを行ないたい」旨伝えておく。

②担当者ごとに、評価結果と関連付けて取り組んだ目標の達成状況、達成プロセスの中から褒めるべき点、注意を要する点について重要で具体的な事実を2~3点ずつ抽出しておく。

③面接では、本人が自らの考えで発言し、理解してもらえたと感じたときに、モチベーション効果が高まるので、管理者は終始にこやかに、70~80%の時間は本人が良かった点、改善すべき点について自分の考えを話し、管理者は20%前後の時間で、確認、理解、事前に準備したことに関する同意、注意点などを簡明、的確に話す。本人が言いたいことがはっきりしないときは、質問を投げかけて考えさせ、具体的な話を引き出す。

④本人が今後、どんな課題に、どんな点に工夫して取り組みたいか、を聞き出し、それに同意するか、さらに一工夫すべきことを付け加える。

⑤最後に励ましの言葉をかけて終了する。(○○へ向けて頑張ろうではないか。)

⑥本人から評価結果について質問があれば、抽出した事実と1次評価基準、2次評価以降の相対評価基準によって評価されたことを簡明、率直に説明する。

2015年07月23日

簿価修正の隠れ規定

損金不算入寄附金は株式簿価修正

設立されたばかりの子会社の場合、利益剰余金はありませんから、利益の配当はできません。

しかし設立により会社に出資された現預金があります。

その現預金を寄附金として親会社に引き渡すことは可能です。

そしてグループ法人税制では、法人による完全支配関係にある会社間で寄附・贈与が行われた場合、贈与法人・受贈法人いずれにおいても損金不算入・益金不算入です。

そこで、保有現預金を親会社に全部寄附した後に子会社を1円で売却したら、売却損を計上することになるでしょうか。

このような不自然な事態を排除するために、「子会社株式簿価修正」という制度が設けられています。

子会社が親会社に1000万円寄附したら、親会社の子会社株式の簿価は1000万円減額することになります。

資本の配当の場合はどうなるか

設立されたばかりの子会社が直ちに配当することは必ずしも不可能ではありません。

新設分割子会社の法定資本金を1円にしたが、資本剰余金が1000万円だった、という場合、資本剰余金を原資とする配当が可能だからです。

この1000万円を親会社に配当で戻してしまったら、純資産が1円の会社になってしまいます。

ここで、子会社を1円で売却したら、売却損を計上することになるのでしょうか。

しかし、そういうことにはなりません。


資本の配当は譲渡とみなされる

設立されたばかりで利益剰余金のない会社での資本剰余金の配当は、その分配の割合相当の株式の発行会社への譲渡があったことになり、その割合だけ、株式の譲渡原価が認識されるので、税務上の株式簿価は減算されることになります。

先の例での、1円を残しての1000万円の資本剰余金の配当では、1000万円の譲渡収入と1000万円の株式簿価の原価算入ということになり、子会社株式簿価残価は1円となるので、1円で売却しても売却損は発生しません。


資本の配当と「子会社株式簿価修正」

「子会社株式簿価修正」という税務手法は、グループ法人税制で初めて出現したかのように見えますが、資本剰余金の配当の場面では以前から、株式簿価を減額する規定になっていますので、益金不算入に対応する損金不算入の寄附金が同じく簿価修正をすべきことになるのは趣旨が同じなのでこれを踏襲したからと言えます。

2015年07月22日

複数の事業所から収入がある場合の社会保険

社会保険の適用事業所で常時使用される方(健康保険は75歳未満、厚生年金は70歳未満)は、健康保険・厚生年金保険の被保険者となります。

また、パートタイマーであっても、労働時間と労働日数が次のとおり、それぞれ一般社員の4分の3以上であるときは、原則として被保険者とされます。

二か所以上の事業所で雇用されている場合、どちらも被保険者の要件を満たす一般社員は稀だと思いますが、役員の場合は要件を満たすことがあり得ます。

役員の被保険者の考え方は、「役員であっても法人から労務の対償として報酬を受けている者は、法人に使用される者として被保険者とする」とされており、次の要素から判断することとされています。

① 定期的な出勤の有無

② 役員会の出席の有無

③ 従業員に対する指揮監督の状況

④ 役員との連絡調整の状況

⑤ 法人に対する意見などの影響力

⑥ 法人からの報酬の支払いの実態

二つ以上の事業所において被保険者となる場合、「被保険者所属選択届・二以上事業所勤務届」を提出することになります。

この届出は、主たる事業所および管轄年金事務所を選択するもので、事実発生の日から10日以内に提出します。


二つ以上の事業所で被保険者資格を取得する場合、保険料の算定基礎となる標準報酬月額はどのようになるでしょうか。

各事業所の報酬が合算された額が報酬月額とされます。

その報酬月額に基づき決定された標準報酬月額により算出された保険料額を各事業所の報酬月額の比率で按分し、それぞれの事業所に請求されることになります。

例えば、A社30万円、B社20万円の場合は以下のように計算します。

報酬月額(合算額) 300,000円 + 200,000円 = 500,000円

標準報酬月額    500,000円

保険料
A社 500,000 × 保険料率 × 300,000/500,000

B社 500,000 × 保険料率 × 200,000/500,000

それぞれの会社で、保険料額表通りの金額ではなくなるので、注意が必要です。

また、標準報酬の上限を超えてしまっている場合でも、届出を提出しておいたほうが確実と思います。


2015年07月21日

プロセス評価の方法

目標管理のプロセス評価は、第一義的には担当者本人と管理者によって目標達成プロセスが達成への軌道に乗っているかどうかチェックし、軌道を外れていればその原因を突き止めて修正処置をとるために行ないます。

そして、第二義的には、目標達成の前提としていた経営環境などの外部環境や会社の方針などの内部環境の変化があった場合に、最終評価の納得性を高めるために、目標の難易度やチャレンジ度の修正処置をとる目的で行ないます。


プロセス評価の重要性

目標設定後、最終の目標達成度評価までのプロセスでは、期間的にも時間的にも目標達成のためにほとんどの能力、努力をつぎ込んで戦うことになります。

その間、当初描いたシナリオ通りに目標達成が図れることはほとんどなく、外部環境・内部環境など与件の変化は当然起こりますから、その状況に応じてリアルタイムに知恵を出し、対応することが必要になります。

プロセス評価は、このような状況の中で適切な区切りで、目標達成阻害要因と対策の状況、成功要因と活用状況などを上司と部下が確認し合い、より良い対策への修正処置をとって、目標達成プロセスを改善し続けていくことが最重要です。


プロセス評価のファシリテーション

このプロセス評価のやり方として部署の所属社員の集団による「目標達成プロセスの問題点と対策」をテーマとしたファシリテーションを行ない、相互に状況や対策、目標達成状況を報告し合うことで、

・同じアゲンストの環境下においても、対策の違いによる業績差が生じること

・同じフォローの風が吹いている環境下でも対策の違いによる業績差が生じること

など相互に評価し合い、大きな刺激や動機づけ、やる気の向上が図れます。

個々の目標達成プロセス修正処置、難易度の修正は、その後に行えば、的確性、効果性を向上させることが出来ます。


経営者・管理者の留意点

このような、生きた体験を「成功要因獲得、阻害要因対応策のノウハウ」として業務標準書に書き加え、蓄積、再活用することが望まれます。またそれらは“経営理念”の形成につながっていきます。

2015年07月17日

理由附記をめぐる新しい租税行政判断

すべての税務処分に適用

国税通則法の改正により、平成25年から相続税や消費税などを含め、すべての税務不利益処分に際して、更正通知書に更正の理由を附記しなければならないことになりました。

根拠法は行政手続法第14条です。

その附記理由の程度に関する初めての裁決が平成26年11月に出ました。


裁決書を読むと

処分庁の主張の基本は

①青色帳簿自体を否認する場合の理由附記の程度

②青色帳簿自体を否認しない場合の理由附記の程度

という判例法の体系が従来存在していたところを踏まえるならば、新たに理由附記が必要とされることになった税目に関しては、後者の②の場合の理由附記の程度と同じでよいはずで、その場合の理由附記の程度とは、適用法令と否認の金額が書かれていることで十分というものでした。


税法以外の分野で先行

行政手続法が立法されて以後、税法においては租税実務の「大量反復」性を理由に、その適用を全面的に排除してきました。

その排除の期間に、税法以外の分野での、行政手続法第14条をめぐる争訟での最高裁判決が平成23年6月7日にありました。

その判決は、直接に義務を課しまたは権利を制限するという不利益処分の性質に鑑み、行政庁の判断の慎重と合理性を担保してその恣意を抑制するとともに、処分の理由を名宛人に知らせて不服の申立てに便宜を与えること、すなわち、恣意抑制機能・不服申立争点明確化機能の担保を「理由附記」の要件としました。

審判所の判断の依拠したところ

審判所の裁決は、青色申告帳簿をめぐる過去の判例史を一顧だにせず、この最高裁平成23年判例に直接依拠しました。

適用法令と否認額から推測される多様な否認理由のどれを根拠にしているのか特定できない以上、理由附記が十分とは言えないとしました。

税法の係争にも、最高裁平成23年判例の効果が直接及ぶようになったことを確認したのです。


新裁決以後の新たな地平

そうすると、青色帳簿を否認しない場合の更正も、今後は、最高裁平成23年判例で判断することになり、従来の所得税法と法人税法における青色申告に係る理由附記規定は、創設的意味を失い、他の場面よりもより慎重さが要求される注意的・確認的規定と解されることになったと言えます。

2015年07月16日

安全な職場を作るには

第3次産業の職場の労災防止対策
労働災害のうち、4日以上仕事を休まなければならない労働災害は年間12万件近くもあり、このうち4割以上の災害は、小売業、社会福祉施設、飲食店等の「第3次産業」で発生しています。

職場で次のようなことはないでしょうか。原因を見てみます。

転倒・・急いでいる時等に放置された荷物や台車につまずく、濡れた床で滑る等。

急な動き・・重い物を無理な姿勢で持ち上げたり、移動させたりするときにぎっくり腰になったり筋を痛める。

墜落・転落・・脚立やはしごなどの上でバランスを崩して落ちる。階段で足を滑らす。

その他・・交通事故、通路でぶつかる、ドアに手を挟まれる、刃物で手を切る、やけど等。


労働災害の発生と原因

第3次産業では年間約5万人以上の人が労働災害で4日以上仕事を休んでいます。

また、転倒、急な動き、無理な動き、墜落、転落、交通事故(道路)が事故としては多く、これらの原因で7割を占めています。

労働災害の原因を放置したままでは安全・安心に作業ができず、作業効率も下がります。


さらにケガで休業すると他の人への負担もかかります。

災害を防ぐには職場の危険な個所や動作を察知して知らせ、脚立、台車などの正しい使い方を学び全員が安全行動を身に付けることが大事です。


労働災害を防ぐには

4S活動・・4Sは整理、整頓、清掃、清潔のことで、日常的に行うことで災害防止だけでなく、作業のしやすさや効率化も期待できます。


KY活動・・KYとは危険予知のことです。

業務を開始する前に「その作業にはどんな危険ポイントがあるか」を話し合い、危ない箇所の対策を決め、行動確認等を行います。

危険の見える化・・職場の危険を可視化し、従業員全員で共有します。

KY活動で見つけた危険ポイントにステッカー等を貼ります。

安全教育・研修・・器具の正しい操作等の研修、新入社員には入社時に教育します。


安全意識・・安全活動を進めるには、経営者、責任者が朝礼や社内報、社内メール等で全員に啓発することも大事でしょう。

2015年07月15日

マイナンバー制度の導入⑤

特定個人情報の保護措置

個人番号は、社会保障、税、災害対策の分野において保有する個人情報を紐づけて効率的に情報の管理を行うものであり、個人番号が漏えいした場合や不正に利用された場合、個人の権利利益の侵害を招きかねません。

そこで、「行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律」(番号法)では、特定個人情報を取り扱うすべての事業者に対し、個人情報保護法よりも厳格な保護措置を義務付けています。

保護措置は、「特定個人情報の利用制限」、「特定個人情報の安全管理措置等」及び「特定個人情報の提供制限等」の3つに大別されます。


① 特定個人情報の利用制限

番号法においては、個人番号を利用することができる範囲について、社会保障、税及び災害対策に関する特定の事務に限定しています。

また、本来の利用目的を超えて例外的に特定個人情報を利用することができる範囲について、個人情報保護法における個人情報の利用の場合よりも限定的に定めています。

さらに、必要な範囲を超えた特定個人情報ファイルの作成を禁止しています。

② 特定個人情報の安全管理措置等

個人番号関係事務実施者又は個人番号利用事務実施者である事業者は、個人番号及び特定個人情報(特定個人情報等)の漏えい、滅失又は毀損の防止等、特定個人情報等の管理のために、必要かつ適切な安全管理措置を講じなければなりません。

また、従業員等に特定個人情報等を取り扱わせるに当たっては、特定個人情報等の安全管理措置が適切に講じられるよう、従業員等に対する必要かつ適切な監督を行わなければなりません。

・組織的安全管理措置・・・事務取扱担当者及び責任者の明確化等

・物理的安全管理措置・・・特定個人情報を取り扱う区域の管理等

・技術的安全管理措置・・・情報システムの管理等

・人的安全管理措置・・・事務取扱担当者の監督・教育

個人番号関係事務等を委託する場合には、委託者は、委託先において、番号法に基づき委託者自らが果たすべき安全管理措置と同等の措置が講じられるよう必要かつ適切な監督を行わなければなりません。

③ 特定個人情報の提供制限等

番号法においては、特定個人情報の提供について、個人番号の利用制限と同様に、個人情報保護法における個人情報の提供の場合よりも限定的に定めています。

また、特定個人情報の提供を受けることが認められている場合を除き、他者(同一世帯に属する者以外の者)に対し、個人番号の提供を求めてはいけません。

さらに、特定個人情報の収集又は保管についても同様の制限を定めています。


特定個人情報も個人情報の一部なので、原則として個人情報保護法が適用されます。

そして、個人情報保護法よりも厳しい保護措置を番号法で上乗せしているということになります。

また、番号法の保護措置は、個人情報保護法が適用されない小規模な事業者にも適用され、個人情報保護法よりも罰則の種類が多く、法定刑も重くなっています。

2015年07月14日

キャッシュ・コンバージョン・サイクル

キャッシュ・コンバージョン・サイクルとは
キャッシュ・コンバージョン・サイクル」とは、下記の算式で表される仕入から販売、代金回収までのサイクルタイムのことで、「CCC」あるいは「現金循環化日数」などとも呼ばれたりします。

【算式】

CCC=棚卸資産回転日数+売上債権回転日数-買掛債務回転日数

この「キャッシュ・コンバージョン・サイクル」の日数が短くなればなるほど、「運転資金が楽になる」ことを示しています。

資産の資金化と債務の支払のタイミング

すなわち、「資産の資金化」のサイクルと「債務の支払」のサイクルを組み合わせて、その会社の必要資金を表しているのです。

例えば、会社が商品を仕入れたのち、商品を販売、売掛金回収という「資金化」のサイクル(在庫→売掛債権→現金)は、「棚卸資産回転日数+売掛債権回転日数」と表現されます。

一方、仕入れた商品の買掛債務の支払いは、上の売掛金回収のタイミングより先行することが通常です。

従って、「棚卸資産の回転日数+売上債権回転日数-買掛債務回転日数」に相当する「運転資金」を用意しなければならないということになります。

「日数」という分かりやすい表現にすることで「資金回収の弱点がどこにあるのか」「何をしなければならないのか」という課題が浮き彫りとなることが、この指標のよいところで、日数をグラフにするなど図表で示したりすると、運転資金の流れがより感覚的に理解できます


CCCを短くするにはどうするか

この「CCC」を短くする施策には次のようなものがあります

①在庫回転日数を短くする(在庫削減)

②売掛金回転日数を短くする(売掛金を削減する・取引条件を見直す)

③買掛債権回転日数を長くする(取引条件を緩和)


自社の「CCC」の前期比較を見てみる

まず、ご自身の会社の「CCC」の前期比較を作成して頂くと、資金面での状況変化がわかります。

また、業界平均との「CCC」の比較、重要取引先毎、重要商品毎の「CCC」を出してみると、運転資金面での「強み」「弱み」が分かるので、是非活用してみたい経営分析ツールの一つであると言えます。

2015年07月13日

「半製品」と「仕掛品」との違い

「半製品」と「仕掛品」の違いはどこか

製造等の中途にある棚卸資産に「半製品」と「仕掛品」があります。

英語で言えば、前者は“semi-processed goods”、後者は“work in process”です。

これらはどのような違いがあるのでしょうか?

財務諸表等規則ガイドラインによれば、「半製品」とは「中間的製品として既に加工が終り現に貯蔵中のもので販売ができる状態のもの」とされています。

これは製造工程の中間までは工程を終えて、次工程に移るまで間、一時的にストックしている状態のイメージのものです。

一方の「仕掛品」とは、同ガイドラインによれば「製品、半製品または部分品の生産のために現に仕掛中のもの」とされています。


「販売可能な状態」のものであるかどうか

これらの定義から、二つの棚卸資産の区分は、「販売可能なもの」であるか、交換価値を有しているかという点にあることになります。

すなわち、「半製品」はその状態でも「販売可能なもの」であるが、「仕掛品」はその状態では「販売ができないもの」(工程中のもの)ということです。

別の言い方をすると、「半製品」は倉庫等で現物が確認できる(引渡し等が可能である)が、「仕掛品」はそうではないということになります。

英語の“semi-processed goods”“work in process”と表現されるのも何となく判りますね。

「半成工事」「未成工事支出金」との関係

また類似のものに「半成工事」というものがあります。

これは「仕掛品」と同義のもので、造船業で用いられる勘定科目です。

建設業の「未成工事支出金」、不動産開発・宅地造成を行うディベロッパーの「開発事業等支出金」(会社によっては「仕掛販売用不動産」など)も同様です。

これらのものは、その状態では「販売ができないもの」ですから、低価法適用時の「正味売却価額」は、「完成品の売価-見積追加製造原価-見積追加直接経費」と、販売可能な状態の完成品からスタートして考えることになります。


2015年07月10日

親の家屋に子が増築した場合

親の家屋に子が増築した場合

親が所有する家屋を子の資金で増築するということがよくあります。

この場合、増築後の登記状況等により贈与税が課税される恐れがあります。

例えば、父が所有する木造平屋の家屋(時価1,000万円)に、子が家屋の時価と同額の1,000万円をかけて2階部分を増築したとしましょう。


民法における「付合」の考え方

この場合、民法における「付合」の考え方を理解する必要があります。

「付合」とは、別個のものがくっついて一つになるイメージになります。

不動産の場合、「不動産の所有者は不動産に従として付合した物の所有権を取得する」(民242)とされています。

この例では、父所有の家屋(主)に対して、増築部分が「付合」した物(従)とされれば、増築部分も父が所有権を有することになります。

一般には増築部分が

①事実上、分離復旧させることが不可能で

②2階部分だけ独立して取引できるような状態

でなければ、「付合」したものと見られます(なお、増築部分が区分所有権の対象となるものについては、「付合」は生じません)。


「持分変更」で高率の贈与税課税を避ける

今回の増築部分が区分建物として独立性がない場合、一般的には「付合」が成立し、増築部分の金銭負担者(子)と取得財産の名義(父)が異なることになります。

そのため、子から父に対して1,000万円の贈与があったものして、父に高率の贈与税が課されます。

もっとも、負担分=持分とする形(本事例では1/2)で登記することで、利益の移行がなかったものとして、贈与税課税を回避することができます。

国税庁HPの質疑応答事例では、

①旧家屋の持分2分の1を父から子に時価で譲渡し(本事例では1,000万円×1/2=500万円)

②その譲渡代金は、子が支出した増築費用のうち父の負担すべき部分の金額 (本事例では1,000万円×1/2=500万円)と相殺することで、贈与税の課税関係は生じないとする例を示しています。

このように高率の贈与税課税を避けることはできますが、①の持分異動分については、父の譲渡所得を認識しなければなりません(この譲渡は親子間譲渡のため、居住用財産譲渡の特例等は適用できません)。

同様のケースならば、登記及び譲渡の税負担を事前にシミュレーションしておくことをお勧めします。

2015年07月09日

源泉徴収業務は大変

平成27年度の税制改正

あまり注目されませんが、「国外に居住する親族の扶養控除の適正化」があります。

国外扶養親族21人もの扶養控除の適用を受けていた事例があり、本当に扶養しているのか疑義のあるケースが散見されるため、扶養控除の適正化の為に、平成28年分以降の所得税から適用しようと言うものです。

その内容は以下の通りです。

国外に居住する親族に係る扶養控除を受けようとする者は、以下の書類の添付又は提示を義務付けるものです。

①親族であることが確認できる書類(例:戸籍の附票の写し、出生証明書等)

②納税者が親族の生活費等に充てるための支払いを行ったことを確認できる書類(例:送金依頼書、クレジットカード利用明細書等)


誰が責任を取るのか

一見もっともな改正ですが、上記①②の書類を誰が確認し、保存するのかが問題です。

納税者が自ら確定申告をしている場合は、自己責任ですからよいのですが、納税者が給与所得で源泉徴収されている場合、その責任は源泉徴収義務者である企業にあります。


外国人労働者への対応

外国人労働者は、日本に出稼ぎに来ているわけですから、その目的からして母国に扶養親族を残しているわけで、多くの外国人労働者に扶養親族がおります。

従来は、扶養控除申請書に自主申告してもらっており、その真偽の確認は行いませんでしたが、今後はその扶養親族の真偽を確かめるために、先の①②の書類の提出を求め、提出がない場合は、扶養控除をせずに源泉徴収することとなります。

①②の書類の提出がないまま扶養親族として源泉徴収していて、その後の税務調査で書類の不備が見つかった場合、源泉徴収義務は企業にありますから、追徴税額は企業が納付することになります。

税務調査時に既に当人が帰国してしまっていれば、負担した税金を徴収することはまず無理です。



2015年07月08日

マイナンバー制度の導入④

番号法では、個人番号が悪用、漏えいなどによって、個人情報の不正な利用、個人の権利利益の侵害を招くことのないように、個人番号の利用制限、特定個人情報ファイル作成の制限、委託の取扱い等の特定個人情報の安全管理措置等が厳格に定められています。

個人番号を利用できる事務の範囲としては、「個人番号利用事務」と「個人番号関係事務」があります。

行政機関等が個人番号を利用して行う事務が「個人番号利用事務」、民間事業者が行う事務が主に「個人番号関係事務」にあたります。


① 個人番号利用事務

個人番号利用事務とは、行政機関、地方公共団体、独立行政法人又は地方独立行政法人等が、社会保障、税及び災害対策に関する特定の事務において、保有している個人情報の検索、管理のために個人番号を利用する事務です。

この事務を行う者を「個人番号利用事務実施者」といいます。

民間事業者が個人番号利用事務を行うのは、行政機関等の行政事務を処理する者から個人番号利用事務の委託を受けた場合、健康保険組合等が法令に基づき個人番号利用事務を行う場合です。

② 個人番号関係事務

個人番号関係事務とは、民間事業者が法令に基づき従業員等の個人番号を給与所得の源泉徴収票、支払調書、健康保険・厚生年金保険被保険者資格取得届等の書類に記載して、行政機関等及び健康保険組合等に提出する事務です。

この事務を行う者を「個人番号関係事務実施者」といいます。


一般に、民間事業者や税理士事務所等が個人番号を取り扱う場合には、「個人番号関係事務実施者」に該当します。

このため、個人番号及び特定個人情報の漏えい、滅失の防止等、特定個人情報の管理のために、それぞれが適切な安全管理措置を講じる必要があります。

2015年07月07日

低価法の適用漏れがあったら

「低価法」の網羅性の要求度はどこまで

棚卸資産の低価法を適用した会社は「低価法の適用漏れがあったらどうなるのか。」と心配になることがあるかもしれません。

確かに、期末に存在する棚卸資産のすべてについて調査を行い、網羅性を確保するには多大な労力を要し、全購入品について低価の事実の発生の有無を判定することは事実上不可能といってもよいでしょう。

会計においては、会計方針として棚卸資産の評価基準に低価法を選択した場合に、「つまみ食い」的に低価法が適用されれば、「利益操作」につながるものと理解されています。

金額的に重要性が低いものならば、さほど問題とされない場合もあると思いますが、「恣意的な運用をしていない」という環境を確保する意味で、ルール作りやマニュアルの継続的・安定的な運用を図りたいものです。


税務上全額が否認されないか

一方、税務上の心配ごとは、「棚卸資産の一部に低価法の適用漏れがあった場合には、適用全体が否認されてしまうことはないのか。」ということだと思います。

実はこれについて、法人税においては法令にも、通達にも触れたものは何もありません。

一般には「低価法の適用全体が否認されることはない」と理解されています。

つまり、棚卸資産の一部について低価法の適用漏れがあったとしても、法人の所得金額と納税額が増えるだけです。

法人が単に権利を放棄したというだけであって、法人が任意に評価損の損金算入を行わなかったものとして取り扱われるだけの問題となります。


申告時の減算調整はできるのか

ここで法人税法における低価法については、特定の事実が生じた場合の評価減(会計上の強制評価減)と異なり、損金経理を要求していません。

従って、会計で取り込まなかった低価法の評価損があった場合に、この洩れがあった評価損相当額を法人がその申告時に減算調整することは許容されているものと解されています(税務調査による減額更正は難しいでしょう)。


2015年07月06日

新入社員研修の進め方

新入社員教育は何を行うか

平成27年度入社の新規学卒採用数はかなり伸びており、中小企業でも4月に学卒者を採るところも増えています。

新入社員教育は学生気分を払拭させ、社会人としての自覚を芽生えさせます。

研修を通して次第に企業人として成長して行くスタートとも言えます。

新人研修は集合教育の形態で、社会人としての最低限必要な事項や職場に共通する事項などを学びます。

中小企業等では、例えば商工会議所や研修会社の研修を他の企業と共に受ける場合もあります。

集合研修は数日から週単位が多いです。

社内研修と社外研修

企業内で講師を用意するOJT方式、企業外で実施するOFF・JT方式を使い分けます。

社内では実施しにくい項目は外部講師を招く等もありますが、自社の重視すべき基本事項や重要な事項は各々の会社で違うので内部で行うことが大切です。

自社研修のテーマの例

新入社員教育には色々なテーマが考えられます。

自社の考えや必要性に応じて取り組みましょう。例を挙げると


①会社生活の基本

・就業のルール、出退勤や休憩、休暇

・人事制度 福利厚生


②会社の仕組み・知識

・経営理念 会社の沿革 社会貢献

・取引の仕組み・顧客と取引先

・主力商品やお金の流れ

・利益とコスト

・ビジョン・中期計画・組織部門と役割


③仕事の進め方、指示、報告連絡相談

・仕事の手順・計画・サイクル・優先順位

・ビジネス基本用語


④ビジネス文書 伝票、報告書、PC研修、

OA機器とソフトウエアの取り扱い等


⑤ビジネスマナー、社会人としての意識付


⑥現場作業の職場では具体的な実地訓練

他にも自社として身につけてほしいことはたくさんあると思います。

短期間の間に全部は行えないとしても計画的に実施して行くことでスキルアップが期待できるでしょう。

会社の目標達成を目指して行う研修は新人に限らず訓練や能力開発を視野に入れて行うものとなります。     

2015年07月03日

ダイバーシティと女性の活躍

個々の違いを認め合い組織力向上を目指す

安倍政権の成長戦略の1つである「女性の活躍推進」が重要課題として進められています。

少子高齢化や労働力不足、企業活動のグローバル化などの対応という点において企業経営を取り巻く環境は様々な人材が活躍できる「ダイバーシティ(多様性)」が必要となってきました。

高齢者、女性、外国人などを活用し、日本人、男性、正社員、長時間労働を前提にした今までの働き方から転換し、多様な人材が活躍できる職場組織の実現が不可欠な時代になってきています。


多様な人材の活用は必要ではあるが

このような多様な人材や働き方を推進するダイバーシティを進めるにはトップの問題の取り上げ方にもかかっています。

一方組織を動かす時に様々な意識や価値観をまとめるのはたやすいことではありません。

それを実行に移すのは職場レベルの反発や抵抗も生じやすいものです。

よその会社が行うならば良い事に思えても自社で導入するにはハードルが高く感じます。

例えば制度や法律を変えて休暇を作っても、休暇の後に長時間労働になるのでは意味がありません。


働きがいと働きやすさを求める

企業が女性の活躍を進めるには何が必要でしょうか。

女性の支援と言うと、出産育児制度の導入は法的整備もあり実施率は高いのですが、その後働き続けられるかどうかは別の問題です。

女性に限りませんが働きがいを感じる為には人材育成を後押しし、スキルを身に付け「仕事の与え方」「結果のフォローアップ、フィードバック」等男性だけでなく女性にも同様な教育が必要でしょう。

そして意欲を引き出し、離職防止のための柔軟な労働時間等働きやすい弾力的な制度で勤務継続が可能な働き方を選択できることも大切でしょう。

しかし休暇制度支援があったとしても、責任のある仕事は任せにくい、移動させにくい等の理由で育休後のキャリアが積みにくい現状があります。

女性が家庭と仕事の両立をするには、今後増えてくる親の介護責任を担う男女従業員も含めてフルタイム等、画一的な働き方ばかりではなく、たやすくはできないかもしれませんが、仕事の責任を果たした上でキャリアも積むことができる柔軟な組織作りが必要な時代が来るでしょう。

2015年07月02日

在宅勤務を導入するには

時間や場所を限定しない働き方

パソコン等ITを活用し、時間や場所にとらわれない柔軟な働き方を「テレワーク」と言います。

多くは自宅で仕事をするので在宅勤務と言っていますが在宅勤務以外ではモバイル機器を使う外勤職も対象者です。

雇用関係では雇用されている場合と請負契約の2つの形態があります。

雇用と請負とでは契約形態や労務管理は全く異なります。

在宅勤務制度を取り入れるならば、対象者が雇用か請負かを明確にした上で運用するのが良いでしょう。


就労場所はどこになるか

在宅勤務であれば自宅が普通ですが、自宅以外では「サテライトスタジオ」等自宅と会社の中間に設けられた施設を利用する形態もあります。

在宅頻度の点から考えると在宅勤務をする割合がどの程度かにより「完全在宅」「部分在宅」があります。

完全在宅は仕事の大半を自宅で行い週に1~2回とか月に数回、業務報告や連絡会議等で出社する程度なら完全在宅と言えるでしょう。

部分在宅は1日のうち数時間は在宅勤務をするとか、週または月のうち何日かを在宅勤務をするなど、また、両方を組み合わせる働き方もあります。

在宅勤務の目的やメリット

導入の目的やメリットとしては次のような事が考えられます。


①ワークライフバランスの推進

少子高齢化によって人口減少が進む中、使える人材をできる限り確保する必要があります。

育児や介護を担いながらも能力とやる気のある人材を活用することは経営戦略的にも有効です。


②生産性や創造性の向上

製品やサービスの付加価値が企業の競争力につながるならば、時間的効率やゆとりを持った創造性の向上が業績を左右することもあるでしょう。


③危機対応にも備え

東日本大震災の後、事業継続の視点から、在宅勤務者が注目を集めています。


2015年07月01日

業務提携契約書の印紙税

契約書を作成する場合、印紙が必要なのかどうか、いくらの印紙を貼ればよいのか、迷うことがあるのではないでしょうか?

印紙税が課税されるのは、印紙税法で定められた課税文書に限られています。この課税文書とは、次の三つのすべてに当てはまる文書をいいます。

① 印紙税法別表第一(課税物件表)に掲げられている20種類の文書により証明されるべき事項(課税事項)が記載されていること。

② 当事者の間において課税事項を証明する目的で作成された文書であること。

③ 印紙税法第5条(非課税文書)の規定により印紙税を課税しないこととされている非課税文書でないこと。

印紙税がかかるかどうかは、文書の標題や名称のみによって判定するのではなく、その内容によって判定されます。


次のような「業務提携契約書」を締結した場合、印紙税が課税になるかどうか、検討してみます。

① 甲・乙が情報を交換することにより、相互の事業の発展を目的とする。

② 甲・乙双方の協力により、それぞれの業務について契約が成立した場合には、成立した側が、協力手数料を支払う。

③ 協力手数料の金額、支払条件等については、個別に定め、別途、協議する。


まず、この契約は、当事者の一方がある仕事を完成することを約束し、相手方がその仕事の結果に対して報酬を支払うことを約束する契約ではありませんので、印紙税法別表第一の第2号の「請負に関する契約書」に規定する文書には該当しません。

次に、可能性があるのは、印紙税法別表第一の第7号「継続的取引の基本となる契約書」です。

第7号文書には、売買取引基本契約書、特約店契約書、代理店契約書、業務委託契約書などが挙げられます。

ただし、この契約は、業務を委託する内容ではなく、金額や支払方法を定めているものでもないため、第7号文書にも該当しないと考えられます。


印紙税法では、課税文書が掲げられてはいますが、課税文書に該当するかどうかの判断は、文書に記載されている個々の内容、その文言の実質的な意義などに基づいて判断しなければならないため、意外に難しいと思います。

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