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2015年03月 アーカイブ

2015年03月31日

達成度評価の不整合対策

目標達成度評価の不整合とは、例えば「営業部門の営業利益目標達成度が60%であるのに対して、営業担当者個々の目標達成度評価の平均が75%と高く評価され、矛盾している場合」を指します。

評価不整合を放置する問題点

このような達成度評価の不整合は営業部門だけでなく、全ての部門で発生する可能性があり、放置すれば次のような問題が生じます。

①「部門全体としての成果は上げられなかったが、各担当者は最善を尽くしたのだから評価されて当然である」と言う風潮が生まれ、個々人の役割・貢献に対する考え方が甘くなる。

②部門の長がこのような評価の不整合を知っていながら是認し、適切な対策をとらないため、課長もそれにならって部下に対する甘い評価を行うので、業績評価が本来の意味を失い、機能しなくなる。

③業績評価の着眼点・評価段階の適用など評価基準が曖昧さを残したまま、継続適用され、甘い評価の温床になる。

④評価の不整合があった部門だけでなく、他の部門にも、それを良しとする意識が生まれ、負の企業文化となりかねない。


評価不整合に対する対策

評価の不整合は、トップや人事部門が指摘する以前に、部門長の責任で是正されるよう全社的に目標達成度評価のルールとして、次の事項を定めて実行することが大切です。

①部門長に部門業績評価が適切に行われる責任とそれを検証する義務を負わせる。

②部門業績と部門内における業績評価の総体を比較し、不整合があった場合は部門長自ら適切な評価結果となるよう、部門内の評価を見直し、修正処置をとる。

③前項②に基づき、不整合の原因(重要な事実認識の漏れ、評価着眼点の抜け、評価段階判断・決定の甘さなど)を発見し、評価実施要領を修正、適用を徹底する。


経営者・人事部門の留意点

業績評価の不整合を許し、社内にその甘い意識を蔓延させることは、企業発展の重大な障害となります。

したがって、経営者は部門長・管理者に不整合の事実認識と是正の責任・義務を負わせ、社内に徹底することが最重要であり、人事部門は適切な情報提供などにより、部門長やトップをサポートすることが大切です。


2015年03月30日

「小規模宅地等の減額」の改正

H27.1.1以後の「小規模宅地等の減額」

平成27年1月1日以後に開始する相続に係る相続税について適用される基礎控除額の引下げ・税率構造の見直しによる税負担の増加を緩和するため、次の「小規模宅地等の減額」の改正が行われております。


①特定居住用宅地等の限度面積の拡大

②特定事業用等宅地等と特定居住用宅地等の完全併用

特定居住用宅地等は限度面積330㎡に拡大

特定居住用宅地等の限度面積が240㎡から330㎡に拡大されました。

これは大都市圏における「特定居住用宅地等」を適用している事案の平均値が約360㎡であることなど居住用宅地の実情に合わせた改正です。


「特定事業用等」「特定居住用」の完全併用

小規模宅地等の減額を受けようとする宅地等が複数ある場合には、「特定事業用等宅地等」(特定事業用宅地等と特定同族会社事業用宅地等)、「特定居住用宅地等」と「貸付事業用宅地等」の限度面積を全体で調整する規定が設けられています。

今回の改正後も次の算式により減額の適用ができる限度面積が調整されます(これを「限定併用」といいます)。

【算式】

特定事業用等宅地等の面積×200/400

+特定居住用宅地等の面積×200/300

+貸付事業用宅地等の面積 ≦200㎡

今回の改正では、この算式によらず、「特定事業用等宅地等」と「特定居住用宅地等」のみである場合には「完全併用」できるという制度が設けられました。

つまり、「特定事業用等」400㎡と「特定居住用」330㎡を合わせて730㎡まで制限なく適用できることになります。


小規模宅地等の「選択」が変わってくる

「限定併用」の考え方では、減額金額が最大となる選択をする場合には、次の算式による「1㎡当たりの減額金額」を比較して大きなものから選ぶことになります。

・「特定事業用等」1㎡単価×80%×400/200

・「特定居住用」 1㎡単価×80%×330/200

・「貸付事業用」 1㎡単価×50%

ただ「完全併用」が導入されたことにより、1㎡の減額が大きな「貸付事業用宅地等」をあえて選択せず、「完全併用」を用いた方が有利なケースも出てきました。

今後は「限定併用」「完全併用」の両者を計算して比較し検討する場面も出てきそうです。

2015年03月27日

法律用語「その他の」と「その他」の違い

「法令用語」は日常会話と異なる

税理士という職業柄、税法など法律の条文にはよく目を通します。

そこで目にする法律の中には、日常生活では特に意味の違いがないような言葉でも、立法技術上、特有の意味で使われている言葉があります。

このような「法令用語」の特有の意味を厳密に理解できなければ、法令解釈は難しくなります。

「その他の」と「その他」は意味が違う?!

その一例を紹介すると法令用語としての「その他の」と「その他」では意味が異なります。

どちらも、その直前にある語の例示として、より広い意味の語を引き出す言葉ではありますが、法令用語の「その他の」は「包括的例示」、「その他」は「並列的例示」と呼ばれ、使い分けがされています。

「その他の」の場合は、直前に置かれた名詞が後に続く内容の広い言葉の一部をなすものとして、その中に含まれる場合に用いられます。

「例示の『の』」と呼ばれることもあります。

例えば「佐藤さんその他の社員」という場合には、「佐藤さん」は「その他の社員」に含まれます(包括的例示)。

一方、「その他」の場合は、その語の前後の語句は独立していて,後に続く語とは別個の概念として並列的に並べる場合に用いられます。

「佐藤さんその他社員」という場合には、「佐藤さん」と「その他社員」は別個の概念なのです(並列的例示)。

前者の場合、「佐藤さん」は一応「社員」の一員であることは間違いありませんが、後者の場合、ひょっとしたら「佐藤さん」は「社員」ですらないかもしれませんね。


「その他の」「その他」ばかりの条文は…

税法の中でも「その他の」「その他」がよく使われる条文は厄介です。

たとえば租税特別措置法では「交際費」とは

①交際費、接待費、機密費その他の費用で

②法人がその得意先、仕入先その他事業に関係のある者等に対する

③接待、供応、慰安、贈答その他これらに類する行為のために支出するもの

と規定されています。

交際費等を包括する「その他の費用」は何なのか、得意先等と並列例示される「その他事業の関係がある者」、接待等と並列例示される「その他これらに類する行為」は何なのかなどと考えながら、条文を読んでいるわけです。


2015年03月26日

会社がイメージキャラクターを作ったら

「イメージキャラクター」作成料の税務

もし、会社がロゴマークやイメージキャラクターを特定の商品やブラントとして用いる場合には、その作成費用や弁理士報酬は次のように取り扱われます。

1.商標登録した場合

ロゴマーク、イメージキャラクターの作成費用は無形固定資産(商標権)として計上し、10年間で償却することになります。

ただし、弁理士への出願手数料や印紙代等は一時の費用として損金処理することが認められています。

2.商標登録しない場合

商標登録をしない場合には、商標権という具体的な無形固定資産を取得するわけではありません。

ただし、その支出の効果が将来にわたり持続することが明らかですので、繰延資産(開発費)に該当することとなります。

この繰延資産(開発費)は任意償却を行うことができるため、その金額を一時に償却して損金処理することが認められています。

2015年03月25日

課税売上割合に準ずる割合の承認日

仕入税額控除の原則

消費税の仕入税額控除には、個別対応方式と一括比例配分方式の2つの方法が認められています。

なお、一括比例配分方式を採用した場合は、2年間その適用を継続しなればなりません。

課税売上割合の原則的な取扱い

個別対応方式においても一括比例配分方式においても、原則、課税売上割合を計算しないと仕入税額控除を求めることができません。

課税売上割合は、原則、次の計算式で求めることになっています。

課税売上割合=(課税資産の譲渡等の対価の額の合計額)/(課税資産の譲渡等の対価の額の合計額+非課税資産の譲渡等の対価の額の合計額)

しかし、特例として、承認を受けることで上記課税売上割合に代えて事業者の事業の実情に応じて算定した合理的な割合、いわゆる課税売上割合に準ずる割合を求めて控除税額を計算することもできます。


たまたま土地の譲渡があった課税期間

たまたま土地の譲渡があった場合、一般的には、非課税売上の譲渡等の対価の額が大きくなることから、課税売上割合は大きく低下し、仕入税額控除額は小さくなり、結果、事業者にとっては予期しがたい税負担を招来させます。

そこで、課税実務では、事業者の営業の実態に変動がなく、かつ、過去3年間で最も高い課税売上割合と最も低い課税売上割合の差が5%以内であれば、次により求めた割合のうち低い割合を課税売上割合に準ずる割合とすることが認められています。

・土地の譲渡があった課税期間の前3年に含まれる課税期間の通算課税売上割合

・土地の譲渡があった課税期間の前課税期間の課税売上割合


準ずる割合の適用承認はいつまで

消費税の実務において、届出書の提出期限または承認がいつまでなのか、その手続きが重要です。

多くの場合、承認・届出の手続きは、適用を受けようとする課税期間の末日まで、または課税期間の開始の前日までです。

しかし、この準ずる割合の承認申請ですが、適用しようとする課税期間末日までに承認を受けていなければ適用できないことになっています。


2015年03月24日

事業承継した資産の償却方法

相続により減価償却資産を取得した場合の取扱いについては、被相続人の取得価額、帳簿価額及び当該資産の耐用年数は引き継ぎ、被相続人が選択した償却方法は引き継がないと定められています。

このため、相続人が定率法を選択する場合には、新たに償却方法の届出が必要となります。

廃業した場合の償却資産の取扱い

例えば、父が事業を廃業し、その生計を一にする長男が父の事業を承継、父が事業の用に供していた店舗(当該店舗は父が旧定率法で償却していた)を無償で父から借り受けて事業の用に供した場合、長男の所得計算における上記店舗の減価償却費の計算はどの償却方法によるべきか、疑問が生じるところです。


課税当局の回答

課税当局の回答は、「旧定率法」により計算する、です。

その根拠は所得税法56条です。この規定からは、次のような解釈になります。

親族(父)がその有する資産(店舗)を無償で当該事業(承継した長男)の用に供している場合、居住者(長男)の事業所得の額の計算上、必要経費に算入する減価償却費は、居住者(長男)と生計を一にする親族(父)が所得金額の計算上、必要経費に算入する減価償却費である、ということです。

また、居住者の有する減価償却資産が年の中途において不動産所得、事業所得等を生ずべき業務の用に供された場合には、そのよるべき償却方法として旧定額法、旧定率法を選択している減価償却資産は、旧定額法、旧定率法等により償却費の額を計算することになっています。

回答に対する補足説明

相続により減価償却資産を取得した場合の取扱いとは異なり、父の廃業後、その事業を承継した長男が父の所有する店舗を無償で事業に供しています。

この場合、長男の当該事業に係る所得金額の計算上、必要経費に算入する減価償却費は、父が店舗使用の対価を受け取ったならば不動産所得の金額の計算上、必要経費に算入する減価償却費になります。

したがって、この減価償却費の額は、父が選択していた方法、旧定率法により計算した減価償却費の額となります。結論は、償却方法は旧定率法、ということです。

2015年03月23日

国外居住の扶養親族の扶養控除適用の厳格化

扶養控除の適用要件

扶養控除の適用要件は、

①配偶者を除く年齢16歳以上の親族(法令の規定に基づく児童等も含む)

②親族の年間の合計所得金額38万円以下

③納税者と同じ家計で生活する

の3つです。

この3つの要件ですが、納税者の自己申告であり、適用にあたっては、特にその事実を証明すべき書類、例えば、親族であることを証明する戸籍謄本等、所得を証明する源泉徴収票等、そして、同居以外の場合、同一家計での生活を証明するための、送金の事実を証明する書類等の提出は不要となっています。

国外居住者の扶養親族

扶養控除の適用可否について、対象となる親族が国内に居住していれば、上記の3要件を確認することはそう難しくありませんが、対象親族が国外に居住しているとなると、その確認は容易ではありません。

要件の1つである、合計所得金額38万円以下の判定に関しては、その親族が我が国で得た所得、すなわち国内源泉所得だけで判定しますので、その把握はそう困難ではありません。

しかし、親族の証明、親族への生活費の送金事実の証明となるとなかなか厄介です。

国際結婚で国外に親族がいるようになった場合、我が国のように戸籍制度が確立していれば、親族であることを証明すべき公文書のような書類の提出を求めることもできますが、制度が整備されていないとすると、その信用性が担保できません。

また、同じ家計で生活していることの証明ですが、生活費の海外送金などの明細書等があれば問題ないのですが、現地で直接現金で渡した場合などは、その事実を客観的に証明することは困難です。


平成27年度の税制改正の行方

外国人と結婚した日本人や海外に親族を残して日本で働く外国人の扶養控除の実態を会計検査院が調査したところ、不確かな状況で扶養控除を受けている事実が散見され、中には扶養控除額だけで300万円超受けていた人は140人もいたことが明らかになりました。

そこで、財務省は、平成27年度の税制改正で、その適用を厳格化すべき方針を固めたようです。

その内容ですが、親族が確認できる書類や送金明細書の添付の義務化等が挙げられています。


2015年03月19日

「報酬」か「給与」か時間給ホステスの源泉徴収

時給制ホステスさんの源泉徴収

ホステス等に報酬・料金を支払うときは、所得税等を源泉徴収しなければなりません。

この源泉徴収は、ホステスさんがお客様に営業して、お店に来店してもらい、そのお店を使ってもらったことに対する「報酬」すなわち、ホステスさんが独立した個人事業者として、自己の計算とリスクをもって行う業務の対価を対象としています。

お客様の指名件数と支払金額に応じて支払われるケースがその典型例です。

悩ましいのが「時間給」のホステスさんへの支払いです。

平成24年の国税不服審判所の裁決では、「時間給」での支払いが「給与」と判断された事例があります。

雇用契約と同様の指揮監督下にある場合

この裁決では、

①ホステスの採用に際し、店側が給与体系・勤務時間・店舗規則などの条件が記載された「給料システム」という書面に基づき説明していること

②採用後はホステスの出勤日・入退店時刻を指示して出勤シフトを組み、店側が出退勤を管理していたこと

③ホステスに対する支払いは主として勤務時間や遅刻の有無を勘案して算出されていたこと

等から、ホステスは、雇用契約と同様に店の指揮命令に服していた実態があるとして、労務の対価(給与所得)であると認定しました。


会社員をしながら週一出勤のホステスさん

ここで問題となるのが、会社員をしながら週一勤務をしているホステスさんへの支払いです。

先程の「報酬」としてのホステス報酬の源泉徴収の算式は次のとおりです。

(支払金額-5,000円×計算期間の日数)×10.21%

この算式における「計算期間の日数」は、「営業日数」や「出勤日数」ではなく、ホステス報酬の支払金額の計算の基礎となった期間の日数とされていますので、週払いでは35,000円、月払いでは155,000円(31日)を超えなければ税額は算出されません。

したがって、週一程度の勤務ならば源泉徴収を行う必要がないことが考えられるわけです。

これが「給与」となると話が異なります。

ホステスさんが会社に勤務されているのであれば、主たる職場ではない店からの支払いは、高率の「乙欄」での源泉徴収が求められます。

どちらとも言えない事例も考えられるだけに判断が難しいところです。

2015年03月18日

マイナンバー普及のアメとムチ

マイナンバーと支払調書

マイナンバーの制度は、民から官に向かって提出される支払調書や申告書・申請書などに個人番号を記すことを予定するものです。

その中で想定される最多のものは預金口座に係る支払調書です。

日本銀行の統計による2012年度末の個人預金口座数は、郵貯・信組・農協を除き、国内銀行7.8億、信用金庫1.3億です。

証券会社の個人顧客口座数は、証券業協会統計によると、2000万です。


利子に係る支払調書の現行法規

利子についての支払調書は、所得税法では例外なく提出するものとされていますが、租税特別措置法で、利子の受領者が個人である場合には支払調書提出の規定の不適用を定めています。

これは、利子所得の課税が源泉徴収のみで完結する源泉分離課税となっていることによるものです。

法人については、不適用対象外ですので、金融機関からの支払調書の提出はなされています。

なお、施行規則では、非課税利子所得に係るもの、一人当たり年3万円以下、一口座当たり年5000円以下、1年超では1万円以下のものを少額不追求の趣旨で提出不要としています。

マイナンバーと預金口座

かつて、預金口座に個人番号を付す法律が成立したことがありますが、施行前に廃止されました。

グリーンカード制度のことです。

今次のマイナンバー制度も原則としてはグリーンカード制度と同じ趣旨を有してはいますが、実際には、その口座数の多さからして、全ての預金口座にマイナンバーを付すのは無理なことです。


インセンティブとマイナンバー

今後は、新規の預金口座開設や、新規の公社債等の取引では、マイナンバーの提供が条件となることはありえます。

特に、株式等の譲渡損失と配当との損益通算の現行制度の延長として、平成28年から、特定公社債等の譲渡損益と利子がこれに含められることになっているところ、マイナンバーの導入により、損益通算の対象がもっと幅広くなるとともに、他方で「マイナンバーの付されたものに限定する」ということに法改正されていくのではないかと思われます。

2015年03月17日

マイナンバーがはじまる

マイナンバー制の期待するもの

マイナンバーの制度により、行政機関、地方公共団体その他の行政事務処理機関の有する個人情報が、名前による管理から、番号による管理に変わるので、名寄せが簡便になり、行政機関、地方公共団体等の間における個人情報の照会・提供がスムーズになり、行政機関等の間の業務連携が密に、正確になると、期待されています。


マイナンバー制の予定していないもの

マイナンバー法には、「個人番号利用事務」、「個人番号利用事務実施者」と定義された言葉がありますが、これは、行政機関等の公的機関のことであり、マイナンバー制度は、行政事務処理機関が利用するための制度であることを明示しています。

マイナンバー法には、「個人番号関係事務」、「個人番号関係事務実施者」と定義された言葉がありますが、これは、民間の個人・組織を含むものとして規定されており、「関係事務」とは公に対してマイナンバーを含む情報を伝えることがその内容となっています。

民間でのマイナンバー利用は予定されておらず、逆に、民間での、マイナンバーの一般的な収集・保管は禁じられています。


個人番号関係事務実施者の責務

法律の要請により、個人からマイナンバーの情報提供を受けるときには、成りすまし防止のため、写真付身分証明書等で本人確認することを要し、その後、それを目的外に利用することは禁止されており、また、禁止されているマイナンバーの収集・保管、特定個人情報ファイルの作成に該当しないように注意しておくことも必要になります。

個人情報を5000件以上保有する企業が個人情報保護法の規制対象でしたが、マイナンバー法では、件数制限なく、1件でも他人のマイナンバーの情報提供を受けたら保護規制の対象になります。

マイナンバーを扱う上での知恵

民間事業者も民間個人も、マイナンバーの取扱いや情報提供は強制されておらず、協力の要請をされているだけです。

マイナンバーの情報漏洩を避け、公への提供以外に提供忌避を図るには、極力、印刷物へのマイナンバーの印刷は避けるべきでしょう。たとえば、本人に交付する源泉徴収票にはマイナンバーを印刷せず、本人が自分で手書きで記載してもらうようにするのがベターかもしれません。

2015年03月16日

給与計算の年間行事

社会保険 労働保険 給与計算 労基法等の届け出や事務作業

総務・人事管理者には年間を通して行わなければならない届け出や事務があります。

手続きだけでなく保険料率の改定や税率の改定、申請期限なども考えて適正な事務処理を行うためには予定表等で管理しておくとよいでしょう。

社会保険、給与担当者の年間スケジュール

( )内は期限 役所休日の場合は翌日期限

1月 ・労働保険料第3期納付 (1/31)

   ・平成27年分扶養控除等(異動)申告書、給与支払い報告書を市区町村役場へ提出 (1/31)

   ・源泉徴収票、報酬等支払調書を税務署へ提出 (1/31)

2月 ・新年度の計画を立案(給与改定等)

3月 ・健康、介護保険料率改定(料率は各都道府県、健保組合で異なる)

4月 ・健康、介護保険料率改定額徴収

6月 ・夏季賞与を支給する場合は準備  

   ・住民税、特別徴収新年度分開始

7月 ・健康保険・厚生年金保険月額算定基礎届を年金事務所又は健保組合に提出 (7/10)

   ・労働保険料・概算確定保険料申告書を労働局に提出納付 (7/10)

   ・高年齢者雇用状況報告書及び障害者雇用状況報告書を職安に提出(7/15)

9月 ・厚生年金保険料率変更

10月 ・労働保険料第2期納付 (10/31)

   ・算定基礎届厚年保険料変更額徴収

11月 ・年末調整事務準備 扶養控除申告書、保険料控除、配偶者特別控除申告書を回収

   ・冬季賞与を支給する場合は準備

12月 ・年末調整事務を行い各人に源泉徴収票を渡す

その他・社会保険月額変更届 固定給変動後4か月目に該当した場合提出

   ・賞与を支給した時、支払届を提出

   ・入社退社に伴う社保取得喪失手続

・社会保険料毎月末納付

・給与の源泉所得税毎月10日納付

・時間外労働協定届 原則年1回労働基準監督署に提出



2015年03月13日

マイカー通勤者の通勤手当の非課税限度額改定

円安と消費税アップで改定

給与計算の非課税項目の通勤手当ののうち、マイカー通勤に対する通勤手当の非課税限度額が引き上げられました。

限度額引き上げは平成26年3月31日以前に支払われた通勤手当や、3月までに支払われるべき手当が4月に入って支払われたものは対象になりません。

4月に遡ったのは消費税が上がった事や円安の影響があったためとみられます。


年末調整での精算は

自動車や自転車等の交通用具を使用し、通勤している人に対して

①今までは改正前の非課税額を適用して源泉徴収していましたが、改正後の非課税額で新たに非課税となった金額を計算します。

②源泉徴収簿の年末調整欄余白に「非課税となる通勤手当○○円」と表示して新たに非限度額課税となった部分の金額を記入します。

③源泉徴収簿の年調欄の給与・手当の欄には総支給金額から新たに非課税となった部分の金額を差し引いた後の総支給額を記入します。

このようにして改正後の非課税になった部分の金額を本年の給与総額から差し引いた後の総額を基に年末調整を行います。

自動車や自転車等の通勤者の非課税限度額

(片道の通勤距離    改正後の金額)

ア、55㎞以上      31,600円

イ、45㎞以上55㎞未満 28,000円

ウ、35㎞以上45㎞未満 24,400円

エ、25㎞以上35㎞未満 18,700円

オ、15㎞以上25㎞未満 12,900円

カ、10㎞以上15㎞未満 7,100円

キ、 2㎞以上10㎞未満 4,200円

ク、 2㎞未満      全額課税

交通機関を利用している人に支給する通勤手当の1か月当たりの合理的な運賃等の額の限度額100,000円に変更はありません。



 

2015年03月12日

完全子会社からの資金調達方法

事業承継等様々な観点から持株会社が作られることがあります。この場合、事業持株会社とするか、それとも純粋持株会社とするかの選択があります。

組織形態として、事業持株会社を作った後に、親会社自身が多額の資金を必要とする状況下におかれることがあります。

その場合、完全子会社からどのような手法で資金を調達できるのか課税関係を含めて整理をしてみたいと思います。


現金配当方式

完全子会社(以下、子会社)からの配当は、親会社にとっては全額益金不算入の適用対象となります。

なお、中途年度で子会社となった場合には一定の要件を満たさない限り、その年度での全額益金不算入の適用はありません。

また、子会社が配当金支払いの際には、20.42%の源泉徴収をしなければなりませんが、親会社の方では、全額所得税額控除ができます(中途年度を除く)。


自己株式の取得方式

子会社が親会社から自己の株式を取得した場合、親会社の方では、その対価のうち資本金等の額を超える部分はみなし配当となり、全額益金不算入になります。

また、この場合、親会社の方では子会社株式の売却となりますが、当該株式について有価証券の譲渡損益は認識されません。

一方、子会社の方では、みなし配当については源泉徴収しなければなりませんが、親会社の方で全額所得税額控除ができます。

この方式は、手続き的に煩雑で株価の算定も慎重にならざるを得ません。


寄附金方式

子会社からの寄附金については、親会社では全額益金不算入となり、寄附をした子会社では全額損金不算入となります。

なお、子会社からの寄附に対して親会社の当該子会社株式の帳簿価額を修正しなければなりません。

寄附金に関しては、煩わしい源泉徴収の手続きはありませんが、場合によっては配当とみなされるリスクがあります。


現物分配方式

子会社の資産を親会社に現物で分配します。

親会社では子会社の当該資産を子会社の簿価で受け入れ、その簿価については全額益金不算入となります。

一方、子会社の方では、当該資産を時価で譲渡したものとはみなされず譲渡損益は認識されません。

また、源泉所得税もありません。

2015年03月11日

相 続 と 戸 籍

戸籍とは
戸籍は、日本国民の身分関係を登録し、これを公証する公文書です。

そのため、日本人である限りその居住地が国内外のいずれの場合であっても、原則、すべての者について記載されます。

これは、旧法戸籍(明治5年~昭和23年1月1日前)であっても同様でした。

戸籍は、本籍と戸籍の筆頭者によって特定されるものですから、本籍は戸籍の在り場所を示す役割をしています。

また、本籍は日本国内(市町村の区域内)であれば、どこに定めてもよいことになっています。


戸籍の編製基準と編製原因

現行戸籍の編製基準は、原則、一つの夫婦とこれと氏を同じくする子という夫婦親子の単位で編製することになっています。

なお、旧法戸籍では、家を単位に編製され、戸主を中心にして、その直系・傍系の親族を一つの戸籍に記載していました。

初歩的なことですが、戸籍をみていく上で最も重要な点は、出生事項は「戸籍の編製原因」ではない、つまり、出生では新たに戸籍は作られない、ということです。

戸籍は、戸籍の改製や他の市町村からの転籍があった場合には、現行戸籍も旧法戸籍も戸籍の編製原因となり、新たに戸籍が編製されました。

しかし、両者では、その編製原因が大きく異なります。

現行戸籍では、婚姻の届出、親子と同籍の子が未婚の子や養子を有したとき、離婚、縁組等の一定の場合です。

他方、旧法戸籍では、家督相続、分家、廃家等が編製原因でした。


出生から死亡まで戸籍の連続

相続の実務にあっては、法定相続人を確定しなければ、遺産分割はもとより、正しい相続税額の計算もできず、さらに、公正証書遺言がなければ不動産登記もできません。

この法定相続人を証明してくれるものが公文書である戸籍です。

それでは、なぜ出生から死亡までの連続した戸籍を取り寄せなければならないのでしょうか。

それは、先ほどの戸籍編製原因で、新戸籍の編製により除籍者は移記されないからです(筆頭者除く)。

例えば、高齢の方が亡くなられた場合、この方に子がいなければ、その相続人はこの方の兄弟姉妹、あるいはその子(甥、姪)です。この場合、この方の出生まで戸籍を遡らなければ判明しません。

戸籍の見方としては、戸籍編製原因を読み取ることです。
 

2015年03月10日

マイナンバーの安易なコピーは禁物

マイナンバー制の利用範囲

平成28年分からの源泉徴収票にはマイナンバーの記載欄が設けられることになりました。

マイナンバーの正式名称は、「社会保障・税番号」で、法律上は「行政手続における特定の個人を識別するための番号」となっています。

名称からすると、利用範囲は社会保障・税に限定されているようにみえますが、法律ではもっと範囲が広く、「社会保障制度、税制、災害対策その他の行政分野」となっているので、行政全般において利用することが可能です。


マイナンバーの通知と保有形式

マイナンバーは平成27年10月以降に各個人に自治体から通知される予定です。

通知は紙製のカードで行われる予定で、券面に氏名、住所、生年月日、性別、マイナンバーが記載されます。

その後、希望者には、住基カードのような顔写真入りのICチップ付き「個人番号カード」が交付されます。

マイナンバーは、「個人番号カード」の表の面には記載されず、裏面に記載されます。


なぜ、裏面記載なのか

「個人番号カード」が身分証明書としてコピーや読み取りをされることを前提として、マイナンバーは裏面に記載されます。

裏面のマイナンバーをコピーすることは、たとえ本人の同意があっても、法律上の禁止事項になっています。

個人番号をその内容に含む個人情報を「特定個人情報」といい、これを収集・保管・提供することは原則禁止だからです。


民間でのマイナンバー取扱いの概容

マイナンバー情報の提供を求め得るのは、特別に法律が認めた場合に限られます。

その場合でも、個人本人には必ずしも提供に応ずる法的義務があると明記されていないので、無理強いすることはできません。

社保書類記載のために提供を受けたマイナンバーを源泉徴収票のために利用することは違法と解されます。

再度、本人からの提供を要します。

提供によるマイナンバー記載の書類も保存期間を超えて保有し続けることも禁止で、書類やデータの廃棄・削除・破壊も復元不可能を証明するような措置が必要です。

法は、情報漏洩・乱用に神経質で、違法行為には他の法律に比して2~3倍の重い罰則を用意しています。

2015年03月09日

相続の課税方式と債務の分割

遺産課税と遺産取得課税

相続の課税方式には、遺産課税と遺産取得課税があります。前者は遺産そのものに課税する方式であり、後者は遺産を取得した者に課税する方式で、現行の相続税は、法定相続分を併用した遺産取得者課税です。

例えば、被相続人の財産1億円、債務1億円で、相続人が長男と次男の2人の場合、遺産課税では、財産1億円-債務1億円、結果、純財産はゼロとなり相続税の課税はありません。

一方、遺産取得者課税である現行の相続税では、被相続人の純財産がゼロだからといって必ずしも相続税がゼロということにはなりません。

債務の承継状況によります。

債務の分割(債務の引受)の是非

現行の相続税では、各相続人が取得した純資産価額(課税価格)をベースに相続税額を計算します。

先の例ですが、長男が1億円の債務のみを全額承継した場合、長男の取得した財産はマイナス1億円の財産、相続税ではマイナスの取得財産がありませんので、債務額1億円は切り捨てられ、長男の純資産価額はゼロとなります。

一方、この切り捨てられた債務は、次男の課税価格から控除できませんので、次男が相続した1億円が課税価格となり、相続税の課税が生じます。

この債務の分割ですが、民法では、遺産分割の対象にならず、相続人の法定相続分に応じて当然に分割して承継されると解されています。

先の例では、債務の承継は、長男5千万円、次男5千万円となります。

一方、現行の相続税では、相続人がそれぞれ実際に負担する債務の額について債務控除を認めています。

つまり、債務の分割を前提した申告を容認しています。

先の例では、次男1億円とすることも可で、債務の承継は自由です。

もちろん、債務の分割は当事者間では有効ですが債権者の同意がなければその効力はありません。


債務の分割と贈与
相続債務について、民法のように解すると、長男の法定相続分以上の債務引受は代償分割であり、代償に見合う財産を次男から取得していない以上、「その分は次男に対する贈与である」との主張もあります。

しかし、現行の相続税では、被相続人の積極財産と同様、債務についても分割を容認していますので、法定相続分を超える債務の承継があったとしても贈与税の課税が生じないものと思われます。

2015年03月06日

マイナンバーの事前準備

社会インフラとしてのマイナンバー

マイナンバー法が成立し(平成25年5月31日公布)、情報化社会のインフラが整備されることになりました。

マイナンバーは、個人と法人に付与されますが、個人については社会保障分野、税分野に利用範囲を限定して導入されます。

法人については、広く一般に公表されることになっているので、官民問わず様々な用途で活用される予定とされています。


今後の導入スケジュール

マイナンバーの導入スケジュールは、現在のところ、平成27年10月から個人番号・法人番号の通知、平成28年1月から順次、社会保障、税、災害対策分野で利用開始することが予定されています。

所得税の申告については平成28年分の申告書から、法人税の申告については平成28年1月以降に開始する事業年度に係る申告書から、法定調書については平成28年1月以降の金銭等の支払等に係るものから、申請書等については平成28年1月以降に提出すべきものからマイナンバーの記載が開始されることになります。


源泉徴収票はA6からA5へ

平成27年7月に所得税法や法人税法、相続税法などの施行規則の改正省令が公布され、法定調書にマイナンバーを記載するようにするための様式改正が行われました。

「給与所得の源泉徴収票」には情報がギッシリ詰め込まれるので、従来様式の手直しでは対応しきれなかったらしく、全面的に改め、現在の「A6判」を倍の「A5判」にした上で、本人及び扶養親族等のマイナンバーの記載欄を設けています。

その他の法定調書としては、公的年金の源泉徴収票、報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書、配当等の支払調書等があり、国外財産調書も同じくマイナンバーを記載するよう様式変更されています。


新しい制度に伴う細部の整備と解説
内閣官房のホームページではマイナンバー制度全般のFAQを掲載しています。

国税庁も最近、マイナンバー制度に関するサイトを開設しました。

準備の進行に応じて、今後、随時更新され、解説も細部に及ぶようになると思われます。


2015年03月05日

高齢化する経営者

平均年齢は60歳超え

中小零細企業において、経営者の高齢化や事業承継問題は今日的課題です。

東京商工リサーチが実施した「2014年全国社長の年齢調査」によると全国社長の平均年齢は60.6歳と高齢化が進んでいます。

社長の5人に1人は70歳以上との結果も出ています。

社長の年齢分布は70歳以上22.5%、60歳以上35%ですが30代以下は4%と若い経営者の創業や社長の交替が進んでないことがうかがえます。

年齢別 地域 企業業績

黒字企業は30代以下では80.4%で40代80%、60代が79.4%、50代79%となっていますが、70代以上になると78%以下となっており、一概には言えませんが年齢が業績に影響しているのかもしれません。

地域別では70歳以上の社長は東京が最も多く4社に1社であり、全国的に60代の構成比が全てで最も多くなっています。

また、最も平均年齢が高いのは岩手の62.4歳、最も低いのは沖縄、次に滋賀、大阪、広島、愛知の順と西日本で多くなっています。

商工リサーチでは「社長が高齢化するほど安定や成長を支えるビジネスモデルの構築が遅れ、従来の営業モデルからの脱却が難しく、業績低下につながっているのがうかがえる」と分析しています。

売上と利益を見ても増収増益の比率が高かったのは、社長が30代以下の企業38.2%であり、「減収減益」の比率は70歳以上26.8%が最も高く、次に60代26.1%となっています。

若い社長だから一概に業績が良いとは言えませんが、高齢者になると新しいことへの挑戦や意欲が少なくなることはありえます。

事業承継は大きな問題

2014年の中小企業白書では事業の将来に見通しが立たず、誰にも相談せず廃業するケースが多くなってきており、高齢化が進んでも「後継者難」を理由に継承がスムーズに行われていない現状が分かります。

特にオーナー企業では子や親類には後を継ぐ人がおらず、事業承継が難しい状況となっています。

白書では円滑な事業承継が可能であれば事業を続けていくケースも少なくないとみています。


2015年03月04日

職務発明の対価

改めて職務発明の対価が話題に

ノーベル物理学賞で関心を集めた職務発明ですが、現在の日本の特許法では社員が仕事で生み出した発明を特許にする権利は発明者に帰属することとなっています。

ただし、社内規定があれば企業は社員から権利を受け取ることができ、代わりに社員に相当な報酬を払うこととなっています。

受賞者の1人の方の青色発光ダイオードの職務発明についてその対価に対して訴訟があり、話題にもなりました。

地裁では200億円、最終的に高裁では8億円で和解となりました。

このころ同じような訴訟が相次いでいたため、産業界の要望で05年には改正特許法が施行されました。


合理的な対価の算定が求められる

この改正法は、構造は同じですが、企業が労使協議を経て内規で「合理的に算定した対価」であれば裁判では尊重するとしています。

相当な対価が社内規定で不合理である場合は裁判所が算出することとされています。

大企業では「合理的な対価算定ルール」を策定、煩雑な算定作業をしています。

と言うのも会社にとっては相当と思われる対価を払っていても社員からの訴訟リスクはあり得るからです。


特許は会社に帰属させるとする改正案

このようなリスクを減らすため、特許庁は特許の権利を会社帰属とする改正法案を来年の通常国会に提出する予定です。

特許は会社のものとする代わりに、報奨義務として適正な報酬を支払わなくてはならないこととし、訴訟を防ぎ、発明意欲も確保することをめざすとしています。

今の特許法は職務発明を発明者である社員から承継する事を予め社内規定に定めておき、発明の価値に見合った「相当の対価」を払うことで特許取得の権利承継ができることとしています。

中小企業においても特許出願は時として会社の生命線であり、ニッチな部分では多数の特許が取得されています。

特許を取るべき職務出願がされる可能性がある企業ではこの機会に「職務発明」について、社員ともめる事の無いよう改めて考えてみましょう。


2015年03月03日

みなし相続財産とならないもの

本来の相続財産とみなし相続財産

死亡した者に係る給与等で未支給のものは本来の相続財産として相続税が課され、被相続人の死亡後3年以内に支給額が確定した退職手当金等は、みなし相続財産として相続税が課されます。

なお、相続により取得するものについては所得税を課さないと法律は規定し、「相続税の課されるものについては、所得税の課税をしない」と二重課税の回避の趣旨が通達で明示されています。

また、別の通達では、相続税の課されない死亡した者に係る給与等、公的年金等及び退職手当等については、一時所得として所得税を課すとしています。

相続不課税で一時所得となるもの

被相続人の死亡後3年を超えて支給額が確定した退職手当金等は、みなし相続財産の規定外になるので、相続税課税対象外になるとともに、その支給を受けるものの直接の所得となり、一時所得に分類されて課税されます。

また、年金を受給していた者が死亡し、その死亡時点で未支給となっていた1~2か月分の年金が、請求によって配偶者等の指定した口座に振り込まれた場合、これも、受給した配偶者等の一時所得となります。

この未支給年金請求権については、遺族が自己の固有の権利として請求するものであることが、国民年金法・厚生年金法に明記されており、かつ、相続財産とみなすとの規定がないので、相続税の課税対象にはなりません。


歯科医師会の死亡共済金も

平成25年12月12日に、歯科医師会共済制度に基づく死亡共済金は相続財産ではなく、遺族の一時所得に該当するとの判決がありました。

この共済金の受給権は、死亡した会員が指定していた者(指定した者がいない場合は法定相続人)にあり、被相続人の財産としての本来の相続財産ではありません。

また、みなし相続財産にも該当しません。

ちなみに、この共済掛金の性質は、中途返戻金のないいわゆる掛け捨てであり、火災や重度の障害に対しても共済金が支払われることになっており、掛金の内、死亡共済金の原資として積み立てられる直接の個別対応関係がないので、一時所得の収入金額から控除する額はゼロとされています。

2015年03月02日

今も昔も印鑑は重要な存在

電子化が進んでも印鑑文化は変わりません

わが国では、取引のあらゆる場面で昔からの商慣習や法令により、(取引の証拠として)各種書類等に印鑑を押印することがあります。

世界的にみると取引において印鑑を用いる国は少なく、大多数が「署名(サイン)」を(取引の証拠として)使用しています。

しかし、我が国においては、グローバル化・電子化が進む現在においても印鑑を用いた取引は数多く存在しており、印鑑がもつ重要性は現代社会においても、昔と変わりません。


実印と認印の違いは

法律上、実印という用語は存在しません。

個人における実印は、その個人の住民票のある市区町村において登録した印影が刻まれている印鑑のことを指し、法人における実印は、その法人の本店所在地を管轄する法務局において届け出られた印影が刻まれている印鑑のことを指します。

押印する際は十分に気をつけて

保証契約や定期賃貸借契約などの一部の契約を除き、各種契約の締結は口頭で行うことができます。

しかし、世間一般的には、「契約書」という形で当該契約の証拠として「書面化」し、当該契約書には、署名または記名押印がなされます。

これらの署名または記名押印は契約に関する意思を表示したものであり、後日の紛争の際、契約当時、契約する意思があったことを証明する有力な証拠となります。

(1)民事訴訟法では、私文書の成立につき、本人(または代理人)の署名または押印があるものは、真意に基づいて成立したものと推定しております。

(2)最高裁判所の判例において、本人(または代理人)により署名または押印がされた事実があれば、その署名または押印自体が本人(または代理人)の意思に基づいてなされたものであると事実上推定されると判断されています。

上記の推定により、実印・認印の区別なく、その私文書は真正に成立したものとして推定されるため、これらを覆すのは、大変困難なケースが多いといわれています。
  
ご注意ください。


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