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2014年10月 アーカイブ

2014年10月31日

不動産の遺産分割が未了の場合

固定資産税・都市計画税は「相続人代表者指定届出」を提出

亡くなられた方が有していた不動産の所有権は、遺産分割協議が成立するまでの間は定まりません。

法務局の登記簿上は亡くなられた方の氏名のままで、相続の権利がある方全員が所有者という状態(共有)になります。

その期間の不動産に対する固定資産税・都市計画税の納税については、市役所に「相続人代表者指定届出」を提出することで、市役所との対応窓口となる相続人の代表者を定めることとなります。

遺産分割協議が成立し、相続登記が済めば、新たな所有者の方に納付書が送付されます。

未分割遺産の不動産所得(所得税)

未分割の不動産が賃貸物件の場合には、遺産分割協議が調うまでの間も、賃貸収益が生ずることとなります。

この間に生ずる賃貸収益については、その物件が共有状態であることから、共同相続人の法定相続分に応じて申告することになります。

なお、遺産分割協議が調い、分割が確定した場合であっても、その効果は未分割期間中の所得の帰属に影響を及ぼすものではありませんので、分割協議で確定した所有状況に基づく更正の請求等を行うことはできません。

消費税の「基準期間における課税売上高」

相続開始年の消費税についても、この法定相続分に応じたテナント収入・駐車場収入が課税売上高となります。

なお、遺産分割協議が調った後に、新たな所有者の方が、この共有期間を「基準期間における課税売上高」として納税義務を判定する場合でも、この法定相続分に応じた「基準期間における課税売上高」で判定を行います。


相続税の申告期限までに分割できない場合

この未分割の状態が、相続税の申告期限(亡くなられた日から10カ月以内)まで続いている場合でも、税務署は待ってはくれません。

この場合、各相続人の財産を法定相続分に応じて取得したものとして計算を行い申告することになりますが、共有状態のままでは、「小規模宅地等の課税価格の特例」の適用を受けることができません。

ただし、相続税の申告期限から3年以内に分割された場合には、特例の適用を受けることができる措置が設けられていますので、「申告期限後3年以内の分割見込書」を申告書に添付して提出することになります。

2014年10月30日

年金・物価下落でも給付抑制

制度維持のため、年金削減の方向性

厚労省は、公的年金の給付水準を物価動向にかかわらず毎年抑制する仕組みを来年度から導入する方針を発表しました。

現行のルールではデフレ下では年金を削減できない仕組みになっています。

最近は増税を背景に物価が上昇しているので現状でも年金額の抑制はされます。

しかし今後、物価上昇率が低い時に給付を抑制できない現行制度のままでは給付額を抑えられないので、年金制度維持のためには毎年の抑制が必要になると試算をしています。

マクロ経済スライド発動

年金制度の運営方法は賦課方式と積み立て方式があり、公的年金は賦課方式でその時々に必要な費用を現役世代が払った保険料で賄います。

多くの国が採用している方式ですが、高齢者が増え、現役が少ない人口構成では将来受け取る年金額が減るということになります。

積み立て方式は債券、株などに投資して増やす方式で企業年金等が採用していますが、経済の影響を受けやすく、運用がうまくいかないと積立額は減り、年金額も減ります。

年金額は物価の変動に合わせて毎年の給付を調整する物価スライドと、年金の増加を物価の伸びより抑えて給付を減額するマクロ経済スライドという方式があります。

2004年にマクロ経済スライドを導入したものの、今まではデフレ下で使えない状況であったため発動されていませんでした。

今回、物価上昇を受け2015年度からこの方式を発動し、そして毎年0.9%を削減する方向で検討をしています。


受給者にも負担を求める

公的年金の財政検証では約30年後の会社員の年金水準は現役世代の50%を割り込むこともあるといいます(現在は60%程度)。

現役世代の保険料は毎年労使で0.354%ずつ引き上げられています。

年金額を抑制し、受給者にも負担を求めるということになります。

世代間格差の原因は現在の受取額が想定よりも多くなったのでそのつけを現役が払うことになるというのです。

しかし、年金財政の健全化は長期にわたり行っていく必要があり、不信感から現役が消費より貯蓄に走ると経済は沈みがちになるという問題もはらんでいます。

2014年10月29日

所得拡大促進税制 よくある質問

所得拡大促進税制については、聞きなれない用語も多く、いろいろと疑問点が沸き上がっているようです。

いくつか疑問点、よくある質問についてまとめたいと思います。


新設法人等で基準事業年度がない場合

基準事業年度がない場合でも、所得拡大促進税制が活用できます。

この場合、基準雇用者給与等支給額は、事業を開始した事業年度の雇用者給与等支給額の70%に相当する金額とすると規定されています。


基準事業年度の雇用者給与等支給額がない場合(初めて従業員を雇った場合)

平成25年4月1日より前に事業を開始していて、基準事業年度の雇用者給与等支給額がない場合は、1円となります。


片方の年度しか一般被保険者に該当する月がない継続雇用者の扱い

継続雇用者に該当しますが、前事業年度・適用年度のどちらかしか一般被保険者に該当する月がない方については、適用年度のみ該当する月がある方は当該月の人数・給与等ともに計算に含めますが、前事業年度のみ該当する月がある方はその該当月の人数・給与等は計算に含めません。


継続雇用者がいない場合

継続雇用者に該当する者が0人の場合、継続雇用者の人数は前事業年度・適用年度ともに1人とします。

継続雇用者給与等支給額については前事業年度が0円、適用年度は1円となります。

そのため、平均給与等支給額に関する要件は満たすことになります。

基準事業年度(又は前事業年度)と適用年度で月数が異なる場合の雇用者給与等支給額の扱い(決算月を変更した場合)

基準事業年度の月数が適用年度の月数と異なる場合、当該基準事業年度の雇用者給与等支給額に当該適用年度の月数を乗じて、これを当該基準事業年度の月数で除して計算した金額を基準雇用者給与等支給額とします。

前事業年度と適用年度の月数が異なる場合も同様の方法で比較雇用者給与等支給額を計算します。

政府等から受けた助成金の扱いについて

「給与等に充てるため他の者から支払いを受けた金額」は給与等支給額から控除することと規定しているため、特定就職困難者雇用開発助成金、特定求職者雇用開発助成金など、政府等から支給される助成金の額は雇用者給与等支給額から控除します。

出向元法人における出向者の扱いについて

「給与等に充てるため他の者(当該法人との間に連結完全支配関係がある他の連結法人を含む)から支払いを受けた金額」は給与等支給額から控除することになっています。

そのため、法人の使用人が他の法人に出向した場合において、その使用人に対する給与を出向元法人(出向者を出向させている法人)が支給する際、出向元法人が出向先法人(出向元法人から出向を受けている法人)から支払を受けた給与に相当する金額は、雇用者給与等支給額から控除します。

出向先法人における出向者の扱いについて

出向先法人が出向元法人へ、出向者に係る給与負担金の額を支出する場合において、当該出向先法人の賃金台帳に当該出向者を記載しているときには、当該給与負担金の額は、給与等支給額に含まれます。

従って、出向先法人の賃金台帳に記載が無い場合は、当該出向者への給与は出向先法人の雇用者給与等支給額には含まれません。

2014年10月28日

ポイント引当金と金品引換費用

ポイント引当金とは

近年の法人税の改正は「税率軽減・課税ベース拡大」の方向で進んでいますが、その際に話題に挙がるも
のに引当金があります。

税務では債務確定主義の見地から見積計上である引当金は徐々に整理されてきましたが、会計分野では、今どきの事情を反映した引当金も増えてきています。

大手携帯電話会社、家電販売店、百貨店等ではポイント引当金が問題となります。

これは、ポイント制度(商品購入・サービス利用の都度ポイントが付与され、次回以降の購入・利用の際にポイントを使用できる制度)を採用している企業に用いられ、NTTドコモのH25.3期連結決算では1,731億円、KDDIは916億円とインパクトが大きな数字を計上しています。


会計上は明確なルールはない

金融庁ではH20に「ポイント及びプリペイドカードに関する会計処理について」を公表しています。

この時点ではポイント発行について明確な会計基準はなく、発行企業が企業会計原則等を考慮しながら個別対応している状況で、売上値引処理か販管費処理とするかなどスタンスの違いが見られました。

それでもポイント制度が定着し、過去の実績データも蓄積してきたため、「ポイント使用時」に費用処理するとともに、未使用ポイント残高に過去の実績(失効率)を加味して引当計上する流れが出来つつあったとのことでした。

現時点でも状況は変わりませんが、IFRS導入企業は「ポイント発生時」に費用認識するため、計上時期の変更による影響が大きいと言われています。


中小企業は「金品引換費用の未払計上」

中小企業の場合には、法人税基本通達にある「金品引換費用の未払計上」を用いることが考えられます。

これは

①金品引換券が販売価額等に応ずる点数が表示されており

②たとえ1枚の呈示でも引き換える制度

ならば、次の算式による金額を、商品の販売事業年度(ポイント発生時)に損金経理により未払計上できるというものです。


1枚または1点について交付する金銭の額×その事業年度に発行した枚数・点数

蓄積型ポイント制度による場合や、値引処理とされる場合には、確定債務と同視しがたいものとして適用できないケースもあるようですので、税務も考慮したキチンとした制度設計が必要です。

2014年10月27日

名義預金とは

対価のない名義変更と贈与

相続税の通達に、対価なしで不動産、株式等の名義の変更があったら、それは贈与行為と判断すると書かれています。

そして、この通達では預金の名義変更に触れていないので、「預金については名義変更をしても贈与税の課税対象にならない」との見解が流布しています。

しかし、名義預金に対しても贈与税課税されるというのが原則です。


名義預金とは何か、贈与の法要件

「子供名義の預金通帳をつくり、預金通帳や印鑑の管理、そして預金の引き出しや預け入れは親自身が行っている」などと言う時、一般にこの預金は名義預金、すなわち「子供の名前を使った親自身の預金」だと言うれることが多いかと思います。

民法上、贈与は契約なので、贈与者が贈与の意思を持っているだけでは契約は成立せず、受贈者による受贈の意思も必要で、従って、名義預金とは、贈与の契約が未成立状態で所有権変動のおきていない財産、と法律解説的説明が一般にされています。


教育資金贈与としての預金

去年の4月からはじまった1500万円非課税の教育資金一括贈与のために、子供名義の預金を子供自身の了解なしに設定しても、多分、通帳も印鑑管理も出し入れも親自身がするはずなのに、名義預金とは言われません。

親は未成年の子の親権者で、法定代理人ですから、親から子への贈与において、親は贈与者であるとともに、受贈者である子の代理人として贈与契約の当事者になるので、贈与契約は有効に成立します。

祖父母が孫に預金の贈与をして、孫の親にその預金を委ねる場合も有効です。

未成年者の子の預金は名義預金にならない

親権者たる親が贈与の意思を持って子のために預金をする行為は有効な贈与契約による行為なので、ここから名義預金が生ずることは原理的にあり得ません。

名義預金となるケース

契約当事者になれる20歳以上の子に対する預金の無断の贈与は有効な贈与になりません。

20歳未満のときに設定した預金でも20歳以後に預け入れた部分も同じです。

配偶者に対するものも同じです。これらの場合には、名義預金になり得ます。

2014年10月24日

保険料は全額非課税か?

保険料と代理店手数料

ライフネット生命が保険料と保険代理店の代理店手数料を公表し、保険業界に波紋が広がっております。

従来、保険業界では保険料と代理店手数料を公表することはなく、全てを保険料としてきました。

しかし、中立で適切な保険を勧めていることを売りにしてきた乗合代理店(複数の保険会社の代理店をしている比較的大手の代理店)が、手数料の多寡により勧める保険を判断しているのではないかという疑念は以前よりありました。

ライフネット生命は代理店手数料が他社より安いため、乗合代理店が積極的に取り扱わない現状に業を煮やしての公表でした。

保険料は全額非課税か

保険料は万が一の時に「保険金」を支払うという役務の提供を受ける為の金銭の支払ですから、基本的に課税取引となりますが、限定列挙で非課税とすると規定されているため、非課税取引とされております。

しかし保険料の中身は保険金の支払い等に充てる保険料と、保険代理店の代理店手数料とで構成されております。

保険代理店の代理店手数料は課税取引ですが、現状の多くの保険会社は、保険料と代理店手数料を区分することなく、一括して保険料として契約しているため、課税取引を区分して特定できないということで、支払保険料の全てが非課税取引として処理されております。


従来からの問題と今後の問題

そこで従来から問題となっていたのは、代理店手数料を含む保険料は、全額非課税取引とされ、課税仕入として預かり消費税から控除できないにもかかわらず、保険代理店の売上は、課税売上として消費税を課税している現状は、消費税の2重取りではないのかという指摘でした。

今後、業界として代理店手数料を明らかにするようになると、従来控除できなかった、代理店手数料に係る消費税は、控除できるようになってくると思いますが、 一方、代理店手数料の金額が公表されることにより、同じ保険でも代理店により保険料が異なる等、保険業界の価格競争に混乱が生じるなど、新たな問題が出てくるかもしれません。

2014年10月23日

マンション管理組合の駐車場収入

マンション敷地内駐車場の稼働率が悪い

都市部の分譲マンション内に設置した入居者用駐車場の稼働率が低くなっているという話をよく耳にします。

元々お住まいであった方が高齢になられてクルマを手放した、ないしは、新しく入居した方がクルマをお持ちでなかった等々の理由があるようですが、ここ数年来、駐車場を数台分余しているというところも多くなっています。

マンション管理組合の駐車場収入と課税

H24国土交通省は、国税庁に対して「マンション管理組合が区分所有者以外の者へマンション駐車場の使用を認めた場合の収益事業の判定」という文書照会を行っています。

マンション管理組合は「組合」という名前は付いていますが、共有を前提とした民法の任意組合ではありません。

管理組合の法人化も認められますが、基本的には、税務上「人格のない社団」として取り扱われます。

この「人格のない社団」は、収益事業のみに法人税が課され、この「収益事業」の典型例が「駐車場業」です。

区分所有者に対する貸付けは、共済的事業の付随行為とされ、非収益事業として課税されませんが、空き駐車場の有効利用の問い合わせが増えたことから、区分所有者以外の方への貸付けの取扱いをハッキリしてほしいというのが照会の趣旨のようです。


マンション駐車場の外部使用3パターン

この照会により、次のような取扱いが明らかとなっています。

【前提】

①管理規約で非区分所有者に対する駐車場の外部利用を認めている

②その駐車場収益はマンション管理費・修繕積立金に充当し、区分所有者に分配しない。


【取扱い】

(ケース1)区分所有者と非区分所有者を問わず募集を行い、条件も差異がない(区分所有者を優先しない)

⇒全部収益事業

(ケース2)区分所有者の使用希望がない場合のみ募集し、区分所有者の使用希望があれば早期に明け渡す(区分所有者優先)

⇒外部利用のみ収益事業(要区分経理)

(ケース3)原則として区分所有者のみに賃貸し、募集は行わない。

非区分所有者からの申出により、ごく短期間の場合のみ外部への貸出しを認める

⇒全部非収益事業

恒常的となった「空き駐車場」を埋めるために、募集をかけて外部貸付けを行う場合には、課税の対象となります。

2014年10月22日

所得拡大促進税制 平均給与等支給額

所得拡大促進税制を平成26年4月1日以降に終了する事業年度について適用する場合に、給与等支給増加率が5%から、2%に緩和されましたが、ほかにも改正された点があります。

主な改正内容は、増加率の緩和も含めて、以下の3点です。

① 適用年度を平成30年3月31日まで2年延長

② 給与等支給増加率「5%」という要件を緩和

(現行)雇用者給与等支給増加額の基準雇用者給与等支給額に対する割合が5%以上であること

(改正)増加率を段階的に変更

・平成27年4月1日より前に開始する事業年度については2%      

・同日から平成28年3月31日までの間に開始する事業年度については3%

・平成28年4月1日から平成30年3月31日までの間に開始する事業年度については5%以上 

③ 平均給与等支給額の比較方法を変更

現行制度では、日々雇い入れられる者のみを除いて計算していたところを、「継続雇用者に対する給与等の支給額」と、それに係る支給者数に限定して比較することに改正

今回は、この「平均給与等支給額」について、詳しく見ていきたいと思います。

平均給与等支給額に係る要件については、その計算の基礎となる「国内雇用者に対する給与等支給額」を、「継続雇用者に対する給与等」に見直した上で、適用年度の平均給与等支給額が前事業年度を「超えること」とされました。(改正前:「以上」であること)

これは、適用年度およびその前事業年度において平均給与等支給額を比較する場合、前事業年度に給与水準の高い退職者が多く、適用年度に給与水準の低い新入社員が多い場合等に、実体上は給与水準の改善が行われていたとしても、平均給与等支給額の比較の上で反映できないため、より適切な比較ができるように改正されたものです。

「継続雇用者に対する給与等」とは、適用年度及びその前事業年度において給与等の支給を受けた国内雇用者に対する給与等のうち、雇用保険法の一般被保険者に対する給与等支給額とされ、高年齢者等の雇用の安定等に関する法律の継続雇用制度に基づき雇用される者に対する給与等は除かれます。

したがって、適用年度に新規で採用した者や、前事業年度で退職した者に対して支払った給与等については、平均給与等支給額を比較の上で計算には入れないことになります。

継続雇用者に対する給与等として、計算の対象になると考えられるのは次の者です。

・前年度、適用年度を通して一般被保険者

・前年度に入社し、適用年度も一般被保険者

・前年度以前に入社し、適用年度に退職した一般被保険者

また、一般被保険者に該当しない者でも、週20時間以上勤務し、雇用保険の加入要件を満たしている場合は対象とされます。

2014年10月21日

機械販売と据付工事の区分計上

EPC契約・フルターンキー契約とは

最近、太陽光発電のビジネスが活発に動いています。

その中でも巨大プロジェクトであるメガソーラー建設は、EPC契約で締結されることが多いそうです。

EPCは各々Engineering(設計)、Procurement(調達)、Construction(建設)の頭文字で、古くは「フルターンキー契約」とも称されていたものでした。

主に大型機械の販売やプラント輸出の場面で用いられ、単なる機械装置を販売するだけではなく、据付工事まで一貫して行い、スイッチ・オンすれば直ちに稼働できる状態で相手方に引き渡す内容の契約(設備一括請負契約)です。

この場合、

①機械装置等本体の販売をその据付工事と一体不可分として処理するか

②機械装置の販売と据付工事を別個のものとしてみるか

で収益計上時期が変わってくることになります。


通達では機械販売と据付工事を区分計上可

法人税基本通達では、たとえ一つの契約であっても、

①その据付工事が相当規模であること

②その据付工事に係る部分の対価の額が契約・見積書で合理的に区分できる

ときは、機械装置を棚卸資産の収益計上基準である引渡基準(出荷基準~検収基準~使用収益基準)で計上し、据付工事を完成基準で計上することができるとされています(法人がこの取扱いによらない場合には、全体を棚卸資産として販売基準で収益の認識をすることになります)。

また、工事進行基準の適用がある場合には、全体の収益を区分するという考え方には馴染まないため、適用除外となっています。


区分しても計上時期は大して変わらない

この区分経理ができれば、期末のタイミングで、機械本体は出荷基準で当期計上し、据付工事は完成基準で翌期計上するという場面もあるように思えます。

しかし、大型機械やプラントの場合、棚卸資産の引渡基準で考えても、試運転後に検収ということが多いので、結局、区分をしようが、しまいが「据付工事」後の検収のタイミングで収益認識せざるを得ない形にないように思えます。

太陽光発電設備の入札条件等をみると、実際にパネルとパワーコンディショナーを設置し、所定の電力を発電できたことをもって検収とする例も散見されます。

2014年10月20日

理由附記の程度

平成25年からの処分通知書

平成25年1月から施行されている改正税法により、全ての更正処分等に理由附記が必要になりました。

従来は青色申告に係るものへの更正処分・青色取消処分の時のみ義務付けられていたものです。

理由附記を欠く処分は無効で、理由附記が不十分な処分は取消対象となります。

理由附記不十分とされると、更正された各事項の是非の検討に入ることなく、更正処分はなかったことになります。

特に、相続税や贈与税の更正決定等の処分では理由附記の必要性の有無を検討する風土が課税庁に無かったので、処分の通知書の理由欄が不備になる可能性大です。

しっかりチェックするべきです。


理由附記の趣旨目的を押さえる

法の適用について課税庁と納税者との間で見解が対立する場合等においては、法の適用判断の過程が省略されること無く記載されることを要し、また、調査の過程でのやりとりにより処分の理由についてはお互いに了知・推知し得るところだったとしても、それが文面において明らかにされていなければなりません。

理由附記が要請されるのは、処分庁の判断の慎重、合理性を担保してその恣意を抑制するとともに、更正の理由を相手方に知らせて不服申立ての便宜を与えるのが趣旨目的だからです。


要求される理由附記の程度を押さえる

納税義務の成立という法律効果を生ずる法律要件の明示と、課税関係にかかわる事実の摘示と、その事実が課税要件とどのように係わることになるのかの判断と認定を示すこと、これが理由附記の骨子です。

また、理由附記が義務化されていなかった期間の従来型更正通知書等の表組みでの記載内容で判断できる程度のものを文章化するだけでは法改正の趣旨に悖ります。

表組み記載の数字となる判断と認定の過程が文章上で逐一容易に検証できるようになっていなければなりません。


処分庁の甚だしい思い違い

最高裁の判例の我田引水的理解で、「附記理由では結論のみを示せば足りる」と係争中の処分庁が主張しているのをよく見かけます。

課税処分の大量反復性から処分庁の負担は軽減されるべきで、「法適用の解釈や判断認定の逐一明文化することまでは要求されていない」というのも本音の主張です。

でも、それが通用する時代は終っています。

2014年10月17日

入管法の改正と外国人採用

入管法改正で外国人採用にも変化

外国人の方の在留や雇用に関する法律である「出入国管理及び難民認定法」、通称「入管法」について、一部を改正する法律が6月に成立しました。

「日本経済の発展に資する外国人の受入れ促進等を目的」とした今回の改正では、外国人を雇用する企業やこれから採用を検討しようとする企業の皆様にとっても関わりの深い内容が多く、一部を除き来年4月にも施行される予定です。本日は、その代表的な改正部分を二つご紹介いたします。

外国人の経営管理活動が日系企業でも可能

外国人の方が日本で適法に滞在するためには、滞在の目的別に付与される「在留資格」をどれか一つ持っていなければなりません。

この資格の中に、企業の経営や管理を目的とした、いわば社長向けの「投資・経営」と呼ばれる在留資格が存在するのですが、現行法では外資系企業における活動のみに限定されています。

また、この在留資格では一部の場合を除き、外国人の方が事業を経営するためには、経営のみでなくその事業に対し投資することも必要とされていました。

しかし、今後はこうした企業の経営活動に従事する外国人の受入れを促進するため、日系企業での経営管理活動も許容する他、投資が必ずしも必要ではなくなり、資格の名称も「投資・経営」から「経営・管理」に変更することとなりました。

理系在留資格と文系在留資格の一本化

企業で雇用されている外国人が持つ在留資格は、ほとんどの場合で「技術」または「人文知識・国際業務」のどちらかに分類されています。

前者は理系業務、後者は文系業務を行う場合に付与されているのですが、改正後はこの二つを一本化し、在留資格「技術・人文知識・国際業務」が新設されることになりました。

これまで外国人採用を担当されていた人事の方の中には、業務内容が理系か文系か、どちらの在留資格で申請すべきか悩まれた経験を持つ方もいらっしゃるかもしれません。

今回の改正により、こうした理系、文系といった知識の単純分割が解消されますので、採用時だけでなく人事異動の際にもより柔軟な対応が期待できそうです。

2014年10月16日

認知症・障害者の方が相続人の場合

相続人に認知症や障害者の方がいる場合

遺産分割協議には相続人全員の合意が必要です。

これは相続人の中に認知症の方や障害者の方がいる場合でも同様です。

ただし、その方が意思能力(正しい判断能力)を有していないときは、遺産分割協議は有効に成立しません。

このような場合、家庭裁判所に「後見開始の審判」の手続きをとり、成年後見人を選任することとなります。

成年後見人は意思能力を欠いた相続人の代理人となり、分割協議に出席し、必要な署名等を行うことになります

(一般に、後見人は、その相続人の不利益にならないように、法定相続分程度の遺産を取得できるよう協議を進めるようです)。


所得税・相続税の障害者控除の適用

成年後見制度における成年被後見人(家庭裁判所において「精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く常況にある者」として後見開始の審判を受けた者)については、H24.8の名古屋国税局文書照会で所得税法上、障害者控除の適用となる「特別障害者」に該当することとされています。

また、相続税法上の障害者控除の適用となる「特別障害者」については、所得税法上の障害者控除の対象となる「特別障害者」に該当する者と規定しているため、介護認定が低く、障害者手帳の交付を受けていない方でも、「特別障害者」として所得税・相続税の障害者控除の適用を受けることができます(H26.3東京国税局、文書回答事例)。


「納税管理人の届出」を後見人宛てに

成年後見制度は「自己の財産の管理・処分」を「することができない(後見相当)」「常に援助が必要である(保佐相当)」「援助が必要である(補助相当)」という判断能力の程度により3種類に分かれています。

財産管理委任契約(見守り契約)を締結する場合には、「納税管理人の届出書」を納税地(本人)の所轄税務署に提出し、申告書等の送付先・連絡先を成年後見人宛にすることで、税金関係も後見人に対応してもらうことができます。

また、成年被後見人・被保佐人は会社法により取締役になることができません。

取締役の方に成年後見人が付いた場合には、直ちに役員変更を行わなければなりません。

2014年10月15日

国外財産調書の提出

平成24年度税制改正により創設された「国外財産調書」について、制度創設初年分である平成25年分の提出状況が国税庁より公表されています。

総提出件数5,539件、総財産額2兆5,142億円で、財産の種類別総額は有価証券が1兆5,603億円で、全体の62.1%を占めています。

国外財産調書制度とは、適正な課税・徴収の確保を図る観点から、国外財産を保有する方が、その保有する国外財産について申告をする仕組みです。

提出対象者は、居住者(非永住者を除く)で、その年の12月31日において、その価額の合計額が5,000万円を超える国外財産を有する方です。

その財産の種類、数量及び価額その他必要な事項を記載した国外財産調書を、その年の翌年の3月15日までに提出しなければならないこととなっています。

「国外財産」とは、「国外にある財産をいう」こととされています。

ここでいう「国外にある」かどうかの判定については、財産の種類ごとに行い、例えば次のように、その財産の所在、その財産の受入れをした営業所又は事業所の所在などによります。

・不動産又は動産 → その不動産又は動産の所在

・預金、貯金又は積金 → その預金、貯金又は積金の受入れをした営業所又は事業所の所在

・社債、株式等の有価証券等 → その社債若しくは株式の発行法人、その出資のされている法人又は外国預託証券に係る株式の発行法人の本店又は主たる事務所の所在

・金融商品取引業者等の営業所等に開設された口座に係る振替口座簿に記載等がされているものである場合におけるその有価証券等 → その口座が開設された金融商品取引業者等の営業所等の所在


国外財産の「価額」は、その年の12月31日における「時価」又は時価に準ずるものとして「見積価額」によります。

また、「邦貨換算」は、同日における「外国為替の売買相場」によります。

国外財産調書には、提出者の氏名、住所(又は居所)に加え、国外財産の種類、数量、価額、所在等を記載することとなっています。

国外財産調書を提出する方が、所得税法に規定する「財産及び債務の明細書」を提出する場合には、その財産及び債務の明細書には、国外財産調書に記載した国外財産に関する事項の記載は必要ありません。


「財産の所在の判定表」などの詳細が、国税庁よりFAQにまとめられていますので、該当しそうな方はご確認ください。

2014年10月14日

メール調査と通信の秘密

税務調査での「メール調査」

税務調査において、コンピューター内の各種データや電子メールを見せるように求められるケースが多くなっているようです。

どの会社でも、メールにはかなりの情報が詰まっており、メール調査を足がかりとして申告書面では伺い知れない会社の本音を垣間見ることができ、多くの場合で、否認の端緒や根拠を見つけることになっているようです。


「メール調査」を要求する根拠

税務署員の質問検査権として、事業に関する帳簿書類その他の物件の検査、提示、提出を求める権限があります。

電子メールはここでいう「書類」ではありません。

上記の「帳簿書類その他」の文言を拡大解釈して、対象に含めようとすることは、法律の正当な解釈とはいえません。

電子帳簿保存法を根拠として、帳簿書類を作成しない場合には、コンピューターの画面にて電磁的記録の状態の「帳簿書類」を調査担当者が確認し得る状態にして開示する必要がありますが、それだけで十分です。

電子帳簿保存法の適用を受けていて、電子メールで受注・発注・業務指示・業務報告を常態としている場合であっても、電子メール内のすべての情報の画面開示を要求することはできません。


憲法21条「通信の秘密」

明治憲法でも保護されていましたが、現憲法では一段と明確に、「通信の秘密」が保護されています。

国民の通信に対する公権力の監視、干渉からの自由は基本的人権の一つです。

この憲法の規定を承けて、刑法、郵便法、信書便法に信書開封・信書隠匿に対して、「秘密を侵す罪」として懲役刑と罰金刑が規定されています。

この自由権はプライバシーの保護のためのものです。

会社にしても、個々の従業員にしても、プライバシーもあれば秘密にしたいこともあるのが普通です。

通信の秘密の対象には、文書としての信書のほか、電話・電子メールなど全ての通信媒体によるものが含まれ、保護の対象は、通信内容だけでなく、通信日時、発信人・受信人の氏名・住所など、内容を察知させる可能性のある外形的事実にも及びます。

税務調査において、無断で、電子メールの内容を覗き見ることは、明確な「通信の秘密」の侵害です。

許されるのは、憲法35条の令状主義の要件を満たした犯罪捜査の時だけです。

2014年10月10日

酒類自販機の設置状況

H25末の自販機509万台・売上5.2兆円

日本自動販売機工業会によると、H25末の自販機普及台数は、509万4,000台、年間自販金額は5兆2,138億円に上るそうです。

この統計の「自販機」には、乗車券・入場券などの「券類販売機」、コインロッカー、両替機の「自動サービス機」が含まれていますが、やはり「自販機」といえば「飲料自販機」です。

「飲料自販機」の普及台数は259万台で全体の5割、売上は2兆2,251億円で全体の4割を占めています。

「飲料自販機」の普及台数は、昨年の記録的猛暑などにより若干増加したものの、コンビニエンスストアとの競合などにより、パーマシン(1台当りの売上)が減少したため、年間自販金額も微減しているとのことです(前年比▲0.2%)。

自販機設置の際に必要な許認可

清涼飲料を販売する自販機を設置する場合には特に許可は要りませんが、販売する商品によっては、許可が必要なものがあります。

カップ式自販機の場合には「食品衛生法に基づく喫茶店営業の許可」、牛乳自販機の場合には「食品衛生法に基づく乳類販売業の許可」、たばこ販売機の場合には「たばこ事業法によるたばこ販売人の許可」、酒類自販機の場合には「酒税法による酒類小売店免許」が必要となります。


酒類自販機はH8の18万台から2.3万台に

ところで、最近、お酒の自販機をめっきり見かけなくなりました。

国税庁HPによれば、H8.3に全国で18万5,829台あった酒類自販機は、H25.4.1現在で2万3,631台に激減しています。

これは、購入者の年齢確認ができる「改良型」の自販機導入が契機となっています。

H6の中央酒類審議会の報告、全国小売酒販組合中央会の自主決定を受けて、国税庁は、H7に「酒類自動販売機に係る取扱指針」を公表し、年齢確認ができる「改良型」の設置指導を始めました。

「改良型」機に切替えができなかった

この「改良型」は、各酒店が発行する「酒カード方式」や「運転免許証方式」「インターホン方式(対面確認方式)」があったようですが、どれも普及するに至らず、「改良型」に切替えられることなく、酒類自販機は姿を消していったということのようです。


2014年10月09日

粉飾決算で納付した法人税

粉飾決算で納付した税金は戻るのか?

今年も、個人学習塾大手の「リソー教育」、ゲームソフト制作会社「インデックス」と粉飾決算の報道が絶えません。

このようなニュースを耳にするたびに、「粉飾決算で過大に計上した利益に対する法人税は戻ってくるのかしら?」と思わないでしょうか。

粉飾決算は会社法上も適法でなく、企業会計の基準にも反するものです。

いくら税金を納め過ぎの状態でも、「更正の請求をしても戻ってくるのかな」と思うのは分からなくもありません。

税務署が「減額更正をしないことができる」

結論を申し上げますと、税金(法人税)は戻ってきます。

ただし、税法もさすがに不正のものに対しては、簡単に税金を戻してくれません。

納税額が過大である場合には、税務署長は税額を更正して、その過納額を還付するというのが通常の流れですが、仮装経理(粉飾決算等)による過納額の場合には、税務署長は、その会社が「修正の経理」(判例では前期損益修正損等を計上)を行った事業年度の確定申告書を提出するまでの間は、減額更正をしないことができるという法人税法の規定があります。

更正事業年度から5年間は税額控除

また、「修正の経理」を行って、更正の請求を行えば、すぐに、その過納額の全額を戻してくれるというわけではありません。

更正事業年度開始の日から5年間は、その各事業年度の法人税額が順次控除する形になります。

ただし、粉飾決算の発覚により、経営が傾き、会社を解散する場合、会社更正法の更正手続開始などがあった場合には、税額控除しきれなかった金額は還付されることになります。

過年度遡及会計と「修正の経理」の関係は?

大手の会社では「過年度遡及会計」を採用している場合があります。

この場合、過去の誤謬の訂正による影響額は、株主資本変動計算書の期首の繰越利益剰余金と貸借対照表の資産・負債で訂正してしまうので、過年度修正の前期損益修正損などは損益計算書の特別損益には計上されませんが、この場合も「修正の経理」として取り扱われることになります。

2014年10月08日

源泉徴収税額表 日額表「丙欄」の適用

給与を支払うときに源泉徴収する税額は、その支払の都度、「給与所得の源泉徴収税額表」を使って求めることができます。

この税額表には、「月額表」と「日額表」と「賞与に対する源泉徴収税額の算出率の表」の3種類があります。

給与を毎月支払う場合は「月額表」を使用し、働いたその日ごとに給与を支払う場合や一週間ごとに支払う給与などには「日額表」を使用します。

さらに、税額を出すには、税額表に記載されている「甲欄」「乙欄」または「丙欄」で税額を求めます。

給与所得者の扶養控除等申告書が提出されている場合には「甲欄」、提出がない場合には「乙欄」で税額を求めます。

「丙欄」は日額表だけにあり、日雇いの人や短期間雇い入れるアルバイトなどに一定の給与を支払う場合に使います。


日額表「丙欄」が適用できる給与は、日給や時給で算定され、日々雇い入れられる者に対して、労働した日ごとに支払う給与とされているため、月払いで支払った場合には月額表を使用し、日額表は適用できないと思われがちですが、条件を満たせば適用することが可能です。

「あらかじめ定められた雇用契約期間が2ヶ月以内の者に支払われる給与等で、労働した日または時間によって算定される給与」をまとめて「月払い」で支払った場合です。

給与の支払い方法については、「日払いのみ」などといった限定はされていませんので、雇用期間が2か月以内で、日給・時給で算定している場合は、それらをまとめて月払いしたケースであっても、日払いの給与と同様に取り扱うことができます。


日額表「丙欄」の場合には、日給9,300円以上の給与から源泉徴収税額が生じることになります。

最初の契約期間が2か月以内の場合でも、雇用契約の期間の延長や、再雇用のため2か月を超えることがあります。

この場合には、契約期間が2か月を超えた日から、日額表の「丙欄」を使うことができませんので確認が必要です。

2014年10月07日

長寿企業とはどんな会社

長く続く企業とは

企業にとって大切なこととは何でしょうか?

それは「継続する」ということではないでしょうか?

顧客にサービスや商品を提供し喜んでいただく、社員を雇用し、その家族も幸せにする。

納税や地域社会に貢献しながら存続し続ける、それは理想の姿かもしれません。

しかし企業が存続し続ける続けることは容易ではありません。

経済変化や企業間競争、有力取引先の消失、災害、不祥事の発生など様々なリスクがつきものです。

こうした中、長く営業を続けている企業もあります。

その96%は中小企業であり、日本で創業100年以上の企業は2万6千社(帝国データバンク調べ)と言われ、世界最古の企業と言われる西暦578年創業の寺社建築の金剛組と言う企業も日本にあります。


長寿企業の8割が明治時代に創業

明治時代は殖産興業の政策の下、工業化、近代化が進んだ時代です。

業種的には製造業と卸・小売業が多く、少ないのは建設、運輸、金融、保険、不動産、サービス業等で昔は物を作って売ることが主流だったからでしょう。

製造業の中でも食品・酒関連が多く、金物卸、繊維衣類も多い方です。

また、地場で家族中心の小売業が半数近くです。


企業経営者の在位期間

先代の経営者が25年から30年位で60代から70代になった頃に30代から40代の子に経営を任せるというのが一般的です。

データでみると1990年代以降は設立30年以上の企業が倒産するケースが増加傾向にあります。

在位が25年から30年ということから考えると1回世代交代した後に、倒産の憂き目にあう率が増えているとも言えます。


企業が存続し続けるには

企業の継続にはどのようなことが必要なのでしょうか。

今後の経済・社会情勢は、人口の減少やグローバル化による競争での利幅縮小なども考えられます。

その中でも継続するための課題とは、長寿企業から見てみると次のようなことでしょう。

①新市場開拓や新事業開発等の経営革新

②コスト削減等、効率・生産性の向上

③人材の確保育成 社員を大切にする経営

④継続経営者の育成

当然のことのようですがこれを持続し続けるのは大変なことです。

しかし、地道に続けることが企業を成長、存続させて行くのでしょう。

2014年10月06日

ブラック企業とその対策

ブラック企業とは何か

ここ数年新卒採用の時期になるとブラック企業に関する事が報道されます。

ブラック企業とは明確な定義があるわけでなく、厚労省よると「若者の使い捨てが疑われる」「離職率が極端に高い」「過重労働があり、労基法違反の疑いがある」という企業であり、ブラックとは表現されていません。


具体的には次のような行動を指します

①嫌がらせ、いじめや些細な問題で懲戒処分を行う等、退職したくなるように追い込み退職勧奨を行う。

②法定労働時間をはるかに超えて働かせ、法的要件未整備のまま管理監督者、裁量労働制、定額残業代等の適用があるとして残業代に反映させない。

③かなりな長時間労働があってもそれを解消しようとせず、働く人の健康を配慮しない。時に健康障害を起こす。

④採用手続きにおいて労働条件を明示せず、合理的理由のない内定取り消し、実態に合わない偽装請負契約をする。

⑤曖昧な理由の解雇、理由を示さない解雇。

⑥労働契約の軽視、内容の一方的変更、年休取得を認めない、健康診断を実施しない。


ブラック企業の生まれた背景

前から長時間労働の企業はありましたしこのような企業の数が増えているとも思えません。

今、労働環境の良くない企業が取り上げられる背景には以前は長期雇用が前提であり、将来の昇給等見返りが期待できていたものが、先々の事が描きにくい時代になった事もあります。

このような企業では継続勤務が困難であり、又それをインターネット等で知られるようになったとも言えるでしょう。

今後の取り組み

ハローワークでは2015年度の大卒、大学院卒予定者に向けた求人票に過去3年間の採用者数と離職者数の記入欄が設けられ、離職率を新卒者が見て異常に高ければ応募を見送るであろうと考えているようです。
ただし、記入が任意のため、効果は限定的と思えます。

また、厚労省では一定の労務管理体制が整備され、詳細な採用情報を公表、求人をする中小企業に「若者応援企業」と認定し、いわゆる「ホワイト企業」をアピール、イメージアップに役立てようとしています。

2014年10月03日

消費税の差額処理

税率変更には訂正がつきもの

4月に消費税が5%から8%に増税されてしばらくたちますが、未だに時々消費税の訂正処理を見受けます。

原則的処理

経理処理の原則は、取引内容がわかるように処理しますから、例えば1000円の仕入れで8%の課税取引を5%で処理していた場合で差額の3%を後になって請求された場合、以下のように取り消した取引と正しい取引を総額で記帳します。


訂正取引

(買掛金)1050 /(仕入)1000
         (仮払消費税)50

(仕入)1000  /(買掛金)1080
(仮払消費税)80


経理ソフトは原則処理が前提

現在お使いの経理ソフトはこのような原則処理をすることを前提に消費税計算の集計を行っております。

よって次のような処理をすると経理ソフトの集計が狂います。

(仮払消費税)30/(買掛金)30

取引がこれだけであった場合、正しく処理した経理ソフトの集計は以下のように表示されますが、

仕入5%▲1000円 消費税▲50円

仕入8% 1000円 消費税 80円 

差額だけを処理した場合は、

仕入5%も8%も0円 消費税30円

となり、仕入と消費税の関係のつじつまが合いません。

1年間の経理処理は大量になります。

決算時に上記のような差額だけの処理があると、経理ソフトの集計表のつじつまが合わなくなります。

そしてその原因が、差額処理なのか、単なる間違いなのかを解明することは大変難しくなります。

消費税転嫁拒否行為の対応実績

転嫁対策措置法で禁止される転嫁拒否行為

消費税転嫁対策特別措置法では、消費税の適正な転嫁を確保するために、取引の力関係を背景とした一定の転嫁拒否行為を禁止しています。

禁止されている転嫁拒否行為は、買手(特定事業者)が売手(特定供給業者)に対して行う

①買いたたき

②減額

③商品購入、役務利用または利益提供の要請

④本体価格(税抜き)での交渉拒否

⑤報復行為

ですが、消費税率が8%に改定された直後における、これらの行為の実態が少しずつ報告されています。

指導実績は「買いたたき」が多いが…

転嫁拒否の是正勧告・指導を行う立場である公正取引委員会からは「転嫁拒否行為に対する対応実績」が公表されています。

この「対応実績」では、H26.5までの指導実績の多い転嫁拒否行為は、

①買いたたき76.8%

②本体価格での交渉拒否18.8%

③商品購入、役務利用または利益提供の要請4.1%

④減額0.3%

の順となっています。

この時点までに勧告まで至った事例(1件)も「買いたたき」によるものでした。

一方、経済産業省「消費税の転嫁状況に関する月次モニタリング調査」では、事業者側に聴取したアンケート結果が報告されています。

5月次の調査結果によれば、「実際に転嫁拒否行為を受けた」と回答した事業者は106社あり、こちらでは

①減額56.6%

②買いたたき23.6%

③本体価格での交渉拒否21.7%

④商品購入、役務利用または利益提供の要請6.6%

の順となりました。

こちらは、「減額」が「買いたたき」より多いという結果でしたが、下請法の取締状況(H24中小企業庁)という別の調査でも、

①「減額」34.0%に対して、②「買いたたき」は3.4%となっています。


「買いたたき」と「減額」の違い

「買いたたき」と「減額」は、どちらも正当な理由がなく、買手側から売手側に取引価格を低くしようとする働きかけですが、前者が「契約前の交渉段階」で行われるものであるのに対し、後者が「事後的」に行われるものと、行為を認識する時点が異なります。

公取委等の転嫁拒否行為の指導は税率改定前(H26.3以前)から既に行われているので「買いたたき」の対応例が多かったのでしょう。

今後は「減額」の指導・勧告事例も増えてくるかもしれません。

2014年10月02日

譲渡担保の通達

譲渡担保とは

民法では、動産を債権の担保とする場合には、不動産と異なり抵当権を設定できず、質権の設定に限れられていました。

質権を設定する場合には、担保物の占有を質権者に移す必要があるため、占有を移さない手法―「譲渡担保」と呼ばれる手法が学説・判例に支えられて発達してきました。

この「譲渡担保」は、債権者が債務者の担保物をいったん法律上譲渡という形で譲り受け、債務の完済をもって、その担保物を返還するという形式を取ります。

買戻条件付譲渡や再販売の予約についても同様に担保の効果があるため変則担保などとも呼ばれています。

「譲渡担保」は動産だけでなく、不動産についても利用することができます。


所得税・法人税の通達で要件が異なる

所得税・法人税の通達では、実質主義の見地から、「譲渡担保」があった場合に、次の事項が契約書で明らかにしているときは、譲渡はなかったものとして取り扱われます。

①担保に係る資産(固定資産等)を債務者が従来どおり使用収益すること

②通常の利子(ないしは利子相当の使用料)の支払に関する定めがあること

ただし、所得税と法人税の通達では要件として異なるものが求められています。

まず、所得税の通達では、資産の限定はありませんが、債権者と債務者の連署による「譲渡担保申立書」を提出することが求められています。

一方、法人税の通達では、担保とする資産を固定資産に限定しており、債務者側に自己の固定資産として経理することを要請しています。

逐条解説などでは、この固定資産に限って適用があることが強調されています(有価証券は証券の種類により担保権者と設定者に複雑な権利関係が生じるため、この取扱いから除外するという記述もあります)。


動産登記制度やABLの動き

現在では、「動産登記制度」(H17)により動産の譲渡を公示することで、企業が有する在庫商品・機械設備・家畜・売掛金等様々な動産を担保として活用するABL(Asset Based Lending:動産・債権担保融資)の促進が図られています。

2014年10月01日

内部資料見られて重加算

外注傭船料を原価ベースで算出

税理士会のデータベースに開示請求により開示された国税不服審判所の非公開裁決事例があります。

その一つに、内航海運業の建造引当権が法人税通達で営業権とされていた10年以上前の時期のもので、興味を引くものがありました。

会社側は、子会社に支払う外注傭船料につき、「子会社に赤字が出ないように子会社が負担するコストをすべて積算したものとしているが、ここには架空のコストや虚偽のコストはなく損金算入可の真正なものである」と主張しました。

裁決は、子会社の営業権償却費は本来の傭船料の原価を構成するものではないので、その部分は、子会社への利益供与としての寄附金である、としました。


税務調査で開示された内部資料

税務調査の過程で、会社グループとしての決算やグループ内取引についての資料である、「決算検討社内資料」とか、「企画部業務概要および懸案事項」などという編綴書類が開示されました。

それらの中には、税務面の危惧を上司に対して説明するために作成したものが含まれており、節税財源確保のための子会社営業権償却費の利用などが記載されておりました。


内部資料が動かぬ証拠の仮装隠蔽

この事例は、単なる過少申告加算税ではなく、重加算税の賦課とされています。

「子会社への利益供与を通じて請求人の課税所得金額を圧縮するために、正当な傭船料のコスト計算に基づかず、本件償却費合計額相当額を傭船料に不当に上乗せすることに子会社等と通謀合意の上、傭船料を過大とした虚偽の本件各協定書を作成し、本件各事業年度の期首にさかのぼって適用したものと認めるのが相当である」との理由です。

処分庁の態度

裁決書には新たな処分庁の主張はありません。

税務上の問題を認識しながら、虚偽の傭船料の協定書を作成し、あたかも正当な傭船料であるがごとく仮装する行為をしている以上、傭船料の本来の時価の検討など不要との、余裕の態度です。

動かぬ自白証拠を押さえた強みからでしょうか。

税務調査で、コンピューター内の電子メールなどを見せるように求められるケースが多くなっているとの情報もあります。

本音でヤリトリしている内部情報が思わぬ落とし穴となることがありそうです。

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