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2014年07月 アーカイブ

2014年07月31日

厚生年金基金の今後の選択肢

平成26年度4月より厚年基金見直し

厚生年金基金の行方を決める法律が施行され、今後10年かけて厚年基金制度を廃止することとされました。

それぞれの厚生年金基金は代行部分の純資産額の積み立て状況に応じて3つに分けられ、区分に応じて用意された選択肢の中から今後の対応を決定することになります。

基金加入事業所はどのようなことを検討するべきでしょうか?

改正後の厚年基金3つの選択肢

加入している基金の純資産額の積み立て状況を基準に次のように分かれます。


①代行割れ(積立比率が1.0未満)

→特例解散、精算型解散


②代行割れ予備軍(同1.0以上1.5未満)

→他制度へ移行又は通常解散及び解散命令


③健全な基金(同1.5以上又は純資産÷最低積立基準額が1.0以上)

→他制度へ移行又は存続
 


以下でそれぞれを説明します。

①に関して特例解散とは、今後5年以内に解散を促進することとして解散の要件を緩和した措置で、解散時の一括納付が困難な事業所には分割納付を促進し、連帯債務条件も外します。

分割納付金利も国債に連動した低利とし、今後30年間の延長も認めるとしています。

ただし納付計画書を提出し、認定を受けなければなりません。


②と③の他制度への移行とは、解散後の上乗せ給付分の受給権保全の為積み立て分を他制度に移行しやすくする特例が設けられ、社員数300人以上の企業であれば事業所単位で確定給付企業年金へ移行もあります。

300人未満なら中小企業退職金共済へ移行できるようになりました。

他には確定拠出年金制度もあります。

代行割れ基金は約4割、予備軍は約5割、健全な基金は約1割

過去の運用環境の変動と受給者の増加が代行割れを招いたと言われています。

しかし代行割れ基金に加入している企業にとって、今まで社員が上乗せ年金をもらえると信じて積み立ててきたのですから「上乗せはなくなりました、廃止するのに負担金をお願いします」と言われても納得しがたいものがあります。

そのままにしておくこともできず今後の深刻な問題となっています。

2014年07月30日

すまい給付金制度

すまい給付金とは、税率引上げ後の消費税率が適用される住宅を取得する場合に、引上げによる負担を軽減するためために創設された、現金を給付する制度です。

住宅ローン減税は、支払っている所得税等から控除する仕組みであるため、収入が低い人ほどその効果が小さくなります。

すまい給付金制度は、住宅ローン減税の拡充による負担軽減効果が十分に及ばない収入層に対して、住宅ローン減税とあわせて消費税率引上げによる負担の軽減をはかるものです。

このため、収入によって給付額が変わる仕組みとなっています。


すまい給付金の対象者は、次の要件に該当する方です。


① 住宅の所有者:不動産登記上の持分保有者


② 住宅の居住者:住民票において、取得した住宅への居住が確認できる者


③ 収入が一定以下の者[消費税率8%時]収入額の目安が510万円※以下

           [消費税率10%時]収入額の目安が775万円※以下


④ 住宅ローンを利用しない場合 年齢が50才以上で収入額の目安が650万円以下※の者

※夫婦(妻は収入なし)及び中学生以下の子供が2人のモデル世帯において住宅取得する場合の夫の収入額の目安です。


すまい給付金は、良質な住宅ストックの形成を促す目的もあるため、住宅の質に関する一定の要件を満たした住宅が対象となります。

主な要件は、引上げ後の消費税率が適用されること、床面積が50㎡以上であること、第三者機関の検査を受けた住宅であること等です。

新築住宅、中古再販住宅、住宅ローン利用の有無などで要件が異なりますのでご注意ください。


消費税率の引上げられる平成26年4月以降に引渡された住宅から、税制面での特例が措置される平成29年12月までに引渡され入居が完了した住宅を対象に実施する予定となっています。

ただし、この期間であっても、消費税率5%の経過措置が適用される住宅は給付対象外です。

すまい給付金の申請は、住宅取得者(持分保有者)がそれぞれ行います。

例えば、1つの住宅に居住する不動産登記上の持分保有者が複数名いる場合は、それぞれが申請を行ってください。

原則として取得した住宅に居住した後に、給付申請書に必要書類を添付して申請することが必要です。

申請は、全国に設置する「すまい給付金申請窓口」への持参または、「すまい給付金事務局」への郵送により行うことができます。


2014年07月29日

留学生のアルバイトから正社員へ採用

アルバイトから正社員採用

外国人留学生をアルバイト採用している企業様、店舗様も多いことと思います。

留学生の中にはとても勤務態度が真面目で、「このまま正社員として働いてほしい」、あるいは留学生本人から「卒業後もここで正社員として働きたい」という申し出を受ける場面もあるのではないでしょうか。

しかし、外国人が日本で適法に滞在するためには、その方の活動内容に合わせ在留資格(いわゆる「ビザ」)を取得する必要があり、留学生をアルバイトとして採用する場合と、卒業後に正社員として採用する場合では、必要とされる条件、許可されている職務内容が大きく異なります。

アルバイトから正社員へ採用する場合には、どのような条件を満たさなければならないのでしょうか。


単純労働での正社員採用は不可

単純労働、というと聞こえがよくありませんが、残念ながら現在の日本の法律では就労目的での滞在に対し、一定の職種制限がされており、入国管理局が単純労働とみなす職種については在留資格が許可されません。

在学中のアルバイトであれば可能ですが、基本的に飲食店のホールスタッフ、ショップ店員といったサービススタッフとして働くための在留資格や、現場での肉体労働をするための在留資格は設けられていないため、正社員としてこういった業務に就くことはできません。

通訳・翻訳やデザイナーのような外国人特有の感性を活かせる業務や、法律学や経済学・会計学などの学問を活かせる総合職、システムエンジニアなどの技術系業務など、特殊な知識・技術を活かす業務についてのみ、就労目的の在留資格が設けられています。


本人の知識・技術との関連性が重要

職務内容が、上記のような特殊知識・技術を要するものであっても、外国人本人がそれに見合った能力を持っていなければ、在留資格は許可されません。

留学生の場合、実務経験がないことがほとんどですので、この点は「大学等での履修内容」を基準に知識・技術があるかどうかが判断されます。

アルバイト勤務する留学生を卒業後に正社員として迎えたいときは、卒業見込証明書、成績証明書や履歴書から、本人がどのような知識・技術を学んできたのかを確認し、従事予定の業務との関連性について検討した上で、入国管理局で事前に相談してみてください。

2014年07月28日

労働基準監督署の是正勧告

労働基準監督署が入るとき

労働基準監督署の名前は聞いたことがあっても労働基準監督官が行う事業所調査とはどのようなものか知っている方は多くはないかもしれません。

労働基準監督署は、労災保険と労働基準法(労基法)や労働安全衛生法(安衛法)を取り扱う部門がありますが、会社が労基法や安衛法を守っているかを調査することがあり、事業所規模にかかわりなく対象とされます。


主な調査の種類は

定期監督で実施される調査ではその年度の方針で調査対象が選ばれます。

この場合は会社が労基署へ必用書類を持って訪問するケースが多いようです。

他には従業員などの申告による調査があります。従業員や退職者が労基署に申し立て、労基法違反の可能性があれば、立ち入り調査があったり、呼び出しがあることもあります。


労基署調査の流れ

調査は普通書面で通知されてくることが多いので日時、場所、必要書類を確認し、落ち着いて対応しましょう。

主な指摘事項は次の通りです。

①労働時間や時間外労働時間等の把握はされているか

②時間外労働手当等、割増賃金の支払い

③時間外労働の協定届を提出しているか

④労働条件書面を明示しているか

⑤労働者名簿や賃金台帳の整備

⑥最低賃金は守られているか

⑦従業員10人以上事業所は就業規則を提出しているか

⑧定期健康診断は実施しているか

⑨従業員50人以上事業所は衛生管理者や産業医の選任をして届けているか

⑩管理監督者の時間外労働は適切か

⑪その他、各業種による事項等

以上のような事項をタイムカードや賃金台帳、雇用契約書等を見て、事業主に確認し、是正事項があれば勧告書や指示書が出されます。

会社は指定された期限までに改善し是正した内容を記して必要書類と報告書を提出します。

すぐには指摘事項の改善が難しくても今後は改善する方向性を示すのがよく、書類を改ざんする等は避けましょう。


2014年07月25日

通勤手当の非課税限度額

日々の通勤に電車やバスなどの公共機関を利用する方がほとんどだと思いますが、マイカーや自転車を利用する方もいるでしょう。

役員や従業員の通勤にかかる費用は、通勤手当や通勤定期券として通常の給与に加算して支給されています。

通勤手当は原則として源泉徴収の対象とはなりませんが、非課税限度額が定められており、この限度額を超えて通勤手当を支給している場合には、その超える部分に対して所得税が源泉徴収されることになります。

この非課税限度額は、どのように定められているのでしょうか。


電車やバスだけを利用して通勤している場合

電車・バス通勤の場合、非課税限度額は月10万円です。

だからといって、全員の通勤手当を月10万円にしようとしても、それは認められません。

この場合の非課税限度額は、通勤のための運賃・時間・距離等の事情に照らし、最も経済的かつ合理的な経路及び方法で通勤した場合の通勤定期券などの金額です。

ざっくり言うと、1か月分の定期代までです。

また、遠距離通勤者が新幹線を利用した場合の運賃等の額も「経済的かつ合理的な方法による金額」に含まれますが、グリーン料金は含まれません。


マイカーや自転車だけを利用して通勤している場合

マイカーなどで通勤している人の非課税限度額は、片道の通勤距離(通勤経路に沿った長さです。)に応じて、次のように定められています。

マイカーなどで通勤している人の非課税となる1か月当たりの限度額表

片道の通勤距離が片道45キロ以上    ………月額24,500円

   〃    片道35キロ以上45キロ未満………月額20,900円

  〃    片道25キロ以上35キロ未満………月額16,100円

   〃    片道15キロ以上25キロ未満………月額11,300円

   〃    片道10キロ以上15キロ未満………月額6,500円

   〃    片道2キロ以上10キロ未満………月額4,100円

   〃    片道2キロ未満  ………月額0円

電車やバスなどのほかにマイカーや自転車なども利用して通勤している場合

この場合の非課税限度額は、次の(1)と(2)を合計した金額ですが、1か月当たり10万円が限度となります。

(1)電車やバスなどの交通機関を利用する場合の1か月間の通勤定期券などの金額

(2)マイカーや自転車などを使って通勤する片道の距離で決まっている1か月当たりの非課税となる限度額

2014年07月24日

所得拡大促進税制の経過年度の取扱い

所得拡大促進税制(雇用者給与等支給額が増加した場合の法人税額の税額控除)は、平成25年度の税制改正で創設されましたが、平成26年度改正で消費喚起をさらに推進する観点から一部適用要件を見直した上、その適用期限を2年延長しました。


制度の概要と見直された要件

制度の概要は、基準年度と比較して、5%以上、給与等支給額を増加させた場合には、当該支給増額の10%を税額控除(法人税額の10%<中小企業等は20%>が限度)できるとするものです。

※基準年度とは、平成25年4月1日以後に開始する各事業年度のうち最も古い事業年度開始の日の前日を含む事業年度をいいます。

そして、見直された要件の概要は、次のとおりです。

(1)給与等支給増加割合の要件を「5%以上」から次のように要件を緩和しました。

①平成27年4月1日前に開始する事業年度は「2%以上」(平成26年4月1日前に終了する事業年度にも適用)

②平成27年4月1日から平成28年3月31日まで開始する事業年度は「3%以上」

③平成28年4月1日から平成30年3月31日まで開始する事業年度は「5%」以上

(2)平均給与等支給額が前年以上、である要件は、次のように改められました。

適用年度及び前年度の平均給与等支給額の算定基礎は、継続雇用者に対する給与等した上、前年度を上回ること。

※継続雇用者に対する給与等とは、国内雇用者に対する給与等のうち、高齢者継続雇用対象者を除く雇用保険法の一般被保険者に対する給与等をいいます。


経過年度の取扱いに留意

上記改正は、平成26年4月1日以後の終了する事業年度から適用されます。

その場合、平成25年4月1日以後に開始し、平成26年4月1日前に終了する事業年度で改正前の制度の適用を受けていない事業年度、いわゆる経過年度(平成26年3月期)において改正後の要件のすべてを満たすときは、平成27年3月期において平成26年3月期の税額控除相当額を上乗せして法人税額から控除できることとされました。

しかし、この上乗せ適用は、あくまで平成27年3月期においても改正後の要件が満たされているときに限って適用できることに留意が必要です。

商品券・プリペイドカード・電子マネーなどの前払式支払手段の収益計上の実態

商品券は「資金決済法」の規制対象

平成22年から商品券やプリペイドカードの発行は「資金決済法」により規制され、発行業者は、登録(第三者利用のもの)や供託(未使用残高が一定額を超えるもの)が必要となりました。

この法律で規制対象となる「前払式支払手段」は、次の4つの要件を満たすものとされています。

①証票等に金額・度数等が記載又はサーバーに電磁的記録がされているもの。

②その金額・度数等に対する対価が支払われているもの。

③これらの財産的価値と結びついた番号・ID等が付されているもの。

④物品の購入等に際して、その証票等を交付等して使用するもの。

具体的には商品券やギフト券、磁気型・IC型のプリペイドカード、電子マネー(webmoneyなど)が規制の対象となります。

旧来の「前払式証票等規制法(プリカ法)」の規制対象が「証票」であったため、急速に広まる電子マネーを規制すべく「サーバー型」を含めた「前払式支払手段」として規制対象を整備し直した形です。

なお、「ポイントカード」のうち、ポイントが無償で付与されるものは、規制の対象外となります。


税務上の収益計上時期は発行事業年度

法人税における商品券の発行による収益計上時期は、原則として商品券の発行事業年度となります。

ただし、会計慣行として、発行時には「預り金」で処理し、商品券の引換えに応じて、引換事業年度に収益計上している例も多かったことから

①引換券を発行年度毎に管理すること

②あらかじめ所轄税務署長の確認を受けること

③継続して適用すること

の要件を満たす場合には、例外的にその計上方法も認めています。

ただし、例外による収益計上を行う場合には、長期にわたり引き換えられない部分の預り金が残っていても弊害があるため、発行事業年度の翌期首から3年を経過した日(=5年目の年度末)に未引換分を全て収益計上することとされています。


「前払式支払手段」の収益計上の実態

日本資金決済業協会の調べではH24の商品券・電子マネー等を含めた前払式支払手段の収益計上時期は調査714社のうちの42%が「発行年度収益計上」、48%が「引換年度収益計上(未使用分は5年度に収益計上)」、「その他」が10%となっています。

2014年07月23日

こんな場合の労働時間

業務の途中や終了後の時間は労働時間か

業務終了後に行われる研修等に要する時間やそれ以外にも労働時間に当たるのかそうではないのか判りにくい場合があります。

幾つかの事例で見てみたいと思います。


社員研修・教育の時間

まず研修自体が業務なのかと言う問題があります。

参加義務があれば労働時間に該当しますが、参加が任意であり、自分の意思で参加をするかしないのかを決めることができるのであれば、業務には当たりません。

このことを明確にするには、「任意参加の研修は労働時間と取り扱わない」旨の規定を設けておくのも良いでしょう。

しかし任意参加としていながら出席しないと給与、賞与、昇給等の査定で不利になったり、業務上でその研修を受けていなければ差し支えがある等、業務の一環とされるような研修は労働時間である可能性が高いと言えます。


手待ちの時間

小売店で顧客を待っている時間や貨物積込みの為貨物自動車の到着を待っている時間、運転者が2名以上いて交代で運転する場合で運転しない時に休息や仮眠をとっている時間、また昼食休憩中に来客当番をさせている時間等、作業は行っていないが労働から解放されていない状態を手待ち時間と言い、原則労働時間とされています。

警備員の仮眠時間

建物の管理の警備業務には夜間に仮眠時間が含まれることがあります。

仮眠時間中に仮眠室で待機し、電話や警報に対して対応を義務づけられている時は労働から解放されていないので労働時間とされます。

ただし、必ずしも起きて働いている時と同額の賃金を支払わなければならないと言う事ではありません。


健康診断に要する時間

労働者に対して行われる一般健康診断は企業に実施義務はありますが、業務遂行との関連でその受診のために要した時間については労働時間とされません。

ただし、特定の有害業務に従事する者の特殊健診は業務遂行のため必要なことであるので労働時間として扱われます。


出張の時間

出張中に休日が含まれている場合、その日に移動があっても業務そのものを行わない時は労働時間とは成りません。

2014年07月22日

中古住宅取得後の耐震改修工事

耐震基準に適合しない中古住宅を購入し、購入後に耐震改修工事を行う場合にも、住宅ローン控除などの適用が可能となりました。

以前から、一定の、築後一定年数以内の住宅を取得した場合や、耐震基準適合が証明された住宅を取得した場合には、中古住宅でも住宅ローン減税をはじめとした、各種の税制措置の適用を受けることができます。

一方で、耐震基準に適合しない中古住宅「要耐震改修住宅等」を取得した場合、入居前に耐震基準に適合するための改修を実施しても、これらの税制措置は適用できませんでした。

平成26年度の改正により、「要耐震改修住宅等」を取得した場合において、取得日までに、取得日以降に耐震改修を行うことについての申請を行い、かつ、居住の用に供する日などの期日までに、耐震基準に適合することになったことが証明された場合には、次の税制措置が適用できることになりました。

① 住宅ローン控除

② 直系尊属から住宅取得等資金を受けた場合の贈与税の非課税

③ 特定の贈与者から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の相続時精算課税の特例

④ 既存住宅に係る不動産取得税の課税標準の特例措置


いずれの税制措置についても、「申請を行うこと」「証明を受けること」がポイントとなります。

「申請」の期限は、取得日までとなっています。

「証明」については、それぞれ次のようになっています。

①の適用 居住の用に供する日(取得日から6ヶ月以内の日に限る)

②③の適用 住宅取得等資金の取得日の翌年3月15日

④の適用 取得後6か月以内


平成26年4月1日以後の取得等から適用となりますので、中古住宅購入予定のある方は確認なさってください。

2014年07月18日

借入時に支払う信用保証料

金融機関や公的機関から融資を受ける際に、信用保証協会と信用保証委託契約を締結し、信用保証料を支払うことがあります。

中小企業や小規模事業者の場合、一般的に信用力や担保力が乏しいとみなされています。

その信用力等を補完するため、保証人となって必要資金の融資を受けられるようサポートするのが、信用保証協会です。

では、信用保証協会に支払った信用保証料は、損金になるのでしょうか。

信用保証料の金額は、通常、保証金額、保証期間、保証率、分割返済回数別係数を基に算出されます。

また、信用保証契約自体が、融資期間の始めから満了するまでの間、保証をし続けるというものです。

したがって、支払った信用保証料は、時の経過に応じて、各事業年度の損金の額に算入すべきことになります。

保証期間が1年以内であれば、結果として、支払った時において信用保証料の全額を損金の額に算入できます。

保証期間が数年にわたる場合には、信用保証料のうち経過した保証期間に対応する部分については損金の額に算入し、未経過に対応する部分については、前払費用に計上することになります。

それでは、信用保証料のうちいくらが、経過した部分の金額とすべきなのでしょうか。

算出方法については、次のような方法があります。

①保証期間に応じて均等に配分し、損金の額に算入する。

②繰上完済した場合に返金される保証料の額に基づいて、損金算入額を計算する。

なお、いずれの方法を選択しても、継続適用が条件となります。

2014年07月17日

長寿企業調査から見えるもの

長期存続の要因とこれから大事にしたいこと

少し前の調査ではありますが、帝国データバンクの長寿企業調査で、創業100年以上の企業に対し、「長期に存続してきた要因と今後重視したいこと」のアンケートによると要因の1位は、「本業を中心とした経営と品質の保持」でありました。

2位以下は「堅実な経営」「資金の安定調達・運用」「顧客ニーズに沿う」「リーダーシップの貫徹」と続き、6位には従業員の育成が入っています。

従業員の育成は今後重視したいことの1位であり、以下、「販路拡大」「コスト削減」「後継者の育成」「顧客ニーズへの取り組み」等が続きます。


調査結果を見て今後大事なこと

アンケート結果を見て企業が存続して行くのに大事な事は次の3つになるでしょう。

ア、経営革新に取り組む

イ、社員を大事にする経営

ウ、継続後継者の育成

各々を検討してみますと

アの経営革新については事業戦略と言う面と経営システムの革新と言う面があります。

社内システムでは仕事のやり方を変えるには直接影響を受ける社員への説明も必要になるでしょう。

イの社員を大切にする経営では育成が今後取り組みたいことの1位でした。

OJTやOFF-JTのどちらの研修も大事です。

しかしむしろやる気を高めるという点で「衛生要因」となる会社方針、職場環境、給与、対人関係等があり、これが不十分であれば不満足であると感じます。

もうひとつの「動機付け要因」では仕事内容、責任、目標達成、承認、昇進、成長などの可能性を見出すことで満足が高まると言われています。

働きやすい職場環境と部下の成長につながる仕事を与え、責任を持たせ評価処遇につなげることで社員との信頼関係を築くことが大事です。

ウの継続経営者の育成は最も重要でしょう。

経営革新も社員を大事にする経営も取り組みの先頭に立つのが経営者です。

経営者がこれらの重要性を認識しなければ何も進みません。

会社の存続、社員の力の結集、市場環境の変化を読み取り経営革新を行う、業績を上げるだけでなく企業倫理も意識する時代です。

実務能力と人的能力があり信頼される人柄が求められているでしょう。

2014年07月16日

権利金の収受がない会社と社長の土地の賃貸借

権利金を取らない会社対社長の借地契約

会社と社長個人の間で土地を賃貸する際、権利金をやり取りしない場合があります。

「会社も個人も一緒」という感覚も分かりますが、会社と個人は別人格。借地を建物の敷地として利用する場合には、税務上「借地権」が設定されたものとされます。


会社の土地を社長個人に貸付けした場合

地主を会社、借地人を社長個人とする場合に、権利金の収受がないときは、借地権課税の問題が生じます。

営利目的である会社が土地をタダで貸す訳がないということです。

一般の借地権対価を会社が受け取り、同額を社長個人に渡した(役員賞与)という取扱いになります(「権利金の認定課税」)。

借地人(社長個人)借地権/給与収入

地主 (会社)役員賞与/権利金収入

この場合、会社側に源泉徴収義務が生ずると同時に、役員賞与が事前確定届出給与でない場合等には、損金不算入とされます。


ただし、会社の土地の上に社長の居宅を建てたいという場合ならば、借地契約などは行わず、その土地の上に会社の社宅として建築し、社長がそれを利用する等で対応ができるケースもあります。


社長個人の土地を会社に貸付けした場合

反対に地主を社長個人、借地人を会社とする借地契約で権利金収受がないときは、会社側は通常支払わらなければならない権利金の受贈益を計上しなければなりません。

その一方で貸す側の社長個人には課税関係は生じません。

法人に対する低額譲渡は時価課税(みなし譲渡)となるのですが、その対象となる「譲渡」に借地権の「設定」は入らないという解釈からです。

借地人(会社)借地権/受贈益

地主(社長個人) 課税関係なし

「無償返還届出書」は提出すべきか?

 これら権利金認定課税等の救済措置には『相当の地代』方式(権利金なしの更地価格×6%を収受)と「土地の無償返還届出書」(将来借主に立退料を請求せずに無償に返還する旨を記載した書類)の提出の二つがあります。

実際のところ、「入口課税」「出口課税」がされたという報告はあまり聞かれませんが、念のため届出関係はキチンとしておいた方が無難でしょう。

2014年07月15日

簡易課税制度 みなし仕入率の見直し

消費税の簡易課税制度は、課税売上高に係る消費税額に一定の割合を乗じて仕入控除税額を計算できる特例です。

この一定の割合を「みなし仕入率」といい、第1種から第5種事業の区分ごとに仕入率が決められています。

簡易課税制度を選択した場合、2年間は継続適用(強制適用)しなければなりません。

平成26年税制改正で、この簡易課税制度のみなし仕入率が、次の通り改正されました。

① 金融業及び保険業 第4種事業から第5種事業へ(みなし仕入率 60%⇒50%)

② 不動産業 第5種事業から新たに設けられた第6種事業へ(みなし仕入率 50%⇒40%)

その他の事業区分、みなし仕入率に変更はありません。


この改正は、平成27年4月1日以降に開始する課税期間から適用されます。

ただし、経過措置が設けられています。

平成26年9月30日までに「消費税簡易課税制度選択届出書」を提出した事業者は、平成27年4月1日以降に開始する課税期間であっても、簡易課税制度が強制適用される2年間は、改正前の旧みなし仕入率が適用されます。

例えば、3月決算法人が、翌期から簡易課税制度を選択するために、今年の9月30日までに選択届出書を提出した場合、簡易課税制度が強制適用される平成28年3月期、平成29年3月期までは、旧みなし仕入率を適用することができます。

平成25年3月31日以前に届出書を提出している場合、平成26年9月30日までに届出をしていることにはなりますが、平成27年4月1日以後開始課税期間は、強制適用期間に該当しないため、改正後の新みなし仕入率が適用されます。


通常、簡易課税制度選択届出書の提出期限は、適用を受けようとする課税期間開始日の前日までとされていますが、今回の改正の経過措置は、平成26年9月30日が期限となっていますので注意が必要です。

2014年07月14日

広大地の評価

減額率が大きい「広大地」

相続における土地評価で「広大地」という用語があります。

「広大地」とは、その地域における標準的な宅地に比して著しく地積が広大な宅地で、開発行為を行うとした場合に公共公益的施設用地の負担(いわゆる「潰れ地」)が必要と認められるものをいいます。

ここでいう「著しく地積が広大」とは、都市計画法に基づく開発許可を要する面積(三大都市圏で500㎡、その他1,000㎡)以上のものを言います。

この「広大地」を相続税法で評価する場合、下記のような非常に大きな減額率が考慮されます。

広大地補正率=0.6-(0.05×広大地の面積/1,000㎡)

例えば700㎡の土地ならば0.565となり、イメージとしては約半分の価額で評価できるということになります。


広大地が減額される根拠

このような土地の買手として想定されるのは、まず宅地開発業者です。

彼らは最も需要がある住宅など「標準的な地積(例えば100㎡)」に区画整理し戸建分譲する形を取ります。

そうなると都市計画法では道路や公園の設置が求められ、土地全体をそのまま利用できずにいわゆる「潰れ地」が生じます。

これを評価に反映させるという訳です。

また「需要」の面からみても、このような広い土地を購入する者はそうそういる訳ではありません。

需要がなければ価格が下がるのが市場原理。実際の価格もこれくらい広い土地の坪単価はかなり安くなります。

このような実態を鑑定士の方が行う「面大地」の発想を取入れ、簡便計算できるように改正したのが平成16年のことでした。

計算が簡便ゆえに「入口」で争われる

しかし、ややこしくしているのは、「大規模工業用地」や「マンション適地」はいわゆる「潰れ地」がないため、広大地から除くとしている点です。

減額率の算式自体は、これ以上ない程簡単ですので、そもそも「広大地」に該当するか否かの「入口」で争われることになります。

税務当局が「潰れ地」がないと強弁することも、かなりの頻度で見受けられます。

そのため反論を想定した綿密な理論武装が求められることになります。

2014年07月11日

キャッシュフロー

キャッシュフローという言葉を聞いたことはありませんか?

cash(現金)のflow(流れ)という意味で、「資金繰り」や「資金運用」といった方がピンとくるかもしれません。

会社にとって決算書は、その会社の業績を判断する材料の一つです。

しかし、いくら利益が出ていても、手元にキャッシュがなければ、会社は倒産してしまいます。

いわゆる「黒字倒産」とか「勘定合って銭足らず」という状態です。

経営者が売上や利益を追求するためには、その大前提として、自社のキャッシュフローの実態を正確につかんでおく必要があります。

キャッシュが増えることを、キャッシュ・イン・フロー(又はキャッシュ・イン)、

キャッシュが減ることを、キャッシュ・アウト・フロー(又はキャッシュ・アウト)といいます。

キャッシュ・フローを改善する方法は様々ですが、

「キャッシュ・インを早く多く、キャッシュ・アウトを遅く少なく」という一言に集約することができます。

「キャッシュ・インを早く多く」するには、増収増益はもちろんのこと、滞留在庫や遊休資産を処分することや着手金、手付金を求めること等が有効です。

また、請求書を速やかに発行したり、入金の遅い取引先へ督促をする等、日々の業務を効率よく確実に行うことも、キャッシュ・インにつながっていきます。

「キャッシュ・アウトを遅く少なく」するには、経費削減のほか、法人カードを利用する、借入金の返済条件を見直す、節税対策を行う等の対策が挙げられます。

2014年07月10日

違法ではないが不当

違法性と不当性の有無

国税不服審判所の裁決判断で、「本件取消処分は違法とはいえない」としつつ、「本件取消処分は、不当な処分と評価せざるを得ず」として、更正処分の全部取消しをしたものがあります。

平22年12月1日の裁決例ですが、違法ではないが不当である、との理由で裁決されたものはこの事例のみと言われています。


金銭出納帳がないので青色申告取消し

毎年わずかばかり赤字になる農業所得と、3000万円を超える不動産所得を有する納税者が、毎年10万円の青色申告控除をしていたところ、税務調査において、同族の不動産賃貸&管理会社を係わらせた行為計算に所得税負担の不当減少を結果させるものがあるとして不動産所得を6000万円超の額とする更正処分を受け、それに先立ち、現金出納帳の記帳がないとの理由で青色申告の取消処分をされ、更正処分の通知書には処分の理由の記載がなかった、というのがこの事例の内容でした。

裁決での判断は行為計算に触れず

「税務調査では要求がなかったので提示しなかった仕訳伝票があった」という事実認定の下、「不動産所得に係る事業のほとんどで不動産管理会社を介しており、その収入費用はおおむね定額、かつ、収入の大部分が銀行口座への振込みで、本件伝票のほか、通帳及び領収書等を集計して計算した各年分の所得金額は、十分正確性が担保されていると認められ、帳簿書類の備付け及び記録の不備があるものの、その程度は申告納税に対する信頼性が損なわれているとまではいえない」として本件取消処分は「不当な処分と評価せざるを得ず」とされました。

かくして、青色申告取消しが取り消されたら、理由附記のない更正処分は違法な処分になるので、同族会社との取引の行為計算の判断に踏み込むまでもなく、結論が出てしまいました。


不当をめぐる争いの型

青色取消処分は裁量行為ではありますが、 完全な自由裁量ではなく、覊束裁量として法律に相当程度縛られてのもので、形式的に法令の規定に該当する事実があれば即処分するべきものではなく、法の趣旨や適用の普遍性を踏まえた裁量の合理性が担保されなければなりません。

そういう許容範囲の適正さをめぐる採決や判決の例は、不当性が争点なので、この事例以外にも多々あります。

2014年07月09日

留学生と卒業後のアルバイト

外国人留学生と就職活動状況

3年連続で大卒就職率が改善され、新卒採用は緩やかな回復基調を見せていますが、学生たちにとっては依然として厳しい状況が続いています。

特に外国人留学生の新卒採用は、ここ数年メディアから注目を集めてはいるものの、在学中に内定が決まる学生は日本人学生の採用に比べ決して多くはありません。

学校卒業後も、アルバイトをしながら継続的に就職活動を行う留学生も多く見られます。

今回は、学校卒業後、就職活動中の外国人をアルバイト採用する際の留意点についてお話しします。

学校卒業後の在留資格とアルバイト

外国人が日本に長期滞在する場合、その方の活動内容に合わせた在留資格(いわゆる「ビザ」)が付与されています。

在学中の留学生には、「留学」が付与されていますが、卒業後も継続的に就職活動を行う場合はこれを「特定活動」という在留資格に変更することになります。

「特定活動」という在留資格にはいくつか類型があるのですが、この継続就職活動を目的とした「特定活動」については、資格外活動許可と呼ばれるアルバイト許可を取得していれば、週28時間までのアルバイトが認められます。

在留資格「特定活動」を持っているだけではなく、この「資格外活動許可」も取得していなければ、アルバイト採用することはできません(なお、風俗営業店での採用は不可)。

外国人の身分証明書である「在留カード」とパスポートには、持っている在留資格の種類、資格外活動許可を得ている場合はその旨が記載されています。

面接時や、雇用している留学生が学校卒業後もアルバイトとしての継続勤務を希望した場合には、必ず在留カードとパスポートの原本を確認しましょう。


雇用主として配慮したい点

資格外活動許可で認められるアルバイト時間は、週28時間までです。

近年、この制限時間を大幅に超えた留学生等が、在留状況が悪いとされ、在留期間の更新や在留資格の変更が認められなかったという事例が非常に増えています。

制限時間を超えてのアルバイトは、雇用主としての責任を問われるだけでなく、外国人本人のその後の滞在にも関わります。

たとえ本人からもっと長時間仕事をしたいと言われても、その点を十分に説明し、適切な労働時間内での勤務を促しましょう。

2014年07月08日

消費税法改正 請求書の取引金額の修正

消費税率引き上げに伴い、4月1日の施行日をまたいで行われた取引について、売上側から適用税率の認識を誤った請求書が送付されてきたケースがみられます。

また、売上側と仕入側の計上基準が異なる場合に、税率5%で請求した売上側が、仕入側の計上時期に合わせることとし、8%による修正処理を行うケースもあるようです。

このように、請求書と実際の取引金額が違ってくる場合、仕入側は請求書の再交付を受けなければ、消費税の仕入税額控除を受けられないでしょうか?

消費税の仕入税額控除を受けるために保存しなければならない請求書等は、次の事項が記載されたものでなければなりません。

① 書類作成者の氏名又は名称

② 課税資産の譲渡等を行った年月日(まとめ記載の場合にはその一定期間)

③ 課税資産の譲渡等に係る資産又は役務の内容

④ 課税資産の譲渡等の対価の額(税込)

⑤ 書類の交付を受ける事業者の氏名又は名称

これらの事項の記載の形式は決まっているわけではありません。

例えば、二種類以上の書類で記載事項を満たす場合には、それらを併せて請求書として取り扱って差し支えありません。

会社によって記載形式は様々ですので、請求書に記載されている取引金額に誤りがあった場合でも、取引金額の修正の事実について、客観的に証明できる書類が揃っていれば、必ずしも請求書の再発行を求める必要はありません。

5%の請求書の金額を、8%に修正する旨を相手方と確認済みである文書があれば、消費税の仕入税額控除を受けるための書類とすることができるようです。

もちろん、請求書の再発行が得意先の手間にならなければ、再発行をしてもらったほうが確実です。

消費税率引上げに伴う修正や対応も、客観的に説明できれば問題ありませんので、しっかりとした資料作成を心掛けましょう。


2014年07月07日

成果主義とチームワーク

成果主義評価は、成果をあげた高能力社員と成果をあげられなかった社員をきちんと区別して評価することができ、真の公平さを持つ評価方法であるとされています。

すなわち優劣の差をつけない“悪平等”が避けられ、高能力で実力を持つ社員を正当に評価することによって、そのモラールを高め、一層活躍してもらえるメリットが生まれる、と言う考え方です。

 しかし、その一方で「成果主義評価は高い評価を得た一部の社員にとっては納得性を持つが、会社全体の成果を高めようとする場合にはチームワークを阻害してしまう大きな問題がある。」とする無視できない指摘があります。


チームワークを阻害する訳

成果主義評価がチームワークを阻害する

理由は次のような点にあります。

1.社員は自分の評価を高めたいので、自分が持っている知識・ノウハウを仲間や後輩に教えようとしない。

その結果業務遂行や改善に役立つ知識・ノウハウが組織内部で共有されず、人材も育たない。


2.自部署の持つ知識・ノウハウを他部署に開示すると、その活用によって成果をあげられてしまい、自部署の評価に不利に働くと考え、開示しようとしない。


3.このような知識・技術・ノウハウが共有されない組織では、特定の社員や部署における活用に止まり、会社全体での知的財産の有効活用が図れないので、目に見えない大きな機会損失が生ずる。


4.チーム目標の達成のためにメンバー全員で努力したのに、一部の目立ちやすいメンバーだけが評価され、下積み的な目立たないメンバーは全く評価されないなど不平等な評価になりやすい。


チームワーク向上・トップの留意点

チームワークを向上させ、機会損失を防ぐには、トップが次の点に留意すべきです。

①個々の社員や部署が持つ知識・ノウハウの開示を奨励し、登録制度を設けるなど会社の知的財産
蓄積に対する貢献を認めて成果として評価する。

②部署間、個人間の知識・ノウハウ共同活用によるチームワークの成果を奨励し、高く評価する。

③チーム内の個人の貢献をその度合いに応じて公正、平等に評価する。
 

2014年07月04日

固定資産の評価損

法人が固定資産を取得した場合、取得時に資産として計上し、毎年、決められた耐用年数に従って減価償却することにより費用化していくのが原則です。

しかし例外として、次に掲げる事実が生じたことによって、その資産の価額が帳簿価額を下回ることになった場合は、その資産の時価と帳簿価額との差額を、評価損として計上することができます。

①会社更生法等の法律の規定に従って、評価換えをする必要が生じたこと。

②災害により著しく損傷したこと。

③1年以上にわたり遊休状態にあること。

④本体の用途に使用することができないため、他の用途に使用されたこと。

⑤所在する場所の状況が著しく変化したこと。

⑥②から⑤までに準ずる特別の事実が生じたこと。


ただし次のような場合には、評価損を計上することはできません。

①過度の使用又は修理の不十分等により、その固定資産が著しく損耗していること。

②減価償却を行わなかったため、償却不足額が生じていること。

③その固定資産の取得価額が、取得時の事情等により他の同種の資産に比して高いこと。

④機械等が製造方法の急速な進歩等により旧式化していること。


固定資産の金額は高額なものが多いです。

要件は厳しいですが、この適用が受けられれば大きな節税効果が得られるでしょう。

利益が出ている法人は、固定資産の利用状況を確認してみてはいかがですか。

2014年07月03日

質問応答記録書

質問応答記録書作成の手引

最近、税理士会のデータベース室が情報公開請求で得たものとしてTAINSに掲載されているものに「質問応答記録書作成の手引」というのがあります。

それによると、質問応答記録書は「質問検査等の一環として、調査担当者が納税義務者等に対し質問し、回答を受けた事項のうち、課税要件の充足性を確認する上で重要と認められる事項について、その事実関係の正確性を期するため、その要旨を調査担当者と納税義務者等の質問応答形式等で作成する行政文書である」とされています。

また、課税処分のみならず、これに関わる不服申立て等においても証拠資料として用いられる場合があることも踏まえ、第三者(審判官や裁判官)が読んでも分かるように、必要・十分な事項を簡潔明瞭に記載する必要がある、とも書かれています。


署名押印を求めるがコピーはさせない

質問応答記録書では、「問いは短く、答えは長く記載することとし、その作成後、質問応答の要旨に記載した内容を読み上げ、記載内容に誤りがないことを確認した上で、末尾に、回答者に署名押印を求める」とされています。

署名押印前か後かを問わず、質問応答記録書の写しを求められても、交付してはならない、とも書かれています。(ただし、個人情報保護法による開示請求をすると開示はされます。)

なお、誘導尋問(質問内容に質問者が期待する答えが実質的に示されており、回答者が単純に「はい」「いいえ」と迎合的に答えるような尋問)になり易いところから、これを抑制もしています。


署名押印は強制されない

質問応答記録書への署名押印を強制する権限は課税庁にありません。

署名押印拒否の場合は、拒否の旨、拒否理由を述べる場合にはそれを付記する、とされています。

調査官の印象を悪くしないためになどという迎合的な気持ちで安易に署名押印すべきでないことは民主主義社会の独立した個人としては当然の矜持です。

たとえ記載内容に異議がないとしても、文書の利用目的、保管のされ方、自分にとっての有利不利などの説明要求、写しの提供要求、セカンドオピニオンとしての税理士の意見聴取、改ざんできない保証措置、などは署名押印に応じるための最低条件とも言えます。

2014年07月02日

スーツの必要経費

給与所得者は「特定支出控除」拡大(H25)

スーツを着て商売をされる方から「スーツは経費にならないのか?」という質問がよくあります。

H25年の改正で、給与所得者の給与収入から差引くことができる「特定支出」に「勤務場所において着用することが必要とされる衣服を購入するための費用」が加えられました。

しかしながら、この「特定支出」もハードルが高そうです。

国税庁の説明では、勤務場所において、背広などの特定の衣服の「着用が慣行」があるときなどは、直接必要なものであることについて給与等の支払者による証明が必要とされています


必要経費・家事費・家事関連費の区別

個人事業者については、業務に関連があり必要性が認められる支出は「必要経費」とされますが、それ以外のものは所得税法の言い方では「家事費」とされ「必要経費」とすることはできません。

問題は「必要経費」と「家事費」が混在する「家事関連費」です。

これは業務上必要な部分を合理的な按分基準を示すなどして、経費部分を自ら明らかにする必要があるのです。


被服費の必要経費性の判例

被服費に関しては、S49の京都地裁判決があります。

この判決では、被服費は、

①誰もが必要であること

②個人の趣味嗜好が入ること

③耐用年数にかなりの個人差がある

ことから「家事費」と考えることが一般的状況としながらも、

警察職員のように職務命令で着用し、職務以外では着用できないものもあるため、そのような特殊な職業ではなくとも、

①職務で専ら着用し

②地位・職種に応じ勤務上、一定の種類・品質・数量以上の被服を必要とする

ケースにおいては、「家事費」ではなく、「家事関連費」とするのが相当であるという判断を示しています。

しかし、この裁判では納税者は「業務上必要な部分」を自ら明らかにすることはできず、必要経費とはされませんでした。


相続時精算課税と暦年贈与

リスク・デメリットの予測

相続時精算課税は、何十年も後になり選択の結果がでる制度であり、その間に何が起きるかわかりません。

相続時精算課税制度の適用選択にはどんなリスク・デメリットがあるか、十分に検討する必要があります。

しかし、それでも、多分、すべてを予測し切ることは不可能です。


相続時精算課税のリスク

①相続時精算課税贈与財産が無価値化になっても相続税額が発生します。

②今次の基礎控除引き下げなどのような相続税制の変更に伴い、制度選択が致命的になってもリカバリー困難です。

③受贈者が特定贈与者より先に死亡すると二重課税になる恐れがあり、受贈者が独身、一人っ子で、先に死亡する場合には、三重課税になりかねません。

④相続時精算課税は一度選択すると、その特定贈与者からの贈与については暦年贈与の選択が一切できず、撤回も不可です。

⑤贈与税の申告内容開示制度により、相続時に他の相続人等からの請求で精算課税贈与額(3年内暦年贈与財産も同じ)が開示されることになっています。


相続時精算課税のデメリット

①相続開始前3年以内の贈与加算される財産は、また、その贈与財産により取得した財産も物納対象となりますが、相続時精算課税制度による生前の受贈財産は、相続時に物納できません。

②相続税の特例として、相続財産に対する小規模宅地等の減額特例がありますが、相暦年課税・相続時精算課税により贈与した財産については、同特例は適用できません。

小規模宅地等の減額の特例は、非常に効果が大きいものです。

宅地等を贈与財産とするときには、この検討は重要事項です。


③暦年課税・相続時精算課税により贈与を受けた財産が土地の場合には、登録免許税の税率は、贈与時の不動産価額に対する税率の1.5%となります。

相続であれば相続時の不動産価額に対する0.4%となります。


④暦年課税・相続時精算課税により贈与を受けた財産が土地の場合には、不動産取得税の税率は、贈与時の3%となり、さらに宅地のときは課税標準が1/2になります。

相続であれば非課税となります。

2014年07月01日

接待飲食費の範囲

平成26年度税制改正により、交際費のうち接待飲食費の50%に相当する金額について、損金算入することができるようになりました。

平成26年4月1日以降に開始する事業年度から適用されます。

この接待飲食費の50%損金算入について、国税庁より、「接待飲食費に関するFAQ」が公表されました。


飲食費の範囲(Q2)

「接待飲食費に関するFAQ」では、接待飲食費に該当するものとして、次の5つが挙げられています。

① 自己の従業員等が得意先等を接待して飲食するための「飲食代」

② 飲食等のために支払うテーブルチャージ料やサービス料等

③ 飲食等のために支払う会場費

④ 得意先等の業務の遂行や行事の開催に際して、弁当の差入れを行うための「弁当代」(得意先等において差入れ後相応の時間内に飲食されるようなもの)

⑤ 飲食店等での飲食後、その飲食店等で提供されている飲食物の持ち帰りに要する「お土産代」

上記③に挙げられている会場費とは、例えば、自社主催のパーティーに得意先を招待した場合の、ホテルの宴会場や貸会議室の会場使用料などが該当します。

飲食費に該当しない費用(Q3)

FAQには、接待飲食費に該当しない費用も掲げられています。

① ゴルフや観劇、旅行等の催事に際しての飲食等に要する費用

通常、ゴルフや観劇、旅行等の催事を実施することを主たる目的とした行為の一環として飲食等が実施されるものであり、その飲食等は主たる目的である催事と一体不可分なものとしてそれらの催事に吸収される行為と考えられますので、飲食等が催事とは別に単独で行われていると認められる場合(例えば、企画した旅行の行程の全てが終了して解散した後に、一部の取引先の者を誘って飲食等を行った場合など)を除き、ゴルフや観劇、旅行等の催事に際しての飲食等に要する費用は飲食費に該当しないこととなります。

② 接待等を行う飲食店等へ得意先等を送迎するために支出する送迎費

本来、接待・供応に当たる飲食等を目的とした送迎という行為のために要する費用として支出したものであり、その送迎費は飲食費に該当しないこととなります。

③ 飲食物の詰め合わせを贈答するために要する費用

単なる飲食物の詰め合わせを贈答する行為は、いわゆる中元・歳暮と変わらないことから、その贈答のために要する費用は飲食費に該当しないこととなります。


また、これらの接待飲食費には「社内飲食費」は除かれます。

社内飲食費とは、飲食その他これに類する行為のために要する費用であって、専ら当該法人の役員若しくは従業員またはこれらの親族に対する接待等のために支出するものをいいます。

1人当たり5,000円以下の飲食費で書類の保存要件を満たしているものについては、これまでどおり、交際費等に該当しないこととされています。

また、中小法人は、800万円の定額控除限度額までの損金算入制度と、選択適用することができます。

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