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2014年06月 アーカイブ

2014年06月30日

人事制度体系と問題発見

「人事制度」の設計と運用は従業員の意識・行動を経営のあるべき姿へ向けて誘導し、戦略を実現する重要な仕組みです。

その問題点・改革の課題はそれぞれの企業によって異なりますから、的確に発見して対策を講じなければなりません。

そこで、人事賃金制度のどこに問題があるのか判断する視点を持つ必要があります。


人事制度体系と問題発見の視点

現在の制度の問題点・課題を的確に発見するには、図表に示した制度の体系を俯瞰的に見て、個別制度のどこに問題があるのか、個別制度間の関係や全体のバランスから改善・改革の課題を具体的に特定すると良いでしょう。

すなわち、次のような視点で問題発見を行なうことをお勧めします。


問題発見の視点

①社内等級制度そのものの問題(年功的制度であるため、実力に応じた処遇の基軸としての機能を発揮していないなど)

②社内等級制度と賃金制度の関係における問題(等級と賃金が逆転しているため、社員の間に不公平感があるなど)

③賃金制度そのものの問題(役割や貢献度に応じた賃金になっていないなど)

④業績管理制度そのものの問題(業績管理がうまくいっていないなど)

⑤業績管理と賃金制度の関係における問題(業績評価がメリハリのある賃金支給につながっていないなど)


⑥人材育成の遅れ問題(組織構築・人材配置のニーズを満たしていないなど)


経営者の留意点

上層部だけの議論で問題発見を行なうのではなく、管理者、一般社員からも普段から感じている問題を出してもらい、改善、改革に結び付けると、全員の経営参加意識、やる気の向上につながるでしょう。

2014年06月27日

相続時精算課税と暦年贈与

贈与税の二つの方式の適用状況

贈与税には、相続時精算課税方式と暦年課税方式の二つがあります。

直近の国税庁の公表によると、暦年課税適用者は39.1万人、相続時精算課税適用者は4.6万人です。

ここ10年ぐらいを概観すると、暦年贈与は平成20年を谷底(27.3万人)とした形で、最近5年は一貫して増加しています。

それに対して、相続時精算課税は平成15年の制度創設時の7.8%から数年8%前後で推移し平成19年(8.9万人)を頂点とし、なだらかな山型でそれ以後一貫して減り続けています。


相続税が不確定要素を取り込む

相続時精算課税は、当初は期待を込めて適用する人がそれなりにおりましたが、受贈財産である不動産や株式が相続時に大幅な値下がりをしていても、逆に、大幅に値上がりしていても、相続財産として合算される金額は贈与時の時価となることになっており、相続税にこのような不確定的要素が持ち込まれていることに、原因があるのではないかと思われます。


孫への制度拡張が起死回生策となるか

平成27年以後の贈与から、相続時精算課税制度の適用対象が孫にまで拡大されることになりましたので、その年からは選択適用者数の減少が増加に転ずると期待されています。


相続時精算課税が今後とも不人気の理由

平成27年以後の相続税の基礎控除40%カットによって、相続時精算課税制度の絶対的適用有利者である、相続税のかからない層に属する人数が圧縮されます。

また、平成27年以後の相続税の高額納税者への税率アップで、最高税率に近い人ほど、相続時の追加納税が大きくなるので、相続時精算課税制度を敬遠することになると思われます。

それに孫は1親等の血族ではないため、相続税の2割加算の対象者となり、事前に20%で納付していた贈与税と、55%×1.2=66%となる相続税額との差額を追加納税する必要となる場合があり、有利選択とはなりにくいです。

逆に、平成27年以後の贈与税では、20歳以上の孫ならば、暦年贈与の税率が緩和されるので、それを利用して、中長期にわたる贈与を実行していくほうが、有利選択になると思われます。

2014年06月26日

遺言の方式

平成27年1月1日以後に開始する相続から相続税の基礎控除が縮小されることに伴い、相続税対策が注目されてきています。

今回は遺言について解説をしたいと思います。

遺言とは「自らの死後の法律関係を定める最終の意思表示」です。

遺言に法的効果が生じるためには民法が定める一定の方式に従わなければなりません(民法960条)。

民法が定める方式は、まず大きく①普通方式遺言と、②特別方式遺言に分類されます。

②特別方式遺言は、危急時遺言と隔絶地遺言という普通方式遺言ができない緊急事態を想定した遺言方式ですので今回は解説を割愛します。

①の普通方式遺言には、自筆証書遺言、公正証書遺言、秘密証書遺言の3つの方式があります(民法967条)。

自筆証書遺言(民法968条)

・内容、日付、氏名を自筆で記入し、捺印をする。

・ワープロ不可。

・封筒に入れて封をするか否かは自由。

・自筆証書遺言を発見したら家庭裁判所で検認が必要になる。

・いつでも加筆修正、作り直しが可能。

・内容を明確に書かないと法的効果が生じない場合あり。


公正証書遺言(民法969条)

・公証人役場にて証人2名立会の下で公証人に口授して遺言を作成してもらう。

・公証人を通すので内容が明確になる。

・死後に家庭裁判所の検認が不要。

・遺言者が入院している場合等は公証人が病院等に出向いてくれる。

・公証役場にも遺言書が保管されるので紛失の心配がない。


秘密証書遺言(民法970条)

・遺言者が遺言書に署名捺印をする(ワープロ可)。

・遺言者が封書に入れて封印をする。

・公証人及び証人2名に対して自己の遺言書である旨を述べて、公証人はその旨を封書に記載し、遺言者と証人と共に署名押印をする。

・秘密証書遺言を発見したら家庭裁判所の検認が必要になる。

・内容を明確に書かないと法的効果が生じない場合あり。

上記3つを比較すると、内容の担保と変造や紛失を防止するためにも、公正証書遺言が一番確実だと思います(公証役場で一定の費用が掛かります)。

相続対策や遺言の内容や方式について分からないことがあれば何なりとご相談ください。

2014年06月25日

税務代理権限証書の新様式

「税務代理権限証書」とは、納税者が税理士や税理士法人に申告業務を委任した旨を記載し、申告書に添付して税務署へ提出する委任状のことです。

国税通則法、税理士法の改正に伴い、新たに「調査の通知に関する同意」や「過年分に関する税務代理」の各欄が設けられた税務代理権限証書の新様式が公表されました。

平成26年7月1日以降に提出する場合には、この新様式を使用することになります。

① 調査の通知に関する同意

平成23年12月税制改正で税務調査手続きが法定化され、税務調査が行われる場合には、納税者と関与税理士の双方に事前通知が行われています。

今回の改正により、新様式の「調査の通知に関する同意」の欄に納税者の同意の記載がある場合には、関与税理士のみに事前通知が行われることとなります。

納税者にとっては、突然の税務署からの通知に驚いて、あたふたしてしまうという恐れがなくなります。

ただし、税務代理権限証書以外の書面や口頭により事前通知に関する同意を示しても無効となります。

② 過年分に関する税務代理

過去に提出済みの申告書については、次回の申告の際に過去の年分等も含めることを明らかにすれば、過去の年分について税務代理権限証書を再提出する必要はありません。

したがって、所得税や法人税等といった毎年申告を要する税目については次回以降の申告で提出を行えばよいこととなります。

ただし、次回の申告の前に税務調査がある場合には、納税者と税務代理人の双方への通知となりますので、そのような場合を避けたい方や、相続税のように次回の申告がない場合は、事前通知に関する同意を記載した税務代理権限証書を再提出することもできます。


一般的に法人の調査の場合、法人税、消費税、源泉所得税の調査が、個人事業主の場合には、所得税、消費税、源泉所得税の調査が同時に行われます。

そのため、委任する税目についても、関与税理士としっかり確認しておくとよいでしょう。

新様式では、「税務代理の対象に関する事項」で税目が選択できるようになっています。

2014年06月24日

特別法優先の原則と電子申告

自署押印に係る罰則規定

法人税法には、納税申告書に代表者の自署押印を義務付けており、この規定に違反した場合、1年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する、とされています。

納税申告が、納税者の財産権を侵害するもので、かつ、自らにとって不利益を生じさせる自己の租税債務を明らかにする行為であるところに自署押印の意義があります。

納税申告書の内容が納税者の真意に基づくものであることを明確にすることです。


電子申告では自署押印不要

それほど重視されていた自署押印が、電子申告ではあっさりと無視されています。

財務省の、税制改正解説書では、税理士が納税者から依頼を受けて作成して送信する税務書類については、「公共的使命を負った税理士が税理士業務として作成し、税理士の電子署名を付して送信するものであり、税理士により依頼者の本人確認等がなされていることから、依頼者の電子署名等まで求めなくとも問題ないと考えられるから」としています。


根拠法は何か、税法での根拠は
電子申告の根拠法は、税法ではなく、総務省管轄の行政手続電子化法です。

細目は、各省庁の定める省令(規則)に委ねられており、国税に関しては財務省の国税電子化省令が定めるところとなっています。

電子申告は、紙ベースのものを電子化することが趣旨だったのですが、それに止まらず、税法における申告等手続規定の実質的な改変をしています。

その結果、税法では、懲役刑を科されるようなことになっていても、電子申告に係る法律の中では適法となるような矛盾した状態になっています。


税法と電子化法との適用関係

法律と法律の間には、矛盾した規定が存在することがあります。

〇〇法の第〇条の規定に拘わらず、との前置きがあれば優先劣後の関係は明確ですが、それが不明なときは、一般法に対して特別法が優先して適用されます。

税法本法と租税特別措置法との関係と同じです。

国税諸法と行政手続電子化法の国税部分との関係も一般法と特別法の関係として理解することになります。

2014年06月23日

高齢者向けの住まい

介護保険も利用できる高齢者の住まい

高齢者が自宅での生活を引き払い、高齢や向け住宅に入居したいと思ったときに、何を基準に住宅選びをしたらよいのでしょうか。

費用負担や介護サービスも様々であり本人あるいは家族が望む住まいを検討し選択する必要があります。


主な高齢者向け住宅


①有料老人ホーム

有料老人ホームは住まい食事、生活支援のサービスが一体となっていて介護サービスも同一事業者が提供をしている場合が多いです。

費用負担は最も大きくなります。

②サービス付き高齢者向け住宅

安否確認、生活相談の提供、食事の提供が主で介護医療サービスは外部事業者で別にする場合もあります。

一般的にはまだ十分な介護は必要ない方向けと言えるでしょう。費用は提供内容で異なります。

③ケアハウス

軽費老人ホームは費用負担は少ないのですが主に自立した高齢者向け住宅です。

生活コストを抑えながら高齢者に配慮した住宅です。

介護サービスは提供されない場合もあります。

④特別養護老人ホーム

費用負担は比較的少ないですが待機の場合があります。

介護度の高い方が多く、4人部屋等もあり、プライベート空間が少ない場合もあります。

高齢者住宅を選択するポイント

①職員の配置

受けたいと思うサービス内容に人員配置がどのようになっているのか。

介護保険では例えば有料介護老人ホームでは3人の要介護者に対して1人以上の介護、看護職員の配置が義務付けられています。

②職員の資格

専門的な技術や知識を活用して入居者の介護をする「介護福祉士」、身体機能の維持回復を図るトレーニングサポートをする「理学療法士」や「作業療法士」等の資格を有する職員の配置。

③夜間の勤務体制
緊急時に対応ができる体制になっているか。

夜勤は夜間に寝ずに勤務すること、宿直は寝泊まりする職員がいることを指します。

④医療・介護ニーズへの対応

入居時に自立していても入居後に医療や介護が必要になった時に入居し続けられるのか、例えばケアハウス等は介護サービスがない場合もあり、再度の住み替えもありえます。


2014年06月20日

資本金の額と法人税額

法人税では、資本金の額によって課税所得金額に適用される税率、また課税所得金額の算定の基礎なる各種特例の適用にも差異があります。

資本金の額1億円超の法人では、適用税率はもとより、次のような課税の特例適用は認められていません。

①交際費等の定額控除

②貸倒引当金の繰入

③一括評価貸倒引当金の法定繰入率

④少額減価償却資産の取得価額の損金算入

⑤特定同族会社の特別税率の不適用

⑥青色欠損金の繰戻還付

⑦青色欠損金の全額控除の適用

など


会社法の定め

会社法では、株式会社は、その資本金の額を限度として、一定の手続きを経ることで、いつでも資本金の額を減額、すなわち減資することができます。

したがって、資本金1億円以下が経営上許されるのであれば、減資も一考です。

減資の殆どは無償減資、すなわち資本金の額をその他資本剰余金に振替えるだけのもので、株主資本の部の内部移動です。

有償減資は、資金の社外流出、株主にみなし配当課税が生じ、継続企業を前提する限り現実的な手法ではありません。

極端な話ですが、資本金の額を零にし、当該資本金全額をその他資本剰余金に振替えることもできます。
この場合、資本金が零ですから、「資本金を有しない法人に該当するのでは」との疑義が生じます。

資本金を有しない法人

資本金を有しない法人と判断された場合、法人税の課税所得の計算に差異が生じる場面は、

①一般寄付金の損金算入限度額の計算

②交際費等の損金不算入の定額控除額

などです。

前者は、所得金額のみで限度額を計算(所得金額の100分の1.25)、後者は、簿価純資産価額を基準として定額控除額を計算します(簿価純資産価額の100分の60)。

しかし、課税実務では、会社法の適用を受ける法人は、法人の設立根拠法に資本金制度そのものが存在していることから、「たとえ資本金が零でも資本金を有しない法人には該当しない」として取扱っています。


資本金等の額を基準とする制度

なお、資本金等の額が基準となっている制度もあり、減資の効果が期待できない場合があります。

みなし配当の計算、一般寄付金の損金算入限度額、法人住民税の均等割などがその例です。

2014年06月19日

時効の中断

権利を行使しないで債権を放っておくと、一定期間の経過により権利が消滅してしまいます(消滅時効,正確には債務者が時効の利益を享受するという意思表示=援用をして初めて権利が消滅します)。

では、そのような事態に陥らないようにするためにはどうしたらよいでしょうか。

債務者に履行してもらうのが一番ですが、世の中そう上手くは行きません。

民法は消滅時効の期間の経過をリセットさせる手段として民法は時効中断という制度を用意しています(民法147条以下)。

時効中断事由は、①請求、②差押え、仮差押え又は仮処分、③承認です(民法147条)。

①請求は、裁判外で債務者に催告(=履行を促すこと)しただけでは時効中断の効果は生じず、催告から6ヶ月以内に裁判上の請求(訴え提起)や支払督促の申立て等をしなければ時効中断の効果は生じません(民法153条)。また、訴えを提起しても訴えが却下された場合や訴えを取り下げた場合には時効中断の効果は生じません(民法149条)。

②差押え、仮差押え又は仮処分は、民事執行手続や民事保全手続において債権の存在を前提として進められる権利行使の一手段です。

③承認は、時効の利益を受ける者が自ら進んで権利の存在を権利者に対して表示することです。例えば、債務者が債務の一部を弁済したり、弁済の猶予を依頼したりする行為が該当します。

回収が困難な債権(決算時の科目内訳書に何年も記載されている売掛金等)は一度時効期間を確認してみてください。

消滅時効の期間が迫っている場合にその後も債権として保持しておきたいときは、時効中断の手段が必要になります。

2014年06月18日

海外渡航費の取扱い

経済の国際化に伴い、商談、工場視察、研修などのために海外に出張することは一般的となっています。

海外出張のために会社が支出する航空運賃、宿泊費などを、一般に「海外渡航費」と呼んでいます。

海外渡航の課税上の取扱いは原則的には、その海外渡航が会社の業務の遂行上必要なものであり、かつ、通常必要なものと認められる場合には、国内出張の場合と同様、会社側は旅費としての経費計上が認められ、役員・従業員など個人に対しては旅費の非課税が適用されます。


業務上必要と認められる海外渡航

海外渡航が会社の業務の遂行上必要なものであるかどうかは、その旅行の目的、旅行先、旅行経路、旅行期間等を総合的にみて、実質的に判定することになります。

例えば、次のような場合、通常は会社の業務遂行上必要なものといえます。

① 取引先との商談、契約の締結

② 取引先の工場、店舗等の視察、見学

③ 展示会、見本市等の見学

④ 市場、流通機構等の調査

⑤ 国際会議への出席

⑥ 海外セミナーへの参加

⑦ 同業者団体又は関係官庁等への訪問

ただし、不当に多額と認められる日当や明らかに個人的な費用とみられるものは、旅費としての非課税の適用は認められません。


業務上必要とは認められない海外渡航

次に挙げるような海外渡航は、原則として会社の業務の遂行上必要な海外渡航に該当しません。

① 観光渡航の許可を得て行う旅行

② 旅行あっせんを行う者等が行う団体旅行に応募してする旅行

③ 同業者団体その他これに準ずる団体が主催して行う団体旅行で主として観光目的と認められるもの

業務遂行上必要と認められない場合、役員・従業員に対する給与として課税され、役員の場合には、法人税の取扱い上、役員賞与として、損金の額に認められないということになります。

ただし、上記に該当する場合であっても、その仕事の内容等からみて会社の業務にとって直接関連のあるものがあると認められるときは、会社の支給するその海外渡航に要する旅費のうち、直接関連する費用は、旅費として損金の額に算入されます。


業務遂行と観光目的の旅行を併せて行った場合

その海外渡航の旅行期間にわたり会社の業務の遂行上必要と認められる旅行と認められない旅行とを併せて行ったときは、その海外渡航に際して支給する旅費を会社の業務の遂行上必要と認められる旅行の期間と認められない旅行の期間との比率等により按分し、必要と認められた金額は旅費として計上し、必要と認められない部分の金額については、役員・従業員に対する給与となります。


このように、海外渡航費については、国内出張の旅費に比べて、その海外渡航が業務遂行上必要なものであるかどうかを、より明白にしておくことが大切です。

2014年06月17日

トライアル雇用奨励金

「トライアル雇用奨励金」は、職業経験・技能・知識等の不足などから就職が困難な求職者を、期間の定めの無い雇用に移行する事を前提にハローワークの紹介により一定期間試行雇用した場合に助成が行われます。

以前は対象者ごとの制度でしたが平成25年5月から対象者要件を見直し、フリーター、ニート等の若年者、中高年者、母子家庭の母等、安定的な職業に就く事が困難な者についてより広く活用できるよう制度が一本化されました。(障害者トライアル雇用を除く)


対象となる事業主の要件


①ハローワークに求人を出す際にトライアル雇用を利用したい旨を伝える。

職安紹介で原則3か月のトライアル雇用として雇う


②対象労働者の被保険者資格取得を行うこと


③過去6か月前からトライアル雇用終了日までに雇用保険の被保険者を事業主都合で離職させていないこと


④過去3年間において、対象労働者を雇用した事が無く、対象労働者について職場適応訓練を行ったことが無いこと

対象となる労働者の要件

次のアからエのいずれかに該当する者、職業経験、技能、知識等から安定した職業に就く事が困難な求職者でハローワークがトライアル雇用を実施することが必要であると認めた者

ア、これまでに就労の経験の無い職種、または業務に就くことを希望する者

イ、2年以内に2回以上離職、転職を繰り返していて今後長期的な職業を希望する者

ウ、直近で1年を超えて失業している者

エ、就労にあたって特別の配慮を有する者・・母子家庭の母、父子家庭の父、生活保護受給者、季節労働者、中国残留邦人等永住帰国者、その他トライアル雇用が必要と認められる者


支給額は

対象1人につき月額4万円(1か月単位で最大3か月)支給。

トライアル雇用終了日の翌日から起算して2か月以内にハローワークに支給申請書を提出します。

なお、やむを得ず、本採用に至らなかった場合でも奨励金は支給されます。


2014年06月16日

酒類販売管理協力員

酒類販売管理協力員の募集

各国税局は毎年6月になると「酒類販売管理協力員」の募集をしています。

7月から翌年1月までの半年間の期間限定の出来高払い制アルバイトです。

募集人数は全国で2,000名程度で、業務実施1件当たり1,000円(含交通費)が、報酬です。

採用条件は20歳以上で、酒について通常程度の知識・情報があり、税務署にちょくちょく行ける人、といったところです。

応募用紙を見ると、予め「専業主婦」と「学生」とがプレ印刷してあり、該当者はチェックマークをつけることにしているので、この層が応募想定者のようです。


酒類販売管理協力員の仕事

自宅周辺での買い物等の機会を利用して、お酒を小売りしているお店に立ち寄り、未成年者飲酒防止に関する表示等を確認し、その表示内容の遵守状況等を確認し、その内容を所定の用紙に記載して、所轄税務署に提出することです。

業務の目的は、未成年者飲酒禁止法の実効性を確保することです。

自己飲用目的の未成年者の酒類購入と知りながらの販売行為には、酒販店に罰金刑が課され、酒類販売免許取消しとなります。

酒販店には顧客の年齢確認も義務付けられています。


自販機の未成年者対策

小売酒販の業界として自販機撤廃、もしくは成人識別機能付き機への転換を推進しています。

識別不可の従来型機では年齢確認できないので、酒販店は自主的に深夜(午後11時~翌朝5時まで)稼動停止をしています。

識別不可の酒自販機数は平成8年3月末現在に全国で185,829台あったのに対し、平成24年3月末は6,652台(残存率3.6%)と激減しています。

札幌がベストで0.8%、大阪がワーストで5.3%です。


酒類販売管理協力員の誓約書

酒類販売管理協力員応募者は応募と共に次の項目の誓約書も同時提出します。

1 誠実に業務遂行し虚偽報告はしない

2 中立・公平・適正な業務実施と収賄拒絶

3 酒類販売管理協力員の名称・身分の悪用をしない

4 自己責任での良識ある業務遂行

5 守秘義務の遵守

6 酒類販売管理協力員運営要領に基づく委嘱取消への不服従の禁止

2014年06月13日

不法行為による損害と賠償請求権

不正行為と損害賠償請求権

悲しいことですが金銭を扱う仕事の周辺には詐欺・横領などの不正行為のニュースが絶えることがありません。

私法上では不正行為を受けた場合には、その損害と同時に損害賠償請求権を取得するものと解されています。

これを法人税務ではどのように取扱うのかという議論は、従来より絶えませんが、財産の損害(損金)と損害賠償請求権(益金)を「ひもつき」と見るか「切り離して」見るかによる「同時両建説」と「異時両建説」の立場があります。


同時両建説―損失と賠償権を「ひもつき」

これはS43最高裁判決において社長の横領行為による損失とこれに対する損害賠償請求権の計上時期の判断について示された考え方です。

仕訳で示すと、

(横領損失)×× / (仮払金)××

(未収賠償請求権)×× / (雑益)××

となり、損失発生年度に同額の損金・益金を認識します。

結果的にはこの事業年度で損益は計上されません。

この「同時両建説」は、損害と賠償請求権が同時発生するという私法の発想にも合致します(未収賠償金が回収不能ならば、後に貸倒損失を認識)。


異時両建説―損失と賠償権を「切り離し」

その後、S55に実務から発達したものとして法人税基本通達2-1-43が登場します。

これは「他の者から支払いを受ける損害賠償金」は「支払いを受けるべきことが確定した日(または実際の支払日)」の属する事業年度に益金算入するという取扱いです。

この考え方を用いれば、左の「横領損失」が損失発生年度に先行して計上され、「賠償金」は後の「確定した日」に計上されます。

これを「異時両建説」といいます。

ただし、この通達は加害者を「他の者」(第三者)とする不法行為をカバーするものであり、「他の者」でない役員や従業員については個々の事情で判断されると解されます。


横領された本人は「発生」など分からない!

そもそも横領などの不正行為があったとしても、その時点では把握することは困難であり、後日発覚するというケースが多いはずです。

経理部長の横領行為が税務調査で発覚した某事件では、損害賠償金の計上時期を「賠償請求権の行使が事実上可能となった時(法人がその損害の発生と加害者を知った時)」とする判決が出されています。

2014年06月12日

債権の消滅時効

債権とはある者(債権者)が特定の者(債務者)に対して一定の行為(給付)をするように要求する権利のことを言います。

貸したお金を返してもらう権利である金銭債権(貸金返還請求権)は典型例です。

では債権の消滅時効は何年でしょうか?

民法では債権の消滅時効は原則10年と定められています(民法167条1項)。

10年間何もせずに放っておくと返してもらうことができなくなるのです。

この消滅時効の期間には例外があります。

主なものを挙げると

①定期給付債権の短期消滅時効(5年)

年又はこれより短い時期によって定めた金銭その他の物の給付を目的とする債権は5年間行使しないときは、消滅する。(民法169条)

例えば、アパートの大家さんの家賃支払請求権がこれに該当します。


②1年の短期消滅時効

次に掲げる債権は、1年間行使しないときは、消滅する。

1.月又はこれより短い時期によって定めた使用人の給料に係る債権

2.自己の労力の提供又は演芸を業とする者の報酬又はその供給した物の代価に係る債権

3.運送賃に掛かる債権

4.旅館、料理店、飲食店、貸席又は娯楽場の宿泊料、飲食料、席料、入場料、消費物の代価又は立替金に係る債権

5.動産の損料に係る債権

例えば、飲み屋さんのツケは1年間請求しないで放っておくと、お客さんに支払ってもらうことが出来なくなりますので注意が必要です(任意に支払ってもらうことは可能です)。

③商事消滅時効(5年)

商行為によって生じた債権は、この法律に別段の定めがある場合を除き、5年間行使しないときは、時効によって消滅する。ただし、他の法令に5年間より短い時効期間の定めがあるときは、その定めるところによる。(商法522条)

商行為は取引の当事者両方にとって商行為である必要はなく、一方にとって商行為であれば商事消滅時効が適用されます。

例えば、銀行がお金を住宅取得資金として顧客に貸した場合、銀行にとっては商行為ですが、借りる人にとっては商行為ではありませんが、銀行の貸金返還請求権は商事消滅時効(5年)が適用されます。

では、消滅時効の完成を防ぐためにはどうしたらよいでしょうか?

次回は「時効の中断」について解説します。

2014年06月11日

復興特別法人税の前倒し廃止

復興特別法人税は、東日本大震災からの復興を目的として、必要な財源を確保するために、平成24年度の税制改正により創設されたものです。

各事業年度の法人税の額に10%の税率を乗じて計算した税額を、申告・納付します。

当初は、指定期間である平成24年4月1日~平成27年3月31日までの期間内に、最初に開始する事業年度開始の日から同日以降3年を経過する日までの期間内の日の属する事業年度が対象とされていました。

つまり、3月決算法人であれば、平成25年3月期から平成27年3月期までの3期分が課税期間となります。

平成26年度の改正により、この指定期間が「平成24年4月1日から平成26年3月31日までの期間」に短縮され、復興特別法人税は1年前倒しで廃止されることになりました。

廃止となった理由としては、法人税減税により賃金引上げを含む経済の好循環につながる、法人税率引き下げにより、外国企業の誘致を促進し国際的競争力を高める、などが挙げられています。


復興特別法人税は廃止されますが、復興特別所得税は平成49年12月31日まで継続しています。

法人が受ける利息や配当などについて源泉徴収される復興特別所得税は、改正前は、復興特別法人税とみなして、復興特別法人税から控除しており、法人税から控除することはできませんでした。

しかし、今回の改正により、復興特別法人税が廃止となり、復興特別所得税を控除することができなくなるため、改正後は、通常の源泉所得税と合わせて、法人税から控除することになります。

控除しきれない場合には、これまでと同様に、還付を受けることができます。

2014年06月10日

収用等の補償金の 所得税課税上の取扱い

収用等による資産の譲渡課税

収用等により資産を譲渡し、補償金等を取得した場合、5,000万円の特別控除や代替資産の取得による課税の繰延等といった税の優遇制度が設けられています。

前者の特別控除とは、収用等による資産の譲渡所得の金額(譲渡益)から5,000万円(譲渡所得の金額は5,000万円に満たないときはその金額)が特別に控除され、課税所得が軽減される、というものです。

一方、後者の代替資産の取得による課税の繰延とは、収用等によって取得した補償金等の全部で代替資産を取得したときは譲渡がなかったものとされ、譲渡所得は課税されません。

また、補償金等の一部で代替資産を取得したときは、代替資産の取得に充てられた補償金等に対応する部分の譲渡がなかったものとされ、残りの補償金等についてだけ譲渡所得が課税されます。

なお、収用等により譲渡した資産の取得費のうち、譲渡がなかったものとされる部分に対応する金額は、代替資産に引継がれます。


各種補償金の原則的な取扱い

収用等に際しては、土地等の買い取りの対価としての補償金(対価補償金)のみならず、これに関連するすべての費用、損失等が補てん・補償されます。

例えば、収益補償金、経費補償金、移転補償金などがその例です。

この場合、これら取得した補償金のすべてが、課税の特例の対象になるというわけではありません。

特例の対象になるのは、原則、土地等の買い取り部分に対応する対価補償金のみで、他の補償金は事業所得等の収入金額あるいは一時所得の収入金額となります。


例外的な取扱い(補償金の内容を吟味)

しかし、課税実務では、納税者に有利な幾つかの例外的取扱いを認めています。


1)建物等の移転補償金について

移転ではなく、現実に建物等を取壊したときは、移転補償金は対価補償金とする。


2)収益補償金のうち建物の収用等に伴って支払われる営業・家賃減収補償金

この収益補償金は、その建物の対価補償金として取扱われた金額が当該建物の再取得価額に満たないとき、その満たない金額を、又は不明なとき、その建物の対価補償金の額に当該建物が木造等である場合は100/65、その他の構造である場合は100/95を乗じて算出した金額を同建物の対価補償金に振替えることができます。 
 

2014年06月09日

法人税の青色欠損金繰越控除と申告要件

青色申告書を提出した事業年度に生じた欠損金(以下「青色欠損金」)の繰越は、平成23年12月の税制改正において、「前7年以内に開始した事業年度」から「前9年以内に開始した事業年度」に改正されました。

なお、この改正は、平成20年4月1日以後に終了した事業年度において生じた欠損金について適用されます。

また、中小法人等以外の法人にあっては、繰越控除できるのは、各事業年度の所得の金額の80%に相当する金額が限度とされました。


連続して確定申告書の提出が要件

青色欠損金額の繰越控除、すなわち、青色欠損金額をその後の事業年度において損金の額に算入するためには、青色申告書を提出した事業年度からその事業年度まで連続して確定申告書を提出していることが要件となっています。

この「連続して」という意味は、青色欠損金を損金の額に算入しようとする事業年度に係る確定申告書の提出時において、「青色欠損金の生じた事業年度以後の各事業年度」について確定申告書が提出済であることと解されています。つまり、無申告の事業年度がないことが前提とされています。


遡って確定申告書を提出してもダメな場合

例えば、青色欠損金を損金の額に算入しようとする事業年度に係る確定申告書を提出した後に、当期前の各事業年度で無申告であった事業年度に係る確定申告書を提出した場合はどうなるかですが、前述の「連続して」の意味から、この場合は、青色欠損金の生じた事業年度から当期まで連続して確定申告書を提出していることになりませんので、青色欠損金を損金の額に算入することはできない、ということになります。


期限内申告が要件ではない

各事業年の確定申告書の提出期限ですが、条文上、期限内申告を要件としていませんので、期限後申告であっても青色欠損金を損金の額に算入しようとする事業年度に係る確定申告書を提出する前までに確定申告書を提出すればよいことになります。

 もっとも、期限後申告が2事業年度連続して続くと、「青色申告の承認の取消し」要件に該当し、その後の事業年度の申告書は白色申告書になりますが、それでも青色欠損金の繰越控除の適用は可能です。

なお、欠損金額の生じた事業年度に係る一定の帳簿書類の保存も要件です。

 

2014年06月06日

非嫡出子相続違憲判決と国税庁の対応

婚外子(非嫡出子)差別規定

民法900条には「嫡出でない子の相続分は、嫡出である子の相続分の2分の1」という規定があります。

人口動態統計によると、全出生数に婚外子が占める割合は年々増加しており、2011年で2.2%、毎年2万人以上が婚外子として生まれています。

2012年末現在、遺産分割家裁係属婚外子案件は176件あります。

婚外子差別規定は、欧米諸国にはなく、韓国や中国にもなく、世界的にも限られた状況にあり、国連はこれまで計10回、日本に是正を求める勧告をしてきました。


最高裁の違憲判決

昨年9月4日、最高裁は大法廷の全員一致の決定として、婚外子の相続差別を定めた民法の規定を違憲としました。

1995年の大法廷では、「立法府に与えられた合理的な裁量判断の限界を超えたものではない」との理由で合憲としていましたが、今回は、「法律婚制度は日本に定着してはいるものの、結婚や家族のあり方、それに対する国民の意識が大きく多様化しており、親を選べない子に不利益を与えることは許されない」としました。

1898年に旧民法公布以来115年間続いてきた規定に対する違憲判断でした。

国税庁の対応

最高裁は、「遅くとも2001年7月当時においては憲法違反であった」としたので、国税庁は、2001年7月以後に開始した相続で、本年9月5日以後に期限内申告、期限後申告及び修正申告または更正処分や決定により相続税額が確定するものには、婚外子(非嫡出子)を差別しないところの相続税額の計算をすることにしました。

例えば、法定相続人が嫡出子と非嫡出子の2人のみの場合、従来なら嫡出子は3分の2、非嫡出子は3分の1が相続分となりますが、今後は嫡出子も非嫡出子も2分の1となりますので、ケースによっては相続税の総額が少なくなります。

ただし、最高裁は、この違憲判断が「すでに確定的なものとなった法律関係にまで影響を及ぼすものでない」としているので、国税庁も、過去の申告において婚外子規定を適用して相続税額の計算を行っているという理由のみでは更正の請求の対象にはならないとしています。

2014年06月05日

弁護士報酬の自由化

弁護士の報酬の基準は、以前は日弁連及び各弁護士会の報酬規定があり、その規定に従って報酬額が決定されていましたが、弁護士法の改正により同報酬規定は平成16年3月3日をもって廃止され、現在は自由化されています。

自由化されたとは言え、多くの弁護士事務所では、旧規定に沿って報酬規定を定めている事務所が多いです(当事務所も旧報酬規定に準じて報酬を定めています)。

最近は、相談料無料の法律事務所が多くなってきました。

全ての相談が無料ではなく、債務整理相談や交通事故相談に限って無料という事務所もあります。

相談に来られる際の一定の交通費まで負担するという法律事務所まであります。

相談料無料の法律事務所は、ホームページで多くの相談者を集客して、相談者の中から受任に繋がることを目的としているかと思いますが、多くの相談者に対応するための人員が確保されていないと採算が取れないと思います。

相談料を無料にすることは、気軽に相談できるという点では良いことかもしれませんが、一方で、法律では解決できないような生活相談のような相談が増えることが懸念されます。

個人的には、事件の受任に繋がらなくても法律相談で解決する場合もありますので、そこには対価が発生して然るべきであると考えています。

また、旧報酬規定では認められていなかった報酬の定め方として、完全成功報酬制があります。

弁護士の報酬は、事件を受任した際の「着手金」と、事件終了時に依頼者が得た経済的利益に応じた「報酬金」によって構成されますが、着手金を取らず報酬金のみしか発生しないのが完全成功報酬制です。

交通事故の被害者側の民事事件のように保険会社を相手に確実に報酬が見込まれるような案件で完全成功報酬制を採っている法律事務所が最近は多くあります。

弁護士報酬が自由化されたことにより、依頼者にとって選択の余地ができて良いことかもしれませんが、事件終了時にトータルでいくら費用が掛かるのかを確認してから依頼するようにした方が良いでしょう。

価格の低下に比例してサービスも低下しては結果的に依頼者が損害を被るだけですので、一定の歯止めは必要ではないかと思います。

2014年06月04日

出張キャンセルされると、経理は大変

業務に伴う出張の処理

業務に伴い出張する場合、ホテル・新幹線・飛行機の予約をした場合には、出張日よりかなり前に代金の決済を行います。

また旅行業者に任せた場合でも、代金の決済は、出張日より前となります。

この時の経理処理は以下のようになります。

出張費****/現預金****

当然に国内出張であれば消費税は課税取引となります。

キャンセルの場合

しかし、業務の都合で突然キャンセルとなった場合、キャンセル料が発生し、支払った出張費の一部または全額が戻ってこない場合があります。

一部返金があった場合は、返金分を戻して出張費をマイナスし、返金がない場合はいずれにしろ経費ですからそのままにしてしまいがちですが、出張費とキャンセル料では、消費税の取り扱いが違います。


キャンセル料とは

実は、いわゆるキャンセル料といわれるものの中には、その解約に伴う事務手数料としての性格のものと、解約に伴い生じる逸失利益に対する損害賠償金としての性格のものとの二つがあります。

前者の解約に伴う事務手数料としての性格の場合は、解約手続き等の事務を行う役務の提供の対価だから課税取引となります。

一方、後者の場合には、相手方が本来得ることができたであろう利益がなくなったことの補てん金だから、資産等の譲渡等の対価に該当せず、不課税取引となります。


キャンセル料の経理処理

そこで経理処理は以下となります。

雑損失 逸失利益/出張費****

雑費 事務手数料/

現預金 返金分 /

雑損失は不課税取引、雑費は課税取引、返金がない場合は現預金は発生しません。

なお、解約等に際し授受することとされている金銭のうちに、役務の提供である解約手数料等に相当する部分と逸失利益等に対する損害賠償金に相当する部分とが含まれている場合、キャンセル料の性格の区別がされていないで一括して授受することとしているときには、全額を不課税取引として取り扱うこととされています。

2014年06月03日

生産性向上設備投資促進税制

生産性向上設備投資促進税制は、質の高い設備の投資について、即時償却または最大5%の税額控除が適用できる税制措置です。


企業内部における新陳代謝を活性化するとともに、民間投資を活性化することを目的としています。

産業競争力強化法の施行の日である平成26年1月20日から平成29年3月31日までに取得等をし、かつ、事業の用に供した対象設備について、特別償却と税額控除のどちらかを選択適用することができます。


① 平成26年1月20日~平成28年3月31日の取得

特別償却 : 即時償却

税額控除 : 5%(建物・構築物 3%)


② 平成28年4月1日~平成29年3月31日の取得

特別償却 : 50%特別償却(建物・構築物 25%特別償却)

税額控除 : 4%(建物・構築物 2%)

※平成26年4月1日前に終了した事業年度においては、当該事業年度ではなく、平成26年4月1日を含む事業年度(翌事業年度)において適用

※税額控除額は、税額控除を行う事業年度の法人税額の20%が上限


具体的に対象となる設備は、「先端設備(A類型)」と「生産ラインやオペレーション の改善に資する設備(B類型)」とに分かれています。

A:先端設備

対象設備:機械装置、工具、器具備品、建物、建物附属設備、ソフトウエア

※機械装置以外は一部の設備のみ。

※サーバー及びソフトウエアについては中小企業者等が取得するものに限る。

要件:


・最新モデルであること


・生産性が年平均1%以上向上していること


・一定の価額以上であること

機械装置:160万円

工具及び器具備品:120万円(単品30万円以上かつ合計120万円)

建物:120万円

建物附属設備:120万円(単品60万円以上かつ合計120万円) 

ソフトウエア:70万円(単品30万円かつ合計70万円)

必要手続:設備メーカーから、証明書を受け取る。


B:生産ラインやオペレーションの改善に資する設備

対象設備:機械装置、工具、器具備品、建物、建物附属設備、構築物、ソフトウエア

要件:

・投資利益率が15%以上(中小企業者等は5%)であること

投資利益率=(営業利益+減価償却費)の増加額 / 設備投資額


・一定の価額以上であること

機械装置:160万円

工具及び器具備品:120万円(単品30万円以上かつ合計120万円)

建物及び構築物:120万円

建物附属設備:120万円(単品60万円以上かつ合計120万円) 

ソフトウエア:70万円(単品30万円かつ合計70万円)

必要手続:

投資計画を作成し、公認会計士又は税理士の事前確認を受けた上で、経済産業局へ申請。


設備投資を考えている企業や事業者にとっては、設備投資を決断する良い機会かもしれません。

詳しくは、経済産業省のホームページなどをご参照ください。

2014年06月02日

医療法人の社員と出資

社員と言えば、一般的に社団法人等の構成員をさします。

株式会社では社員=株主、持分会社でも社員=出資者、また、中小企業等協同組合であれば組合員=出資者です。                  

しかし、持分の定めのある医療法人にあっては、必ずしも社員=出資者ではありません。

社員(出資)の権利

社員たる地位は、いわゆる社員権は社団の特殊性によりその権利に差異があります。

社員権には、一般的に、共益権と自益権があると言われ、前者は議決権であり、後者は配当請求権、残余財産分配請求権、持分の払戻し請求権等です。

この社員権は、一定の制約はあるもののそれ自体譲渡等の対象となって、投下資金の回収や所得等をももたらします。

そのため、その地位は相続税・贈与税の課税の対象になります。

医療法人の出資の特殊性

持分の定めのある医療法人の出資者としての社員権は特殊です。医療法人の社員権、共益権は一身専属でその譲渡はできず、譲渡できるのは、自益権(出資持ち分)だけです。

もちろん、その譲渡はまったく自由で、非公開株式会社や持分会社、協同組合等のような制限はありません。

出資者たる社員の自益権(財産権)

また、医療法人は剰余金の配当が禁止されていることから、持分の定めのある医療法人の社員である者の出資の財産権は、持分の払戻し請求権と残余財産分配請求権だけです。

この持分の払戻し請求権は、社員資格を喪失(退社・死亡)したときに請求することができます。

また、社員の死亡の場合は、その相続人は「出資持ち分」を相続することに代えて「払戻し請求権」を相続することもできます。

この払戻し請求権、時効は10年です。

出資者たる非社員の自益権(財産権)

一方、非社員の出資者には、持分の払戻し請求権はなく、残余財産分配請求権のみです。

したがって、その相続人は、その出資持ち分たる残余財産分配請求権のみを相続するだけです。

医療法人が解散しない限り、その価値は実現しません。

まさに、社員か非社員かでその取扱い雲泥の差です。

にもかかわらず、社員と非社員のその出資持ち分の相続税・贈与税の評価額は同じです。

非社員の相続人は、その財産権を復活させるためには、社員となるか、それとも出資持ち分を当該医療法人の社員に譲渡する以外にないようです。

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