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2014年05月 アーカイブ

2014年05月30日

事業主も加入できる労災の特別加入制度


特別加入制度とは

労災保険は本来、労働者の業務又は通勤による災害に対して保険給付を行う制度ですが、労働者以外の方のうち、その業務の実情、災害の発生状況から見て、特に労働者に準じて保護する事が適当であると認められる一定の方については労災に任意加入することができ、これを特別加入制度と言います。

特別加入できるのは中小企業を経営する「中小企業事業主」、個人タクシー等労働者を使用せず事業を行う、いわゆる「一人親方」、海外に出向させる「海外派遣従事者」、特定作業従事者(農業従事者等)です。

中小企業事業主の特別加入

中小企業事業主が特別加入するには、次の条件が必要です。(人数規模は企業単位)


①常用労働者数が次の範囲の事業主

ア、労働者数50人以下・・金融業、保険業、不動産業、小売業

イ、労働者数100人以下・・卸売業、サービス業

ウ、労働者300人以下・・上記以外の業種


②労働者以外で、事業に従事する事業主の家族、法人役員等

また、継続して労働者を使用していなくても1年に100日以上使用している場合は常用労働者を使用していることとします。


一人親方その他の自営業者の特別加入

労働者を使用しないで次の①~⑦の事業を行う事を常態とする方が対象です。

①自動車を使用する旅客、貨物運送の事業

②建設の事業(大工等の他、大震災後除染)

③漁船で水産動植物を採捕する自営漁業者

④林業の事業

⑤医薬品配置販売(薬事法30条許可者)

⑥再生資源の収集、運搬、選別、解体作業

⑦船員法適用の船舶に乗り込んでいる場合


加入の手続きと給付基礎日額

特別加入するには事務を取り扱う労働保険事務組合を通じて加入することになります。

保険給付は、一般の労災保険と同様の給付が受けられますが、保険料の支払いは、給付基礎日額を選択し、所定の保険料率を乗じて保険料額が決まります。

給付基礎日額は、今までは3,500円、4000円以下、1000円から2000円刻みで設定され、2万円が上限でしたが、選択の幅が広がり平成25年9月から22000円、24000円、25000円が新たに選択できるようになりました。

2014年05月29日

士業のホームページの流行

最近、士業のホームページで流行っている方法は、メインとなる事務所のホームページとは別に特定の業務分野に特化したホームページを持つことです。

「相続センター」や「登記センター」等と事務所名を正面に出さない名称のホームページが多いかと思います。

名称の前に地名を付けることが多いことから、公的機関のように錯覚していまいます。

こういった流行はWEBマーケティングの専門業者が作っているのではないかと推測されます。

注意しなければならないのは、「センター」と言ってもそこで全てが解決する訳ではないということです。

例えば、税理士が相続の専門サイトを設けていても、税理士は相続税の申告代理をするのみですから、遺産分割で争いがあれば弁護士が交渉に当たらなければなりませんし、相続登記は司法書士がしなければなりません。

そこで表示されている料金は大体の場合はその士業が出来る範囲の料金ですので、事案によっては他の士業に依頼しなければならないので注意が必要です。

弁護士業界でも、貸金返還の過払請求の債務整理専門サイトから始まり、離婚や刑事事件の専門サイトを設けている事務所が多いです。

最近では交通事故の専門サイトの登場が多いように思います。

ホームページは広告ですので、よく内容を確認してから依頼することをお勧めします。

2014年05月28日

消費税率引上げに伴う変更契約書の印紙税

消費税率引上げに伴い、既存の請負契約等について、税抜きの契約金額に変更はないが、新たに課される消費税等相当額のみを増額するために、変更契約書を作成する場合があります。

これらの変更契約書が、以下の要件を満たす場合、「契約金額の記載のない第1号文書」または「契約金額の記載のない第2号文書」に該当することとなり、一律200円の印紙が必要となります。

①「既に存在している原契約書」が、印紙税法に規定する第1号文書(不動産の譲渡等に関する契約書)、第2号文書(請負に関する契約書)または第7号文書(継続する運送または請負の基本となる契約書で、原契約書に記載された契約期間内のものに限る)に該当している。

② 文書が、新たに課税されることとなる消費税等に相当する金額のみを増額するために原契約書の契約金額または月別金額等を変更する契約書である。


印紙税法では、契約上「重要な事項」を変更する変更契約書を課税対象としていますが、重要な事項と「密接に関連する事項」を変更する場合も課税対象としています。

消費税額の変更は、重要事項である契約金額と「密接に関連する事項」の変更となりますので、課税対象となります。

ただし、文書に記載された新たに課されることとなる消費税等の具体的な金額が1万円未満の場合には「非課税文書」として扱われます。

この新たに課される消費税等の具体的な金額とは、旧税額と新税額の差額となります。

例えば、請負金額100万円の契約において、消費税額が5万円から8万円に増額した場合には、3万円が「新たに課される消費税等の具体的な金額」となります。


消費税等が区分記載されていない契約書の場合には、新たに課される消費税等相当額のみを変更する契約書であっても、契約金額を変更する通常の変更契約書として取り扱われますので、ご注意ください。

2014年05月27日

資本の払戻しと出資の払戻しの違い

資本の払戻し

株式会社では、直接、資本金の額そのものを払い戻す(有償減資)ことはできません。

いったん、資本金の額の減少手続きを実施して、減少した資本金を資本剰余金に振替えて払戻しの手続きを実施する以外にありません。

上記手続きを仕訳で表記すれば次のようになります。
  
資本金/資本剰余金 ×××
 
資本剰余金/現預金 ×××
 
税法においても、資本の払戻しについては、株式に係る剰余金の分配で当該分配が資本剰余金の額の減少を伴うものと定めています。


出資の払戻し等

一方、株式会社の自己株式の取得、持分会社(合同会社には一定の制約がある)や事業協同組合、さらには持分の定めのある医療法人等の出資の払い戻し、持分の払戻し、出資の消却(以下「出資の払戻し等」という。)にあっては、直接、資本金の額または出資金の額を減少(自己株式取得の場合は資本金等の額のマイナス)して実施することができます。


払戻しにおける税務上の異同

資本の払戻しも出資の払戻し等もその払戻しに伴う交付金銭等が資本金等の額を超える場合には、その超える部分の金額についてはみなし配当として取り扱われます。  

また、「交付金銭等の額-みなし配当」の金額は、株式等の譲渡所得等に係る収入金額とみなされています。

それゆえ、取得した株式及び出資金の額が資本金等の額と異なるときは、株式等に係る譲渡損益が生じることになります。

ところで、出資金の払戻し等にあっては、当該払戻しが資本金等の額以下であれば、みなし配当の生ずる余地はありません。

しかし、資本の払戻しに関しては、その払戻しが資本金等の額からなされていても、当該払戻し法人の純資産の部に利益剰余金がある限り、みなし配当が生じます。資本の払戻しには留意が必要です。

なお、出資の払戻しが資本金等の額以下であっても、それが特定の出資者に対するものである場合には、他の出資者にみなし贈与課税が生じるケースもあります。
 

2014年05月26日

社名入りゴルフボール

1. 社名入りゴルフボールは交際費か

「交際費」の実務には、悩ましいものがいくつかあります。

 「カレンダー、手帳、扇子、うちわ、てぬぐいその他これらに類する物品を贈与するために通常要する費用」は交際費等の範囲から除かれます。

この「その他これらに類する物品」は、広告宣伝効果を意図して不特定多数の者に配布するようなものを念頭に置かれています。

会社名や商品名が記されている少額の物品贈答は、あえて交際費と取扱わないという趣旨なのです。

国税職員等が編集に関与している「措置法通達逐条解説」(H19版)には「例えば、社名入りライター、社名入りゴルフボール(1個又は2個程度を配布するものに限る)、価額が少額なシャープペンシルまたはボールペン、社名入り煙草等のようなものである」と記されています。


2.「広告的な意図」を立証できるか否か

ただ、この社名入りライター・ゴルフボール等の例示が誤解を招きやすく、「物品の属性」ばかりに着目して、「広告宣伝的意図」が軽視された表現だとの指摘もあります。

つまり、社名・商品名が入っている少額な物品でも、「配り方」によっては、広告宣伝的な意図がないものとして、交際費認定されるため注意が必要なのです。

ここで「広告宣伝的意図」については、贈答の対象者が「不特定(一般)」か「特定者」であるかがメルクマークとなります。

社名入りゴルフボールが、得意先のゴルフ愛好家に使用されるということならば、「特定者」に対するものであり、広告宣伝というより、「贈答」として捉えられ交際費課税されます。


3. プレーヤー名の印字はアウト

「自社の得意先に一律に交付している」という主張が通れば、広告宣伝費とされる可能性もありますが、現状の税務調査におけるゴルフは、まだまだ「一般レジャー」としては認識されておらず、立証には困難が伴うことが予想されます。

ホールインワンの記念に、社名と共にプレーヤー名を印字して、ケース付で贈呈したとなると、「交際費」認定はまぬがれないでしょう。

2014年05月23日

要件が緩和された非上場株式等の事業承継

非上場株式等の事業承継税制については、アメリカにはありませんが、ドイツ、フランス、イギリスといった主要国において導入されていることから、我が国においても平成21年の税制改正で創設し現在に至っています。

その骨子は、相続及び贈与にて取得する一定の非上場株式等について、その株式等(発行済み株式の3分の2まで)に係る課税価格の80%(贈与税の場合は全額)に対応する相続税額について納税が猶予される、というものです。


使い勝手が悪く課税リスクが大きい

しかし、制度の導入から4年経ってもその適用件数は549件(相続税381件、贈与税168件)と活用されていませんでした。

理由は、この制度を導入しているフランス、ドイツ、イギリスなどと比べてもその適用要件が厳しく、かつ、納税猶予打ち切りに伴う課税リスクが大きく、その利用には躊躇せざるを得なかったのが実情でした。

具体的には、フランス、イギリスなどでは、雇用継続要件などはありません。

ドイツにはありますが、要件を満たさなくなったからといって我が国のように猶予税額全額の打ち切りはありません。

また、猶予税額の免除期間ですが、我が国では後継者が死亡するまでですが、ドイツ、フランスなどは5年程度で猶予税額の全額が免除されます。

さらに、これらの国では、先代経営者の役員継続や親族外承継も認められていますが、我が国では認められていません。


要件が緩和された

経済界からの強い要望で、平成25年税制改正で要件の一部が大幅に緩和されました。
その主なものは次のとおりです。

①雇用要件が「5年間毎年8割維持」が「5年間平均8割維持」になりました。

②納税猶予打ち切りリスクであった利子税の負担が、承継5年超で5年間の利子税は免除されました。

③役員退任要件については、贈与時の役員退任を代表者退任とされました。

④親族でない従業員などへの承継も可能とされました。

⑤猶予税額の計算が有利になるよう、個人債務は株式以外の財産から差し引く方法に改められました。

⑥経済産業大臣による事前確認制度は廃止されました。

なお、これら要件緩和は、平成27年1月1日以降の相続税・贈与税から適用ですが、⑥は平成25年4月1日から実施済みです。

2014年05月22日

レターパック

郵便局で売っているレターパック(以前はエクスパックという名称で販売されていました)。

大事な書類を送る際によく利用しています。


レターパックのメリットは

・郵便追跡が利用できること

・速達に準じた早さで郵送されること

・郵便ポストに投函できること

です。


従来は大事な書類を送る際には、郵便局で書留や簡易書留にして送っていましたが、レターパックの方が使い勝手がよいので、現在は専らレターパックを利用しています。

遠方の登記所に郵送で登記申請する場合にも、レターパックを用いて登記申請をして書類の返却もレターパックで受けることができます。

レターパックの種類はレターパックライト(360円)とレターパックプラス(510円)の2種類あります。

両者の違いは、ライトは厚さ3cmまでと制限があることと、ライトは郵便受けに配達されますが、プラスは配達先に対面で手渡すことです。

両者とも重さ4kgまでという点で共通しています。

ただし、レターパックは書留(簡易書留)と異なり、紛失等の場合に損害賠償はされませんので注意が必要です。

2014年05月21日

消費税法改正 施行日をまたぐ取引

平成26年4月1日の施行日をまたぐ取引については、旧税率なのか、新税率なのか、迷う取引も出てきていると思います。

今回は、施行日をまたぐ取引について、いくつか確認していきたいと思います。


① 売上側と仕入側の計上時期

売上側と仕入側で収益・費用の計上基準が異なる場合であっても、「適用税率」は一致することが、消費税Q&A問1で示されています。

ただし、「計上時期」については、仕入側の仕入税額控除の時期を、売上側の計上時期に合わせることは求められていません。

例えば、3月決算法人が4月初旬に検収基準により仕入れを計上したものであっても、売上側が出荷基準により、施行日前に出荷し、旧税率5%で請求書が送付され支払った場合には、適用税率は旧税率5%により計算しますが、計上時期は、平成27年3月期になります。


② 施行日以後に旧税率5%で領収した場合

施行日以後に資産の譲渡等が行われたものについて、旧税率5%で請求を行い領収している場合、売上側と仕入側で適用税率が一致するからとして、消費税額の計算上も5%によることは認められません。

売上側・仕入側の適用税率の一致は、消費税法上の適正な税率であることを前提としています。

この場合、本来、施行日以後の取引として、新税率8%が適用されるべき取引であるため、領収した金額が5%税込額であっても、8%税込額として消費税を計算することになります。


③ 旧税率5%の請求に対し、新税率8%の税込額が支払われた場合

3月決算法人である売上側が、3月中に出荷基準により旧税率5%で請求した取引について、翌期に、検収基準を採用している仕入側から新税率8%の税込額が振り込まれた場合において、適用税率一致の考え方を踏まえて、仕入側の税率に合わせる場合は、「売上対価の返還」があったものとして処理をしたうえで、改めて新税率8%による売上計上を行います。


他にも、様々な状況、疑問点があるかと思います。

国税庁の消費税Q&Aなどを参考に、確認してみてください。

2014年05月20日

医療法人の種類

一口に医療法人と言っても医療法上いろいろとあり、また、国税庁長官が承認した医療法人もあります。
これら医療法人は、その存立基盤が制度上異なることから、課税上も異なる取扱いがなされています。


持分の定めの有無による整理

医療法人を分類・整理する場合、社団か財団かの整理もありますが、特に、相続税・贈与税及び所得税の視点から課税関係を整理する上では、持分の定めの有無によって法人を区分した方が有益と考えます。

持分とは、自己の出資した法人の財産に対する権利の割合を示す概念です。

「持分の定めがない」ということは、「法人の財産に対する権利の割合はゼロ」ということです。

持分の定めのない法人として、社会医療法人、特定医療法人(国税庁長官が承認)、そして、平成19年4月1日以後設立された医療法人、さらには、まれなケースですが持分を放棄して一般の持分の定めない医療法人に移行した法人等が挙げられます。     
              
持分の定めのない医療法人にあっては、法人の財産に対する権利を持つ人はいませんので、相続税・贈与税、所得税といった課税上の問題は生じません。

一方、持分の定めのある医療法人ですが、平成19年4月1日前に設立された法人で上記列挙した法人以外の法人で、一般的に、経過措置型医療法人と呼ばれています。

出資者は、医療法人の財産に対する権利を持っていますので、当該持分の相続・贈与又は持分の払戻し、譲渡等といった場合には、相続税・贈与税、所得税といった課税関係を招来させます。


全所得課税か否かによる整理

法人課税では、社団や財団又は持分の定めの有無にかかわらず、原則、全所得に対して課税が行われ、普通法人と変わりありません。

しかしながら、社会医療法人については、公益法人として位置付けられていますので医療保険業以外の収益事業から生じた所得に対してのみ課税の対象となっています。

また、特定医療法人は、税率が軽減されているだけで全所得に対する課税であることには変わりありません。

もっとも、持分の定めのない医療法人にあっては、基準期間がない法人の消費税の納税義務の免除特例、住民税の均等割の税率、寄附金の損金不算入、交際費等の損金不算入といった局面では持分の定めのある法人と異なる課税関係になります。

2014年05月19日

健康保険被扶養者資格の再確認

協会けんぽで行う被扶養者確認

毎年5月から7月に実施されている健康保険の被扶養者の確認が今年も実施されます。

以前は扶養者の確認は健康保険組合だけは毎年のように行っていましたが、政府管掌保険は時々しか行っていませんでした。

しかし現在は保険給付の適正化や高齢者医療制度への納付金・支援金の適正化等の必要性が高まり、毎年実施されています。


健康保険の被扶養者とは


①被保険者の直系尊属、配偶者(事実上婚姻関係と同様の人を含む)、子、孫、弟妹で主として被扶養者の収入で生計を維持されている人


②被保険者と同一世帯で主として被保険者の収入により生計を維持されている人

ア、被保険者の3親等内親族(①以外の人)

イ、被保険者の事実上婚姻関係と同様の配偶者の父母、子

ウ、イの配偶者が亡くなった後の父母、子


③被扶養者の収入は年収130万円未満で被保険者の収入の2分の1未満であること。

また、60歳以上か障害者は年収180万円未満

以上のような要件を満たす者が被扶養者となりますが、時々本来被扶養者でない者を被扶養者にすることがあります。

生計維持関係の無い両親を被扶養者にしたり、共働き夫婦の双方が子を被扶養者で申告したりというような例が見受けられます。


再確認実施の流れ

協会けんぽから資格の再確認を行うため、5月末から7月末までの間に被扶養者状況リストが会社に送付されてきます。

再確認の対象となるのは次の方を除く方々です。

①平成25年4月1日において18歳未満の被扶養者

②平成25年4月1日以降に被扶養者認定を受けた被扶養者

リストが送付されてきたら、被扶養者が現在も被扶養者の条件を満たしているか確認の上、リスト(2枚目は事業主控)に記入押印し、正のみを協会けんぽに同封の封筒で返送します。

また、削除となる被扶養者がいた時は同封の被扶養者調書兼異動届の正副共に、返却する保険証と合わせて協会けんぽへ送付します。

その後は協会けんぽが確認後、年金事務所へ回送、被扶養者削除の上、控が事業主へ返送されます。

2014年05月16日

教育資金一括贈与の残額への贈与税の適用税率

直系尊属から教育資金一括贈与を受け、教育資金管理契約終了時に当該教育資金に残額があった場合、その残額については、契約終了日の属する年の贈与税の課税価格に算入されます。

その場合、教育資金管理契約終了前に受贈者(その年1月1日)20歳以上で、贈与者(直系尊属)が生存している場合といない場合で贈与者が誰になるかで、贈与税の適用税率が異なっていました。

平成25年3月30日公布の施行令

平成25年3月30日に公布された租税特別措置法施行令では、直系尊属の贈与者が死亡しその残額がある場合には、その贈与は、直系尊属の贈与者からの贈与ではなく「個人」からの贈与を受けたものとみなして、適用税率を定めていました。

その結果、平成25年度税制改正で、「平成27年1月1日以後に20歳以上の者が直系尊属から贈与を受けた場合に適用される贈与税の軽減税率が適用できない」という状態を招いていました。


平成25年5月31日公布の施行令

直系尊属の贈与者が教育資金管理契約終了前に死亡していたか否かで、贈与税の税率が異なるのはおかしいといいう批判があったかどうか定かではありませんが、平成25年5月31日公布された同措置施行令で、この点が改正され、「『個人』を受贈者の直系尊属とみなす」との規定を追加しました。

この規定の追加により、教育資金管理契約終了前の直系尊属の贈与者の死亡の有無にかかわらず、同じ贈与税率が適用されることになりました。


相続時精算課税の適用

また、受贈者が相続時精算課税の適用をすでに受けている場合で、教育資金管理契約終了前に直系尊属の贈与者が死亡し残額がある場合でも、その残額に対する相続時精算課税の適用は、死亡した贈与者を「特定贈与者」とみなす規定がないため、できません。

したがって、受贈者が相続時精算課税の適用を受けていても一般の暦年贈与としての贈与税の課税を受けることになりますが、平成27年1月1日以後は、直系尊属からの贈与ですので、贈与税率の軽減特例が受けられます。
 


2014年05月15日

電卓のこだわり

会計事務所に勤務している税理士や職員の電卓を見ていると、各自が使用する電卓によって大きく2つの派閥があります。

シャープ派とカシオ派です。

シャープの電卓とカシオの電卓とでは、キーの配列が異なるので、シャープ派の人がカシオの電卓を使うと思うように早く叩くことができません。

税理士試験や日商簿記検定の受験勉強を始めた際に最初に買った本格的な電卓が、その後、シャープ派として歩むかカシオ派として歩むかの分岐点かと思います。

会計系の資格受験予備校のTACが窓口で推奨電卓としてシャープの電卓を安く販売していたことから、シャープ派はTACに通っていた人が多いと思います(私調べ)。

税理士や会計事務所職員と会う機会があれば、是非、電卓に着目してみてください。

「カシオ派ですか~、奇遇ですね、私もカシオ派です。」などと話しが盛り上がるかもしれません。

ちなみに、私はTACに通っていましたがカシオ派です。

弁護士になった今でも税金絡みの仕事が多いので、電卓はいつも持ち歩いています。

2014年05月14日

外国人従業員の人事異動の注意点

外国人従業員と人事異動

社内の活性化や人材育成など、人的資源の有効活用を目的とした人事異動は企業活動にとって欠かすことができません。

試用期間中、採用当初予定していた職務の他に、社員の新たな適性を見出すこともあるでしょう。

しかしながら、外国人従業員の場合、日本人従業員と同様の感覚で異動させてしまうと、出入国管理及び難民認定法(以下、入管法)上問題となることもありますので、人事異動の際には本人の適性だけでなく、それぞれの従業員が持つ「在留資格」の活動範囲を合わせて考慮することが必要です。

日本滞在のための3つのポイント

外国人が日本での滞在を許可される主な要件に、次の3つがあります。


①在留資格の該当性

在留資格に該当する活動を行っているか


②基準適合性

学歴要件や職歴要件等、省令で定められた基準に適合しているか


③相当性

業務量に安定性・継続性があること等、日本に滞在する相当な理由があるか


各ポイントに配慮した人事異動が必要

在留資格とは、外国人の方が日本に適正に滞在するため必要とされる資格であり、それぞれの職務内容や立場に合わせ、27種類あるうちのどれか一つが交付されています。

①は、その在留資格に合わせた活動を行っているかというポイントであり、人事異動の際、第一に気を付けなければならないのがこの点です。

つまり、就労している外国人の場合、ほとんどの方が日本での滞在を職務内容に合わせて許可されているため、やみくもに人事異動を行うとこの在留資格への該当性を失うことになり、異動先によっては在留期間の更新時に不許可となる可能性も多分にあるのです。

また、③相当性についても、異動先の業務量が安定しているか、継続性があるかといった点で非常に重要です。

外国人の方が日本に滞在するためには、法令で定められた要件が前提になるということを念頭に置き、採用時や呼び寄せ時に注意した点をもう一度思い出しながら、本人の適性に加えて考慮することが求められます。
 


2014年05月13日

リース物件の消費税適用税率

前回、建物の賃借料について、消費税の適用税率を取り上げましたが、今回はリース物件について見ていきたいと思います。

(1)所有権移転外ファイナンス・リース


① 平成20年3月31日以前に契約を締結している場合

税務上は「資産の貸付け」として扱われるため、建物の賃借と同様に、資産の貸付けに関する経過措置の要件を満たしている場合には、平成26年4月1日施行日以後の期間に係る部分についても、旧税率5%が適用されます。

・当該契約に係る資産の貸付期間と当該期間中の対価の額が定められていること。

・中途解約できる旨の定めがないことその他対価に関する契約内容が政令で定める要件(フルペイアウト)に該当していること。

② 平成20年4月1日以後に契約を締結している場合

税務上は「売買」があったものとして取扱われます。

リース取引の目的となる資産の引渡しの時に譲渡があったこととなるため、引渡し時点の税率が適用されます。

③ ②の取引について、賃借人が賃貸借処理をしている場合

売買とされる所有権移転外ファイナンス・リース取引は、引渡し時点の税率が適用されるため、平成26年3月31日までにリース資産の引渡しをうけたものについて、賃貸借処理をしている場合は、平成26年4月1日以後の支払いに係る部分についても旧税率5%が適用されることになります。

④ ②の取引について、「対価の額の増減」や「残存リース料の支払い」があった場合

リース料について増額又は減額された場合や中途解約により支払われる残存リース料においても、リース資産の引渡しがあった日における税率が適用されるため、平成26年3月31日以前に資産の引渡しがあれば、旧税率5%の適用となります。


(2)オペレーティング・リース

税務上、「資産の貸付」として扱われます。

(1)①と同様、資産の貸付けに関する経過措置の要件を満たしている場合には、施行日以後の期間に係る部分についても、旧税率5%が適用されます。

・当該契約に係る資産の貸付期間と当該期間中の対価の額が定められていること。

・事業者が事情の変更その他の理由により当該対価の額の変更を求めることができる旨の定めがないこと。

経過措置の対象とならない場合には、平成26年4月1日以後のリース料に係る消費税率は、新税率8%が適用されます。

2014年05月12日

事前確定届出制度の行政裁判での副産物

事前確定届出制度とは

平成18年の税制改正により設立された制度です。

役員の報酬は定期同額を原則とするが、所定の手続きを踏んで、事前に届け出れば、臨時の役員報酬すなわち役員賞与も損金算入を認めるという法律です。

ただし届け出通り支払われない場合は、全て損金不算入となります。


届出の不備により否認された事例

平成24年10月9日に東京地裁で争われた行政訴訟に判決が出ました。

9月決算の企業が11月の株主総会並びに役員会で、役員の定期報酬を定め、更に臨時報酬は12月と6月に各700万円を支払う旨を決め、税務署に事前確定届出書を提出しました。

12月の役員賞与は届け出通り支払われましたが、6月の役員賞与は業績悪化のため、従業員の賞与をカットした手前もあり、役員会で減額の決定をし、半分の350万円を支払うこととしました。

その際救済措置である、事前確定届出給与に関する変更届出を提出しませんでした。

納税者は、6月支給分は損金としませんでしたが、税務署は事前確定届出通り支給されていないため、12月分の賞与700万円も損金不算入として、更正決定を行い争われておりましたが、この度の判決では納税者が敗訴となりました。

納税者側の手続きの不備もあり、「役員への臨時報酬は、役員の任期を通して届出通りとする」税務署の主張が認められました。


副産物としての短期前払費用

この争いで、役員の任期は、株主総会から次の株主総会までであり、役員への報酬は、この1年間に対応するものであるから、役員への臨時報酬は、一部翌期の前払費用でとしての性格を有するが、短期前払費用の損金算入の範疇として、事前確定届出をしていれば認めていると税務当局が主張した点です。

従来短期前払費用の損金算入は、弁護士や税理士への顧問料等人的役務の提供を伴うものを認めていませんでしたが、役員への臨時報酬を短期前払費用として損金算入を認めましたので、今後の対応が注目されます。

2014年05月09日

資産の減価償却費計上の注意点

経費処理方法のおさらい

「〇〇を今度購入しますが経費処理できますか?」とよく聞かれます。

その際には、「購入金額はいくらですか?」「見積書をみせてください」と資料の提出を求めます。

それは、減価償却資産をイメージして、その取得価額・資産の種類及び耐用年数によってその取扱いが違うからです。特に30万円未満の減価償却資産は、度重なる税法の改正でややこしくなっております。もう一度おさらいしておきましょう。

1.取得価額が10万円未満のもの

 取得時に全額損金経理処理ができます。(勘定科目:消耗品など)

2.取得価額が10万円以上のもの

原則、減価償却資産として、その耐用年数・償却方法に応じて計算された金額を減価償却費として損金経理処理します。(勘定科目:減価償却費)が、以下の特例があります。

①取得価額が10万円以上で20万円未満のもの

いわゆる一括償却資産として、その取得価額の合計額につき3年間で損金経理処理できます。
また、償却資産税の課税対象となりません。


②取得価額が10万円以上で30万円未満のもの

青色申告者の中小企業者等の特例として、取得価額が30万円未満のものを一時に損金経理処理できます。
ただし、年間の取得価額の合計額が300万円に達するまでの金額が限度であり、申告書に明細の添付が必要です。

3.取得価額が30万円以上のもの

原則通り減価償却資産として、その耐用年数・償却方法に応じて計算された金額を減価償却費として損金経理します。

しかし、資産の種類・金額によっては、特別償却や税額控除という別の税務上の特典に該当する場合もあります。


4.結論

決算状況を把握しつつ、30万円未満の減価償却資産の経理処理につき最良な選択をしていくことが重要です。

2014年05月08日

検事のドラマ

検事のドラマというと何を思い浮かべるでしょうか。

キムタクの「HERO」や、名取裕子の「京都地検の女」を思い浮かべる人は多いと思います。

若手の検事や検事志望の司法修習生には、「HERO」に憧れて検事(志望)になったという人が周りにいました。

私も「HERO」は放送当時に全話見て面白いと思いましたが、現実感のない設定なので憧れる程ではありませんでした。

「京都地検の女」も現実離れしていますね(地検の捜査担当検事が現場に行って刑事のように捜査することはほとんどどないと思います)。

私が影響を受けた検事のドラマはマイナーですがNHKで平成13年(2001年)に放送された「ある日、嵐のように」です。

東京地検刑事部検事の中井貴一と、その同期で東京地検特捜部を辞めて弁護士になった佐藤浩市を主人公にするドラマで、とてもリアリティのあるドラマでした。

このドラマは残念ながらビデオ化やDVD化はされていません。

私はこのドラマを見て検事になりたいと思いました。

25歳位で司法試験に合格していれば本格的に検事を目指していたと思いますが、合格した時の年齢が35歳だったので、今は弁護士をしております。

2014年05月07日

建物の賃借料の消費税適用税率

国内取引における消費税の認識は、課税資産の譲渡等を行った時となります。

資産の貸付けについては、契約や慣習によりその支払いを受けるべき日とされています。

具体的には次のようになります。

① 支払期日を前月払いとしている契約

4月分の賃貸料を3月に受領する場合、4月1日以降に行われた資産の貸付の対価にあたるため、新税率8%を適用する。

② 支払期日を翌月払いとしている契約

3月分の賃貸料を4月に受領する場合、3月31日までに行われた資産の貸付の対価にあたるため、旧税率5%を適用する。

今回の消費税改正では、原則、平成26年4月1日以後に行われた資産の貸付けから新税率8%が適用されるため、3月中に新税率8%で賃貸料を受領又は支払った場合には、税込総額の5%相当額を課税売上、課税仕入に係る消費税額として計算します。

3月決算法人の場合には、翌期に5%相当額について「売上対価の返還」「仕入対価の返還」を受けたものとして、改めて8%の新税率を適用する対応が必要となります。


原則は上記のようになりますが、経過措置も設けられていました。

経過措置を適用するための要件は、平成25年9月30日までに契約締結し、平成26年3月31日までに貸付けを開始し、次の①②又は①③の要件を満たす場合には、平成26年4月1日以降についても旧税率を適用することが可能です。

① 資産の貸付けの期間及び対価の額が定められていること

② 事業者が対価の額の変更を求めることができる旨の定めがないこと

③ 契約期間中にいつでも解約の申入れをすることができる旨の定めがないこと、並びに貸付資産の取得費用や付随費用の合計額のうち、契約期間中に支払われる貸付額の合計額の占める割合が90%以上であるように定められていること

③のケースは不動産の賃貸借契約には該当せず、また、一般的な賃貸借契約では、賃料について、事情により対価改定できる旨の規定がありますので、経過措置を適用できるケースは少なかったようです。


2014年05月02日

海外療養費制度


健康保険等の「海外療養費制度」

「海外療養費制度」とは、審査が認められれば、海外での診療費用の一部を支給してもらうことができるものです。国民健康保険ばかりでなく、企業の健康保険にも設けられている制度になります。

この制度を利用するには、日本を出国前と帰国後に一定の手続きが必要です。

また海外と日本では診療費用に差がありますので、双方を比較して低額な金額をベースとして支払金額が計算され、3割負担の方には7割分の金額が支払われます。

この制度だけでは現地の医療費をカバーできないことも多いので、旅行傷害保険などに加入される方も多いでしょう。

なお、民間の傷害保険の保険金が支給されても、海外療養費制度の利用はできるそうです。

ただし、治療目的の旅行の場合には適用がないとのことですのでご留意ください。

所得税の医療費控除との関係

ここで「海外で支払った医療費」は、所得税の医療費控除の適用も受けることができます。

所得税法上、医療費控除の対象となる医療費は国内外の区別はされていません。

従って、海外の医療費であっても適用の対象となります。

「海外療養費制度」による支払いを受けた場合には、(医療費-補てんを受けた金額)の残額が医療費控除の対象となります。

診療代が現地通貨払いの場合には、支払日におけるTTS(電信売相場)で換算することになります。


「海外出張」の場合の労災は?

ここまでは、「プライベート」の場合の診療費(私傷病)のお話ですが、労働者が受けた「海外出張」中の業務上の傷病ならば、日本の労災の方が適用されます。

ただし、役員の業務上の傷病については、もともと健康保険も労災保険も原則的には適用できませんので注意が必要です(労働保険の特別加入や5人未満事務所の健康保険の例外規定の場合には適用があります)。

2014年05月01日

弁護士と広告規制

テレビCMや電車内など、最近は法律事務所の広告をどこでも見聞きしますが、弁護士の広告が自由化されたのは平成12年(2000年)であり、ごく最近のことです。

それまでは、日弁連の会則で自主規制をしていました。

その理由は、概ね、弁護士が利益追求を図るため顧客獲得の広告をすることは品位を害するという何とも時代錯誤的な理由だったそうです。

全面禁止から昭和62年(1987年)に電話帳掲載が許されるようになり、平成12年(2000年)に原則自由化されました。

原則自由化されたとは言え、もちろん虚偽広告や誇大広告などは許されません。

「専門分野」の表示は誤導のおそれがあるから控えるべきとの自主規制がある一方で、「得意分野」の表示は許容されるとされていることなど、許されるのか否かの判断が難しいです。

もっとも、全国の弁護士の内、実際に広告を出している弁護士は少数だと思います。

弁護士の顧客獲得は従来から紹介案件が非常に多いことが理由に挙げられます。

広告が規制されていた時代には、紹介により顧客を獲得する方法しか無かったのですが、広告が自由化された現在でも知人の紹介による受任はやはり一番多い顧客獲得方法かと思います。

弁護士に仕事を依頼する場合には依頼者との信頼関係が重要であるため、紹介であれば弁護士にとっても依頼者にとっても、互いの人物像については一定の担保がされていることが現在でも紹介案件が多い理由かと思います。

現在でもホームページを持たない弁護士事務所は沢山あります(むしろホームページを持たない弁護士が多数派でしょう)。

その傾向は地方だとより顕著かと思います。

私も事務所のホームページを開設していますが、積極的に顧客獲得のためというよりは、名刺代わりに紹介者が参照して頂けるようにという意味合いが強いです。

もちろん飛び込みのお客様も大歓迎です。

ただし、事務所に不在にしていることが多いので、事前に法律相談の予約をしてください。

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