記帳代行・会計コンサルティング会社

日本タックスサービスは税理士・公認会計士による記帳代行・会計コンサルティング会社です。

税理士トップ税理士会社概要アクセス税理士事務所リクルートお問い合わせサイトマップ

« 2014年03月 | メイン | 2014年05月 »

2014年04月 アーカイブ

2014年04月30日

消費税 本則課税と簡易課税

消費税の計算方法には、「本則課税」と「簡易課税」の2つの制度があります。

本則課税とは、売上高にかかる消費税額から、仕入や経費にかかる消費税額を差し引いて納付税額を算出して計算する方法です。

簡易課税とは、売上高にかかる消費税額に、業種に応じたみなし仕入率を乗じて納付税額を計算する方法です。

簡易課税は、仕入や経費を支払う際に、実際に支払った消費税は、一切考慮しないため、控除仕入税額を計算する手間が省けます。

みなし仕入率は、次の区分に分かれています。

① 第一種事業(卸売業)⇒ 90%

② 第二種事業(小売業)⇒ 80%

③ 第三種事業(製造業)⇒ 70%

④ 第四種事業(飲食店業他①②③⑤以外の事業)⇒ 60%

⑤ 第五種事業(不動産業・運輸通信業・サービス業)⇒ 50%

簡易課税を利用するには、基準期間(前々期)の課税売上高が5,000万円以下であって、「簡易課税制度選択届出書」を所轄税務署に、適用を受けようとする課税期間開始の前日までに提出する必要があります。


では、具体的に簡単な計算で比較してみます。

飲食店業で、1年間の売上が1,000万円(税抜 消費税額80万円)、仕入が500万円(税抜 消費税40万円)であった場合に、どのようになるでしょうか?

<本則課税>

売上1000万円-仕入500万円=利益500万円

消費税額 80万円-40万円=40万円

よって、利益が500万円、消費税納付額は40万円となります。

<簡易課税>

売上1000万円-仕入500万円=利益500万円

飲食店業のみなし仕入率 第四種事業 60%

課税仕入 80万円×60%=48万円

消費税額 80万円-48万円=32万円

よって、利益が500万円、消費税納付額は32万円になります。


この例では、簡易課税制度を利用した方が、有利と言えます。

ただし、簡易課税制度を選択すると2年間は変更できませんので、注意が必要です。

適用を取りやめる場合も、やめようとする課税期間開始の前日までに「消費税簡易課税制度選択不適用届出書」を提出する必要があります。
 
なお、簡易課税制度選択届出書を提出している場合であっても、基準期間の課税売上高が5,000万円を超える場合には、その課税期間については、簡易課税制度は適用できません。

適用を受ける期が始まる前に、決断しなければなりませんので、予測通りにいかない場合もあります。

しっかりとした見通しを持ち、シュミレーションをして選択しましょう。

2014年04月28日

外国人雇用の確認ポイント

一口に「就労ビザ」と言っても

外国人の方が日本で滞在するには、全部で27種ある在留資格(≒ビザ)のうちどれかを取得している必要があり、これらは大きく分けて

①就労が認められている資格

②原則的に就労が認められない資格

③就労活動に制限のない資格の3つに分類されます。


①が一般的に「就労ビザ」と呼ばれる在留資格ですが、一口に就労ビザとは言っても職務内容により更に17種にも分けられるため、就労ビザを持っているからと言って必ずしも会社が希望する業務に就かせることができるとは限りません。

面接時には、次のようなポイントを確認しましょう。

確認のポイントと流れ

①まずは在留期限の確認を!

まずは在留期限を確認します。在留期限が切れている外国人は、当然雇用することができません。

パスポートや在留カードに在留期限が記載されていますので、必ず原本で確認を取ります。

②在留資格の種類と業務内容が合致するか

次に、現在持っている在留資格の種類を確認します。これもパスポートや在留カードに記載されていますので、持っている在留資格で行える職務内容と、採用後に担当させたい業務が一致するか確認しましょう。

在留資格の種類と対応する業務は、法務省のホームページ、入国管理局の相談窓口等で確認できます。


採用後の入国管理局での手続き

採用した外国人の在留期限が迫っている場合(おおむね2か月以内)であれば、在留期間の更新時に雇用契約書や会社の登記簿謄本、事業内容のわかる書類等を添付して在留期間の更新許可申請を行います。

一方、在留期限がまだまだ先で、在留資格の種類と業務内容が一致している場合、在留期限が近づいてから上記のように更新申請をすれば足りますが、企業内で業務内容が一致していると考えていても入国管理局の判断が違う可能性もありますし、更新の際には経営や業務量の安定性等、企業側についても審査されます。

せっかく仕事に慣れ始めた頃に更新で不許可になってしまうとなると、本人はもちろん企業にとっても多大な不利益となります。

そこで、採用後にぜひ行っておきたいのが就労資格証明書の交付申請です。

これは、外国人の持っている在留資格と企業での業務内容が一致しているかどうかを事前に審査する手続きで、無事に就労資格証明書が交付されれば、更新が不許可になることはまずほとんどありません。

2014年04月25日

持分払戻し請求権と死亡退職金

持分払戻し請求権とは

持分会社等(事業協同組合、持分の定めのある医療法人等を含む)の法令及び定款には、多くの場合、「社員(出資者)が死亡により退社または脱退したときは、当該社員は出資持分の払戻しを請求することがでる」と規定されています。

出資持分は、自己の出資した財産が持分会社等においてどの程度の割合の権利を持っているかを示すものです。

この権利、具体的には、社員の法人への出資割合10%、当該法人の財産が1,000であれば、社員の法人に対する財産上の権利は100ということになります。

これが持分払戻し請求権です。  


                     
持分払戻し請求権と所得税及び相続税

この持分払戻し請求権、死亡したその社員(被相続人)に帰属するのか、また、そもそも社員は死亡しているのでその社員に帰属することはなく、その相続人に帰属するのでは、といった争いはありますが、現行の課税実務は、前者の立場です。

したがって、払戻し請求権は死亡した社員に一旦帰属しますので、当該請求権の額が資本金等の額を超えるときは、死亡した社員に「みなし配当」課税が生じ、場合によっては譲渡所得も生じることがあります。

この場合、相続人は相続開始後4か月以内に死亡した者の準確定申告義務を負います。

また、支払者側の法人には、みなし配当に相当する金額について源泉徴収義務が生じます。

一方、相続人ですが、持分払戻し請求権の未収金額が相続財産であり、被相続人の準確定申告に伴う所得税額は債務控除の対象となります。


死亡退職金と所得税

持分払戻し請求権に酷似するものとして死亡退職金があります。

死亡退職金は、労働協約や就業規則等に基づき、死亡に起因してその死亡した者に確定的に生じますが、当該死亡退職金は、死亡した者に帰属することなく、「みなし相続財産」としてその者の相続人に帰属するとの立場で、所得税は非課税となっています。

2014年04月24日

愛用ボールペン

税理士試験でも司法試験(論文)でも筆記用具は鉛筆不可です。

多くの受験生がボールペンを使用するのですが、筆圧や握り方等でボールペンとの相性があります。

なお、司法試験受験生の中には万年筆を愛用している人も数多くいましたが、私はボールペン派でした(万年筆は私の握り方だと小回りが効かないのと、インク代=ランニングコストが高いため)。

税理士試験の時には、握る部分がゲル状のゴムになっているドクターグリップ(パイロット)を専ら愛用していました。

ドクターグリップはそれなりに良かったのですが、私の持ち方の角度が悪いのか筆圧が強すぎるのか、使い切る前にインクが出なくなる事が多々あり、また、書き味もそれ程良くないので税理士試験以降は使用していません(ゲル状のグリップ部分が太いのは良いのですが、私のペンの持ち方では小回りが効かないのです)。

司法試験を受験するようになってからは、普通の安いボールペンを数年間使用していました。

丈夫で汎用性があり、交通事故で握力が半減している私の右手でも力強くしっかりした字が書けました。

適度な固さのグリップも私のペンの握り方とマッチしました。

難点は、私の強い筆圧がダイレクトに紙に反映されるため耐久性がないことです。

最後に辿り着いたのはジェットストリーム(三菱)です。

ドクターグリップと普通の安いボールペンの長所を合わせた商品です。

何と言ってもインクが滑らかなので筆圧をそれ程必要とせず、また、適度に固いラバーグリップも付いているので汎用ボールペンと同じくしっかりと握れます。

インクが滑らか過ぎるので少々字が流れますが、4時間の論文試験でもドクターグリップや普通の安いボールペンほど手は疲れません。

結局、司法試験に合格するまで使用していました。

最近は長文を自筆で書くことがほとんど無いので、ボールペンに特に拘りはありませんが、それでもジェットストリームはいつもペンケースに入っています。

2014年04月23日

教育資金贈与の非課税 払い出し方法

平成25年度税制改正において導入された「教育資金の一括贈与に係る贈与税の非課税措置」は、、孫等の教育資金として祖父母等が銀行等に金銭等を信託した場合に、1,500万円(学校等以外の教育資金の支払いに充てられる場合には500万円)を限度として贈与税が非課税になる特例です。

教育資金に充てた金額は、銀行等に請求することにより、払い出すことができます。

ただし、教育資金の支払に充てたことを証明する領収書等を銀行等に提出し、銀行等において教育資金の支出として記録することが必要となります。

払い出しには、この領収書等の提出方法の違いによって、以下の2つの方法があります。

① 教育資金を自らが支払った上で、支払いから1年以内に、領収書等を銀行等に提出し、払い出しを受ける方法

② 銀行等からの払い出しと教育資金の支払いが同一の年であれば、前後関係は問わず、教育資金を支払った日の属する年の翌年3月15日までに領収書等を銀行等に提出する方法


①の場合は、教育資金として充当した年の翌年に銀行等から払出しをしても、領収書等の記載日付から1年を経過する日までに領収書等を提出すれば非課税となります。

②の場合には、1年間の払い出し金額がその年の領収書等の合計額を下回る場合、その払い出した金額が教育資金の支出として記録される限度額となります。

例えば、平成26年に200万円を払い出し、同年中に100万円を教育資金として支払い、平成27年3月15日までに領収書を提出した場合、100万円が非課税となります。

ただし、翌27年に残りの100万円を教育資金として支払った場合、銀行等から別途、払い出した金額がなければ、その残りの100万円は領収書を提出したとしても、課税対象となります。


平成27年12月31日まで適用できますので、これから信託される場合には、払い出し方法にもご注意ください。

2014年04月22日

ケガ・病気で会社を休んだら

健康保険傷病手当金

業務外のケガ、病気で休職し、賃金が支給されない時は、健康保険から傷病手当金が支給されます。

休み始めの連続した3日間は待機期間で支給対象にはなりませんが、4日目より支給され、同じ傷病は支給開始日より1年6か月の間支給されます。

途中職場に戻り、再度休職した場合には同じ傷病であれば、開始日より1年6か月の間で残日数分が支給されます。

また、傷病手当金は、国民健康保険には設けられていません。


給付はいくらになるのか

傷病手当金は休職1日につき賃金額(標準報酬日額)の3分の2相当額が支給されます。

私傷病による傷病を対象としているので労災保険、厚生年金等から給付が受けられる時も支給されません。


退職後の傷病手当金受給

傷病で退職する事となった時に、資格喪失日前日(退職日)に傷病手当金を受給している場合は、その日までに継続して1年以上被保険者であれば、同じ健康保険組合または協会けんぽから手当を受けることができます。

退職後に他の健康保険制度に移っても同じ傷病が続いている時は支給開始から1年6か月の間は受給できます。

退職後、任意継続制度を利用して従前の健康保険に加入している方は同様に退職前の加入期間が1年以上あれば、引き続き傷病手当金を受給出来ます。

なお、退職後の支給申請書に事業主印は必要ありません。


傷病手当金受給中の失業給付

会社を退職した時に療養中で傷病手当金を受給している方は、すぐに再就職はできません。

ハローワークに求職の申し込みをしても求職活動も出来ないため、雇用保険からの失業給付は受けられません。

その場合は疾病等を理由とした受給期間の延長制度を利用することができます。

雇用保険の失業給付は、原則として離職した日の翌日から1年間ですが、その間に引き続き30日以上働くことができない期間は働くことのできなかった日数だけ受給延長できます。

延長期間は最大3年間です。

なお、所定給付日数300日及び360日の方の延長できる期間は、それぞれ最大限3年と30日及び3年と60日となります。

2014年04月21日

中小企業の海外現地派遣者の資質

海外に生産拠点を有する中小企業において、海外派遣者の選定は、当該プロジェクトの成否を握る重要な事項です。

中国、東南アジアでの事業展開では、日本本社の海外工場ではなく、現地子会社を設立することとなります。

日本本社と現地子会社は、それぞれ個別の法人格を有し、独立した経営を営むこととなります。

したがって、現地に派遣する人の資質が問われることとなります。

今回は、現地派遣者の資質について、見てみたいと思います。


現地企業の経営者

日本本社と現地子会社は、それぞれ個別の法人格を有しており、現地企業の経営者が日本本社の意向に反した経営を行なうことは可能です。

現地企業の経営者は、銀行取引印鑑を管理しおり、巨額な資金を支出することも可能です。

それを恐れて、日本本社が管理や支配を強めると、現地採用社員のやる気がなくなっていくことも懸念されます。


現地派遣者のタイプ

現地派遣者には、現地企業の経営者とその経営者を補佐する人(常駐、非常駐・出張ベース)とに分けられます。

当たり前のことですが、経営者には、現地経営ができる人を派遣してください。

現地企業では、生産計画を遂行するだけでなく、人事労務、地元政府との交渉、調達、取引先開拓など瞬時にいろいろなことを判断していかなければなりません。

経営者をサポートする常駐者が少ない中小企業においては、工場長タイプの人を経営者として派遣しても、現地企業の経営は難しいと思われます。

また、現地に着任してから学習することは難しいことから、派遣前の研修も重要となっています。


派遣者の資質

派遣者は、現地企業の経営者とその経営者を補佐する人(常駐、非常駐・出張ベース)といった職位に関係なく、現地社員をリードし、同社がもつ強みを発揮できる現地企業を作りあげていくという使命を負っています。

派遣者には、

①明るい、まじめ、まめ、がまん強い

②歴史・文化を尊重し、理解しようとする姿勢

③少しでも言葉を身につけようとする態度

④現地人から信頼される態度(襟を正す)

⑤主張をしっかり行うが、相手の面子も重んじる

等の資質が求められます。


2014年04月18日

納付遅れの主婦の年金保険料

第3号被保険者の年金手続き漏れ

公的年金は、自営業やフリーター等の国民年金保険料を自分で納付する第1号被保険者、サラリーマンとして企業に勤めたり、共済組合に加入している場合は、厚生年金や共済組合保険料が給与から控除される第2号被保険者、さらに給与所得者の被扶養者である人は(通常は妻)、直接保険料は納付しませんが国民年金に加入している第3号被保険者からなります。

サラリーマンの夫が退職した場合、第2号被保険者から第1号被保険者に変わった時は、妻も第1号被保険者となるので60歳未満であれば第1号被保険者となる切り替えの手続きをして保険料を納めることとなっています。

しかし手続きを忘れていて、この期間の保険料が未納とされている方がたくさんいました。


平成25年7月1日より改正された内容

このたび、このようなケースを救済するため、遡って保険適用されるように改正がされました。

従来は2年までしか遡り納付ができませんでしたが、これを10年遡り納付ができるようにしました。

特定期間該当届の手続をすることで今まで未納期間であったものが受給資格期間として扱われます。

ただし、カラ期間として受給資格期間にはなりますが、遡りの保険料を納めない場合は年金額は増えません。

老齢基礎年金は原則25年の保険料納付期間が必要です。

受給資格期間を満たすため、遡って加入する事で無年金や年金額の減額を防ぎ老齢年金だけでなく、万一の時の障害・遺族基礎年金受給権確保に繋がります。


特例追納、保険料の納付

保険料を遡って納付する場合は過去10年までの未納扱い期間の特例追納ができます。

平成27年4月から3年間の時限措置として実施されます。

対象の方が特定期間該当届を提出しておくと、27年4月までに保険料納付の案内が届きます。

まず、対象となる方は、受給資格期間をつなげる為に最寄りの年金事務所で手続きをしておきましょう。
その後保険料を納めると年金額アップに反映されます。


2014年04月17日

民事訴訟と和解

民事訴訟は、裁判所に対して権利義務に関する私的紛争の判断を仰ぐ手続です。

当然、勝訴判決をもらうことを目的として当事者(または訴訟代理人)は訴訟活動をします。

しかし、民事訴訟では、訴訟上の和解で解決が図られることも少なくありません。

統計上は地方裁判所に係属した第一審事件の約3分の1が訴訟上の和解で終結しています。

訴訟上、裁判官の面前で和解が成立すると、和解条項が記載された和解調書は確定判決と同じ効力を有します(民事訴訟法267条)。

確定判決と同じ効力を有するという事は、強制執行をする際の債務名義となることを意味します(民事執行法22条)。

債務名義とは、強制執行によって実現されることが予定される請求権の存在、範囲、債権者、債務者を表示した公の文書のことです。

金銭支払いを命じる勝訴判決を得たとしても、相手方が一括支払をすることが困難であるような場合には、任意の履行は期待できません。

判決は権利の存在を認めるだけで、判決のみにより権利の実現を図ることはできません。

また、確定判決に基づいて強制執行をしても、手間と費用が掛かり、相手方が債権を満足させるだけの財産を所有していない場合には権利の実現は困難です。

訴訟上の和解では、判決のように「YはXに対し○○○万円を支払え」のような硬直的な文言ではなく、相手方の資力を考慮して支払期日や分割払い等の和解条項を柔軟に定めることができます。

互いに信頼の上で実現可能な内容を和解条項とする建前であることから任意の履行が期待できます。

もちろん、訴訟上の和解は互いに譲歩をしなければなりませんので、全面勝訴をした場合よりは経済的利益は少なくなるのが通常です。

何十件と事件を抱えている裁判官の立場からは、判決を書くことは相当な労力が要りますので、そのことが和解を勧める動機となっているようです。

和解を試みるタイミングは、人証調べ(尋問)の前後が多いと思います。

争点整理がなされて、事件に対する裁判官の心証がある程度形成された段階で和解の試みがなされることが多いです。

和解に応じるか否かは、判決の見込みや和解に応じるメリット・デメリットを考慮して慎重に判断しなければなりません。

もちろん、白黒ハッキリつけたい場合には和解に応じず判決を下してもらうことも自由です。

2014年04月16日

消費税改正 総額表示義務の特例

この業務日記でも、「総額表示義務の特例」について、何度か取り上げていますが、再度、おさらいをしたいと思います。

原則は、総額表示です。

課税事業者が、消費者に対して商品・サービスを販売する場合、税込価格を表示しなければなりません。

総額表示の対象となる価格表示は、次のようなものです。

① 値札、商品陳列棚、店内表示等による価格の表示

② 商品、容器または包装による価格の表示およびこれらに添付したものによる価格の表示

③ チラシ、パンフレット、商品カタログ等による価格の表示

④ ポスター、看板、ネオン・サイン、アドバルーン等による価格の表示

⑤ 新聞、雑誌その他の出版物、放送、映写または電光による価格の表示

⑥ インターネット、電子メール等による価格の表示


総額表示義務の特例を適用すれば、平成25年10月1日から平成29年3月31日までの間、税抜の価格表示も認められます。

ただし、消費者が商品等を選択する際に、表示価格が税抜価格であることを明瞭に認識できる方法で行う必要があります。

■ 個々の値札等で税抜価格を明示する例

1,000円(税抜き)  1,000円(税別)   1,000円(本体)   1,000円+税

1,000円(税抜価格) 1,000円(税別価格) 1,000円(本体価格) 1,000円+消費税


■ 店内における掲示等により一括して税抜価格であることを明示する例

個々の値札等においては「○○○円」と税抜価格のみを表示し、別途、店内の消費者が商品等を選択する際に目につきやすい場所に、明瞭に、「当店の価格は全て税抜表示となっています」といった掲示を行う。

次のような場合は、消費者が誤認する恐れがあるため、認められませんので注意しましょう。

① 誤認防止のための表示が、店内のレジ周辺だけで行われている。

② 誤認防止のための表示が、商品カタログの申込用紙だけに記載されている。

③ 誤認防止のための表示が、インターネットのウェブページにおける決済画面だけに記載されている。


また、税抜価格と税込価格を併記することもできます。

その場合、税込価格が見やすく、税抜価格が税込価格と誤認されることがないように表示します。

1,000円(税込 1,080円)

価格表示で税抜と税込の両方を併記する場合は、税込価格表示の文字の大きさや背景色に十分気をつけて、税込価格を明瞭に表示しましょう。

いずれにしても、お客様を混乱させないことが大事です。

また、総額表示義務は、消費者の利便のためにできた制度ですので、この特例を使って税込価格を表示しない場合であっても、速やかに税込表示を実施できるようにし、おそくとも平成29年3月31日までに総額表示へ戻す必要があります。

価格表示の例などは、消費者庁、中小企業庁のパンフレットやホームページなどで確認することができます。

2014年04月15日

個人所得税及び消費税の事業開始日

法人の場合と違って、個人事業者の場合、事業を開始した「日」及び「年(課税期間)」を特定することには、若干、困難を伴うこともありますが、税務上の手続きにおいては重要です。

所得税の場合は、原則、事業を開始した日から2か月以内に青色申告承認申請書を税務署に提出することで、税務上の特典が受けられますし、一方、消費税の場合には、事業開始の日の年に課税事業者選択届出書を税務署に提出することで、その年の消費税の還付を受けることができます。


所得税の場合

所得税の場合は、事業開始のための開業準備期間は、事業を開始した日には当たらないようです。

裁決、裁判では、診療所開設のための準備期間(1年以上かかるケースも)は、事業を開始した日にはあたらないとし、具体的に診療行為が行えることとなった日等が事業を開始した日と解しています。

それでは、事業を開始するまでの間に特別に支出した宣伝費、調査費、借入金の利息(資産取得の利子は当該資産の取得費に算入)、土地、建物などの賃借料等の、いわゆる開業費は、繰延資産として、事業開始の日から5年間で費用化(償却)していく取扱いになっています。


消費税の場合

消費税の場合、課税資産の譲渡等がない開業準備期間も事業を開始した日の属する課税期間(年)に含まれるようです。

歯科診療所を開設した医師が所得税の例にならって、具体的に診療行為ができる状態になった年に課税事業者選択届出書を税務署に提出、その年に引渡しを受けた診療所の建築費及び医療設備等の課税仕入れに伴う消費税の還付申告をしたところ、審判所は次のような裁決を下しました。

「法解釈上、事業遂行に必要な準備行為をした日の属する課税期間も事業を開始した日の属する課税期間に該当すると解するのが相当である」とし、課税資産の譲渡等が生ずる年の前年(開業準備行為に着手した年)に課税事業者選択届書を提出していない限り、原則、届出書の効力は提出した翌課税期間らの適用になるとして、医師の還付申告を棄却しました。

2014年04月14日

未成工事支出金の仕入税額控除

未成工事支出金の仕入税額控除の特例

いよいよ消費税の新税率の適用がスタートしました。

これに伴う経理部門の事務負担が増えていますが、そのようなものの一つに、未成工事支出金について「目的物の引渡日」の属する課税期間に仕入税額控除を行っている場合の税率(5%・8%・10%)の個別管理があります。

未成工事支出金とは、建設業が未完成である工事の費用を集計した科目です。

決算時には棚卸資産(流動資産)として貸借対照表に計上し、工事完成時にまとめて原価に振替えられます。

消費税の仕入税額控除は、「課税仕入れ等をした日」に控除を取ることが原則(購入時即時控除)ですので、未成工事支出金に集計される原価項目ごとに、材料は「材料を購入した日」、外注は「役務が完了した日」に個別に「課税仕入れ等をした日」を把握しなければなりません。

小規模の現場ならばそのような個別管理を行うことは可能でしょうが、大きな現場となると、そうもいきません。

そこで事務負担を考慮して未成工事支出金を完成時(目的物の引渡時)に原価に振り替える際に一括して仕入税額控除を行うことが通達で認められています(経理と継続適用を要件)。

「時期」と「税率」は別の話

ただし、この特例の通達は「時期」についての特例であって、「税率」については触れられておりません。

従って税率改訂期をまたぐ現場については、個々に適用税率(5%・8%・10%)を把握しなければならないこととなります(H26.1国税庁HP「Q&A」)。

2014年04月11日

育児休業中の保険料免除

育児休業中の社会保険料

育児休業は、養育する子が満1歳になるまで原則1回取得することができます。

父母が交代で育休を取るパパママ育休は、1歳2か月、保育所の入所申し込みをして入所できなかった時や子の養育を行う配偶者がやむを得ない事情で養育できない等は、1歳6か月まで延長できることとなっています。

育児休業中の保険料は、労使とも免除となります。

男性の場合は配偶者の出産日以降が対象ですが、女性の場合は産後8週間を過ぎてからが対象となります。

免除の届出は「健康保険・厚生年金保険育児休業等取得者申出書」を健保組合か年金事務所に提出します。

届出の時期

この届出は、申し出に係る休業をする前あるいは休業をしている間で下記のそれぞれの時に事業主を通じて行わなくてはなりません。

①1歳に満たない子を養育するための育児休業の場合は、休業開始の1か月前までに行います。

②1歳から1歳6か月に達するまでの子を養育するための育児休業は、その2週間前までに行います。

③1歳または1歳6か月から満3歳までに達するまでの子を養育するための育児休業の制度に準ずる措置を取る場合の休業は、②と同様です。(ただし、偶者の死亡・疾病・負傷等特別な事情の時は、休業開始前1週間前まで)

この③の取り扱いは、短時間勤務等に代えて行う任意の育児休業延長措置とも言えます。


手続は速やかに

本人が休業していて手続が遅れる場合もあるかも知れませんが、遡りの取得は原則できないこととなっています。事前申請で確実に届出をするようにしましょう。

育児休業を終了して復帰してから提出しても認められませんので注意をして下さい。

保険料の徴収が免除される期間は、育児休業開始月から終了予定日の翌日の月の前月までとなります。

免除期間中も被保険者資格は続きます。

保険給付は、育児休業取得直前の標準報酬月額が用いられ、将来の年金もその額で計算されます。

なお、育児休業を当初の予定より延ばす場合には、延長の届出を、予定より早く終了した時は終了届が必要です。

2014年04月10日

司法試験

毎年5月が近づくと司法試験を思い出します。

司法試験は毎年5月半ばに実施されます。

受験生にとってGWは追い込みの時期。

花見もGWも受験生には関係ありません。

司法試験に合格した翌年、司法修習生の時に久々に花見やGWを満喫した際に、やっと「受験が終わった」ことを実感したのを思い出します。

司法試験は毎年5月半ばの4日間(合計22時間半)の長丁場です。

私が受験していた頃は短答式試験が第1日目でしたが、現在では以下の日程で実施されています。

第1日目 論文式試験(7時間)

第2日目 論文式試験(6時間)

第3日目 論文式試験(4時間)

第4日目 短答式試験(5時間半)

精神的にも体力的にも万全の体制で臨まないと合格は困難です(もちろん学力が合格レベルに達していることが大前提です)。

論文式試験は、憲法、行政法、民法、民事訴訟法、商法・会社法、刑法、刑事訴訟法、選択科目の8科目(公法系、民事系、刑事系と3系統で分類されています)。

短答式試験は、上記から選択科目を除いた7科目(論文式と同じく公法系、民事系、刑事系と3系統で分類されています)。

短答式試験は350点満点で各科目最低40%以上かつ全科目合計60~70%得点できなければ不合格です(短答式試験の不合格者は論文を採点してもらえません)。

短答式試験合格は最終合格への最低条件ですが毎年30~35%前後の受験生が不合格になります。

最終合格は短答式試験の点数と論文式試験の点数を一定の計算方法により合算して判定されます。

ここ数年の合格率は25%前後で推移しています(最終合格者/受験者)。

司法試験は法科大学院を修了していなければ受験できませんでしたが、平成23年より司法試験予備試験(法科大学院を修了せずに司法試験の受験資格を得るための国家試験)が実施されるようになりました(平成25年の最終合格率3.8%)。

弁護士人口の急激な増大による就職難や経営難、司法修習生に対する給費制廃止など、明るい話題の少ない法曹界ですが、そのような状況の中であえて司法試験にチャレンジしようとする受験生には頑張って欲しいと思います。

2014年04月09日

消費税改正 便乗値上げ


消費税率が5%から8%に引上げられてから、1週間が過ぎました。

個人的な実感としては、負担感は3%超に感じられます。

実際、これまで税込価格だった商品が、同じ価格で税別として販売されているといった状況をよく見かけます。

本体価格に変更がなければ、消費税率引上げ後の価格は税込表示、税抜表示の場合で、次のようになります。

① 税込価格1万円の場合

  5% 本体価格9,524円 + 消費税476円 = 10,000円

  8% 本体価格9,524円 + 消費税761円 = 10,285円

② 税抜価格1万円の場合

  5% 本体価格10,000円 + 消費税500円 = 10,500円

  8% 本体価格10,000円 + 消費税800円 = 10,800円

合理的な理由がないにもかかわらず、税率上昇に見合った幅以上の値上げがされている場合、それは便乗値上げの可能性があります。

消費者庁は、事業者に対して、原材料費の高騰など合理的な理由がないのに、消費税増税に便乗して税率上昇分を超えた値上げをしないよう要請しており、合理的理由がある場合にも、消費者への丁寧な説明をすることを求めています。

ただし、一般に個々の商品やサービスなどの価格は、自由競争の下で市場条件を反映して決定されるものであるため、実際に便乗値上げに該当するかどうかの判断は、税率の上昇による上昇幅を超えているかという点のほか、商品などの特性、需給の動向やコストの変動など、様々な要因を総合的に勘案する必要があります。


便乗値上げのように見えて、便乗値上げに当たらないものの例を見てみます。

① 事業全体で適正な転嫁をしている場合

ある商品やサービスについて、本体価格の3%を超える値上げが行われた場合、その商品やサービスだけを見ると、便乗値上げのように思われますが、事業全体として税率変更に見合った適正な転嫁をしていれば、便乗値上げには当たりません。

例えば、利用者の便宜などを考慮して10円単位で税込価額が設定されている場合、ひとつは据置きとする反面、ひとつは3%を超える値上げとした場合などが挙げられます。

② 免税事業者が仕入価格に含まれる税額を転嫁する場合

免税事業者が消費税率の引上げに際して値上げをする場合、一見便乗値上げではないかと思われますが、免税事業者であっても、仕入価格には消費税が含まれていることから、これに相当する額を価格に転嫁することは便乗値上げに当たりません。


価格上昇分は、実は増量しているなど、消費者にとっては、便乗値上げか否かの判断は難しいでしょう。

説明がないなど、納得できない価格のお店では購入しないなどの選択が、便乗値上げの抑止力になると思います。

消費者庁も電話相談などの窓口を設けていますので、悪質な場合には、情報提供をお願いします。

2014年04月08日

女性の賃金の伸び過去最高更新

女性の賃金は増えている

厚生労働省が発表した賃金構造基本統計調査によると、2012年のフルタイムで働く女性の平均賃金は前年比0.5%増の月額23万3100円と、2年連続で過去最高を更新しています。

賃金の伸び率では女性が男性を上回っており、女性の活用が進んでいると言えます。

女性の賃金は1989年以降前年を下回ったのは2年だけで、毎年の伸び率は男性を概ね上回っていて、男性は昨年0.2%増の32万円でありました。

女性の賃金水準は99年には男性の6割程度でしたが昨年は7割を超えました。

賃金額が伸びた業種は比較的女性が多いサービス業であり、昨年位から人手不足感が大きくなってきています。


妻の収入も過去最高に

また、総務省の2012年の家計調査では、2人以上の世帯の平均実収入の月額は、51万8506円と物価変動の影響を除いた実質賃金は前年比1.6%増えています。

世帯でも妻の社会進出が進んできている上に生活を支えるためにパート等を始める人も増えています。

世帯主の収入増加は0.2%しかありませんでしたが妻の収入は5万9177円と11%も増え過去最高となりました。

背景に労働市場で女性の存在感が高まっていることがあります。

アベノミクスの一環 女性労働力活用

働く女性の数も12年は前年より6万人も増えて2375万人と過去最高です。

特に医療や介護分野、サービス業は女性就業者が増えています。

政府は女性の就労支援に力を入れています。

少子高齢化による働き手の減少に歯止めをかけるため、育児と仕事を両立出来ずに仕事をあきらめる女性を労働市場に呼び戻したいためです。

女性就労者を増やすには保育所の整備等働きやすい環境を作る必要があります。

日本では出産後に6割以上の女性が退職していて、20代後半から30代の女性の労働力曲線はM字型カーブを描いており、政府はこの間をつなぎとめることができれば国内総生産を1.5%押し上げるであろうと試算しています。

さらに首相方針では5年間で保育所の待機児童をゼロにするとし、現在1年6か月まで認めている育児休業を3年まで伸ばしてもらえるよう経済界に要請しました。

しかし、企業負担の問題や3年後の職場復帰時の難しさ等の多くの課題を検討しなければならないでしょう。    

2014年04月07日

戦略と組織・人事

外部環境の変化にうまく適応して、自社の事業やその進め方を変化させ、競争優位を保とうとするのが経営戦略です。

近年の外部環境は、グローバルな激しい変化が短期的に次々と起こり、内需型事業であっても輸入品の影響を受けることがありますから、注意深くその変化を察知して、経営戦略をチェックし、機敏に対応して行かなければなりません。

かつての高度成長期には、右肩上がりの経済状況下で、一度立てた経営戦略の遂行状況を、しっかり管理していれば競争優位を維持したり、成長できるケースが多かったのに対して、現在では、TPP交渉、その他の貿易協定の行方によって、多様な激しい変化が起こりうる時代となり、成長期にあるアジア各国の市場をとり込んだ積極的な経営戦略が必要な時代になるなど状況が一変したのです。

戦略・組織・人事は三位一体

このような外部環境の変化に機敏に対応しなければ会社の存続が難しい時代には、それに相応しい組織をもち、そのリーダー・メンバーの人事配置を含めた組織・人事体制を整備しておくことが必要です。


そのためには、

・現在の組織は外部環境の変化に注意を向け、自社の戦略をチェックし、その変更ができる戦略的機能をもっているか、またはトップ自身がその機能を果たすことができているか、

・戦略的機能をもった組織がある場合、そこに求められる資質・能力がある人材が配置されているか、またはトップ自身がその人材となり得ているか、

など、戦略と組織・人事は一体として考え、戦略担当組織体制の整備・適性をもったリーダー・メンバーの配置を行うべきです。

それができない場合は、外部環境の変化にうまく適応できないか、対応できたとしても極めて非効率な対応により、事業の衰退を余儀なくされるでしょう。


外部環境変化とトップの注意点

どのような時代にあっても変わらざる本質・どこの市場であっても「顧客のお困り、ご不便を解決する自社の事業」に注意を払い、その点との関係から外部環境の変化を読みとり、競争優位に立つ戦略を維持・強化する方針をもって組織と人を育て、活用することに注意したいものです。

2014年04月04日

医療費負担が高い時

高額療養費制度

医療機関や薬局の窓口で支払った額が一定額を超えた場合にその超えた額が支給される制度を高額療養費制度と言います。

負担の上限額は年齢と所得で異なっています。

ただし入院時の食事代や差額ベッド代、訪問看護料等は対象にはなりません。

計算の基礎となる一部負担金は次のように合算されます。

①被保険者とその被扶養者ごと

②月ごと(暦日単位)

③医療機関ごと

④医科診療、歯科診療ごと

⑤入院・通院ごと

多数該当や世帯合算

医療を受けた直近の12か月間にすでに3回以上高額療養費の支給を受けている場合(多数回該当)には4回目から負担の上限がさらに引き下がります。

また、1人の窓口負担では高額療養費の支給対象とはならなくても、複数の受診や同じ世帯の他の人で同じ医療保険に加入している人の受診についても窓口でそれぞれ支払った自己負担額を1か月(暦日)単位で合算することができます。

その合算額が一定額を超えた時は超えた分が高額療養費となり支給されます。

負担の上限額は所得と70歳以上か未満か


①70歳未満の方の自己負担額

上位所得者15万円+(医療費-50万円)×1%

上位所得者とは標準報酬月額53万円以上


一般 80100円+(医療費-267000円)×1%


低所得者(住民税非課税の方)35400円

②70歳以上の方の自己負担額

現役並み所得者(標準報酬月額28万円以上)の方は外来44400円

ひと月の上限80100円+(医療費-267000円)×1%

一般 外来12000円、ひと月の上限44400円


低所得者 外来8000円 ひと月の上限年金受給額80万円以下の方は15000円、それ以外は24600円

限度額適用認定証の申請

現在高額療養費は入院等で、ひと月の窓口負担が自己負担額以上になった場合でも、事前申請して、認定証を医療機関に提示しておくと限度額以上を払う必要は無くなります。

2014年04月03日

中小企業の海外進出可能性の検討と派遣者の選定時期

海外進出にあたり、自社の現状把握、進出目的の明確化が終わると、ある程度進出イメージが見えてきます。

自社の現状把握に照らし合わせて進出可能性について、基本的な事項を検討して、進出計画をより具体的にしていく必要があります。

この段階で現地派遣者をプロジェクトリーダーとして選定する必要があります。


今回は、進出可能性の検討と派遣者の選定について、解説します。

進出可能性の検討

進出計画を立案するにあたって、まず自社の現状、進出目的を踏まえて、次の事項について検討を加えます。

①自社の中長期的経営戦略との整合性

②自社の体制整備(派遣者の選定、専坦チームの組成、国内余剰員対策)

③資金調達手段(自己資金、金融機関借入、その他の調達、総予算額)

④会計事務所(会計/設立手続、人件費等諸経費の支払、決算、税金の支払)

⑤物流/現地での原材料調達、製品出荷、工場建設に伴う設備搬入等

⑥金融/設立資金、運転資金、現地での口座開設、輸出入代金の決済)

⑦海外進出に伴う国内取引先との調整(原材料供給先、納入先、通関・物流業者等)

派遣者の選定

進出可能性の検討が終わると、進出候補地の選定、進出形態の検討、事前調査、仮のF/S(事業計画書)の策定、現地調査、仮のF/Sの修正、投資の可否判定および認可申請の手続と一連の流れとして進んでいきます。

したがって、進出可能性について、検討を行う初期段階で現地責任者としての派遣を前提としたプロジェクトリーダーを選定する必要があります。

つまり、派遣する人に責任を持って計画を立ててもらうことが重要です。社内に適任者かいない場合は、外部からの招聘が必要しなります。

他人が立てた計画は、なかなか受け入れにくく、言い訳、失敗の原因ともなりかねません。

現地事業が悪くなると、「誰が立てた計画だ。お前来てみてやってみろ。」と現地と本社とのギャップが生じることとなりますので要注意です。

内容証明が不達の場合


内容証明を送ったけれども相手方に届かなかった場合について解説します。

民法上、隔地者に対する意思表示は相手方にその通知が「到達」した時から効力を生じます(民法97条、到達主義)。

そこで、相手方に届かなかった場合に、意思表示の通知が「到達」したと言えるかが問題となります。

相手方に届かない理由としては、①転居先不明、②受取拒否、③不在通知後保管期限切れ、の3つの場合があります。


①転居先不明の場合

相手方が引越をしてしまっていて郵便局に転送依頼をしていない場合には「転居先不明」として戻って来てしまいます。

この場合には、もちろん内容証明に記載した意思表示の通知が「到達」したとは言えません。

よって、転居先を調べて再度送付しなければなりません。

転居先は住民票の移動により調べることができますが、住民票の写しは①本人、②本人と同一世帯の者、③本人の委任を受けた代理人以外は入手することができません。

弁護士は職務上請求として住民票の写しの交付請求をすることができますが、依頼を受けた事件に関連しなければ交付請求をすることはできません。

訴訟代理や交渉代理の事件を受任していることが前提となりますので、単に住民票の写しを入手するだけを弁護士に依頼することはできません。


②受取拒否の場合

相手方が内容を確認せずに受取拒否をした場合は、内容証明に記載された意思表示は相手方に「到達」されたと取り扱われます。

意思表示の通知が、相手方が了知し得る状態に置かれれば「到達」したと認められるからです。

よって、自己に都合の悪い内容証明だけを受取拒否しても意思表示の効果は生じますので、受取拒否は意味がありません。


③不在通知後保管期限切れの場合

配達に赴いたが不在だった場合に不在通知が相手方の郵便受けに投函されますが、郵便局の保管期限内(7日間)に相手方が取りに来なかった場合、内容証明は差出人に戻って来てしまいます。

この場合には、受取拒否の場合と異なり「到達」の効果は生じません。

相手方が了知し得る状態に置かれたとは評価されないからです。

この点について、保管期限満了時点で意思表示は「到達」したと判断した判例(最高裁平成10年6月11日判決)がありますが、差出人等の表示から相手方が意思表示の内容を推測することが出来て、受け取ることも容易である場合についての事例判断なので、全ての保管期限切れの場合に「到達」することを認めたとは評価されていません。

訴訟等で相手方に意思表示が「到達」したことを証明しなければならない場合には、再度送付してみるか、相手方の郵便受けに届いたことを証明できる特定記録郵便を利用するか、直接手渡しに行くか等を検討しなければなりません。

2014年04月01日

事業の後継者選びと教育

後継者選びで考慮すること

親族以外から後継者を選ぶと決めた時は、今まで事業を承継する意思がないと思っていた親族が突然、「継ぐ」と言い出すこともあるため、事前に親族会議を開く等、意向を確認してから始めることが大切です。

また兄弟等の場合では、後継者でない子には自社株式や事業資産以外の財産を承継させ、兄弟間の承継バランスを取る配慮も必要です。

後継者の決定は、現経営者の決定権や発言権のあるうちに行うことがよく、後継者が複数いる場合は争いや分裂が起きないよう、現経営者が後継者を決めることが大事でしょう。

後継者が決まった後も会長としてバックアップして、段階的に権限委譲していくことも想定しなければなりません。

内部や外部での後継者教育

後継者を選定した後には、以前から社内に勤務していた人かどうか、置かれた状況により、行う教育は異なりますが、円滑な事業承継のためには、積極的な教育が不可欠です。

方法としては次のようなことが考えられます。


①内部での教育

ア、各部門(財務・営業・労務等)を回って、従事してみることで会社全般の必要な経験や知識を習得することができます。

イ、役員など責任ある地位につけて権限を委譲し重要な意思決定やリーダーシップを発揮する機会を与えて経営者の自覚を促します。

ウ、現経営者による指導の下で、経営のノウハウや業界の状況、経営理念等の引継ぎをします。

②外部での教育

ア、他社勤務の経験をさせ、人脈の形成や新しい経営手法を学ぶ等、社外でのノウハウを習得します。

イ、子会社、関連会社の経営をさせる事で責任感を持たせ、資質の確認もできます。

ウ、セミナーを活用し、外部機関のセミナーで経営者に必要とされる知識全般を習得し、幅広い視野を育成します。

このような後継者育成でリーダーシップやマネージメント能力を高めることができるでしょう。


TOPサイトマップお問い合わせ会社概要

Copyright(C) Japan Tax Service.All rights reserved