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2013年10月 アーカイブ

2013年10月31日

トライアル雇用奨励金

「トライアル雇用奨励金」は、職業経験・技能・知識等の不足などから就職が困難な求職者を、期間の定めの無い雇用に移行すること前提に、ハローワークの紹介により一定期間試行雇用した場合に助成が行われます。

以前は対象者ごとの制度でしたが平成25年5月から対象者要件を見直し、フリーター、ニート等の若年者、中高年者、母子家庭の母等、安定的な職業に就くことが困難な者についてより広く活用できるよう制度が一本化されました。(障害者トライアル雇用を除く)


対象となる事業主の要件

①ハローワークに求人を出す際にトライアル雇用を利用したい旨を伝える。

職安紹介で原則3か月のトライアル雇用として雇う

②対象労働者の被保険者資格取得を行うこと

③過去6か月前からトライアル雇用終了日までに雇用保険の被保険者を事業主都合で離職させていないこと

④過去3年間において、対象労働者を雇用したことが無く、対象労働者について職場適応訓練を行った事が無いこと


対象となる労働者の要件

次のアからエのいずれかに該当する者、職業経験、技能、知識等から安定した職業に就くことが困難な求職者でハローワークがトライアル雇用を実施することが必要であると認めた者

ア、これまでに就労の経験の無い職種、または業務に就くことを希望する者

イ、2年以内に2回以上離職、転職を繰り返していて、今後長期的な職業を希望する者

ウ、直近で1年を超えて失業している者

エ、就労にあたって特別の配慮を有する者・・母子家庭の母、父子家庭の父、生活保護受給者、季節労働者、中国残留邦人等永住帰国者、その他トライアル雇用が必要と認められる者


支給額は
 対象1人につき月額4万円(1カ月単位で最大3ヶ月)支給。

トライアル雇用終了日の翌日から起算して2か月以内にハローワークに支給申請書を提出します。

なお、やむを得ず、本採用に至らなかった場合でも奨励金は支給されます。


2013年10月30日

司法修習(その4)

集合修習(2か月間)は埼玉県和光市の司法研修所で行われます。

司法研修所の敷地内には司法修習生用の寮が併設されていますが、司法改革により司法試験合格者(=司法修習生)が増えたことにより寮の定員がオーバーしてしまい,希望者全員が入寮できなくなりました。

抽選で入寮者を決めるようですが、抽選に外れると和光市や大泉学園のウィークリーマンション等を借りなければならず,相当な出費が必要になります。

もっとも、私のように都内に自宅がある修習生は希望しても寮に入れず、自宅から通います(私は片道1時間45分かけて通所していました)。

集合修習は、実務修習地ごとに80名程のクラスに分かれて、教官による講義や、模擬裁判、2回試験に向けて模擬試験(即日起案)等を行います。

朝9時50分から夕方4時35分までの間に3コマあり、大学の教場のような雛壇の教室で行われます。

集合修習の期間は2ヶ月しかありませんので、かなりタイトなスケジュールの中で講義等の内容を理解して消化するのは大変でした。

2回試験(司法修習生考試、国家試験)は集合修習の最後に5日間かけて行われます。

民事裁判、刑事裁判、民事弁護、刑事弁護、検察の5科目について、それぞれ1日7時間半の試験です。


2回試験は合格率が95%前後もありますが、不合格になると法曹資格を得られず、再度翌年の2回試験を受験しなければならなくなるため、相当なプレッシャーがかかります。

皆、不合格にならないように必死に勉強します。

2回試験の結果発表は不合格者の番号を張り出すという不合格発表です。

晴れて2回試験に合格すると、合格の翌日(毎年12月半ば頃)に弁護士になる司法修習修了者は一斉に弁護士登録をします。

最近は、就職先が見つからないため、一斉登録日に弁護士登録をしない司法修習生が多いようです。

今年は数百人単位で一斉登録日に司法修習修了者が弁護士登録をしないとの情報もあるので、新人弁護士の就職状況は悪化の一途をたどっているようです。

2013年10月29日

住宅ローン減税の改正点

平成25年度の税制改正により、住宅借入金等特別控除(住宅ローン控除)に関する改正が行われました。

従前は平成25年12月31日までだった住宅ローン控除の適用期限が、平成29年12月31日まで4年間延長されました。

平成26年3月31日までに取得して居住した場合は、平成25年中に取得した場合と同じ限度額ですが、平成26年4月以降に取得し居住した場合、限度額が2倍に拡大されました。

平成26年4月1日からの消費税率8%に増税される影響を考慮しての改正といえます。

●一般住宅の場合

①平成26年1月1日~平成26年3月31日

控除期間:10年間 控除率:年末残高等×1% 年限度額:20万円

②平成26年3月31日~平成29年12月31日

a 特定取得の場合

控除期間:10年間 控除率:年末残高等×1% 年限度額:40万円

b 特定取得以外の場合

控除期間:10年間 控除率:年末残高等×1% 年限度額:20万円

*「特定取得」とは、住宅の取得の際にかかる消費税額が、消費税率引上げ後の8%又は10%の税率により課された場合の住宅の取得等をいいます。


●認定長期優良住宅の場合

①平成26年1月1日~平成26年3月31日

控除期間:10年間 控除率:年末残高等×1% 年限度額:30万円

②平成26年3月31日~平成29年12月31日

a 特定取得の場合

控除期間:10年間 控除率:年末残高等×1% 年限度額:50万円

b 特定取得以外の場合

控除期間:10年間 控除率:年末残高等×1% 年限度額:30万円


今年から、来年3月までは、年間20万円までの控除ですが、来年4月以降、消費税率8%で取得した場合には、年間40万円の控除が受けられることになります。

ただし、例えば、控除できる額が限度額の40万円あっても、納める所得税・住民税の額が20万円であれば控除できるのは20万円までということになります。

また、消費税は土地にはかからず、建物部分のみにかかってきます。

住宅購入には他にもいろいろな要素が絡みますので、じっくり検討しなれればなりません。

2013年10月28日

不法行為による損害と賠償請求権の同時両建説・異時両建説

不正行為と損害賠償請求権

悲しいことですが金銭を扱う仕事の周辺には詐欺・横領などの不正行為のニュースが絶えることがありません。

私法上では不正行為を受けた場合には、その損害と同時に損害賠償請求権を取得するものと解されています。

これを法人税務ではどのように取扱うのかという議論は、従来より絶えませんが、財産の損害(損金)と損害賠償請求権(益金)を「ひもつき」と見るか「切り離して」見るかによる「同時両建説」と「異時両建説」の立場があります。


同時両建説―損失と賠償権を「ひもつき」

これは昭和43年の最高裁判決において、社長の横領行為による損失と、これに対する損害賠償請求権の計上時期の判断について示された考え方です。

仕訳で示すと、

(横領損失)×× / (仮払金)××

(未収賠償請求権)×× / (雑益)××

となり、損失発生年度に同額の損金・益金を認識します。

結果的にはこの事業年度で損益は計上されません。

この「同時両建説」は、損害と賠償請求権が同時発生するという私法の発想にも合致します(未収賠償金が回収不能ならば、後に貸倒損失を認識)。

異時両建説―損失と賠償権を「切り離し」

その後、昭和55年判決に実務から発達したものとして法人税基本通達2-1-43が登場します。

これは「他の者から支払いを受ける損害賠償金」は「支払いを受けるべきことが確定した日(または実際の支払日)」の属する事業年度に益金算入するという取扱いです。

この考え方を用いれば、左の「横領損失」が損失発生年度に先行して計上され、「賠償金」は後の「確定した日」に計上されます。これを「異時両建説」といいます。

ただし、この通達は加害者を「他の者」(第三者)とする不法行為をカバーするものであり、「他の者」でない役員や従業員については個々の事情で判断されると解されます。

横領された本人は「発生」など分からない

そもそも横領などの不正行為があったとしても、その時点では把握することは困難であり、後日発覚するというケースが多いはずです。

経理部長の横領行為が税務調査で発覚した某事件では、損害賠償金の計上時期を「賠償請求権の行使が事実上可能となった時(法人がその損害の発生と加害者を知った時)」とする判決が出されています。

2013年10月25日

解雇予告手当

解雇予告手当

使用者が労働者を解雇しようとする場合には、原則として、少なくとも30日前に予告をしなければなりません(労働基準法20条)。

30日前の予告をしない場合には、30日分以上の平均賃金を支払わなければならないとしています。

予告日数については、平均賃金を支払った分の日数だけ短縮することができるので、例えば解雇日の10日前に予告した場合は、20日分以上の平均賃金を支払うことになります。

このとき支払われる賃金が、解雇予告手当です。

解雇予告手当は所得税法において、解雇すなわち退職を原因として一時に支払われるものであるところから、賃金(給与所得)ではなく退職所得に該当することとされています。

また、労働の対償となる賃金ではないため、社会保険料や労働保険料の対象にはなりません。

解雇予告の例外

下記のような臨時的労働者には、解雇予告手続きの適用はありませんが、正当な理由による解雇でなければなりません。

また、4の者で本採用を見送る場合についても、正当な理由がなければなりません。

1.日雇いの場合(ただし、1か月を超えて雇用されたときは、解雇予告手続が必要です。)

2.2か月以内の期間を定めて雇用した場合(ただし、所定の期間を超えて継続的に雇用している場合は、解雇予告手続が必要です。)

3.季節的な業務に4か月以内の期間を定めて雇用した場合(ただし、所定の期間を超えて継続的に雇用している場合は、解雇予告手続が必要です。)

4.試用期間中の場合(ただし、14日を越えて雇用されたときは、解雇予告手続が必要です。)

和解金が生じた場合

解雇について労使間で裁判になった場合、双方が合意に達すると和解金が支払われます。

この和解金に関しては、その内容によって取り扱いが異なりますので、ご留意ください。

①給与所得(賃金)となる場合

残業代の未払い分として和解金を支払うと合意した場合や、退職時点が使用者側の主張より延びたためその分の給与相当額を支払うと和解した場合には、賃金となります。

賃金ですから、社会保険料も源泉税もかかってきます。


②退職所得(退職金)となる場合

解雇予告手当等として一時金を支払うことで和解した場合には退職金となりますので、退職所得として課税されます。


③非課税となる場合

退職に係る精神的苦痛や損害に対する慰謝料の意味合いで和解金が支払われた場合には、税金はかかりません。


2013年10月24日

酒類販売管理協力員

酒類販売管理協力員の募集

各国税局は、毎年6月になると「酒類販売管理協力員」の募集をしています。

7月から翌年1月までの半年間の期間限定の出来高払い制アルバイトです。

募集人数は全国で2,000名程度で、業務実施1件当たり1,000円(含交通費)が報酬です。

採用条件は20歳以上で、酒について通常程度の知識・情報があり、税務署にちょくちょく行ける人、といったところです。

応募用紙を見ると、予め「専業主婦」と「学生」とがプレ印刷してあり、該当者はチェックマークをつけることにしているので、この層が応募想定者のようです。


酒類販売管理協力員の仕事

自宅周辺での買い物等の機会を利用して、お酒を小売りしているお店に立ち寄り、未成年者飲酒防止に関する表示等を確認し、その表示内容の遵守状況等を確認し、その内容を所定の用紙に記載して、所轄税務署に提出することです。

業務の目的は、未成年者飲酒禁止法の実効性を確保することです。

自己飲用目的の未成年者の酒類購入と知りながらの販売行為には、酒販店に罰金刑が課され、酒類販売免許取消しとなります。

酒販店には顧客の年齢確認も義務付けられています。


自販機の未成年者対策

小売酒販の業界として自販機撤廃、もしくは成人識別機能付き機への転換を推進しています。

識別不可の従来型機では年齢確認できないので、酒販店は自主的に深夜(午後11時~翌朝5時まで)稼動停止をしています。

識別不可の酒自販機数は平成8年3月末現在に全国で185,829台あったのに対し、平成24年3月末は6,652台(残存率3.6%)と激減しています。

札幌がベストで0.8%、大阪がワーストで5.3%です。

2013年10月23日

司法修習(その3)

選択修習(2か月間)は実務修習(8か月間)が終わった後に、それぞれが興味のある分野について、週ごとに裁判所や検察庁や弁護会が提供するプログラムや自己開拓したプログラムの修習をします。

裁判所が提供するプログラムは、刑事模擬裁判、民事裁判修習深化型、刑事裁判修習深化型、家裁修習深化型などがありました。

検察庁提供プログラムは、検察修習深化型、施設見学などがありました。

弁護士会提供プログラムは、集中講義や施設見学などがありました。

他にも全国的なプログラムとして国連での修習や知財裁判所修習などがあったように記憶しています。

それぞれ定員があるので希望どおりに修習できるとは限りません。

選択修習が取れなかった週は弁護修習でお世話になった法律事務所で修習をします。

裁判官や検察官を志す修習生は当然、修習深化型を取らなければなりません。

私は弁護士志望なので興味の赴くまま選択しました。

私が印象に残っている選択修習は検察庁の施設見学です。

警察学校、刑務所、更生保護施設、海上保安庁、少年刑務所などを見学しました。

飲酒検知の実体験は楽しかったです。

昼間からお酒を飲めるだけ飲んで、どれくらいのアルコールの数値が出るか身をもって体験します。

選択修習と司法研修所で行う集合修習は、その順番が修習地によって異なります。

司法研修所の収容能力の関係で集合修習は2回に分けて行われるのです。

東京や大阪などの大規模庁の修習地(A班)は集合修習を先に行ってから選択修習に入ります。

その他の地域の修習地(B班)は選択修習を行ってから最後に集合修習に入ります。

私の修習地である松山はB班なので、選択修習を終えた9月半ば過ぎに松山から引っ越しをして、埼玉県和光市の司法研修所で最後の集合修習に入りました。

誌面が尽きてきたので、集合修習と2回試験については次回の業務日誌で書きたいと思います。

2013年10月22日

不正送金・不正出金・振り込め詐欺に対する雑損控除

インターネットバンキングのIDやパスワードが盗まれ、銀行口座から預金が不正に引き出される被害が今年1月から9月までに615件、計約5億5千万円に上っており、すでに、年間ベースの過去最多を超えているそうです。

また、キャッシュカードなどの磁気記録情報を不正に読みだして、預貯金を引き出されるいわゆる「スキミングによる不正出金」や、相手に騙されて振込をしてしまう「振り込め詐欺」などの被害も後を絶ちません。

このような理由などにより損失が生じた場合、税金面での救済は受けられるでしょうか?

このうち、「ネットバンキングの不正送金」と「スキミングによる不正出金」については、一般的には「雑損控除」の対象となるようです。

雑損控除とは、災害・盗難もしくは横領といった、本人の意思に基づかない事由により損失が生じた場合に適用が限られています。

「ネットバンキングの不正送金」も「スキミングによる不正出金」も、どちらも、本人の意思に基づかず、盗難により現金を盗られた場合と同様であるとして、雑損控除の対象となります

では、「振り込め詐欺」はどうでしょうか?

「振り込め詐欺」の場合は、誤った意思決定ではあるものの、本人の意思に基づき損失が発生が生じているといえるため、「災害又は盗難若しくは横領による損失」には当たらないとする裁決事例が出ています。

残念ながら「振り込め詐欺」は、雑損控除の対象にはなりません。


雑損控除を適用する場合、損害額から補てん金額を差し引いた損失額が対象となります。

また、不正送金や不正出金の被害にあったことにより雑損控除を適用する場合には、銀行を経由して警察から発行される被害届出証明を申告書に添付する必要がありますのでご注意ください。

とはいえ、被害にあわないことが一番ですので、慌てないで、まず確認をとることを心掛けたいですね。

2013年10月21日

給与天引きで貯める財形貯蓄制度

法定外福利厚生制度の種類

企業の福利厚生制度には法定福利厚生制度と法定外福利厚生制度があります。

法定福利厚生制度には労働保険と社会保険があり、それぞれの条件で加入義務があります。

法定外福利制度には慶弔・見舞金制度、退職給付制度、財形貯蓄制度、健康診断費用の上積み、家賃補助、資格取得支援、社宅、寮、食堂、食事補助、レクリエーション、社員旅行等補助、余暇施設、介護育児休業日数上積み、その他があり、各企業の状況に応じて導入するものです。

これらの企業への導入率を見てみると1位は慶弔・災害見舞金は9割以上の企業で導入されています。
2位は退職給付で一時金と年金制度(厚生年金基金含む)、以下、財形貯蓄制度、家賃補助と続きます。


財形貯蓄制度とは

法定外福利厚生制度のうち、勤労者財産形成促進制度(財形貯蓄)を見てみたいと思います。

この制度は貯蓄や持ち家等で働く人の努力に国や事業主が援助・協力するもので次のような種類があります。

①一般財形貯蓄・・労働者が3年以上の期間に渡り毎月と夏、冬賞与時に賃金から天引きした額を事業主を通じて金融機関に積立てます。いつ使うか目的は限定していません。

ですから車、旅行、教育、結婚等色々な目的に使え、不意の出費にも備える事ができます。

始めて1年たてば好きな時に払い出せます。

②財形年金貯蓄・・60歳以降に年金として受け取る資金作りを目的としています。

55歳未満の労働者が5年以上積み立て契約で定めた期間(60歳以降)から5年以上の期間に渡って年金として受け取れる制度です。

③住宅財形制度・・55歳未満の方が5年以上積み立て、マイホームの新築、購入、工事費75万円以上のリフォームを目的とした制度です。

財形貯蓄の10倍(最高4000万円まで)の低利融資制度もあります。

なお、財形年金貯蓄と住宅財形貯蓄とを合わせて貯蓄残高550万円までは利子が非課税です。

生命保険の財形年金貯蓄の385万円より非課税枠が大きくなっています。

 また、賃金から天引きする時は労働者の過半数を代表する者との控除協定を結んでおく必要があります。

2013年10月18日

退職時に余った有給買取りの税務処理

会社が従業員の有給休暇を買い取ることは、労働基準法39条に反する違法行為ですので、原則として禁止されています。

しかし、次のような場合は、例外として有給休暇を買取りが認められています。

1.法定日数を超えて与えている有給休暇がある場合

会社独自の有給休暇日数を定めている場合について、法律で定められた年次有給休暇の日数と比較して超過している部分があれば、その部分を買い上げることができます。


2.時効により消滅した年次有給休暇がある場合

年次有給休暇は、休日とは別に労働者にまとまった休暇を有給で与えることで、心身の疲労回復と労働力の維持を図る制度です。

しかし、有給休暇を請求する権利は2年で時効になってしまいますので、権利がないから使うことができないという問題がおこります。

そのため、時効によって消滅した部分の有給休暇であれば、買い上げることができます。


3.従業員の退職時に余った有給休暇がある場合

退職間近になって、従業員に未消化の有給休暇が残っている場合には、会社は任意で買い上げることができます。

あくまでも、会社側にとっては任意措置です。

従業員に買取請求権があるわけではありませんので、従業員が会社に有給休暇の買い取りを請求しても、会社が応じるとは限りません。

原則禁止されている有給休暇の買取りですが、上記の例外として買い取られた場合、税務処理として、支給する給与が、給与となるのか退職手当等として処理するのか、その判断が問題です。

所得税法30条では、退職所得について、「退職手当、一時恩給その他の退職により一時に受ける給与及びこれらの性質を有する給与に係る所得をいう」とあります。

また、所得税法基本通達30‐1でも、「退職所得等は、本来退職しなかったとしたならば支払われなかったもので、退職したことに基因して一時に支払われる給与をいう」とあります。

これらを踏まえ、税務当局では、「退職する従業員にのみ認められる制度で、退職によって支払いが発生するものであり、かつ、従業員へ退職金と一緒に一時に支払うのであれば、退職手当等となるだろう」としています。


2013年10月17日

扶養義務者の範囲

親族と扶養親族

民法では、親族の範囲について定めがあり、それによると、6親等以内の血族、配偶者、3親等以内の姻族となっています。

一方、所得税法においては、親族ではなく、扶養親族についての定めがあります。

それによると、配偶者を除くところの居住者の親族(民法上の親族)並びに児童福祉法で規定する里親に委託された児童及び老人福祉法で規定する養護受託者に委託された老人でその居住者と生計を一にするもので、かつ、これらの者の合計所得金額が38万円以下である者となっています。

さらに、生計を一にする親族であっても居住者の青色事業専従者でその者から給与の支払を受けるもの及び事業専従者に該当するものは除かれています。


扶養義務者とは

扶養義務者の範囲についても、民法に定めがあります。

それによると、直系血族及び兄弟姉妹がその範囲となっています。

しかし、家庭裁判所の判断で、「特別の事情等があるときは、三親等内の親族間で扶養義務を負わせることができる」となっています。

この扶養義務者ですが、相続税法においてもその定義があります。

それによると、配偶者及び民法877条(扶養義務)に規定する親族をいうと定義しています。

そうすると、家庭裁判所の審判を受けていない三親等内の親族で生計を一にする者であっても、相続税法上は、扶養義務者に該当しないということになってしまうのでしょうか。

しかし、そうではなく、相続税法の課税実務では、三親等内の親族で生計を一にするような者がいれば、家庭裁判所の審判がない場合であっても扶養義務者に該当するものとして取り扱っています。


未成年者控除と障害者控除

相続等によって、未成年者や障害者が遺産を取得したときは、その者の相続税額から一定の金額が控除されます。

これが未成年者控除、障害者控除です。

そして、その控除額が相続税を上回るときは、その者の扶養義務者の相続税額から控除することができ、控除金額は、扶養義務者間で協議の上適宜に配分することができます。

所得税法の「扶養親族」も相続税法の「扶養義務者」も民法の規定をベースにそれぞれの法の目的に従って規定している、ということでしょうか。

2013年10月16日

司法修習(その2)

司法修習は配属庁にて行う「分野別実務修習」(8か月)と「選択修習」(2か月)及び司法研修所で行う「集合修習」(2か月)に大きく分かれます。

分野別実務修習は更に「民事裁判修習」「刑事裁判修習」「検察修習」「弁護修習」に分かれます。

それぞれ2か月間行われます。

民事裁判修習は、地方裁判所の民事部に配属され、民事裁判について裁判官から直接指導を受けます。

裁判官室の中で机を与えられ、実際の民事裁判の記録を読み、裁判を傍聴し、訴訟手続の流れについて学んだり、判決文を起案したりします(※)。

ただし、修習生が書いた判決文がそのまま全部採用されるのではありません。あくまでも練習です。

※法曹が文書を作成することを「起案する」と言います(業界用語)。

刑事裁判修習は、地方裁判所の刑事部に配属され、刑事裁判について裁判官から直接指導を受けます。

裁判官室の中で机を与えられ、実際の刑事裁判の記録を読み、裁判を傍聴し、訴訟手続の流れについて学んだり、判決文を起案したりします。修習生が書いた判決文がそのまま採用される訳ではないのは民事裁判と同様です。

刑事裁判修習の一部として家庭裁判所修習があります。少年事件や家事事件について学びます。

検察修習は、地方検察庁に配属されて、検察官の事件処理について学びます。

警察から送検されてきた事件のうち、比較的軽微な在宅事件(=勾留されていない事件)を主に修習生が担当し、被疑者の呼出し、取調べ、供述調書の作成、警察への補充捜査の依頼などを実際に行います。

そして、最終的に被疑者をどのように処分するか(起訴・不起訴)を決定し、指導担当検事の了解を得て、次席検事と検事正のそれぞれの決裁を受けます。

もちろん、修習生の名前で取調べや起訴をできる訳ではなく、指導担当検事の補助という位置付けです。

弁護修習は、各地方弁護士会に所属する弁護士の法律事務所に配属され、民事弁護や刑事弁護について学びます。

指導担当の弁護士が扱っている実際の民事裁判や刑事裁判の書面を起案したり、裁判所に同行したり、警察署や拘置所まで被疑者や被告人の接見に同行したり、法律相談に同席したりします。

有難いことに私は配属先の先生から昼御飯を毎日ご馳走して頂いていたので、2か月間で体重がかなり増えました。


次回は選択修習と集合修習及び2回試験についてご説明します。

2013年10月15日

所得拡大促進税制の要件緩和

所得拡大促進税制の要件緩和方針がまとまりました。

給与増加率「5%」要件や、平均給与等支給額の算定方法が変わります。

この所得拡大促進税制は平成25年4月1日以降、開始する事業年度から適用されていますが、新しい制度は平成26年度4月1日から適用されます。

個人の所得水準の底上げをさらに促進していくため、制度を2年間延長するとともに、従業員への給与などの支給額を基準事業年度から5%以上増加させるという要件が緩和され、平均給与等支給額の算定方法についてもより適用しやすいように緩和されるようです。


●所得拡大促進税制とは(現行制度)

平成25年4月1日から平成28年3月31日までの期間内に開始する各事業年度(個人事業主の場合は、平成26年1月1日から平成28年12月31日までの各年)において、国内雇用者に対して給与等を支給し、以下の3つの要件を満たした場合、雇用者給与等支給増加額の10%の税額控除ができる制度です。

ただし、控除できる税額は、その適用事業年度における法人税の額(個人事業主の場合は所得税の額)の10%(中小企業の場合は20%)が限度となります。

①「雇用者給与等支給増加額」の「基準雇用者給与等支給額」に対する割合が5%以上であること

②「雇用者給与等支給額」が「比較雇用者給与等支給額」以上であること

③「平均給与等支給額」が「比較平均給与等支給額」以上であること

この3つの要件、聞きなれない言葉が並んでいますので、一つ一つ説明していきたいと思います。

*「基準雇用者給与等支給額」

平成25年4月1日以後に開始する各事業年度のうち最も古い事業年度の前事業年度の雇用者給与等支給額をいいます。

すなわち、平成25年4月1日より前に事業を行っている法人の場合には、平成24年度(個人事業主の場合は平成25年)の雇用者給与等支給額が「基準雇用者給与等支給額」となります。

*「雇用者給与等支給額」

国内雇用者に対して支給する給料、賃金及び賞与などの給与の額で、当該適用事業年度において損金算入される金額をいいます。

ただし、役員の親族や使用人兼務役員に対して支給する給与や退職手当ては除かれます。

*「雇用者給与等支給増加額

適用事業年度の「雇用者給与等支給額」から「基準雇用者給与等支給額」を引いた金額です。

*「比較雇用者給与等支給額」

適用事業年度の前事業年度の雇用者給与等支給額をいいます。

*「平均給与等支給額」

「雇用者給与等支給額」から日雇い者に係る金額を控除した金額を、適用事業年度における給与等の月別支給対象者(当該適用事業年度に含まれる各月ごとの給与等の支給の対象となる国内雇用者のうち日雇い者を除きます)の数を合計した数で除して計算した金額をいいます。

*「比較平均給与等支給額」

「比較雇用者給与等支給額」から日雇い者に係る金額を控除した金額を、前事業年度における給与等の月別支給対象者(当該前事業年度に含まれる各月ごとの給与等の支給の対象となる国内雇用者のうち日雇い者を除きます)の数を合計した数で除した金額をいいます。

ただし、当該前事業年度がない場合(新たに事業を開始した場合)は、月別支給対象者数は1とします。


●要件緩和の内容

①適用年度を平成30年3月31日まで2年延長

②給与等支給増加率「5%」という要件を緩和

(現行)雇用者給与等支給増加額の基準雇用者給与等支給額に対する割合が5%以上であること

(改正)適用1~2年目については2%、3年目については3%、4~5年目については5%と段階的になります。

③平均給与等支給額の比較方法を変更

現行制度では、日雇いのみを除いて計算していたところを、「継続雇用者」に限定して新規採用者や退職者を除いた金額で比較できるようになります。


2013年10月11日

クレジットカードやポイントカードのポイント利用

クレジットカードの利用金額に応じて付くポイントは、商品や商品券に交換できたり、支払に充当するなどして使うことができます。

これ以外にも、ETCやマイレージ、家電量販店やスーパーなど、巷にはさまざまなポイントサービスがあり、生活に欠かせないものになっています。

誰でも1枚以上は、クレジットカードやポイントカードを持っているのではないでしょうか。


多くの会社や事業主もクレジットカードを持ち、利用しています。

それでは、もし、会社や事業主が付されたポイントを利用した場合は、どのように経理するのでしょうか。

法人の場合

法人の場合は、「雑収入」として処理をすることになります。

例えば、1,000円分のポイントで、1,000円の社内用のお菓子を購入した場合の仕訳は、下記の通りです。

福利厚生費 1,000円 / 雑収入 1,000円

ただし、社員が法人カードのポイントを私的に利用した場合には、その者に対する「賞与」として所得税の課税対象となってしまいます。

また、それが役員だった場合には「役員賞与」となり、法人税の計算上、損金に算入することもできません。

個人の場合

個人事業主の場合も、法人と同様に「雑収入」で処理をします。

サラリーマンや主婦、学生等がポイントを利用した場合も、実は「収入」となり、「雑所得」として申告の対象となります。

しかし、年間20万円以下の場合には、所得税の申告の必要はありません。

2013年10月10日

保険金の減額と所得計算

生命保険契約の変更には、払い済み、延長、増額、期間変更、契約者変更、受取人変更等があります。

このうち、減額に伴って、払戻金を受け取った場合については、満期保険金の受け取りと同様、保険料の負担者と受取人の関係で、次のような課税関係が生じます。


保険料負担者と払戻金の受取人との関係

保険料負担者と減額払戻金の受取人が同一の場合は、受け取った減額払戻金は、「一時所得」として所得税の課税対象になります。   
一方、保険料負担者と減額払戻金の受取人が異なる場合には、減額払戻金は、保険料負担者から受取人に贈与されたものとみなされ、全額が「贈与税」の課税対象となります。

一時所得の必要経費の計算方法

ここでは、一時所得の金額の計算、すなわち必要経費の計算方法について検討してみることにします。

減額払戻金が払込保険料より大きい場合は、払込保険料額全額が必要経費になることに異論はないと思います。

しかし、減額払戻金が払込保険料よりも小さい場合、必要経費たる「その収入を得るために支出した金額」はどのように計算されるのか気になるところです。


払戻金と同額払込保険料か払込保険料の案分計算か

この場合の必要経費ですが、一般的には、既払保険料を「減額前の保険金額」に占める「減額部分の保険金額」で案分した金額が必要経費になるのではと考えますが、現行の課税実務では、既払保険料のうち減額払戻金に達するまでの金額を必要経費として算定できるとしています。

その理由は、一時所得は、臨時、偶発的な所得であることから、継続的に収入があることを前提とした案分方式は、その所得計算に馴染まないと考えられること、

また、生存給付金付養老保険や生命保険契約の転換により責任準備金が取り崩された場合には、先取方式等により既払保険料のうち一時金の金額に達するまでの金額を支出した金額に算入することとされており、減額の場合においても異なる取り扱いをする特段の理由はないことが挙げられています。

なお、期間の変更に伴って受け取った払戻金についても、保険金の減額の場合に準じて取り扱われています。

2013年10月09日

司法修習(その1)

司法試験に合格しただけでは法曹(裁判官・検察官・弁護士)になることはできません。

司法試験合格後、1年間の実務教育である司法修習を経て、最後に国家試験である「司法修習生考試」(2回目の司法試験という意味で「2回試験」と称されています。)に合格して晴れて法曹になる資格を取得することができます。

司法修習を受けるに、は最高裁判所の付属機関である「司法研修所」の「司法修習生」に採用されなければなりません。

司法修習生は司法試験合格者の中から最高裁判所が任命します(裁判所法66条1項)。

司法修習生の身分は公務員に準じた扱いとなり、守秘義務や修習専念義務が課せられますので修習中にアルバイト等で収入を得ることはできません(裁判所法67条2項)。

司法修習の期間は長い間2年間でしたが、その後1年半、1年4か月に短縮され、現在では1年間です。

現在の法曹養成制度は、法科大学院で一定の実務教育を行っていることが前提となっているため、司法修習の期間が短縮されたのです。

以前は、司法修習生には給与と賞与が支給されていましたが(給費制)、平成23年開始の司法修習生(65期)から給費制が廃止されて、希望者には修習資金を貸与するという貸与制に変更されました。

この貸与制については全国で給費制廃止違憲訴訟が提起されるなど色々と議論がありますが、ここでは割愛します。

司法修習のスケジュールは、各配属地における実務修習8か月間及び選択修習2か月間、埼玉県和光市の司法研修所における集合修習が2か月間です。

配属地は司法修習生採用申込時に全国51か所のうち第1希望から第6希望までを書いて提出します。

既婚者や親の介護等の理由があれば希望が通りやすいようです。

私は経済的事情を理由に実家から通える修習地を希望しましたが、全く考慮されず第4希望の愛媛県の松山になりました。

現在では貸与制の下、司法修習中の生活費、就職活動のための旅費、引越費用等が約250万円前後はかかることから、どの修習地に配属されるかは切実な問題です。

私は結果的に、東京等の大規模庁で修習するよりは松山のような小規模庁で修習した方が先輩法曹との距離が近く、修習生に対する面倒見がとても良かったので、とても充実した修習生活を送ることができました。


次回は、司法修習の中身についてご説明します。

2013年10月08日

不動産所得のある個人に対する「お尋ね」

東京国税局は、今年の7月から、不動産所得の申告を行った者に対して、「決算書(収支内訳書)の内容についてのお尋ね」と題する文書の送付をはじめています。

東京国税局管内(東京都、神奈川県、千葉県、山梨県)の全税務署が、不動産所得がある約110万の個人案件から選んで送付しており、まだ届いていない方にも、年内は届く可能性があるとみられています。

この「お尋ね」は、税務署が行政指導として行うもので、税務調査ではなく、回答する法的義務はありません。

しかし、回答しない場合には、税務署への呼び出しや実地調査対象となる可能性がありますので、基本的には回答しておいたほうが無難と思います。

「お尋ね」の概要は、以下の通りです。


①収入    全ての不動産の所在地と収入の内訳

②租税公課  固定資産税などの金額と必要経費算入額


③修繕費   不動産の所在地と修繕の内容

       各修繕金額と必要経費算入額


④借入金利子 不動産の所在地と返済先

       返済合計額(うち利子分と必要経費算入額)


⑤その他の経費や雑費など

       交際費、交通費、水道光熱費などの金額と必要経費算入額

       不動産管理会社などへの支払金額と必要経費算入額


⑥所有不動産の中身  賃貸の有無と利用状況


⑦賃貸の状況  賃貸不動産の所在地

        賃貸料(年額)

        共益費、管理費、敷金、保証金の各金額


すべてを回答しなければならないわけではなく、税務署から求められた項目のみ回答します。

今回の「お尋ね」実施の背景には、不動産所得申告に共通の誤りが多くみられることがあるようです。

例えば、礼金収入の計上漏れや、自宅分の固定資産税等、自宅に係る借入金利子、借入金の元本を経費に計上してしまったりといった誤りが多いようです。

申告内容を自主的に見直してもらい、誤りがあれば、修正申告を提出してもらうことを促しています。

税務署から通知が届くと、何かと不安になってしまうと思いますが、そんなときは、お気軽にご相談ください。

2013年10月07日

労災療養給付の請求

療養(補償)給付とは

労働者の業務上または通勤途上のけがや病気による災害が、労災保険の対象となる場合に労災保険から保険給付が行われますが、そのうち労働者が病院等で受診した際の治療費に対して行われる保険給付を「療養(補償)給付」と言います。

療養(補償)給付は受診した病院や治療の内容等により、請求用紙や方法が異なっています。

療養(補償)給付の請求用紙

療養(補償)給付はかかった病院が労災指定病院では治療費は原則無料で受診できます。

指定病院でない場合は一度治療費を立替払いし、後日現金で受け取る「療養の費用の給付」があります。

普通は指定病院で受診しますが、それが行えなかった時には療養の費用の給付を行う事としています。


①労災指定病院で受診した時は

「療養補償給付たる療養の給付請求書」(様式第5号)、通勤途上災害は様式16号の3に所定の事項を記入して労災指定病院に提出し、けがをした方の事業所を管轄する労働基準監督署に提出されます。

 療養の給付は次の範囲の必要と認められる治療費で原則治癒するまで支給されます。

ア、診療、薬剤または治療材料

イ、処置、手術その他の治療

ウ、居宅病院等での療養に伴う世話、看護

エ、移送

②労災指定病院以外で受診した時は

労災指定病院以外の病院や薬局等で治療を受けた場合は、治療の費用を一時立替払いした上、本人名で払い戻しの請求をします。

療養の費用の給付の請求手続きは業務上災害の場合は「療養の給付たる療養の費用請求書」(様式第7号)、通勤途上災害は様式第16号の5に指定病院以外の病院や薬局の証明を添付し、立替払いをした治療費の領収書原本を付け、管轄の労働基準監督署に提出します。

この給付は現金給付ですのでご本人の指定した口座を記入しなくてはなりません。

また、給付は保険給付される範囲内です。

保険外部分が含まれていても対象外ですので注意が必要です。

③コルセット等治療装具を医師の指示で装着した場合の費用


④柔道整復師、はり、灸、あんま、指圧師等の手当を受けた時


③④の時も②と同様の手続となります。

2013年10月04日

領収書に貼る印紙にも改正

領収書に貼る印紙にも改正が


来年4月1日から、消費税率が8%に引き上げられることになりました。

消費税増税とあわせてさまざまな負担軽減措置が設けられますが、その一環として、領収書に係る印紙税の免税点が引き上げられるのをご存知でしょうか。


「3万円以上で200円」が変わる

平成25年度税制改正により、領収書に貼付する印紙税が、現行の「記載金額3万円未満」から「5万円未満」へ引き上げられます。

この改正は、平成26年4月1日以降に作成されたものから適用されます。

領収書に貼付する収入印紙について「3万円以上で200円」と覚えている方も多いでしょう。

つまり、消費税が8%になるのと時を同じくして、「5万円以上で200円」に変わるわけです。

消費税の表示と印紙税

ここでもう一度おさらいしたいのが、領収書等に記載する金額と消費税、そして印紙税の関係です。

印紙税法では、原則として、貼付する印紙税額の基礎となる金額(課税標準)は「消費税込み」の金額とする、と定めています。

しかし、個別通達によると、消費税額が「区分記載」されている場合には、消費税抜きの本体価格を課税標準とすることが認められているのです。


具体的に言うと、次のようになります。(現行法で説明します)

○領収書の書き方が次の場合には、課税標準が3万円未満となるため、印紙は必要ありません。

1.領収金額 30,450円、うち消費税額 1,450円と記載している。

2.領収金額 30,450円、税抜価格 29,000円と記載している。

3.商品代金 29,000円、消費税額 1,450円、合計 30,450円と記載している。

○領収書の書き方が次の場合には、課税標準が3万円以上となるため、収入印紙を200円貼付します。

4.領収金額 30,450円とだけ記載し、消費税については何も触れていない。

5.領収金額 30,450円、消費税額等5%を含む、と書いてある。

6.領収金額 30,450円(税込)、と書いてある。


領収書を手書きする場合、面倒に思って消費税込みの金額だけを書いていませんか?

レジで自動的に打ち出される領収書、無意識に印紙を貼っていませんか?

貼る必要のない印紙を貼ってしまわないように、これを機に再確認しましょう。

クレジットカード払いと印紙税

ちなみに、クレジットカード払いの場合には、領収書に印紙は必要でしょうか。

カードを切った時点では、信用取引により売買が成立しただけで、まだ金銭を受領していません。

ですから、カード利用の場合の領収書には、印紙を貼付する必要はないのです。

ただし、領収書には、クレジットカード払いであることを明記しなければなりません。

カードで支払った旨の記載がないと、通常の現金払いと変わりがないと判断され、印紙税の対象となりますので注意しましょう。

2013年10月03日

婚外子法定相続分違憲決定に関連する国税庁の取扱い

平成25年9月4日に最高裁において、法律上の夫婦ではない男女間から出生した非嫡出子(婚外子)の法定相続分が嫡出子の2分の1とする民法900条4号但書前段の規定が、憲法14条1項に定める法の下の平等に反するとして違憲決定がなされました。

民法改正がされるためには、国会が最高裁の違憲判断を尊重して民法改正の決議をしなければなりませんが、この度、国税庁がいち早く違憲決定に伴う相続税の取扱いについて公表しました。

今回の国税庁の取扱いは最高裁の「違憲判断は確定した遺産分割には影響を及ぼさない」旨の判示を考慮した相続税額の計算における取扱いです。

公表された取扱いの要旨は以下のとおりです。

基本的に平成25年9月4日以前に完全に相続税額が確定しているか否かで取扱いが分かれます。

1 平成25年9月4日以前に相続税額が確定している場合

違憲決定がされた民法900条4号但書前段を用いて相続税額を計算し確定している場合であっても、相続税額の是正はできず、更正の請求の事由にもなりません。

2 平成25年9月5日以後に相続税額が確定する場合

(1)平成25年9月4日以前に確定していた相続税額が異動する場合

相続人による更正の請求又は修正申告、課税庁による更正又は決定により平成25年9月4日以前に確定した相続税額に異動が生じる場合には、違憲決定がされた民法900条4号但書前段の規定がないものとして相続税額を計算します。

(2)平成25年9月5日以後に新たに相続税額が確定する場合

違憲決定がされた民法900条4号但書前段の規定がないものとして相続税額を計算します。

2013年10月01日

消費税の「税抜き表示」

平成26年4月からの消費税率の引き上げに備えて、消費税を含まない「税抜き表示」も認めることなどを盛り込んだ法律が平成25年10月1日から施行されました。

スーパーやコンビニなどでの価格表示は、これまでいくら支払えばいいかが明確にわかるように、商品の本体価格に消費税分を加えた「総額表示」が義務づけられていました。

しかし、消費税率が平成26年4月に8%、平成27年10月に10%に引き上げられた場合、「総額表示」では短い期間で、値札や表示を貼り替えなければならず、事業者にとっては手間やコストなどの負担が増えることとなります。

「本体価格+税」などと表記する「税抜き表示」であれば、事業者は税率が変わっても値札を貼り替えなくてすむため、「総額表示」に加えて「税抜き表示」も認めることにより、値札や表示の変更などがスムーズに進むように、そうした内容を盛り込んだ特別措置法が施行されました。

これを受けて、スーパーやコンビニなどの間では、「総額表示」を続けるところと、「税抜き表示」に変更するところなど対応が分かれそうです。

平成16年4月に税込み価格の「総額表示」が法律で義務づけられて以来、約9年半ぶりに「税抜き表示」も認められるということで、消費者が混乱する懸念も出ています。


この法律では、ほかにも、消費税率8%に引き上げられた場合に、「増税分は値引きします」など、消費者に消費税を取らないという誤解を与える恐れのある、いわゆる「消費税還元セール」と銘打った広告や宣伝を禁止することが盛り込まれています。

また、中小企業が取引先の大企業などから増税分の負担を強いられたりしないよう、価格転嫁しやすいように、複数の中小企業が足並みをそろえて一斉に増税分を価格に上乗せする「価格カルテル」を独占禁止法の例外として認めることも盛り込まれています。

協議に参加する3分の2以上が中小企業である場合、消費増税分を同時に価格に上乗せしても、独占禁止法が適用されません。

この特別措置法は平成25年10月1日から平成29年3月31日までの間の経過措置となりますが、「税抜き表示」に変更した場合でも、できるだけ速やかに「総額表示」に戻すように努めなければなりません。

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