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2013年07月 アーカイブ

2013年07月31日

交通事故損害額の算定基準

交通事故によって人身損害が生じた場合の損害額の算定基準として以下の3つの基準が存在することをご存じでしょうか。


①自賠責保険基準

②任意保険基準

③裁判所基準(弁護士会基準)

一般的に③裁判所基準>②任意保険基準>①自賠責保険基準の順で損害額が高く算定されます。

①自賠責保険基準とは,自動車損害賠償補償法が定める基準です。

強制加入の自賠責保険による最低保障を目的とする基準であることから、基準額は低く抑えられています。

例えば第一級の後遺障害を負った場合の後遺障害慰謝料について、自賠責基準だと1,100万円が上限であるのに対して、裁判所基準だと2,800万円が基準となります(後述「赤い本」参照)。

②任意保険基準とは、各保険会社が定める示談交渉のための内部基準のことをいいます。

自賠責保険の上乗せ部分ではあるものの、裁判所基準と比べると低額の基準です。

③裁判所基準(弁護士会基準)とは、損害が認められた多くの裁判例を(財)日弁連交通事故相談センターが調査分析して算出した基準です。

この基準には(財)日弁連交通事故相談センター本部が発行する「交通事故損害額算定基準」(冊子の色が青いことから「青本」と呼ばれています)と、(財)日弁連交通事故相談センター東京支部が発行する「民事交通事故訴訟 損害賠償額算定基準」(冊子の色が赤いことから「赤い本」と呼ばれています)があります。

交通事故(人身事故)の被害者になった場合、加害者が任意保険に加入していれば、保険会社が加害者を代理して任意保険基準に基づいて示談交渉を試みてきます。

示談交渉の際には、保険会社から提示された損害賠償額が裁判所基準と比較して妥当な金額であるかの検討が必要です。

また、裁判所に訴訟提起をする場合には、相当程度の時間と労力と費用が掛かりますので、早期解決や裁判の不確実性との関係で慎重な判断が求められます。

いずれにせよ、交通事故の被害に遭われた場合には、自分が被った損害額の正当な金額を被害者側でも独自に算定することが重要です。

2013年07月30日

領収証等に係る印紙税の非課税

「所得税法等の一部を改正する法律」により、印紙税法の一部が改正され、平成26年4月1日以降に作成される「金銭又は有価証券の受取書」に係る印紙税の非課税範囲が拡大されることになりました。

「金銭又は有価証券の受取書」とは、金銭又は有価証券を受領した者が、その受領事実を証明するために作成し、相手方に交付する証拠証書をいいます。

いわゆる、「領収証」「領収書」「受取書」「レシート」などが該当しますが、ほかにも、金銭又は有価証券の受領事実を証明するために請求書や納品書などに「代済」「相済」「了」などと記入したものや、「お買上票」などと称するもので、その作成の目的が金銭又は有価証券の受領事実を証明するために作成されるものは、「金銭又は有価証券の受取書」に含まれます。

現在、金銭又は有価証券の受取書については、記載された受取金額が3万円未満のものが非課税とされていますが、平成26年4月1日以降に作成されるものについては、受取金額が5万円未満のものについて非課税とされることとなりました。

ちょうど消費税率引き上げの施行日と同日からの施行となりますが、消費税については、消費税額等が区分記載されている場合、または、税込価格及び税抜価格が記載されていることにより、その取引にあたって課されるべき消費税額等が明らかとなる場合には、その消費税額等の金額は「領収証」等に記載された受取金額に含めないこととされています。

来年4月からのことですので、まだ先のことですが、もし印紙税の納付の必要がない文書に誤って、収入印紙を貼ったような場合には、所轄税務署長に過誤納となった文書の原本を提示し、過誤納の事実の確認を受けることにより印紙税の還付を受けることができます。

ただし、領収証等を取引の相手方に渡してしまっている場合であっても、過誤納の事実の確認を受けるには、過誤納となった文書の「原本」を提示する必要がありますので、収入印紙を貼る際には誤りのないようにご注意ください。

2013年07月29日

改正消費税法の税率以外の改正点

野田政権の置き土産、消費税増税法
平成24年8月10日の参議院本会議で消費税法改正法が可決成立し、消費税の税率は平成26年4月1日から8%,平成27年10月1日から10%へと段階的に引き上げられることになりました。

この改正法については、税率改定時の経過措置に注目が集まっていますが、次の二つの改正も興味深いところです。


グループ法人と新規設立免税事業者

50%超支配関係にあるグループ法人の一員として資本金1000万円未満の法人を新規に設立した場合、その支配関係法人個人の中に、新規設立法人の基準期間に対応する期間の課税売上高が5億円を超えるものがある場合には、当該新設法人の設立後2期間の事業者免税制度は適用されません。

なお、その事業者免税制度不適用の判定にあたっては、新規設立法人の設立前1年以内に解散した別の支配関係法人がある場合には、その解散法人を含めたところで、5億円超課税売上法人個人の有無の判定をします。


中間申告不要者の中間申告

直前課税期間の確定消費税額が年48万円(地方消費税を除く)以下であることにより中間申告義務のない事業者は、中間申告書を提出して予定納税をすることができませんでした。

仮に予定納税をしても、無効な中間申告、無効な予定納税ということで、確定申告書で中間納付税額欄に記載できませんでした。

これが改正となり、届出書を提出すれば中間申告できることになりました。

義務のない納税をする制度など不可解かもしれませんが、源泉所得税で、半年毎の納期の特例の手続きをしながら毎月納付しているケースはよく見かける事実です。

これに似せた制度なのかもしれません。


届け出をして申告納付しなかった場合

その届出書提出の効果及び届出取止め書提出の効果は、提出の瞬間に発生します。申告書に同封して提出すればよいわけです。

この新制度では、その中間申告書の提出がなかった場合には、届出取止め書を提出したものとみなすことになっています。

2013年07月26日

路線価の閲覧と活用

国税庁は、平成25年分の路線価を7月1日に公表しました。

路線価には、「固定資産税路線価」と「相続税路線価」があり、毎年、国税庁が発表するのは「相続税路線価」です。

一般的にも、「路線価」といえば「相続税路線価」を指します。

では、そもそも路線価とは何でしょうか。


路線価

路線価とは、路線の価値、つまり道路の値段です。

毎年1月1日を評価基準日として、日本中の道路1本1本に値段が付けられています。

相続税や贈与税において、土地等の価額は時価により評価することとなっていますが、実際の土地等の時価は、簡単に把握することができません。

そこで、簡便的な方法として、路線価に土地の面積(㎡)を乗じた金額を、相続税を計算する上での土地等の価額(相続税評価額)としたのです。


路線価の決め方

路線価は、国土交通省が発表する地価公示価格、売買実例価額等を基に、不動産鑑定士などの専門家の意見も聞き、決められています。

おおむね、地価公示価格の8割程度の水準に設定されています。


路線価の閲覧と活用

今年の税制改正で、平成27年1月1日から、相続税が大幅に増税されることになりました。

大幅増税の一番の要因は、基礎控除額の縮小です。

基礎控除額とは、遺産から差し引くことができる非課税枠をいいます。

現状の基礎控除額は「5000万円+1000万円×法定相続人の数」ですが、改正後は「基礎控除額3000万円+600万円×法定相続人の数」となります。

相続人が妻と子ども2人という標準的な家庭で、遺産が8000万円あった場合を試算してみます。

現状は、基礎控除額が8000万円なので、遺産8000万円と差引するとゼロになり、相続税がかかりませんでした。

ところが改正後は、基礎控除額が4800万円に減りますので、基礎控除額を超えた3200万円(8000万円-4800万円)に対して相続税が課税されることになるのです。

地価の高い都市部などに自宅を所有する方の多くが、相続税を申告することになるだろうと言われています。

過去に相続税が課税された人の遺産の構成を分析すると、土地等が約半分を占めるからです。

路線価を知ることで、おおまかな土地等の価額を知ることができます。

これによって、相続に備えた早めの対策をとることもできます。

実際に路線価図を見たことがある人は少ないと思いますので、

自分の家の周辺の路線価がいくらになっているか、確認してみてはいかがでしょうか。

路線価図等は、国税庁のホームページで見ることができます。

2013年07月25日

2世帯住宅人気

評価が8割引の特例を最大活用

相続の際に土地の評価を8割引にできる「小規模宅地等についての特例」の見直しにより二世帯住宅が注目されています。

「小規模宅地等についての特例」とは、被相続人の居住用・事業用・貸付用などに利用されていた土地について、その評価額の一定割合を減額して課税価格とするものです。

たとえば相続税評価額1億円の土地で被相続人の居住用であったものを、配偶者等一定の相続人が相続した場合、課税価格は、80%減額され2000万円となります。


適用対象の土地面積が拡大

さらに居住用宅地について、対象面積の上限が今までの240平方メートルから330平方メートルに拡大され、さらに限度面積に満たない部分については、不動産賃貸用の土地(貸付事業用宅地等)からも適用が受けらます。なお、貸付事業用宅地等は、200平米まで50%の減額です。

「同居」の概念が変わった完全二世帯住宅でも特例の適用が

現在、被相続人の自宅の土地に関しては、配偶者・同居の親族・生計を同一にする親族・持家のない別居している親族が、相続により取得した場合に特例の適用があります。

しかし内部で行き来のできない二世帯住宅については、それぞれが独立した家屋と見なされ、子どもは小規模宅地等の特例を受ける条件である「同居の親族」には当たらないとされてきました。
そのため、特例の適用を受けることができませんでした。(しかし現実には、簡単な壁で仕切り、相続時には壁を壊す等様々な裏ワザが使われ、問題となるケースもありました。)

今回の改正では、租税特別措置法で明確に同じ建物ならよいと記されております。

極論すれば、同じマンションの別室でも良いとなりますが、やはりそれは政令でダメと言うことになっております。


消費税の税率UPも追い風に

また平成26年4月からの消費税率の上昇もあり、2世帯住宅への駆け込み需要と関心が高まっております。

これもアベノミクス効果でしょうか?

2013年07月24日

消費税増税と表示方法の経過措置

消費税率が平成26年4月に8%、平成27年10月に10%に引き上げられようとしています。

安倍総理は一昨日の記者会見で消費税率アップについては、経済情勢を見極めながら秋に判断すると述べましたが、余程のことが無い限り増税は既定路線かと思います。

さて、小売店等での消費税の表示方法はこれまで「総額表示」が義務付けられてきました(消費税法63条)。

税抜価格が1,000円の場合には、1,050円と税込価格で表示しなければなりませんでした(税率5%の場合)。

しかし、上記のように今後二段階で消費税率がアップされることに伴い、小売店等で値札等の変更作業に混乱を来たさないように、消費税の表示方法について経過処置が設けられています。

これは、平成25年10月1日から平成29年3月31日までの間、小売店等における消費税の表示方法を「総額表示」ではなく「税抜表示」でも許容する経過措置です。

例えば、税抜価格が1,000円の場合には、1,000円(税抜)や1,000円(別途消費税80円)といった表示も可能になります。

大手スーパーなどは消費税率アップに合わせて価格表示を「税抜表示」を基本とする方針を決めました。

消費者にとっては、税抜表示だと、頭の中で税込価格を計算しながら買物をしなければならなくなるので面倒になると思います。

2013年07月23日

マイホームを買換えて損失が生じた場合

マイホームを売却して利益が出た場合、譲渡所得税の課税対象となり、3,000万円の特別控除や買換え特例を受けることができます。

では、マイホームを買換えて損失が出た場合にはどうなるでしょうか?

平成25年12月31日までにマイホームを売却して、新たにマイホームを購入した場合に譲渡損失が生じたときは、一定の要件を満たすものに限り、その譲渡損失をその年の給与所得や事業所得など他の所得から控除(損益通算)することができます。

さらに、損益通算を行っても控除しきれなかった譲渡損失は、譲渡の年の翌年以後3年内に繰り越して控除(繰越控除)することができます。

この特例を利用すると、譲渡をした年だけでなく、翌年以後3年内の控除を受けることができますから、4年間の課税所得金額合計よりも譲渡損失額のほうが大きければ、その間の所得税がゼロになります。

この場合の「譲渡損失」とは、当初の購入金額から、建物分に対する減価償却費と、購入時および売却時の諸経費を差し引いた金額よりも、さらに低い金額で売却したときが該当します。


・特例の適用要件

(1) 自分が住んでいるマイホームを譲渡すること。

以前に住んでいたマイホームの場合には、住まなくなった日から3年目の12月31日までに譲渡すること。


(2) 譲渡の年の1月1日における所有期間が5年を超える資産(旧居宅)で日本国内にあるものの譲渡であること。


(3) 譲渡の年の前年の1月1日から売却の年の翌年12月31日までの間に日本国内にある資産(新居宅)で家屋の床面積が50平方メートル以上であるものを取得すること。


(4) 買換資産(新居宅)を取得した年の翌年12月31日までの間に居住の用に供すること又は供する見込みであること。


(5) 買換資産(新居宅)を取得した年の12月31日において買換資産について償還期間10年以上の住宅ローンを有すること。


・特例の適用除外

(1) 旧居宅の売主と買主が、親子や夫婦など特別な関係にある場合特別な関係には、生計を一にする親族、内縁関係にある人、特殊な関係にある法人なども含まれます。


(2) 旧居宅を売却した年の前年及び前々年に次の特例を適用している場合

① 居住用財産を譲渡した場合の長期譲渡所得の軽減税率の特例

② 居住用財産の譲渡所得の3,000万円の特別控除

③ 特定の居住用財産の買換えの場合の長期譲渡所得の課税の特例

④ 特定の居住用財産を交換した場合の長期譲渡所得の課税の特例


また、合計所得金額が3,000万円を超える年は、その年のみ繰越控除が適用できません。

新マイホームにかかる住宅ローン控除は、併用することができますが、例えば、譲渡損失額が大きく、4年間所得税が発生しない場合には、実質的に住宅ローン控除は5年目からの適用となります。


新たなマイホームを取得しない場合であっても、同様の特例を適用することができます。

この新たなマイホームを取得しない場合の特例による、他の所得との損益通算および翌年以降3年間の繰越額は、マイホームの譲渡損失のうち、住宅ローンの残高が売却価格を上回る部分(住宅ローンの残高から売却価格を差し引いた金額)が限度となります。

ただし、通常の計算による譲渡損失のほうが小さい場合にはそちらが限度となります。


2013年07月22日

雇用管理改善の助成金

中小企業労働環境向上助成金

最近創設された助成金に労働環境向上のための措置を講じた中小企業事業主や事業協同組合に対して助成するものがあります。

雇用管理の改善を推進し人材の定着・確保を計る事を目的としています。

雇用管理を行う個別中小企業助成コースには重点分野関連事業主と介護関係事業主とがあります。

(1)重点分野事業主の場合

対象は雇用管理制度導入を行う健康・環境・農林漁業分野等の事業を営む事業主

次の①または②の措置を取る事が必要です。

①評価・処遇制度または昇進昇格基準、賃金体系制度(制度導入後賃金が下回らない事)もしくは諸手当制度(就業規則等に規定し、適用させる)のいずれかを導入する。

②研修体系制度の導入、職務の遂行に必要な能力等を付与するため、カリキュラム内容時間等を定めた職業訓練、研修制度を導入する。

(1人10時間以上の教育訓練、諸経費は事業主負担)


(2)介護関連事業主の場合

①から④のいずれかを取る事が必要です。

①評価、処遇制度の導入

②研修体系制度の導入

③健康づくり制度の導入・・法定の健康診断以外に腰痛健診、B・C型肝炎検査、インフルエンザ予防接種、結核検査、検便、メンタルヘルス相談等のいずれかを行う

④介護福祉機器の導入等・・対象となる機器・・移動用リフト、自動車用車いすリフト、座面昇降機能付車いす、特殊浴槽、ストレッチャー、自動排せつ処理機、昇降装置、車いす体温計

導入後の措置・・導入機器の使用研修、機器のメンテナンス、介護技術身体的負担軽減研修、機器や研修の導入効果の把握


支給申請と支給額

本助成金は導入に係る計画書を作成し、添付書類を添えて計画開始の6か月前から1ヶ月前までに労働局へ提出します。認定後制度を実施し、計画期間終了後2ヶ月以内に支給申請書を提出します。

支給額は

・評価処遇制度導入 40万円

・研修体系制度   30万円

・健康づくり制度  30万円

・介護福祉機器等  費用の2分の1支給申請時までに支払い払い完了のこと(上限300万円)

2013年07月19日

アフィリエイトは「外交員」

「アフィリエイト報酬」は事業・雑所得

インターネットで副収入と言われ始めて久しいですが、「アフィリエイト」という言葉も随分浸透してきました。

アフィリエイト(affiliate)とは、WebサイトにASP(アフィリエイト・サービス・プロバイダー)が提供する広告企業(クライアント)のリンクを貼り、閲覧者がそのリンクを経由して広告企業の商品購入や会員登録を行った場合に、Webサイトの管理人に報酬(売上×数%)が与えられる「成功報酬型広告」の一種です。

Webサイトの管理人(個人)が受取るアフィリエイト報酬については、事業所得または雑所得として確定申告の対象となります。
 

アフィリエイトは「外交員」

一方、このアフィリエイト収入につき、次の算式による源泉徴収を行っているASPもあります。

【算式】(復興特別所得税含む)

(報酬・料金の額-12万円)×10.21%

 これは「外交員等に支払う報酬・料金」(所得税法204①四)に係る源泉徴収です。

「外交員」というと一般には保険外交員や集金人、電力量計の検針人のイメージです。 

ところが数年前から、アフィリエイトをしている有名ブロガーの「ASPから「外交員」の支払調書が届きました」という掲載記事が見られるようになりました。

現段階では、全てのASPがこの源泉徴収の対応をしている訳ではなさそうですが、大手ASPではアフィリエイターに源泉徴収の告知を行うなど対応が進んでいるようです。


所得税法上の「外交員」の定義は

所得税法では「外交員」を直接定義している規定はありませんが、国税不服審判所では次のように述べています(H11.3.11)。

外交員とは、事業主の委託を受け、継続的に事業主の商品等の購入の勧誘を行い、購入者と事業主との間の売買契約の締結を媒介する役務を自己の計算において事業主に提供し、その報酬が商品等の販売高に応じて定められている者と解されている。

契約内容にもよりますが、「アフィリエイト・プログラム」の多くに当てはまるものありそうです。

非常用品の取扱い

東京都では、平成25年4月1日から「帰宅困難者対策条例」が施行されました。

この条例の中で、東京都は企業・事業者に対し、「災害時の従業員の一斉帰宅の抑制」や「従業員との連絡手段を確保するなどの事前準備」、「従業員の3日分の食料や水、毛布等の備蓄」などを求めています。

そこで今回は、非常用品を購入した場合の税務上の取扱いをみていきます。


1.非常用食料品の取扱い

飲料水等の消耗品を未使用の状態で保管した場合、当期末の未使用分は原則として貯蔵品として資産計上し、実際に事業の用に供した(使用した)時点で損金の額に算入します。

しかし、長期間保存できる非常用食料品については、備蓄時に事業の用に供したものとして、備蓄した時点で損金の額に算入することになります。

その理由として、国税庁のホームページでは次のように掲げています。

(1)食料品は、繰り返し使用するものではなく、消耗品としての特性をもつこと

(2)その効果が長期間に及ぶものであるとしても、食料品は減価償却資産又は繰延資産に含まれないこと

(3)仮に、その食品が「消耗品で貯蔵中」のものであるとしても、災害時用の非常食は、備蓄することをもって事業の用に供したと認められること

(4)類似物品として、消化器の中味(粉末又は消火液)は取替え時の損金として取り扱っていること


※賞味期限が近くなり新しい非常用食料品を購入すると、古いものは社員に無償で配るケースがあります。

社員全員に配っていれば問題はないのですが、役員など一部の者を対象に配った場合には、現物給与として所得税が課税される可能性がありますのでご注意下さい。

2.毛布等の非常用具の取扱い

災害時に備えて備蓄する毛布やヘルメット等の非常用具については、1個又は1組の取得価額が10万円未満の場合がほとんどですので、少額減価償却資産として事業の用に供した時点で損金の額に算入することができます。

事業のように供した時点とは、非常用食料品と同様、災害に備えて備蓄すること自体が事業の用に供していますので、備蓄した時点と言い換えることができます。

また、青色申告書を提出する中小企業等の場合は、取得価額が10万円以上であっても、30万円未満であれば少額減価償却資産の特例の適用を受け、事業の用に供した時点で全額損金の額に算入することも可能です。

ただし、非常用具だからといって、一般的に備蓄すべきと考えられる量に比べて大量に購入した場合には、損金として認められないことがありますのでご注意下さい。

2013年07月17日

非嫡出子の法定相続分

法律上の婚姻関係にない男女の間に出生した子を非嫡出子といいます。

これに対して、法律上の婚姻関係にある男女の間に出生した子を嫡出子といいます。

民法上、非嫡出子の法定相続分は嫡出子の2分の1とされています(民法900条4号但書前段)。

この規定に対して個人の尊厳や法の下の平等という憲法の基本原則に反するとして、これまで何度も訴訟で争われてきましたが、法律婚を尊重する立場からやむを得ない区別であるとして合憲判断がこれまで最高裁によってなされてきました。

明治時代に作られた旧民法から受け継がれてきた非嫡出子の法定相続分に対する規定が違憲であると判断される可能性が高まってきました。

現在最高裁で争われている本規定に関する訴訟の弁論が7月10日に大法廷で開かれました。

最高裁には大法廷と小法廷があり、最高裁の裁判官15名全員で構成されるのが大法廷であり、主に憲法判断や判例変更を行う場合に開かれます。

大法廷において弁論が開かれたということは、判例変更の可能性があるということです。

明治時代に作成された旧民法は家制度を前提としていましたが、現行憲法の下でもなお合理的な区別と言えるか否かについて判断が下されます。

全体の出生数に対する非嫡出子の割合が増加傾向にあることや、世論の動向の変化、そして国際的な非嫡出子に対する差別撤廃の流れの中で、どのような判断がなされるか注目です。

ただし、違憲判決が下されたとしても直ぐに民法900条4号但書前段が無効になる訳ではありません。

法律の制定や改廃は国会の専権事項ですので、最高裁の違憲判断を国会が尊重し、国会による民法改正がなされた後に施行されて始めて無効になります。

秋には最高裁の判断が下されるようです。

2013年07月16日

競馬の払戻金に対する税金

競馬の払戻金による所得を申告しなかったとして所得税法違反に問われていた元会社員に対する判決が言い渡されました。

検察側は、払戻金に係る所得の所得区分を「一時所得」、控除できる必要経費を「当たり馬券の購入費用のみ」であると主張していました。

これに対し、弁護側は、払戻金に係る所得は「雑所得」に分類されるべきであり、当たり馬券以外の「外れ馬券を含めた購入金額全体」が控除の対象になると主張していました。

裁判所の判決は、原則として馬券購入行為に所得源泉としての継続性、恒常性は認められず、当たり馬券による所得は一時所得に該当するとしましたが、本件の馬券購入行為は、恒常的に所得を生じさせ得るもので、払戻金は所得源泉性を有するものと認められることから、「一時所得」には当たらないとしました。

また、本件の馬券購入方法からすれば、外れ馬券を含めた全馬券の購入費用が払戻金を得るための投下資本に当たり、外れ馬券の購入費用と払戻金の間には費用収益の対応関係があることから、「その他これらの所得を生ずべき業務について生じた費用の額」として必要経費に該当するとの判断がなされました。

この判決では、「雑所得」として、外れ馬券も必要経費として認められたわけですが、今後のすべての払戻金について、認められたわけではありません。

裁判所も、原則を述べているように、一般的には競馬や競輪などの払戻金は、「一時所得」の収入に該当します。

「一時所得」とは、事業から生じた事業所得でもなく、労働の対価の給与所得でもなく、資産の売買利益の譲渡所得でもない、その他の一時的な所得です。

たとえば、次のような所得が一時所得に該当します。

1.懸賞の賞金や福引きの当選金品、競馬や競輪の払戻金

2.生命保険金の一時金や損害保険の満期返戻金

3.法人から贈与された金品

4.遺失物拾得者や埋蔵物発見者の受ける報労金等

上記のうち、業務に関して受けるもの、継続的に受けるものは除きます。


一時所得の金額は、次の算式のとおりです。

総収入金額-収入を得るために支出した金額-特別控除額(最高50万円)=一時所得の金額

さらに、一時所得の金額の1/2を他の所得の金額と合計します。


ちなみに、「雑所得」とは、事業所得や給与所得、一時所得など、9種類ある所得のいずれにも分類されない所得です。

たとえば、年金や恩給などの公的年金等、非営業用貸付金の利子、著述家や作家以外の人が受ける原稿料や印税、講演料や放送謝金などが雑所得に該当します。

そのほか、競馬の払戻金などと混同しがちなのが、宝くじの当選金です。

宝くじの当選金については、宝くじの法律により、「当選金付証票の当選金品については、所得税を課さない」と規定されています。

個人が受け取る宝くじの当選金には、税金は発生しません。


今回の件は、一般的な馬券購入行為とは異なり、所得源泉としての継続性、恒常性が認められるほど、回数、金額がきわめて多数、多額に達していることから、娯楽の域を超えて、営利を目的とする行為と判断されました。

きわめて稀な事例ではありますが、インターネットサービスや予想ソフトが発達した現代においては、今後も起こり得るかもしれません。


2013年07月12日

創業記念品や永年勤続表彰記念品の支給

創業○周年や永年勤続表彰として、従業員に対して支給する記念品などは、それぞれ次に掲げる要件をすべて満たしていれば、給与として課税しなくてもよいことになっています。

創業記念などの記念品

1.支給する記念品が社会一般的にみて記念品としてふさわしいものであること。

2.記念品の処分見込価額による評価額が1万円(税抜き)以下であること。

3.創業記念のように一定期間ごとに到来する記念に際し支給をするものは、おおむね5年以上の間隔で支給するものであること。

永年勤続者に支給する記念品や旅行や観劇への招待費用

1.その人の勤続年数や地位などに照らして、社会一般的にみて相当な金額以内であること。

2.勤続年数がおおむね10年以上である人を対象としていること。

3.同じ人を2回以上表彰する場合には、前に表彰したときからおおむね5年以上の間隔があいていること。

なお、次に掲げる場合には、原則としてその全額が給与として課税の対象となります。

(1)現金や商品券など換金性のあるものを支給する場合

(2)対象者本人が自由に記念品を選択できる場合

これらは、実質的に金銭を支給したことと同じであると認められるためです。

旅行券を支給した場合も、一般的に換金性があり、実質的に金銭を支給したことと同様になりますので、給与等として課税されるのが原則です。


しかし、旅行券の支給については別途取り扱いが定められており、次の要件を満たせば、給与として課税しなくて差し支えありません。

(1)旅行券の支給後1年以内に、旅行すること

(2)旅行の範囲は、支給した旅行券の額からみて相当なもの(海外旅行含む)であること

(3)旅行後に、所定の報告書等を会社に提出すること

(4)支給後1年以内に旅行券の全部又は一部を使用しなかった場合には、未使用の旅行券を会社に返還すること


2013年07月11日

教育資金一括贈与

教育資金贈与はもともと非課税

学校の入学金や授業料など教育のために必要な資金を祖父母を含め近い親族からその都度贈与されていた場合、贈与税はもともと非課税です。

祖父母にとっては、一括贈与よりその都度贈与の方が感謝される回数が多くてよいのではないでしょうか。

教育資金非課税申告書

新制度の利用は、受贈者が教育資金非課税申告書を提出することで開始します。

贈与者が複数でも、申告書は一つにします。

提出済みの教育資金非課税申告書に係る金融機関との教育資金管理契約が終了していて、その終了契約に関する非課税拠出額が1500万円に満たなかった場合には、その満たない範囲での拠出額で再度、教育資金非課税申告書を提出することはできます。


追加教育資金非課税申告書

先に提出している教育資金非課税申告書の非課税拠出額が1500万円に満たない場合で、新たな教育資金の一括贈与があったなら、その満たない範囲で追加教育資金非課税申告書を提出することができます。


教育資金非課税取消・廃止申告書

教育資金一括贈与があったものの、

その贈与について遺留分の減殺請求があったとか、

そもそもその贈与が無効なものであったとか、

などの事由があって、

非課税拠出額の一部を減額することになった時は、教育資金非課税取消申告書を、

全部が無いことになった時は教育資金非課税廃止申告書を提出します。

非課税申告書の提出先と回数

一括贈与教育資金に係る上記の各種申告書は、教育資金管理契約をする金融機関を経由して最寄りの所轄税務署長に提出します。

いくつもの金融機関と契約することに制限はありませんが、管理が厄介になるので、メリットはなさそうに思われます。

2013年07月10日

口約束でも契約成立

法律の世界で「契約」とは、「当事者の合意によって法的効果を発生させる約束をすること」をいいます。

契約が成立するのは、一方的な意思表示では足りず「当事者の合意」が必要です。

では、口約束で契約は成立するでしょうか。


答えは

口約束でも契約は成立します。

当事者の合意は口約束であっても成立するのです。


例えば、

A「Bさんが所有する車を10万円で売って下さい。」

B「はい。いいですよ。」

これだけで、売買契約は成立します(民法555条)。

売買契約書は売買契約の成立に必要ありません。

同じように金銭の貸付契約である金銭消費貸借契約(民法587条)の成立にも借用書や金銭消費貸借契約書は必要ありません。

例外的に保証契約については、口約束ではなく書面でしなければ効力が生じないとされています(民法446条2項)。

安易に保証人になって多額の債務を負うことを防止するために平成16年の民法改正で設けられた規定です。

口約束の契約でも立派な契約ですから、契約に基づいて債務者に債務を請求することができます。

先ほどの例で言うと、Bさんの車の売買契約の成立によって、Aさんには「Bさんから車の引渡しを受ける権利(売買契約に基づく車両引渡請求権)」が発生し、Bさんは「Aさんから代金10万円をもらう権利(売買契約に基づく代金支払請求権)」が発生します。

任意に契約上の債務を履行してくれればいいのですが、問題は、契約の成立自体が争いになった場合です。

AさんBさんのどちらかが「そんなこと言った覚えはない。」と言った場合、口約束だけだと言った言わないの水掛け論になってしまいます。

そこで、契約の成立を証明するために「契約書」が必要になるのです。

口約束でも契約は成立しますが、トラブルになった場合には契約成立を証明するものがなければ請求が困難になります。

契約書はトラブルになった場合のみならず、契約当事者が互いの債権債務の内容を書面で確認することができる点でも有用です。

以上から、

①安易に口約束はしないこと

②契約をするなら口約束ではなく後々に備えて契約書を作成すること。

が大事です。

経済社会の発展に伴い、民法が規定する典型契約の枠に収まりきらない契約類型が必要になる場合もあります。

契約内容や契約書についての相談は随時受け付けております。

何なりとご相談ください。

2013年07月09日

予防接種・人間ドック費用は経費になる

例年に比べて風疹の患者が急増しているようです。

特に妊婦が風疹にかかると、胎児が先天性風疹症候群という病気になる危険性が高くなるため、自治体によっては予防接種費用を負担して、住民に予防接種を促しています。

この予防接種費用を会社が負担した場合、一般的には必要経費とすることができます。

会社は、従業員の健康管理に配慮する責任がありますから、インフルエンザや風疹の予防接種費用も経費となります。

では、勘定科目は「給与」でしょうか?「福利厚生費」でしょうか?

所得税法上は、従業員に対して支払う給料や賞与だけでなく、物品の無償譲渡などの経済的利益の供与も原則、給与所得に含まれ、源泉徴収の対象になります。

しかし、福利厚生のための用役の提供を受けた役員又は従業員が受ける経済的利益については、著しく多額である場合または役員だけを対象としている場合を除き、給与等に該当しないものとして取り扱えます。

つまり、予防接種費用は、常識的な金額の範囲内であり、希望者全員が受けられる場合には、給与ではなく、福利厚生費として処理することができます。

同じように、人間ドックや健康診断の費用も、福利厚生費として必要経費に入れることができます。

役員や特定の地位にある人だけを対象とした場合には、給与扱いになりますが、全従業員が対象であれば、一定の年齢制限(例えば35歳以上など)を設けることは認められています。

検診内容が常識の範囲内でなければならず、PET検診など、検診費用が数十万円必要となるものは、著しく高額であるとみなされ、給与としてみなされる可能性があります。

役員に対する場合は、給与とみなされた場合、定期同額給与とならず、損金不算入となる可能性もありますので、注意が必要です。

2013年07月08日

雇用保険の受給中の就職

再就職した時に受給できる再就職手当

再就職手当は、失業給付の基本手当の所定給付日数を一定日数以上残して早急に再就職した人に支給されます。

再就職手当を受給するには、ハローワークに求職の申し込みをして、就職後に手当支給の申請をします。

その後約1か月後に支給に関する調査があり、その時に新しい事業所に勤務している必要があります。

受給要件は次の8つの要件を満たしている人に支給されます。

①就職日前日までの失業認定を受けた後の基本手当の残日数が所定給付日数の3分の1以上あること。

例えば所定給付日数が90日の人であれば30日以上残っていれば受給できます。


②1年を超えて勤務することが確実であると認められること。

1年以下の雇用期間で雇用契約更新の条件に目標達成が付いている場合には対象になりません。


③離職理由による給付制限を受けた場合、待機期間満了後1か月間はハローワークや許可、届出のある職業紹介事業者の紹介での就職であること。

給付制限のない方は待機期間経過後であれば就職の経路は問いません。


④待機期間満了後の就職であること。


⑤就職前の事業主に再び雇用されたものでないこと。

資本、資金、人事、取引等の状況から見て就職前の事業主と密接な関係にある事業主も含みます。


⑥就職日前3年間に再就職手当や常用就職支度手当の支給を受けていないこと。


⑦休職の申し込み前から、採用が内定していた事業主に雇用されたものでないこと。

⑧雇用保険の被保険者の要件を満たす条件での雇用であること、

支給額と手続きは

支給額は所定給付日数の残日数に応じて支給率が異なります。

所定給付日数の3分の1以上残して就職した場合は、支給残日数の50%、3分の2以上残して就職した時は、支給残日数の60%に基本手当日額を乗じた額です。

基本日額は上限があります。

申請提出期限は就職日の翌日から1か月以内で、この期限を過ぎると申請できません。

再就職で入社してきた人が再就職手当支給申請書を会社に提出してきたら事業主の証明を出してあげる必要があります。

2013年07月05日

帳簿書類等の保存期間及び保存方法

法人税、所得税等、申告によって納める税金は、その申告内容に誤りがないか、税務署によって調査されることがあります。

この場合、決算書や確定申告書を作成した根拠となる帳簿や領収書などの書類がなければ、調査することができません。

そのため、帳簿書類を一定期間保存することが、法的に義務付けられているのです。

ここでは、会社法と法人税法で定められている帳簿書類等の保存期間及び保存方法について見ていきます。

1.会社法上の帳簿書類等の保存について

会社法では、会計帳簿について、税法の規定にかかわらず10年間保存し、領収書や請求書などの書類については、税法で定める7年間保存する必要があります。

なお、次の書類については、その書類の性格上、保存期間の定めの有無にかかわらず、永久に保存すべきでしょう。

定款、株主名簿、登記関連書類、免許許可関連書類、不動産関連書類、決算書、申告書、総勘定元帳、申請書、届出書、その他重要な契約書

2.法人税法上の帳簿書類等の保存について

(1)帳簿書類等の保存期間

法人税法では、会計帳簿や領収書・請求書などの書類について、7年間保存しなければならないと定めています。

なお、平成23年度税制改正で、青色欠損金の繰越控除の期間が7年から9年に延長されました。

青色欠損金の繰越控除の適用を受けるには「帳簿書類の保存」が要件となっていますので、欠損金が生じた事業年度については、帳簿書類を9年間保存する必要があります。


(2)帳簿書類の保存方法


1.原則的な保存方法

帳簿書類の保存方法は、紙による保存が原則です。

パソコン等で作成した帳簿書類についても、原則として、印刷して紙で保存する必要があります。


2.マイクロフィルムによる保存方法

保存期間の最後の2年間である6・7年目の帳簿書類(一定の書類については最後の4年間)は、一定の要件を満たすマイクロフィルムにより保存することができます。


3.電磁的記録(電子データ)による保存方法

現在は、各種の会計・税務ソフトが市販され、多くの企業がこれらのソフトを使って帳簿書類を作成しています。

このように自己が一貫してパソコン等を使って作成する帳簿書類で一定の要件を満たすものについては、紙による保存ではなく、サーバ・DVD・CD等に記録した電子データのままで保存することができます。


4.スキャナ読取りの電磁的記録の保存方法

保存すべき書類のうち、次の書類以外の一定の書類については、紙による保存ではなく、スキャナによる保存を行うことが可能です。

・棚卸表、貸借対照表および損益計算書並びに計算、整理または決算に関して作成されたその他の書類

・取引の相手方から受け取った契約書、領収書等および自己の作成したこれらの写し(記載された金額が3万円未満のものを除く)


5.電子計算機出力マイクロフィルム(COM)による保存

会社が最初の記録段階から一貫してパソコンなどの電子計算機を使用して作成する帳簿書類については、一定の要件のもとで、紙による保存ではなく、その電磁的記録の電子計算機出力マイクロフィルム(COM)により保存することが可能です。


6.申請書の提出

上記3、4、5の方法による保存方法を行いたい場合には、あらかじめ所轄税務署長に対して申請書を提出し、承認を受けることが必要です。

また、この申請書は、上記3、4、5の方法による保存方法を行おうとする日の3か月前の日までに提出する必要があります。


7.電子取引をした場合の保存方法

法人が電子取引(EDI取引やインターネット取引など)を行っている場合には、その電磁的記録を、一定の要件を満たす方法により保存する必要があります。

ただし、その電磁的記録を印刷して紙で保存している場合には、電磁的記録を保存する必要はありません。

2013年07月04日

社会保障・税番号制度

マイナンバー法

政府与党は社会保障・税の一体改革の一環として、社会保障・税番号法案(マイナンバー法案)を閣議決定しました。

国会で予算関連法案として成立させ平成28年1月の開始を目指しています。

この法案は国民の新たな個人番号(マイナンバー)を付与することで、より正確に所得や資産を把握し、的確な社会保障制度や税控除を実現するとしています。

現在、自治体、国税庁、日本年金機構等により分散管理されている個人情報を、本人経由の証明書によって他の情報保有機関にも提供できます。

合わせて個人情報保護強化や個人情報を本人が確認できる対策も取るとしています。


便利公平という言葉に問題はないか

マイナンバーは、身分証明書の機能を備えた個人番号カードとして扱われ、現在の住基カードの機能を強化追加したものです。

具体的には、

①全てのカードに顔写真を印刷

②公的個人認証サービスの暗証方式の強化

③従来の電子証明に加えて認証サービスを追加

という機能が備えられていて、便利で公平、個人に対する官民のサービスの発展に資するということです。

このカードによって、年金や雇用保険の受給、医療保険の保険料徴収、福祉分野の給付を受ける権利を把握され、一方で所得についても、確定申告書や支払調書に番号を記載し把握されます。


内閣府の世論調査結果

国民1人1人に番号を付け、納税記録や社会保障情報を国が管理する共通番号制度(マイナンバー制度)に関する意見は、85%の人が情報の漏えいを危惧し、政府の情報管理体制に不安を抱く人が多いことがわかっています。

制度について内容を知らない人は41.5 %、内容は知らないが聞いたことはある人が41.8%で、83.3%の人は内容を知らない状態です。

マイナンバーの問題点は、様々な機能を持たせようとすることで個人情報流出やプライバシーの侵害につながる危険性があるということです。

セキュリティーは大丈夫なのか、このシステム導入に係る費用は2千億万円から5千億万円とも言われています。

毎年の維持費も350億円位にはなるということです。

2013年07月03日

債権回収の手段

友人に貸したお金が返ってこない場合や取引先が商品の代金を支払ってくれない場合など、債権の回収が滞った場合、回収のためにどのような手段が考えられるでしょうか。

●交渉

まずは支払いをしてくれるように粘り強く交渉することが考えられます。

債務者の中には催促を受けないと真面目に支払ってくれない方もいます。

支払いを催促することで弁済してくれるかもしれません。

ただし、債務者も無い袖は振れないことから、場合によっては債務者の支払能力を考慮して一括ではなく分割の支払に応じることが必要になることもあるでしょう。


●内容証明郵便

当事者間の交渉が進展しない場合には、配達証明付きの内容証明郵便にて督促状を送付することにより支払いを促すことも手段として有効です。

債権者の強い意思を明確に債務者に伝えることができます。

配達証明を付けることによって債務者に配達されたことが証明でき、さらに督促状の内容も証明できるので、将来的に裁判になった場合に債務者に督促した事実を証明する証拠になります。

債権者本人が送付することができるのは勿論のこと、弁護士が文書を作成し代理人として送付することも可能です。


●支払督促

債務者の住所地を管轄する簡易裁判所に申し立てて、裁判所から債務者に支払督促を発付してもらいます。

裁判所に納付する手数料は訴訟提起をする場合の半額で済みます。

支払督促のメリットは簡易に債務名義(確定判決など債務者の財産に対して強制執行が可能であることを証する文書)が得られることです。

ただし、債務者から支払督促に異議が出されると、通常の民事訴訟に自動的に移行します。

この債務者の異議には理由を付さなくてもよいことから、支払いを拒む債務者は容易に民事訴訟に移行させることが可能です。

民事訴訟に移行する可能性が高い場合には移行に伴うコスト(時間的、経済的)を考慮して支払督促を申し立てる必要があります。


●訴訟

どうしても債務者が頑なに支払いを拒む場合には最終的に民事訴訟を提起せざるを得なくなるでしょう。

債務者が支払いを拒む理由の根拠となる事実を主張するなどして債権者からの請求を争った場合には、訴訟提起から判決まで相当な時間が掛かります。

勝訴判決を得れば、強制執行によって債権の回収を図ることができます。

ただし、債務者に債務を弁済するだけの資力(財産)がない場合には、勝訴判決をもらっても絵に描いた餅に過ぎません(強制執行をする対象の財産が無いからです)。


以上は代表的な債権回収の手段ですが、時間と労力と費用を考慮して、適切な手段を用いて債権回収を図らなければなりません。

また、債権の消滅時効にも注意が必要です(原則10年、民法167条1項)。

未回収の債権の扱いについてお困りでしたら弁護士である当職にご相談ください。

適切な手段の選択をご提案致します。

2013年07月02日

指定寄附金

指定寄附金とは

寄附金のうち、特に公益性の高く、次の要件を満たしているものとして、財務大臣が指定した寄附金を「指定寄附金」(個人の場合は「特定寄附金」)といいます。

① 広く一般に募集されること。

② 教育または科学の振興、社会福祉への貢献その他公益の増進に寄与するための支出で、緊急を要するものに充てられることが確実であること。

指定寄附金は、法人の場合には全額損金に算入することができ、また、個人の場合には一定の範囲内で寄附金控除することができます。

指定寄附金の指定には、財務大臣がその職権により一般包括的に行う「包括指定」と、募金団体である公益法人の申請を参考にその寄附金の使途や目標額、募集目的、募集区域及びその対象者、募集期間、寄附金の管理方法などの諸事項を個別に審査したうえで行われる「個別指定」とがあります。

・包括指定の寄附金

次のような指定寄附金は、財務大臣の職権により、あらかじめ一般包括的に指定されています。

① 学校教育関係

② 試験研究関係

③ 共同募金関係

④ 日本赤十字社関係

・個別指定の寄附金

個別指定の寄附金は募金団体の申請を参考にして財務大臣が個別に指定します。

国宝や重要文化財などの寺社仏閣の保存修理費用のための寄付金が指定されています。

この場合の寄附金の指定は、「昭和40年5月13日付大蔵省告示第159号の改正」という形で告示されることになっています。

・東日本大震災による被災者支援のための指定寄附金

現在、個別指定として、被災者支援に対応するため「東日本大震災による被災者支援のための指定寄附金」が設けられています。

① 社会福祉法人中央共同募金会(平成23年3月11日~平成25年3月31日)

② 認定特定非営利活動法人(平成25年12月31日まで)

③ 公益社団法人又は公益財団法人(平成25年12月31日まで)

④ 公共・公益法人等

⑤ 全国商工会連合会(平成23年3月17日~平成23年12月31日)

⑥ 日本商工会議所(平成23年3月22日~平成23年12月31日)

⑦ 公益財団法人ヤマト福祉財団(平成23年6月24日~平成24年6月30日)

それぞれ、対象となる期間がありますので、ご確認ください。


2013年07月01日

負担付贈与について

譲渡の意義については、所得税法では特段の規定は設けていませんが、一般的に「資産を移転させる一切の行為」をいうものとされ、有償のみならず無償の譲渡をも含むものと解されています。

有償譲渡の代表的なものは売買ですが、代物弁済や財産分与、そして、一定の負担付贈与も含まれます。

一方、無償譲渡は贈与や遺贈で、課税上はそれぞれ贈与税あるは相続税ですが、法人に対するものについては、贈与者等に譲渡があったものと「みなして譲渡所得税」が課されることになっています。


負担付贈与の類型

負担付贈与とは、受贈者が一定の負担を負う贈与契約で、その負担に伴う受益(経済的利益)を

①贈与者自身が受ける場合もあれば

②特定の第三者

あるいは

③不特定多数の第三者が受ける場合もあります。

①の例としては、不動産を贈与するが、贈与者自身の債務(借入金等の弁済)を負うことを約するような場合であり、

②は、不動産を贈与する一方で、受贈者の特定の第三者に対する債務の免除を約させる場合、

③は、不動産を贈与するが、当該不動産から生ずる収益の一部を特定の慈善目的に使用を約するような場合などが挙げられます。


譲渡所得との関係

負担付贈与で譲渡所得が生じるのは、上記①のケースです。

このケースにおいては、受贈者が負担する贈与者自身の債務は、贈与者からみれば、免責されることによる経済的利益は贈与した資産の対価として認識されます。

それゆえ、有償譲渡に該当する、というのが課税実務の取扱いです。
 
なお、負担付贈与のうち、第三者が受贈者の有する「譲渡所得の基因となる資産」を受益(取得)する場合には、受贈者に譲渡所得の課税関係が生ずることがあります。


贈与資産の価額

負担付贈与が①のように有償譲渡に該当することになった場合、贈与資産の価額をどう評価すべきか、悩ましい問題があります。

負担付贈与も贈与であるから相続・贈与の場合に適用される財産評価通達にしたがった価額で評価すべきとの見解もあります。

しかし、現行の課税実務の取扱いにおいては、課税上弊害を考慮し、負担付贈与も対価を伴う有償譲渡であるとして、原則、贈与資産の価額はその時の価額、すなわち時価で評価すべきものとして取り扱っています。

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