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2013年04月 アーカイブ

2013年04月30日

平成25年度税制改正 納税環境整備

納税環境整備では、延滞税等(利子税、還付加算金を含む)の見直しが特筆されます。

この見直し案は、昨年の税制抜本改革案の閣議決定において、「平成25年度税制改正時に成案を得る」となっていました。

以下、延滞税等の改正案を中心に他の税目についても概観してみたいと思います。


●延滞税等の見直し

(1)延滞税の割合は各年の特例基準割合が年7.3%に満たないとき、次の区分に応じた割合とされています。

 ①年14.6%の割合の延滞税 特例基準割合に年7.3%を加算した割合

 ②年7.3%の割合の延滞税 特例基準割合に年1%を加算した割合(年7.3%限度)

(2)利子税の割合は、各年の特例基準割合が年7.3%に満たない場合には、次の利子税の区分に応じた割合とされています。

① ②に掲げる利子税以外の利子税はその特例基準割合

 ②相続税及び贈与税に係る利子税(年7.3%のものを除く)は、これらの利子税の割合に、特例基準割合が年7.3%に占める割合を乗じて得た割合

(3)還付加算金の割合は、各年の特例基準割合が年7.3%に満たない場合はその特例基準割合とされています。

 平成26年1月1日以後の期間に対応する延滞税等から適用されます(地方税も同様)。

●消費税率引上げに係る措置

軽減税率は、消費税率10%引上げ時にその導入を目指し、協議すべき課題として①対象・品目②軽減する消費税率③インボイス制度などの区分経理の整備④中小事業者の事務負担増等については、次回の税制改正時まで結論を得るとしています。

●国際課税について

国外関連者との取引に係る課税の特例、いわゆる「移転価格税制」について、独立企業間価格を算定する際の利益水準指標に営業費用売上総利益率を加える改正がなされ、また、徴収共助制度について、租税条約相手国間との送金等に関し、所轄国税局以外の国税局からも照会可能な措置が講じられています(平成25年7月1日から適用)。

●検討事項について

大綱の検討事項に、「小規模企業等に係る税制のあり方については、個人事業者、同族会社、給与所得者の課税のバランス等について、幅広い観点から検討する」、とあり、先の「特定支配同族会社の役員給与の損金不算入制度」の導入をほうふつさせます。

2013年04月26日

復興特別法人税の申告も忘れずに

平成25年3月決算法人から、復興特別法人税を申告し納めることになりましたが、気をつけたいのが赤字申告の場合です。

赤字申告ですと、法人税額も復興特別法人税額もゼロとなる可能性があります。

従来までですと法人税額をゼロ円で申告すればよかったわけですが、これからは復興特別法人税額もあわせてゼロ円で申告することを忘れてはいけません。

それはなぜでしょうか。理由は二つあります。


1.法人が受け取る利子、配当等については、平成25年1月1日以後、所得税だけでなく復興特別所得税が源泉徴収されています。

源泉徴収された所得税は法人税、源泉徴収された復興特別所得税は復興特別法人税から、税額控除されることになります。

つまり、復興特別法人税申告書を提出することによって、

控除しきれなかった復興特別所得税額の還付を受けることができるのです。


2.税務調査等で過少申告が判明し、事後的に法人税額を納めることがあります。

復興特別法人税は課税標準法人税額に10%を乗じて計算しますから、復興特別法人税額もあわせて納めることになります。

しかしこの場合の問題は、ペナルティの処理方法です。

確定申告時に法人税のみ申告し、復興特別法人税の申告書を提出しなかったら、この場合ペナルティとして、法人税で過少申告加算税、復興特別法人税で無申告加算税が、それぞれ課されることになります。

無申告加算税は、過少申告加算税よりも重いペナルティです。

ゼロ円でも、当初から復興特別法人税の申告を行っておけば、事後的に税額が生じたとしても、ペナルティは過少申告加算税で済むことになります。

2013年04月24日

事業所得と給与所得の区別

所得税では所得が10種類に分類されています。

利子所得、配当所得、不動産所得、事業所得、給与所得、退職所得、山林所得、譲渡所得、一時所得及び雑所得です。

今回は所得分類の中で、個人事業をされている人にはお馴染みの事業所得と、会社に雇用されている人にはお馴染みの給与所得の区別について解説します。

両者ともに「役務提供の対価」である点では共通しますが、事業所得には必要経費の実額控除が認められるのに対して(所得税法27条2項)、給与所得には概算控除(給与所得控除)しか認められず(同法28条2項)、また、事業所得は自ら確定申告をしなければならないのに対して、給与所得は原則として給与支払者による源泉徴収で終了するという違いがあるため、両者の区別は納税者の利害に直接的に影響します。


条文上は

事業所得とは、農業、漁業、製造業、卸売業、小売業、サービス業その他の事業で政令で定めるものから生ずる所得(山林所得又は譲渡所得に該当するものを除く)をいう(同法27条1項)。

給与所得とは、俸給、給料、賃金、歳費及び賞与並びにこれらの性質を有する給与に係る所得をいう(同法28条1項)。

と定められています。

上記の条文の定めから所得の性質は分かるものの、具体的な区別の基準は明示されていません。

そこで、弁護士が顧問先企業から収入する毎月一定額の顧問料が事業所得か給与所得か争われた事件において、最高裁は両者の区別について以下のような判断基準を示しました(最高裁昭和56年4月24日第二小法廷判決)。

事業所得とは、自己の計算と危険において独立して営まれ、営利性、有償性を有し、かつ反復継続して遂行する意思と社会的地位とが客観的に認められる業務から生ずる所得をいう。

給与所得とは、雇用契約又はこれに類する原因に基づき使用者の指揮命令に服して提供した労務の対価として使用者から受ける給付をいう。

なお、給与所得については、とりわけ、給与支払者との関係において何らかの空間的、時間的な拘束を受け、継続的ないし断続的に労務又は役務の提供があり、その対価として支給されるものであるかどうかが重視されなければならない。

と示しました。

事業所得は、「自己の計算と危険」、すなわち、対価をもらうだけでなく原価や経費を支出したり、仕事が無ければ収入はゼロというような関係にあることが本質的特徴であるのに対し、給与所得は対価の支払者との間に「指揮命令関係」があり、空間的時間的拘束を受けているということが本質的特徴であるといえます。

両者の本質的特徴を基準に、具体的事例に応じて、当該収入が事業所得に該当するか給与所得に該当するかを判断する必要があります。

ちなみに、上記最高裁で争われた弁護士の顧問料については、事業所得であると認定されました。

理由は以下のとおりです。

「上告人は、本件係争年度当時、事務所を設けて弁護士業務を営み、依頼事件を処理するほか、一般の依頼者と同様の立場にある顧問会社数社と顧問契約を結び、特定の会社のために常時専従する等格別の支配、拘束を受けることなく、会社から相談を受ける都度、自己の事務所において多くは電話で法律上の助言という労務の提供をしており、その回数も、会社が特別の問題をかかえている場合は別であるが、普通は月に1回ぐらいで、会社によっては2年に1回というところもあるというのであるから、本件顧問契約に基づき上告人が行う業務の態様は、上告人が自己の計算と危険において独立して継続的に営む弁護士業務の一態様にすぎないというものというべきであり、前記の判断基準に照らせば右業務に基づいて生じた本件顧問料収入は所得税法上、給与所得ではなく、事業所得にあたると認めるのが相当である。」

2013年04月23日

中小企業の交際費課税の見直し

法人が支払った交際費は、資本金1億円超の大企業では全額損金に算入できませんし、資本金1億円以下の中小企業では一定の金額までしか損金として認められていません。

今回、平成25年税制改正において、この中小企業の交際費の損金不算入の制限が緩和されることになりました。


これまでは、中小企業の損金に認められる交際費は、年間600万円までで、そのうちの10%は否認されていました。

600万円を超えた金額は、全額否認されます。

それが今回の改正で、年間800万円まで認められ、さらに、10%の損金不算入がなくなります。

例えば、交際費が年間800万円の法人の場合、これまでであれば、540万円までしか損金にできない計算でしたが、改正後は、800万円までは全額、損金に算入できることができます。

最大で260万円損金が増えるわけです。

とはいえ、実際に支出が伴いますので、なかなか800万円も交際費に使えるものではありません。

しかし、10%の否認がなくなるのは、多くの中小企業にとって減税につながると思います。


適用時期ですが、平成25年4月1日~平成26年3月31日に開始する事業年度になるようです。

現状では、1年間限定となっております。


これまで、飲食接待の際、一人5,000円以下に抑えるよう気を使ってきた経営者の方も多いと思いますが、これからは、その点については、気にせず接待できるのではないでしょうか。

2013年04月22日

平成25年度税制改正大綱 法人課税

法人課税については、大綱の基本理念が「成長と富の創出の好循環」であることから、改正内容は投資等減税が中心となっています。

それでは、主な改正項目を概観してみたいと思います。

●生産等設備投資増加企業への投資減税

一定の生産等設備の投資額がその年の償却費を超え、かつ、前年の投資額の110%相当額を超えた場合には、30%の特別償却と3%の税額控除との選択適用が創設されています。


●商業・サービス業等の中小企業への投資減税

中小企業等で経営改善に関する指導及び助言を受けた店舗の改修等に伴い器具備品(1台の取得価額30万円以上)及び建物附属設備(一の取得価額60万円以上)の取得等をした場合、30%の特別償却と7%の税額控除との選択適用が創設されています。 

                 
以上の改正の適用は、平成25年4月1日から平成27年3月31日までの間に開始する各事業年度に取得又は実施したものとなっています(控除限度額法人税額の20%)。


●給与等の支給増を促す減税措置

基準年度(適用年度の前年)と比較して5%以上の給与等の支給増(一定の要件を満たす場合に限る)が実施された場合、その増加額の10%の税額控除ができることとされ、控除限度額は法人税額の10%(中小企業20%)です。この改正は、平成25年4月1日から平成28年3月31日までの間に開始する各事業年において適用されます。

なお、この制度は、次の雇用促進税制との選択適用となっています。


●雇用促進及び試験研究費等の税額控除

雇用促進税制では、1人当り40万円(現行20万円)に拡充等がなされ、また試験研究費等にあっては、限度額を法人税額の30%に引上げられています(現行20%)。

●交際費等の損金算入額の拡大

中小法人の交際費課税の特例について、定額控除限度額を800万円(現行600万円)に引き上げるとともに、定額控除限度額までの金額の損金不算入措置(現行10%)が廃止とされています。

●組織再編における欠損金の制限措置拡充

一定の組織再編における特定資産の譲渡等損失の損金不算入について、一定の資産を特定資産に加え、また、当該譲渡等損失となる金額が追加されています。

この改正は、平成25年4月1日以後の一定の組織再編に係る資産及び欠損金について適用されます。

2013年04月19日

振替納税、残高は大丈夫?

確定申告が終わって1か月経ち、安心している方も多いと思います。

しかし、振替納税を利用している方は、もう少しの間注意が必要です。

なぜかというと「まだ納税が済んでいない」からです。


●振替納税とは

振替納税は、自分が指定した金融機関の預貯金口座から自動的に納税が行われる方法で、電気代やガス代など公共料金の自動振替と同じです。

税金の種類ごとに手続きをする必要がありますが、一度手続きを行ってしまえば、原則的に次回以降の納税も振替納税となります。

わざわざ金融機関に出かける手間が省けるので便利だと、多くの方がこの振替納税を利用しています。


●振替納税できなかったら

申告期限より後に納税となるので、残高不足で引き落としができなかったという「うっかり」をよく耳にします。

もしも、残高不足で引き落としが出来なかった場合には、改めて金融機関へ足を運び、自分で納付書で納付することになるだけではなく、法定納期限(今年の場合は所得税:3/15、消費税:4/1)の翌日から納付の日までの期間について、延滞税を支払わなければなりません。


●今年の振替日

平成24年分確定申告の振替日は、

所得税の確定申告分は平成25年4月22日(月)

消費税及び地方消費税の確定申告分は平成25年4月24日(水)

です。

確実に指定口座から振替納税できるよう、いま一度、納税額と口座残高の確認をお願いします。


2013年04月18日

賭博に課税される時代

審判事例にもあった競馬所得事案

昨年12月21日に公表された国税不服審判所の新裁決事例の中に、馬券による所得の無申告を税務署から指摘された地方公務員が、過去5年分の馬券所得を雑所得で申告したところ、税務署が一時所得に該当するとして更正処分をしたという事例がありました。

申告者は、多種多様のファクターを組み合わせて着順を予想し、競走後にも結果の分析及び検討を行い、次の競走に生かして、過去6年余にわたり、毎年黒字の収益を確保していたなどとして、本件競馬所得は、営利を目的とする継続的行為から生じた所得に該当し、雑所得である旨主張しています。

話題を呼んだのは別な事案

また、昨年11月29日、競馬での1億円の儲けに追徴額6.9億円、という全国紙での類似のニュースがありました。

こちらは、会社員がインターネットで馬券を3年間で計約28.7億円分購入し、約30億円余りの払戻しで差引約1.4億円の儲けを得たところ、国税局はこの馬券の所得を一時所得と認定し、30億円の収入に対する必要経費と認めたのは28.7億円ではなく、当たり馬券の1.3億円だけとしました。


時代が変わった馬券購入

賭博所得は法令規定に拘わらず実質的に無申告非課税という実態だったところ、窓口まで足を運び現金で馬券購入するというのではなく、銀行口座振替によるプッシュホン電話・携帯電話・インターネット経由での申し込みが一般的な購入形態になったことにより、当り馬券保持者が特定できるようになり、法令通りの課税・申告をなし得る時代になったようです。


順列組み合わせ確率論の前で足踏み

裁決事例での課税当局の主張は、「賭博は一回性のもので、各賭博の結果には相互関連性がない」という理由でした。

しかし、FX取引・株取引などにも賭博性の強いものがあるし、CDSなどのデリバティブ取引や保険契約などにも賭博と共通するものがあります。

儲けの7倍近い追徴になる課税処分は、担税力を課税の根拠とする所得税の趣旨から考えて異常です。

所得税基本通達が賭博所得を一時所得として例示していることが、課税当局の判断に制約を加えています。


2013年04月17日

所得概念と違法所得

所得税は「所得」について課されます(所得税法7条1項各号)。

では、そもそも「所得」とは何でしょうか。

日本の所得税法は「包括的所得概念」という考え方で「所得」を捉えます。


包括的所得概念とは、「人の税金を負担する力(担税力)を増加させる経済的利得はすべて所得を構成する」という考え方で、これによると反復継続的な利得のみでなく、一時的・偶発的・恩恵的利得も所得に含まれることになります。

このように所得概念を考える理由は、すべての経済的利得を所得と捉えることにより

①公平に税を負担させることができること

②所得の再分配機能が高まること

③景気調整機能を増大させることができること

が、挙げられます。

では、私法上無効であるような違法な所得はどのように扱われるでしょうか。

この点について所得税法の明文規定は存在しないのですが、包括的所得概念の考え方からすると、違法所得であっても「所得」を構成すると考えられています(最高裁昭和46年11月9日第三小法廷判決同旨)。

違法所得を「所得」と捉えて課税することに対しては、国家が犯罪利得を是認することは不適切であるとの批判がありますが、まじめにコツコツ働いて得た収入にはわずかな額でも課税し、莫大な犯罪利得には課税しないというのでは公平な所得税制とはいえないとする価値判断が優先されているように思います。


参考までに日本の所得税制では採用されていない所得概念を紹介します。

消費型(支出型)所得概念

各人の収入のうち、効用ないし満足の源泉である財貨や人的労務の購入に充てられる部分のみを所得と観念し、蓄積に向けられる部分を所得の概念から除外する考え方をいいます。

この所得概念を採用している国は現在のところ無いようです。


制限的所得概念

経済的利得のうち、利子・配当・地代・利潤・給与等、反復継続的に生ずる利得のみを所得として観念し、一時的・偶発的・恩恵的利得を所得の範囲から除外する考え方をいいます。

イギリスを始めヨーロッパ諸国で支持されている所得概念です。

イギリス・ドイツ・フランス等は制限的所得概念に基づき株式譲渡益の非課税枠がとても大きいです。

2013年04月16日

法人税率の改正と復興特別法人税

平成24年4月1日開始事業年度以降、法人税率が引き下げとなりました。

一方、平成24年4月1日より3年間、復興特別法人税が課されることとなりました。

具体的に税率について、みていきたいと思います。

1.法人税率の引き下げについて

平成23年度税制改正に関する法律が、平成23年12月2日に公布・施行され、次のとおりに法人税率が改正されました。

普通法人 現行 30% ⇒ 改正後 25.5%

中小法人(所得800万円超)

     現行 30% ⇒ 改正後 25.5%

    (所得800万円以下)  

     現行 22% ⇒ 改正後 19% 

    (所得800万円以下・租税特別措置法の軽減税率の場合)

     現行 18% ⇒ 改正後 15%

平成24年4月1日以後に開始する事業年度から、改正後の税率が適用されます。

なお、中小法人については、年800万円以下の所得に係る税率は、現行も改正後も通常、租税特別措置法による軽減税率が適用されます。

2.復興特別法人税の創設について

「東日本大震災からの復興のための施策を実施するために必要な財源の確保に関する特別措置法」が、上記の法人税率の引き下げと同日に公布・施行され、復興特別法人税が創設されました。

復興特別法人税の課税標準は各事業年度の所得に対する法人税の額、税率は10%となります。

つまり、通常の法人税額の10%が復興特別法人税の額となります。

では、いつから復興特別法人税が課されるのでしょうか?

復興特別法人税は期間限定で課されます。

指定期間である平成24年4月1日から平成27年3月31日までの期間内に、最初に開始する事業年度開始の日から同日以後3年を経過する日までの期間内の日の属する事業年度を課税事業年度として、復興特別法人税が課されます。
 
具体的には、3月決算法人の場合、平成25年3月決算期から3事業年度ということになります。

ただし、途中で決算期を変更した場合等には、4事業年度以上になる場合もあります。

なお、決算期変更等により課税事業年度の月数が36か月以上になった場合には、最後の課税事業年度の課税標準を月割りし、36か月分の通常の法人税額に対して復興特別法人税の額が計算されるように調整することになっています。


3.減税なのか?増税なのか?

上記のように、平成24年4月1日開始事業年度以降、原則3事業年度については、減税と増税が同時に行われることになります。

いったい、減税になるのか、増税になるのか、どちらでしょう。

実際の計算は別々に行いますが、通常の法人税率と復興特別法人税率を合わせた税率は、次のとおりとなります。

普通法人 現行 30% ⇒ 改正後 28.05%

中小法人(所得800万円超)

     現行 30% ⇒ 改正後 28.05%

    (所得800万円以下)  

     現行 22% ⇒ 改正後 20.9% 

    (所得800万円以下・租税特別措置法の軽減税率の場合)

     現行 18% ⇒ 改正後 16.5%

このように、復興特別法人税が課されたとしても、現行より若干の減税となります。


地方税は税率の改正はありませんでしたが、法人住民税は、法人税額を課税標準として課されるため、法人税率の引き下げに連動して減税となります。


2013年04月15日

平成25年度税制改正 個人所得課税

平成25年度税制改正大綱が、与党自民党・公明党から発表されました。

内容的には、自公政権時代の平成21年度税制改正附則104条(税制の抜本的な改革に係る措置・・・格差是正、所得再分配機能の回復、税率構造の見直し、金融所得課税の一体化等)、昨年6月の税制抜本改革法附則20条(所得税の最高税率の見直し等)を受けての改正となっています。

主な改正項目を概観してみたいと思います。


●所得税の最高税率の見直し

特に高い所得階層、課税所得4,000万円超については、45%の税率が設けられました。

これにより、住民税10%と合わせて最高税率が55%になります。

この改正は、平成27年分以後の所得税から適用されます。


●住宅取得控除の延長と拡充

住宅ローン減税は、平成26年1月1日から平成29年末まで4年間延長され、その期間の内平成26年4月1日(消費税の増税)から平成29年末までの認定住宅については最大控除500万円に、それ以外の住宅取得には400万円に拡充されました。

また、個人住民税についても、住宅ローン控除の対象期間を平成26年1月1日から平成29年末まで延長され、その期間の内平成26年4月1日から平成29年末までに住宅を取得した場合の控除限度額を、所得税の課税総所得金額等の7%(最高13.65万円)に拡充されました。

●金融所得課税に一体化による見直し

現在、原則、非課税扱いとなっている公社債等の譲渡を課税とし、これら債券の配当や譲渡損益も上場株式等の譲渡損益及び配当との損益通算、繰越控除を可能とするものです。

この改正は、平成28年1月から適用です。


現行の上場株式等の譲渡損益及び配当に対する10%課税の軽減措置は、今年末をもって廃止され、平成26年以降は、本来の20%課税に戻ります。


●その他の改正項目(措置法関係)

①個人から法人に不動産等を贈与した場合の「みなし譲渡課税」については、一定の要件を満たすものについては課税しない(平成25年4月1日から平成28年3月31日までの期間に贈与)

②非上場株式を相続税法において相続または遺贈により取得したものとみなされる個人もみなし配当課税の特例の対象者に加える(平成27年1月1日以後に開始する相続又は遺贈)

などです。

2013年04月12日

新入社員と税務上の手続き

社員を採用した場合、会社では税務上どのような手続きを行えばよいでしょうか。


●扶養控除等(異動)申告書の受理

新入社員の方が入社されたら、早速「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」を書いていただきます。

扶養控除等(異動)申告書には、住所、生年月日、配偶者や家族の扶養状況等を記入する欄があります。

在職中、年末調整時には毎年、記入内容に異動が生じた場合にはその都度、記入してもらうことになります。

この申告書が提出されると、月々の給与で天引きする源泉所得税は、源泉徴収税額表の「甲欄」を使用し、扶養家族等の数に応じて計算します。

扶養控除等申告書が提出されない場合は、「乙欄」という、「甲欄」よりも高い設定の源泉所得税が天引きされることになります。

また、その年の1月から入社までの間に前職がある社員を採用した場合には、前の会社等に源泉徴収票を発行してもらい、それを入社した会社に提出してもらう必要があります。

●住民税の手続き

住民税には、普通徴収と特別徴収という2種類の徴収方法があります。

・普通徴収

社員個人が、居住する市区町村に直接納税します。

この徴収方法の場合は、会社で行う手続きはありません。


・特別徴収

住民税を給与から天引きし、会社が取りまとめて納税します。

この徴収方法の場合、従業員が住む各市区町村に対し、会社が取りまとめる旨の書類を提出する必要があります。

「特別徴収への切替申請書(依頼書ともいう)」を記入し、社員個人に届いた普通徴収分の納付書を添付の上、各市区町村に提出してください。

ただし、納期限が過ぎてしまった普通徴収分は、特別徴収への切り替えが出来ませんのでご注意ください。


なお、入社直前まで前職で勤務していた社員を採用した場合、前の勤務先から「給与所得者異動届出書」を託されることがあります。

これは、いわば「特別徴収の引き継ぎ書」のようなもので、前職において特別徴収した税額と、何月分まで徴収したのかが記入されています。

この書類を受け取ったら、何月分の給与から特別徴収を開始するか等の必要事項を記入して、市区町村に提出してください。

2013年04月11日

年金と失業給付は同時受給できるか

60歳になり特別支給の老齢厚生年金を受給ができる人が、退職して雇用保険の失業給付を受けようとした時は、年金と失業給付は同時受給できません。

また、在職中の方で高年齢雇用継続給付を受ける時は、在職による年金の支給停止に加えて、さらに年金の一部支給停止もあります。


雇用保険の基本手当(失業給付)との調整

特別支給の老齢厚生年金は、ハローワークで求職の申し込みをした日の属する月の翌日から失業給付の受給期間が経過した日の属する月(または所定給付日数が終了した日の属する月)まで全額支給停止されます。

求職の申し込みをした後、基本手当を受けなかった月があった場合はその月分の年金はすぐには支給されず遅れて支給されます。

さらに失業給付受給終了後の年金支払い開始も後払いされます。

特別支給の老齢厚生年金の受給権者の方がハローワークで求職の申し込みをした場合は年金事務所へ届出をしておきます。

雇用保険の高年齢雇用継続給付との調整

高年齢雇用継続給付とは、雇用保険の被保険者期間が5年以上ある60歳以上、65歳未満の雇用保険被保険者に対して、賃金額が60歳到達時の75%未満となった方を対象に最高で賃金額の15%に相当する額を支給するものです。

厚生年金の被保険者の方で、特別支給の老齢厚生年金を受けている方が雇用保険の高年齢雇用継続給付(基本給付金・再就職給付金)を受けられる時は、在職による年金の支給停止に加えて年金の1部が支給停止されます。

支給停止される年金額は給付金の支給率で変わり、最高で賃金(標準報酬月額)の6%に相当する額です。

特別支給の老齢厚生年金の受給権者が高年齢継続雇用を受けられる場合は年金事務所へ届出をしておきます。

まとめてみると

60歳代前半で退職した場合は失業給付を受けている間、老齢厚生年金は受給できず、在職中で高年齢雇用継続給付を受給する場合は報酬に応じて年金が一部減額されるという仕組みになっています。



2013年04月10日

源泉徴収制度の法律関係

従業員に給料を支払ったり、弁護士や税理士に報酬を支払ったりすると、支払者には所得税の源泉徴収義務があり、原則として支払い月の翌月10日までに納税しなければならなりません(所得税法183条1項、同204条1項他)。

会社を経営している方は毎月の経理事務としてよくご存じかと思います。

源泉徴収制度において、当事者である国・支払者・受給者の三者がどのような法律関係にあるのでしょうか。

1 国と支払者との法律関係

支払者は国に対して「納税者」として源泉徴収による所得税の徴収・納税義務を負います(国税通則法2条5号)。

そのため、支払者が源泉徴収した所得税を納税しなかった場合には、国は受給者ではなく、支払者に対して納税告知をして徴収手続をします(国税通則法36条1項、所得税法221条)。
国と支払者との法律関係は上記のように公法上の関係です。


2 支払者と受給者との法律関係

受給者から源泉徴収した所得税に不足がある場合に、支払者が不足分も含めて納税したときは、支払者は受給者に対して不足分を天引き又は請求することができます(所得税法222条)。

また、支払者に源泉徴収された所得税額が過大である場合には、受給者は支払者に対し本来の債務(給与等)の一部不履行として支払を請求することができます。

支払者と受給者との法律関係は上記のように私法上の関係です。


3 国と受給者との法律関係

国と受給者との間には直接的な法律関係は生じません。よって、受給者が納税義務の存否又は範囲を争う場合には支払者との関係において争わなければなりません(最高裁昭和45年12月24日第一小法廷判決)。

また、支払者に源泉徴収された税額の過誤を受給者が確定申告で是正・精算することはでいないとされています(最高裁平成4年2月18日第三小法廷判決)。

以上のように、本来の租税法律関係は国と受給者(納税義務者)との間の単純な公法的法律関係であるのに対し、源泉徴収制度の下では支払者(源泉徴収義務者)が介在することにより法律関係に変化が生じます。

2013年04月09日

教育資金の一括贈与 学校・教育費の範囲

平成25年度税制改正の目玉のひとつに「教育資金の一括贈与に係る贈与税非課税措置」があります。

以前に概要をご紹介しましたが、今回は、学校等の範囲、どのような費用が認められるのかについてまとめてみたいと思います。


「学校等」の領収書のある教育費は、1,500万円までの非課税枠が認められますが、具体的には、以下のものが学校等の範囲に含まれます。

①幼稚園、小学校、中学校、高等学校、中等教育学校、特別支援学校

②大学、大学院

③高等専門学校

④専修学校、各種学校

⑤保育所、認定こども園、保育所に類する施設(障害児通所支援事業を行う施設、届出を行っている認可外保育施設など)

⑥外国の教育施設のうち一定のもの

〈外国にあるもの〉

・その国の学校教育制度に位置づけられている学校(日本の幼稚園、小学校、中学校、高等学校、特別支援学校、大学、大学院、高等専門学校、専修学校に相当する学校)

・日本人学校、私立在外教育施設

〈国内にあるもの〉

・インターナショナルスクール(国際的な認証機関に認証されたもの)

・国内にある外国の教育施設で、日本の学校への入学資格が得られるもの(外国人学校、外国大学の日本校)

・国際連合大学


⑦水産大学校、海技教育機構の施設(海技大学校、海上技術短期大学校、海上技術学校)、航空大学校、国立国際医療研究センターの施設(国立看護大学校)

⑧職業能力開発総合大学校、職業能力開発大学校、職業能力開発短期大学校、職業能力開発校、職業能力開発促進センター、障害者職業能力開発校

(国・地方公共団体・職業能力開発促進法に規定する職業訓練法人が設置するものに限る。)


教育費の範囲としては、学校等に対して支払われたことが、学校等からの領収書等により確認できる費用が対象となります。

例えば、入学金、授業料、入園料、保育料、施設設備費、教育充実費、修学旅行・遠足費などが挙げられます。

また、学校等が費用を徴収し、業者等に支払う場合も含まれます。


学校等以外に対して直接支払われる費用については、500万円までの非課税枠が認められます。

①学習(学習塾・家庭教師、そろばんなど)

②スポーツ(スイミングスクール、野球チームでの指導など)

③文化芸術活動(ピアノの個人指導、絵画教室、バレエ教室など)

④教養の向上のための活動(習字、茶道など)

上記のような塾や習い事などの月謝、入会金、謝礼、施設使用料や、活動で使用する物品を指導者等を通じて購入した費用などが対象となります。

ただし、教育のために支払われるものとして社会通念上相当と認められるものに限りますので、ご注意ください。

また、塾のテキストを自分で書店から購入した場合、スポーツ用品店から個人的に道具を購入した場合などは対象となりません。


学校等で必要となる費用を業者に直接支払った場合でも、学校等における教育に伴って必要な費用で、学生等の全部または大部分が支払うべきものと当該学校等が認めたものは、500万円までの非課税枠の対象になります。

これらの費用の支払いについては領収書等で確認することとなりますが、領収書には支払い日付、金額、支払者(宛名)、支払先の氏名又は名称及び住所又は所在地、摘要(○月分○○料としてなど)が明らかになっている必要があります。


非課税限度額の総額が1,500万円となりますので、学校等以外の費用については、1,500万円の枠の中で、500万円を上限に教育費に含めることができます。

合わせて2,000万円まで非課税ではありませんので、間違えないようにしましょう。

2013年04月08日

在職老齢年金とは

在職老齢年金とは


70歳未満の人が会社に就職し、厚生年金保険に加入した場合や、70歳以上の人が厚生年金保険の適用事業所に勤めた場合は、老齢厚生年金の額と給与や賞与の額に応じて、年金の一部または全額が支給停止されることがあります。

これを在職老齢年金といいます。

平成25年4月からは段階的に希望者全員の継続雇用義務が始まることから、在職老齢年金の仕組みを知っておくことは必要でしょう。

60歳から65歳になるまでの年金額

老齢厚生年金の60歳から65歳になるまでの在職老齢年金は次のようになります。

A.基本月額・・加給年金額を除いた特別支給の老齢厚生年金

B.総報酬月額相当額・・その月の標準報酬月額+その月以前1年間の標準賞与合計額の12分の1

在職老齢年金の支給額は次の5つのうちのどれかとなります。

上記A、Bの額を次の各式のどれに当てはまるかを見て計算します。

①基本月額と総報酬月額相当額の合計額が28万円以下の場合は全額支給

②総報酬月額相当額は46万円以下で基本月額は28万円以下・・・基本月額-(総報酬月額相当額+基本月額-28万)÷2

③総報酬月額相当額が46万円以下で基本月額は28万円超・・・基本月額-総報酬月額相当額÷2

④総報酬相当月額が46万円を超、基本月額が28万円以下・・・{(46万円+基本月額-28万円)÷2+(総報酬月額相当額-46万円)}

⑤総報酬月額相当額が46万円超、基本月額も28万円超・・・基本月額-{46万円÷2+(総報酬月額相当額-46万円)}


65歳以後の在職老齢年金

65歳以上の場合は計算がずっと簡易になります。

基本月額と総報酬月額相当額の合計額が46万円以下であれば全額支給され、合計額が46万円以上の場合は基本月額-(基本月額+総報酬月額相当額-46万円)÷2となります。

老齢基礎年金及び経過的加算額は全額支給されます。

70歳以上の場合は、厚生年金保険被保険者ではなくなるので、保険料負担は無くなりますが、報酬によってこの支給制限は続きます。


2013年04月05日

相続税改正で増税へ

平成25年度税制改正法案が、3月29日に参議院で可決、成立となりました。

今回の税制改正の中でも、相続税では、課税ベースの拡大と税率構造の見直しを行っています。

これにより、相続税を課税する対象者が増え、相続税の申告件数は今までの1.5倍になるといわれているのです。


それでは、改正内容の主だったものを見ていきます。


基礎控除の引き下げ(平成27年1月1日~)

基礎控除額の範囲内であれば相続税はかかりませんが、その基礎控除額が引き下げられました。

現行  : 5,000万円+1,000万円×法定相続人の数

改正後 : 3,000万円+600万円×法定相続人の数

例えば、相続人が配偶者と子供2人の場合、現行の基礎控除は8,000万円でしたが、改正後は4,800万円に減ってしまいます。

税率構造の見直し(平成27年1月1日~)

最高税率が50%から55%に引き上げられ、税率段階が6段階から8段階へと細分化されました。

     現行             改正案
                税率             税率

1,000万円以下の金額  10%    同左


3,000万円以下の金額  15%    同左


5,000万円以下の金額  20%    同左


1億円以下の金額    30%    同左


3億円以下の金額    40%     2億円以下の金額   40%


―                    3億円以下の金額   45%


3億円超の金額     40%     6億円以下の金額   50%


―                   6億円超の金額    55%


小規模宅地等の特例の改正(①②:平成27年1月1日~、③:平成26年1月1日~)

小規模宅地等の特例とは、相続税の計算で自宅や事業用の土地を評価する際、一定の要件に該当するときは、最大80%の減額を認めるという特例です。

ただし、小規模宅地等の特例を使って相続税を計算した場合には、たとえ相続税額がゼロであっても、相続税申告書を提出し一定の書類を添付しなければなりません。


①特定居住用宅地等に係る特例の適用対象面積の拡大

特定居住用宅地等について、適用対象面積が、現行の240㎡から330㎡に拡大されました。


②特定居住用宅地等と特定事業用宅地等・特定同族会社事業用宅地等の併用可能

特定居住用宅地等と特定事業用宅地等・特定同族会社事業用宅地等がある場合、現行では原則どちらかの限度面積までしか適用できませんでしたが、改正後はそれぞれの限度面積まで併用して適用できるようになります。

これにより、適用面積は最大730㎡となります。


③特定居住用宅地等の適用要件の緩和

・老人ホーム

老人ホームに入所したことにより被相続人の居住の用に供されなくなった家屋の敷地の用に供されていた宅地等は、次の要件が満たされる場合に限り、相続開始の直前に被相続人の居住の用に供されていたものとして特例を適用できることになりました。

イ 被相続人に介護が必要なため入所したものであること。

ロ 当該家屋が貸付け等の用途に供されていないこと。

・二世帯住宅

一棟の二世帯住宅で構造上行き来ができないものついて、被相続人及びその親族がそれぞれに居住していた場合には、その親族が相続又は遺贈により取得したその敷地の用に供されていた宅地等のうち、被相続人及びその親族が居住していた部分に対応する部分が特例の対象となりました。


相続税など関係ないと思っていた方も、相続税の心配をしなければならない可能性があります。

相続税がかかるかどうか、相続税のシミュレーションもぜひ当社にお任せください。

2013年04月04日

登記忘れにご注意

会社の決算後は会計書類の整理に気を取られがちですが、役員の任期が満了する場合には法務局での役員の変更登記申請も必要です。


役員の任期も確認を

御社の取締役・監査役の任期は何年になっているでしょうか

定款を見ると、「選任後○年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会の終結の時までとする。」といった形で役員の任期が記載されています。

つまり任期が2年であれば、選任から2年後の定時株主総会で任期を満了することになり、法務局に対し再選の手続き(=役員の変更登記)を行わなくてはなりません。

たとえ全く同じメンバーが引き続き役員を務める場合でも同様です。


登記すべき期間

役員の再任手続きなど、会社の登記に関しては登記すべき期間(登記期間)が定められており、原則として変更後2週間内に法務局で登記申請をする必要があります。

もし仮に、登記期間内に登記の申請を怠り、その後申請をする場合であっても申請そのものが却下されることはありませんが、100万円以下の過料に処せられる恐れがあります。

過料金額は登記を怠った期間が長ければ長いほど膨れる傾向にあり、実例としては数万円~10万円程度の過料が科されているようですが、基準は明らかになっていません。

また、過料の通知は代表者個人にされ、会社の損金に算入することができない点にも注意が必要です。


休眠会社の「みなし解散」に要注意

登記忘れにより気を付けなければならないのは、過料の制裁だけではありません。

会社法では、株式会社は最後の登記の日から12年経過してしまうと休眠会社とされ、法務大臣が官報に公告を行い、その後2か月を経過してもなお登記・届出をしなかった場合、解散したものとみなす規定が定められています。

つまり、長期間に渡り登記を怠ってしまうと、実際に営業を行っているか否かに関わらず、会社が解散したとみなされてしまう可能性があるのです。

家族経営や役員の入れ替わりがない会社の場合、特に役員変更登記を失念しがちですので、みなし解散に該当することのないよう十分ご注意ください。

2013年04月03日

推計課税


今回は、皆様にあまり馴染みのないであろう「推計課税」について解説します。

1 推計課税の意義

推計課税とは、所得税又は法人税について更正又は決定する場合に、直接資料に拠らずに、各種の間接的な資料を用いて課税庁が所得を認定する方法をいいます(所得税法156条、法人税法131条)。


2 推計課税の根拠

原則として直接資料から所得の実額を把握すべきであることは言うまでもありませんが、納税者から直接資料が入手できないからといって課税庁が課税を放棄することは租税の公平負担の観点から妥当ではありません。

そこで推計課税が認められることになります。

3 推計課税の必要生

推計課税はあくまでも直接資料が入手できない場合の例外的な課税手段であることから、推計課税を行うためにその必要性が認められなければなりません。

具体的には

①帳簿書類等に不備があるため、収支状況を直接資料によって明らかにすることができない場合

②帳簿書類等の内容が不正確で信頼性に乏しい場合

③調査に協力的でないため、直接資料が入手できない場合

以上のいずれかに該当する場合には推計課税の必要性が認められると解されています。


4 実額反証

実額反証とは、実額を把握できないためやむを得ずなされた推計課税に対し、審査請求または訴訟の段階になって、納税者から推計により算定された所得金額は帳簿書類等の直接資料に基づく実額に比べて過大であるとして、その推計課税の違法性を主張することをいいます。

納税者が非協力的だからこそ行われた推計課税にもかかわらず、争いになった段階で納税者が実額反証することができるかが問題となりますが、事後的な実額反証であっても真実の所得が認定されるのであれば実額反証は認められると解されています。

ただし、実額反証によって推計課税の違法性を主張できるのは、推計による所得金額が実額を著しく超えることが一見明白であること、すなわち合理的疑いを容れない程度に証明されることが必要とされています(大阪高裁昭和62年9月30日判決)。


2013年04月02日

外国人雇用と「理由書」

「理由書」とは

留学生を採用する際、外国籍従業員を雇い入れた際など、外国人雇用に当たり「雇用理由書」の作成を求められることがあります。

外国籍の方が日本で就労するためには、これから行う職務内容に合わせた在留資格の取得(変更)手続きが必要です。

この手続きの際、提出書類として頻繁に求められるのが雇用理由書などの「理由書」です。


必須書類ではない

法律上、「理由書」という用語は存在しません。

手続き上必ず必要な書類というわけでもなく、決まった書式もありません。

しかし、在留資格に関する審査は書面上で行われる性質上、法定された書類だけでは「なぜその外国人を雇用するのか」「雇用することによって企業にどのような利益をもたらすか」など、日本に在留する許可を出す十分な理由があるという立証が困難な場合があります。

この点を補足するのが「理由書」であり、必須書類ではないながらこの補足説明は審査に大きく影響します。

理由書作成のポイント

理由書には決まった書式がありませんので、記載の仕方は各企業それぞれですが、今回は特に留学生を採用し、在留資格「留学」から就労系在留資格に変更する際の「雇用理由書」の書き方に焦点を当てご紹介します。

個々の事例によっても異なりますが、下記のような事項は理由書を作成する上で重要なポイントを占めます。


≪留学生「雇用理由書」作成のポイント≫

①採用の理由、経緯

②留学生の学歴、経験、実績等と従事する職務内容との関連性

③従事する職務の重要性、高度性

④十分な業務量と事業の安定性、継続性

⑤留学生の品格人柄の評価

上記のポイントを具体的に裏付ける資料があれば、合わせて提出するのも非常に有効的です。

採用計画の失敗は、事業にとって甚大な影響を及ぼしかねません。

在留資格に関する手続きでは、企業側の申請に対する協力姿勢が大変重要になります。

2013年04月01日

マイホームの買い換えと住宅ローン控除

平成25年12月末で期限切れとなる現行の住宅ローン控除について、4年間延長するとともに、最大控除額を一般住宅で10年間400万円、認定住宅で10年間500万円引き上げることが、平成25年度税制改正大綱において決まりました。

では、現在、住宅ローン控

除を受けている方が、マイホームの買い換えをしてローンを組み直した時に、引き続き住宅ローン控除を受けられるでしょうか?

答えは、条件付きですが、住宅ローン控除を受けることができます。

その条件とは、居住開始の前々年から翌々年までの間、次に挙げるマイホームを売却して譲渡益が出た場合の特例を受けていないことです。


・3000万円特別控除

売却による譲渡益が発生した場合に、譲渡所得から3000万円までを控除できる制度です。


・軽減税率の特例

所有期間が10年を超えているものについて、税率が軽減されます。

・買い換え特例

所有期間が10年を超えたマイホームを売却して、新しいマイホームを購入する場合、譲渡益が発生しても課税が繰り延べられる制度です。


上記の条件に加え、住宅ローン控除の適用要件を満たしていれば、その年の確定申告をすることで、買い換えローンの住宅ローン控除を受けることができます。

ただし、特例か住宅ローン控除か、どちらかを選択しなければいけませんので、譲渡益が出ている場合には、検討する必要があるでしょう。

例えば、譲渡益300万円、住宅ローン減税額200万円(総額)の場合、3000万円特別控除と住宅ローン控除を比較してみます。

・3000万円特別控除を選択した場合

譲渡益300万円 - 特別控除300万円 = 0 ⇒ 納税額 0円

300万円×税率20%=60万円分が減税


・住宅ローン控除を選択した場合

譲渡益300万円 × 税率20% = 納税額60万円

住宅ローン控除 10年間総額200万円の減税

納税額60万円 - 減税額200万円 = 140万円が減税

このケースでは、住宅ローン控除を選択した方が、税制上は有利といえます。

譲渡所得の特例は譲渡した年に減税を受けられますが、住宅ローン控除の場合は、10年間かけて減税を受けるという違いもあります。

繰り上げ返済をする予定など、個々のケースで、どちらが有利かは違ってきますので、一度、試算してみてはいかがでしょうか。

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