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2013年03月 アーカイブ

2013年03月29日

所得拡大促進税制

平成25年度税制改正法案が参議院で審議入りしました。

その税制改正法案に盛り込まれているのが「所得拡大促進税制」です。

まだ可決成立していないため、現時点では決定稿ではありませんが、概要をご紹介します。


1.所得拡大促進税制

青色申告書を提出する法人又は個人事業主が、平成25年4月1日から平成28年3月31日までの間に開始する各事業年度において、国内雇用者に対して支給する給与等が一定額増加した場合には、一定額の税額控除を受けることができます。

2.要件(一定額の給与等の増加とは)

次の要件のすべてを満たす場合には、税額控除を受けることができます。

①当年度の雇用者給与等支給額の増加額≧基準事業年度の給与等支給額×5%

②当年度の雇用者給与等支給額の増加額≧前事業年度の給与等支給額

③平均給与等支給額≧前事業年度の平均給与等支給額

※基準事業年度とは、平成25年4月1日以後に開始する事業年度のうち最も古い事業年度の直前の事業年度をいいます。

※雇用者は、法人の役員及びその役員の特殊関係者は除きます。

3.控除額

雇用者給与等支給増加額の10%を税額控除ができます。

ただし、中小企業者等については税額×20%

それ以外については税額×10%を限度とします。


4.注意点

次の税額控除を選択する場合は、所得拡大促進税制を適用することはできません。

①雇用者の数が増加した場合の法人税額の特別控除制度(雇用促進税制)

②復興産業集積区域において被災雇用者等を雇用した場合の法人税額の特別控除制度

③避難解除区域等において避難対象雇用者等を雇用した場合の法人税額の特別控除制度

④立地促進区域において避難対象雇用者等を雇用した場合の法人税額の特別控除制度

2013年03月28日

租税法の基本原則(租税公平主義)

今回は租税法の二大基本原則のもう一方の「租税公平主義」について解説します。

憲法14条1項は「すべて国民は、法の下に平等であって、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない。」と規定しています。

この条文から「租税は、納税者の担税力に応じて公平に負担されるべきであり、また、租税法規の適用に際しては各納税者に平等に取り扱わなければならない」という基本原則である租税公平主義(または租税平等主義)が導かれます。


租税公平主義が争われた事案として以下のような判例及び裁判例があります。

(1)最高裁昭和60年3月27日判決(大島訴訟)


事案の概要

給与所得者であるXが、事業所得は、

①必要経費の控除が認められる

②課税庁により所得の捕捉率が低い

③合理的な理由のない各種の特別措置があるにも関わらず、給与所得者は著しく不公平な税負担を負っている

として憲法14条1項に違反すると主張して課税処分の取消しを求めた事案です。

最高裁は要旨、

「①税法における所得の性質の違いなどに基づく取扱いの差異は、その立法目的が正当で、その異なる取扱いが著しく不合理であることが明確でない限り、憲法14条1項に違反しない。

②事業所得等の捕捉率が相当長期間にわたり給与所得の捕捉率を下回っていることは、本件記録上の資料から認められないわけではなく、租税公平主義の見地からその是正のための努力が必要である。

しかし、このような所得の捕捉の不均衡の問題は、原則的には、税務行政の適正な執行により是正されるべき性質のものであって、捕捉率の較差が正義衡平の観念に反する程度に著しく、かつ、それが長年にわたり恒常的に存在して租税法制自体に基因していると認められるような場合は格別、そうでない限り、租税法制そのものを違憲ならしめるものとはいえないから、捕捉率の較差の存在をもって本件課税規定が憲法14条1項に違反するということはできない。」として上告を棄却しました。

(2)大阪高裁昭和44年9月30日判決(スコッチライト事件)


事案の概要

Xはスコッチライトと呼ばれる信号用品を輸入し神戸税関長から30%の税率で関税を徴収されたが、同時期に、同物品につき横浜税関長及び大阪伊丹出張所長は20%の税率で関税を徴収していた。

Xが神戸税関長に苦情を申し立てたところ20%の税率で徴収されるようになったが、その後、大蔵省関税局(当時)の通牒に基づき全国の税関で30%の税率で徴収するという行政実務に統一された。

そこで、Xは、30%の税率による関税賦課徴収処分は、憲法84条及び14条に違反して無効であることの確認などを求めて訴えを提起したという事案です。

裁判所は要旨、

「全国の税関の大多数が、事実上、特定の期間、特定の課税物件について、法定の課税標準ないし税率よりも軽減された課税標準ないし税率で関税の賦課徴収処分をしていて、しかもその後、法定の課税標準ないし税率との差額を実際に徴収したこともなく、また徴収する見込みもないような場合には、その状態が継続する期間内に右の慣例に反してなされた関税の賦課徴収は、租税法律主義ないし課税平等の原則に反し違法である。」

と判示しましたが、結論的には「行政行為の瑕疵が客観的に明白」だとはいえないとして控訴を棄却しました。


裁判所は、租税徴収をはじめとする専門技術的な行政行為については、立法府の政策的技術的判断に委ね、裁量的判断を尊重し、違憲判断を回避する傾向にあります。

大島訴訟はそのような裁判所の傾向が如実に現れた事案として有名です。

一方、スコッチライト事件は、30%徴収が正しい徴収であるならば、租税法律主義と租税公平主義が拮抗する事案です。

結論として課税処分が無効にはなりませんでしたが、明確に課税平等原則に反し違法であることを判示した点で著名な裁判例です。

2013年03月27日

教育訓練給付

社員自らのスキルアップを応援する制度

教育訓練給付とは、雇用保険の一般被保険者(在職者)または被保険者であった方(離職者)が厚生労働大臣の指定する教育訓練講座を受講し、終了した場合本人が講座のために支払った費用の一定割合相当額が支給される制度です。

社員が教育訓練を初めて利用する時は厚生労働大臣の指定を受ける講座を運営する教育訓練施設の受講開始日において、雇用保険の一般被保険者期間が1年以上あれば良いのですが、2回目以降の利用からは3年以上加入の期間が必要となります。

受講しようとする講座が厚労省の指定を受けている講座かどうかは、中央職業能力開発協会や厚労省のホームページまたはハローワークに備え付けられている講座一覧で確認することができます。


教育訓練給付の支給額

厚労省指定の教育訓練を受けて、終了した場合、その受講のために本人が施設に支払った教育訓練経費の20%に相当する額が支給されます。

その額が10万円を超える時は10万円までとされ、4,000円を超えない時は支給されません。

経費としてみなされるものは入学金や受講料(最大1年分)が対象です。

経費とみなされないものは検定試験の検定料、補助教材費、交通費、パソコン等の機材費用等です。


支給申請手続き

教育訓練給付を受給するには、本人が受講終了後に教育訓練終了日の翌日から起算して1か月以内に本人の住所を管轄するハローワークで支給申請を行います。

必要書類は、支給申請書の他に教育訓練終了の証明書(教育訓練施設発行の物)領収証、本人の住所確認書類(運転免許証、住民票写、雇用保険受給資格者証原本等のいずれか)それに雇用保険被保険者証です。

教育訓練給付は本人がスキルアップして自己啓発したい時や会社が必要なスキルを学んでもらいたい時も利用することができますので、厚労省の指定講座の中に受講したい、あるいは仕事に役立てる講座があるか見てみると良いでしょう。


2013年03月26日

130万円と103万円の扶養基準

社会保険と所得税の扶養基準

パートタイマーの方の中には収入がいくらまでなら扶養でいられるのか気にされている方もいらっしゃるでしょう。

パート勤務するにも扶養基準の中で働くのか、基準を超えて働き、扶養から抜けることになるのかを考えておくことも必要かもしれません。扶養の基準額がどのようになっているのか見てみます。


130万円

130万円は、国民年金の3号被保険者及び健康保険の被扶養者の基準額であり、日本年金機構や協会健保(または健康保険組合)の管轄です。

原則として健康保険の被扶養配偶者であれば、国民年金の3号被保険者となります。

①年収が130万円未満の場合・・・配偶者の扶養となるので3号被保険者となり、国民年金や健康保険料は自分で払う必要はありません。

(60歳以上の場合は基準額が180万円未満)

②年収が130万円以上の場合・・・国民年金や健康保険は、配偶者の扶養から外れ、自分で保険料を支払う必要があります。

勤めていて常用の社員の4分の3以上の労働時間、労働日数があれば勤め先の健康保険厚生年金保険に入ることになります。

勤め先で入らない時は市区町村窓口で国民年金、国民健保の加入手続きをします。


103万円

103万円は、所得税がかかる基準額であり、国税庁の管轄です。

給与収入の場合、給与所得控除があり、最低65万円を給与収入から引くことができ、さらに基礎控除38万円があるので合計で103万円までは所得税がかかりません。

①年収が100万円以下の場合・・・所得税はかかりません。

②年収が100万円超から103万円以下の場合・・・所得税はかかりませんが住民税はかかります。

③年収が103万円超の場合・・・所得税も住民税もかかります。

また、扶養する配偶者側(普通は夫)の勤め先に家族手当や扶養手当等の給与制度がある企業も多いと思いますが、被扶養配偶者の収入によっては手当が打ち切られたりすることもあります。


2013年03月25日

修正申告と「更正予知」

調査開始後の修正申告

会社に臨場しての税務調査が開始された後、会社側が申告の誤りに気付き、即座にその誤りを正す修正申告書を提出した場合は、調査中に非違事項として指摘される可能性があるものとして、「更正があるべきことを予知」した修正申告に該当するとして、過少申告加算税が賦課されてしまうのではないかと思ってしまいそうです。
 
しかし、こういう問題をめぐって裁判になった事例があります。


判決は納税者勝訴で確定

税務署が調査したからといって必ずしも非違事項が判明するとはいえず、判明する恐れがあることを納税者が覚知していたとしても、それだけでは、「更正があるべきことを予知」してい


たとは言えないため、過少申告加算税は課されない、というのが地裁判決の内容でした。

平成24年9月25日の判決で、国側控訴せず、で納税者勝訴が確定しています。

「調査」に該当しない『調査』

修正申告に加算税が課されるのは、「調査があったこと・・更正・・予知」という法律の文言から、「調査」が前提となるのですが、加算税事案に於いては、「調査」とは臨場調査の意味で、税務署内での机上調査は「調査」には該当しません。

最近発遣された国税通則法個別通達に、税務署からの次のような要請行為は「調査」があったことによる行為には該当しないものと、明記されています。

①要添付書類の自発的添付の要請行為

②計算・転記誤り、記載漏れの指摘による修正申告書の自発的提出の要請行為

③税法の適用誤り可能性の指摘による修正申告書の自発的提出の要請行為

④申告の必要の指摘による無申告者への申告書の自発的提出の要請行為

⑤源泉徴収税額の納付漏れ可能性の指摘による自主納付の要請行為

「調査」は多義的

法人税法に欠損金の繰戻し還付の規定があり、そこには、「調査」することが還付のための必要条件とされていますが、多くの場合、臨場調査のないままの繰戻し還付が実行されています。

ここでは、「調査」は机上調査と解されています。

法律上の「調査」の文言は、場合によって使い分けられるもの、多義的なもののようです。

2013年03月22日

源泉徴収1円未満の端数処理

復興税が創設され、平成25年1月から源泉徴収の実務は変わりました。

具体的には、所得税の源泉徴収義務者は、所得税を徴する際に、徴収する所得税に加えて復興特別所得税(徴収する所得税額に2.1%の税率を乗じて計算した金額)も源泉徴収しなければなりません。


条文の規定に則した計算

源泉徴収すべき復興特別所得税を「上場株式等の配当金15,210円」を例に条文に則して計算すると次のようになります。

なお、いずれの徴収税額も国税通則法の規定に従って、課税標準及び確定税額の1円未満の端数は切り捨てて計算します。

「所得税額」

15,210円×7%=1,064円

「復興特別所得税」(課税標準1,064円)

 1,064×2.1%=22円

所得税及び復興特別所得税の徴収税額は、合計1,086円となります。

しかし、上記のように「所得税額」と「復興特別所得税額」をいちいち計算することは、事務処理上煩雑で面倒です。

そこで、実務では、一度に計算すべく、合計税率(所得税の源泉徴収税率(%)×102.1%)を用いて計算することになるものと思われます。

上記例で計算しますと、7%×102.1%=7.147%の合計税率となり、15,210円×7.147%=1,087円(1円未満の端数切捨て)の徴収税額になります。


1円の違いが生じる

事例の上場株式等の配当では、その都度計算と合計税率での計算では1円の違いが生じてしまいます。

これは、国税通則法による課税標準及び確定税額の1円未満の端数切捨てにより生じる差異です。

そこで、復興特別所得税では、いずれの計算によっても差異が生じないよう課税標準及び確定税額の端数処理に特別な規定を定めています。

つまり、国税通則の規定を適用しないで、課税標準においては1円未満の端数は切り捨てないで計算し、確定税額にあってはそれぞれの確定税額を合計した上で1円未満の端数を切り捨てる仕組みになっています。

上記事例で確認してみます。

「所得税」 

 15,210円×7%=1,064.7円

「復興特別所得税」(課税標準1,064.7円)

 1,064.7×2.1%=22.3587円

合計1,087円(1円未満切り捨て)

結果的には、合計税率を用いて計算できることになっているようです。


 

2013年03月21日

外貨建取引と為替差損益

その都度認識が原則の為替差損益

外貨建て取引においては、取引のつど為替換算を行い為替差損益の認識をします。

所得税法で「外貨建取引」とは、外国通貨で支払が行われる資産の販売及び購入、役務の提供、金銭の貸付及び借入れ、その他の取引をいい、居住者が外貨建取引を行った場合には、その外貨建取引を行った時における外貨建為替の売買相場により、換算した金額により、各種所得の金額を計算するものとされています。

定期預金の元本の満期継続

とは言え、A銀行に預け入れていた外貨建て定期預金が満期となったため、満期日に全額を払い出し、同日、元本部分全額をB銀行に預け入れた場合、他の金融機関に預け入れる場合であるとしても、同一の外国通貨で行われる限り、為替差損益を認識する必要はありません。

米ドル建て債券が同額償還の場合も

公社債の償還差益とは、償還金額がその発行価額を越える場合のその差額をいい、雑所得として取り扱います。

購入した金額と同額で償還され、償還差益が発生しない場合には、単に債券購入時の円換算額と償還時の円換算額の評価差額があっただけなので、同一の外国通貨である限り経済的価値が実現しているとは認められないので、為替差損益を所得として認識する必要はありません。


異なる外国通貨では

ただし、異なる通貨となると原則的になります。日本円の現金を米ドルに交換し、その後、この米ドル全額をユーロに交換した場合、ユーロへの交換時に、ユーロへの交換時の円換算額と当初円から米ドルへ交換した金額との差額を為替差損益として認識します。


MMFの場合には

外貨建預貯金を払い出して、外貨建MMF(マネー・マーケット・ファンドの略。投資信託の一種)に投資した場合には、それまでは評価差額にすぎなかった為替差損益に相当するものが、収入すべき金額として実現したものと考えられるため、外貨建MMFの投資金額の円換算額と、その投資に充てた外国通貨を取得した時の為替レートにより、円換算した金額との差額(為替差損益)を所得として認識する必要があります。

2013年03月19日

贈与とみなし贈与

共有持分放棄による資産の取得

持分の放棄など共有者の単独行為により、他の共有者は反射的に放棄した者の持分を取得することがまれにあります。

この場合の課税実務ですが、所得税の一時所得課税ではなく、みなし贈与として贈与税の課税をしています。

問題は、その後、この「みなし贈与」によって取得した資産を譲渡した場合、譲渡所得の計算上、その資産の取得日及び取得費を引継ぐことができるかどうかです。


所得税法上の取得費引継規定

所得税法60条では、居住者が個人から贈与により取得した資産を譲渡した場合には、その資産の取得日及び取得費については「その者が引き続きその資産を所有していたものとみなす」、と規定しています。

つまり、贈与者の取得日及び取得費を引継ぐことになっています。

所得税法9条の非課税規定には、「贈与」には「みなし贈与」も含む旨の文言がありますが、この所得税法60条の引継規定の「贈与」には、特段の定めがありません。

ですので、一般法である民法に規定にしたがって「贈与」を解釈することになります。

民法上の贈与は契約であり、その契約は諾成・片務・不要式の契約で厳格な法律行為です。

したがって、所得税法60条の贈与には、このような契約と異なる行為、例えば、持分放棄といった単独行為や低額譲渡による契約など、いわゆる「みなし贈与」に該当するものは含まれないと解釈されます。

「みなし贈与」資産の取得日及び取得費

では、取得費をどう計算するかです。明確な規定はありません。

他に別段の定めがない以上、原則、取得費はゼロとなるはずですが、税負担を考慮してか、課税実務では、みなし贈与時の価額で取得費を計算することになっているようです。

これでは、みなし贈与にはキャピタル・ゲイン課税がない分だけ有利ということになります。

通常の贈与においては、贈与税が課された上、さらに、当該資産を譲渡した時は、取得費引継の規定によりキャピタル・ゲイン課税がなされ、結果、二重課税が生じています。

2013年03月18日

中退共が減額される

退職金の外部積立による国の共済制度

中小企業退職金共済制度(中退共)では退職金を減額することを検討し始めたという話題がありました。

中退共は中小企業の従業員が加入できる国の退職金制度で現在、36万事業所が加入し、324万人の加入員がいます。

掛け金が企業の損金計上できる税制優遇制度があり、加入時や掛け金増額時に国からの助成も受けられます。

企業規模は従業員300人以下の事業所で(業種によっても違う)自前で退職金制度を運用するのが難しい小規模事業所が多いです。

株式市場の低迷で運用実績悪化

中退共は2011年末で1,741億円の累積欠損金を抱えています。

先日来の厚生年金基金制度の廃止問題と同様に運用難による積立不足が発生しているのです。

そもそも中退共の運用利回りは1%と想定していますが、実際はこの率では運用できていません。

対策案としてこの率を0.8%に引き下げを検討するとしています。

利回りが下がれば当然退職金額は下がります。

他の案として最低掛け金月5,000円を増やしたり、運用益が出た場合の付加退職金の半額支給の率を下げたりして積立金に充当する案等も出ています。

企業としては退職金規定で中退共の退職金だけを支払うことにしている場合は、従業員の受取額は減りますが、会社負担は増えません。

しかし規定に退職金額が設定されていて、中退共だけでは足りなくなる時は、会社の負担額が増えるかもしれません。


中小企業の退職金制度は再考の時

企業年金では先日厚労省が厚生年金基金制度を今後10年で廃止するという方向を示してきました。

2012年3月には適格退職金制度が廃止され、3割の企業は中退共に移行しましたが、残りの7割は企業年金を止めてしまったという状態です。

確定給付企業年金や確定拠出年金は小規模事業所には導入しづらい面もあり拡大は今一つです。

会社への忠誠心や老後の安心感として、税制面の優遇などもあり、普及してきた退職金制度も長期にわたる低金利で運用難に陥っています。

持続可能で安心感のある制度にするには退職金制度の見直しが必要かもしれません。


2013年03月15日

租税法の基本原則(租税法律主義)


租税法の基本原則(租税法律主義)


租税法の基本原則とは、憲法に規定する原則であり、大きく分けて租税法律主義と租税公平主義の2つの原則があります。

今回は租税法律主義について解説します。

憲法84条は「あらたに租税を課し、又は現行の租税を変更するには、法律又は法律の定める条件によることを必要とする。」と規定しています。

この条文から「法律の根拠に基づかずに、租税を賦課、徴収することはできない」という基本原則である租税法律主義が導かれます。

場当たり的に課税要件が変更されたり、税務署の判断で新たに税金を創設されたりすると、国民が経済活動をするにあたり混乱が生じます。

そこで、国会があらかじめ制定する法律により課税することで法的安定性と予測可能性を国民に与えることができるようになります。

租税法律主義は解釈上その内容として、

(1)課税要件法定主義

(2)課税要件明確主義

(3)合法性の原則

(4)手続的保証原則

(5)遡及立法禁止の原則

などを含みます。


以下、各原則について見てみます。


(1)課税要件法定主義

課税要件法定主義とは、納税義務が成立するためには、法律でそのための課税要件(納税義務者、課税物件、課税物件の帰属、課税標準、税率)を規定していなければならず、また、租税の賦課及び徴収の手続は法律によって直接的に規定されていなければならないとする原則をいいます。

問題になるのは、例えば「財務省令で定める方法により」などと法律が下位規範である政令や省令に定めを委任する場合です。

委任それ自体は租税法律主義に反しませんが、委任する場合には一般的・白紙的委任は許されず、具体的・個別的委任でなければなりません。

また、委任の目的、内容及び程度が委任する法律の中で明確にされていなければならないと解されています。


(2)課税要件明確主義

課税要件明確主義とは、課税要件を法律で規定する場合でも、その内容が一義的でなければならないとする原則をいいます。

これは課税庁による自由裁量を排除するために求められる原則です。

(3)合法性の原則

合法性の原則とは、課税要件が充足されている限り、課税庁は租税を減免し、又は租税徴収を免除することは許されず、法律に定めるところにより税額を賦課徴収しなければならないとする原則をいいます。

これは課税庁による恣意的な徴税を排除するために求められる原則です。


(4)手続的保証原則

手続的保証原則とは、租税の賦課・徴収は公権力の行使であるから、それは適正な手続で行われなければならず、またそれに対する争訟は公正な手続で解決しなければならないとする原則をいいます。

更正処分の理由附記の制度(国税通則法74条の14第1項)などはこの原則に由来します。


(5)遡及立法禁止の原則

遡及立法禁止の原則とは、新法(改正法)を公布日よりも前に施行し、または適用することにより納税者に不利益を与えることを認めないとする原則をいいます。

問題になるのは、所得税や法人税のように期間計算が必要な期間税についての遡及立法です。

年度の途中で納税者に不利益な改正がなされ、年度の始めに遡って適用されることが許されるかどうかは、そのような改正がなされることが年度開始前に一般的かつ十分に予測できたかどうかにより判断すべきと解されています。

次回は租税法のもう一つの基本原則である「租税公平主義」について見てみたいと思います。

2013年03月14日

残業代の定額払い

残業代を固定で支払う時

毎月の時間外労働時間から残業代の計算をするのではなく定額手当にしてコストを抑えたいと考えた時、残業手当の定額払いも1つの方法です。

ただし実際の時間外時間が設定した額より多いならば不足分は追加支払いをすることが前提になるので必ずしもコスト削減になるとは限りません。


定額残業代計算例

定額残業代は手当として設定する時と基本給に含む方法がありますが基本給の一部として含んだ場合の計算例をあげます。

月額30万円、月の労働日数は21日、月の残業時間は20時間とします。

1日8時間勤務×21日で月168時間の所定労働時間となります。

30万円÷168時間×1.25倍は約2,233円。

これが1時間の割増賃金です。

2,233円×20時間は44,660円これが残業代です。

30万円から引くと255,340円が基本給となります。

給与明細書も基本給255,340円と定額残業手当(名称は他でもよい)44,660円と記載しておきましょう。

定額残業代導入の注意点

判例では定額残業代については「定額である点で労基法第37条の趣旨にはそぐわないことは否定できないものの、直ちに無効と解すべきではなく通常の賃金部分と時間外・深夜割増賃金部分が明確に区別でき過不足が計算できるのであれば、使用者はその部分を支払えば足りる」としています。

つまり、残業代は基本給や手当に含まれていると言う口約束でなく、労働契約書、就業規則等にいくらで何時間分が含まれているのか、また、手当の時はそれが時間外手当とわかるように記載をすること、設定の残業時間を超えた時は差額を支払うこととしています。


給与総額を変えずに定額手当を導入したら

定額残業代設定時に給与総額を上げて対応できれば良いですが、それができれば苦労はしないでしょう。

今の給与額は据え置きのまま基本給と定額残業を分ける方法で導入した場合には、残業単価が下がるので不利益変更となり、社員の同意が必要になります。

定額にしたと言っても超過すれば差額を支払うことになるので、設定した残業時間内で仕事が回るように業務改善も目指したいものです。      


2013年03月13日

海外赴任と帰国

海外に1年以上の勤務で赴任する場合やその後帰国した場合、住民税は所得税と違ってその課税上の取扱が異なります。

住民税の納税義務は、原則、1月1日に国内に住所を有するかどうかで決まります。

そこで、住民税について、赴任した年、赴任した翌年以降、帰国した年以降、その納税義務について概観してみます。


赴任した年

海外に1年以上勤務等で赴任又は滞在する場合は、原則、住民基本台帳法に基づき現在住んでいる市町村に「国外転出届(住民異動届)」を提出することになっています。

例えば、平成25年4月1日海外赴任となった場合には、赴任(出国)の翌日から非居住者となります。

この場合、前年度分住民税(住民税は、原則、前年の所得が課税標準となりますので、ここでは平成23年の所得に対応)の未納特別徴収月割額4月分、5月分は、原則、3月分給与等から一括徴収します。

当年度分の住民税(平成24年の所得に対応)は、1月1日(賦課期日)現在の住所地である市区町村に納付しなければなりません。

出国の日まで特別徴収税額が判明していればよいのですが、一般的には未確定の場合が多いようですので、納税管理人を選任して納付の手続きをする必要があります。

納税管理人は、勤務先の会社でもなることができます。


赴任した翌年以降

赴任した翌年以降は、その年(平成26年)の1月1日(賦課期日)現在、国内に住所がありませんので、住民税(平成25年分の所得に対応)の納税義務はありません。

しかし、国内に家屋敷等を所有する者は、その家屋敷等が所在する都道府県及び市区町村において均等割(都道府県1千円、市区町村3千円)が課税されます。

帰国した年とその翌年以降

赴任先の海外から帰国した場合、例えば2年の勤務を終えて、平成27年3月に帰国した場合、平成27年1月1日現在、賦課期日に国内に住所がありませんので、帰国した年度分の住民税(平成26年の所得に対応)の納税義務はありません。そして、帰国の翌年以降は、住民税の納税義務を負うことになります。

なお、1年以上の勤務予定で海外赴任しものの、1月1日をまたいで病気等で1年未満で帰国した場合の住民税ですが、原則、1月1日現在で帰国が予想されないのであれば、住民税は課税されません。
 

2013年03月12日

当たり馬券の税金

所得税の計算は、所得を10種類に区分、そして、それぞれの所得の担税力を勘案し、一部複雑な規定もありますが、原則(利子所得を除く)、収入金額からその収入を得るために支出した経費を差引いて所得の金額(儲け)を計算、それに税率、最高でも40%を乗じて所得税の税額を求めます。

したがって、基本的には「儲けを上回る税金」などはあり得ません。

しかし、現実に起きた事件があります。


ハズレ馬券の購入代金も経費か                     

会社員がインターネットで馬券を3年間で計約28億7千万円分を大量購入し、約30億円余りの払戻しで差引約1億4千万の所得(儲け)を得ました。

しかし、国税局はこの馬券の所得を一時所得と判断、必要経費と認めたのは当たり馬券だけでした。

その結果、当たり馬券の購入費は1億3千万円、これから払戻し金30億円を差引くと所得金額は約29億円弱、一時所得ですから、ざっくり所得金額29億円の2分の1の14億5千万円が課税標準となり、所得税の額は約5億7千万になったということです。

この事件では、国税局は約5億7千万円の脱税事件として所得税法違反で会社員を地検に告発ました。

以上が事件の概要です。

税法規定の想定を超えた

一時所得は、

①一時の所得であること

②営利性と継続性がないこと

③労務や資産の譲渡の対価の性質を有しないこと

などが要件です。

そして、収入を得るために支出した金額、すなわち経費ですが、その経費は、「その収入を生じた原因の発生に伴い直接要した金額に限る」となっています。

国税局は、「馬券で得たような射幸的行為による所得は、たとえ反復継続的であっても営利性はない」とし、また会社員であることから、当該所得を一時所得と認定、経費については、収入との直接対応を適用して計算したものと思われます。

しかし、大量の馬券の購入は、1億4千万円の儲けの源泉であり、この業績は、まさに命がけの勝負の結晶です。

射幸的といえば、株式の売買も同じようなものです。

また、この大量馬券の購入による所得は、現行の一時所得の計算規定の想定を超えたものでしょう。

会社員は、この処分に反論しているとのことです。


2013年03月11日

イベント前の行政手続き

イベント前には要確認


イベントの企画の内容によっては、臨時の行政手続きが必要となる場合もあります。

たとえ単日の臨時的企画であっても、しっかりとした行政手続きを踏んでいるかいないかで、ちょっとした企業の信用にも影響します。

今日はイベントなどで必要になる、臨時行政手続きの例をご紹介します。


(1)食品を扱うイベント企画

イベントの中で食品を提供する場合、一時的であっても保健所への届出を行う必要があります。

食中毒等の被害を防止するため、保健所が食品の取り扱いについて主催者に対し、適切な助言を行うためです。

イベントの数日~1週間前程度に届出をすれば足りることが多いですが、保健所により食品取扱い担当者に検便を実施するよう求められることもありますので、予め管轄の保健所へ相談しましょう。

(2)道路を使用するイベント企画

道路は本来、人や車が通行する目的で作られたものですので、イベントなど本来の目的外で利用するためには警察署に道路使用許可を求めることが必要です。

道路交通への影響が大きいため、企画には十分余裕を持ちましょう。なお、イベントそのものでは道路を使用しない場合であっても、イベント告知として路上でビラ配りなどを行う際にも道路使用許可が必要となります。


(3)火災予防条例に関わるイベント企画

火気を使用する場合のみに限らず、本来の目的以外で建物を使用する場合にも、予め消防署へ催物開催の届出が必要となることがあります。

たとえば、映画館は元々不特定多数の観覧者が訪れることを想定していますが、集会所の大会議室など、本来は違う目的で使用されている建物施設において、映像の上映会をするため不特定多数を集客するような場合などは、避難誘導体制に不備が生じる可能性もあります。

こうした万が一の事態に備え、消防署への事前の届出が求められています。

行政手続きは、各管轄の担当役所により見解が様々です。

イベントを行う際には、たとえ他地域で同様の企画内容を行ったことがあっても、必ず各管轄の役所に問い合わせるようにしましょう。

2013年03月08日

小規模企業共済の有効活用

小規模企業共済とは

一定の小規模企業の役員や個人事業主が引退・廃業した場合に備えて個人で任意に加入する「経営者のための退職金制度」です。

加入要件は、常時使用する従業員の数が20人(商業、サービス業は5人)以下である企業等の役員及び自営業を営む個人であり、本人以外でも、共同経営者である配偶者や後継者も2名を限度に加入することができます。

掛金月額は1,000円~70,000円の範囲で500円刻みで加入することができ、この共済金は事業を廃止した時、役員を辞任した時、65歳以上となった場合などに支給されます。

また、解約はいつでも可能ですが、掛金納付月数が12か月未満の場合などは掛捨てとなります。


税制上のメリット

①掛金は全額所得控除

法人や個人事業主が使用人に支払った掛金は報酬や給与となりますが、個人事業主が自分にかけた掛金同様、全額「小規模企業共済等掛金控除」として支払った年において所得控除できます。


②「退職所得控除」の恩恵

共済金は「一時金」として受給するのが原則であり、この場合「退職所得」として扱われ、「退職所得控除」の恩恵を受けられます。

尚、途中解約した場合は原則「一時所得」となりますが、解除の日が65歳以上の場合は上記通り「退職所得」として扱われます。


③「公的年金等控除額」の恩恵

共済金を一時金ではなく「分割(年金)」で受け取ることもできますが、この場合は「公的年金等の雑所得」として扱われ、「公的年金等控除額」の恩恵が受けられます。

ただし、「分割」を選択できるのは共済金額が300万円以上の場合です。


④両方の恩恵

さらに、共済金額が330万円以上の場合は「一括受取」と「分割受取」の併用を選択することができます。

例えば、共済金額が2,000万円で役員任期年数が20年の経営者(65歳以上)が辞任した場合、まず一時金で800万円受給すれば、退職所得控除額は40万円×20年=800万円となり退職所得0円に、そして残額1,200万円を年間120万円の分割(期間10年の年金)で受領すれば、毎年の公的年金等控除額は120万円となるのでこの分に関する雑所得も0円になります。

併用することによりダブルの恩恵を受けられることになります。

2013年03月07日

確定税額の端数計算

国税の確定税額は、原則、その確定税額に100円未満の端数があるとき、またはその金額が100円未満であるときは、その端数金額又はその全額を切り捨てます。

この確定税額(法律上の用語は確定金額)は、納税者が納付すべきものとされる各納期ごとの税額で申告、更正、決定等により確定すべき金額、例えば第3期分の所得税を例にとれば、算出税額から配当控除等の税額控除を行い、さらに源泉徴収税額を控除したところの税額をいいます。

なお、次に掲げる税目については、確定税額の端数計算は、それぞれ別に定められています。


源泉徴収所得税の端数計算

源泉徴収所得税(年末調整における過不足税額等を含む)については、1円未満の端数があるときは、その端数金額を切り捨て、その全額が1円未満であるときは、その全額を切り捨てます。


延納等の分割納付の端数計算

所得税や相続税または贈与税のように延納できる場合、その延納税額に千円未満の端数があるときはどうするかですが、所得税の場合は、千円未満の端数金額は延納以外の税額に合算し、相続税または贈与税の延納年割税額に千円未満の端数があるときは、その端数金額は、すべて最初に納期限が到来するものに合算します。

なお、所得税の第1期または第2期の予定納税額については、各納期ごとの税額について百円未満の端数を切り捨てることが所得税法上規定されていますので、ここでいう端数計算の適用外です。


登録免許税、印紙税等の端数計算

登録免許税については、その最低税額が千円と法定されているので、この端数計算の切り捨てが適用されるのは、千円を超え、100円未満の端数がある場合のみです。

また、印紙税及び自動車重量税については、端数計算の切り捨てはしません。

税率がその必要のないように定められているからです。


附帯税の端数計算

附帯税の確定税額は、その額に100円未満の端数があるとき、またはその全額が千円未満(加算税については5千円未満)であるときは、その端数金額又は全額を切り捨てます。

なお、修正申告及び更正等に係る附帯税については、それぞれ別個の確定税額となっています。


2013年03月06日

租税の意義・特色・機能

国(地方公共団体)と国民(住民)との関係の考察は個別法規の総称である「行政法」という学問領域がありますが、特に租税に関してはその特殊性から「租税法」という学問領域により考察されます。

近年は司法試験の選択科目として法科大学院で租税法を学ぶ人も多くなってきました。

そこで今回からは、租税法について簡単に実務との関係について触れながら解説をしたいと思います。

なお、定義などは東京大学名誉教授金子宏先生の著書「租税法」から多くを引用しています。

税金の法律的な側面について理解が深まって頂ければ幸いです。

1 租税の意義

租税とは、国家(地方公共団体)が特別の給付に対する反対給付としてではなく、公共サービスを提供するための資金を調達する目的で、法律(条例)の定めに基づいて私人に課する金銭給付のことをいいます。

2 租税の特色

上記の意義から明らかになる租税の特色は、

①公益性(目的は公共サービスの提供)

②権力性(一方的・権力的課徴金の性質)

③非対価性(各種手数料、使用料、特許料などと区別)

が挙げられます。


3 租税の機能

公共サービスの提供のための資金調達が租税ですが、それだけにとどまらず、以下の機能があります。


(1)富の再分配

憲法に規定する生存権(25条)を保障するための社会保障政策の一種として富の再分配が必要であり、その方法の一つとして租税が機能しています。

すなわち、富裕層からより多くの租税を徴収し、それを各種社会保障給付に充てることにより富の再分配が図られるのです。

租税による富の再分配のメリットは、市場経済への干渉の度合いが少ないことと、社会のすべての構成員に再分配の効果が及ぶことです。

(2)景気調整

景気の後退期には、税負担の軽減することにより民間の可処分所得の増加を図り、もって投資と消費を刺激することが期待でき、景気の過熱期には、税負担を増加することにより民間の可処分所得の減少を図り、もって投資と消費を抑制することが期待できます。


以上、租税(=税金を課されるという法律関係)は私人間の取引とは異なる特殊な関係だということ、租税には様々な機能があることがご理解頂けたと思います。

次回は「租税法の基本原則」について見てみたいと思います。

2013年03月05日

収入印紙の基礎知識

収入印紙とは

収入印紙とは経済的取引などに関連して作成される文書に課税される印紙税を納めるための紙片です。

印紙税は「領収書」「契約書」「手形」などの作成された文書に課税される税金で、契約書の内容や契約金額、受取金額などによって印紙税額が定められています。


貼り間違えた時は


「領収書に印紙を貼った後に、領収書の金額が間違っていたことに気づき、領収書を切り直した」とか「印紙を貼らなくてもいい文書に貼ってしまった」等、印紙を貼り間違えてしまった場合は、間違えて貼った文章を税務署へ持って行くと、還付が受けられます。

所轄の税務署に行って「印紙税過誤納確認申請書」の用紙をもらい、必要事項を記入のうえ提出して下さい。

印鑑(法人の場合は代表者印)、通帳(還付を受ける口座)も併せて持って行きましょう。

ただし、収入印紙は印紙税のみでなく、登録免許税や国への手数料の納付などにも使用されています。

例えば、登録免許税を納付するために収入印紙をはり付けたような場合には、たとえ誤ってはり付けたものであっても印紙税法による還付の対象とはなりません。

なお、郵便局で収入印紙の他の額面への交換ができます。

1枚につき手数料5円がかかりますが、大きい額面の収入印紙しか無い場合などに重宝するでしょう。

貼り忘れると過怠税がかかります

税務調査などで収入印紙が必要な文書に、印紙がついていなかったと判明した場合、本来の印紙税とその2倍に相当する金額、(これを過怠税と言います)つまり3倍の額を支払わなければなりません。

しかし、税務調査の過程で、自分で貼り忘れに気が付いて、自己申告した場合は本来の印紙税とその10%の金額で済みますので、貼り忘れ等があるのに気が付いた場合は、自己申告するようにしましょう。

消印を押し忘れた場合でも、過怠税が加算されます。

収入印紙を貼り付けた場合は、セットで消印をするのを忘れないようにしましょう。

2013年03月04日

中小企業の国際化への発展段階

製造業の中小企業において、国際化への対応は、今や必須といえます。

しかしながら、国際化への道のりは、一足飛びという訳にはいきません。

今回は、企業の国際化をどう進めていくかについて見てみたいと思います。


企業の国際化の発展段階

国内事業しか行っていない企業がいきなり、自社100%出資の会社を海外に持つケースは、少ないと思います。

生産型企業が海外に進出する場合、貿易、委託加工、合弁、独資、現地での販売網構築等の事業拡張といった国際化の段階を踏むことが理想とされます。

今やそのような時間的余裕がないのが現状ですが、企業の発展段階に応じた人材育成が必要です。

国際化の発展段階に応じて人材育成

生産型企業の発展段階に応じた人材育成のポイントは次のとおりです。

第一段階にある会社には、まず社内の国際化への雰囲気作りが必要であり、外国人研修生の受入れや語学研修といった外国人とのコミュニケーション能力を向上させることが主眼となります。

第二段階は技術移転の段階であり、この段階では貿易および委託加工により技術移転が行われ人的な広がりも期待でき、将来の海外展開の足掛かりとなります。

第三段階は、現地法人の設立であり、この場合、現地工場が合弁企業と独資企業では日本側企業の果す役割は大きく変わってきます。

合弁企業では、現地パートナーが

①投資認可申請

②雇用、労務管理

③銀行取引

④現地政府当局との折衝等を行ってくれます。

日本側の経営者は生産管理を中心に経営全般において自社の権利を確保することが主眼となります。

独資企業では、現地の法律に明るい弁護士や公認会計士を使って適切に対応する必要があるとともに、現地政府当局とも良好な関係を構築していくことができる人材が必要となります。

生産が安定し事業が拡張期に入りますと、現地市場で新規顧客を獲得したり、さらなるコストダウンのための現地化を進めたりする必要に迫られます。

日本から派遣される人材には、現地における幅広い人脈の形成、マーケティング、現地人経営者の育成といった新たな資質が必要となります。

2013年03月01日

仕送りと贈与の違い

子供にお金を渡すことは税金がかかる

子供に年間110万円を超える金銭をあげた場合は贈与税の対象になることは広く知られております。

ちなみに学生で一人暮らしをして、親が毎月仕送りをしている場合、月におおむねね9万以上を仕送りしていると、年間で110万円を超えてしまいます。

仕送りを送るケースで、贈与税を気にする人はあまりいないと思いますが、これも贈与税のの対象となってしまうのでしょうか。

仕送りと贈与の違い

扶養義務者からもらった通常の生活に必要な金額、すなわち、生活費または学費に充てるための仕送りに、贈与税はかかりません。

通常必要な範囲とは、日常生活に一般に必要と考えられる金額の生活費・学費などをさします。

しかし、仕送りであっても、上記以外の目的に使われていたり、通常必要な部分より多い部分には、贈与税がかかります。

したがって、生活費・学費費の名目で仕送りを受けた場合であっても、それを預金したり、車や株式などの買入資金として使っている場合には贈与税がかかります。

また、生活費や学費に充てるためであっても、所有しているマンションや家賃収入や配当金などを名義変更をするような場合には、その財産の名義変更のときに、その財産を贈与によって取得したものとして贈与税がかかります。


放蕩息子と孝行息子

通常の生活に必要な費用と言っても生活の水準や、使い方によって違います。

やはり裕福な家庭の子供は、それなりにかかるものです。

裕福な子供で、やっと大学に合格したにも関らず放蕩三昧で、仕送りも月に何十万円も貰い、全部使ってしまったような場合と、孝行息子で、家が苦しいので、仕送りをもらっているのにもかかわらず、アルバイトで生計を立て、仕送りは将来のために貯金して一銭も手をつけなかった場合では、孝行息子にした仕送りに贈与税がかかります。

これは極端な事例です。

実際はアルバイトのお金を貯金したのか、親からの贈与なのかは、実態により判断されます。

仕送りの額は、生活に必要な費用ですから毎月使い切ることが原則です。

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