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2013年02月 アーカイブ

2013年02月27日

労使トラブルが発生したら

頭の痛い職場のトラブル

インターネットの伸展や、長引く景気後退の影響もあり、労働者の権利意識も高まり職場のトラブルが増えています。

厚労省の統計でも毎年100万件を超える労働相談が寄せられています。

使用者と労働者との個人的なトラブルを個別労使紛争と言いますが、労働契約や就業規則等で決められる事に関してのトラブルでは解雇や賃金に関することが多く、最近ではうつ病やパワハラ等が増えています。

企業は防止対策をしておくことは大事ですが、それでも労使トラブルが起こってしまったら、どのような方法で解決すればよいのでしょうか。


トラブルの解決方法は

まずは当事者である事業主と労働者の間で話し合いをすべきですが、当事者間で解決がつかなかった場合、弁護士会や社会保険労務士会、法テラス、労政事務所、労働局、労働基準監督署、労働委員会等第三者機関の利用が考えられます。

労働基準監督署は労働者の相談先に使われることが多いのですが、未払い残業代や長時間労働、労災隠し等についてのトラブルは調査を行いますが、解雇の有効性や配置転換等の労働契約に関しては管轄外です。

また、未払いの残業代を払わせる権限までは有してはいません。

払わなくても良いということでなく将来に向けて是正を行い、監督署と交渉の上、支払額を減らすことも時には可能でしょう。

労働局のあっせん制度や労働審判制度

労働問題を裁判で争うとなると時間と費用がかかってしまいますが、都道府県の労働局のあっせんは無料で早期に和解の場を提供する制度です。

労働法の専門家が労使双方の立場を聞き取り、具体的なあっせん案を提示し、解決に導きます。

当人同士が直接話し合う必要もなく冷静に申し立てが出来ます。

あっせんは1回きりで後がないため、早期解決が図れます。

ただし会社があっせんに応じるか否かは任意とされています。

あっせんで解決されない時は労働審判に進みます。

労働審判とはあっせんにはない強制力があり、訴訟ほど厳しくはないものの裁判なので執行力が発生します。

通常訴訟のように時間や費用がかからず、3回期日と決まっており、大抵は1回で結論が出て審理の段階で調停が成立しています。

2013年02月26日

離婚に伴う財産分与の税務

離婚に伴う財産分与(民法768条、771条)とは、夫婦が婚姻中に共同で築いた夫婦共有財産について離婚を契機に清算して分配することです。

夫婦共有財産であるか否かは形式的(名義)にではなく実質的に判断されます。

分与の割合は財産形成に対する寄与度によりますが、通常はほとんどのケースで5:5が基準になります。

以前は専業主婦の妻の分与割合は3割程度と判断されることもあったのですが、最近は内助の功の価値が重視されるようになり5割と判断されることが多くなってきました。

財産分与は

①夫婦共同生活中の共通の財産の清算(清算的財産分与)

②離婚後の相手方の扶養(扶養的財産分与)

③離婚による精神的損害の賠償(慰謝料的財産分与)

の3つの性質を併せ持つと解されています。

所得税法では、「資産の譲渡」に対して所得税(譲渡所得)が課されることが規定されています(所得税法33条)。

そこで、不動産などの資産を財産分与した場合に、所得税は課されるでしょうか?

答えはYESです。

財産分与をして対価を得るわけではないのに「資産の譲渡」に該当するのかという疑問はあると思います。

この点について最高裁は「譲渡所得に対する課税は、資産の値上りによりその資産の所有者に帰属する増加益を所得として、その資産が所有者の支配を離れて他に移転するのを機会に、これを清算して課税する趣旨のものであるから、その課税所得たる譲渡所得の発生には、必ずしも当該資産の譲渡が有償である必要であることを要しない。

したがって、所得税法33条1項にいう『資産の譲渡』とは、有償無償を問わず資産を移転させるいっさいの行為をいうものと解すべきである」と述べています(最高裁昭和50年5月27日判決)。

つまり、現実に経済的利益を得たかどうかを問わず、資産が移転して発生した観念的な資産の評価益(キャピタルゲイン)が課税の対象になるということです。

また、そもそも夫婦「共有」財産であるならば、財産分与の3つの性質のうち①清算的財産分与の部分はもともと潜在的な持分がある財産を分けただけであって「資産の譲渡」に該当しないのではという疑問があると思います。

この点について最高裁は

「夫名義の資産形成に対する妻の貢献度が顕在化するまでの間、妻が夫名義の財産に対しなんらかの潜在的な持分を有するとしても、それは未だ持分割合も定まっていない抽象的な権利というべきものであり(右資産形成の態様には種々様々なものがありうるし、夫婦の財産は通常複数のものから成るものであるから、それらのすべてについて一律に妻が二分の一の共有持分を有するとみることはできない。)、現実の財産分与手続がされて初めて具体的な権利として確定するものである。

したがって、財産分与が単に右潜在的持分を顕在化させ、それを正式に帰属させるだけの手続とはいえないのであって、財産分与によって初めて夫名義の財産に対する妻の所有権又は共有持分が発生するといわざるを得ないから、そこに資産の譲渡と目される実質があることは明らかである。」

と判示した原審の判断を是認しています(最高裁平成7年1月24日判決)。

この財産分与の性質によって区分せずに包括的に課税する最高裁の考え方に対して、学説の多くは反対しています。

離婚による精神的ダメージや離婚手続の負担でヘトヘトな状態の当事者に、さらに譲渡所得税が課されるとは、理屈は分かりますが非情な制度だと思います。

なお、居住用不動産の財産分与の場合には、一定の要件のもとに優遇処置が認められる場合があります。

消費税引き上げとマイホーム購入

平成26年4月から、消費税率が8%に引き上げられます。

さらに、2015年10月からは10%に増税される予定です。

そこで、大きく影響するのがマイホームの購入です。

住宅取得については高額であることから、消費税率引き上げ前の駆け込み需要が大きいことが見込まれます。

とはいっても、一生にそう何度もない大きな買い物ですので、しっかり準備したいものです。


たとえば、2,000万円に対する消費税が5%なら100万円ですが、8%になると160万円となりますので、60万円の負担増です。

ただし、購入価額すべてに消費税がかかるわけではありません。

建物には消費税がかかりますが、土地の価格には消費税は課税されませんので、土地と建物の価格をしっかり確認しておくと良いでしょう。


また、契約時期によって課税される時期が異なります。

基本的には、新税率施行日以降に、引渡しを受ける住宅は新たな税率が適用されます。

ただし、注文住宅など請負契約を行う住宅については、新消費税率施行の半年前までに請負契約を締結した場合には、旧税率が適用される経過措置がとられます。

つまり、平成25年3月31日までに引渡しを受けた住宅、もしくは、平成25年9月30日までに請負契約を締結した住宅は、税率5%が適用されることになります。


住宅ローン減税の拡充

消費税引き上げ後の駆け込み需要の反動による、その後の需要減を抑えるため、平成25年度税制改正大綱において、平成25年12月末で期限切れとなる現行の住宅ローン減税を4年間延長するとともに、最大控除額を一般住宅で10年間400万円、認定住宅で10年間500万円引き上げることを決定しました。

同時に、現行では97,500円までとなっている住民税からの住宅ローン控除額の上限が、136,500円に引き上げられます。

これは、所得税から控除しても、なお控除額が残る場合に、住民税からも控除出来る制度ですが、上限が引き上げられることで、減税の恩恵をフルに受けやすくなります。

さらに、所得税・住民税を控除しても控除額が残っている場合には、残額分を現金で補填する支援制度を設けることも決まりました。

消費税引き上げに、住宅ローン減税と迷ってしまうと思いますが、焦らず、じっくり、制度を比較検討した上で、それぞれのライフプランを重視して購入時期を判断ください。

2013年02月25日

健保・厚年資格取得届の本人確認

偽名防止のための措置がなされた

新たに社員を雇い入れた時、会社は健康保険と厚生年金保険の加入手続きをします。

被保険者の氏名、生年月日、性別、基礎年金番号等を記載した「健康保険・厚生年金保険被保険者資格取得届」を事業所の住所地の年金事務所に届出ます。

この届出に関し、基礎年金番号が記載のない場合の取り扱いが変更されました。

記載のない場合には事業主が本人の氏名を証明書等で確認する事が必要になりました。

基礎年金番号記入の厳格化

資格取得届の基礎年金番号が未記入の方については(年金手帳再交付申請書を添付した場合は除く)返戻されこととなり、基礎年金番号が不明の場合は会社が免許証や住民票等による本人確認をしなければなりません。

資格取得届が返戻され、その後届出がされない場合事業主への指導があったり、時には事業所調査になる事もあるので取得漏れには気をつけたいものです。

本人確認が行われるまで健康保険証の交付は行われません。

たとえ健保組合等協会けんぽとは別のところで健保証が交付されても、年金機構の取得ができなかった時は健保も取消となりますので注意が必要です。


本人確認のために必要な証明書

本人確認に有効な証明書は次の物です。

① 1つで足りる物

運転免許証、写真付き住民基本台帳カード(市区町村で発行)、旅券(有効期限内のパスポート)在留カード、特例永住者証明書、地方公共団体が発行した写真付き資格証明書類、

② 2種類以上の異なる組み合わせが必要な物

写真付きでない住民票、介護保険被保険者証、共済年金証書、印鑑登録証明書、金融機関の預金通帳やキャッシュカード、クレジットカード等

届出の際にこれら書類の写しを付ける必要はありませんが事業所に控えを取っておく事が望ましいとされています。

20歳未満の方や外国人の方で基礎年金番号を持っていない方は本人確認を行ってから取得届を提出します。

取得届に基礎年金番号が未記入の方は年金手帳再交付申請書を添付しますが申請書には職歴をお忘れなくご記入ください。

2013年02月22日

不動産取得税と固定資産税

不動産取得税と固定資産税は、共通点も多くありますが、相違点もあります。

そこで、それぞれの税の内容を概観し、その差異について少し触れてみたいと思います。


不動産取得税とは

不動産取得税は、その課税客体は土地や家屋の不動産で、その取得に対して課税されます。

この取得とは、所有権の取得を意味します。

取得の形態は、売買のような有償取得もあれば、贈与のような無償取得、さらには、建築といった原始取得、交換等があります。

しかし、取得の原因が相続等や法人の合併及び一定の会社分割による場合は、非課税です。

また、新築の分譲マンション業者や新築の一戸建住宅業者等が原始取得等するものについては、その家屋の新築後6か月を経過する日までに他に所有権が移転されていれば課税されません。

固定資産税とは

一方、固定資産税は、その課税客体は土地・家屋及び償却資産で、その年の1月1日(賦課期日)の所有者または一定の場合の使用者に対して課税されます。

また、固定資産税においても公共性、公益の強い固定資産については非課税となっています。


両者の本質的な違い(登記との関係)

不動産取得税は、所有権の取得という事実に基づいて課税します。

したがって、登記の有無にかかわらず実質の取得者に対して課税します。

単に売買の名義貸しで登記簿上の所有者になったとしても不動産取得税は課税されません。

この実質主義は、時には不都合な状態を招来させます。所有権の移転登記がなされなければ取得の状況が把握できず、実質取得者に対する課税は容易ではありません。

例えば、二重譲渡の危険性もなく、抵当権の設定の必要もない、といった場合などはなかなか移転登記がなされません。

一方、固定資産税ですが、土地、家屋の登記名義人が真実の所有者であるか否かを問わず、原則、その年の1月1日(賦課日)における登記簿上の名義人に課税することになっています。

これは、大量かつ画一的な処理の要請からです。

この形式主義も不動産取得税と同様、時には不都合な状態を招来させます。

所有権を手放しても移転登記がなされなければ、いつまでたっても固定資産税の納税通知書は登記簿上の名義人に送付されてきます。

2013年02月21日

賞与の社会保険料

賞与の保険料は標準賞与額で計算

社会保険では支給の回数が年3回以下を賞与と扱いますが、毎年7月1日を基準として前1年間の回数で決められます。

年4回以上支給される賞与等については「標準報酬月額」の定時決定、随時改定の際に年間賞与額の1か月平均額を各月の給与に含めて標準報酬月額が決定されます。

賞与等の保険料は千円未満の端数を切り捨てた額に保険料率を乗じて計算されます。

健康保険の標準賞与額の年540万円、(毎年4月1日から翌年3月31日まで)厚生年金保険の上限は1回当たり150万円です。保険料率は毎月の健保・介護保険・厚生年金保険料率と同率です。


賞与保険料徴収の注意点


①資格取得時と資格喪失時

資格取得日以降に賞与が支給されれば同月でも賞与の保険料はかかります。

資格喪失月に支給された賞与は保険料控除しません。

資格喪失日は退職日の翌日ですから、月末が退職日で同日が支給日であった場合は控除します。

月途中に資格喪失日がある時は控除しませんが年間累計の対象にはなります。


②介護保険料の控除は40歳に達した月から65歳に達した月の属する月の前月まで控除します。

40歳に達した日(誕生日の前日)の属する月に支給された時は控除します。65歳に達した月は控除しませんので同月の65歳到達前に支給されても控除無しです。


③育児休業中の保険料は、育児休業中に賞与の支給があった場合は育児休業の保険料免除期間が、「育児休業開始日の属する月から終了日の翌日が属する月の前月まで」となっていますので、支給日が育児休業開始前であっても同月なら免除されます。

終了時は終了日の翌日が支給月と同月の場合には保険料は控除します。

もし保険料が免除になる場合でも年間累計には加算されます。

なお、育児休業中の保険料免除を受けるには事前に「育児休業取得申出書」を提出しておいてください。

賞与が支給された際には、「健康保険・厚生年金保険被保険者賞与支払届」を管轄の年金事務所や健康保険組合に提出しましょう。         


2013年02月20日

取締役の損害賠償責任

会社設立時等に家族や知人から取締役就任を依頼され、軽い気持ちで取締役になると、何か問題が起きた時に責任追及される恐れがあります。

「名前だけ貸しただけ(名目取締役)」と言い訳ができそうですが、そのような言い訳は原則として通りません(第三者に対する責任について、最高裁昭和55年3月18日判決)。

取締役に就任する場合には、以下に述べる責任リスクを負う可能性があることを十分に認識して承諾してください。

取締役の責任は多岐に及びますが、損害賠償責任に絞って説明します。


1 会社に対する任務懈怠責任(会社法423条)

会社と取締役とは委任関係にあるので、取締役は会社に対して善良なる管理者としての注意義務(善管注意義務)を負い(会社法330条、民法644条)、さらに取締役は会社に対する忠実義務を負っています(会社法355条)。

これらの義務に違反し、任務を怠ると「任務懈怠」になります。

取締役の故意または過失による任務懈怠によって会社に損害が生じた場合に、取締役は会社に対して損害賠償責任を負います(過失責任)。

ただし会社との間で利益相反行為をした場合など(会社法428条)は過失が無くても責任を負います(無過失責任)。

具体的には、法令や定款に違反する行為をした取締役はもちろんのこと、取締役会で決議に賛成した取締役も責任を負う場合があります。

この会社に対する取締役の任務懈怠責任は、取締役が任務懈怠行為について善意かつ無重過失の場合に限り、株主総会の決議等で損害賠償責任の一部免除を認めることができます(会社法425~427条)。

会社に損害が生じた場合の責任追及の主体は会社が行うのが原則ですが、任務懈怠責任を負う取締役との馴れ合いにより会社に損害が生じていても責任追及をしない場合があります。

そのような場合には、株主による株主代表訴訟を提起されて責任追及されることもあります(会社法847条)。

2 第三者に対する損害賠償責任(会社法429条)

取締役が悪意または重過失による違法な職務執行を行った結果、会社以外の第三者に損害が生じた場合には、当該職務執行を行った取締役は第三者に対して損害賠償責任を負います。

例えば、会社の破産申立てをすることが予定されている場合に、支払が不可能であることを認識しながら仕入先に手形を振出した代表取締役に対して、手形が不渡りになり損害を被った債権者から当該代表取締役個人に対して責任追及がされるような場合です。


3 経営判断の原則

以上の会社及び第三者に対する損害賠償責任は、経営判断の原則により免責されることもあります。

事後的に結果を見て経営判断が正しかったか否かを検討して善管注意義務違反(任務懈怠)があったと評価されてしまうと、経営者としては投機的取引や冒険的取引を行うに際して萎縮してしまい、会社の発展が阻害されてしまうのでないかという問題意識です。

そこで、当該経営判断が善管注意義務違反(忠実義務違反)であるか否かの判断は、

「取締役によって当該行為がなされた当時における会社の状況及び会社を取り巻く社会、経済、文化等の情勢の下において、当該会社の属する業界における通常の経営者の有すべき知見及び経験を基準として、前提としての事実の認識に不注意な誤りがなかったか否か及びその事実に基づく行為の選択決定に不合意がなかったか否かという観点から、当該行為をすることが著しく不合理と評価されるか否かによるべきである。」(東京地裁平成16年9月28日判決)

などの基準(経営判断の原則)により判断すべきと考えられています。

2013年02月19日

孫の教育資金の一括贈与

平成25年度の税制改正大綱案に、教育資金の贈与税を非課税にする制度が盛り込まれました。

祖父母が孫のための教育資金を一括して贈った場合、孫一人あたり、1,500万円まで非課税となります。

高齢者層に集中する個人の金融資産の移転を促すことで、子育て世代の教育費負担を軽減し、消費を活発にさせる狙いがあるようです。

これまでも、教育費として通常必要と認められる資金を渡した場合には、贈与税はかかりませんでした。

例えば、入学金などが必要な時に、その都度、直接入学金に充てるために渡した場合には、贈与税はかかりません。

ただし、教育費の名目で贈与を受けた場合であっても、それを預金したり株式や不動産などの買入資金に充てている場合には贈与税がかかることになります。

今回の改正では、必要な都度ではなく、一括して渡した場合にも、贈与税がかからないことになりました。

詳細は最終調整中のようですが、概要は次のとおりです。

受贈者(贈与を受ける者)は30歳未満の子あるいは孫が対象となります。

受贈者一人につき1,500万円まで認められます。

例えば、三人であれば4,500万円までとなります。

学校等は1,500万円までですが、塾など学校以外は500万円が限度です。

教育資金に充てるために、信託銀行などに信託をすることが必要です。

信託した場合には、受託者が資金管理して、教育資金でないと引き出せないようにします。

また、教育資金に充当したことを証する書類を金融機関に提出しなければなりません。

受贈者が30歳になった時点で、教育資金が残っている場合には、30歳に達した日に贈与があったものとして贈与税が課されます。

この制度は、平成25年4月から、平成27年12月末までの時限措置となります。

教育資金のみに限定されるものですし、使い切れなかった場合には、贈与税が課されるリスクもあります。

110万円の基礎控除、相続時精算課税、住宅取得資金贈与の特例など、他の制度も含めて、いろいろと検討してみるとよいでしょう。

2013年02月18日

相続税の調査事績

税務署は6月が年度末

税務署は、7月1日付けの辞令で人事異動です。

すなわち、税務署の年度末は6月で、行政事績は7月~6月を集計期間としています。


これを事務年度と言っています。

国税庁のネットでの公表によると、直近事務年度において行われた相続税の調査件数は1万3787件(前事務年度比0.9%増)で、うち80.9%に当たる1万1159件(同1.0%減)から3993億円(同0.0%)の申告漏れ課税価格を把握し、加算税を含め757億円(同5.1%減)を追徴しました。

実地調査1件当たり申告漏れ額は2896万円、追徴税額は549万円でした。


無申告の件数・割合・税額

無申告件数が前年度比17%増えています。

調査件数のうち10%が無申告を対象にしたもので、非違件数のうち8%余が無申告です。

課税価格の非違額に占める無申告の割合は、30%と大きいものの、追徴税額としては11%を占めているだけです。


海外資産調査の実績はよくない

全調査件数のうちの5%が海外資産調査ですが、そのうちの77%に非違事項が指摘されています。

しかし、海外資産の申告漏れを内容とする非違件数は海外資産調査件数の15%に過ぎません。

海外資産調査での海外資産の摘発実績はほんのわずかです。

効果のあがる調査になっていないように推測されます。

なお、1件当り申告漏れ海外資産は6478万円で、全体平均2896万円に比し相対的に大きく、大口案件が多いことが伺われます。


申告洩れ財産の内訳

申告漏れ相続財産の金額を構成比でみると、「現金・預貯金」が36.2%(金額1426億円)を占めてトップ、次いで「有価証券」(16.0%、631億円)、「土地」(16.0%、630億円)などと続いています。

贈与税の調査

贈与税についても書かれています。

贈与税の調査件数の94%において非違事項が発見され、そのうちの86.1%は無申告事案でした。

2013年02月15日

採用前の健康情報収集

事前調査はプライバシー侵害

会社が労働者を雇用する際に健康情報を本人に求めることは個人情報保護の観点から見てどのような扱いになるのでしょうか。


使用者は労働者を雇用し、労務の提供に対して賃金を払います。

会社は労働力を買うのですから、健康な人材を雇いたいと思うのは普通のことであり、そのことは責められるようなことではありません。

会社は雇い入れに際し応募者が健康であることを前提に賃金を決めるのが通常ですから、健康であるか否かを知ることは重要なことと言えるでしょう。


業務に必要な健康情報は集めても良い

例えば高所作業に従事してもらうには、採用前に血圧を把握しておく必要がありますし、外国出張や駐在が多い仕事では、それに耐えうる健康状態であるか、事前に知る必要があるでしょう。
職安法5条4項では、人を採用するにあたり業務の目的の達成に必要な範囲内で、個人情報を収集できるとしています。

むしろ必要な情報を得なかったために採用後間もなく健康を害する等のトラブルが無いようにしておく方が良いと言えるでしょう。


内定前の学生に健診させて良いのか

会社が学生に対して内定を出す前に健康診断を受診させたり、診断結果を提出させるのは個人情報保護法違反でしょうか。

個人情報保護法の趣旨から見て、集めた情報を本人の同意無く目的外で利用する等、第三者に提供しないころが重要であり、情報を集める事自体を禁止しているものではありません。

判例でも入社前健診を認めているものがあります。

ただし法により、「HIV」「B型・C型肝炎」「色覚異常」等については特別な事情が無い限り、健康情報は取得すべきでないとしています。


メンタル不全の病歴は採用前に聞けるか

一般健診だけではわからない疾病もあります。

最近はうつ病等で欠勤、休職するケースも多い状況です。

実は入社前に発症していたという場合もあります。

面接時に尋ねにくい事項ではありますが、疾病によっては業務の遂行に支障をきたす場合もあるでしょう。

精神疾患の病歴は、就職差別にならないような配慮が必要ですが、業務の目的の達成に必要な範囲内で収集することは可能です。

口頭で聞きにくい場合は健康状態チェック表等で一定の期間を区切ってその間の健康状態を記入してもらうことも良いでしょう。


2013年02月14日

法人税の調査事績分析

大口・悪質・不正計算想定法人

11月8日、国税庁が平成23事務年度(7月~6月)の法人税・法人消費税・源泉所得税の調査実績を発表しました。

この年度においては、大口・悪質な不正計算が想定される法人など調査必要度が高い法人12万9千件(前年対比103.1%)について実地調査を実施したようです。この期に調査された法人は「大口・悪質な不正計算が想定される」と見られていた法人です。心当たりがあるでしょうか。


具体的な重点項目とされた4項目法人

具体的な調査対象選択の基準として、

①稼動無申告法人

②海外取引法人

③無所得申告法人

④消費税還付法人が挙げられています。

①については、6,035件に対して調査を実施、408件が意図的無申告でした。

②については、15,247件調査し、非違件数は3,666件、不正が606件でした。例年のことながら、海外事案は効率が悪いです。

③は、本来、黒字でありながら赤字を装って申告することにより納税を免れている法人のことで、55,353件の調査で非違件数は37,789件で、12,692件が不正、5,962件が黒字転換でした。

④については、8,539件の調査で非違件数は4,678件で、800件が不正でした。

全体として、見込みを立てて調査したのに関わらず、法人税の非違があった法人は9万2千件で71.2%でした。

その申告漏れ所得金額は、1兆1,749億円、追徴税額は2,175億円で、前年実績に比し低調でした。


不正発見割合の高い業種と金額の寡多

「バー・クラブ」は不正がバレ易いのか、52.6%で10年連続、近年25年間で24回1位(唯一2001年度がワースト2位)という不名誉な記録を持つワースト業種の常連です。

以下、前年3位の「廃棄物処理」(33.1%)、これも常連で同2位の「パチンコ」(31.9%)、同7位の「自動車修理」(31.0%)、同4位の「土木工事」(29.5%)と続きます。

一方、1件あたりの不正脱漏所得金額が大きい業種1位は「パチンコ」、第6位「バー・クラブ」のほかは重複業種はなく、「医薬品」「水運」「鉄鋼製造」「輸入」「自動車部品製造」など大手企業を連想させる業種が並びます。


2013年02月13日

不服申立てと税務訴訟

税務調査の後、課税庁(税務署など)の見解に沿って修正申告をしない場合、課税庁は納税義務者に対して更正処分を行います(国税通則法25条)。

更正処分に対して納得がいかない場合、当該処分に対する不服申立てをする必要があります。

不服申立てを経ても納税者の主張が認められない場合には税務訴訟に移行することができます。

不服申立てから税務訴訟までは大きく三段階に分かれています。

①まずは「異議申立て」です(国税通則法81条~86条)。

異議申立ては原則として当該更正処分を行った課税庁(税務署など)に対して行います。

異議申立てができる期間には制限があり、更正処分通知を受けた日の翌日から起算して2月以内にしなければなりません。

なお、青色申告者である場合その他一定の場合には異議申立てを経ずに国税不服審判所に審査請求をすることも可能です(期間制限は異議申立てと同じ2月以内)。

②次は「審査請求」です(国税通則法87条~103条)。

審査請求は国税不服審判所という国税専門の審査機関に申立てをします。

審査請求ができる期間には制限があり、異議申立てに対する異議決定書の謄本の送達があった日の翌日から起算して1月以内にしなければなりません。

③最後は「税務訴訟」です(国税通則法114条~116条、行政事件訴訟法)。

審査請求に対する棄却裁決がされた場合、最後の手段として一般的には課税庁を被告として更正処分の取消しを求めて裁判所に訴えを提起(税務訴訟)することになります。

出訴期間には制限があり、審査請求の裁決があったことを知った日から6月を経過する日までです。

異議申立て及び審査請求は、「違法な課税処分」のみならず、「不当な課税処分」に対しても不服申立てができますが、税務訴訟は「違法な課税処分」のみが審理の対象になります。

税務訴訟は、審査請求を経なければ原則として訴え提起をすることができません(不服申立前置主義)。

異議申立てと審査請求は弁護士以外の税理士も納税者の代理人になれますが、税務訴訟の訴訟代理人は弁護士しかなれません。

税理士は税務訴訟に補佐人として関与することが可能です。

税務訴訟で納税者の主張が認められること(納税者勝訴)は非常に困難で、その割合は例年全体の1割前後です。

2013年02月12日

マイホームを売却したときの特例

土地・建物などの資産を売却したことによって生じた所得を譲渡所得といいます。

これら土地・建物の譲渡所得は、他の資産の譲渡とは区分され、給与所得などの他の所得とは別に計算する「分離課税」が採用されています。

さらに、所有期間に応じて「長期譲渡所得」と「短期譲渡所得」に区分され、長期譲渡所得は15%、短期譲渡所得には30%の税率が課せられます。

長期譲渡所得とは、譲渡した年の1月1日現在で所有期間が5年を超える土地・建物を譲渡した場合の所得をいい、短期譲渡所得とは、譲渡した年の1月1日現在で所有期間が5年以下の土地建物を譲渡した場合の所得をいいます。

しかしながら、マイホームを売却したときは、新たに住むための土地建物を取得しなければならないため、譲渡益が出ていても、担税力がありません。

そのため、所有期間の長短に関係なく譲渡所得から最高3,000万円まで控除できる特例があります。

これを、「居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例」といいます。


適用要件

この適用を受けるためには、次の要件を満たしていなければなりません。

① 自分が住んでいる家屋を売るか、家屋とともにその敷地や借地権を売ること。

なお、以前に住んでいた家屋や敷地等の場合には、住まなくなった日から3年目の年の12月31日までに売ること。

② 売った年の前年及び前々年にこの特例又はマイホームの買換えやマイホームの交換の特例若しくは、マイホームの譲渡損失についての損益通算及び繰越控除の特例の適用を受けていないこと。

③ 売った家屋や敷地について、収用等の場合の特別控除など他の特例の適用を受けていないこと。

④ 災害によって滅失した家屋の場合は、その敷地を住まなくなった日から3年目の年の12月31日までに売ること。
 
(東日本大震災により滅失した家屋の場合は、災害があった日から7年を経過する日の属する年の12月31日までとなります)

⑤ 住んでいた家屋又は住まなくなった家屋を取り壊した場合は、次の二つの要件すべてに当てはまること。

・その敷地の譲渡契約が、家屋を取り壊した日から1年以内に締結され、かつ、住まなくなった日から3年目の年の12月31日までに売ること。

・家屋を取り壊してから譲渡契約を締結した日まで、その敷地を貸駐車場などその他の用に供していないこと。

⑥ 売手と買手の関係が、親子や夫婦など特別な間柄でないこと。

特別な間柄には、このほか生計を一にする親族、内縁関係にある人、特殊な関係のある法人なども含まれます。


この特例を受けるためには、確定申告をし、確定申告書に次の書類を添付することが必要です。

① 譲渡所得の内訳書(確定申告書付表兼計算明細書)[土地・建物用]

② マイホームを売った日から2か月を経過した後に交付を受けた除票住民票の写し又は住民票の写し

(この除票住民票の写し又は住民票の写しは、売ったマイホームの所在地を管轄する市区町村から交付を受けたものです)


居住用財産となる家屋とは、所有者が自身の生活の拠点として利用している家屋でなければなりません。

一時的に入居していただけでは認められず、日常生活の状況などを総合的に勘案して判断します。

趣味のための別荘や、この特例を受けるために住民票だけを移した場合などは適用を受けられません。

2013年02月08日

渡切交際費

渡切交際費とは

渡切交際費は、金銭を社員・役員に渡して交際費として使うが、その清算をしないという形状のものです。

通常、会社が社員や役員に機密費、接待費、交際費、旅費等の名義で金銭を支給した場合、領収書などを添付して精算が行われ、その費用が会社の業務に必要な接待費や交際費であれば交際費等として処理されることとなります。

しかしながら、渡切交際費は金額の精算をせず、任意に処分できるものですから、その金額については給与の性質を有していると考えられ、交際費等としては取扱わないということになっています。


渡切交際費=給与

渡切交際費は、給与として会社側は損金処理できますが、支給された側の給与所得に計上され、交際費として実際に使ったとしても、個人に所得税が課せられます。

個人の所得税分も含めて、営業等のインセンティブ等として渡せば、交際費が限度額を超えるような企業の場合は、一定の節税効果があります。

役員に支給する場合は要注意

たとえば、渡切交際費が毎月定額で役員に支給されるような場合は、「定期同額給与」となりますので、通常の役員給与に合算したうえで損金の額に算入されます。

会社によっては接待の機会が多くなる年末年始だけに渡切交際費を支給するというようなことも考えられますが、それが役員に対して支給されるものであるならば、その金額はその支給した役員に対する臨時的な給与として取り扱われ、この場合には、その内容を事前に税務署長に届出(事前確定届出給与)していない限り、損金の額に算入することはできません。

使途秘匿金として判断されることもある

渡切交際費はその使途が不明な為、使途秘匿金に該当するものを役員に対する給与として支給していると判断された場合、役員に対する給与処理は取り消され、使途秘匿金として損金不算入の上、特別課税として支出額の40%の法人税額が追徴されることとなります。

2013年02月07日

株式配当と日数按分

利含みと配当含み

利付き債券の売買価格は、利払日の翌日から次の利払日に向けて経過利子の発生に伴い上昇していきます。


これを(利含み値段)といいます。

株式市場における株価にも、配当含みの値段、配当落ちの値段があります。

配当金交付基準日(株主の異動を停止して株主として登録される権利を確定させる日)まで配当含みの値段で推移し、その翌日に配当落ちの値段に変わります。

利子と配当とは原理的に異なる

利子は約定により支払われますが、会社の利益の分配としての配当が約定により定期的に支払われることはありません。

従って、経過利子が、元本に対して別立て表示を原則とするに対して、そもそも経過配当という概念がないこと、配当含みの値段の形成は期待思惑によるものなので、配当含み価格を分解して株価と配当に別立てにすることはありません。

もちろん、控除税金の額の精密な計算もありません。

配当期待権は配当落ち後

配当金を受け取る権利は配当金交付基準日に確定しますが、配当金の額は株主総会の決議によって具体的に確定します。

財産評価通達では、株主総会後は配当未収入金が相続財産となるところ、株主総会前の場合は、評価額は同じながら配当期待権という名目での相続財産になるものとしています。

配当基準日の翌日以後は、元本たる株式の価格が配当落ちで下落するのに対応するものです。

受取配当金は益金不算入

配当含みの価格で株式を購入し、配当を受け取ってから配当落ちの価格で売却すると譲渡損失が生じます。

所得税では、受取配当金は配当控除の対象になります。その時は、株式譲渡損は他の株式譲渡益とのみ通算になります。

法人税では、株式譲渡損は単純損金で、受取配当金は50%益金不算入です。

ただし、短期所有株式と判定されると益金不算入扱いの対象外です。

所得税と法人税の所得税額控除

所得税では、配当に係る源泉税は全額、所得税額控除・利子割控除の対象になりますが、法人税に於いては、その株式の保有期間に対応する分だけしか所得税額控除の対象になりません。


2013年02月06日

特定支出控除の改正

平成25年1月1日以降の給与所得の特定支出控除の内容が変わりました。

特定支出控除とは、実額経費が給与所得者の概算経費である給与所得控除額を超える場合には、その超える部分の金額を給与所得から控除することができるという制度です(改正前、旧所得税法57条の2)。

この特定支出控除の適用を受けるためには実額経費の証明書や領収書等を確定申告時に添付しなければならないことから手続きが煩雑であり、また実額経費が給与所得控除額を超えることもまれなことから、これまでほとんど利用者がいない状況でした(全国で毎年数名程度)。

そこで今回、制度を利用しやすくするために実額経費の範囲の拡大と特定支出控除の適用要件を緩和する改正がなされました。

1 実額経費の範囲の拡大

これまで実額経費として認められる支出は、

(1)通勤のための支出

(2)転勤に伴う転居のための支出

(3)職務上直接必要な研修のための支出

(4)職務遂行に直接必要な資格取得のための支出(弁護士や税理士等の専門資格は除く)

(5)単身赴任者の勤務地と自宅との間の旅費のための支出

に限定されていました。

今回の改正では

(6)職務遂行に直接必要な弁護士や税理士等の専門資格を取得するための支出

(7)職務に関連する書籍及び勤務場所において着用が必要な衣服を購入するための支出

(8)職務上関係のある者に対する一定の交際費等の支出

が追加されました。


上記のうち、注目すべきは、(7)と(8)のような勤務必要経費が認められることになったことです。

特に勤務場所において着用が必要な衣服として背広も特定支出控除の対象となる支出に含まれたことは多くの給与所得者にとって重要な改正だと思います(勤務先から背広着用が求められている場合に限ります)。


2 適用要件の緩和

これまでは、実額経費の合計額が給与所得控除額を超える場合にのみ特定支出控除の制度が適用されました。

今回の改正では、特定支出の額の合計額が給与所得控除額の2分の1(最高125万円)を超える場合にその超える部分の金額の特定支出を控除することが可能になりました。

例えば年収300万円(特定支出90万円)の会社員の場合

給与所得控除額は速算表から108万円と算定されます。

特定支出の額がその半額である54万円を超えれば特定支出控除の適用を受けることができます。

特定支出控除の額は90万円-54万円の36万円になります。

そして最終的に給与収入300万円から控除される額は給与所得控除額108万円と特定支出控除額36万円の合計144万円であり、結果、控除後の給与所得金額は156万円になります。

以上のように、特定支出の範囲拡大と適用要件の緩和はされましたが、確定申告書への領収書等の添付と支出ごとに給与支払者その他の証明書が必要なことは変わりません。

本改正により適用を受ける給与所得者が増えるか否か、非常に興味があるところです。

2013年02月05日

青色申告と白色申告

自営業やフリーで仕事をしている方などの所得税の申告方法には、「青色申告」と「白色申告」があります。

青色申告は最高65万円の所得控除、赤字が翌期以降に繰越しできるなどのメリットが受けられますが、申請や帳簿への記帳義務など、手続き・事務処理に手間がかかります。

これに対して、白色申告は所得控除などのメリットは少ないですが、申請や記帳の義務がありません。

事業規模が大きい場合には、青色申告が断然、有利ですが、売上も少なく、事務処理に時間をかけたくない場合には、白色申告の選択でもよいでしょう。

・青色申告の帳簿書類

正規の簿記の原則(一般的には複式簿記)により記帳し、貸借対照表、損益計算書を作成することが原則です。

現金出納帳、売掛帳、買掛帳、経費帳、固定資産台帳などの簡易な記帳だけでもよいことになっています。

これらの帳簿は、原則として7年間保存しなければなりません。(書類によっては5年間でよいものもあります。)

・青色申告特別控除

不動産所得、事業所得のある青色申告者で、複式簿記により作成した貸借対照表、損益計算書を確定申告書に添付し、確定申告期限内に提出している場合には、最高65万円の特別控除を受けることができます。

上記に該当しない場合で、不動産所得、事業所得、山林所得のある青色申告者は、最高10万円の特別控除を受けることができます。

・青色事業専従者給与

配偶者など家族に対する給与は原則として必要経費にはなりませんが、特例として「青色事業専従者給与に関する届出書」を提出し、次の要件を満たしている場合には必要経費と認められます。

適用要件は、生計を一にする配偶者その他の親族であること、その年の12月31日現在で年齢が15歳以上であること、その年を通じて6月を超える期間(一定の場合には事業に従事することができる期間の2分の1を超える期間)その事業に専ら従事していることです。

専従者給与の額は、届出書に記載されている方法により支払われ、その記載されている金額の範囲内で支払われたものでなければなりません。

また、給与の額は、労務の対価として相当であると認められる金額とし、過大とされる部分は必要経費とはなりません。

・純損失の繰越と繰戻

損失(赤字)の金額がある場合に、損益通算をしても控除しきれない純損失の金額があるときは、その損失額を翌年以降3年間にわたって繰り越して、所得から控除できます。

また、純損失の繰越に代えて、その損失額を生じた年の前年に繰り戻して、前年分の所得税の還付を受けることもできます。

・白色申告の帳簿書類

原則として、白色申告は記帳の義務はありません。

ただし、前々年分、あるいは前年分の不動産所得、事業所得、山林所得の合計額が300万円を超えている場合には、記帳する必要があります。

記帳する事項は、売上げなどの総収入金額と仕入れその他必要経費に関する事項です。

帳簿や書類は5年間(記帳制度適用者が記帳制度に基づいて作成した帳簿については7年間)、保存する必要があります。

なお、平成26年1月からは、所得金額にかかわらず、すべての方について、記帳と帳簿書類の保存が必要となります。

・白色事業専従者控除

白色の場合、事業専従者給与の制度はありませんが、配偶者やその家族など専従者の数によって一定の金額を控除することができます。

白色事業専従者控除の金額は、配偶者であれば86万円、配偶者以外は専従者一人につき50万円、または、事業所得等の金額を専従者の数に1を足した数で割った金額のどちらか低い金額です。

適用要件は、生計を一にする配偶者その他の親族であること、その年の12月31日現在で年齢が15歳以上であること、その年を通じて6月を超える期間、その事業に専ら従事していることです。

税務署への届出は必要なく、確定申告書に金額など必要事項を記載して提出します。


青色申告の申請や青色事業専従者給与の適用を受けるには、最寄の税務署へ「青色申告承認申請書」「青色事業専従者給与に関する届出書」を提出しなければなりません。

いずれも、提出期限がありますので注意しましょう。


・原則

承認・適用を受けようとする年の3月15日まで

・新規開業の場合

その年の1月15日までに開業した場合、その年の3月15日まで

1月16日以降に開業した場合、開業した日から2か月以内

2013年02月04日

“標準化”の効果

「品質管理」の分野に“標準化”と言う考え方と管理技術があります。

よく知られているように、「均一な品質のモノを、決められた時間で効率よく製造するために、モノづくりの手順・方法を決めること」を“標準化”と言います。

生産の能率を上げ、さらには自動化へ進めることで、コストダウン、不良の低減などの効果があり、第二次世界大戦後に日本では自動車産業を代表として、製造業における“標準化”が大いに進展しました。


“標準化”の進展

サービスの分野でも、“標準化”は大きな効果をあげています。

例えばJRをはじめ、日本の鉄道会社の列車運行・発着時間管理に使われる「ダイヤ」の編成・管理技術は世界一流で、朝のラッシュアワーに、分単位で小刻みに発着させる都心の列車運行でも事故なく驚異的な精度で管理されています。

それは、品質管理・標準化先進国・アメリカから初めて日本にやって来た人がビックリし、感心するほどです。

また、経営管理の分野においても、顧客満足の追求や環境安全の確保のために、ISOなどの標準化が進められています。

“標準化”の一般的効果

このように“標準化”を進めると、一般に次のような効果が生まれます。

1.期待通りの出来栄え・能率が期待でき、実現できるので、顧客・企業双方にとって成果が保証される。

2.企業は“標準化”して節約できた分の時間を、“標準化”が難しい創造的な仕事に投入して、人材を有効に活用し、付加価値を高めることができる。


“標準化”推進留意点

 経営において“標準化”の効果を最大限に活用し、デメリットを回避するには、次の点に留意すると良いでしょう。

1.標準化することによって、手間が省ける業務をリストアップし、効果の面から優先順位をつけて取り組む。

2.「.○○経営賞の受賞に有利だ」などとトップが考え、“標準化”を図る方針を示すと、組織をあげて本来の目的を忘れた形式的で過剰な“標準化”に走ることがあり、かえって経営効率を落とす可能性があり、注意を要する。

2013年02月01日

医療費控除と介護

医療費控除は、家族のために支払った治療費だけでなく、一定の介護サービス費用についてもを受けることができます。

介護サービスを受けた施設や事業者が発行した領収証を添付して、確定申告をしますので、日頃から領収証を保管することが大切です。


医療費控除の対象となる介護サービス費

一定の介護保険サービス(居宅サービス・施設サービス)および介護予防サービスについても、医療費控除の対象となります。

居宅サービスは医療系と福祉系に区分されます。

医療系居宅サービスの場合は、居宅サービスの利用料の自己負担分と食費、居住費の自己負担分が控除の対象です。

一方、福祉系居宅サービスの場合は、医療系居宅サービスとあわせて利用する場合のみ控除の対象となります。

控除の対象となる金額も、居宅サービスの利用料の自己負担分のみが対象となり、食費、居住費については含みません。

施設サービスは、療養型医療施設、老人保健施設、老人福祉施設に区分されます。

療養型医療施設と老人保健施設の場合は、施設サービスの対価として支払った介護費、食費及び居住費すべてが対象となります。

一方、老人福祉施設場合は、施設サービスの対価として支払った介護費、食費及び居住費の2分の1に相当する金額が対象となります。


医療費控除の対象となる介護に係る交通費

通所リハビリテーションや短期入所療養介護を受けるため、介護老人保健施設や指定介護療養型医療施設へ通う際に支払った交通費で、通常必要なものは医療費控除の対象となります。

やむをえずタクシーを利用したときは、領収証が必要になります。

公共交通機関を利用した場合には領収証は必要ありませんが、メモ等の記録をとっておくとよいでしょう。


注意点

介護サービスは内容が多岐に渡り、介護サービス費用のなかには医療費控除の対象とならないものもあります。

介護サービス事業者が発行する領収証には、医療費控除の対象となる金額が明記されていますので、領収証を受け取るときに必ず確認しましょう。

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