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2013年01月 アーカイブ

2013年01月30日

通達とは

職員A「~さん、この税務処理について通達を確認してみましたか?」

職員B「はい。法人税基本通達で確認しましたが大丈夫でした。」

このように会計事務所職員同士の会話では「通達」が頻繁に登場します。

通達とは何でしょうか?法律でしょうか?

いえ違います。

通達とは

主に行政機関内部において、上級機関が下級機関に対し、指揮監督関係に基づきその機関の所掌事務について示達するため発翰する一般的定めのことをいいます。

簡単に言うと「行政内部の取扱いを統一するための内部規定」です。

ではなぜ税務の現場では課税庁(国税局や税務署など)の内部規定に過ぎない通達を重視するのでしょうか。

それは、通達が法令の解釈指針となっているからです。

課税庁は「このような場合にはこのように取り扱いますよ」と通達を公開し、納税者は課税庁の考え方(通達)に沿って申告納税しておけば安心ということなのです。

ここで通達と租税法律主義の関係について見てみましょう。

国税の課税根拠はすべて国会の制定する法律によらなければなりません(憲法84条、租税法律主義)。

しかしながら、法律を制定する際に具体的なあらゆる場面を想定して制定することは困難であるし、細かな改正の都度、国会の議決を経なければならないとすると、経済情勢の変化に機敏に対応することができません。

したがって、実際には、法律では抽象的な規定を置くに留めておき、具体的な細目は政令(内閣が制定する命令、租税法では「施行令」)や省令(各省大臣が制定する命令、租税法では「施行規則」)に規定されることが多いです。

政令や省令は、法律の委任によって定められていることから、法律の根拠があると言えるので、課税根拠を政令や省令に求めても租税法律主義に反するものではありません。

しかし、通達はあくまでも課税庁の内部規定に過ぎませんので、通達を根拠に課税することはできません。

よって、税務調査の際などに、調査官が「通達ではこのように規定されていますから、このように処理してください」などと指導することは租税法律主義に反する行政指導です。

とはいえ、具体的な税務処理の指針は、通達に細かく規定されているため、税務処理に困ったらまずは通達を確認するという姿勢は分からないではありません。

しかし、通達に規定されているから致し方ないと諦めるのではなく、その通達は法律の正しい解釈をしているか否か、その事例は通達が適用される場面か否か、という検証は納税者側でも必要だと思います。

そのお手伝いは我々職業専門家(税理士、弁護士)にお任せください。

2013年01月29日

災害・盗難にあった時 所得税の雑損控除

東日本大震災の際には、被害を受けた方の負担の軽減を図るために、さまざまな特例措置がつくられました。

このような大災害でなくても、次のような原因で、資産に損害を受けた場合には、雑損控除を受けることができます。

① 震災、風水害、冷害、雪害、落雷など自然現象の異変による災害

② 火災、火薬類の爆発など人為による異常な災害

③ 害虫などの生物による異常な災害

④ 盗難

⑤ 横領

自然災害だけだなく、盗難や横領などの思いがけない損害も対象になります。

ただし、詐欺や恐喝の場合は対象にはなりません。

対象となる資産にも要件があります。

本人や生計を一にする配偶者や扶養家族が所有し、生活に通常必要な住宅、家具、衣類などの資産に限られます。

別荘・スポーツカーなど、趣味や娯楽等の目的で所有するものは対象となりません。

骨董品・美術工芸品・貴金属などで、1個または1組の価額が30万円を超えるものも対象外となります。

また、事業用の資産の場合は、雑損控除ではなく、事業所得の必要経費の対象となります。


雑損控除として控除できる金額は、次の二つのうちいずれか多い方の金額です。

① (差引損失額)-(総所得金額等)×10%

② (差引損失額のうち災害関連支出の金額)-5万円

*差引損失額=損害金額+災害関連支出(住宅の取壊し費用など)-保険金補填額


雑損控除を受けるためには、確定申告を行う必要があります。

確定申告書に雑損控除に関する事項を記載するとともに、災害関連支出の金額の領収を証する書類を添付するか、提示してください。

2013年01月28日

健保・厚年資格取得届の本人確認

偽名防止のための措置がなされた

新たに社員を雇い入れた時、会社は健康保険と厚生年金保険の加入手続きをします。

被保険者の氏名、生年月日、性別、基礎年金番号等を記載した「健康保険・厚生年金保険被保険者資格取得届」を事業所の住所地の年金事務所に届け出ます。

この届出に関し、基礎年金番号が記載のない場合の取り扱いが変更され、記載のない場合には事業主が本人の氏名を証明書等で確認することが必要になりました。


基礎年金番号記入の厳格化

資格取得届の基礎年金番号が未記入の方については(年金手帳再交付申請書を添付した場合は除く)返戻されることとなり、基礎年金番号が不明の場合には、会社が免許証や住民票等による本人確認をしなければなりません。

資格取得届が返戻され、その後届出がされない場合、事業主への指導があったり、時には事業所調査になることもあります。

そして、本人確認が行われるまで健康保険証の交付は行われません。

たとえ、健保組合等協会けんぽとは別のところで健保証が交付されても、年金機構の取得ができなかった時は、健保も取消となりますので注意が必要です。


本人確認の為に必要な証明書

本人確認に有効な証明書は次の物です。

① 1つで足りる物

運転免許証、写真付き住民基本台帳カード(市区町村で発行)、旅券(有効期限内のパスポート)在留カード、特例永住者証明書、地方公共団体が発行した写真付き資格証明書類、

② 2種類以上の異なる組み合わせが必要な物

写真付きでない住民票、介護保険被保険者証、共済年金証書、印鑑登録証明書、金融機関の預金通帳やキャッシュカード、クレジットカード等

届出の際にこれら書類の写しを付ける必要はありませんが事業所で控えを取っておくことが望ましいとされています。

20歳未満の方や外国人の方で基礎年金番号を持っていない方は、本人確認を行ってから取得届を提出します。

取得届に基礎年金番号が未記入の方は、年金手帳再交付申請書を添付しますが、申請書には職歴をお忘れなくご記入ください。


2013年01月25日

国税の納税証明書

金融機関へ借入を申し込む際、納税証明書を提出するよう求められます。

納税証明書は、確定申告書等を提出した場合の納付税額や所得金額、未納の税額がないことを証明する書類で、所轄税務署で交付を受けることができます。

納税額や納税状況を客観的に証明する納税証明書は、相手方の返済能力を審査する上で必要な判断資料となるのです。


納税証明書の種類

納税証明書には、大きく分けて、次の4種類があります。

その1:納付税額等の証明

その2:所得金額の証明(個人は申告所得税に係る所得金額、法人は法人税に係る所得金額)

その3:未納税額がないことの証明

その4:滞納処分を受けたことがないことの証明


その3については、税目を申告所得税と消費税及び地方消費税に限定した、個人用の「その3の2」や法人税と消費税及び地方消費税に限定した、法人用の「その3の3」もあります。

申込の際にどの納税証明書が必要なのか、しっかり種類を確認してから交付を受けるようにしましょう。


納税証明書の交付請求

納税証明書の交付を受けるには、現在の住所地(納税地)を所轄する税務署に、納税証明書交付請求書を、本人(法人の場合は代表者)が持参します。

納税証明書交付請求書には、押印が必要なほか、本人確認できるものを持参する必要があります。

代理人が持参する場合には、本人の委任状と代理人自身の本人確認ができるもの、印鑑が必要です。

また、郵送で請求することもできます。

この場合には、納税証明書交付請求書、手数料に相当する収入印紙のほか、返信用の封筒に切手を貼ったものを同封して送ります。

e-Taxに登録されている方は、e-Taxでの交付請求も可能です。


2013年01月24日

留学生の採用と在留資格変更許可申請

留学生を採用したら


3月卒業の留学生を採用予定の事業主様は、在留資格変更手続きに向け準備を始めたいなければなりません。


就労できる在留資格への変更手続き

外国人の方は、全27種類ある在留資格のうちどれか一つを得ることで適法に在留することができます。

留学生の場合は「留学」の在留資格を得て在留しているわけですが、卒業後も日本国内の企業で働くためには「人文知識・国際業務」や「技術」といった就労できる在留資格に変更する必要があり、この手続きを在留資格変更許可申請と言います。


在留資格変更手続の注意点

内定が出たからといって必ずしも留学から就労できる在留資格への変更が許可されるというわけではありません。

在留資格の変更では、たとえば次のようなポイントに気をつける必要があります。


①業務内容

原則的に、外国人の方は入国管理局が単純労働とみなす職種で就労できる在留資格を取得することはできません。

入国管理局が単純労働とみなす職種には、たとえば一般事務作業や工場作業などが挙げられます。

こうした職種で学生アルバイトから正社員へ登用を考えている場合などは、従事してもらう職務内容の見直しが必要です。


②専攻科目との関連性

在留資格の変更申請では、留学生がこれまで学んだ専攻と社内で携わる業務との関連性が求められており、特に専門学校卒業生は強く要求されています。

現在、大卒生は比較的緩和されていますが、それでも全く関連性のない職業でも変更が許可されるという領域には至っていません。


卒業までにアルバイト勤務させる場合

企業によっては、学校を卒業するまでの期間に研修のような形でアルバイト勤務させる場合もあるかと思います。

「留学」の在留資格は本来勉強が目的ですので、基本的に就労することはできません。

アルバイトを行いたい場合には、資格外活動許可と呼ばれるアルバイト許可を取った上で、本業である学業を阻害しないよう1週間につき28時間までの勤務に納めなくてはなりません。

いくら内定を出している留学生であっても、在留資格変更の許可を得て就労できる在留資格へ切り替わるまでは資格外活動許可の範囲内でしか働くことはできませんのでご注意ください。

2013年01月23日

消費税サービスにご注意

商店街でよく「消費税サービス」などと書かれた広告や値札を目にします。

しかし、この表示にはいつも違和感を覚えます。

なぜなら、消費税をサービスしても、そのサービス後の価格にはなお消費税が含まれているからです。

ここで消費税の仕組みについて簡単にご説明します。

消費税の納税義務者は「個人事業者」「法人」「保税地域から外国貨物を引き取る物」であり、消費者には納税義務はありません(消費税法5条)。

消費者は上記納税義務者との「課税取引」について消費税を負担して納税義務者に支払うだけです。

納税義務者は、原則として、課税取引について消費者や取引先から預かった消費税(売上げに係る消費税)から、課税取引について自らが消費者として仕入先や取引先に支払った消費税(仕入れに係る消費税)を控除して、その差額を消費税として納税する仕組みになっています。

消費税が課税される「課税取引」については消費税法に以下の条文があります。


消費税法4条

国内において事業者が行った資産の譲渡等には、この法律により、消費税を課する。

消費税法2条1項4号(資産の譲渡等の定義)

事業として対価を得て行われる資産の譲渡及び貸付け並びに役務の提供(中略)をいう。

上記のように「課税取引」であるか否かは法定されており、商店が自由に課税取引か否かを決定できる訳ではありません。

もちろん、消費税をサービスするかどうかを自由に決定することもできません。

また、消費税法には納税義務を免除される免税事業者の規定があります(消費税法9条)。

基準期間(前々年又は前々事業年度)の課税売上高が1,000万円以下の事業者は原則として当年又は当事業年度の消費税の納税義務が免税されます。

ただし、免税事業者であっても「課税取引」については取引先等から消費税を預りまたは消費税を支払わなければなりません。

なぜなら、消費税を納める義務が免除されるだけであって、その前段階の「課税取引」が「非課税取引」や「不課税取引」になる訳ではないからです(いわゆる「益税」です)。

以上から、商店街でよく見かける「消費税サービス」などと書かれた広告や値札が正確な表記ではないことがご理解頂けたと思います。

免税事業者らしい零細な個人商店であったとしても、取引に消費税は課されており、消費税をサービスできないことは同様です。

「消費税サービス」ではなく「消費税分サービス」とした方がよいでしょう。

2013年01月22日

所得税の医療費控除

本人や生計を一にする家族の医療費を支払った場合には、所得控除を受けることができます。

この医療費控除を受けるためには、給与所得のみの方でも、年末調整では行えず、必ず、確定申告を行う必要があります。

この確定申告書には、その年の1月1日から12月31日までの間に支払った医療費であることを証明する領収書等を添付するか、提示することが必要です。

また、e-Taxで確定申告書を提出する方は、医療費の領収書等について提出又は提示に代えて、その記載内容を入力して送信することができます。

この場合、税務署長は原則として確定申告期限から5年間、その入力内容の確認のためにこれらの書類の提出または提示を求めることができ、これに応じない場合には医療費控除が認められない場合もあります。


医療費控除額の計算

医療費控除の対象となる金額は、次の式で計算した金額です。

(実際に支払った医療費の合計額-保険金などで補てんされた金額)-10万円

その年の総所得金額等が200万円未満の人は、10万円ではなく、総所得金額等5%の金額が引かれます。

保険金などで補てんされる金額は、その給付の目的となった医療費の金額を限度として差し引きますので、引ききれない金額が生じた場合であっても他の医療費からは差し引き出来ません。

また、医療費控除額は最高で200万円までとなっています。

給与所得のみの方の場合には、還付申告となりますが、医療費を多く支払っているからといっても、戻ってくるのは、当然ながら納めた税金の範囲内です。


医療費控除の対象になるもの

医療費控除は、保険診療だけではなく、自由診療も対象となります。

歯の治療などの自由診療による治療代は高額になることがありますが、一般的な水準であれば医療費控除の対象になります。

病院代だけではなく、通院のための交通費、薬局で買った薬代、出産費用(出産一時金をもらったときにはその差額)、付添人への賃金や食事代、寝たきり状態の人のおむつ代なども控除の対象になります。


医療費控除の対象にならないもの

健康維持や美容のためのものは、医療費控除の対象になりません。

例えば、人間ドック・健康診断費用、予防接種、サプリメント、疲れを癒すためのマッサージ代、近視用の眼鏡・コンタクトレンズなどは対象外となります。

マイカー通院のガソリン代や駐車場、入院している家族の世話をするための交通費も医療費控除の対象にはなりません。

ただし、通常認められないものでも、治療のためにどうしても必要な場合には、条件次第で認められるものがあります。

病気が見つかった場合の人間ドック・健康診断費用、治療のためのマッサージ代、子どもが治療のために医師に勧められた眼鏡代などは医療費控除の対象として認められます。


この他にもかなり細かく規定されていますので、調べてみると、意外なものでも、該当するものがあるかもしれません。

2013年01月21日

分掌変更における退職金の分割払い

損金経理の分割払役員退職給与

役員が退職した場合の退職給与の損金算入時期は、「株主総会の決議等によりその額が具体的に確定した日の属する事業年度」というのが原則です。

しかし、「法人がその退職給与の額を支払った日の属する事業年度においてその支払った額につき損金経理した場合には、その損金経理した事業年度に損金の額に算入することを認める」という通達があります。


分掌変更による退職金認容での未払金

法人を退職していないが、役員の分掌変更により、常勤→非常勤、取締役→監査役、役員報酬の半分以下への激減、などに該当するときは、「実質的に退職したと同様の事情にあると認められるので、退職給与として法人が支給した給与は損金算入できる」との通達もあります。

ただし、この通達には、「未払金等に計上したものは『支給した給与』には含まれない」との注書きがあります。


分割払い分掌変更退職金の損金算入の可否

それでは、分掌変更退職金につき、未払金計上はしないが、分割払いをすることにし、その支払いの都度損金経理することとしたものは、損金算入が認められるでしょうか。

納税者敗争の事案ですが、このテーマを争点とする国税不服審判所の裁決の公表が最近ありました。


税務署の通達解釈

裁決書にみる税務署の主張では、分掌変更退職金の分割払いを一概に否定していませんでした。

分掌変更退職金は、「一種の打切り支給特例としての在職退職金なので、弊害防止の趣旨から、債務の確定だけではなく、実際に金銭等の支給があることを要求しているのであって、実際上、資金繰り等の合理的理由がある場合の一時的な未払金等への計上までも排除するものではなく、未払いの期間が長期に亘ったり、長期間の分割払となっていたりするような場合でなければ損金算入となる」との通達解釈をしていました。


納税者敗争事案から学ぶこと

税務署の忌避の主理由は「弊害防止」なので、利益調整の材料に利用するものではないことの証しとして、分割払い等にせざるを得ない理由と、分割払いの計画性を当初からハッキリさせて、その通りに実行していることが、肝要と思われます。


2013年01月18日

償却資産申告書の提出

毎年1月31日が提出期限となっている書類として、法定調書のほかに償却資産申告書があります。


償却資産申告書

償却資産とは、会社や個人事業主が所有する土地及び家屋以外の資産で、その事業のために用いることができる構築物、機械、器具、備品等をいいます。

毎年1月1日現在所有する償却資産を確認し、その年の1月31日までに申告することになります。

次に掲げる資産も、申告が必要になります。

1.耐用年数が経過し、減価償却が済んでいる資産

2.福利厚生の用に供する資産

3.建設仮勘定で経理されている資産や簿外資産

4.遊休又は未稼働の資産

5.改良費(資本的支出)

6.使用可能な期間が1年未満又は取得価額が20万円未満の償却資産であっても個別に減価償却しているもの

7.租税特別措置法の規定を適用し、即時償却等をしているものなど

(例えば、青色申告法人である中小企業者が利用できる、取得価額30万円未満の減価償却資産の損金算入の特例を適用した資産)

また、次に掲げる資産は、償却資産の対象とならないので、申告の必要はありません。

1.自動車税・軽自動車税の課税対象となるもの(例:自動車、原動機付自転車)

2.無形固定資産(例:特許権、実用新案権等)

3.繰延資産

4.耐用年数1年未満の償却資産又は取得価額10万円未満の償却資産で損金算入したもの

5.20万円未満の償却資産で3年間の一括償却を選択したもの

提出

提出方法は2つあり、書類郵送による申告と、電子送信による申告があります。

どちらの方法も、償却資産が所在する各市区町村に提出します。

償却資産が複数の市区町村に所在する場合は、その資産が所在する市区町村ごとに提出することになります。

注意点

申告書の様式が、市区町村によって若干異なる場合があります。

各市区町村から申告書・明細書と共に送付される記載要領を確認し、作成するようにしましょう。

2013年01月17日

国税通則法の改正(税務調査の終了その他)

1.税務調査終了の際の手続きの整備

平成25年1月1日以後に行われる税務調査について、税務調査終了時の手続きの整備がなされました(改正通則法74条の11)。

(1) 更正決定等をすべきと認められない場合の書面による終了通知

税務調査において申告内容に誤りが認められない場合や申告義務がないと認められる場合など、従来は「調査結果のお知らせ」(是認通知)という書面が届くことがありましたが、本改正により終了通知を書面で行うことが明文化されました。

従来は申告に対する指導事項がある場合にはお知らせは送付しない取扱いがなされていましたが、改正後は指導事項があっても終了通知がなされるようになります。

調査の結果、問題がない場合には指導事項の有無に関わらず終了通知がなされることにより、調査終了がより明確になり資料整理の負担から開放されるというメリットがあります。

(2) 更正決定等をすべきと認められる場合の調査結果の内容説明と修正申告等の勧奨

税務調査において申告内容に誤りが認められた場合や申告義務がありながら無申告であったことが判明した場合には、調査結果の内容(誤りの内容、金額、理由)を説明し、修正申告や期限後申告を勧奨することができることが明文化されました。

修正申告等を勧奨する場合においては、納税義務者に対して、修正申告等をした場合に異議申立てや審査請求ができなくなるが更正の請求はできることを説明し、その旨を記載した書面が渡されることになります。

調査結果の説明を受ける際には、調査官から更正決定等の理由として根拠条文や認定事実と証拠などを納得するまで聞いておくことが大切です。


2.その他の改正


(1)身分証明書の提示等(改正通則法74条の13)

国税庁等の職員が税務調査のために、事務所や事業所等に赴く際には、身分証明書を携行し、請求があった場合には提示しなければなりません。

従来、所得税法や法人税法などの個別の法律に規定があったものが本改正により国税通則法にまとめて規定されました。


(2)調査提出物件の留置(改正通則法74条の7)

国税庁等の職員は、国税の調査について必要があるときは、その調査において提出された物件(調査対象となる帳簿などの資料)を留め置くことができることが規定されました。


留め置くとは、調査官が資料を持ち帰るということです。

従来も調査官が納税者の許可を得て資料を持ち帰ることは行われていましたが、本改正により明文化されました(平成25年1月1日以後に提出された物件について適用)。

「国税の調査について必要があるとき」に「留め置くことができる」との規定の反対解釈から、「必要があるとき」には留置を拒否できないことになりました。

「必要があるとき」とは、調査官が主観的に必要と考えるだけでは足りず、客観的な必要性があると判断されなければ留置は認められないと考えられています(質問検査権の「必要があるとき」の解釈について、最高裁昭和48年7月10日判決参照)。

2013年01月16日

事前確定届出給与の届出

役員給与の支給の仕方に関わる税法制限

役員給与(役員報酬と役員賞与)は原則損金不算入です。

例外として、次のものが損金算入となります。

a 定期同額の役員報酬(期首から3か月以内の改訂は可)<事前届出不要>

b 有価証券報告書を提出する非同族会社の利益連動役員賞与<事前届出不要>

c 事前確定届出給与(決算確定から1か月以内)

制限の趣旨は、会社の景況に合わせた役員報酬の随時の改訂や、利益の額に合わせた賞与の支給を排除しようとするものです。


事前確定届出給与とは

「事前確定届出給与」とは、定期同額でなくてよい役員給与です。実質「役員賞与」に該当するものです。

この事前届出の内容は、委細に亘り書くようになっていて、特に重要なのは、全役員の「定期同額役員報酬」を記載するようになっていることです。

「事前確定届出給与」を選択することにより、定期同額役員報酬が「事前確定届出給与」に実質的に変わってしまいます。


事前確定が崩れてもよい場合

事前確定届出給与が、届出通りに支給されなかった場合は、事前に支給額が確定していたとはいえないことから、事前確定届出給与に該当しないものとなり、全額が損金不算入となります。

ただし、次のような場合には、1か月以内に、改定の届出をすれば、特別に変更が認められております。

・専務が社長に昇格した場合のように、役員の退任等により、取締役の役職が変更になった場合

・役員が入院したため、入院期間中の役員報酬を変更した場合

・業績の悪化により、役員報酬の減額をしないと、経営危機に陥る場合


支給しないときのペナルティー

事前確定届出給与を支給しない時のペナルティーというのは特にありません。

次の決算日前を支給時期に設定する事前確定届出給与は、額の変動はできないものの、支給の有無は随意なので、決算対策としての効果をそれなりに果たせることになります。

複数役員について設定した事前確定届出給与の一部役員への無支給は、届出通りに支給した役員分に係る損金算入には影響を及ぼしません。

また、役員退任による支給停止は、届出と異なることになっても損金算入です。

2013年01月15日

確定申告が必要ない方の還付申告

確定申告の必要がない方でも、源泉徴収された所得税や予定納税額などが納め過ぎになっている場合には、還付を受けるための申告(還付申告)をすることにより、還付を受けることができます。

給与所得者で確定申告の必要がない方が還付申告をする場合は、その他の各種の所得(退職所得を除く)も申告が必要です。

還付申告出来る方は、次に当てはまる方などです。

①給与所得者

・雑損控除を受ける方(災害や盗難などで損害を受けたとき)

・医療費控除を受ける方(医療費の額が10万円超、総所得額200万円未満の人は総所得金額の5%超)

・寄附金控除、寄附金特別控除を受ける方

・住宅借入金等特別控除を受ける方(年末調整で控除を受けている場合を除く)

・電子証明書等特別控除を受ける方

・年の中途で退職した後、就職しなかった方(年末調整を受けていない場合)

②公的年金等に係る雑所得のみの方

・医療費控除や社会保険料控除などを受ける方

③退職所得がある方

・退職所得を除く各種の所得の合計額から所得控除を差し引くと赤字になる場合

・退職所得の支払を受けるときに「退職所得の受給に関する申告書」を提出しなかったため20%の税率で源泉徴収がされ、その源泉徴収税額が正規の税額を超えている場合

④予定納税をしている方

・確定申告の必要がない場合

確定申告の受付は、2月15日から3月15日ですが、これらの還付申告は2月15日以前でも行うことができます。

また、確定申告が必要ない方の還付申告は、還付申告をする年分の翌年1月1日から5年間行うことができますので、さかのぼって還付申告することも可能です。

平成24年分の申告は、平成25年1月1日から平成29年12月31日まで申告することができます。

心当たりのある方は、納めすぎた税金が戻ってくるかもしれませんので、見直しをしてみてください。

2013年01月11日

法定調書の提出

法定調書は、所得税法、相続税法等に基づき税務署への提出が義務付けられている書類で、支払調書ともいわれています。

毎年1月31日が提出期限です。

その種類は40種類以上あり、主なものとして、「給与の源泉徴収票」や、一定額以上の税理士報酬や作家等への原稿料、講演料などが該当する「報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書」などがあります。

一般に知られていない支払調書としては、「国外送金等調書」があります。

これは、海外送金や海外からの入金等の為替取引について、1回あたり100万円を超える場合に、金融機関が作成し提出するものです。

税務署に提出されたこれらの各種法定調書は、誰がどのくらいの収入や所得を得ているのか、その人は適正に申告をしているのか等を把握し、効率的に税務調査を行うための重要な基礎資料となっています。

法定調書を作成し提出する側にとっては、前年の支払状況を「報告」するだけのもので、自らの税金を納める話ではないため、優先度がどうしても低くなりがちです。

しかし、法定調書の提出を提出義務者が怠った場合には、1年以下の懲役または50万円以下の罰金というペナルティも設けられていますので要注意です。

また、記載にミスがあった場合には、提出者だけでなく支払先にも、税務署からの問合せが寄せられることがありますので、慎重な作成を心がけたいものです。

なお、法定調書は原則として書面により提出しますが、e-Tax(国税電子申告・納税システム)を使っての提出や、光ディスク、磁気テープ、磁気ディスクでの提出も可能です。

2013年01月10日

海外直接投資に必要なもの

海外直接投資は、新規事業であることには変わりがありません。

したがって、新規事業を遂行するための「人」、「もの」、「金(資金)」が必要となります。

中小企業の海外直接投資においては、この基本的要素をいかに揃えられるかが成功の鍵となります。


海外直接投資の必要条件

中小企業白書2012年版では、「直接投資を開始するために必要な条件」として、

①企業に資金的な余裕があることを挙げる企業が74.6%と最も多く、続いて

②進出先の法制度や商慣習の知識があること60.3%となっています。以下、

③販売先を確保していること54.7%、

④信頼できるパートナーがいること53.9%、

⑤進出先の市場動向についての知識があること44.8%、

⑥黒字化の見通しが立っていること33.7%、

⑦海外直接投資に詳しい人材を社内に確保していること32.8%

となっています。


海外直接投資への障害

逆に現地法人が直面している商取引面の課題・リスクを見てみると、生産拠点を保有する現地法人では、

①現地における品質の管理54.3%が最も多く、続いて

②現地におけるマーケティング34.3%、

③現地向け商品の生産・供給体制の構築28.6%の順となっています。

また、販売拠点を保有する現地法人では、

②現地における品質の管理43.8%のほかは、

①現地におけるマーケティング48.7%、

③現地ニーズの把握・情報収集37.0%、

④現地における取引条件34.6%といった販売に関する事項が課題・リスクとして認識されています。

必要条件と障害から解ること

資金面では必要条件として認識されているもののも課題・リスクとしての認識が低くなっていることから、進出時の資金は基本的に調達できていると思われます。

一方、必要条件として、

進出先の法制度や商慣習の知識があること、

販売先を確保していること、

進出先の市場動向についての知識があること、

海外直接投資に詳しい人材を社内に確保していること

が挙げられているにもかかわらず

、課題・リスクとして現地における品質の管理、

現地におけるマーケティング等

が挙げられているのは、それを解決できる人材が不足していることが障害となっていると思われます。

2013年01月09日

国税通則法の改正(税務調査の事前通知)

平成25年1月1日以後に行われる税務調査について、納税義務者への事前通知制度が国税通則法上明文化されました(改正通則法74条の9以下)。

税務調査は、「任意調査」が建前であることから手続きについてこれまで細かな明文の規定がありませんでした。

しかし、税務調査は納税者に事実上相当の負担を与えていることから、手続きを明文化し、納税者の権利利益の保護を図るため本改正がなされました。

以下、事前通知制度のポイントを挙げます。

1.事前通知の対象となる税務調査

実地の調査のみが事前通知の対象です。

取引相手に対して行う反面調査や店舗内部を下見するような内観調査は、事前通知の対象ではありませんので注意が必要です。

2.通知の相手先

納税義務者及び税務代理人(税務代理権限を証する書類を提出している税理士等)

3.通知の方法

書面である必要はなく、電話等でも可能とされています。

電話等による口頭の通知の場合には以下の通知内容は必ずメモをとることが肝要です。


4.通知の内容

(1)実地調査の開始日時

(2)調査を行う場所

(3)調査の目的

(4)調査の対象となる税目

(5)調査の対象となる期間

(6)調査の対象となる帳簿書類その他の物件

(7)その他調査の適正かつ円滑な実施に必要なものとして政令で定める事項

5.事前通知がされない場合(改正通則法74条の10他)

これまでも現金取引の多い飲食店等でも事前通知なしの無予告現況調査は行われてきましたが、本改正により事前通知の例外として明文化されました。

「税務署長等が調査の相手方である納税義務者の申告や過去の調査結果の内容又はその営む事業内容に関する情報その他国税庁等若しくは税関が保有する情報に鑑み、違法又は不当な行為を容易にし、正確な課税標準等又は税額等の把握を困難にするおそれその他国税に関する調査の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあると認める場合」には事前通知を要しないと規定されています(改正通則法74条の10)。

本改正により納税義務者の権利として事前通知制度が明文化されました。例外的に事前通知なしに税務調査が実施された場合には、後日紛争になった場合に備えて不通知の理由(例外規定適用の理由)を調査官から聞いてメモをしておくとよいでしょう。

また、調査の過程において通知された対象以外に「非違が疑われることとなった場合」には、再度事前通知をすることなく調査ができると規定されています(改正通則法74条の9第4項)。

事前通知された調査対象以外の調査がされた場合にも、後日紛争になった場合に備えて「非違が疑われる」理由を調査官から聞いてメモをしておくとよいでしょう。

2013年01月08日

在庫商品が売れ残った時

お正月は、福袋など新春セールが恒例です。

また、ほとんどのお店で、決算セールや在庫処分セールなどが行われています。

それでも売れ残った在庫商品は、廃棄損または評価損の計上を検討してみてはいかがでしょうか。

商品廃棄損の計上

長い期間売れ残り、今後も販売見込のないものは、思い切って廃棄処分することが、節税にも、経費削減にも効果的です。

例えば、50万円で仕入れた商品を廃棄処分した場合には、50万円の商品廃棄損を計上できます。

また、倉庫や在庫管理の経費も削減できます。

商品廃棄があった場合には、税務調査時に必ず確認される事項ですので、廃棄の事実を証明出来るようにしておく必要があります。

廃棄業者から廃棄証明書の発行、廃棄処理時の写真、社内稟議書、廃棄の理由など事実を明確に証明できる書類をそろえておけば確実です。

商品評価損の計上

在庫商品を廃棄したくないという場合には、帳簿価額と時価との差額を評価損として計上することもできます。

ただし、評価損の計上の要件は厳しく、税務調査時にも厳しくチェックされる事項ですので、税法上のルールにのっとって計上しなければなりません。

在庫商品については、一般的に次の事実が生じた場合に評価損が計上できます。

① 当該資産が災害により著しく損傷したこと。

② 当該資産が著しく陳腐化したこと。

例えば、季節商品で売れ残った商品や、型式・性能・品質等が古くなった製品など

③ ①または②に準ずる特別の事実。

例えば、破損、型崩れ、たなざらし、品質変化など

単に物価の変動、過剰な生産、建値の変更などの事情によって、時価が低下しただけでは、上記の事実に該当せず、評価損の計上は出来ません。

評価損も、廃棄損と同様に証明できる書類が必要となります。

同業他社のチラシなどの販売資料や新製品を紹介した業界誌などの時価の算定根拠、また、評価損を計上した商品の販売実績など、具体的に立証できるように準備しましょう。

まずは、在庫商品の見直しを行い、今後の販売見込がない在庫を把握することから始めてみてはいかがでしょうか。


2013年01月07日

復興特別所得税

課税が始まる復興特別所得税

復興特別所得税の課税が本年から始まります。

この所得税は、平成49年までの25年間にわたります。

個人については、来年分の所得税の確定申告や年末調整によって、その人の復興特別所得税が確定し、過不足精算による納付や還付が行われるのですが、実際は、1月1日以後に支払期限のくる各種所得に係る所得税の源泉徴収によって、復興特別所得税の課税事務が始まります。

住民税には復興特別税はありません。


復興特別所得税の税率

復興特別所得税の額は、所得税の額の2.1%相当額です。

通常の所得税と復興特別所得税とはバラバラに取り扱われるのではなく、一体として課税・徴収されるので、実際は、所得税の税率が102.1%に増大したと考えるほうがわかりやすいです。

10%の税率の時は10.21%に直して計算します。


給与や退職金等では税額表が変わる

従業員の給与や退職金についての25年分以後の源泉徴収税額表は、国税庁ホームページに掲載されており、年末調整関係書類とともに税務署から配布されています。

12月末日締め切り、1月5日給与支払の会社については、新年早々に、この新源泉徴収税額表による、所得税と復興特別所得税の合計額の徴収が始まります。

徴収税額の納付書である所得税徴収高計算書のタイトルは特に変更される予定がなさそうなので、従来のものに徴収合計額を一括記載して納付することで差し支えありません。


平成24年分所得税の扱い

平成24年分の所得とされる未払給与を平成25年1月以後に支払う場合には、復興特別所得税の対象にはなりません。

また、平成24年年末調整に係る過不足税額が来年以後に納付等される場合がありますが、これら過年分の所得税についても、納付書への記載については、特別に分別記載する必要はありません。

外国人にも納税義務はある

居住者限定の税ではないので、課税の対象は非居住者にも及びます。

ただし、租税条約が関係する時には、それが優先するので、租税条約に基づく限度税率と国内法に基づく復興特別所得税を含めた税率との低いほうでの課税となります。


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