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2012年12月 アーカイブ

2012年12月28日

年末調整で不足額が生じる原因

年末調整と言えば税金が還付されるイメージですが、必ずしもそうではなく、不足のケースもあります。


年末調整とは

毎月給与から源泉徴収される税額は、仮にその月額給与が1年間続いた場合の年間給与に対する所得税を、12か月で割った概算税額です。

その後、12月になって1年間の給与が出揃ったところで、正しいその年の給与に対する所得税を計算することになります。

年末調整とは、正しく計算した所得税額と、毎月概算で源泉徴収された所得税額の差額を、精算することなのです。

したがって、正しく計算した所得税額が毎月概算で源泉徴収された所得税額よりも少ない場合は「徴収し過ぎ」ということで、差額は還付されます。

反対に、正しく計算した所得税額が毎月概算で源泉徴収された所得税額よりも多い場合は「徴収不足」ですから、差額を追加徴収することになります。

年末調整は還付になることが多い

ほとんどの場合、年末調整は還付になります。

毎月給与から源泉徴収される税額は概算だということは前述したとおりですが、概算で預かる源泉税については、生命保険料や地震保険料等の控除のことを考慮していません。

年末調整で生命保険料や地震保険料等の証明書を提出することによって、やっと保険料の控除が受けられるわけですから、正しく計算した所得税額の方が少なくなるのです。


年末調整が不足になる原因

年末調整の結果、不足になる主なケースを紹介します。


毎月の給与の変動が大きい場合

所得税の税率は超過累進税率といい、所得が高くなるにつれ税率が段階的に上がっていくシステムです。

毎月給与から源泉徴収される税額は、仮にその月額給与が1年間続いたら・・・という前提ですから、

給与の変動が大きい場合、毎月徴収する税率も変動が大きくなってしまいます。

例えば、正しく計算した所得税の税率が20%の場合、給与の少ない月に「この給与が1年続いたら」という前提のもと10%の税率で源泉徴収していれば、正しく計算した税率の20%にあわせるため、不足額を徴収することになります。


扶養親族が減った場合

毎月給与から源泉徴収される税額では、扶養親族の人数を考慮していますので、扶養控除等を受けている前提で計算されています。

しかし、扶養親族が就職する等があった場合、その扶養親族にある程度の所得があると、扶養控除等が受けられなくなりますので、正しく計算した所得税額のほうが多くなってしまい、その結果徴収不足ということになります。

2012年12月27日

海外進出と空洞化

中小企業の海外進出

日本企業の生産拠点の海外進出は、1985年のプラザ合意以降、急激な円高の影響を受けて、NIES諸国(韓国、台湾、香港、シンガポール)を中心に進出したのが始まりです。

その後、進出国の人件費の高騰等の影響により、東南アジア、中国へと生産拠点を拡大していくこととなりました。

中国への進出は

1997年に発生したアジア通貨危機は、日本企業の東南アジアへの進出速度を減速さることとなりました。

一方、中国への進出は、厳しい為替規制によりアジア通貨危機の影響が比較的軽微であり、WTO加盟への期待が高まる中、1998年後半頃から急速に増加することとなりました。

そして、2001年の中国WTO加盟により、巨大市場中国への進出が集中することとなりました。


現在では

巨大市場として期待されるインド、インドネシアのほか、既存進出国の人件費の高騰を受け、カンボジア、バングラデシュ、ミャンマーなどの新興国への進出が増加しています。

同時に、日本経済の長引く不況、少子高齢化による国内市場の手詰まり感から中国、タイ、インドシア、インド、ベトナムなどの急成長を遂げる市場へ販路拡大を求め進出する企業が増加しています。

空洞化議論

中小企業の空洞化が問題視されたのは、これまで①プラザ合意後と②1992年の中国の南巡講和以降の第2次対中投資ブームから始まり、NIES諸国の人件費高騰等により、タイ、マレーシア、フィリピン、インドネシアへの生産拠点移転が起こったアジア通貨危機前までの2回です。

ここでは、日本から工場がなくなるのではないか、「他社が海外進出したから自社も」という盲目的な海外進出といった進出が問題となりました。

空洞化議論は、中小企業白書2009年版において、「海外進出が国内の雇用を維持しながら、付加価値額の増大により労働生産性の向上を実現している場合が多い。」と結ばれて以降、下火となっています。

また、最近では、生産現場がなければ、次世代生産技術の開発もままならいことから本社工場の重要性も高まっています。

2012年12月26日

国税通則法の改正 (理由附記と記帳義務)

1.理由附記の改正

国税通則法が改正され、国税に関するすべての処分に理由の附記がされるようになります(改正通則法74条の14第1項、平成25年1月1日施行)。

従来、青色申告者に対する更正処分のみが理由附記の対象とされており、白色申告者は課税処分等がなされても処分時に理由を知ることができませんでした。

今回の改正により国税に関するすべての処分に理由附記の対象が拡大されます。

これにより、課税庁としては処分に際して理由を附記しなければならなくなることから適正かつ慎重な処分が求められ、納税者としても処分時に処分理由を知ることができるためにその後の改善や対策を速やかにすることが可能となり、また、処分理由を踏まえた異議申立てが可能となります。

ただし、個人の白色申告者については、下記の改正とともに平成26年1月1日以降の処分から適用されます。

2.個人白色申告者の記帳義務制度の改正

従来は個人の白色申告者の内、前々年分又は前年分の所得金額が300万円を超える事業所得者等についてのみ帳簿作成義務と保存義務(法廷帳簿7年間、それ以外は5年間)が課されていましたが、平成26年1月1日以降は、すべての個人の白色申告者に上記義務が拡大されます(改正所得税法231条の2第1項)。

ただし、白色申告者は日々の取引の合計金額をまとめて記載するような簡易な方法による記帳が認められています。

本改正は白色申告者に対する課税庁の処分に対して理由が附記される上記改正と併せて施行されます。

新たに記帳と保存の義務が課されて面倒だと思われるでしょうが、会計ソフトの普及により記帳の煩雑さはかなり軽減されました。

これを契機に様々な特典がある青色申告の検討をされてはいかがでしょうか。

2012年12月25日

棚卸資産の評価方法

棚卸資産の期末評価方法として、税務上、選定可能なものは次の方法があります。

①個別法

期末棚卸資産の全部について、その個々の取得価額を、その取得価額とする方法

②先入先出法

最も古く取得したものから順次払出しが行われ、期末棚卸資産は最も新しく取得したものから順次なるものとみなして取得価額とする方法


③総平均法

期首棚卸高と期中に取得した棚卸資産の平均原価を総数量により算出し、この平均原価により取得価額を算出する方法

④移動平均法

棚卸資産を取得する都度、平均原価を算出し、期末に最も近い日における平均原価により取得価額を算出する方法

⑤最終仕入原価法

期末に最も近い時点で最後に棚卸資産を取得したときの取得価額をもって、期末棚卸資産の価格を計算する方法

⑥売価還元法

その期間における販売原価と売価の総額から原価率を計算し、売価で把握した期末棚卸資産高にこの原価率を乗じることによって期末棚卸資産の価格を計算する方法

評価方法は、法人の行う事業の種類ごと、かつ、棚卸資産の区分ごとに選定しなければならないことになっており、評価方法を選定しなかった場合には、⑤の最終仕入原価法により評価することになります。

この「棚卸資産の評価方法の届出書」の提出期限は、法人を設立した場合や新たに他の種類の事業を開始した場合などには、その最初の確定申告書の提出期限までとなっております。

また、いちど選択した棚卸資産の評価方法を変更することも可能です。

評価方法を変更する場合には、変更しようとする事業年度開始の日の前日までに、「棚卸資産の評価方法の変更承認申請書」を税務署長に提出し、承認を受けなければなりません。

ただし、棚卸資産の評価は、利益に直接、影響を与えるため、むやみに変更することは出来ず、現在の評価方法を採用してから原則として3年経過していることが条件とされ、変更承認申請書には、変更しようとする理由を記載する必要があります。

評価方法にはそれぞれ長所・短所があるため、それぞれの法人の実情に合った評価方法を選択することが大切です。

2012年12月21日

年末調整後の扶養控除等の控除誤りの是正について

年末調整の時期です。

従業員が扶養控除等申告書の記入を誤ったり、記入しなかったりすることによって、配偶者や扶養親族の異動や所得見積額が、事実と異なる場合があります。

扶養控除等申告書は自己申告が大前提ですので、そのまま年末調整をする会社が多いのですが、忘れたころになって、税務署から「扶養控除等の控除誤りの是正について」というお尋ね用紙が、会社あてに届くことがあります。

このような書類が送付されたとき、会社はどのように処理すればよいのでしょうか。


処理の手順

1.「扶養控除等の是正結果回答書」の「受給者氏名」欄に記載された方が在職しているかどうかを確認します。

なお、該当する従業員が退職していた場合には、摘要」欄に「○年○月○日退職」と記入し、退職所得の源泉徴収票等の退職の事実を確認できる書類を添付して返送します。


2.「扶養控除等の是正結果通知書」の「誤りと認められる控除対象者に関する事項」欄に記載された①氏名②控除の種類③誤りの内容と、誤り年分を確認し、その当時の年末調整で、実際にその所得控除を適用したかどうかを、社内に保管している源泉徴収簿及び給与所得者の扶養控除等申告書で確認します。

また、記載された年分に限らず、過去3年間の処理も確認するように求められています。



なお、すでに是正済みの場合には、「摘要」欄に、「是正済○年○月○日○○○円納付済」と記入し、是正後の源泉徴収票等を添付して返送します。

是正により納付税額が発生していなければ、「是正済」のみ記入して返送します。

3.会社で保管している書類に計算ミスがない場合には、直接受給者本人に「扶養控除等の是正通知書」の内容を説明し、事実確認を行います。


○誤りがない場合

「摘要」欄に「適正」と記入して返送します。


○自分で適正額を計算し、確定申告していた場合

「摘要」欄に、「○年○月○日○○税務署確定申告済」と記入して返送します。


○誤りがあった場合

・年末調整の再計算を行い、追加納付税額を「是正により追加納付する税額」欄に各年度分ごとに記入します。

・追加納付する税額については、受給者から徴収し、「扶養控除等の是正結果回答書」に同封されている納付書で、是正を行った年分の12月分として納付します。

是正の手続きは、事実確認のための資料が必要だったり、年末調整の計算を再度行う等、余計な手間がかかってしまいます。

年末調整を行う際には、各従業員に対して、配偶者、扶養親族の所得見積額の確認をしっかり行いましょう。

2012年12月20日

平成23年の法人申告状況

法人税確定申告状況からみる景況

国税庁が公表している平成23年度分法人税の申告状況によると、申告件数は276万3千件で、前年比千件増でほぼ横ばいながら、申告所得金額の総額は37兆2,883億円、申告税額の総額は9兆5,352億円と、前年度に比べ、それぞれ1兆1,047億円(3.1%)、1,496億円(1.6%)増加し、2年連続の増加となりました。

公表資料によると、平成18年度は過去最高で法人申告所得金額57兆828億円、その後はリーマンショックの翌年の平成21年まで40%減となるまで下がり続け、その後漸次回復基調にあったところです。

昨年度において過去最低であったもの

法人の申告件数中の黒字申告件数の割合は、平成時代の初めには、50%近くありましたが、バブルの崩壊後10年間は一貫して下がり続け、不況に慣れる中で30%程度の低いレベルでウロウロしていたところ、リーマンショックの平成19年度以後更なる底割れを始めて、昨年平成22年度は25.2%と過去最低を記録していました。

今年度平成23年度は、4年ぶりに上昇に転じ、黒字申告割合は25.9%となり、前年度比0.7ポイント増加しました。

法人数は減り、二極化の方向

法人数は、日本人の起業精神の衰退を反映してか毎年少しずつ減っており、今年も前年比千社減となって297.7万社(除く清算中法人)です。

申告している法人は276.3万社で89.6%とされています。

この申告割合は毎年似ており、事業をやめてしまったような会社で申告していないものがあることを示しています。

赤字申告割合の下げ止まりに対応して、黒字申告割合が増え、黒字申告所得総額は372,883億円、前年比3.1%増となり、一件当り黒字法人の申告所得も52,093千円、前年比0.3%増となっています。

しかし、欠損法人の欠損総額は217,343億円で前年比4%増、一件当り欠損額は10,615千円で前年比4.9%増です。

黒字申告所得の増と欠損申告所得の増とが両立してしまっています。二極化です。


e-Tax利用申告は順調に増加

平成23年度における法人税申告のe-Tax 利用件数は152.1万件(55%)となっており、前年比12.3%増で、順調な推移です。

2012年12月19日

平成23年の所得税の確定申告状況

確定申告状況

国税庁が公表している昨年分所得税の確定申告状況によると、確定申告書を提出した人は、前年比5.6%減の2185万3千人で、3年連続の減少です。

最近のピーク年(平成20年分)の92%です。

また、申告納税額がある人(納税人員)は前年比13.5%減の607万1千人と6年連続の減少です。

最近のピーク年(平成17年分)の73%です

所得金額については前年比2.9%減の33兆6790億円と、5年連続で減少です。

最近のピーク年(平成18年分)の76%です。

ただし、公的年金収入400万円以下の年金所得者の申告不要制度の創設があったので、これらは予想された数字です。


増加したものもある

減少ばかりの中で、増加しているものもありました。申告納税額です。

申告納税額は、前年を2.9%上回る2兆3093億円となり、4年ぶりの増加でした。

これには理由があって、「子ども手当」の支給に関連して、平成22年度税制改正で、15歳以下の年少扶養控除が廃止されたことによるものです。

申告納税額は、それでも、最近のピーク年(平成19年分)の77%です。


不動産と株式の状況

不動産に係る譲渡所得の申告者数は微減ながら、譲渡益を計上している人の数は7.1%増加しており、譲渡所得金額総額も12.3%増加しています。

黒字申告者数は赤字申告者数の1.5倍です。

不動産市況に動きがあるのかもしれません。

それに比べて、株式に係る譲渡所得については、申告者数は前年比3.8%減、黒字申告者数は前年比20.2%減、赤字申告者数は前年比1.7%増で、赤字申告者数は黒字申告者数の3.8倍います。

株式市場の市況の停滞状況は明るさを見出せません。


ICT利用申告は順調に増加

国税庁は説明もなく「ICT」という言葉を使っています。

I

CT(Information and Communication Technology)は「情報通信技術」の略であり、ITとほぼ同義です。

署の確定申告書等作成コーナーとe-Taxの両利用者を指す言葉として「ICT」利用者ということにしているようです。

その利用者数は申告書提出者中48.9%を占めています。

本当の意味での電子申告人数も584.8万人で26.8%、前年分(544万人、23.5%)に比して順調な伸びです。


2012年12月18日

棚卸資産

棚卸資産とは、商品、製品、半製品、原材料、仕掛品、貯蔵品等をいいます。

棚卸資産の範囲ですが、会計上と税務上では、棚卸資産の認識が違う場合があるため注意が必要です。

例えば、会社案内のパンフレット等は、会計上は重要性の原則に照らし、取得時に費用処理することが認められる場合がありますが、税務上は原則的にすべて棚卸資産として認識しなければなりません。

消耗品などの貯蔵品については、毎期、概ね一定数量を取得し、経常的に消費している場合には、取得時の損金算入が認められるものがあるため、適用要件や使用実態を確認して、検討する必要があります。

ただし、切手や印紙は、実際に使用して分のみ損金になるため、棚卸計上が必要となります。

棚卸資産の取得価額

これらの棚卸資産は、原則として、取得価額で計上するとされています。

棚卸資産の取得には、「購入」と「自社生産」に分けることができます。

①購入の場合

購入した商品・原材料等の棚卸資産の取得価額には、購入代金のほかに、これを消費し又は販売の用に供するために直接要したすべての費用の額、例えば引取運賃、荷役費、購入手数料、関税などの付随費用も含まれます。

ただし、購入事務費、保管費、社内での移管運賃などの内部付随費用については、その棚卸資産の購入対価の概ね3%以内であれば、取得価額に算入せずに、全額経費として処理することができます。

②自社生産の場合

自社で生産した製品等にかかる棚卸資産の取得価額は、実際原価(製造のために要した原材料費・労務費・経費の額に販売のために直接要した費用を加算した金額)によるものとされていますが、適正な原価計算の基準に基づいて算定されているときは、その原価の額とみなされます。

したがって、実際原価の場合には、労務費・経費の集計範囲や間接経費の配賦計算が適正に行われているか、適正な原価計算の場合には、原価計算のロジックがどのようになっているかを把握・確認することが大切です。


2012年12月17日

厚生年金基金廃止の方向

財政改善見込めず廃止の方針

厚生年金基金は、厚生年金に独自の企業年金を上乗せし、公的年金の一部(代行部分)を一体的に運用・給付する企業年金ですが、AIJ投資顧問会社の運用失敗による年金消失問題を受け、厚労省は、厚生年金基金制度を廃止する方向で検討に入っています。

厚生年金基金は、長期的な運用利回りの低迷で財政が悪化し続けていて、厚年基金の約半数で、国から預かって運用する代行部分が積み立て不足になっています。

積み立て不足は基金に加入する企業が穴埋めするのが原則ですが、財政悪化が深刻な基金は穴埋めの目途が立ちません。


廃止と存続の方向

高度経済成長期を背景に創設された厚生年金基金は、厚生年金にプラスした企業年金制度として福利厚生制度に寄与してきましたが、運用利回りの悪化で運営は行き詰っています。

全国で1800超あった基金は代行部分の返上で2012年3月末には595基金まで減っています。

ただ今でも半数の企業では代行部分の損失は発生していません。

実際に基金を廃止するとなると課題は数々あります。

最終的に代行部分の損失の穴埋めをどうするのか。

本体の厚生年金保険料で賄うのは全体の保険料を一部の基金に使う不公正さが問題となります。

といっても、今のように加入企業が穴埋めしないと解散出来ないという状況では到底穴埋めできる状況になく、今後返済を強制的に負う制度は廃止の方向です。

また、制度廃止が決まれば企業年金部分は無くなってしまうため、廃止を反対する意見も根強くあります。

廃止は2段階方式で

今後の制度廃止案は基金の解散がしやすくなる対策が盛り込まれます。

積み立て不足を強制的に負わなくとも解散できるようにして、他の年金制度に移行出来るようにします。

積み立て不足の無い健全な基金は、加入者自らが運用する確定拠出企業年金か、将来の受取額が決まっている確定給付企業年金に移行してもらう方針です。

解散は、現在財政難の286基金においては損失がこれ以上拡大するのを防ぐため、早期解散が促されるものと見込まれます。

2012年12月14日

雇用者の数が増加した場合の税額控除

この制度は、平成23年4月1日から平成26年3月31日までの間に開始する各事業年度において、一定の要件を満たした場合に受けることができる税制優遇制度です。

法人の場合は法人税の税額控除、個人事業主の場合は所得税の税額控除を受けることができます。

1.対象となる事業主の要件

この制度の適用対象となるためには、次の要件を全て満たす必要があります。

(1)青色申告書を提出する事業主であること

(2)適用年度とその前事業年度に、事業主都合による離職者がいないこと

(3)適用年度に、雇用者(雇用保険の一般被保険者) の数が、前期末の雇用者の数に比べて5人以上(中小企業者は2人以上)、かつ10%以上増加していること

(4)適用年度における給与等の支給額が、比較給与等支給額以上であること

(5)風俗営業等を営む事業主ではないこと


※中小企業者とは、次に掲げる法人をいいます。

1.資本金の額又は出資金の額が1億円以下の法人

2.資本又は出資を有しない法人のうち常時使用する従業員の数が1,000人以下の法人

※給与等とは、雇用者に対する給与のことを指すため、法人の役員や役員の親族等の特殊関係者、使用人兼務役員に対する給与は除かれます。

※比較給与等支給額=前事業年度の給与等の支給額+(事業年度の給与等の支給額×雇用増加割合×30%)


2.税額控除額

雇用者数の増加1人当たり20万円の税額控除が受けられます。

ただし、当期の法人税額の10%(中小企業は20%)が限度になります。


3.手続き

この制度の適用を受けるためには、所定の手続きが必要です。

①適用年度開始後2か月以内に、目標の雇用増加数などを記載した雇用促進計画書を作成し、ハローワークに提出すること。

②適用年度終了後2か月以内(個人事業主については3月15日までに、ハローワークで雇用促進計画の達成状況の確認をすること。

③確認を受けた雇用促進計画の写しを確定申告書等に添付して、税務署に申告すること。

詳細は、厚生労働省ホームページ「雇用促進税制に関するQ&A」、国税庁ホームページをご参照ください。

2012年12月13日

特別会費はご注意

年会費は中身を確認して

同業者団体等が特別な事業を行う場合に徴収する特別会費については、その行う事業によって取り扱いが異なります。

さらに通常の年会費等と一緒に徴収される場合が多く、年会費と同様「諸会費」として経理処理されがちです。

会館等建設の場合

金額が大きくなりますので、積立金として長年にわたり徴収される場合がほとんどです。

この場合、会館等の建設着工までの特別会費は、全て繰延資産となり、経費処理はできません。

建設着工後、施設の法定耐用年数の7/10で毎年償却をすることとなります。(ただし10年を超える場合は10年・土地の取得部分は45年)

また会館等の相当部分が負担者の利益に供されないような場合(第三者へ賃貸されるような場合)には、寄付金として扱われます。


周年事業等の場合

周年事業や特別なイベントの場合の特別会費は、周年事業やイベントの中身によってその経費処理が変わってきます(交際費や寄付金となるケースが多いです)が、いずれも、支払ったときの経理処理は「諸会費」ではなく、「前払費用」です。

同業者団体等が特別会費の目的の支出を行った時点で、事業内容に則した経費として処理します。

ですから、支払側企業の決算が9月で、周年事業の祝賀パーティーが10月にあるような場合、企業が9月に周年事業特別会費を支払ったような場合は、「前払費用」として決算では資産計上されます。


一般会費も要注意

同業者団体等が、いつもお金が無く何もできないのも困りますが、資金も潤沢で剰余金が沢山あり、年会費を徴収しなくても運営していけるような場合は、支払った一般会費も「前払費用」として処理しなければならない場合もあります。


2012年12月12日

資本金等の減少策

減資しても資本金等は減らない

会社法上、減資によって欠損金を補填することができます。

これを資本と利益の混同と言います。

法人税法では、欠損補填の減資をしても、資本と利益の混同はしないので、「資本金等の額」は不変です。

それでも、交際費、寄付金、各種租税特別措置における中小企業の判定等などは、法定資本金をベースにするので、効果はあります。

ただし、法人住民税の均等割については、資本金等の額が基準になるので、いくら減資しても無償の場合は効果がありません。

有償減資なら実効あり

資本金等の額を減らす効果のある減資とするなら、有償減資としなければなりません。

ただし、資本金××/減資未払金××という処理は会社法上認められていないので、資本金××/資本剰余金××その後で資本剰余金××/未払配当金××としなければなりません。

この時、利益積立金がある場合は、税務上の「みなし配当」が生ずることになります。

また、資本金等を原資とする分配額の一株当たりの額が、その株式の一株当たりの取得価額を超えていると株式譲渡益の発生にもなります。


自己株式の取得が最も簡易

資本金等の減少策で最も一般的なのは自己株式の取得でしょう。官報公告等の債権者保護手続きもなく、簡易です。

ただし、自己株式の取得は、原則として時価により取り引きすべきところ、債務超過のような会社では、旧来の株式額面価額での取得では、時価を超えた価額として株主への利益供与と判定されるかもしれませんし、時価によるとなると、限りなくゼロに近くなるので、資本金等の減少効果は出てきません。


分割型会社分割でも資本金等が減る

分割型分割では、分割に伴う資産負債の異動に際し、分割会社の純資産の部を分割しますので、資本金等も利益積立金も異動純資産の割合で減少します。

純資産の分割計算は分数計算なので、分割前の純資産と、分割によって異動する資産負債が共にマイナスではいけません。

分割時には、少なくとも異動資産負債がプラスになるようにしなければなりません。


2012年12月11日

年末調整の対象者

年末調整の対象となる人は、本年最後の給与を支払う時点で「給与所得者の扶養控除等申告書」を提出している人で、本年分の給与総額が2,000万円以下である人です。

年末調整は、給与所得者各人ごとに本年中に支払の確定した給与の総額を対象として行うものであり、本年中の給与の総額が確定しない限り年末調整を行うことはできません。

本年中途で退職した人は、一般的には退職後に、再就職により他の会社等の給与を受けることが想定されますので、原則、中途退職の時点では年末調整を行わず、通常は再就職先で本年分の給与総額が確定した後に年末調整が行われます。

しかし、中途退職者であっても、次に該当する人は、退職後本年中に他の会社等から給与の支払いを受けることはないと考えられ、その退職時までの給与が本年分の給与総額となりますので、例外的に退職時に年末調整を行うことになっています。

① 死亡により退職した人

② 著しい心身の障害により退職した人で、本年中に他に再就職することは不可能と認められ、本年中に他の支払者から給与の支払いを受けることがない人

③ 本年12月分の給与の支払いを受けた後に退職した人

④ 本年分の給与総額が103万円以下のパートタイマー等で、退職後本年中に他から給与の支払いを受けないと認められる人

なかでも、上記④はよくあるケースだと思います。

家族の扶養になっている人が、パートタイムで働いている場合などで、給与総額が103万円を超えると控除対象配偶者や扶養家族に該当しなくなったり、会社からの家族手当の支給を受けられなくなったりするので、給与総額が103万円を越える前にパート先を退職するようなケースです。

この場合、退職時点において「扶養控除等申告書」を提出しており、給与総額が103万円以下、退職後に他の給与の支払いを受けることがないと見込まれる場合には、確定申告の手間を省略する観点から、その退職時に年末調整を行うことができます。

ですから、例えば10月に中途退職したパートタイマーが、上記の要件にあてはまる場合には、10月の退職時に年末調整を行えば、年調年税額は0となりますので、源泉徴収税額があれば預かった所得税を還付することができます。




2012年12月10日

会社を創業した時の助成金

これは、成長分野等の事業に創業や異業種に進出し、会社の経営基盤の強化に資する人材を雇い入れた時に支給される助成金です。

施設や設備にかかる経費負担や他の条件に合致すれば1人140万円、5人で700万円まで受給が可能です。

創業の場合

①成長分野等で法人を設立したり、個人で開業してから6か月以内に改善計画を都道府県に提出し、認定をうけます。

改善計画とは、中小企業者が雇用管理の改善について取り組む事とした計画です。


②事務所、店舗の賃借料(最高でも1年分)機械、装置、什器備品、フランチャイズ加盟金、各種許認可の手続き費用等を250万円以上、登記から第1回目の申請書提出日までの間に負担した費用があること


③正社員として雇用する予定の従業員の月給が約29万2,000円以上であること


異業種進出の場合


①既存の事業で3期分の決済を終えており、(都道府県によっては3期に満たなくとも認めるところもあり)その事業とは別の成長分野の事業に進出した日から6か月以内に改善計画を提出し、認定を受けます。


②新たに前記②の費用を250万円以上負担する予定があること


③新たな事業に専任する正社員として、雇用する従業員の月給が約292,000円以上であること


成長分野の業種とは

平成23年4月より助成対象を今後成長が認められる業種に限り助成することに変更されました。

対象分野は総務省の日本標準産業分類項目表の細分類にありますが、林業環境、健康、医療、福祉、情報通信、電気、運輸、郵便、廃棄物処理、スポーツ、健康教授等の他、健康や環境分野に関する事業を行っているものとされています。

申請の流れ

①都道府県知事に改善計画を提出し、認可を受けます。

②基盤人材を①の提出後1年以内に雇い入れます。

③雇い入れから6か月後に第1期支給申請書を提出、さらに6か月後に第2期分を申請、1人につき各々70万円の支給を受けます。

支給要件は細かいルールがありますので、労働局などで確認をする必要があります。

2012年12月07日

使用人兼務役員

使用人兼務役員とは

役員のなかには、従業員の不足等により、使用人としての仕事もこなす場合があります。

使用人兼務役員とは、役員のうち、使用人としての職制上の地位を有し、かつ、常時使用人としての職務に従事する者のことをいいます。

中小企業の場合、従業員全員が役員だということもありますが、その場合、全員が使用人兼務役員となるわけではありません。

法人税法では、次の役職に付いている人は使用人兼務役員になれない、と規定しています。

1.代表取締役、代表執行役、代表理事及び清算人

2.副社長、専務、常務その他これらに準ずる職制上の地位を有する役員

3.合名会社、合資会社及び合同会社の業務執行社

4.取締役(委員会設置会社の取締役に限ります。)、会計参与及び監査役並びに監事

5.同族会社の役員のうち一定の株主グループに属している者


使用人兼務役員のメリット

使用人兼務役員という役員は、通常の役員に比べて、次のようなメリットがあります。

1.賞与を支給することができる

役員に対して賞与を支給する場合は法人税法上損金になりませんが、使用人に対する賞与は法人税法上損金となります。

使用人兼務役員の場合には、使用人としての職制上の地位がありますから、下記の要件を満たすことによって、使用人としての地位に対する賞与を損金とすることができます。

(1)他の使用人に対する賞与の支給時期に支給していること

(2)役員賞与相当分と使用人賞与相当分とが明確に区分されていること

(3)使用人賞与を損金経理していること

(4)他の使用人に対する賞与の支給状況に照らし金額が適正であること


2.雇用保険に加入できる

原則として、役員は雇用保険に加入することができません。

しかし、使用人兼務役員のうち、業務内容や報酬等の実態からみて労働者としての性格が強い場合には、雇用保険に加入できることになっています。

ただし、「兼務役員雇用実態証明書」をハローワークに提出する必要があります。


3.労災保険に加入できる

労災保険も、基本的には雇用保険と同じ考え方です。

業務上の災害または通勤災害により負傷した場合、疾病にかかった場合、障害が残った場合、死亡した場合等について、被災した労働者またはその遺族は、所定の保険給付を受けることができます。


注意点

法人税法では、会社法の役員以外の者についても、一定の要件に該当する場合には役員とみなされることがあります。

会社の株式を一部保有している場合、社長親族の身内である場合、経営への関与度合など、本来の役員と同様の権限を持っていると解される場合には、地位や職責にかかわらず、税法上では役員とみなされるのです。

これを「みなし役員」といいます。

みなし役員に該当すると、通常の役員と同様に取り扱われることになりますので、使用人分として支給した臨時手当や賞与であっても、役員賞与とみなされ損金に算入することができなくなります。

2012年12月06日

年齢による社会・労働保険の注意点

社会・労働保険の年齢の取り扱い

年齢は「満年齢」で表し、数え方は年齢計算に関する法律と民法で「誕生日を年齢の起算日とする」ことが定められています。

また、通常は、期間の計算は初日を除き翌日を起算日とすることが原則ですが、年齢に関しては「初日(誕生日)を起算日とする」こととしています。

つまり生まれた日を第1日目と数え、起算日の前日(誕生日の前日)に年数を1つ加える(1つ歳を取る)こととされています。

規定に○歳に達した日と定められている時は、その日は誕生日ではなく誕生日の前日を指します。


社会・労働保険 制度ごとの注意点

健康保険・・・70歳になると収入に応じて病院に支払う自己負担額が変更になる場合があります。

70歳に達した日の属する月の翌月から適用されます。

高齢受給者証が交付され負担割合が記載されています。

75歳になると後期高齢者医療制度に加入するので健保の資格喪失届を提出します。

この場合資格喪失日は75歳の誕生日です。


介護保険・・・65歳以上の第1号被保険者と、医療保険制度に加入している40歳以上65歳未満の第2号被保険者に区分され、第2号被保険者は40歳に達した日の属する月から65歳に達した日の属する月の前月まで保険料を徴収します。

保険料は給与では前月分の保険料を徴収し賞与では当月分の保険料を徴収します。

厚生年金保険・・・老齢年金受給では60歳に達した日に特別支給の老齢厚生年金が、65歳に達した時には老齢基礎年金、老齢厚生年金の受給権が発生し、発生日が属する次の月から支給されます。

また、70歳に達した日で被保険者資格を喪失し、資格喪失届を提出します。70歳以降も同様の勤務を継続している人は70歳以上被保険者該当届を提出します。

さらに算定、月変、賞与の際も70歳以上の届出が必要です。

雇用保険・・・65歳に達した日以降、新たに雇われた人は一般被保険者にはなれませんが、その日より前に同一事業所で引き続き雇用保険人加入していた人は継続して被保険者になれます。

毎年4月1日に満64歳以上の人は労使とも保険料は免除されます。


2012年12月05日

必要経費の業務関連性

弁護士会役員活動費の必要経費性

弁護士会の役員としての活動に伴い支出した懇親会費等を事業所得の金額の計算上必要経費に算入し、また、消費税等の額の計算上課税仕入れに該当するとしたことが、税務調査で否認されたことによる税務訴訟の高裁判決が出ました。

納税者逆転勝訴で、その判決理由において「必要経費の業務関連性」が明示されました。

すべての事業所得に関わりのある、意義ある判決と言えます。


審判所裁決・地裁判決との相違

必要経費の該当性についての、税務署の見解は「当該事業の業務と直接関係を持ち、かつ、業務の遂行上専ら必要」なもの、ということでした。

国税不服審判所の裁決では、「弁護士業務に直接の関連を有し、業務遂行上通常必要な支出」に限るとし、「専ら→通常」に変えました。

地裁判決は、「事業と直接関係し、かつ当該業務の遂行上必要」であることを要すとし、「通常必要→必要」にゆるめました。

高裁判決は、「事業所得を生ずべき業務の遂行上必要」なものであればよいとし、「直接関係→不要」としました。


高裁判決は条文に原理的

所得税法では、必要経費に算入すべき金額として

①総収入金額に係る売上原価

②当該総収入金額を得るため直接に要した費用の額

③その年における販売費、一般管理費

④所得を生ずべき業務について生じた費用

をあげています。

ちなみに、売り上げとのひもつき関係が要求されているのは①の「売上原価」と②の「直接に要した費用」のみで、③の販管費と④の業務関連費については、売上とのひも付き関係は要求されていません。

高裁判決によると、条文の上での、④の「所得を生ずべき業務」とは、収入を獲得することに直接結び付くものである必要はなく、社会通念に照らして相当であればよい、という理解です。


勇み足だった税務署

税理士会や弁護士会の存在を無視するような勇み足の税務更正処分だったことは、当初から言われていたことで、「妥当な落とし所で決着した」という印象です。

2012年12月04日

個人事業用資産の譲渡所得

譲渡所得は、おもにマイホームなどの土地建物や株式などを売却した場合に課税されることがほとんどですが、個人事業用に所有している減価償却資産を売却した場合も、課税の対象となります。

法人の場合は、減価償却資産の売却損益を営業外費用・収益として算入できます。

また、個人事業の棚卸資産、消耗品、少額減価償却資産(10万円未満)、一括償却資産などの売却は、事業所得として計上されます。

しかし個人事業でも、自動車や建物など、減価償却資産の売却によって発生する収益・損失は、事業所得に算入するのではなく、譲渡所得になります。

この譲渡所得は、土地建物や株式等の分離課税の譲渡所得と違って、総合所得として事業所得や給与所得などの他の所得と損益通算することができます。

例えば単純に計算すると、事業所得が300万円、総合譲渡所得が-100万円の場合、通算して所得は200万円となります。

譲渡所得の計算

基本的に譲渡所得の金額は、売却額から購入代金、取得費用などを控除した金額となりますが、減価償却を行っている事業用資産の場合には、帳簿価額を基準に計算します。

購入金額より安く売ったからといって、譲渡所得の対象外になるとは限りませんので、注意が必要です。

減価償却資産譲渡の例)

購入価額100万円 帳簿価額50万円 売却額80万円の場合

売却額80万円 - 帳簿価額50万円 = 譲渡所得30万円

上記の場合には、総合譲渡所得となり、30万円の所得が発生しますが、特別控除額が50万円ありますので、最終的に譲渡所得は「0円」となります。

上記の資産が少額減価償却資産(20万円以上、30万円未満)の特例を受けている資産である場合には、全額経費になっていますので、売却時の帳簿価額は「0」となります。

また、自動車や家電など、生活に通常必要な個人用資産を売却した場合には、譲渡所得は非課税となりますが、売却額が30万円以上の贅沢品や、生活に通常必要ない資産などを売却した場合には譲渡所得として課税対象となります。

個人の私物を売って、特別控除額の50万円以上利益がでることは、あまりないと思いますが、心当たりのある方は確認してみてください。




2012年12月03日

海外帰任帰国時の給与計算の注意点

海外子会社等に1年以上勤務していた日本人従業員が、年の中途で帰任した場合、「いつから居住者となるか」ですが、原則、帰任した日から居住者となります。


国外勤務と国内勤務の按分か

帰国する従業員は、通常、給与の計算期間の中途で帰任します。

仮に、給与計算期間が前月21日から翌月20日で10月10日に帰任し、給与の支給日が10月25日である場合、その給与支払額の中には、国外勤務に係る国外源泉所得があることから、「当該支払額を国外勤務分と国内勤務分とに分ける必要があるのではないか」との疑問がわきます。


居住者は国外源泉所得にも課税

しかし、給与支給日において居住者である限り、原則、所得の源泉がどこにあろうと全世界で得た所得に対して課税されます。

それゆえ、給料の計算期間の中途で海外子会社等から帰任し、当該従業員が、給与支給日において居住者となっている場合には、当該給与の支払い額を国外勤務分と国内勤務分とに分ける意味はなく、国外勤務部分を含めた支給総額が源泉徴収の対象となります。

したがって、給与支払い事務が日本で行われる限り、支払総額の全体を帰任した従業員(居住者)に対する給与として源泉徴収の対象とする必要があります。

ちなみに、先の例で帰任日を10月10日ではなく、10月21日であっても結論は同じです。10月分の給料には国内勤務対応部分がなく、すべてが国外源泉所得になりますが、給料支給日にはすでに居住者であることから、当然に10月分は源泉徴収にしなければなりません。                       


賞与について国外と国内の按分は

出国の場合、赴任後に日本国内で支払われる賞与については、支給対象期間に国内勤務が含まれている場合には、国内勤務期間分と国外勤務期間分に按分されます。

しかし、帰任の場合には、帰任日以後居住者となることから、帰任後支給される賞与に当該賞与の支給対象期間に国外勤務が含まれていたとしても、賞与支給額の全額が課税対象になります。


外国税額控除の適否は

帰任後居住者となってから外国の税金を納めても、その税金が非居住者期間の所得に対するものである場合には、日本の外国税額控除の適用はありません。


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