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2012年11月 アーカイブ

2012年11月30日

眼科治療に係る医療費

レーシック手術

視力回復の手法として「レーシック」が注目されていますが、その手術費用は医療費控除の対象となるのでしょうか?

意外に知られていませんが、レーシックの費用は医療費控除の対象となります。

レーシックは眼の機能自体を医学的な方法で正常な状態に回復させるものであり、それに係る費用は医師の診療または治療の対価と認められるからです。

レーシック手術は健康保険適用外で費用も高額になりますから、家族の年間の医療費が合計10万円を超える可能性は高いです。

医療費控除の申告をすると、一度支払った治療費が所得税の還付として戻ってきますから、忘れずに確定申告をしましょう。

ただ、注意したいのは、医療保険や生命保険に加入している場合です。

保険のなかには、レーシックも手術給付金の対象にしているものがあります。

保険会社から給付金を受け取った場合には、医療費控除の対象となる「実際に支払った医療費の合計額」から差し引かなければなりません。

オルソケラトロジー治療

オルソケラトロジー治療とは、角膜矯正療法ともいいます。

近視などの角膜の屈折異常に対して、夜寝るときに特殊なコンタクトレンズを装用することにより、寝ている間に屈折率を正常化させて視力の回復をさせる治療法です。

この治療も、眼の機能それ自体を医学的な方法で正常な状態に回復させるものであり、それに係る費用は、医師の診療または治療の対価と認められますので、医療費控除の対象となります。


眼鏡の購入費用

通常の近視や遠視などで、日常生活の必要性に基づき購入した場合は、視力を回復させる治療の対価ではないので、医療費控除の対象とはなりません。

しかし、治療のために必要な眼鏡として医師の処方で眼鏡を作成し装用する場合は、眼科で支払った治療費だけでなく、作成した眼鏡代についても医療費控除の対象となります。

例えば、斜視、白内障、緑内障などで手術後の機能回復のため短期間装用する場合や、幼児の未発達視力を向上させるために装着する場合が挙げられます。

2012年11月28日

海外出向時の給料計算

赴任(出向)日の留意点

年の中途で勤務先から1年を超える海外子会社等の出向・赴任を命じられた場合、赴任者については、年初から出国までの期間について、年末調整が必要となります。

このような場合、赴任者は出国した日の翌日から非居住者となることから、出国した月の給与計算は、原則、給与の額を勤務した日数により居住者分と非居住者分とに按分することになります。

しかし、実務上の簡便から、次の4つの要件をすべて満たせば、「出国した月の給与については、当該給与を国内源泉所得に該当しないものとして取り扱っても差し支えない」としています。

(1)計算期間の中途で出国し、居住者から非居住者になること

(2)出国後、非居住者になってから支給されること

(3)給与の計算期間が1か月以下であること

(4)当該1か月分の給与のすべてが国内勤務に対応するものでないこと。

これを具体的に事例でみて見ましょう。

10月分の給料は、その計算期間は前月9月21日から翌月10月20日、支払日は10月25日、そして、出国は10月19日とします。

給料の支払いは国内です。

この事例が4要件のすべてを満たしているかどうか検証してみます。


4要件の具体的検証

まず、(1)の要件ですが、出国は19日あることから翌20日には非居住者となり、給与計算期間中20日の1日だけですが非居住者であることから、(1)の要件は満たします。

次に(2)、(3)の要件ですが、検証するまでもなくクリアーしています。

最後の(4)の要件です。

20日に非居者となっていますから、1日分の給与について国外勤務があることになり、したがって、(4)の要件も満たしています。


以上、事例は4要件のすべて満たしています。結果、当該10月分の給料は、国外源泉所得となり、源泉徴収は要せず、かつ、出国時までにする年末調整の対象からも除外することができます。

仮に、出国が10月20日であったとすれば、翌21日から非居住者ということになり4要件の内(1)、(4)の要件を満たさないことになります。

結果、年調の対象給料は9月分までで、10月分給料は、国内源泉所得となり、原則、20%の分離課税で源泉徴収され、課税関係はこれで終了です。

赴任日については、特に注意が必要です。

2012年11月27日

復興特別所得税の源泉徴収

東日本大震災の発生から1年8か月がすぎましたが、まだまだ復興には時間がかかりますし、財源の確保も急務です。

平成25年1月1日から、「東日本大震災からの復興のための施策を実施するために必要な財源の確保に関する特別措置法」が施行されます。

これに伴い、所得税の源泉徴収義務者は、平成25年1月1日から平成49年12月31日までの25年間に生ずる所得について通常の源泉所得税と併せて、復興特別所得税を徴収し、通常の源泉所得税の法定納期限までに国に納付しなければならなくなりました。


源泉徴収すべき復興特別所得税の額

源泉徴収すべき復興特別所得税の額は、通常の源泉所得税の額の2.1%相当額とされており、これを所得税の源泉徴収の際に併せて源泉徴収することになります。

実際には、源泉徴収の対象となる支払金額等に対して、所得税と復興特別所得税の合計税率を乗じて計算した金額を徴収し、1枚の所得税徴収高計算書(納付書)で納付します。

次の算式により、計算します。


《算式》

支払金額等 × 合計税率 = 源泉徴収すべき所得税及び復興特別所得税

合計税率(%) = 所得税率 × 102.1%


《計算例》 

報酬888,888円を支払った場合(所得税率10%の場合)

888,888円 × 10.21%(10%×102.1%) = 90,755.4648円 ⇒ 90,755円

(算出した税額に1円未満の端数があるときは、その端数を切り捨てます。)


給与等に係る源泉徴収

平成25年1月1日以降に支払う毎月の給与等については、「平成25年分 源泉徴収税額表」を使用して、源泉徴収すべき所得税及び復興特別所得税を算出して徴収し、1枚の所得税徴収高計算書(納付書)で納付します。

「平成25年分 源泉徴収税額表」は、すでに復興特別所得税相当額が含まれた税額となっています。


年末調整

給与等から源泉徴収する税額は、所得税と復興所得税の合計額となっておりますので、年末調整も所得税と復興特別所得税の合計額で行います。


来年1月からですから、もうすぐです。

給与計算や報酬等の支払時には適用となりますので、ご注意ください。

「平成25年分 源泉徴収税額表」は、税務署から年末調整資料とともに配布されています。

また、国税庁ホームページに掲載されていますので、ご確認ください。

2012年11月26日

会社分割と消費税納税義務

合併と会社分割は違うのに同じ扱い

合併では被合併会社は消滅します。それに対して会社分割では、分割会社の一部分だけが消滅し、分割

承継会社に引き継がれるので、部分合併と言うこともできます。

従って、会社分割の場合の分割承継法人の消費税の課税・免税事業者の判定は、分割承継法人の基準期間の課税売上高と、分割法人の基準期間の課税売上高の内の分割部分に対応する金額を合計して、合計額が1千万円を超えるかどうかで判定しそうに推測されます。

しかし、そうではなく、分割部分に対応する額を求めることはせず、合併の場合と同じく、分割承継法人と分割法人の各基準期間の課税売上総額の合計額を判定対象にします。

部分合併の性格でも、全部合併の扱いです。


分割年と分割翌年だけは特殊な扱い

ただし、新設分割の場合は、新設会社に基準期間がないので、分割年度と分割翌年度の新設法人の課税・免税事業者の判定は、分割法人の各基準期間の課税売上総額によります。

吸収分割での分割承継法人が免税事業者だった場合には、会社分割に伴う課税・免税事業者の再判定は、分割年度と分割翌年度の両方において、分割法人の各基準期間の課税売上総額によります。


新設分割の分割翌々年以降の永久規定

新設分割の場合の分割翌々年におけるその新設会社の課税・免税事業者の判定は、分割会社と分割承継会社の基準期間の課税売上高の総額を合計したところで判定し、その期間の中途で分割があるときには分割月までの期間按分をします。合併法人の場合と同じです。

ただし、分割法人と新設承継法人との間に支配関係があると、分割翌々年以後、期間無制限に、分割会社と分割承継会社の両方において、課税・免税事業者の判定は、分割会社と分割承継会社の基準期間の課税売上高の総額を合計したところで判定します。

新設分割には、嫌になる規定です。


吸収分割の分割翌々年以降には規定なし

合併や新設分割と異なり、吸収分割には、分割翌々年以降に関する特別の定めがありません。

吸収分割で済むのだったら、新設分割は避けるべき方策なのかもしれません。

2012年11月22日

源泉徴収税額表

会社が従業員へ給与や賞与を支払う際には源泉所得税を源泉徴収しますが、その税額は、支給のつど、「給与所得の源泉徴収税額表」を使って求めています。


この税額表には、「月額表」、「日額表」、「賞与に対する源泉徴収税額の算出率の表」の3種類が記載されています。


月額表


「月額表」は、給与を毎月支払う場合に使用します。


また、10日ごとや半月ごと、3か月ごと、半年ごと等を単位にして支払う場合にも使います。


適用区分には「甲欄」と「乙欄」があります。


「給与所得者の扶養控除等申告書」が提出されている場合には「甲欄」、提出がない場合には「乙欄」で税額を求めます。

日額表


「日額表」は、働いたその日ごとに給与を支払う場合に使用します。


また、一週間ごとに支払う場合や日割り計算して支払う場合も「日額表」を使います。


適用区分には、「甲欄」「乙欄」のほか、「丙欄」があります。


「給与所得者の扶養控除等申告書」が提出されている場合には「甲欄」、提出がない場合には「乙欄」で税額を求めます。


「丙欄」は、日雇いの人や短期で雇い入れるアルバイトなどに一定の給与を支払う場合に使います。

賞与に対する源泉徴収税額の算出率の表


この表は、賞与を支払うときに使います。


ただし、前月中に支払った又は支払うべき給与がない場合や賞与の額が前月中の給与の10倍を超える場合には、賞与を支払う場合でも「月額表」を使うことになりますので、ご注意ください。


パートやアルバイトの源泉徴収


パートやアルバイトなどの正社員以外に給与を支払う際にも、一般の社員と同様に、「給与所得の源泉徴収税額表」の「月額表」または「日額表」の「甲欄」または「乙欄」を使って、源泉徴収税額を求めます。


ただし、給与を勤務した日または時間によって計算していることのほか、下記のいずれかの要件に当てはまる場合には、「日額表」の「丙欄」を使って所得税額を求めることになります。

①雇用期間があらかじめ定められている場合には、2か月以内であること

②日々雇い入れている場合には、継続して2か月を超えて支払をしないこと

したがって、パートやアルバイトとの雇用契約期間があらかじめ2か月以内と決められていれば、日給や時間給で支払う給与は「日額表」の「丙欄」を使うことになります。


ただし、期間延長や再雇用によって2か月を超えてしまう場合には、契約期間が2か月を超えた日から、「丙欄」を使うことはできなくなります。


その場合には、「月額表」または「日額表」の「甲欄」または「乙欄」を使って源泉徴収する税額を求めることになります。


2012年11月21日

寄与分の主張

法定相続による「不平等」を正す規定

我が国の相続法では、故人(被相続人)と相続人の身分関係に応じて、法定相続分が固定されます。

しかし例えば、

被相続人の事業を無償で継続させた

被相続人に資金援助した

あるいは

長年被相続人を介護し続けた

相続人が、何もしなかった相続人と相続分が同じでは、かえって不公平になります。

このように、被相続人のために多大な貢献をした相続人を保護する途として、寄与分という制度があります。


寄与分が認められるハードルは高い

寄与分が認められるためには

①寄与行為があったこと

②①が特別であったこと

③被相続人の財産の維持または増加があったこと

④①と③の間に因果関係があったこと

が必要です。

②は、夫婦間の協力義務、親族間の扶養義務という法律上の義務として社会通念上通常期待される内容を超えた貢献が必要です。

さらに、③・④で貢献が被相続人の財産に対しプラスの影響をもたらされることが必要です。

そのため、寄与分の主張が認められるためのハードルは高くなります。

こうして認められる寄与分の価額は

①具体的な金額

あるいは

②遺産全体に対する○%という形で評価されます。

そして、寄与分のある相続人は、まず寄与分の価額分を取得し、次に遺産から寄与分の価額を差し引いた金額に対する相続割合に相当する金額を取得することになります。


寄与分の問題点

しかし、寄与分はその漠然とした内容から極めて見通しの悪い制度です。

何をもって「特別な」貢献なのか、何をもって被相続人の財産の増加または維持と見るのかはケースバイケースとしか言えません。

また、寄与分が認められても、その価額をどう算定していくのかも不明確です。

そして、寄与分の主張は、相続人の人格や一族の歴史に関わるものでもあるため、感情面での対立もよりあからさまになり、様々な意味で揉めやすい争点と言えます。


結局は生前対策

結局のところ、被相続人への貢献を相続を通じて報いてもらうには、遺言や生前贈与をしてもらうのがより確実な手だてとなります。

2012年11月20日

出張手当・旅費規程

出張手当・旅費規程

旅費交通費となる出張旅費には、移動に要する交通費や宿泊費のほかに、出張手当(出張日当)なども含まれます。

出張手当とは、出張に伴う精神的・肉体的疲労に対する慰労や、昼食代などの諸経費の補助として支給するものです。

ただし、出張手当を支給するためには、旅費規程を作成していることが必要となります。

旅費規程とは、出張旅費の取り扱いに関して定めた社内規定のことです。


社内で旅費規程を作成した場合には、出張の際の旅費は、旅費規程に基づき支給されることになります。

旅費規程がない場合には、税務調査などが入った時に、出張手当が否認されるという可能性があります。

出張旅費の精算については、次の二つの方法をとることができます。

① 実費精算

② 旅費規程に基づく精算

従って、交通費・宿泊費・出張手当のすべてについて、旅費規程に定めておけば実費ではなく、旅費規程で決めている金額をそのまま支給することができます。

実費精算をしなくて済むので、事務処理的にも手間が省けます。

ただし、無制限に支給出来るわけではなく、次の条件を満たす必要があります。

① 役員と使用人のすべてを通じて適正なバランスが保たれていること

② 同業種、同規模の他の使用者等が一般的に支給している金額に照らして相当と認められるものであること

金銭での支給となるので、「給与ではないか?」との疑問があると思いますが、所得税法上、出張などのための旅費のうち、通常必要と認められるものは非課税となりますし、社会保険料の対象にもなりません。

出張のほか、転勤の際の支度料なども旅費規程の範囲に含まれていますので、出張や転勤の多い会社では、活用できる規程だと思います。

まだ、旅費規程がない場合には、考えてみてはいかがでしょうか。

2012年11月16日

事業年度の変更

事業年度は、法人を設立する際、定款に記載することによって決定します。

3月を年度末とする企業が多いですが、年度の区切りを何月にするかは自由に決めることができます。


事業年度を変更するには

設立時に決めた事業年度は、後で変更することもできます。

そのためには、定款に記載された営業年度を変更しなければなりませんので、株主総会において定款変更の特別決議が必要です。

総会決議の後、税務署、都道府県税事務所、市役所などに、株主総会議事録のコピーを添付して、事業年度を変更した旨を届出ます。

法務局への登記の手続きは必要ありませんが、許認可事業などを行っている場合には、管轄省庁等への届出が必要な場合があります。

事業年度変更後の留意点

事業年度を変更すると、1年未満で決算を迎える事業年度が生じてしまいます。

税務上「1年」を基準として計算するもの(例えば、交際費の損金算入限度額や減価償却、地方税の均等割など)については月数按分しなければなりませんので、注意が必要です。


事業年度変更のメリット

利益が予想より伸びてしまった等で役員報酬を増額したい場合、役員報酬を期中で改定することは、原則として認められていません。

しかし、事業年度を変更すると、年度末が早く到来し新年度となりますので、役員報酬を改定することができるようになります。
 

2012年11月15日

居抜き物件と許認可

居抜き物件とは

店舗内の内装・備品が残っている状態で売買・賃貸できる居抜き物件。旧テナントの設備や什器備品などをそのまま利用できるため、この居抜き物件をターゲットに店舗拡大を図る企業も多く見受けられます。

設備投資が必要な業態にとっては、低コストでの開業が見込まれるため、初めて起業される方からも人気の物件です。

居抜き物件と許認可

居抜きの場合、コスト面は特に魅力的な点ですが、業態によっては以前のお店の顧客も取り込める可能性があるといった集客面や、旧テナントが同業種であれば、改装がほとんど不要のため開店準備期間を短くできるなどのメリットもあります。

しかし、居抜き物件だからといって必ずしも安心が保障されているとは限りません。

特に飲食店や美容院など許認可の取得が営業条件となる業種では、旧テナントが問題なく営業をしていた実績から、許認可の取得までスムーズに運ぶだろうと考えがちですが、思わぬところで落とし穴にはまってしまうこともあります。


同業種の居抜きでも油断は禁物

許認可は、人・場所・財産すべての要件を満たすことで初めて成り立ちます。

店舗と業態が変わらずとも、営業主体、つまりオーナーである企業や個人が変われば許認可を再取得しなくてはなりません。

居抜き店舗で再取得を行う際、問題となりやすいのが、改装により設備要件を欠いてしまっているケースです。

前記のとおり、許認可は人・場所・財産で構成されますので、求められている財産(設備)が欠けると許可要件を満たすことができません。

たとえば飲食店を例に挙げると、設備要件として手洗場所の設置が求められていますが、旧テナントが改装によりこれを外してしまっていたなど、知らないうちに許可要件に関わる重要部分を欠いてしまうことも十分にあり得ます。

また、風俗営業など行政側による法律の解釈が度々発表される業種については、旧テナント時代の解釈と変更されている可能性や、審査担当官により判断の違いが生じる場合もあります。

たとえ同業種の居抜き物件であっても、全く新規の許認可を取得するときと同様の意識と対応が必要です。

2012年11月14日

相続承継と消費税納税義務

事業の合流と合流前事業

相続による事業の承継には、非事業者が相続により事業者になる場合のほか、相続人も被相続人も事業者であった場合があります。

後者のケースでは、相続人の事業が以前から免税事業者であったとしても、相続による事業の承継で、事業規模が大きくなり、免税事業者の規模を超えることになる場合があります。

相続人と被相続人との事業の合流ですから、合流後の課税・免税事業者の判定は、合流前の事業の各基準期間の課税売上を全部合計して、合計額が1千万円を超えるかどうかで判定することになります。

相続開始年だけは特殊な扱い

ただし、相続開始年に限っては、扱いが少し異なります。

①課税事業同士の合流

②相続人の課税事業への被相続人の免税事業の合流

③相続人の免税事業への被相続人の課税事業の合流

④免税事業同士の合流

これら4ケースがあります。

相続人の課税・免税事業者判定は

①と②のケースでは年間を通じた課税事業者

③は相続日の翌日からその年の年末までの期間の課税事業者

④は免税事業者

となります。

特殊なケースの取扱い


(1)課税事業者選択の相続人

相続人が「課税事業者選択届出書」を提出している課税事業者の場合には、判定によって免税事業者に該当しても、課税事業者とされます。

逆に、この届出の効力は一身専属的なものなので、被相続人の選択による課税事業者該当は相続人には効力が及ばないので無視されます。


(2) 兄弟姉妹で分割して承継

2以上の事業場を有する被相続人の事業を2以上の相続人が事業場別に分割承継した場合には、相続開始年の翌年以後の課税・免税事業者の判定に取り込むのは、各相続人が相続した事業場別の課税売上となります。


(3) 特定遺贈又は死因贈与のときは

上記の法令はすべて「相続(含包括遺贈)」による承継との限定規定なので、たとえ相続人が承継したとしても、特定遺贈・死因贈与による承継は対象外です。

従って、非事業者のサラリーマンや免税事業者の場合には、承継原因を特定遺贈・死因贈与とすることにより、消費税の節税になることがあります。

2012年11月13日

生命保険料控除の変更

早いもので、今年も残すところ2か月足らずとなりました。この時期になると、年末調整の資料や冊子などが、続々と届いていると思います。

今年の年末調整では、生命保険料控除が改正となっています。

平成23年12月31日以前に締結した保険契約については、従来通り、一般生命保険料控除と個人年金保険料控除が適用され、それぞれ適用限度額は5万円となります。

平成24年1月1日以降に締結した保険契約については、一般生命保険料控除及び個人年金保険料控除に加えて、介護医療保険料控除が新たに設けられました。

それぞれの適用限度額は4万円となりましたので、合計の適用限度額は12万円となります。

具体的な計算は次の通りになります。

①平成24年1月1日以降に締結した保険契約等に係る控除(新契約)

・20,000円以下 → 支払保険料等の全額

・20,001円~40,000円 → 支払保険料等×1/2+10,000円

・40,001円~80,000円 → 支払保険料等×1/4+20,000円

・80,001円以上 → 一律40,000円 


②平成23年12月31日以前に締結した保険契約等に係る控除(旧契約)

・25,000円以下 → 支払保険料等の全額


・25,001円~50,000円 → 支払保険料等×1/2+12,500円


・50,001円~100,000円 → 支払保険料等×1/4+25,000円
・100,001円以上 → 一律50,000円 


③新契約と旧契約の両方について適用を受ける場合の控除額

・①に基づき計算した控除額 + ②に基づき計算した控除額(上限4万円)



④生命保険料控除額

・①~③の合計額 (上限12万円)


皆さんに送付される生命保険料控除証明書もこの改正に対応していると思いますので、ご覧になってください。

新契約と旧契約の両方に適用を受ける場合の計算が、少し複雑ですので、慣れるまでは大変かなと思います。

2012年11月12日

“ヤル気”のある人材発見法

“ヤル気”とは、個々の社員、またはチームが、担当する仕事に主体性を持って取り組んでいること、言い換えれば取り組み意欲が高いことをいいます。

そのような社員は、多くの場合、年齢・学歴・経験年数などに関係なく、社内にいますが、トップがそのような人材の存在を的確に知って事業に活用できているとは限らず、その発見と活用は企業の存続・発展にとって誠に重要です。

つまり、経営者の“腕の見せどころ”の一つと言えましょう。


社員が望んでいること

“ヤル気”のある社員は、

「仕事の体験を通じて自分の成長・能力向上を図りたい」

「成果をあげ、事業に貢献し、役割・グレードの昇級・昇給などによって認められたい」

また、

「より高度

な欲求として事業の発展に自分の能力を活かし、自己実現を図りたい、そのためのチャンスを会社が与えてくれれば是非とも参加したい」

と考えています。

つまり、会社の戦略実現への旺盛な参加意欲を持っているのです。

人材発見のカンどころ

“ヤル気”は外見からは見えにくいものですが、あえて外見から見ようとすれば、社員の“眼の輝きと積極的発言・行動”で分かります。

しかし、それは経営者がたまたま見かけることであり、正確であるとは言い切れません。

かなり正確に“ヤル気”のある人材、それも意気込みだけでなく、トップが与えた役割を深く理解し、思考レベル・能力発揮の行動レベル・成果のレベルで実現できる人材を、的確に発見するには、“発揮能力と成果の可視化と評価”を行うことが必要になります。

人事考課・目標管理制度における業績評価・達成度評価は、人材発見の面から見れば、1次的な評価にあたります。


実践的な人材発見の施策

より的確に“ヤル気”のある人材発見を行うには、実際の経営課題を示して、その解決方法を考えさせ、例えば10分以内で要点をトップの前で発表させ、評価することが、総合的に実践的能力を見て人材を発見する適切な方法と言えるでしょう。

これは「社員が望んでいること」に応えるとともに「会社の将来を担う人材を見つけるトップのニーズ」をも満たす施策になりますから、一石二鳥の上策となります。

2012年11月09日

ネット取引の申告もれ

昨年7月から今年6月までの1年間にインターネット取引を行ったサラリーマン等を含む個人事業者2200件余りを対象に、国税庁が実施した実地調査の結果、1件当たり平均1134万円、総額250億円近い所得金額の申告漏れを把握したことがわかりました。

インターネットを利用した取引は、サラリーマンや主婦等が気軽に出店できることや、無店舗により経費がかからず利益率が高いこともあって、近年活発に行われています。

しかし、ネット上の取引をいいことに、利益をあげても税務署にはばれないだろうと考え、無申告や過少申告するネット取引者が後を絶ちません。

このような状況に対して、国税当局は専門調査チームを設置するなどして、ネット取引に関するあらゆる資料情報を収集・分析し、調査を展開しています。


今回調査した2200件余りを取引区分別にみると、1件当たりの申告漏れ額が最も高額なのが、株や商品先物、外国為替等の取引を行う「ネットトレード」で1963万円でした。

そのほか、

音楽や画像、書籍等のダウンロード取引や配信サービスといった「コンテンツ配信」1302万円

出会い系サイトの運営などの「その他のネット取引」1302万円

「ネット広告」1276万円

「ネットオークション」944万円

「ネット通販」890万円

の順となっています。


サラリーマンのように所得税を源泉徴収されている給与所得者は、収入から支出を引いた利益が20万円を超える副業を行った場合に、専業主婦など所得のない方は、利益が38万円を超える取引を行った場合に、それぞれ確定申告を行う必要がありますのでご注意ください。

2012年11月08日

配偶者控除廃止の見送り

配偶者控除は、配偶者の年間所得が38万円(給与なら年収103万円)以下であれば、納税者の課税対象となる所得から38万円を控除し、所得税額を軽減できる制度です。

専業主婦や、パートをしている主婦がいる世帯が恩恵を受けることができます。もちろん、男性(主夫)でも受けられます。

民主党は2009年の衆議院選挙のマニフェストで、子ども手当の財源確保のために、配偶者控除の廃止を掲げていますが、2013年度税制改正での廃止を見送る方針であるとの報道がありました。

次期衆院選が近づいている中で、主婦層からの強い反発が予想され、政府・民主党内の意見集約も難しい状況のようです。

これで、4年連続の見送りとなり、マニフェストの見通しの甘さが指摘されています。

すでに、16歳未満の子どもの扶養控除もなくなり、所得税、住民税とも増税になっています。

その上、配偶者控除が廃止になったら、さらに、家計の負担が増えることになります。

子ども手当を配るから、増税するでは、なかなか理解は得られないですね。

結局、子ども手当の受給額は、最初の満額からは程遠い現状です。

ただし、共働き世帯が増えている時代背景からすると、確かに配偶者控除はあまり意味がなくなっているとも言えます。

配偶者控除や第3号被保険者の制度をなくして、所得税の「103万円の壁」や社会保険の「130万円の壁」を意識せずに働いた方がいいのではとも感じます。

さまざまな問題が絡み合って、今後も議論は尽きないと思いますが、いずれにせよ、不公平感のない、わかりやすい制度を希望したいものです。

2012年11月07日

期ズレにご注意

税務調査で必ずチェックされる「期ズレ」

決算期前後の取引で、本来決算期に上げていなければならない取引が翌期に計上されていたり、逆に翌期に上げなければいけない取引が決算期に上がっていたりすることを総称して「期ズレ」と言います。

売上や仕入れの期ズレは、税務調査で必ず最初にチェックが入ります。

会計原則には、発生主義と費用収益対応の原則とがあり、基本的には「現金収支には関係なく、収益・費用の発生した時点で計上しましょう」「収益と費用をできる限り因果関係に基づいて把握しましょう」というルールに則っています。

税務調査の際に、調査官が確認する「期ズレ」は「売上が当期に計上しなければならないのに、翌期に計上されてないか」「仕入れが翌期に計上されなければならないのに、当期に計上されていないか、すなわち在庫や仕掛に計上されているか」です。
 


売上計上基準は毎期継続しなければダメ

売上計上の原則は、商品やサービスの「引渡しがあった日」や「役務(サービス)の提供の完了した日」となります。

引渡しの場合、「どのタイミングで収益計上するか」という計上基準があり、「出荷基準」「検収基準」「使用利益開始基準」「検針基準」の4つが主な基準です。

毎期継続して運用されていればどの基準でもかまいません。


こんな取引に注意

1.現金で商品を売ったが、納品日は決算日の後だった。

2.請求書は月初に発行したが、納品は決算月末であった。

3.翌事業年度に完成する工事等に係る費用(外注費など)を支払った。

期ズレは意図的に悪用されるケースもありますが、単純な判断ミスや知識不足で発生する事もままあります。

期ズレが税務調査で見つかると、修正申告や更正が必要になり、余計な手間や税金がかかってしまうことにもなりかねません。

経理担当者が何らかの事情によって交代した場合等、注意を怠るとひょっこりと出てきてしまうミスでもありますので、「まずは期ズレのチェック」と初心を忘れないよう、気をつけましょう。

2012年11月06日

人事異動と許認可

事業年度後半、人事異動の多い季節

10月から事業年度後半といった企業も多いことと思います。

事業年度の区切りに合わせ、多くの企業では人事異動が行われます。

引っ越しサービスを提供するアートコーポレーション株式会社が行ったアンケート調査によれば、10月は2月に次いで二番目に人事異動が多い時期となっているようです。

人事異動は従業員にとって大きな環境変化ですが、許認可を取得している企業の場合、企業の事業そのものの継続に関わる変化にもなり得るため注意が必要です。


許認可の基本は「人+場所+財産」

一口に「許認可」とは言っても、許可、認可、免許、届出など様々な様式があります。

これらすべての手続き様式に共通し、ほとんどの場合で取得に際し必要とされるのが人的要件、場所的要件、財産的要件の3要件です。

これらの要件は取得時だけでなく、取得後も継続していることが求められるため、どれか一つが欠けてしまうことが許認可の維持に重大な影響を及ぼすこともあるのです。 

人事異動を行うと、当然ですが「人」が他事業部や他地域の営業所へ移ります。

もしここで異動の対象である「人」が、許認可の維持に必要な「人的要件」を担う管理者的立場であった場合、その管理者に代わる人員を適切に補充・配置しなければなりません。

人的要件が必要とされる許認可の例

(1)建設業許可

建設業の経営を統括的に管理する経営業務管理責任者と、営業所毎にその営業所での仕事を専業する専任技術者が必要です。


(2)酒類販売免許

規定の研修を受講、または販売経験を持つ酒類販売管理者を、店舗ごとに設置する義務があります。


(3)理容所・美容所

理容師・美容師が常時2人以上いる店舗は、各従業員に衛生管理を徹底させるため店舗毎に管理理容師・管理美容師を置かなければなりません。

こうした管理者の異動については、その都度各管轄庁へ届け出ることが義務付けられていますが、人事異動の実施時期など社内の繁忙時にはつい手続きを忘れてしまいがちです。

人員配置は計画的に、社内手続きだけでなく行政手続きについても管理が必要です。

2012年11月05日

誰でも使える家族信託

一般の家庭でも使えます

家族の財産管理や承継に「家族信託」を活用する動きが注目されています。

信託と言うと資産家の話と思われがちですが、対象資産は「自宅」です。

2007年に信託法が改正され、「個人信託」のひとつとして一般家庭の「家族信託」が可能になりました。

例えば、父親が亡くなり1人暮らしの母親が家を、長男に信託し長男は母の自宅を管理しながら母をその家に住まわせるということができます。

このような信託を「家族信託」といいます。


仕組みはシンプル

母親を「委託者」(財産を信託する人)で「受益者」(信託の利益を受ける人)、長男を「受託者」(信託財産の所有名義人で財産管理を行う人)にし、更に死後の自宅所有者を信託契約で長男としておけば長男が自宅を相続できる、という仕組みです。


メリット1 贈与税がかからない

生前長男に自宅を贈与すれば原則贈与税がかかります。その点、信託の仕組みで母親が死亡するまで受益者としておけば、名義を移しても贈与税はかからずに済みます。


メリット2 争続の心配がない

母親の死後に家を長男に渡す場合、遺言があれば可能ですが、他の相続人との問題等で遺言通りにならない恐れもあります。

母親は遺言と同様のことを生前に実現できます。

これまでの方法は、母親が元気な間に長男に家を渡すと、税金の問題が生じたり、母親の家の権利がなくなり、面倒を見てもらえなくなる心配もありました。

このように、自分が元気な間に財産の名義は面倒を見てくれる他の人に移しておきたいが、その財産を自分の利益のために使ってほしいという思いを実現できるのが「家族信託」なのです。

逆に、母親が将来老人ホームに入居するため自宅を売る必要に迫られた場合にも、その手続は長男が行いますが、受益者は母親ですから、得た利益は母親のために使わなければなりません。


道徳の法制化

子供は年老いた親の面倒を見て、親は面倒を見てくれた子供に財産を譲る。と言う当たり前の道徳を法制化したものです。

2012年11月02日

2以上の用途に使用される資産の耐用年数

1つの減価償却資産が2以上の用途に共通して使用され、その用途によって異なる耐用年数が定められているケースでは、減価償却費を計算するための耐用年数は、どのように決めたらよいでしょうか。


この場合には、原則として、その減価償却資産の使用目的、使用の状況等を勘案して合理的に判定し、その判定した用途について定められている耐用年数により償却限度額を計算します。


例えば、5階建ての建物で、1階を店舗、2階から5階を住居として使用するケースです。

耐用年数表を見ると、鉄筋コンクリート造の場合、店舗用は39年、住宅用は47年となっています。

総合的に勘案し、この建物の主たる用途は「住宅用」と考えられますので、建物全体について「住居用」の耐用年数47年が適用されることになります。

なお、その判定した用途に係る耐用年数は、一度採用した以上、その判定の基礎となった事実が著しく異ならない限り、継続して適用することになりますので、初年度における用途の見極めが大切です。


また、1つの建物を2以上の用途に使用するため、その建物の一部に特別な内部造作等をしている場合には、上記に関わらず、用途ごとに区分して、その用途について定められている耐用年数をそれぞれ適用することができます。

例えば、鉄筋コンクリート造の建物について、1階から5階までは事務所として使用し、6階を特別な内部造作を加えて劇場として使用するような場合には、事務所部分については50年、劇場部分については41年(又は34年)を適用することができます。

2012年11月01日

求人から入社までの流れ

人材を採用する時は募集から

人材採用をするにはまず採用計画を立て、募集から始めますが、募集から採用、入社までの手順について見てみましょう。

①募集…必要な人材の採用人数、予算にあった募集方法を決め、募集を出す媒体に企業や職種、労働条件等の情報を提供し、募集をかけます。

②書類選考・・・応募してきた方の書類で文字や書き方等、人柄や一般常識をみて志望動機や職務経歴が求人内容に合っているかを確認します。

③採用試験・面接・・・ペーパーテストや面接でマナー、常識度、人柄を見て、さらに能力、経験、希望条件等を確認します。二次面接がある時は通知をします。

④採用・不採用の連絡・・・採用の場合は電話、文書で通知、不採用者にも1週間以内に連絡をします。

最近はメールで通知も増えていますが、不採用の場合には個人情報保護の観点から履歴書や職務経歴書は返却するのが望ましいでしょう。

応募が多く担当者が忙しいのか、不採用の通知をしない、書類を返さない企業も多いようですが、後の企業イメージが損なわれないとも限りません。


⑤労働条件の明示・入社日の決定

⑥必要に応じて雇い入れ前研修をする

⑦勤務開始、入社手続き・・・会社のルールを説明し上司、他の社員への紹介、社会保険加入手続き、業務の説明等をします。


採用時に必要な書類

入社の際に提出してもらう書類は、

新卒であれば卒業証明書

中途採用であれば前職の源泉徴収票、年金手帳、被扶養配偶者の年金手帳、雇用保険証、住民票記載事項証明書等

会社から提示する書類は労働条件通知書または雇用契約書、扶養控除申告書、身元保証書、誓約書、通勤経路届等

雇用契約書は労働条件を明示して労使双方で確認する書類です。

労働基準法で記載すべき事項が定められています。

身元保証書は採用された人が会社に損害を与えたり、契約違反をおこなった時に保証を得るためのものです。

保証期間は最大5年で更新する場合は再度作成します。

誓約書は、秘密保持や社内規則を順守することを誓約させ入社する人の意識を高めることが目的です。

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