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2012年10月 アーカイブ

2012年10月31日

国民年金保険料後納制度

納め忘れた保険料を納付期間延長で納付

国民年金保険料は、納付期限(当月分は翌月末まで)から2年を経過すると時効により納付をすることができなくなりますが、平成24年10月から27年9月までの間に限り、時効で納付ができなかった過去10年間の納め忘れの保険料を納付することができるようになりました。

この保険料後納制度を利用すると、年金額を増やすことや納付期間が不足していて年金受給ができなかった方が年金受給資格を得られる場合があります。


対象となる方は

国民年金は納付期間及び合算対象期間を合計して25年満たない等、老齢基礎年金の受給権を有しておらず、過去10年以内に未納期間を有する下記の方が対象です。

また、老齢基礎年金の受給者や繰り上げ受給者は対象外です。

①20歳以上60歳未満で10年以内に収め忘れの期間(納付・免除以外)や未加入期間がある方

②60歳以上65歳未満で①の他、任意加入中に納め忘れの期間がある方

③65歳以上の方で年金受給権がなく任意加入中の方


保険料と年金額

納める保険料は、遡った当時の保険料に政令で定める加算額を合わせた額です。

納付期限は平成27年9月30日までの間に一括又は分割でも納めることができます。

1か月分を後納すると、増額される年金額の目安は、年額約1,638円(平成24年度)つまり1年分納付で約2万円弱が増額されます。

後納した時の年金見込額は年金ネットでも自分で試算することができます。

国民年金を受給するには納付・免除期間が原則25年(300月)必要ですが、平成27年10月以降は10年(120月)に短縮される予定です。(年金額は期間に応じて減額) 

日本年金機構は対象となる方1700万人に順次延長のお知らせを送付しています。

保険料を納めるには最寄りの年金事務所へ年金手帳を持参し、国民年金後納保険料納付申請書を提出します。

届出は郵送でも受け付けています。

審査が行われてから承認通知書と後納納付書が送付されてきます。


2012年10月30日

ふるさと納税の寄附金控除額

前回、ふるさと納税の概要を説明しましたが、今回は、控除額の具体的な計算方法を見ていきたいと思います。

地方公共団体(都道府県及び市区町村)に対して寄付を行った場合、2,000円を越える部分について、通常の所得税や住民税の寄付金控除のほか、住民税所得割額の10%を上限として、住民税の特例控除が行われます。

税額控除額は次のようにして計算されます。
 


【所得税控除】

(ふるさと納税額-2,000円) × 所得税率

【住民税控除】

①基本控除額:(ふるさと納税額-2,000円) × 住民税率(10%)

②特別控除額:(ふるさと納税額-2,000円) × (90%-所得税率)

③ ①+②
 
 


 
例えば、次のケースでふるさと納税をしたら、どのようになるでしょうか。

〈年収600万円 所得税率20% 住民税率10% 6万円寄附〉


【所得税控除】

(60,000円-2,000円) × 20% =11,600円

【住民税控除】

①基本控除額:(60,000円-2,000円) × 10% =5,800円

②特別控除額:(60,000円-2,000円) × (90%-20%) =40,600円

③ ①+②=46,400円

【税額控除合計】

11,600円 + 46,400円 = 58,000円



このように6万円寄附して、58,000円の税額控除が受けられますから、実質2,000円の自己負担でふるさと納税ができることになります。



ふるさと納税額(寄附金)は、1月~12月の合計額で計算します。

また、複数の地方公共団体に対して行った場合にも、その合計額で計算します。

ただし、所得税では、総所得金額(サラリーマンの場合、給与所得控除後の金額)の40%、住民税では、総所得金額の30%が控除対象の限度となります。



また、住民税の②の特別控除額は、住民税所得割額の1割が上限となりますので、超えた分の寄附金は、自己負担となります。



ひとりひとり、所得や家族構成などに応じて、控除の額は変動します。

実際の住民税の計算は、ご自身でするわけではなく、各地方公共団体で行いますので、詳しくは弊社、あるいはお住まいの自治体までお問い合わせください。

2012年10月29日

求める人材と予算で考える募集方法

適切な方法で人材募集をする

会社の経営状況や将来に向けて、経営戦略として人材を配置することは重要なことです。

外部から必要な人員を調達する必要があれば新規採用を行います。

雇用にも正社員からパート・アルバイトなど、多様な雇用形態があります。

したがって、職務内容等、必要な人材像を決めることで、その募集方法を選択します。


主な募集方法と特徴


①ハローワーク・・・無料で利用でき募集費用を抑えられます。

最長で翌々月まで掲示できます。近隣職安にもインターネットサービスで募集できます。

初回に事業内容、加入保険等事業、住所登録をする必要があり、労働条件等は詳細な記載が必要です。


②民間の人材紹介会社・・・ニーズにあった人材を募集しやすいことや面接日、採用可否の連絡等の手続きもやってもらえますが、費用は高くなります。

③合同就職・転職イベント…大会場に多くの企業が集まり、求職者へ直接自社アピールができます。

各地の商工会議所や地方自治体、人材紹介会社等が企画しています。

反面、他の企業と比較されやすいとも言えます。

④高校や大学の就職課・キャリアセンター・・・学生を募集したい時は有効です。

求人時期や方法は各学校でさまざまです。

⑤新聞・・・求職者の反応が速いので急募する時に便利です。

業界紙であれば特定の技術者等も募集しやすいでしょう。

ただし、広告期間は短い上、料金も高めです。

⑥折込みやポスティング求人広告・・・地域限定募集等に有効で近隣に住む方の応募が多い傾向があります。

急募には向いていますが代理店を通すと費用がかさみます。

⑦求人誌・・・社員からアルバイトまで目にとまりやすく、無料掲載するものもあります。

また、インターネットサイトもあります。

しかし、いずれも広告を大きくし、目立つ所に出すには費用がかさみます。

⑧自社のホームページ・・・必要な時期に自由に掲載できます。

直接応募してくるので調整がしやすいですが閲覧者が少ないと効果は薄いです。


⑨知り合いからの紹介・スカウト・・・役員や社員の知り合い、他社からの引き抜きなど、費用は無料の場合が多く人物に対する情報は入りやすいですが、募集範囲が限られます。
 

2012年10月26日

養子縁組と相続税

養子縁組は、家系を絶やさないため、老後の介護に対する恩返しのため、途上国の子供を育てる等の社会福祉のため等、さまざまな目的で用いられる制度ですが、相続税の軽減にもつながります。


法定相続人

相続税では、遺産に係る基礎控除額が、下記の算式により計算されます。

遺産が基礎控除額以下ですと相続税額がかかりません。

基礎控除額=5,000万円+1,000万円×法定相続人の数

養子縁組をすると、実親の相続と、養親の相続の両方で法定相続人になります。

ですので、法定相続人の数が増えると、基礎控除額が増え、相続税の負担が減少することになります。

養子の数の制限

民法では、養子の数に制限がないため、何人でも養子にできます。

しかし、相続税では、不当な節税行為を避けるため、法定相続人の数としてカウントする養子の数を制限しています。

被相続人に養子がある場合、法定相続人の数に含める養子の数は、次の通りです。

①相続人に実子がいる場合・・・・1人

②相続人に実子がいない場合・・・2人

③①及び②の場合でも、不当な節税を目的として養子縁組をしたと認められる場合には、その養子は法定相続人の数に含めない。

なおこの制限は、あくまで相続税の計算だけに係るものです。

民法上の養子縁組を否定するものではないですし、養子だから相続人になれないということでもありませんので注意してください。


養子でも実子とみなす場合

下記に掲げる項目に該当する

養子は、相続税の計算上実子とみなし、法定相続人に含める養子の数の制限の対象から除外しています。

①民法の特別養子縁組により養子になった者

②被相続人の配偶者の実子で、被相続人の養子になった者

③被相続人との婚姻前に被相続人の配偶者の特別養子縁組により養子となった者で、その婚姻後にその被相続人の養子となった者

④被相続人の実子若しくは養子又は直系卑属が相続開始以前に死亡し、又は相続権を失ったため、相続人となったその者の直系卑属

配偶者の連れ子を養子にする場合(②又は③)で実子とみなされるのは、被相続人と配偶者との婚姻後にその被相続人の養子となった者に限られます。

そのため、被相続人と配偶者との婚姻前に被相続人と養子縁組をしても、通常の養子として取り扱われます。

2012年10月25日

資格外活動許可

外国人従業員と副業

外国人に限らず、従業員の兼業や副業に関する規定を、就業規則などに設ける会社は多いと思います。

業務時間外の兼業・副業を全面的に禁止することの有効性については論議が交わされるところですが、外国人従業員が副業する場合、その方の在留そのものに大きく影響することもありますので注意が必要です。


資格外活動許可とは

日本に在留する外国人には、活動内容や身分などに合わせて全27種類の在留資格が付与されていますが、そのうち就労が目的である在留資格などいくつかについては、その外国人が日本で「活動できる内容」が定められています。

そのため、本来の在留目的である就労内容と異なる活動で、報酬を得ようとする場合については、本来の在留目的外の活動を行う許可として資格外活動許可を得なくてはなりません。

資格外活動許可は、留学生がアルバイトをする際にも必要とされるものですが、正社員として就労目的の在留資格を持っている外国人の方であっても、本来の在留目的と合わせその目的外の就労活動をする場合にはこの許可が必要です。

たとえば、IT技術者として来日した外国人が、夜間休日に語学教師のアルバイトを行う、本来の在留目的はIT技術者としての活動ですので、資格外活動の許可を受ける必要があります。

資格外活動許可を取らずに外国人従業員がアルバイトをしていた場合、そのアルバイト先での活動は不法就労となりますので、在留期間の更新などに影響する可能性があります。


資格外活動許可が認められない例

資格外活動がどういった場合に認められるかどうかについては、その外国人が持つ在留資格により異なりますが、就労目的の在留資格を持つ外国人の方が単純労働とみなされるアルバイトを行うことは原則的に許可されません(一方で、留学生や家族滞在者は資格外活動の内容が単純労働でも許可されます)。

ですから、通訳・翻訳者として来日した外国人がコンビニでアルバイトをするような例は、よほど特殊な事情がない限りほとんど認められません。

昨今の雇用情勢に伴い、民間企業の副業に対する禁止措置が緩和されてきている傾向もありますが、社内規則だけでなく法律による規制があることにも注意してください。

2012年10月24日

管理のサイクル

「管理のサイクル(PLAN―DO―CHECK-ACTION)」は第2次世界大戦後、アメリカから日本へ導入された“品質管理(QC・Quality Control)”の中心的概念として有名で、今では当たり前のように経営管理に使われています。

その考え方は次の通りです。

全ての経営活動は、図のように“品質意識”を土台にして、「管理のサイクル」を次のように回し続けることによって改善が進みます。

1.まず、PLAN(計画)を立てる。

2.DO(実行)・計画の通りに実行する。

3.CHCK(チェック)・実行した結果をチェックする。

4.ACTION(アクション)・チェックした結果から、計画を修正する。


サイクルの回し方・日本版

高度成長期を通じて“品質管理”が経営管理の方法として浸透した過程で、日本企業の間に「管理のサイクル」の回し方は、「PLAN」から始まるのではなく、「現状のチェック」から始まる、と考える方が適切だ、とする考え方が出てきました。


つまり、多くの経営活動は、現在実行されている事柄の問題点をチェックするなど、現状を的確に把握してから、計画を修正する、または計画を立てる、と言う順序で進めるのが適切である、とする考え方です。

これは現実の経営活動と適合するところから、多くの日本企業に支持されるようになりました。

日本で生まれた“三現主義(現地又は現場・現物・現実)”の本質は「事実に基づく的確な状況判断」を最重要と考え、経営判断の根幹に置く点にあり、日本の経営哲学の特色の一つになっていますが、「管理のサイクルの回し方はチェックから始まる。」と言う考え方も、それが起点になっていると言えます。

経営者の方々に「自社の経営管理のサイクル」が“三現主義”に基づいているか、再確認することをお勧めします。

2012年10月23日

コーポレート・インバージョン

インバージョンの準備としての親株取得

外国親法人P株式を用いるコーポレート・インバージョン(逆さ再編)を実行するには、まず合併法人Bが親法人株式Pを取得する必要があります。

組織再編の交付株式としての親会社株式取得は、会社法も容認しています。取得方法については特に触れていません。

法人税法も、親法人から直接提供された親法人株式ならば、取得時や組織再編実行時に時価評価不要としているだけなので、取得方法に制限がありません。


主要な三つの取得方法


①一つ目は、親法人Pによる無償または備忘価格(例えば1株1円)による新株発行等です。

そもそも親法人株式を使う税制適格の三角組織再編のメリットは、資金調達・税負担から解放される点にあるため、この方法が本来的なのです。


②二つ目は、親法人Pが子会社Bに対して資金を貸付け、これを子会社Bが親法人Pに払い込むかたちで新株発行を行うという方法です。

この場合は外国親法人Pに対する負債の利子が発生することになり、内国法人の利益の圧縮をもたらします。


③三つ目は、逆さ合併による方法です。

被合併法人Aは外国法人Pの全株主なので、逆さ合併によりBは自ずと親法人P全株式を保有することになります。

ただしこれはP法人からの直接提供には該当しません。


アメリカのインバージョン対策

1990年代以降アメリカでインバージョンが問題視されるようになり、2002年の「米国インバージョン報告書」を契機に対策税制が採られるようになりました。

対策として、国境での清算の原則のもと、将来において清算の機会が失われるものは時価清算とされました。

しかし、実際には、アメリカのインバージョンの多くは、「仕込み」が狙いで、税制非適格を甘受して、将来における租税負担軽減の仕組みの完成に意を注いだので、親子間の金銭貸借や親法人への無形資産の異動等が積極的に採用されたようです。


日本のインバージヨン対策

アメリカの経験を踏まえて、日本も国境での清算の原則の下に対策税制を完成させましたが、日本の場合、大企業が親会社を外国に置くという任意の選択は採られたことがないので、同族会社の相続・贈与対策があり得ることとしての制度設計になっているように見えます。


2012年10月22日

ふるさと納税

2008年4月にスタートした「ふるさと納税」制度は、生まれ故郷の自治体などに寄附金を支払うと、金額に応じて個人住民税などの軽減を受けることができます。

「ふるさと」といっても、生まれ故郷に限らず、全国すべての自治体が対象になりますし、「納税」といっても、実質は寄附金です。

もともとは、都市部と地方との格差や、過疎などによる税収の減少など、税収の格差を是正するために導入されました。

近年は、義援目的での寄附が増加しているようです。東日本大震災の際には、被災地に、発生から2か月で、全国寄附総額の6倍以上の寄附が贈られたそうです。

ただ、この制度に関しては、賛否両論があります。


賛成意見・メリット

・進学や就職などで、故郷を離れても、その地域に貢献することができる。
 
・地方自治体が、成長過程で教育に税金を注いでも、他の地域へ転居してしまい税収の増加が見込めないということを解消できる。

・通常の納税をする場合と、同じ負担額で、好きな地方に寄附金を送ることができる。

・一部市町村から、ふるさと納税のお礼として、ご当地の特産品をもらうことができる。



反対意見・デメリット

・行政サービスを受ける住民が税を負担する「受益者負担の原則」の観点から外れる。

・各自治体での業務が煩雑になる(特に税額控除を受ける自治体)。

・都道府県は、市町村に比べて、「ふるさと」としての愛着が持たれにくく、寄附金が集まりにくい。

・根本的な地方間格差・地方活性化の解決策にはなっていない。

・税額控除を受けるには、確定申告をしなければならないため、給与所得者にとっては手間がかかる。


上記の内容を踏まえると、財政赤字に悩む地方自治体は賛成意見が多く、税収がある大都市部からは反対という意見が多そうです。

実際、他の自治体に多額の寄附が行われることで、寄付した人の住所地の自治体が、多額の還付金を返すことになってしまったケースもあるようです。

メリット、デメリットはありますが、生まれ故郷や、特別な思い入れのある地域を応援したい場合には、活用できる制度だと思います。

2012年10月19日

少人数私募債

少人数私募債とは

そもそも私募債とは、社債の一種です。

「社債の発行」というと、大企業が行う「公募債」のイメージが強いため、中小企業にとってはあまりなじみがないかもしれません。

「少人数私募債」とは、「公募」に該当しない方法で社債を発行します。

一般的には、社債の購入を中小企業の社長の親族や知人などといった縁故者の中から募るため、「縁故私募債」とも呼びます。


少人数私募債の発行条件

少人数私募債を発行する条件は、主に次の通りです。

(1)社債権者が50人未満であること

(2)社債権者に適格機関投資家(金融や投資のプロ)がいないこと

(3)縁故者に直接募集をすること

(4)社債一口の額面が、発行総額の50分の1未満であること

(5)募集総額が1億円未満であること

(6)譲渡制限を設けること

※6か月間以内に同一種類(償還期限と利率が同じ)の少人数私募債を複数回発行する場合は、累計した社債権者が50人未満でなければなりません。

※縁故者とは、中小企業の経営者のほか、経営者一族、役員、株主、取引先、社員、社員の親族、友人、知人等が該当します。

発行のメリット

少人数私募債を発行するメリットには、次の点があげられます。

(1)無担保、社債券の発行不要、官庁への届出義務もなく、取締役会の決議だけで比較的簡単に発行可能です。

   (取締役会がない会社の場合は、株主総会の決議となります。)


(2)発行金額、償還期間や利率を自由に決められることができます。


(3)社債券を発行する必要がないので、発行コストがかかりません。


(4)社債権者に対して支払う社債利息は、全額経費計上することができます。


(5)利息は20%(所得税15%、住民税5%)の源泉徴収で課税が完結するため、高額所得者にとっては税務上有利です。


(6)自治体によっては、社債利息の一部に対し補助金を支給する制度があります。

発行のデメリット

少人数私募債を発行する場合のデメリットには、次の点があげられます。


(1)償還期限に、多額の資金が必要になる。

月々の返済がない代わりに、償還時に全額返金しなければならないため、資金繰りを十分に検討する必要があります。


(2)予定額が集まらない可能性がある。

縁故者に対する募集であっても、担保がないため、信頼と確かな情報がなければ、引き受けに応じてもらえません。

そのため、予定していた金額の資金調達が見込めない場合があります。

2012年10月18日

適格再編で時価課税回避

外国親法人が組織再編の当事者になる

組織再編対価の柔軟化により、合併、分割、株式交換で交付する株式が、これらの当事者会社のさらにその上の親法人の株式であっても、税制適格組織再編となることになりました。

したがって、これらの親法人株式の発行法人が、外国法人に該当する場合があります。

会社法も、法人税法もそういうケースを排除していません。

その結果、外国法人が組織再編、特に税制適格組織再編の当事者になることになりました。

すなわち「内国法人を適格組織再編で外国法人系列の子会社にしてしまう」ことが可能になりました。


外国に法人を設立し国内子会社を設立

現実に在る内国法人(A)を外国法人の子会社にするスキームとしては、組織再編はあくまで内国法人同士(AとB)の行為なので、利用する予定である親法人株式を発行する外国法人(P)を設立するだけでなく、その親法人の子会社として内国法人(B)も設立しておかなければなりません。


子or孫 会社化の方法

内国法人(A)が外国法人(P)の全株主だとして、内国法人の(A)と(B)との間で合併、分割、株式交換などにより(A)を(P)の子または孫会社にするには、組織再編の対価として(B)にその親法人(P)の株式を交付すればよいわけです。これを三角組織再編といいます。

親法人(P)が税金の軽課税国に所在する場合を除き、これは税制適格ですので、(A)(B)の会社及び関係株主に時価課税はおきません。


時価課税が起きる二つの例外

ただし、現実に在る内国法人(A)の株主が非居住者等外国株主である場合には、将来とも我が国に課税の機会が喪失するので、原則として(A)法人株と(P)法人株とが入れ替わるときに、(A)法人株は時価譲渡したものとみなされます。

もう一つ、適格組織再編で交付しようとしている親法人株式を、その組織再編の契約日以前から保有していたり、契約日以後でも、適格組織再編等により適格取得する場合で、それらの親法人株式は時価による取得や交付をするものとされ、時価洗い替えをすることとされています。


2012年10月17日

人事異動 出向と転籍

人事異動の種類は様ざま

従業員を採用したら勤務地や担当業務を決めますが、会社の組織変更や業務の拡大、縮小等変更が生じるのが一般的です。

従業員の勤務場所や役割を変える事を人事異動と言います。

人事異動は職場や職務内容を変える事を配置転換と言い、勤務場所の変更を転勤と言います。

人事制度による資格の変更は昇格、降格等いずれも同一社内における異動です。

一方別の会社で就業させる、出向と転籍があります。

人事異動については原則使用者に人事異動についての裁量権があります。

その行使は社会通念上著しく妥当性を欠き権利の乱用に当たるということでない限り違法ではありません。

出向と転籍の違いは同意の有無

出向は現在の労働契約を保持したまま従業員を他の会社で労働させるものです。

出向をするためには就業規則などで予め定めておく必要があります。

定められていれば必ずしも従業員の同意を得る必要はありません。

ただし、賃金や労働条件などを出向元と出向先で協議の上、契約書にしておくことが必要でしょう。

転籍は元の会社を辞め、転籍先への就職が同時に行われる場合が普通です。

転籍も 予め就業規則に定めは必要ですが、規定されていたとしても従業員の同意を必要とされています。

通常の転職と同様に離職・採用の手続きが必要となります。


出向の場合と転籍の場合の手続き

出向の場合は出向契約書を作成しますが、記載すべき内容は出向先での身分や賃金、賞与、退職金等の扱い、社会保険、復職・解除に関する事等。労働時間、休日休暇は出向先に合わせる場合が多いでしょう。

出向が不利益にならぬよう本人にも内容の説明は必要です。

また、転籍は元の会社を退職となりますので、保険の資格喪失、転籍先での資格取得となり、元の会社に退職金制度がある場合は清算をします。

転籍は前の会社と労働契約を終了し、他の会社と労働契約を結ぶ事になるので事実上の転職と言う事になるでしょう。

転籍には本人の同意が必要ですが、転籍後は先の会社の労働条件で勤務するのが一般的です。


2012年10月16日

附帯税の種類

附帯税とは、いわゆる本税以外のものをいい、納期限を過ぎて本税を納付したり、税務調査などにより追徴課税された場合などに、ペナルティとして課される税金です。

前回に取り上げた、延滞税も附帯税の一種です。

延滞税のほかにも、いくつか種類がありますので、どんなものがあるのか見ていきたいと思います。


過少申告加算税

確定申告書を提出した後に、修正申告書の提出又は更正によって追加税額が生じた場合に課税されます。

ただし、調査により指摘され修正したものではなく、自主的に誤りに気づき修正申告を行った場合にはかかりません。

追加税額 × 10%

追加税額が、期限内に納付した本税もしくは50万円のいずれか多い金額を超えるときには、超える部分の金額については15%です。


無申告加算税

確定申告期限内に提出がない場合、もしくは、期限後に遅れて提出した場合で、納付するべき税額があった場合に課税されます。

ただし、申告が出来なかった正当な理由があると認められた場合にはかかりません。


期限後の税額(50万円まで) × 15% + 50万円を超える部分 × 20%

税務署の調査を受ける前に自主的に期限後申告した場合は5%です。


不納付加算税

給与等の源泉徴収税額を納付期限内に納付しなかった場合に課税されます。


源泉徴収税額 × 10%

税務署から通知を受ける前に自主的に納付した場合は5%です。)


重加算税

無申告、過少申告、不納付の場合において、意図的に事実の全部、あるいは一部を隠蔽又は仮装を行ったと認められた場合、それぞれの加算税に代えて課税されます。

いわゆる、悪質な脱税の場合に課せられるものです。

①過少申告加算税  追加税額 × 35%

②無申告加算税  期限後の税額 × 40%

③不納付加算税  源泉徴収税額 × 35%

利子税

税金を納付期限までに納付することができない場合に、届出により延納や、申告書の提出期限の延長が認められた場合に延納日数に応じて課せられる税金です。

延滞税や加算税と違い、制裁的なものではなく、届出により認められた合法的なものです。


地方税にも、同じように加算金、延滞金が課せられます。

いずれにしても、余分な支出となりますので、ペナルティを受けないように、期限などには、十分ご注意ください。

2012年10月15日

外国法人の子会社

組織再編対価の柔軟化

会社法では、平成19年5月から(会社法自体の施行時期は平成18年5月なので1年後)、会社が組織再編に際して株主に交付するものを、株式だけでなく、金銭その他の財産とすることをも認めています。

これを組織再編対価の柔軟化といいます。

組織再編対価の柔軟化が認められることにより、いわゆる交付金銭等再編・三角合併等が可能になりました。


柔軟化手法と組織再編の税制適格性

柔軟化の第一の交付金銭等再編は、税制適格組織再編の共通要件的項目である「株式以外の資産が交付されない」という規定に真っ向から矛盾します。

柔軟化により組織再編がやりやすくなったとしても、金銭等の交付の履行は、税制非適格に該当します。

第二の三角合併等とは、吸収合併、吸収分割、株式交換に際して、合併法人、分割承継法人、株式交換完全親法人が交付する株式が自己の株式ではなく、これらの法人を100%支配する親法人の株式とするもので、これは、会社法柔軟化規定施行に合わせての法人税法改正で、税制適格に該当することになったものです。


柔軟化が閉ざされている分野

組織再編対価の柔軟化は、吸収合併、吸収分割、株式交換をする場合に限られており、新設合併、新設分割、株式移転には認められていません。

それは「これを認めると新設される会社の株主がいなくなってしまう」という原理的矛盾が起きるからです。

また、現物出資にも組織再編対価の柔軟化がありません。それは、そもそも現物出資が会社法における組織再編行為ではないからです。現物分配も同じです。


柔軟化による海外への門戸解放

「100%親法人株式」は、「親会社」ではなく「親法人」という規定です。

すなわち、「会社」という要件ではないので、会社法によって設立された法人に限定されないということです。

ただし、「株式」を発行していることが要件なので、株式を発行する法人でなければなりません。

このことは、株式を発行している外国法人にまで組織再編の枠が拡がったことを意味しています。

2012年10月12日

消費税の中間申告について

1年決算法人の場合、前期の年間消費税額が48万円超(地方消費税を含め60万円超)の場合は、当期に中間申告を行い、納税をしなければなりません。


中間申告の方法と申告期限

中間申告の方法は、法人税の場合と同様、2つの方法があります。

(1)前年度実績方式

前年度実績方式とは、下記の算式のとおりの税金を納付する方法です。

①前期の年間消費税額が4800万円超(地方消費税を含めると6000万円超)の場合

イ)中間申告・納付の回数 年11回

ロ)納付すべき消費税額等の計算 前課税期間の消費税の年税額×12分の1
 


②前課税期間の消費税の年税額が400万円超4,800万円以下の場合(地方消費税を含めると500万円超6,000万円以下)

イ)中間申告・納付の回数 年3回

ロ)納付すべき消費税額等の計算 前課税期間の消費税の年税額×12分の3


 
③前課税期間の消費税の年税額が48万円超400万円以下の場合(地方消費税を含めると60万円超500万円以下)

イ)中間申告・納付の回数 年1回

ロ)納付すべき消費税額等の計算 前課税期間の消費税の年税額×12分の6

税務署から金額が印字された申告書・納付書が送付されてきますので、それに従います。

中間申告・納付の期限は、それぞれ中間申告の対象となる課税期間の末日の翌日から2か月以内です。

ただし、上記①のうち期首月の期限については、3か月以内となります。


(2)仮決算方式

仮決算方式とは、法人税の場合と同様、(1)の計算の代わりに仮決算を行って申告をする方法です。

中間申告・納付の期限は、(1)と同じです。


申告方法の選択

消費税の中間申告は、法人税とは連動していないため、法人税とは異なる方法を選択して申告することができます。


つまり、法人税で前年度実績による予定申告を行なう一方で、消費税では仮決算による中間申告を行なうことができるのです。

また、中間申告を複数回行わなければならない場合についても、毎回異なる方法を選択して申告することができます。


期限を過ぎてしまった場合

申告義務があるのに中間申告を期限までに提出しなかった場合は、法人税の場合と同様、(1)前年度実績方式で申告があったものとみなされ、自動的に税額が確定することになります。

納期限までに納付しなかった場合には、延滞税や利子税などのペナルティが課されます。

2012年10月11日

「事実」に基づく経営判断

「事実」に基づく経営判断は、経営管理の根幹をなすものと言えます。

「的確な状況判断」ができていなければ、対策をとることはできませんし、もし状況判断をしないで、対策をとったとしたら、まぐれ当たりでない限り、失敗することになります。

また、判断を間違えたら、その対策も間違えることになります。

しかし、経営者や幹部が有能であると自認しているほど、自らの判断と自ら考えた対策に自信を持ちすぎ、失敗することがありますから注意が必要です。


経営判断を誤る理由

経営判断を誤る主な理由は、人間が陥りやすい次のような癖にあるようです。

1.憶測癖:「また、○○が△△したのだろう。」

2.決めつけ癖:「○○に決まっている。」

3.希望的観測癖:「きっと、○○になってくれるだろう。」

それらに共通しているのは、全て「事実に基づく的確な状況判断」の重要性を知らないか、または軽視していることです。

また困ったことに、それらの癖は上位の役職にある幹部社員・役員と言った人達に多い傾向があります。

自らの長い経験から、自分の判断の癖を持ってしまったためと思われますが、判断の結果として採用される対策は経営会議などで論議される事柄で、業績に対する影響が大きいだけに、トップとしては見過ごすことができない重大事であると言えましょう。


経営者の注意点

従って、経営問題・課題に関する状況判断は、憶測や決めつけ、希望的観測などによる思い込みを排し、できるだけ客観的な事実状況に基づいて判断を下さなくてはなりません。

そこで、トップは役員をはじめ、経営幹部に次のように要請し、実行するよう指導するべきです。

1.経営会議において、課題や問題の解決を図るには、まず「的確な状況判断」が行える「事実状況(現場の定量的事実・定性的事実)」報告を行い、その判断に基づいた解決具対策を提案すること。

2.自らが、日常業務の問題・課題に関して「事実に基づく状況判断」を励行すると 同時に、部下に対してもそれを求め、業務報告などで実践させること。

2012年10月10日

延滞税について

税金の納付が遅れたり、期限までに申告しなかったり、過少申告や脱税などの場合、さまざまな追徴税が課せられます。

では、うっかり税金の納付を忘れてしまい、納付期限を過ぎてしまった場合はどうなるでしょうか?

税金が定められた期限までに納付されない場合には、原則として法定納期限の翌日から納付する日までの日数に応じて、利息に相当する延滞税が自動的に課されます。


延滞税が課されるのは、次のような場合です。

①申告などで確定した税額を法定納期限までに完納しないとき。

②期限後申告書又は修正申告書を提出した場合で、納付しなければならない税額があるとき。

③更正又は決定の処分を受けた場合で、納付しなければならない税額があるとき。


延滞税の税率は、法定納期限の翌日から納付する日までの日数に応じて、二段階に分かれています。

納期限から、2か月以内に納付した場合は、税率が低く抑えられていますが、2か月を超えると、倍以上に税率が高くなってしまいます。

①納期限の翌日から2月を経過する日まで・・・原則として年7.3%

ただし、平成12年1月1日以後については、年「7.3%」と「前年の11月30日において日本銀行が定める基準割引率+4%」のいずれか低い割合となります。

ちなみに平成22年1月1日から平成24年12月31日までの期間は、年4.3%です。

②納期限の翌日から2か月を経過した日以後・・・年14.6%

ただし、納付する税金の額が10,000円未満の場合や、計算の結果、延滞税額が1,000円未満の場合には、延滞税はかかりません。

また、延滞税は本税だけを対象として課されるものであり、加算税などに対しては課されません。

修正申告や更正があった時には、重加算税が課される場合を除き、一定の期間を延滞税の計算期間に含めないという特例があります。

納付が遅れると、理由にかかわらず、延滞税が課されて支払う金額が大きくなってしまいますので、うっかり忘れてしまったときには、速やかに納付をお願いします。



2012年10月09日

法人税の中間申告について

1年決算法人の場合、前期の年間法人税額が20万円超の場合は、当期に中間申告を行い、納税をしなければなりません。

申告期限及び納期限は、事業年度開始後6月を経過した日から2月以内となっています。


3月決算法人の場合は、9月が中間決算月となり、11月末が申告期限ということです。


中間申告の方法

(1)前年度実績方式

前年度実績方式とは、下記の算式のとおり、基本的に前事業年度の半分の税金を納付する方法です。

納付税額=前事業年度の確定法人税額×6/前事業年度の月数税務署から金額が印字された申告書・納付書が送付されてきますので、それに従います。


(2)仮決算方式

仮決算方式とは、(1)の計算の代わりに、期首から6か月間を1事業年度とみなして仮決算を行い、申告をする方法です。

仮決算は基本的に確定決算と同じ手順をとりますので、棚卸しや書類の整備等、事務処理上煩雑な面があります。

しかし、前期に比べて当期の業績が良くない場合や、下半期に売上が集中することが予想される場合には、仮決算をすれば当面の納税額を抑えることができるため、資金繰り上有効です。

ただし、次の場合には、仮決算による中間申告書を提出することができません。

①(1)方式の算式で計算した税額が10万円以下である場合、またはその金額がない場合

②仮決算による中間申告書に記載すべき法人税の額が、(1)方式の算式で計算した税額を超える場合

期限を過ぎてしまった場合

申告義務があるのに中間申告を期限までに提出しなかった場合は、(1)前年度実績方式で申告があったものとみなされ、自動的に税額が確定することになります。

納期限までに納付しなかった場合には、延滞税や利子税などのペナルティが課されます。


地方税との関係

地方税(法人住民税、法人事業税)の中間申告は、法人税の中間申告に連動しています。

つまり、法人税で中間申告義務がある場合は、地方税でも中間申告義務がありますし、法人税の中間申告で選択した方法で地方税の中間申告も行わなければなりません。

2012年10月05日

組織再編と借用概念

定義規定と固有概念

法人税法の第2条は定義規定です。

ここで規定されている言葉の意味が、法人税法で使われるときの固有の意味になります。

例えば、「現物分配」という言葉には、それに続く( )書きがあり、そのなかに「法人がその株主等に対し当該法人の次に掲げる事由により金銭以外の資産の交付をすることをいう。」となっています。

もちろん、規定されるまでもなく、誰もがその言葉を理解しているものについてはいちいち定義規定は置かれません。


会社法からの借用概念

ところが、合併とか分割、現物出資、株式交換、株式移転などには定義規定がありません。

誰もが理解している言葉ではないのに、何の規定もされないまま、法人税法で使われています。

理由は、他の法律に言葉の定義規定が置かれているからです。

他の法律で言葉の規定がされていると、新たに規定を置かないで法律の文章を作成するのです。

これを、法律の世界の基礎知識として、借用概念・固有概念と言います。

先の例の「現物分配」は法人税法の固有概念です。

合併、分割、現物出資、株式交換、株式移転などは会社法の規定を前提としているので、会社法からの借用概念です。


外国法人との適格組織再編

組織再編規定での適格・非適格についても、法人税法の第2条に定義規定が置かれていますが、適格現物分配のところには、内国法人同士であることが要件とされており、外国法人が当事者になると非適格となるようになっています。

しかし、合併とか分割、株式交換、株式移転、現物出資などの適格規定のところには、外国法人排除の規定がありません。

再編当事者として外国法人が入ってきてもよいのか、疑問になるところですが、疑問はすぐ解けます。

合併、分割、株式交換、株式移転は、日本の法律である会社法によって設立された法人間の組織再編行為とされています。

したがって、外国法人は原理的に組織再編の当事者になり得ないものとして当初から立法されており、法人税法で規定するまでもありません。

なお、現物出資は会社法では、単なる出資行為なので、税法で国内不動産や国内事業用資産を除いて税制適格現物出資としていますが、外国法人を排除していません。


2012年10月04日

介護保険のしくみと流れ

40歳以上の人が加入する公的保険

介護保険は、将来、介護を必要とする状態になった場合に介護サービスが利用できる制度で、平成12年に創設されました。

運営は各市区町村が主体となり、加入者が要介護状態と認められた時に段階に応じて給付が行われます。

日本国内に住む40歳以上の人が加入を義務づけられています。


第1号被保険者と第2号被保険者

加入者のうち65歳以上の人を第1号被保険者、40歳以上65歳未満の人を第2号被保険者と言います。保険料額や納め方、サービスを受ける際の必要条件が違います。

1号被保険者は要介護・支援認定で認定されればその原因に関わらず、サービスがうけられます。

2号被保険者は指定された特定疾病が原因で要介護・要支援認定を受けた場合だけサービスが受けられます。

介護保険料は1号の方は各市区町村より住民税によって決められた額が徴収されます。

年金額が年18万以上の人は年金より偶数月に徴収されます。

2号の方は加入している健康保険料と共に給与・賞与で一括徴収され、事業主と折半で負担します。

ただし、国保の方は、所得割と均等割から計算した額が市区町村より徴収されます。


介護サービスの種類

在宅サービスでは訪問介護や老人保健施設への通所、短期利用、介護用品レンタル、住宅の手すりや段差解消改修等があります。

施設サービスは介護老人施設等の入所です。利用費用は限度額内、原則1割負担です。

全財源のうち半分が保険料で賄われ、残りは国、都道府県、自治体が負担しています。


サービス利用と負担の在り方

介護が必要と感じた時には自治体の高齢者福祉課や在宅介護支援センターに、認定の申請をすると調査員が、日常の心身状況調査をし、主治医の意見書を作成してもらいます。

審査・判定で要介護・支援と認定されたら、区分によりケアマネージャーに相談の上、サービスの種類や程度の計画書を作成した上で、サービスが利用できます。

平成24年現在、認定者は500万人を超え総費用は9兆円に迫っています。

制度開始より12年で2.5倍に膨れ上がっています。

これからの高齢者人口を考えると制度維持には給付と負担のあり方を洗いなおす必要があるでしょう。

2012年10月03日

休眠預金の公的管理活用

預金を放置すると銀行の収入になる

長期にわたり出し入れのない預金口座を休眠口座といいます。

全銀協では、「休眠預金に係る取扱基準」を定め、一定期間経過した休眠預金は利益へ振替える規定を置いています。

取扱基準の制定は、「重加算の対象となる」という税務の要請を根拠としていると解説しています。


国会議員が政府に質問する「質問主意書」と内閣総理大臣名での「答弁書」が衆参両議院のホームページに掲載されていますが、その中に、「休眠口座」に関する上記の事実を採り上げたものがあります。

質問主意書への答弁書によると、毎年のように、900億円近い不労所得が発生しています。

収入になっても消えるわけではない

銀行預金にも消滅時効の規定が適用され、5年や10年で預金者は、時効により預金債権を喪失する可能性があります。

しかし、金融機関は、利益に計上した休眠預金について、払い戻しの請求があると、その請求に応じて支払いをしているようです。

そうすると、利益への計上は、時効の援用による利益ということではないことになります。

なぜなら、時効は援用により確定し、援用により一度確定した時効利益は撤回することができないからです。

収入にしないと重加算

質問主意書への答弁書によると、国税当局もその規定の存在を部内で周知させてはいるものの、「銀行がそういう取扱いをすることについての要請や指導という当局側からの働きかけをした事実はない」としています。

もしかすると、実際に、あるいは阿吽の呼吸の下での要請があったのかもしれませんが、その要請を裏付ける法的根拠は無いようです。

既に法律は準備されている

内閣府のホームページには、「金融機関における休眠預金口座の取扱い及び休眠預金の活用に関する法律案(休眠預金法案)」が、平成23年3月8日版として掲載されています。

法案は国会に未だ上程されていませんが、韓国やイギリスに先例があり、民間金融機関の休眠口座を政府配下の休眠口座管理機関に移して、ベンチャー企業などの支援に活用することなどを目的としています。

2012年10月02日

200%定率法

減価償却資産に適用される定率法の償却率が、平成24年4月1日以後に取得される資産より、250%定率法から、200%定率法に改正されました。

「250%?200%?どういうこと?」と思いますが、これまでの定率法の償却率は、定額法の償却率(1/耐用年数)の2.5倍に設定されていました。

この倍率が、2.0倍に引き下げられたのです。

2.5倍 = 250%定率法

2.0倍 = 200%定率法

償却率は低くなりますが、償却費全体の金額が少なくなるわけではありません。

200%定率法は、250%定率法に比べて、当初の償却が少なく、償却期間において償却費が平準化されています。

原則として、定率法の償却率は次のようになります。

・平成19年3月31日以前・・・・旧定率法

・平成19年4月1日~平成24年3月31日・・・・250%定率法

・平成24年4月1日以降・・・・200%定率法


ただし、3月決算以外の会社は、年度途中で償却率が異なってしまうことから、事務負担を減らすために、特例措置が設けられています。


①平成24年4月1日をまたぐ事業年度の場合、平成24年4月1日~事業年度終了の日までに取得した資産であれば、250%定率法により償却することができる。

届出は不要。


②平成24年4月1日に属する事業年度の確定申告書の提出期限までに、所轄税務署に届出をすれば、250%定率法適用の既存資産も、200%定率法に変更して当初の耐用年数で終了できる。

設備投資の多い会社では、大きく影響を受ける改正となっています。

2012年10月01日

有償減資(受領者側)

会社法の位置づけ

会社法では、有償減資による資本の払戻し(その他資本剰余金の処分による配当等)を受けた場合は、払戻しの対象となる有価証券が売買目的有価証券である場合を除き、原則として払戻し受領金額をその対象有価証券の帳簿価額から減額します。

仕訳で表すと次のようになります。

現預金×× / 有価証券××


法人税の位置づけ

法人税では、発行法人が有償減資(その他資本剰余金から配当)を行った場合、減少する資本金等の額と利益積立金とから区分構成されるものと考え、受領法人側では、資本金等の額からなる部分を「譲渡対価」とし、利益積立金からなる部分を「みなし配当」として取り扱っています。

具体的には、資本剰余金を原資とする配当等(交付金銭等)を受けた場合には、資本金等の額の減少額のうち、出資割合に対応する部分の金額を超えるときは、その超える部分の金額は配当等の額とみなされます。

ただし、受取配当等の益金不算入の規定の適用があります。

一方、資本剰余金を原資とする配当等の額のうち、配当等の額とみなされ金額を控除した金額は、当該払戻しを受けた株式の譲渡対価として取り扱われます。

株式の譲渡原価の額は、次の算式で求めることができます。

払戻し直前の株式の譲渡原価×減少した資本剰余金の額/前事業年度末の簿価純資産額

実務上は、この分数の割合は、払戻し法人(実施者側)から通知されますので、その通知された割合を用いて計算します。

以上の処理を税務上の仕訳で表すと次のようになります。

現預金×× / 有価証券 ××

譲渡損×× / みなし配当××

(譲渡益の場合もある)

したがって、有償減資による金銭等の交付を受けた場合には、その処理で会社法との違いが生じることから申告調整が必要となります。

なお、完全支配関係がある場合にあっては、有償減資に伴う金銭等の受領によるその株式の譲渡損益は認識しません。
 

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